2172.6ケ国協議が休会に



6ケ国協議が休会になってしまった。この検討。  Fより

先週、北朝鮮の今後は無いと予測したが、その方向性が明確になっ
てきている。6ケ国協議で、北朝鮮は交渉カードがない。核開発の
カードが無くなると、他にカードがないために、核開発廃棄と手順
と交互に援助を引き出すしかない。しかし、米国は核無条件廃棄が
大きな前提である。ここで、米朝は対立することになる。

米国国内では中間選挙もあり、現時点でブッシュ政権は支持率39
%と非常に低いために、中間選挙で共和党は苦しい展開になってい
る。この挽回には中東情勢か東アジア情勢の変化を期待するしかな
い状況にブッシュ政権はある。内政では大きな成果はないため、イ
ラクからの撤退か北朝鮮問題で進展に掛けるしかない。

このため、11月16日にブッシュ大統領は日本を訪問するが、日
本には米国と一体的な行動を望むはずである。それと、北朝鮮問題
について、サプライズを作りたいはずである。ブッシュが再度、金
正日委員長を「暴君」と呼んだことでどうもいやな方向になったこ
とが分かる。

このブッシュ発言で、米国は交渉での解決を諦めた可能性がある。
このため、中国や韓国はその前兆を感じて、北朝鮮に伝えているが
、金正日委員長は分かっていないようである。金独裁者がハダカの
王様になっている。中国は胡主席まで行って、核廃棄を説得したの
に金正日委員長は、交渉カードが無くなる心配からその説得を聞か
なかった。それが北朝鮮訪問時、胡主席が浮かない顔をしていた理
由でしょうね。無表情であったのが印象的である。

さあ、どうなりますか、日本は北朝鮮と拉致問題も抱えていて、交
渉の進展が難しい。これが、現時点ではいいことになっている。北
朝鮮は日本から援助を引き出せないことを意味する。

それに対して韓国は、親北政権と思われているために、北朝鮮の戦
闘機2機を一時、韓国の領空を侵犯させて脅し、かつ金剛山観光で
韓国客の制限を北朝鮮が解除するというアメ、の2つで最大限の援
助を引き出したいようですね。中国はこれ以上の援助はしないでし
ょうから、北朝鮮としては、韓国からの援助しかないことになる。

どちらにしても、米国はバーネット教授が計画したような北朝鮮の
金正日(キム・ジョンイル)を除去し、北朝鮮問題を解消するとい
う方向になってきたようである。

2164.中韓の北朝鮮争奪戦
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/k7/171105.htm
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片岡鉄哉のアメリカ通信 Vol. XI, No. 134 平成十七年十一月三日より
ブッシュ(日本も)危うし

ゲリラ戦争二度目の敗北は致命傷
「米軍再編成」の隠された目標

              ブッシュは国内政治で危険水域にある。問題の本質はその背後
にある。アメリカはベトナムというゲリラ戦争で敗れた。「今度は勝つ」とい
うのがイラク戦争の目的だった。二度負けると、パックスアメリカナへの致命
傷になる。世界で日本ほどアメリカに依存している国は、イスラエルだけだ。
「早く核武装しなさい」というニクソンとブッシュの助言を断ったことを後悔
する日が来るかもしれない。

泰山鳴動ねずみ一匹

              先ず、国内政治問題の経緯から。CIAリーク事件とは、ブッシュ
の政治顧問カール・ローヴと副大統領補佐官 スクーター・リビーの両人が、
イラク戦争に反対していた国務 省高官の妻がCIAエージェントであることを
暴露したという疑惑だ。

一難去ってまた一難
              次の問題は共和党の保守派から起きた。最近、最高裁の判事に
二つの欠員ができた。誰が任命されるかについて、共和・民主両党が騒然とな
った。判事は終身雇用であり、堕胎や同性愛のように世論を割る判決は20〜30
年にわたって据え置きになるからだ。

何故パックスアメリカナの危機なのか
              上記が内政問題だが、無論、その上にイラク戦争がある。更に、
先日、採択されたイラク憲法が辛うじて僅差で通過したことだ。しかし、何故
これがパックスアメリカナの危機になるのか。背後にある深刻な葛藤を説明し
よう。

              それはイラク戦争がベトナム戦争と同じゲリラ戦争であること
だ。同じタイプの戦争に二度つづけて負けると、それだけでも命取りになり得る。
将来、三度目に手を出すことも政治的に不可能になる。

中国が米国の没落を待っている。日米同盟も危うい。

「米軍再編」の本意について
              米軍再編成という概念が日本の独立を意味することは本誌が
誰より早く指摘してきた。朝日は、これで日本はアメリカのいうなりになるな
どと戯言を吐いているが、在韓・在日の米戦闘部隊が夫々半減することの意味
が見えないのだ。

              中国と朝鮮半島は日本の責任になったのだ。矢面に立つのは日
本で、アメリカは日本の後ろ盾であり、同盟軍である。アメリカの腰の退けた
姿勢は、六者協議においてもっと鮮明である。
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6者協議、日朝の対話姿勢鮮明に 米朝の「橋渡し役」も
2005年11月12日23時23分

 北朝鮮の核問題をめぐる第5回6者協議は休会に入ったが、今回
の協議では、核問題で溝が埋まらない米朝間の橋渡し役を日本が務
める場面もあるなど、これまでより日朝の対話姿勢が目立った。協
議直前に日朝政府間交渉が実現し、拉致や「過去の清算」問題など
を含め、対話継続で合意したことが背景にある。一つの問題の進展
次第で日朝間のパイプが詰まることがないよう、分野を分けた協議
方式の提案がひとまず奏功した格好だ。 

 「(6者協議と日朝交渉を)車の両輪のように関連させて進める
ことが重要だと、北朝鮮側と意見が一致した」。日本代表の佐々江
賢一郎・外務省アジア大洋州局長は、今回の6者協議中に行われた
北朝鮮との2国間協議を、こう説明した。 

 今回の特徴は、北朝鮮との協議が「核問題」を中心に進んだことだ。 

 日本側は開会前の8日、阿南惟茂・駐中国大使公邸に北朝鮮代表
の金桂寛(キム・ゲグァン)外務次官らを招いた。2時間半に及ぶ
夕食会では、「核問題の協議をどのように進めていくのか、率直に
意見交換した」(代表団筋)。 

 10日も、日朝が釣魚台国賓館で約1時間会談。北朝鮮が、米国
による金融制裁に反発を強めていたことから、日本側は会談後すぐ
に米国大使館に向かい、米朝間の意見調整に努めた。 

 こうした立ち振る舞いが出来たのは、11月初めに1年ぶりに日
朝政府間交渉が実現し、進展はなかったものの拉致問題で突っ込ん
だやりとりをしていたからだ。 

 日本側は、この交渉で(1)拉致(2)核・ミサイル(3)国交
正常化に関する問題の3テーマ別の協議を持ちかけたうえで、協議
の継続で合意した。このため、6者協議での日朝協議は核問題に集
中して議論する条件が整った。 

 日本側は、6者協議では、北朝鮮の核廃棄に向けて(1)核廃棄
・検証(2)経済・エネルギー支援(3)2国間関係・地域の安全
保障――の3分野を包括的に実施する「行程表(ロードマップ)」
づくりを提案するなどした。 

 6者協議と日朝交渉を「両輪」とする方法は転がり始めたが、6
者協議が行き詰まると日朝交渉にも影響するという可能性もはらん
でいる。 
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6者協議、再開日程決めず休会 作業部会設置に含み(ASAHI)
2005年11月12日00時14分

 北京で開かれていた北朝鮮の核問題をめぐる第5回6者協議は
11日、議長国・中国の武大偉(ウー・ターウェイ)外務次官が前
回協議で採択された共同声明の履行を再確認する「議長声明」を出
し、3日間の日程を終えて休会した。共同声明の履行方法などをめ
ぐって米朝は対立しており、日本が提案し、焦点となっていた作業
部会の設置などでは合意できなかった。 

 議長声明はまた、協議の再開時期について「できる限り早い期日
」とした。だが、米国代表のヒル国務次官補や韓国代表の宋旻淳(
ソン・ミンスン)・外交通商次官補は、外交日程が立て込んでいる
ことや、次回協議にはまとまった時間が必要となる、などの理由か
ら、年内の再開は難しいとの見方を示した。 

 今回は、北朝鮮の核放棄などを盛り込んだ共同声明の実現に向け
、具体的な方法を詰められるかが焦点だった。 

 議長声明は「6者は信頼の醸成を通じて共同声明を包括的に履行
し、様々な分野におけるすべての約束を実施」「共同声明を実現す
るための具体的な計画、措置及び手順について作成することで合意
した」などとし、今後の作業部会の設置などに含みをもたせた。 

 協議で日本は、テーマごとの作業部会や二国間協議を並行して進
め、個々の段階では北朝鮮に「見返り」を与えずに一定の期間内に
核廃棄を目指すという「行程表」(ロードマップ)づくりを提案。
佐々江賢一郎・外務省アジア大洋州局長は11日、「その考え方は
議長声明にも反映されている」と語った。 

 だが、北朝鮮代表の金桂寛(キム・ゲグァン)外務次官は休会決
定後、「重要なことは『行動対行動』の原則で同時行動で措置をと
っていくということだ」と報道陣に強調。核放棄のプロセスとその
見返り措置を交互に進めるよう改めて求めた。 

 金次官はまた、米国が今秋、北朝鮮企業や北朝鮮と取引のあるマ
カオの銀行を制裁したことに対して「共同声明違反」と批判。「朝
米で会談を開き、解決することにした」と明らかにした。 

 一方、ヒル氏は11日、北朝鮮・寧辺で継続している核活動につ
いて、直ちに凍結するよう改めて要求。北朝鮮への見返りは、「我
々がそのために何か別の合意をすることはない」と語った。 
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北朝鮮の戦闘機2機、一時韓国の領空を侵犯=韓国軍

 [ソウル 11日 ロイター] 韓国軍は11日、北朝鮮の戦闘
機2機が一時、黄海上で韓国の領空を侵犯したことを明らかにした。
 戦闘機はその後、北朝鮮領空に引き返した。
 北朝鮮の戦闘機がなぜ韓国領空に入ったかは不明。北京では北朝
鮮の核問題をめぐる6カ国協議が開かれていた。
 現在、韓国軍が調査を進めている。
(ロイター) - 11月11日16時45分更新
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金剛山観光 韓国客の制限、北朝鮮が解除へ(ASAHI)
2005年11月11日22時18分

 北朝鮮当局が名勝・金剛山への韓国からの観光を制限していた問
題で、事業主体の韓国の現代峨山は11日、観光が18日から2カ
月ぶりに正常化されるとの見通しを明らかにした。観光客数は1日
あたり1000人規模に戻るという。北朝鮮の開城で現代グループ
の玄貞恩(ヒョン・ジョンウン)会長が北朝鮮当局と合意した。 

 金剛山で観光事業を始めて7年を迎える記念事業を現代峨山と北
朝鮮が合同で実施することも合意した。同社が独占権を持つ白頭山
と開城での観光事業については進展がなかった。 

 金剛山の観光は9月から600人規模に制限されていた。北朝鮮
との関係が深かった現代峨山の金潤圭(キム・ユンギュ)・前副会
長が、不正疑惑をめぐり代表取締役を解任されたことに北朝鮮側が
反発していた。 
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「北」案に米、核施設の即時停止要求…6か国協議 [読売新聞]

 【北京=穴井雄治、末続哲也】北朝鮮の核問題をめぐる第5回6
か国協議は10日午前9時40分(日本時間同日午前10時40分
)過ぎから、北京の釣魚台国賓館で2日目の全体会合が開かれた。

 9月の第4回協議で採択された共同声明の履行に向けて、議長国
・中国や日本が前日提案した、分野別に作業部会を設置して具体的
な手順を詰める案などについて意見を交わした。また、北朝鮮が明
らかにした、核凍結など4段階の核放棄提案についても論議したと
見られる。

 米国首席代表のクリストファー・ヒル国務次官補は10日朝、宿
舎のホテルで記者団に対し、「履行計画を定める努力を続ける。日
本は良い案を出している」と述べ、「核廃棄・検証」と「経済・エ
ネルギー支援」については作業部会で、「2国間関係と地域安全保
障協力」については当事国間でそれぞれロードマップ(行程表)を
策定するとの日本の提案を評価した。

 一方、北朝鮮の段階的核放棄案に関連してヒル次官補は、「共同
声明採択後も北朝鮮・寧辺の核施設は稼働し、プルトニウムの原料
を生産し続けている」と指摘。その上で、「使用済み燃料の再処理
と原子炉の稼働を停止するのは今だ。そして(廃棄対象となる)核
計画について申告することを期待している」と述べ、北朝鮮に対し
て凍結による時間稼ぎは受け入れられないとの立場を示した。また
、5000キロ・ワットの実験用黒鉛減速炉の即時稼働停止など核
廃棄に向けた措置を直ちに取るよう要求した。

 日本首席代表の佐々江賢一郎・外務省アジア大洋州局長も同日朝
、記者団に、「北朝鮮が核廃棄に向けた意向を確認したことは結構
なことだが、問題はそれを素早く実施することだ」と指摘。韓国首
席代表の宋旻淳(ソン・ミンスン)外交通商省次官補も、「核施設
の稼働継続は適切な方法で中断されるべきであり、廃棄に至る過程
をどうすれば加速化できるかについて話すべきだ」と述べた。

(2005年11月10日13時40分 読売新聞)
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北朝鮮「金総書記への冒とく」・米大統領の「暴君」発言で
(nikkei)

 【北京=峯岸博】北朝鮮外務省スポークスマンは8日、ブッシュ米
大統領が名指しこそ避けながらも金正日総書記を「暴君」と呼んだ
ことについて「わが最高首脳部を悪らつに中傷、冒涜(ぼうとく)
した」と非難した。「6カ国協議の共同声明の精神を完全に踏みにじ
ったことを意味する」とも語った。朝鮮中央通信の報道を朝鮮通信
(東京)が伝えた。 (07:01)
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バーネット教授「米・日・中・ロ連合軍、5年以内に金正日を除去」 

「今後5年以内に米国・中国・日本・ロシアが共同で、いかなる方
法であれ北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)を除去し、北朝鮮問
題を解消する」。 

米国の軍事安保戦略家トーマス・バーネット米海軍大学教授が提示
する北朝鮮問題解決法だ。ベストセラー「ペンタゴンズ・ニューマ
ップ」の著者バーネット教授は最近、その内容を具体化した「行動
のための青写真(Blueprint for Action)」
を出した。 

バーネット教授は「2010年まで権力の前面に登場する中国の5
世代指導部が金正日をあきらめるはず」とし、「韓国は4強の対北
朝鮮軍事介入への参加を勧誘され、それに対する拒否権は認められ
ないだろう」と主張した。 

バーネット教授は統一切迫時点を2010年と予想している点につ
いて、「金正日側またはわれわれ(西側)の忍耐の限界で変化が触
発されるため」と説明した。バーネット教授は北朝鮮の存在を「百
害無益な冷戦の尾」と述べた。 

また米国が動員する国際連合軍の参加国に中国・日本・韓国・ロシ
ア・オーストラリア・ニュージーランドを名指しした。国際連合軍
が金正日に与える選択肢は▽外国亡命勧誘▽金正日‘標的攻撃’
▽国際連合軍の北朝鮮占領−−の3つだ。 

バーネット教授は金正日除去後の北朝鮮地域について「日本を含む
4強の軍事占領」が必要という構想を明らかにした。その後に北大
西洋条約機構(NATO)のアジア版である「環太平洋条約機構」
を発足できるということだ。 

中央日報 2005.11.07 18:26:00 
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6カ国協議再開/日米共同で対北圧力強化を   
   
  北朝鮮の核をめぐる六カ国協議が九日から再開される。最大の課題は九月にまとまった
 初の共同声明の合意事項について、その実行に向けての道筋をつけることだ。しかし楽
 観は許されない。同声明は北の核放棄の原則をうたっただけで具体的なプロセスは何も
 示されていないからだ。
北朝鮮の誠意が問われる   世界日報掲載許可

 北は核放棄の前に軽水炉を提供せよとの条件を新たに持ち出しており、北の核放棄の意
 図が真剣なものか疑われている。今回の協議で北の誠意が問われているといえる。日米
 両国は共同歩調をとり、中国、韓国、ロシアの協力で拉致、ミサイル問題をも含めた包
 括的解決を目指すべきだ。

 共同声明の最大の難点は、基本原則を示しただけにとどまり、中身は抽象的で玉虫色の
 ものが多かったことである。同声明で北はすべての核兵器および既存の核計画を放棄し、
 核拡散防止条約(NPT)や国際原子力機関に早期復帰することを約束した。北への軽
 水炉提供問題を討議することや、米朝、日朝が関係正常化に向けての措置を取ることも
 うたわれた。

 日米韓三国は、北の一切の核放棄と国際査察の受け入れが実証され、北が約束を破らな
 いことが確認された暁には、軽水炉提供の道が開かれると解釈したが、北は同協議閉会
 直後に「軽水炉が提供された後にNPTに復帰する」と主張した。「核放棄が先か、見
 返りとなる軽水炉提供が先か」の問題が浮上した原因は、議長国の中国が協議決裂を避
 けるため、軽水炉提供問題について「適当な時期に」議論するというあいまいな表現で
 米朝の仲介をしたからだ。

 北は、軽水炉の提供がなければ保有している核抑止力を放棄しない。米国が核兵器の放
 棄を優先し、軽水炉の提供を後回しにすることに固執すれば、米朝間の核問題は何も変
 化はなく、結果を複雑にするだけだとしている。

 軽水炉は九四年の枠組み合意でクリントン米政権が北の核放棄の代償として提供を約束
 し、その後の北の核疑惑で中断されたもの。ブッシュ政権は軽水炉の使用済み燃料から
 の核兵器製造は困難であっても不可能でないとして、提供は北の核放棄と査察体制確立
 が前提としている。当然の要求だ。

 問題は先に軽水炉提供を求める北の意図だ。当面の電力不足解消なら韓国が提案してい
 る二百万`hの電力供給案を受け入れればよい。軽水炉にこだわるのは、時間稼ぎのた
 めとみてよい。北は軽水炉が提供されるまでプルトニウム生産につながる寧辺の原子炉
 の稼働を続けると言っている。交渉の難航を見越し、その間核能力を増強し、対米交渉
 での立場強化を狙っているとみてよい。

 濃縮ウラン計画正当化の意図も考えられる。米国は再開六カ国協議で、北の核兵器や核
 計画の申告について高濃縮ウランをも取り上げる方針だ。北は同計画の存在を否定して
 いるが、パキスタンのムシャラフ大統領は濃縮に必要な遠心分離器や部品などを北に送
 ったことを明らかにしており、計画の存在否定はムリだ。そこで北は軽水炉を保有する
 ことで、ウラン濃縮計画は軽水炉の燃料製造用であり、平和目的だと主張しようと狙っ
 ているとみられる。

強固な意思と忍耐が必要

 今われわれには強固な意思と忍耐力が必要だ。対北柔軟姿勢は北を付け上がらせるだけ
 である。国連総会委員会で北の人権状況非難の欧州連合の決議案が用意されるなど、北
 は国際的に追い込まれている。日米を基軸に対北圧力を強めるべきだ。
       Kenzo Yamaoka
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 『韓国軍削減計画』ほか   
   
 編集委員 岩崎 哲・世界日報掲載許可
韓国軍削減計画
保守派・米国に危機感/「北朝鮮に安易な譲歩」
 韓国で「国防改革」が進められている。現在、六十八万人の兵力を二〇二〇年までに段
 階的に五十万人に削減し、軍団・師団数を大幅に減らすのだ。また、在韓米軍によって
 補完された空軍、海軍力に比べて、陸軍が突出している不均衡な状態を是正していくこ
 とも含まれる。

 これは「既存の量的構造から情報化・科学化を志向する未来志向的質的構造に変換する」
 ことが目的だ。言い換えれば「防衛力の整備」という数量的な変化ではなく、「国防の
 概念」自体を変えていくことであり、それが「国防改革」の言葉になっている理由であ
 る。

 一昔前まで韓国といえば「軍事独裁」のイメージが強かった。「先軍政治」(軍事優先)
 を標榜(ひょうぼう)し「南侵統一」を国是としている北朝鮮と対峙(たいじ)する以
 上、国防に力が入るのは避けられない。だが民主化が進み文民政権が登場し、同時に南
 北首脳会談(二〇〇〇年)をはじめ南北交流が進むにつれ、北朝鮮の思想工作浸透もあ
 って、韓国では「軍人文化」を否定脱却し、さらには「過去の清算」を行うという動き
 が高まってきた。

 例えば盧政権で国防長官に任命された尹光雄長官は自身を「軍の代表」ではなく「軍を
 管理して統制する」存在だとして物議を醸したりもした。しかしこれが盧政権が進める
 「軍の文民化」だ。聖域であった「軍検察機構」を独立機関にしたり、「量刑軽減権」
 を廃止することが司法改革案に含まれてくるようになる。

 こうした国防改革に対して、予備役や軍OB、保守陣営では反発と危機感を高めている。
 兵力削減は「あまりにも北朝鮮に譲歩しすぎではないか」というのだ。相手はやる気も
 あるし、武装もしている。銃を降ろす気はさらさらない。それどころか、ミサイル開発、
 核開発を止めようとはしていない。そういう状況で、一方的に銃を降ろしてしまうのは
 どうか、ということだ。

 尹長官は『新東亜』十月号のインタビューで、「韓国の国防改革が北朝鮮にも肯定的な
 影響を及ぼしうる」と楽観論を展開している。北朝鮮に対して「わたしたちが理解して
 譲歩して、安定的に管理していかなければならない」と大きな“度量”を示し、「北朝
 鮮が経済(発展)のために自ら軍縮に乗り出す」よう誘導していくという考えだ。

 これに対し同誌は「北朝鮮は十年以上、核計画を放棄しないでいるではないか。南北関
 係の将来を肯定的にみる志向は、この政府の外交安保チームの共通分母ではないかとい
 う気がするほどだ」とあきれ気味だ。

 危機感を強めているのは韓国の保守陣営だけではない。米国でもこのまま盧政権の国防
 改革が進み、そのうち米韓合同司令部も廃止され、兵力削減が行われていけば、北朝鮮
 に間違ったメッセージを送ることになりかねないと心配する。いまは「韓国動乱直前の
 状況がもたらされつつある」とまで危惧(きぐ)しているのだ。これは在韓米軍高官の
 「私的メモ」を米ウェブ紙「ワールドトリビューン」が報じたものだ。

 新東亜の尹長官インタビュー記事からは、韓国の国防が置かれている現状と盧政権が進
 める「軍の文民化」の実態が読みとれる。

平和協定転換狙う韓国
北東アの外交地図に影響/盧大統領は明確な指針を 

 韓半島の地政学の地殻変動が起こっている。それを試みているのは韓国の盧武鉉政権だ。
 ことは南北韓だけの問題ではなく、日本、米国、中国、ロシアを巻き込んだ北東アジア
 の安保地形を根底から揺るがす変動になり得る。

 『新東亜』十月号は「統一部『韓半島平和体制実行プログラム』を作成中」との記事を
 掲載した。現在、韓半島は三八度線を挟んで停戦状態にある。一九五三年七月二十七日、
 停戦協定は国連軍司令官クラーク、北朝鮮軍最高司令官・金日成、中国の人民解放軍司
 令員・彭徳懐との間で締結された。当事者は実質的に米国、北朝鮮、中国の三者であり、
 ここに韓国の入り込む余地はなかった。

 だが実際には「半世紀の間、停戦協定は多くの規定が死文化し、停戦体制自体も一九九
 一年、韓国軍将軍が軍事停戦委員会首席代表に任命されて、翌年、北朝鮮と中国がそれ
 ぞれ軍事停戦委員会から撤収して、有名無実となった」(同誌)状態だ。

 とはいっても、南北融和と交流を進める盧武鉉政権にとって、停戦協定の存在は足かせ
 になっている。なぜなら、在韓米軍、有事の際の指揮権問題、非武装地帯(DMZ)管
 理規定、さらに韓国の国防概念、国家保安法など、「停戦体制」下で存在してきた協定
 や法律が北朝鮮との交流を妨げる障害物として残り、未整理のままだからだ。ところが
 実際の交流はどんどん進められており、法律と現実との矛盾が生じている。加えて、北
 朝鮮は在韓米軍や国家保安法を盾にとって、南北交流に難癖を付けることもしばしばだ。

 そこで盧大統領は八月、統一部など関係部署に「平和協定」問題の研究を指示したのだ
 が、統一部で最も頭を抱えているのが「主体」問題である。停戦協定の当事国は米中朝
 であることは述べた。さらに北朝鮮が六カ国協議の場で主張してきた「平和協定」問題
 は、韓国が求めているものとニュアンスが大きく違い、「停戦協定の当事国が集まって、
 停戦体制に代わる新しい体制」を議論しようというもの。そこには韓国が含まれていな
 い。

 かつて「2+2」(南北韓に米中を加える)協議が行われたことがあったが、現在、北
 朝鮮は米国との二国間協議を進めようとし、「中国の参加に固執する必要性を感じてい
 ない様子で、米国は中国の参加は苦手な雰囲気」(同誌)だと韓国が絡んでくる余地が
 見えてこないのだ。

 平和協定研究を指示した盧大統領だが、北朝鮮の核廃棄と検証もあり、思うように進ん
 でいない。何よりも「平和協定の具体的な形態と方案」を盧大統領は何も示していない
 と同誌は批判する。

 北東アジアの安保・外交地図を塗り替える問題だけに、ビジョンを示し、国民の理解と
 支持を受け、関係各国との協議を経て、協力体制を組んで慎重に進めねばならない。
 「言葉だけ多く準備は何も……」という状態らしいが、むしろいまはそれが不幸中の幸
 いといえる。

盧政権の親北姿勢
大学教授の暴論を野放し/北朝鮮の主張を援用 

 東国大学の姜禎求教授が「マッカーサーは統一を妨害した」と主張したのを聞いて、韓
 国の変わり様を実感したが、この発言を「おかしい」と思う韓国人はまだまだ多数いる
 ことをみて安心もした。だが、昔ならば姜教授は直ちに逮捕されるどころか、その前に
 この発言が世の中に出ることもなかっただろう。法律があるのに逮捕もせず、発言を野
 放しにしているのが盧武鉉政権である。

 中央大学国際大学院のキム・テヒョン教授が『月刊中央』十一月号の「時論」で「国家
 アイデンティティーに混乱だけを与える政治」と題するコラムを書いている。キム教授
 は「二〇〇二年大統領選挙を契機に登場した新しい政治勢力は過去を暴いて否定するこ
 とによって自分たちの存在を打ち出そうとしている」と指摘する。

 姜教授のマッカーサー論争はその流れの中から出てきた解釈とも言えるが、これは端的
 に言えば、北朝鮮の主張と何ら代わるところがない。「新しい政治勢力」は「過去を否
 定する」のに「北朝鮮の主張」を援用しているのだ。

 キム教授は「北朝鮮に照らして韓国のアイデンティティーを新しく定義しようとする進
 歩勢力の試みは国民の歓心を買うことはできない」と切り捨て、返す刀で「それほど時
 代錯誤な政治攻勢に巻き込まれてしまった保守派も大きく違わない」と、国民を説得で
 きない保守派への失望もあらわにする。

 そしてこのまま続けば「国民アイデンティティーが弱まって政治に対する不信と冷笑主
 義だけが高まるだろう」と警告しているが、国論分裂という深刻な事態を韓国社会はど
 う克服していくのか、知識人の悩みは尽きそうもない。
      Kenzo Yamaoka

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