2219.移民問題について



Fさんの書かれた、移民問題について投稿します。一言居士

 日系南米人の方(主にペルーの方)と付き合っていていろいろと
考えることがあります。彼らは事実上の移民です。ペルー人の子供
がスペイン語を話さずに日本語で会話するのを見てこれは外国人労
働者問題だけではない、移民問題だと直感しました。

 単純労働者として移民を受け入れた場合の問題点を既に彼らが示
していると思います。子供の教育問題は深刻のようです。在日ブラ
ジル人子弟(ペルー人や他の南米系の統計データはあまりないが同
様の問題を抱えていると思います。)には、不修学の子供も多く、
また日本の学校に通っていても問題が多いようです。多くの子供た
ちは日本で生活する上での最低限の学歴である(97パーセントが高
校に行く社会において)高卒も得られない状態です。(中学の卒業
証書すら手にしていない子供も多いようです。)親はデカセギに日
本に来ただけで、いずれ国に帰ると考えているかもしれませんが状
況は深刻だと考えております。参考文献を下に示します。

 こうした問題は、学齢期のブラジル人子弟の約3割を占める不修
学の児童だけの問題かと思っておりましたが、学校に通っている場
合でも低学力で卒業する場合も多いようです。

 まあ、日本語も分からず、日本の社会の仕組みも分からない外国
人を雇用した場合の問題点を彼らは既に示していると思います。
こうした問題を周りの日本人と話しても何の危機感もなく、それ以
前にブラジル人やペルー人が既に日本のマイノリティーになってい
ることすら知らないことを深刻に考えているのです。

移民問題についての私見 その2

 先に書いた日系人の問題では、多くの子弟が不就学の状態で、就
学していても低い学力しか得られず、中学段階でのドロップアウト
率が高く、高校進学率が極端に低いことを示しました。この原因と
して、日本の教育制度は「年齢主義」が徹底しておりまして、学齢
期に来日した外国人の子弟は、年齢に応じた学年に編入されてしま
うことがあると聞きます。小学校高学年以上で日本の学校に編入し
た生徒の適応は困難のようです。

 確かに、小学校低学年から日本の学校で学んだ場合には比較的ス
ムーズに適応出来ると聞きます。(逆に母国の学校に戻った場合に不
適応を起す問題もあるようです) しかし、この場合でも小学校の高
学年さらに中学校へと進むにつれて授業についてくるのが難しくな
るようです。これは、日本語の読み書き能力と関係していると思い
ます。(この辺は外国人子弟のための日本語教育に従事されている
方が詳しいと思いますのでもう少し調べたいと考えております)外
国人と接していて気が付くのは会話言語としての日本語と、学習言
語(読み書き)としての日本語は別物であるということです。

 この問題について「親の出身国における社会階層」とか「親の教
育レベル」の問題であるとの意見もあります。確かに、社会学の分
野では、日本人の子供の学力(学歴)と親の学歴や職業には相関が
あるとの研究もされていて、外国人の子弟の場合についても、同様
のことは言えるかもしれません。(この問題については良く知りま
せん)しかし、異なった言語・異なった文化的背景を持った外国人
については、母国語による親の教育レベルという問題の前に、日本
語での教育に適応できないという問題の方が大きいと思われます。

 最後に、日本の教育制度は、学年(年齢)によって仕切られ、飛
び級も落第もありません。卒業年齢に達すれば学力が一定水準に達
していなくても、自動的に「卒業」させられます。そうした日本の
教育制度の問題点が外国人子弟に関して顕著に現れていると思いま
す。

移民問題についての私見 その3

 これまでの投書で、日系人子弟の教育問題について書きました。
少子高齢化が進み労働力不足が進む中、これまで以上に外国人を労
働力として移入しようとする動きがあります。しかし、現時点で
これまで受け入れた外国人の方々が直面している問題を考慮せずに
、受け入れを前提に議論をすることに危機感を覚えたため筆を取り
ました。移民を受け入れた社会は、その子弟を社会に取り込むため
にコストを払わなければなりません。その覚悟が国民に出来ている
のでしょうか。

 外国人労働者について、「専門的・技術的労働者」と「単純労働
者」に2分して考える傾向があります。確かに日本語が不自由で日
本の文化・慣習を知らない外国人が就労可能な職種は、それらに2
分されてしまうのです。しかし、単純労働と高度で専門的な労働の
中間には、一般の人が従事するありとあらゆる職業があります。

 単純労働者として来日した親の子弟が、単純労働に従事する以外
に選択支が無い状態に置かれていることは大きな問題です。また、
逆に、高度で専門的な仕事に就労するために来日した親の子弟が、
必ず親と同等な能力を持っているなんてことはありません。移民の
子弟を社会に取り込むということは、一般の職業に就労できるよう
にするということではないでしょうか。
 
 フランスの移民子弟による暴動の後、真面目に勉学に励んでいる
アフリカ系の移民の子弟が就職で差別される現実がNHKで放映されて
いました。あれを見て日本でも既に同じようなことが既に起きてい
るのかなと思いました。

<参考文献>
在日日系ブラジル人子弟の教育問題
http://www.bizpoint.com.br/jp/reports/oth/tk0403.htm

『季刊 海外日系人』第57号((財)海外日系人協会 発行、2005年9月10日)
在日日系子弟の教育と日本の学校:人材育成システムの視点から
http://www.kikokusha-center.or.jp/resource/ronbun/kakuron/36/36.htm
一言居士
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(Fのコメント)
中国からの高学歴ソフト開発要員たちが働いている会社を見ると、
金に不自由していないために師弟を米国や中国に留学させてる場合
と、日本で教育している場合がある。

子供さんが小さいと日本で教育して、子供さんが大きいと米国やカ
ナダ、オーストラリアなどで教育している場合が多いように思う。

その選択は師弟の希望に従っているし、中国人は師弟の教育に非常
に気を使っている。自分も高等教育と米国や日本へ留学したために
特権的な立場にいると知っている。自分の子供が中国の貧しい農民
に戻ることをさせないという意思を感じる。

しかし、現在、この高学歴人たちが日本国籍を取ることがほとんど
不可能である。100人に1人しか受理されない。このためカナダ
に行く人が多かった。この事態を改善するべきだと思うのです。日
本国籍を取りたい人は多いのですから。

日系南米移民者は、日本の国策で移民させたので、国の政策の被害
者でもあり、その面での救済処置と思うが、他の場合では、一言居
士さんが言うように下層の移民を認めてはいけないと思う。

日本人でも欧州に暮らす会社の人たちは、師弟を欧州で教育してい
る場合と日本に留学させている場合があり、結局は師弟の育った場
所と留学させることができるお金の問題であると見ている。その点
、貧しい日系南米移民の人たちより恵まれているように感じる。

上流階級の移民は、日本でも高給を保証されているために、師弟の
教育などで問題が置きにくい。中国系の学校や国際スクールという
手もあり、そこへ通わす金もある。免許が必要な熟練した看護師さ
んでも月40万円以上でしょうから師弟を自国か日本の教育の選択
ができる。

逆に日系南米移民のように国家政策の犠牲者に対する補償という意
味で、貧しい日系南米移民2世。3世を受け入れるのはしょうがな
い。しかし、師弟の教育については、私立でスペイン語で教えるこ
とも考えるか、大きい子供さんは南米に置いて来ることも考える必
要があるのでしょうね。

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