2178.米国一国主義の終焉



米国の一国主義が行き詰っている。今後の世界情勢を占う。Fより

米国のブッシュ大統領が日本経由APECに行ったが、どうも精彩
がない。国内問題を抱えているためだけではなくて、アジア外交で
も行き詰っているためと見れる。

米韓首脳会談も韓国は中国の代弁をしているようにしか見えないの
に、何とか友好関係にあると取り繕っている。米国は今、どうする
のか進路を模索しているように感じる。

アジアでは日本と中韓との関係悪化が抜き差しならない事態になっ
ている。靖国神社参拝問題では、米国の評論家、特に米でオピニオ
ン紙とされるニューヨーク・タイムズでも批判的であり、アジアで
はシンガポールのリー首相も日本の小泉首相を非難している。この
影響で共和党保守派の機関誌であるアメリカン・コンサヴァティブ
誌までアジアでの日本の影響力がなくなるので、中国と日本を戦わ
せて、米国は中立であるべきと論じている。

小泉首相は盧大統領との会談でも、溝が埋まらない状況にある。A
級戦犯は米国が東京裁判で犯罪者として刑を確定したので、中韓の
主張を米国は認めるしかない。いくら、日本が太平洋戦争は正義の
戦いであり、A級戦犯の刑を確定されても、日本はそれを認めない
という論理を掲げても、現在の国際社会には受け入れがたい。

このままにしておくと、米国共和党タカ派の日本離れを引き起こす
ことになり、非常にまずいことになる。リアリストとしては、小泉
首相に靖国神社への参拝を中止して欲しいと国際情勢から感じる。
日米友好関係がない限り、今中国との関係は安定しない。この中国
と関係悪化させて、米国タカ派の日本離れを引き起こすことは避け
るべきである。

欧州も変化している。ライスは米国の力が無くなっている事を英国
に告げて、英国IISは次の世界体制をどうするか検討しているよ
うに思う。英国はフランスのサルコジ内相を支援して、英仏連合を
形成する方向に向かう。このため、イスラム教徒の暴動を起こし、
内相の強硬路線を支持する世論を盛り上げている。イスラム圏との
闘争しか世界を不安定にする手段がない。不安定にしないと武器が
売れない。今の欧米の売りは、石油と高度な兵器産業である。しか
し、いつまでもアルカイダ・テロ組織という虚構を維持できない。
この虚構を構築したのが英MI6である。英MI6のウソ情報を米
国に通知して構築したのですが、米ブッシュ政権は危機的なのです
が英ブレア首相は安泰である。この裏のストーリーを書いたのが英
国IISであると見ている。

また、米国は石油価格の高騰で、サウジアラビアに急接近している。
サウジのオイルマネーを米国へ投資して欲しいためであるが、イス
ラム圏との戦いや民主化は、だんだん色さめてきている。サウジは
当分民主化されないし、民主化されているイランは、一番反欧米で
ある。そして、米国はサウジのテロ容疑者をサウジに返還している。
そろそろ、テロ戦争は中止する方向である。共和党のフリスト上院
院内総務までがイラクからの撤退を主張し始めている。もうイラク
からの米軍撤退は、避け難いように感じる。

このため、イスラム圏とのテロ戦争ではなくて、本格的な敵対関係
を作り、その上で兵器産業を活性化するしかない。それにテロ集団
との戦いでは、値段の高い戦闘機が売れない。このための新しい構
図を作成しているように感じる。

現在、ドイツは中国への投資が多くなっている。ドイツ新幹線が、
中国で採用になるなど、投資への見返りも大きい。ドイツを中国に
引き入れているのがロシアであり、このままでいくと中露独韓のハ
ートランド同盟 対 英仏米日豪リムランド同盟が完成する可能性
がある。非ユダヤ 対 親ユダヤ政権という色彩もある。イスラム
は2つに割れる。石油地域も2分されることになる。

というより、米国はモンロー主義になり、世界の覇権に関与しなく
なる。イランからの米軍の撤退後、米国は当分陸軍を南北米州大陸
以外には派遣しないはずである。

このため、日本との平等な同盟関係を作り、台湾危機などの中国混
乱時には日本の陸上自衛隊を前面に使い、米軍は海空支援になるは
ず。韓国は中国との関係を優先するために、米韓同盟を破棄する方
向にある。イランの核問題でも前面で交渉しているのは英国、フラ
ンスであり、米露は後ろでコントロールしている。米露のお互いの
利益をどこで取り合うかを相談している。
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盧大統領、歴史問題を詳細に説明 米韓首脳会談(ASAHI)
2005年11月17日23時48分

 韓国・慶州で17日開かれた米韓首脳会談で、盧武鉉(ノ・ムヒ
ョン)大統領がブッシュ大統領に日本の歴史認識問題について韓国
側の考えを詳細に説明していたことがわかった。 

 潘基文(パン・ギムン)・外交通商相が会談終了後、明らかにし
た。それによると、盧大統領はブッシュ大統領との昼食会で、「朝
鮮半島と北東アジアの侵略の歴史と歴史認識問題」について見解を
披露。これに対しブッシュ大統領は静かに耳を傾け、「アジアの主
要国家が良い関係を維持し続けることを望んでいる」と応じたとい
う。 

 また、ブッシュ大統領が「アジアの将来は民主主義と自由といっ
た価値の重視にかかっている」と述べたのに対し、盧大統領は「(
アジア)域内の秩序を、対立ではなく協力と統合の構図に導くため
、韓米が力を合わせる必要がある」と語ったという。 
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靖国参拝は「韓国への挑戦」 日韓首脳会談、溝埋まらず(ASAHI)
2005年11月18日23時11分
 
小泉首相は18日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)出席の
ため訪れた釜山で韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領と会談した
。大統領は、首相が10月に靖国神社に参拝したことに「韓国に対
する挑戦でもある」と反発。首相は「戦争の美化、正当化では決し
てなく誤解だ」と持論を説いたが、双方の溝は埋まらなかった。
慣例化している半年に1度の相互訪問について首相は大統領に年末
の訪日要請はできず、会談開催も合意できなかった。 

 小泉首相は同日夜、大統領訪日の見通しについて「それは分から
ない。大統領が判断することだ」と記者団に語った。 

 首脳会談は6月のソウル以来。約30分間の会談の半分を歴史問
題に費やした。日本側の説明では、盧大統領は「首相の靖国参拝や
最近の多数の政治家による参拝は韓国に対する挑戦でもあり、日本
が過去に戻るのではないかとの懸念がある」と強い調子で批判した。 

 これに対して、首相は「(日本の)敗戦から今日に至るまでの平
和の歩みを誇りに思っている」としたうえで、「参拝は二度と戦争
をしないという決意と同時に戦没者に対する哀悼の念からだ」と説
明。さらに、日韓関係について「自由と民主主義、市場経済などの
共通の価値観を持っている。両国とも米国と同盟関係にある。こう
いう国は世界であまりない」と重要性を強調した。 

 これに関連して、小泉首相は16日の日米首脳会談後の記者会見
で「日米関係が良ければ良いほど、中国、韓国、アジア諸国との良
好な関係を築ける」と話していた。 

 大統領は、前回の首脳会談で新たな追悼施設建設の検討を進める
よう要請したが、今回はこの話題に触れなかった。逆に前回会談で
言及しなかった竹島(韓国名・独島(トクト))領有権問題を、靖
国参拝や歴史教育問題とともに取り上げた。韓国側の説明では、大
統領はこの3点について「いくら小泉首相の考えを善意に解釈しよ
うとしても、韓国国民は絶対に受け入れることはできないだろう」
と述べた。 

 北朝鮮問題について首相は、日米韓3カ国の一層の協力の重要性
を強調。大統領は「核問題に上手に協力して対応していきたい」と
応じた。 

 首相は、拉致問題について18日、タイのタクシン首相と立ち話
をしたことを取り上げ、「タイでも拉致された人の話が出ており、
タイとも協力していこうと話した」と説明。大統領は「実務者の間
でうまく処理し、解決されることを期待している」と応じた。 
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米大統領、イラン核問題でロシア提案支持・首脳会談で表明
(nikkei)
 【釜山=秋田浩之】APEC出席のため訪韓しているブッシュ米
大統領とプーチン・ロシア大統領は18日、釜山で会談し、イランが
核計画の一環として進めているウラン転換作業を容認しないことを
確認した。ブッシュ大統領はウラン濃縮作業をロシア内で行う代わ
りにウラン転換活動を認めるとのロシア提案を支持する考えを正式
に伝えた。

 ウラン転換活動は濃縮作業の前段階に当たるもので、米国などは
核兵器開発を意図したものではないかと疑っている。英独仏はウラ
ン転換活動を停止するようイランと交渉中だが、話し合いは難航。
ロシアが打開策としてウラン濃縮作業を自国で引き受ける提案をし
ている。

 ハドリー米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は会談後に記
者会見し、ブッシュ大統領がロシア提案を基本的に支持したことを
確認した。同時に、ロシア提案は「ロシアが欧州に打診し、欧州側
も支持している。探る価値がある道筋だと思う」と語った。
 (21:43) 

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