2126.日本国の刷新・再生



◯ 「日本国の刷新・再生」(38) ―21世紀研究会― (nss0509.txt)
                     n21cq@yahoo.co.jp
★ 『保守と革新、政党の欠陥、日本の政治体制を探る』★

★ 『要旨』
 1、今回の衆議院選挙では、保守(守旧)と革新(改革)が入り乱れ、焦点
を絞った方が勝った

 2、二大政党制も多党化も、共に「落とし穴」が多い

 3、政党の「黨」は「黒=悪」に堕落し易い、国会議員が首相(行政)を直
接制御できる三権分立のシステムに移行すべき

 4、議院内閣制(大臣も国会議員)と大統領制の欠陥は、共に大きい

 5、財政窮乏の日本は、愛国無私の賢人をリーダーとし、カネのかからない
政治体制にすべき


★ 『本文』
◇ 1、今回の9.11衆議院選挙では、小泉自民党が革新(改革)を叫び、民主
・社民・共産の各党、及び「反対組」(旧自民党の郵政民営化反対派)が、保
守(守旧)を選択しました。

 1-1、議席数と得票率(比例分)を共に上伸させたのが、小泉自民党(212→
296議席、34.96%→38.18%)と社民党(5→7議席、5.12%→5.49%)です。小泉
自民党は『改革に賛成か反対か、改革を止めるな』、社民党は『平和とくらし
、憲法9条を守れ』に焦点を絞り、極めて分かり易い戦略を採用し勝利しまし
た。

 1-2、民主党及び「反対組」は、法案自体に反対し、又は郵政システムを変
えない「守旧」を選択しました。旧来の地盤(官公労組/郵便局長OB会等)
に固執し、曖昧な複数の論点を唱えて、無党派層等の信頼と期待を失いました
。民主党(議席数177→113、得票率37.39%→31.02%)及び「反対組」(議席数
37→18)は、共に惨敗しました。

 1-3、日本の有権者は、大筋で「改革」(Change)を選択したことになりま
す。都会の若者にとっては、過疎地の郵便局の存在有無に、全く関心がありま
せん。ところが、国民大衆が、焦点を絞った「ワンフレーズ」に弱く、その場
限りの信念のない投票行動に靡き易く、十分な注意が必要です。

 1-4、『コロシアム(円形闘技場)の殺し合いゲーム(刺客・落下傘・くノ
一)に心を奪われ、小泉マジックに幻惑された』との有識者の指摘を念頭に置
くべきです。民主主義は、邪悪な独裁者を産む危険を内包しております。カエ
サル・ロベスピエール・ナポレオン・ヒトラーのいずれもが、独裁者の道を選
び中途で挫折しております。

 1-5、「保守」が自民党で、「革新」が共産党・社民党という、既成概念は
通用しなくなっています。世界情勢の変化に合わせて、日本自体が「変革」し
て行くことが必要です。


◇ 2、二つの均衡する勢力(国家群間の自由主義と共産主義、政党間の共和
党と民主党)を闘わせ、双方の勢力に富と財力(闘争費用)を消耗させ、漁夫
の利を得ようと、長期にわたって画策実行しているグループ(陰の勢力)があ
ります。

 2-1、現在でも英国や米国は、二大政党制の策略(罠)に大きく翻弄されて
、精力を大きく消耗しています。日本人には、二大政党制に憧れる人が非常に
多数にのぼっています。しかし、二大政党制は、独裁を防ぐ等の幾多の長所を
持っておりますが、欠点(陰の勢力に翻弄され、最後に実質支配権を奪われる
こと)の方を、熟知して置くことが肝要であります。

 2-2、欧州の仏国・独国・伊国等は、二大政党制ではなくて、多党化の傾向
にあります。今回の独国の選挙は、大の2政党と小の3政党となりました。ダ
ントツの政党が無く、政権は複雑な組み合わせの連立となります。

 (注) 党 名             2002年     2005年9月
キリスト教民主・社会同盟     248・・・・225(減)
社会民主党                   251・・・・222(減)
自由民主党                    47・・・・ 61(増)
左派党                         2・・・・ 54(大幅増)
連合90・みどりの党        55・・・・ 51(減)

 2-3、多党化の欠陥は、離合集散が起こり易く、政権が安定し難いことであ
ります。また、一人でも多数の議席を獲得しようとして、各政党が国民大衆に
「甘いマニフェスト」を振りまき、財政支出が放漫になり易いと言えます。

 2-4、二大政党制も多党化も、共に「落とし穴」が多く、避けるべきシステ
ムであります。ぶっ壊す人(明治維新の西郷隆盛、戦国時代の織田信長、現代
の小泉純一郎氏等)と次を作る人(大久保利通・伊藤博文、豊臣秀吉・徳川家
康等)とは、異なります。


◇ 3、政党の党の本字「黨」は、「黒」つまり悪い連中を多数の人間が支え
担いでいる意味を表現する文字です。

 3-1、国民としては、政党を動かす人々は、「悪人」に近いという感覚を前
提に対応する必要があります。個々の政治家が、人格識見ともに立派な人材で
あったとしても、集まって「政党」を組織すると、「黒=悪」に堕落する可能
性が高まります。

 3-2、政党の結成を一切認めず、個々の国会議員が、政府(行政)を直接に
監督・制御するシステムが切望されます。個々の議員が、政党の「公認」にし
がみつき、また大臣病(大臣になりたい一心で、政治信念を曲げる)にかかる
と、完全に無力化され、邪悪な独裁者出現の恐れが高まります。


◇ 4、首相(行政府の最高権力者)を国会(立法府)に於いて選任すること
には賛成です。しかし、大臣の大多数を国会議員から選任する現行の「議院内
閣制」は、各議員が、首相にひれ伏しその下僕(言いなり)となり易く、立法
府と行政府が混然となり、三権分立の精神と効果が失われます。

 4-1、大統領制は、三権分立の精神が保たれ、日本でも相当多数の賛同者が
あります。しかしながら、米国の例を見ても明白な通り、大統領選挙には、莫
大な経費を要し、立候補者個人で負担可能な金額では到底ありません。必ず、
「陰の勢力」等の応援の手(資金提供)が及んで来ます。当選した大統領は、
恩返しをせざるを得ない羽目に陥ります。これは不健全な支出の発生となり、
売国奴の発生余地を高めます。

 4-2、議院内閣制(大臣も国会議員)と大統領制はともに欠陥が大き過ぎ、
反対せざるを得ません。首相だけを国会で選任する「議院首相制」を作るべき
と考えます。


◇ 5、日本は財政窮乏の真っ只中にあり、カネをかけずに、効率的な立派な
政治をする必要があります。もちろん国会議員の抜本的な縮減(700人余を200
人前後へ削減)は必至であり、参議院を廃止して衆議院一院とすることも、当
然に視野の内です。

 5-1、欠員の補充は次期選挙の時とし、中途の選挙は一切してはなりません
。選挙コストの削減もありますが、国会議員は、地元(選出基盤)のための議
員でなく、日本全体の為の議員たることが当然であるからであります。

 5-2、首相には、愛国無私の(日本を心底から愛し、私利私欲を捨て去り、
特定の勢力と無関係で、売国奴でない)賢人を選任すべきであります。更に、
絶対的な任期(2期8年)を厳守し、同一人の次なる選任には、最低8年を空
けるべきと考えております。

(nss0509.txt完)
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「良い国日本の再興」 日本戦略の研究会(日戦略研)
  2005年09月第3週                 npslq9@yahoo.co.jp


★ 本日の表題
・ 石油をネタにした世界支配の暗闘が、米国を軸に続いている――米国のイ
ラク占領後のもたつきは、米国と有志同盟国間の亀裂を呼び、露国に漁夫の利
と逆襲のチャンスをもたらしている、日本の対応如何?―
・ 枝葉末節を論じて大局観を失うな――壊し屋小泉氏の後釜が肝要―
・ 道路は無料であるべきだ――高速道路の無料化は可能―



★ 表題: 石油をネタにした世界支配の暗闘が、米国を軸に続いている
 050920        担当: キャサリン・クー cc3ln@yahoo.co.jp

◇ 米国の戦略は、中東を支配し石油資源を確保する、更に中東→Chinaの原
油の流れをコントロールし、Chinaへの石油供給中断をも可能にする、という
ものであります。

◇ イラク(サダーム政権)と油田開発の権益を持っていた仏国・China・露
国等は、これに反発し、United Nations安保理の会議が紛糾しました。

◇ 米国は「イラクに大量破壊兵器がある」「フセインはアルカイーダと繋が
っている」と叫んで、イランを占領しました。しかし、その後の統治のもたつ
きによって、米国のイラク戦争に同調協力してきた有志同盟国は、石油の分け
前をもらえる可能性が殆ど無いと分かって来たため、次々イラクからの撤退を
始めています。

◇ 米国は、イランをも支配したい意欲(野望)を持っているやに窺えますが
、イラン侵攻には、有志同盟国の協力が期待できないと思われます。一国で戦
争(侵攻占領)するには、財政的にも荷が重すぎると推測しております。

◇ 米国は、旧ソ連圏のグルジア・ウクライナ・キルギスで親米政権を樹立し
、China監視と締め付けを意図しました。しかし、これらの諸国は、米国追従
のメリットが薄いため、親米政権が現在崩れつつあります。

◇ この間、石油価格が暴騰し始め、産油量豊富な露国は、輸出代金の膨張で
、思わぬ「漁夫の利」に浴しています。この間、米国は財政/貿易の赤字増大
に、ハリケーンが加わり身動きが取りづらくなっています。

◇ 露国は、1990年代初頭の米国示唆と指導による「経済改革」の失敗に懲り
て、プーチン氏は、Chinaと合同軍事演習をする等の方策で、米国への逆襲の
チャンスを密かに狙っています。

◇ 日本は「小泉解散」で大騒ぎをして、国際政治/情勢の変化に対応する適
切な施策を放置しています。エネルギー戦略を中心とする「国家方針」(日本
丸の進路)の確立を怠っていると言わざるを得ません。

◇ 先般の各党のマニフェストを見ても、将来の「エネルギー戦略の具体性」
が全く不明確且つ不透明であります。イラクのサマーワ自衛隊駐屯が、日本の
中東からの石油確保に如何なる効果を持つのか?。中東からの石油シーレーン
を護る日本国家自体の対策を、どう構築するつもりなのか?。政府も各党も見
解(対応策)が見えて来ません。

◇ 石油輸入量激減/石油価格暴騰の心構えと対応策(例、水素核融合発電の
実用化、自動車用新燃料=水素/アルコールの開発)を放置するつもりですか
?。石油を巡る世界支配の暗闘を指をくわえて眺めているだけでは、日本の再
生再興は到底望めず、エネルギー不足による国民生活と国力の壊滅的な低落を
招きます。




★ 表題: 枝葉末節を論じて大局観を失うな
 050920   寄稿: 縄文塾 中村忠之 joumontn@ms4.megaegg.ne.jp

◇ 9月11日の小泉劇場は予想されたとおり、予想を超える大好評のうちに終
演しました。いろんな批判はあったものの、今まで政治に無関心だった一般民
衆の目を確実に惹きつけ、「高い投票率」をあげたことは、最大の貢献として
素直に認めていいのではないでしょうか。

◇ 今回の選挙の期間中気になったことは、保守論客から思いがけないほど、
きびしい小泉批判の声の多さです。いままで尊敬し共感を得てきた多くの識者
からの反小泉説には、一抹のさみしさと失望を感じました。たしかに小泉さん
には靖国問題・拉致問題をはじめとする外交姿勢など、共鳴できない部分も多
くありますが、なにもかにも一緒くたにしての批判は納得できません。こうし
た小泉糾弾の真意はどこなのか、冷静に考えてみなければなりません。

◇ たとえば(江の傭兵と結託して)教科書検定基準として屈辱的な近隣諸国
条項をもうけるという大罪を犯した「ET宮沢」、Chinaのくノ一を抱かされ、
また大蔵省と結託して金融ビッグバンを拙速に実施し、特大バブル崩壊を招い
た「ポマード橋龍」、国務を気楽に投げ出した「ご乱心殿様細川侯」、水と油
の社会党から村山党首を首相に担いだ当時の自民党首脳などなど、かずかずの
確信犯が招いてきた罪など一切合切を、「自民党(旧体制)をぶっ潰す」とい
って登場した小泉さんにすべてを押し付け、彼の失政のごとく糾弾するのはい
かがなものでしょうか。

◇ 三国志に魏の曹操を評した「治世の能臣 乱世の梟雄」という言葉があり
ます。いまという第2の敗戦に擬すべき乱世において、小泉さん以外に腕っ節
と度胸それに不退転の意志を持って日本の国難に対応できる人材がはたして存
在したでしょうか。特に代替案なくして批判のみでは論ずるに足りません。

◇ 郵政民営化反対論を声高に言い募る人たちは、幕末に当たっていまだに旧
来の陋習を守り鎖国・攘夷を叫ぶ幕臣そのままであります。「尊皇攘夷」を叫
んだ勤王の志士たちはいちはやく時流に適応し、攘夷を捨てて文明開化の道を
選び、「士魂商才・脱亜入欧・富国強兵」の道をひた走ることで、今日の日本
の基礎と地位をつくり上げました。

◇ 今回の郵政改革の反対には、郵貯の自由化と郵便局存続の2面があります
。財政投融資でここまで郵貯をおかしくしたのは、日本各地に数多くの有休設
備を乱造したのは(亀井さんを筆頭とする)郵政族や国土省族であって決して
小泉さんではありません。またハゲタカファンドを呼び寄せたのは、前述橋龍
さんと大蔵省の無能官僚の愚策にあります。

◇ その後10数年も経過したというのに、いまだに「郵貯を民間に移行すれ
ばハゲタカファンドに毟り取られる」という、相も変わらぬ後ろ向きの発想は
いかにも自虐的であります。いまだに歴史・経験に学ぶことなくハゲタカファ
ンドに敗退するような金融機関であれば、さっさと解体され倒産してしかるべ
きです。

◇ かつて日本は、江戸時代欧米に先立って堂島の米相場に先物取引というリ
スクヘッジ・システムを導入しました。郵貯もまた自由化によって日本人の新
しい可能性を触発されるべきであって、いたずらに過保護による甘えの構造、
幼児性思考による温存の道は避けるべきであります。

◇ 郵政民営化に反対することは、「不明朗きわまる財政投融資をそのまま放
置した方がいいのか」ということに繋がります。某氏曰く「(340兆といわ
れる)国民預金はすでに消えてしまったかも〜」
 一日もはやく財政投融資の全容を明らかにすることに、国民は大合唱を挙げ
るべきであり、これは当然自由化問題と同時に実行する必要があります。

◇ もう一つ郵便局存続の問題ですが、ビッグバン以来民間の既得権益を解消
するとして、許認可事業であった「米穀・酒販・薬局」を自由化することによ
って小規模店が瞬く間に消滅してしまい、駐車場完備の量販型ストアーに取っ
て代わられました。許認可事業に関係のない一般の小規模商店を含めた民間業
者の運命は座視したままで、なぜ郵便局の民有化のみを問題視するのでしょう
か。そこには相も変わらぬ「官尊民卑」の思想を見て取れます。

◇ いまや数百メーター離れた駐車場のない郵便局よりも、少し離れていても
駐車場のある所を選ぶのは自然の成り行きです。過疎地にしても、ずっと身近
な生活必需品購入の方が(郵便よりもはるかに)重要であって、そうした店や
農協とのタイアップをはかれば充分生き残れるはずですし、最終的には政府の
援助も約束されています。

◇ 今回の民営化には一定の準備期間を設けております。いまこそ明治維新に
おける国家的英断に学び、決して鎖国的行為を選ぶべきではありません。郵政
改革の裏にはアメリカ政府の強制があるといわれますが、かつて日本が外圧に
よらず自発的に改革に取り組んだことがあるでしょうか。得手勝手な外圧だと
知った上で、むしろそれを奇貨として改革に着手するべきであります。

◇ 小泉さんは、少なくとも権益擁護・利益誘導という自民党の(橋本派・亀
井派に代表される)派閥をぶっ潰しました。かつての派閥の領袖(堀内氏)や
、総理候補の橋本派藤井氏・野田氏・平沼氏さえも容赦なく切って捨てたので
す。風通しのよい若者中心の自民党に再生するとき、ようやく明るい未来が見
えてきます。そうなると民主の若手と帯同して、あらたな政界再編成の機運が
高まることでしょう。

◇ また小泉改革の進捗度の遅さを問う声もあります。国家的事業という大き
な船は急に舵を切ってもすぐには進路を変えられませんし、切りすぎて転覆と
いう危険もあります。要は急速な変化よりも、舵を切ったかどうかを問うべき
ではないでしょうか。

◇ ある識者は、小泉さんを熱狂して迎える大衆のことを「愚衆」と切って捨
てています。しかしながらトータル的民意では、決してブレないのが日本の国
柄であります。たとえば溺れている人と救助代を交渉するというお隣China、
カテリーナ台風で逃げ遅れるような貧困層を放置した上、略奪が続発し抵抗し
たら容赦なく射殺せよと命じるようなアメリカに比べて、日本という国柄のう
るわしさは、阪神・新潟の大震災を見るまでもなく、世界に突出したものだと
いわねばなりません。いたずらに民意を蔑むのは避けるべきではないでしょう
か。

◇ 私たちがいま真剣に考えるべきことは「ポスト小泉」であって、「改革」
が後戻りしないために、「後継者を誰に〜」ということを充分視野におく必要
があります。「壊し屋小泉」の後には、正しい国家観を持ち、教育・外交・農
工業など国家の根幹的政策構築に真摯に取り組む優れた人材を選ばねばなりま
せん。

◇ いま私たちが心すべきことは、「枝葉末節にとらわれず、各自大局観をも
つべきだ」と言うことではないでしょうか。




★ 表題: 道路は無料であるべきだ――高速道路の無料化は可能―
 050920             担当: 菅 貞蔵 kntz0@yahoo.co.jp

◇ 「道路を無料」にするのは、交通運輸コストを大幅に引き下げて、国際競
争力を付けるためです。民営化で多少料金が下がった位では、殆ど役に立ちま
せん。諸外国の高速道路は、殆ど全部「無料」であります。

◇ 交通量の少ない地方の場合、インター(出入り口)が少なく、短距離移動
の利便性に欠ける高速道路より、国道や幹線を車線・交差点・信号の充実改善
で効率化を図った方が、遙かに地元の利用者に喜んでもらえます。立体交差中
心の高価な高速道路の建設を本当に希望しているのは、族議員(国会・地元)
連中と土建関連企業であります。

◇ 道路公団の収支と資産内容は、現状(平成16年度2004.4.1〜2005.3.31)
では健全と言わざるを得ません。収入1兆8400億円に対する費用は7512億円で
あり、収支差の1兆0888億円が償還準備金(高速道路の建設に投下された資金
の償還に充当)に繰り入れられています。

◇ 道路公団の平成16年度、全体の収支率(100円の収入を得るために必要な
費用)は、「41」と相当の高収益事業体です。(管理費3682億円+金利3829億
円)÷収入1兆8400億円×100=41と計算されます。

◇ 道路公団の営業中道路資産総額は33兆5369億円ですが、現在までの償還準
備金の累計が13兆4099億円(資産総額の40%)あり、残余の要償還額は20兆127
9億円(資産総額の60%)となっております。

◇ 道路公団の収支と資産内容を民間企業並みの損益計算書に組み直して、チ
ェックしても、大勢に影響がありません。平成16年度の場合、営業収益1兆973
8億円営業費用1兆0939億円、営業利益8799億円です。純利益が2963億円となっ
ていますが、繰越利益1兆7611億円を加算すると未処分利益が2兆0575億円に達
しています。子会社・孫会社を勘案すれば、格段に儲かって来た筈です。

◇ 道路公団が、今後、族議員や土建企業の野望を断ち切って、利用者の少な
い地方(僻地)の非効率路線の新設を、殆ど中止/放棄すれば、健全な経営が
継続可能と推定できます。道路公団を民営化しても、非効率路線の新設を続け
れば、収入経営の悪化は必至の状勢です。民営化後の道路公団の株式を外資に
買い占められる危険も発生します。

◇ 道路を全面的に「無料」にすれば、道路公団は最大の収入源を失い、自然
消滅か、革命的縮小(売店や清掃事業等が残ることも?)となります。『道路
を無料にすれば、高速道路を利用しない人が損をする』との論を唱える有識者
があります。しかしながら、高速道・空港・港湾・鉄道等の公共設備の相当多
数は、全国民が一律に利益を享受できない性質のもので、やむを得ないと言う
べきであります。

◇ 前項の不公平を少しでも緩和するため、道路公団未償還額20兆1279億円の
債務は、これまで公団の企画・推進・建設・存在によって、不当ともいえる利
得・収入を得てきた議員・役員・企業・組織・団体・一般職員等に対して、過
去の不正/不適正処理を徹底的に暴きつつ、できる限り負担させます。

◇ 民営化後も公団存続を支持し叫ぶ人は、当該道路公団の借金全部を連帯し
て背負うこととします。最終的に処理できない分は、国家で負担せざるを得ま
せんが、日本の将来の国際競争力確保の観点から、「道路は無料」の戦略を推
進すべきであります。

(2005年09月第3週完)
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【正論】「自民圧勝」を読む 明治大学教授・入江隆則   
   
 機は熟した超党派での改憲発議
自民案軸に国会で迅速な審議を


≪常識的で自制的な叩き台≫
 第四十四回衆議院選挙で自民党が歴史的勝利を収めたことで、自公与党が三百二十七議
 席となり、総定数の三分の二を超えた。現憲法の第九六条によれば、憲法改正に際して
 は「各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会がこれを発議」することになってい
 る。その条件は衆議院に関しては、完全に満たされたことになる。

 一方、参議院の目下の勢力を見ると、自公合わせて百三十八議席で、三分の二にはまだ
 二十二議席足りないが、憲法改正は本来超党派で提起するものであろうから、一部民主
 党議員の賛成が得られれば、この条件はクリアされることになる。鳩山由紀夫氏など民
 主党には根っからの改憲論者も多く、その人々を巻き込んで、超党派で憲法改正をする
 ときが、今や来たのではないだろうか。

 折も折、今年の八月に発表された「自民党憲法改正草案原案」は、各方面からの批判に
 さらされてはいるが、評価すべき点も数多い。今後の議論の叩き台としては十分に役立
 つものである。

 たとえば「草案原案」では、第一章に天皇を置くという正統的な立場に立っている。読
 売新聞社試案など、これまでの幾つかの試案が、天皇を第二章に置くという不見識さだ
 ったのに比べ評価できると思う。また、安全保障の問題についても、「国際紛争を解決
 する手段としては」「戦争その他の武力行使又は武力による威嚇を」「永久に行わない」
 とした上で、「侵略からわが国を防衛」するためには「自衛軍」を保持できるとしてい
 る。

 また現に行われている自衛隊の国際貢献を念頭に置いたものと思われるが、「国際的に
 協調して行われる活動」には「主体的かつ積極的に寄与」するとしている。これらは総
 じて常識的かつ自制的な考え方であり、大方の国会議員と国民の賛同を得られるのでは
 ないかと思う。

 国家の宗教活動についても、現憲法が第二〇条で「国及びその機関は(中略)いかなる
 宗教的活動もしてはならない」と切り捨てているのに対して、「草案原案」では、これ
 に「社会的儀礼の範囲内にある場合を除き」というただし書きを付け加えている。

≪呼称と文体も論議尽くせ≫

 第八九条の「公金その他の公の財産」に関する条項にも同じ文言が書き加えられている。
 これによって政府関係者が神社仏閣に参詣する際に、公費の支出を可能にする道が開け
 ることになる。

 また、いわゆる私学助成についても「国若しくは公共団体の監督が及ばない慈善、教育
 若しくは博愛の事業」に対する公金の支出を制限するということになっており、私学が
 文科省の監督下にあると考えれば、これに対する助成を可能とする条項である。つまり
 総じて現憲法に関して指摘されてきた問題点はほぼ適切に改正されており、評価できる
 内容である。

 他方で、依然として疑問が残る問題としては、「草案原案」が天皇を元首と呼ぶのを躊
 躇(ためら)っていることや、国防軍と呼ばずに自衛軍と呼んでいるなど呼称の問題と、
 概して冗長な文体の問題がある。これは現憲法の翻訳調の文体や、戦後何かと口当たり
 の柔らかな呼称を好んできた影響だろうが、ここはむしろ明治憲法の明晰(めいせき)
 さと簡潔さにこそ学ぶべきであり、それは今後十分、修正が可能だと思う。

≪国の歴史と精神を前文に≫

 あと残ったのは前文の問題であるが、これは決して現憲法の無国籍な観念論をまねては
 ならない。どこの憲法でもそうだが、前文に書き込むべきはまずその国の歴史であって、
 わが国の場合は三段階に分けて歴史を記述するのが良いであろう。

 まず第一には朝廷と幕府の並立に端的に現れてきたように、権威と権力との分離によっ
 て政治的安定を確保してきた古代以来の英知の伝統である。これはむろん十七条憲法の
 「和」の精神や、神仏二教を融合してきた精神にも通ずるものである。

 第二には明治の開国以来、「五箇条の御誓文」に見られる通り、広く会議を興して知識
 を世界に求め、非西欧世界で例外的に国家の独立を保持しつつ、近代化を成功させ、ま
 た人種の平等を推し進めてきた輝かしい歴史である。

 第三には戦後六十年にわたって平和で豊かな経済技術大国として世界に貢献してきた歴
 史である。これに若干、未来に向かっての理想と理念を付け加えれば、良い前文が書け
 るに違いない。

 主権回復以来半世紀の国民の悲願を実現するために、超党派での迅速な審議を望みたい
 と思う。(いりえ たかのり)
       Kenzo Yamaoka
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【正論】「自民圧勝」を読む ジェームス・アワー   
   
 政権強化で安定した安保環境構築を
経済改革にも最も戦略的な要素


 《楽観視はできぬ周辺環境》
 小泉首相が率いる「新しい」自民党は、九月十一日に行われた衆議院総選挙で圧倒的な
 勝利をおさめた。

 小泉首相の最優先事項は、日本経済の立て直しをはかるべく努力を続けることであるが、
 健全な日本経済を考える上で、極めて費用対効果が高く、戦略的にも最も必要な要素は、
 やはり安定した国家安全保障環境にあると思う。

 国防費がGNP(国民総生産)の1%以下というのは、ほとんどのどんな先進国の国防
 費に比べても少なく、また、日本が米国の核の傘の下になければ必要となるであろう費
 用よりも、はるかに少ないのである。しかし、日本は実際、GNPの1%以下の費用で、
 日本を取り囲む核を保有する三カ国の、核の威嚇から守られているのだ。

 このうちの中国と北朝鮮は、今日の日本にはすでに生存しない人々が決断した日本の過
 去の行為に対して、絶えざる批判を繰り返してさえいる。小泉首相は過去六十年の日本
 の行為について、中国に謝罪する必要など全くないと思う。それどころか、日中の友好
 関係を求める努力を誇りにしてよいだろう。

 だが、現在の日中間にある悪しき感情の最大の理由は、一九二〇年代、三〇年代の中国
 における日本の行為に対して日本が謝罪しないということにあるのではなく、今日の中
 国の政権体制の性格からくるものであるのだが、現在の中国政府は、それを認めようと
 しない。小泉首相は現在の中国政府に対しては、楽観視することなく現実的な見方をす
 る必要があろう。

 北朝鮮と同様、中国の現政権もまた、かつてのソ連や東欧の傀儡(かいらい)国家で失
 敗したマルクス・レーニン主義の遺物といっていいだろう。

 中国政府は、今やソ連はなくなってしまったのだから、日本や韓国の駐留米軍は必要が
 ないだろうと主張する。信じがたいことではあるが、最近の韓国には、分別あるべき人
 の中にも、そうした主張をうのみにしている人たちがいるのである。

 その人たちは、ロシアが長距離戦略爆撃機「ベア」や中距離超音速爆撃機「バックファ
 イヤー」の存在をしきりに「宣伝」した最近の中露による戦争ゲーム(共同演習)に、
 もっと注意を払うべきである。機会さえあれば、ロシアは喜んで、これらの爆撃機を中
 国に売り込むであろう。

 《日米の同盟強化の好機に》

 小泉首相が私と同意見ならば、首相は不必要に中国の反感を買うべきではないと思って
 いるだろうし、実際、首相は真摯(しんし)な態度をもって、そうしないようにしてい
 ると思われる。韓国の人々の中には、中国がアジアの覇権を握るのをみたいと思ってい
 る人がいるようだが、中国にそうさせることは、大変な間違いであると気づくべきであ
 る。

 経済安全保障と繁栄のため、また最も安上がりな防衛政策として日本に必要なのは、一
 九四五年以来、日本を戦争から遠ざけてきた日米同盟を堅持することである。日本の支
 援があれば、日米同盟は二十一世紀の平和と繁栄を持続する最大限の機会を得ることに
 なろう。

 中国政府を知る一番の好例は、台湾が中国にとって“ならず者”の一省であるという中
 国の大げさな言い方である。台湾は、一八八五年から一八九五年までのたった十年間、
 中国の一部であっただけで、現在の中華人民共和国の一部であったことは数分間だって
 ない。

 中国が武力によって台湾を獲得するのは、チベットを占領したときと同じ「侵略」行為
 に等しい。それは「再」統一とはいえず、日米両国の安全保障上の利益に反する非合法
 な武力行使である。またそれは、アジアでの覇権を求める中国政府や人民解放軍の欲求
 をさらに刺激するだけであろう。

 平和を追求すると言う一方で、中国が日本にはいろいろ注文をつけるのは矛盾する。も
 し、中国がロシアからバックファイヤーを買うことにでもなれば、日本への脅威は劇的
 に差し迫ったものとなるであろう。

 《新自民党の指導者に期待》

 強化された小泉政権は今や、日本が集団的自衛権を行使できることを明確にし、また米
 国と基地問題の調整をはかって、日本における米軍のこれからのプレゼンスを確かなも
 のにできる力をもつ。

 これらは、沖縄や厚木など地元にかかる「負担を軽減」しながらでもできるであろう。
 今後も続く日本の経済改革や福利を考えるとき、日米同盟の調整を図ることは、地元の
 負担を軽減する以上に、はるかに重要なのだということを「新しい自民党」の指導者に
 強く進言したい。(米バンダービルト大学教授、日米研究協力センター所長)産経新聞
       Kenzo Yamaoka
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自民圧勝には中国要因も−長谷山崇彦   
  
 靖国参拝支持する国民感情
海外紙の分析
 自民党圧勝に日本と海外の報道機関は驚嘆して勝因を専門的に研究しているが、素人庶
 民の感覚として、もう一つ重要な勝因があったと思う。それは小泉首相の靖国神社参拝
 への毅然(きぜん)とした意向に対する国民の共感と思われる。

 中国共産党機関紙は『日本国民は郵政改革には賛成でも、首相の靖国神社参拝を支持し
 た結果ではない』と牽制する。しかし香港の某有力紙は自民党の勝因を(1)改革への
 国民の期待(2)首相の『靖国神社参拝』を支持する国民感情――という二つの勝因を
 指摘した。

 つまり自民党圧勝の主因の一つは首相の靖国参拝への国民の支持であるという分析であ
 る。

 筆者は職業上、大学生と有識者や女性団体の会議で討論する機会が多いが、首相や閣僚
 の靖国神社参拝に対する意見は『参拝は当然。天皇陛下と国民を代表する国会議員は是
 非、参拝していただきたい』という意見が圧倒的だった。

 宗教専門家は『中国と韓国は日本の神教では戦犯として処刑された人達が神として合祀
 されている霊廟の参拝が戦争賛美とは無関係であることを理解すべき』と説く。

 自民党以外の政党は、非常に立派な政策方針を示しているのに党首が靖国参拝に反対し
 たことで非常に損をしたと思われる。現実的な防衛体制とPKO協力のための憲法九条
 改訂を戦争志向の改悪とした政党も、今回の得票では損をしたと思われる。

 もし首相・閣僚の靖国参拝への国民の支持が勝因の一つとすれば、その勝因を創ったの
 は、中国と韓国、特に中国による小泉首相の靖国参拝に対する執拗な抗議と、それを
 『内政干渉』とする日本国民の不快感が外圧に屈しない強い党首の政党を躊躇(ちゅう
 ちょ)なく『比例』でも選択した結果と思われる。つまり自民党の勝因には中国も協力
 した結果になる。

 しかし日中関係は一九九〇年代までは官民共に非常に友好的で靖国問題も無かった。

 筆者も政府機関勤務時代から訪中調査団長を務めた際や官民の国際会議などで中国の有
 識者とは多くの交流の機会を得たが、反日の『反』の字も感じたことはなかった。現在
 でも在日中国人学生達は『反日ならば、日本に留学しません』と明言する。

 近年、反日に転じた中国の事情は、経済発展に伴う貧富格差の極端な拡大や汚職の跋扈
 (ばっこ)で増大した一般国民の反政府感情を逸らすためと中国専門家は分析する。

 日本側の反中感情は、日本の巨額のODA受領国中国政府による一連の反日教育と国連
 改革における反日行動、多数の核弾頭をもち、年率二桁(けた)の軍事力増強中の中国
 が日本を軍国主義国と批判するなどの一般に周知の問題による。

留学生増加を

 日韓関係は、例の韓流ブームと年頭に盧大統領が日本の天皇陛下の親善訪問は『大歓迎』
 と発表したことでバラ色に輝く状態になったが、三月に大統領は突然、対日強硬姿勢の
 国民向け談話を発表して韓流が寒流に逆行するかと懸念された。

 だが、これも盧政権の事情による建前と解され、日本の韓流は全く健全である。

 事実、今回の自民党圧勝に対して盧大統領は小泉首相に祝電を送っている。また日本が
 戦時中に白人支配の植民地からの独立を支援した東南アジア・南アジア諸国は、戦後日
 本のアジアへの貢献をも高評価して親日的で、靖国参拝も問題にしていないことが判っ
 ている。

 問題の中国と北朝鮮は重要な隣国である。日本が思い切って多数の留学生を招聘(しょ
 うへい)して、『百聞は一見に如かず』で日本を親しく理解させれば、将来、自然に親
 日国に変わってくれると予見する。

(世界平和教授アカデミー理事・元中央大学教授・農学博士)世界日報掲載許可
      Kenzo Yamaoka

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