2151.大規模テロの防護について



大規模テロの防護の講演会を聞いたので、その報告。Fより

911テロで米国が変わった。
1つ目が従来の安全保障観から非正規戦争としてのテロの威力が分
かり、それに対応する装備、戦略に米国の安全保障が変わった。
2つ目には自由な米国から人権の棚上げしても、予防拘束や通信傍
受を行う米国になった。
3つ目は死の抗議を受けて米国標準のグローバリゼーションに打撃
を受けた。
4つ目には、このテロで得をしたのが中国とイスラエルである。
次の米国が注意する正規戦争の相手は中国であったが、非正規戦争
に米国の目は行っている為に、米中間は友好的な関係にある。
従前のイラクからパレスチナに兵員と武器を支援されていたため、
紛争が拡大していたが、そのイラクが戦場になり、パレスチナへの
援助がなくなり、イスラエルは和平工作ができるようになった。

テロの形が変わって、単発から同時多発へ、周辺から中枢へ、爆弾
から生物化学、サイバーテロへ変化している。それもアフガン同窓
生(スーダンから北朝鮮)を中心とした国際化されたテロのネット
ワークができて、麻薬の国際ネットやITを利用した送金でそのネ
ットを維持している。インターネットでたんそ菌や核爆弾の作り方
が分かり、テロの大型化が心配されている。

このテロに対して、監視カメラを設置している。世界一の監視社会
であるイギリスでは、全土に250万台、ロンドンに50万台のカ
メラを設置している。地下鉄は約6000台で、市民一人は一日に
300回以上写されている。このため、今回のロンドン同時テロで
も7日のテロ犯は5日間で特定、21日のテロ犯は1日で特定され
ている。

もう1つが、米国では偵察衛星KHがブッシュ大統領を追尾してい
るが、05年グルシアで演説中に手投げ弾が投げ込まれた。幸い、
未遂であったが、800キロ上空から100キロ上空へ降下して3
センチの物体を識別させることが出来るため、未遂犯人を特定して
いる。通常の800キロ上空でも15センチの物体を識別できる。

テロの定義が日本でもされている。警察庁令17条に「広く恐怖ま
たは不安定を抱かせることにより、その目的の達成を意図しておこ
なわれる教唆的主張その他の主張に基づく暴力主義的破壊活動」
3つの要素からできていることが分かる。政治的な目的、脅威の意
図、武力・暴力の行使の3つであり、反日破壊デモも拉致もテロで
ある。

テロとしては、中国か北朝鮮を策源地するものを想定できる。中国
は日米離間を図る目的で、在日米軍基地に自衛官を装いトラック爆
弾攻撃をするとか日本人テロリストを用い米都市の地下鉄でテロを
行うなど。この他、日韓の対立を煽る目的、日本の対外影響力を阻
止する目的などが考えられる。

北朝鮮は経済制裁発動を防止する目的でアルカイダの攻撃と見せか
けたテロをすると考えられる。

テロを未然に防止するためには、危機シナリオを作り訓練すること
が必要で、今後3ケ月以内、一年以内に起きそうな重大事件のシナ
リオを作る。たとえば、ドル暴落、中国での反日暴動や日貨排斥、
北朝鮮からの武装難民の侵入などでしょうね。次に予兆を早期に発
見して、未然防止する。危機に対するストレステストを行う。

このコラムは予兆を皆様に提供しているのもテロ対策の一環なので
しょうね。特に北朝鮮や中国に焦点を当てて扱っているが、それも
皆様に予兆を知ってもらい、早期に対応していただきたいためです。

次にテロを防止するシステムを整備する必要がある。テログループ
への潜入・内偵、海外情報機関からの情報、通信傍受や工作船の衛
星監視、資金移動の監視、重要施設の監視・防護である。

重要施設の監視システムに求められる役割には動線分析、不審な挙
動分析と自動追尾、視線分析などである。

予兆を早く把握することが必要で、悪い情報を隠そうとする文化や
クレームを放置する文化、失敗情報を秘密にする文化、上下が依存
体質の文化、困難から逃げようとする文化を克服する必要がある。

テロ防止の結論としては、
・最悪のシナリオを想定する
・事後調査から事前の予兆管理へ
・担当の組織と責任者を置く
の3つが必要である。


コラム目次に戻る
トップページに戻る