2145.日はまた昇る



日はまた昇る・・   
   
 いつも楽しく読ませていただいております
実は日本からのニューエコノミーということでブログ連載して
ます。つまり・・日はまた昇るです。今回配信された記事内容
と一致しているので驚きました。

現在の状況ですが、
・貯蓄がはるかに投資を上回る環境から、国内への投資が始ま
った 
・上場基準の緩和により、株式の公開が容易になった 
・中小企業の資金管理をアウトソーシングする環境が整った 
・多くの企業で研究開発費を怠らなかった 
・その技術を高付加価値に生かせる市場は 
 豊かな「アメリカ」と「日本」しかない 
・地方分権への素地、自治体間の競争が始まった 
・人口の減少により「人を惹きつける」財、サービスがより必
要となった 
・中国インパクトが日本の政治力を蘇らせた。
まで書きました。
次回は・・
これらの結果、他国ではまったく考えられないような製品とサ
ービスがあふれる、知的大国となる。これはGDPなどで図りき
れないインパクトととなる。というものです。いかがでしょう
か??

http://syoukensyougo.blog21.fc2.com/blog-entry-17.html
==============================
陽はまた昇る   
   
 榊と申します。
私も自己のブログに以下のように書きました。
そのとおりになれば・・いいですが・・

我がビジョン 

 少子化問題もそれほど悲観していません。人口が減る方が、
みな考えますから、貴重な子供達や子育て中のファミリーが、
大切にされることでしょう。江戸時代はそうでしたから。子供
は国の宝と水戸黄門様がいつもおっしゃっていました。むしろ
、新たに学校や道路等のインフラを作る必要がないので、財政
の浪費はなくなるでしょう。タダに近い金利で調達した国債を
のんびり返し行くか、一部を踏み倒せばいいだけのことです。
だから、今、地方の債務を交付税で補填することで、債務を国
に集中させていると思います。最後は日銀が引き受けて、お札
印刷しておしまいでしょう。 

 企業は少子化=人口減 で、市場開拓のため、より質の高い
製品を作らざる得ないので、蓄積された巨大な技術が思いもか
けない形で花開くと思います。日本が得意なのは、デカイ物を
小型化することと廃棄物を最小限にすること(無駄をなくす)
です。石油ショック時に省エネで技術革新が起き、世界を引き
離した事例からわかるように、環境=技術革新ですから、これ
から日本企業の優位は突出していくことでしょう。日米での特
許出願件数をみれば、納得です。江戸時代も人糞のリサイクル
まで行われていましたから、当時の文化を今に引継いでいるだ
けです。 

地方の活性化も、少子化の克服のため地方が主体となって始め
ることでしょう。市町村合併により、議員と村長が自分の会社
が受注しやすいようにするため、いがみ合うなんてことも減る
でしょうね。市民の厳しい監視の目を生かすためには、人口10
万人規模の自治体が丁度いい大きさだと思います。最近は、住
民から近い分、市町村の方が機動性あります。国との間に挟ま
る都道府県は、無用の長物かも知れません。自治体の再編が始
まります。キーは団塊の世代の大量退職からでしょう。 
 海外から観光客を招くことも必要です。雪のない熱帯アジア
や台湾からスキー客を招くことも必要です。大型機が離着陸で
きるよう地方空港の拡張が必要でしょうね。税関を国が作らな
いと話になりません。特に千歳は、北方にある分、ハブ空港に
なりうる筈です。その整備も北海道が自らのために自らの出資
で行うのがベストです。外国語に堪能な人材を集める必要があ
りますね。生き残りをかけて、地方も動くでしょう。 

頭の痛い外交問題 

 中国問題を俯瞰するなら、ソ連が崩壊した理由を取り上げる
べきです。 
当時は、日本がバブルでした。米ソで殴り合いしていたら、日
本はアメリカの土地まで買い始めたもんで、白人達戦勝国はお
互いにケンカするのがバカらしくなったということですね。今
後、日本という太陽が昇り始めたら、中国はどうなるでしょう
か。 
中国と韓国と日本が得意な分野はほとんど競合していません。
補完関係になっています。いまは「日本は消えてなくなる」と
まで豪語していますが、先端技術では、圧倒的に日本。韓国は
サムソン、ヒュンダイ以外の世界的な企業が少ないだけでなく
ノムヒョンはこの金の卵を締め上げています。土地やマンショ
ンもバブル気味でこれを引き締めれば経済成長が止まるから、
動けません。(日本は成長を止めて不良債権処理をしました)
だから、再び通貨危機が起きる可能性があります。 
 中国は、安い工業製品の供給基地であり、これは歓迎すべき
ことです。おかげでTシャツが100円で買えます。これらの製品
はもう中国でしかつくれません・・ところが・・人民元が上昇
したらどうなるでしょう。もっと安い労働力を供給する国はい
くらでもあるわけです。しかも本来なら国有のはずの土地に対
して、投機が発生しています。土地だけでなく、石油から鉄、
セメントといった素材産業のありとあらゆる分野にですね。ひ
とたびこれが止まればどうなるでしょうか??いまはあぶく銭
を、ロケットや駆逐艦に注ぎ込んでいますが、土地価格の暴落
は日本での事例が示すように、長期間のスタグネイトを招きま
す。日本は企業の研究開発で世界最先端の技術を切り開いて乗
り越えていますが、中国にその最先端はどれだけあるのでしょ
うか。 
 アメリカあたりもNYの賃貸料が下がり始めたとか・・中国の
お客様であるアメリカ経済も減速が始まったわけです。もっと
も減速=低所得者の増=中国製品はやはり売れる ということ
でしょうが、さて、どうでしょう。 

 その間、日本は経済成長少なき好景気です。国の無駄な投資
が激減します。バブルの経験があるから「慎重な投機」と、今
、予想も出来ない新しい画期的な「財、サービス」の出現で、
世界の先端を行くことになるでしょう。隣の国が同じ物を作ろ
うとしたら、もう、時代遅れだったとうことが頻発するでしょ
うね。日本版ニューエコノミーの始まりです。GDPの成長は低
くとも、元気な経済の出現です。人口減でリゾートは快適、道
路渋滞は緩和され、河川の水は澄み、都市部で生活しやすくな
ると思います。地方は活性化のため,さまざまな試みを始める
でしょう。それが、一種の「活気」へとなっていくように思え
ます。 
 活気に溢れる島国(中韓によると アジアのうんこ、鼻くそ
)に対し、特定アジアはどうなるでしょうか。今の土地投機に
もやがて終わりがあります。山高ければ谷深し、株価に遅れて
土地は下がります。スタグネイトした経済で13億の民はどのよ
うな行動をすることになるでしょうか。そもそもなぜスタグネ
イトしたのでしょうか??そこまで彼らは考えるのでしょうか
??日本を批判しても何も変化しませんから・・ 
 国としての適正規模があるとしたら、小さい方がいいですよ
ね。5000万人くらいでしょうか。大陸では、韓国の最大の貿易
相手国は中国です。彼らはアメリカより中国を重要に考え始め
ました。このあたりにキーがあります。 

 今年、靖国神社にいかれた若者が多かったようですね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(Fのコメント)
懸念事項もある。まずは、日本の財政赤字で、国家破産をする可能
性があることである。もう1つが日本周辺には紛争可能性があり、
その紛争に巻き込まれると、投資を呼び込めないことになる。投資
マインドがなくなることです。

さらに、日本人の倫理観が失われ始めたことでしょうね。倫理観の
裏には緊張感も必要で、デフレ経済で生きていくには、それほどの
お金を必要としなくなっているために、若い人たちにその日暮らし
の気軽さが出てしまったように感じる。ここいら辺が気になること
でしょうね。

しかし、技術革新をどんどん進めないと、韓国や中国企業の追い上
げを食っているために、価格破壊が直ぐに起きることが分かってい
る。この価格破壊の寸前に撤退して、新規分野に乗り換えることが
できないと企業は継続できない。この危機感を企業は持ち始めた。
そこが日本の強みになっている。それと資本の蓄積ができて、新規
分野への投資が可能であり、ベンチャーで面白いことを発見すると
投資家が現れる状態にある。

そして、一番重要なのが日本や世界が解決しなければならない温暖
化や石油枯渇などの問題が多数あり、その問題解決のアイデアを日
本が出せる技術的な基盤を持っている。太陽光発電、マイクロ水力
発電、原子力発電などやリチウムイオン電池やハイブリット機構な
どの石油代替のための要素技術を押さえている。このため、課題の
解決目標もハッキリしている。後は技術的に勝算を持ったやる気し
かない。このやる気も中韓の追従で日本企業はやるしかないとの雰
囲気を感じる。

もう1つが、海外に出ている日本企業の投資が多くなっている。
この投資の見返りで日本企業自身はより利益が大きくなっている。
米国のトヨタ、ホンダが良い例である。それが懸念事項を相殺する
かどうかは分からない。

そして、最後に小泉首相の勝利で、日本の財政赤字問題が解決に向
かっている方向になっていると海外の投資家は見ている。今後も行
財政改革を進めて、日本の財政を健全な姿にする必要があるのです。

このことができれば、日本は再度、世界的な経済の主導権を握るこ
と出来るでしょうね。期待したい。
==============================
日本は課題解決のフロントランナーに   
   
 ヒートアイランド、高齢化、生ゴミ問題など−小宮山東大総長講演
 わが国は、居住地が狭くて人口が集中し、道路の舗装やエアコン完備という快適な生活
 空間を実現した結果、異常な暑さに見舞われるヒートアイランド現象に直面している。
 このため、エネルギー資源の効率的活用と問題を抜本的に解決するための社会システム
 が不可避となってきている。このほど、地球環境工学が専門の小宮山宏東京大学総長は、
 「意識改革が日本を動かす−現代教育に欠けるもの」と題して講演(主催・世田谷フォ
 ーラム)、「日本は課題解決のフロントランナーとなり、世界にモデルを提示すべき立
 場に立っている」と訴えた。
(山本 彰・世界日報掲載許可) 
従来のような模倣モデル不在
大学と社会の共同作業が必要

「動け!日本の教育」と題したパネルディスカッションで意見を述べる小宮山宏東大総長
1日、世田谷区・北沢タウンホール 
 小宮山総長は、まず、二十世紀にエネルギー消費が二十倍にハネ上がり、この膨張を反
 映して二酸化炭素が大気中に増え地球温暖化をもたらしている、と指摘。
 今回、米国や日本で強力なハリケーンや台風の来襲が相次いだが、地球温暖化により、
 大型の台風が頻繁に発生するという予測があり、今回の自然の猛威はこれと一致してい
 るとの見方を示した。

 技術の進歩により、より快適な生活ができるようになった半面、エネルギー消費は膨大
 になり地球環境の汚染が進んでいるわけだ。

 小宮山総長は、細分化された大学の学術を統合する「知の構造化」という概念を示しな
 がら、社会のニーズに向き合って課題解決に当たるべきことを力説。一例として、ヒー
 トアイランド現象を取り上げ、以下のように述べた。

 冷暖房のエネルギー効率をどれくらい高められるかは、理論で数値が決まっているが、
 一九九八年のベストのホームエアコンで4だった。これは成績係数と呼ばれ、一キロワ
 ットの電気だと四キロワットの冷暖房ができるということだ。

 今後、技術はまだまだ進み、来年には八キロワットくらいになろうが、これは、九八年
 に比べ電気の消費量が二分の一になるということだ。

 エアコンは、外から中に入ってくる暑い空気を外に出して冷やし続ける。だが、今の建
 材では極めて効率が悪い。家の断熱性能をアップして魔法瓶のようにすればよい。

 私は家でこれを実験している。家を三年前に建て替え、全部市販のものだが、建築士と
 相談して選んだ結果、前の家と比べ断熱性能が三倍に上がっている。エアコンと断熱性
 能がそれぞれ三倍アップすれば、冷暖房用のエネルギーは九分の一でよくなる。日本は
 エアコンの性能だけでなく、冷蔵庫も断熱性能が世界一だ。

 現在、東京ウオーターベッド計画がある。最近、東京では、三七、八度を超えないと暑
 いと思わなくなっている。三〇度を超えると暑いと思った昔より七、八度暑くなってい
 る。なぜこれほど暑くなっているのか。

 一つは道路をアスファルトやコンクリートで覆ってしまっていることだが、最大の理由
 は冷房による室外機の影響だ。東京電力がその管内で、夏の一番暑いときには、冷房に
 40%の電気を使っている。

 室外機の熱は、使った電気の四、五倍あり、風呂や自動車の燃焼熱など、すべての熱エ
 ネルギーの88%を占めている。

 ウオーターベッド計画は、室外機の熱を大気ではなく海水に入れてしまうというもの。
 そうすると東京23区で発生する人工熱が10%にまで縮小する。だいたい戦前の夏の
 暑さに戻るということだ。

 具体的には、直径3メートルくらいの本管を東京二十三区の主要なところに配管、その
 ほかは枝管にし受益者負担で運営する。本管を通すのに必要なお金は約三兆円。一メー
 トル当たり約五百六十万円となる。

 この計画は、だいたい十年掛かりなので一年だと三千億円だ。今、公共投資は日本で八
 兆円。東京の気温が七度下がるなら三千億円は安いと言える。

 小宮山総長は、以上のようにヒートアイランド問題への対応策を説明した上で、「ほか
 にもやるべき社会システムの改革がある」と語った。

 小宮山氏は、「社会システムは、やはり先進国が作る。その時に何が必要かというと、
 それを進める知恵と全体を考える気配りと勇気を持った人材だ。理論と実例をキャッチ
 ボールさせ、大学と社会とが共同作業で育てていくことが必要だ」と指摘。

 ヒートアイランドは、人口密度が高くて、文化レベルの高いところに生じる。従って、
 やがてこれは欧州でも、中国、インドでも直面する課題となってくる。生ゴミや高齢化
 の問題も同様だ。

 日本は、かつて、欧米のシステムを取り入れて近代化を進めてきた。だが、いま直面し
 ている課題は、どこを見渡しても解決のモデルがない。

 小宮山総長は「人口密度が高く高齢化が進むというのは地球の未来像」とし、「日本が
 成功すれば世界のモデルになる。日本がモデルを作って行く覚悟が必要であり、大学も
 役割を果たして行きたい」と指摘。そのために、東大総長として任期がある今後四年間
 に実施予定のアクションプランを紹介した。

 第二部は、同フォーラムを主宰する鈴木淑夫・経済学博士の司会で、世田谷区立松沢小
 学校の酒井真理子校長、私塾啓明会学院の笹田哲夫・学院長を交えたパネルディスカッ
 ションとなり、子育てや学習意欲について活発な議論が行われた。

 新たな社会システムの実現には、難題も横たわっているが、日本が世界のフロントラン
 ナーである自覚を持つことが、学校教育にもプラスの効果を与えることは間違いない。
     Kenzo Yamaoka
==============================
【正論】首都大学東京学長・西澤潤一 科学の創造性損なう倫理観の乱れ   
   
 例えば引用先明示せぬ自殺行為  ≪広がる科学者の守備範囲≫
 ようやくにして創造的科学技術が国の経済力を決めるといわれるようになってきた。日
 本は資源がなく、人件費の高い国なのだから、通常の製造物を輸出する経済は成り立た
 ない。他所で造られていないもの、欲しいと思われるような製品を作り出し、世界の需
 要に応えてゆくことが、日本の製造産業の基本的なやり方でなければならない。

 ただ、従来の工業のあり方だけでは収まらず、周辺にいろいろと心配りをしなければな
 らなくなってきた。例えばエジソンが直流発電で始め、後にテスラが交流発電で成功し
 た電線による送電システムは、人類史を大きく変えるほどの大発明だった。だが年を経
 るにつれエネルギー消費を急増させ、特に火力発電の比重が高まると、炭酸ガスの大量
 発生が地球温暖化の元凶として人類の将来に大きな影を落とす結果になっている。

 科学技術上の諸問題が解決し、世の中が飛躍的に便利になると、それに伴い、いろいろ
 と規制の必要もでてくる。やがて人間関係まで含めた対策も考えなければならなくなる。
 われわれ科学者はいち早くそうした問題点を発見し、解決策を先回りして考えてゆかな
 ければならない。

 先日、敬服する評論家の櫻井よしこさんが「多くの社会問題を起こしているIT(情報
 技術)など採用すべきではなかった」という趣旨で発言されたという。だが、正しく使
 えば人間の能力を数千倍にも増強できるITに背を向けることは、国際経済競争を諦め
 ることで、日本経済の破滅に通じることにもなりかねない。したがって、IT導入によ
 る社会問題の発生を法的にはもちろん、個人個人の倫理に訴えて事前に防止し、立法化
 を促進することは当然のことである。これができない国はITの採用を諦めてもらわね
 ばならないことは櫻井さんの指摘される通りである。

 ところが現在は、この点が不透明なのである。優れた技術は正しい倫理観を持った人で
 なければ使うことを許してはならない。筆者の心配するのは、その規範を守る中心であ
 るべき学界の倫理までが乱れに乱れていることである。しかもそれが日を追ってひどく
 なってゆくように思える。

≪ルールあってこその繁栄≫

 大体、正しいことを守るべきはまず法曹の人であり、ついで学者、そして教育者ではな
 いだろうか。教育者は子供のころから社会人となったときにちゃんと社会の倫理を守っ
 て社会の繁栄のため協力してゆけるよう教えていく。だから法律的にいろいろ規制も設
 けて社会倫理に背かないようにしていることが多い。

 甚だしきは国教以外の宗教の禁止で、そうした例も少なくない。今も元首の就任式を国
 教に基づいて行っている国は多い。特定宗教に偏ることを厳密に禁止している日本のよ
 うな国はむしろ例外的存在である。日本では差別されていると訴える宗教の信者が、自
 国では堂々と他の宗教を差別し、国王や大統領の就任式もその国の国教で行うのである。
 日本は自分たちの倫理観の源としての宗教をしっかり主張するという初歩すら実行でき
 ていない。

≪危機放置の先行きは滅亡≫

 だからしようがないというのかもしれないが、学術成果だって誰が何をやったかという
 ことすら正確に書かれていない。学術の世界ではその生命である創造性つまり発明や発
 見というところに当然重みがあるから、論文の最初には必ず要領よく正確にこの項を書
 くことが規定されている。

 それなのに論文標題に妙な限定をつけることによって引用の義務を回避する。堂々と無
 視する暴力犯もいる。引用するような雑誌に発表してないからといって引用しない。

 見事に学者倫理を守って学術の効率的発展を続けている英国の学者に聞いたら、文献に
 書いてなければ論文の中で「〇〇教授に教えていただいた」とでも書くとの言葉だった。
 重要なアドバイスなら共著にすべきなのだが、日本などでは全くそんな常識はなくなっ
 てしまった。

 結果として効果的なアドバイスも、有効な討論も行われなくなってしまう。当然、研究
 効率は落ちる。学会発表も存在意義を失うとまではいわないが、少なくとも著しく意義
 は低落してしまう。

 最新の研究成果を少しでも早く生産現場に生かしたい産業界にとっても自国の学会でい
 い論文が発表されなくなれば、打撃である。安心して後進に研究をやらせることも困難
 になり、研究効率も著しく下がる。国の力が下がる。人類の危機を迎えても、誰も気付
 かず、対策も講じないというのでは、人類は滅亡するほかないということになる。(に
 しざわ じゅんいち)産経新聞
      Kenzo Yamaoka
==============================
今こそ尊厳ある死を考える時   
  
 安らかな終末期を迎えるために/日本尊厳死協会北海道支部長 秋山隆二氏に聞く
無理な延命治療に疑問/遺言書に従い自然死
医療費や家族への負担軽減/必要な尊厳死法の制定

 近年、健康や病気と並んで「死」をテーマにした話題が増えている。高齢社会が進む中、
 おのずと「死」に対する関心も高まってくるわけだが、これまで「人生の終末期の迎え
 方」についての議論はそれほど多くなかった。そうした中で日本尊厳死協会は「人生の
 終末期においては人間らしく尊厳ある死を迎えること」を提唱、会員および賛同者は年
 々増加しているという。そこで、「尊厳ある死とは何か」「今なぜ尊厳死なのか」「理
 想的な死に方とは何か」などについて、同協会北海道支部長の秋山隆二氏に聞いた。
 (聞き手=湯朝 肇・世界日報掲載許可)

 ――安楽死と尊厳死はどう違うのでしょうか。

 尊厳死とは人間の尊厳性を保ったまま、最期を迎えようということです。誰でも人は静
 かに安らかに逝きたいと願うのですが、最近は東西を問わず、それが難しくなっていま
 す。

 医学の進歩によって延命治療の技術が向上し、無理やり命を引き延ばすことが可能にな
 っています。例えば、呼吸困難に陥ったら人工呼吸器をつけて酸素を肺に送り込む。終
 末期になると、のどを切開して人工呼吸器で酸素を送る。物が食べられなくなると、鼻
 から管を入れて胃に流動物を流し込む。さらには、おなかに穴を開けて直接胃に流動物
 を入れて延命させることさえ行っています。

 オシッコが出なくなったら尿道に管を入れて取り出すなど、身体中が管やコードだらけ
 で俗にスパゲティ症候群とも言われていますが、果たして、そこまで延命することが人
 間らしい生き方あるいは死に方なのかということなのです。

 それに対して、尊厳死とは高齢者の病が重くなり不治で末期と診断された場合には、無
 理な延命治療をせず、本人がしっかり意識のある時に医師に提示した尊厳死の宣言書
 (リビング・ウィル)に沿って措置してもらう死に方で、いわば自然死と言ってもいい
 でしょう。

 一方、安楽死は患者の苦しみを見るに見かねた第三者(医師や家族、看護師など)が患
 者に薬物などを投与して死なせることで、これは殺人罪になります。日本ではこれまで
 安楽死で裁判に訴えられたケースが八件ありますが、すべて有罪になっています。

 また、現在係争中の事件も三件ほどありますが、すべては医師と患者および患者の家族
 の同意が完全に取られていないところに問題があります。ところで、当協会には全国に
 十一万人の会員がおり、毎年かなりの方が亡くなりますが、尊厳死で訴えられたケース
 は一つもありません。

 ――日本尊厳死協会の前身は、日本安楽死協会として発足しておりますが、その辺の経
 緯はどうなのでしょうか。

 今から三十年前の発足当初、日本安楽死協会という名称をしばらく使っていたのは、当
 時尊厳死という言葉がなかったからです。その後、一九八一年にリスボンで開かれた世
 界医師会の会議で尊厳死という言葉が世に出て通用するようになり、二年後の一九八三
 年に日本尊厳死協会に改称したという経緯があります。

 ――尊厳死に理解を示す人は年々増えていると聞きますが、その背景には何があるので
 しょうか。

 一つは、高齢社会の到来が挙げられます。かつて日本人の平均寿命は六十歳前半でした。
 ところが、最近は男性が七十八歳、女性は八十五歳です。昔は男性は定年を終えると、
 数年以内に“お迎え”がやってきたのですが、今は還暦を過ぎても、古希を過ぎてもな
 かなかやってこない。寿命が長くなった分だけ生き方あるいは死に方を考える時間的、
 精神的余裕が出てきたと思われます。

 それから、私事でありますが、葬儀委員長などを頼まれていろいろな人の死に顔を拝見
 する機会があるのですが、延命治療を受けた方の顔は決定的に苦痛に満ちています。苦
 しかったのだろうなという思いがわいてくるのですが、これに反して老衰で逝かれた方
 は仏様のような顔をしています。

 そういうケースを見ると延命治療はいかがかなと思いますが、そうした延命治療に対す
 る批判を含めて死への関心が高まったのが、背景にあるのではないでしょうか。

 ――よく「ぽっくり死にたい」という人が多いのですが、理想的な死に方と言えるので
 しょうか。

 長野県にPPK運動というのがあります。これは、「ピンピンコロリ」の略称ですが、
 普段の生活は「ピンピン」していて、逝くときは「コロリ」と死にたい。長患いはしな
 いということです。しかし、なかなかそうはいきません。コロリと死ぬには、病名で心
 筋梗塞(こうそく)か、脳出血、脳梗塞くらいですが、そのためには日ごろから血圧が
 高くし、運動もせず、ストレスをためて一日何本もたばこを吸うというような生活をし
 なければそうはなりません。しかし、それでは不自然です。もっといえば、旦那(だん
 な)さんが急死すると、後に残された奥さんをはじめ家族の者が大変で、私はPPK運
 動が理想的な死に方とは思えません。

 一方、尊厳死は理想的な死に方の一つになるといえます。尊厳死を望むには尊厳死協会
 に入り、リビング・ウィルに署名しなければなりません。そこで三つの項目に同意する
 必要があります。まず、一つ目は、患者が現在の医学では治せない状態になり、末期に
 なった場合、延命措置はやめてほしい。二つ目は、ただし、苦痛を和らげる鎮痛措置は
 できるだけ施してほしい。三つ目は、数カ月以上にわたって植物状態となり、回復の望
 みがないときは、延命治療(生命維持装置)は止めてほしい――といった内容に同意す
 ること。この中で、苦痛を和らげる鎮痛措置については医療技術はかなり進み、ペイン
 クリニックや麻酔科の設置など尊厳死を後押しする好材料となっています。

 ――尊厳死に関する法制化の動きがあると聞きますが。

 先進国では尊厳死法、自然死法などが制定され、尊厳死は当たり前という風潮になって
 います。今年四月にフランス議会で尊厳死法が可決しました。ところが、わが国では具
 体的にどういう要件を満たせば延命治療の中止が可能なのか、という国のガイドライン
 がありません。したがって、医師によっては延命治療を中止する法的根拠がないため、
 尊厳死に対して躊躇(ちゅうちょ)せざるを得ない状況に置かれているわけです。

 ただ、そうした中で、法律上の判断として一九九五年の東海大学付属病院事件の横浜地
 裁判決で「治療中止の三用件」が示されました。それによれば、@患者が不治で末期に
 あることA治療中止を求める患者の意思表示(家族の推定でも足る)B自然死を迎えさ
 せる目的で行う――となっており、尊厳死の理念をほぼ含んでいると評価しています。

 一九九四年には、日本学術会議でも「積極的に尊厳死を認めるべきだ」という答えが出
 ており、かなり尊厳死に対する理解が医学会、法曹界で深まっている中で、現在、百人
 の衆参議員による尊厳死法制化の準備を進め、法律案もほぼ作成されて国会に提出する
 段階となっています。

 前述した通り、日本は世界一の長寿国です。モノも豊かで医療技術もトップレベルにあ
 ります。保険医療制度もかなり整備されていますが、高齢化は社会に喜ばしいことばか
 りをもたらしているわけでもありません。また、患者の個人の尊厳性が保たれているわ
 けでもないのです。尊厳死法の制定はそうした不治、末期の患者の意思を法的に反映で
 きるようにしようという趣旨があるのです。

 あきやま・りゅうじ 大正15(1926)年、北海道小樽市生まれ。札幌市厚別区在
 住。昭和24年、北大農学部卒。同年、北海道新聞社入社。60年、同社役員、平成3
 年、同社顧問。5年、日本尊厳死協会北海道支部長に就任、現在に至る。このほか札幌
 市教育委員会主管の生涯学習講師の会会長、社会福祉法人札幌報恩学園理事など多数の
 公職に。趣味は園芸。無農薬有機栽培。
       Kenzo Yamaoka

コラム目次に戻る
トップページに戻る