2118.民主大敗の原因



「民主大敗の原因」

民主党が大敗したのは、結局、岡田代表に政権を担う覚悟と自信が
無かったからだろう。

上目遣いでカメラに向かい、覇気の無い声で唸る「日本を諦めない
。」と言う消極的で意味不明なコピー。

中盤、年金と子育てに絞って、せっかく郵政とのシングルーイッシ
ュー対決の機運が出てきたのに、終盤少なくともマスコミでのコメ
ントではまた抽象論に戻ってしまう。

岡田氏は、深層心理で首相になる事を恐れているとしか思えない。
失敗できない環境を歩んで来た、御曹司で秀才でエリートの限界だ
ろう。同時に、執行部内に客観的な全体の戦略を立案し実行出来る
者が不在であったと言える。

政治とは、詰まる所、政策と理念の実現である。
そのためには、勝たなければ意味がない。

                         以上
佐藤 鴻全
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民主党の選挙活動に疑問  (伊勢より)
 
この選挙期間中、民主党は、今後も民営化に反対であるとして、特
定郵便局をまわって歩いたようである。これでは古い自民党と同じ
である。既得権益を温存するかわりに、その見返りとして、票をく
れという。もはや革新党ではない。小泉自民が革新で、民主党が守
旧という、ねじれたことになっている。
name=伊勢
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自民大勝とドイツ総選挙       アルルの男・ヒロシ

アルルです。

明日はドイツの総選挙の投票日。
下馬評では、ビルダーバーグ指名をアングロ・サクソンの財界人か
ら受けた、アンゲラ・メルケルのCDUが勝利するだろうと言われ
ています。

しかし、ほんの数週間前までは、シュレーダ−首相が死に体だと言
われ、総選挙はメルケルのCDUと更に経済リベラル色の強い、自
由民主党が連立含みで勝利するとまで言われていました。

ところが、シュレーダーが起死回生の一策にでました。敵失を大き
くプロパガンダしはじめたのです。

敵失というのは、メルケル女史の指名した、財務大臣候補のパウル
・キルヒホフというハイデルベルク大学の教授あがりの「経済学者
」です。このオッサンが何を思ったか、消費税の増税ばかりではな
く、財界優遇の色合いが強い、フラットタックス制度を導入するぞ
と主張し始めた。

ここぞとばかりに、シュレーダーは、今年の前半に繰り広げられた
、「アングロサクソン資本主義、アメリカ・イギリス型のウルトラ
・リベラリズムの脅威」を喧伝しはじめた。「もっとドイツ経済は
、滅茶苦茶になるぞ。ドイツ型の社会民主主義的経済は、英米型の
自由主義経済にハイジャックされるぞ」と演説でわめき始めた。
おそらく、これが功を奏した。

しかも、メルケル女史は、ビルダーバーグ辞令を貰っている位のひ
とですから、外交安全保障でも、アトランティシスト(大西洋同盟
派、英米重視)です。(英米とスタンスが違う点は、トルコのEU
加盟は反対というところ)

シュレーダーの戦略はシラク・ドヴィルパンの「独仏枢軸」の多極
化戦略ですから、メルケルは完全にイギリスの送り込んだ「刺客」
ということになります。

まだ選挙の結果が出ていないので、何とも言えないのですが、もし
予想通りに僅差でCDUが勝つ程度までに、シュレーダーが巻き返
していたとすれば、これはシュレーダーのプロパガンダの大勝利で
しょう。

そう。民主党の岡田前代表にかけていたのは、このプロパガンダ能
力でした。

今度の総選挙は小泉首相と竹中レンタル大臣が勝手に「郵政民営化
だけが改革の第一歩である」と決めてしまって、アメリカの大手広
告会社と電通を使って、国民洗脳を行ってしまった。ところが、民
主党は、政策的には巧くできた「限度額縮小」という対案を出した
が、国民にはそんなに難しい話はわからなかったので、「民主党も
結局は郵政民営化には賛成なんだろ」ということで、支持を広げる
ことが出来なかった。

小泉首相の広告宣伝に勝ちうるだけのプロパガンダを民主党がなし
えなかったことが今回の総選挙大敗の原因の一つである。むろん、
宗教団体である創価学会の信者達の盲目的な信心を政治的に利用し
た、組織票による自民への選挙協力も大きな問題点としては残るが
、浮動票が重要な都市部を押さえられなかったのは、宣伝が下手だ
ったということである。

さらに、岡田代表が激すれば激するほど、人相がフランケンシュタ
インのように陰気になっていくのに比例して、小泉首相はあくまで
フォトジェニックなスタイルを崩さない。今回の選挙の自民党のポ
スターは私には非常に気味悪く感じられたのだが、これを「クール
」という風に捉える人が多かったのだろう。

所詮、庶民は、難しことは理解できない。郵政民営化準備室の資料
を見てみても、「小泉・竹中支持層はIQが低い」と書かれていた
ではないか。日本国民だけではなく、何処の国でも民草は政策を詳
しく理解する時間など無い。民主党の手間の掛かったマニフェスト
よりも、自民党の霞ヶ関官僚が書かされた、政権公約の方が受けが
良かったのは、自民党には小泉首相の写真と「郵政民営化」という
判りやすいフレーズが使われていたからである。

だから、民主党も郵政民営化法案の問題点を具体的に指摘するより
も、「郵政民営化法案はアメリカが竹中平蔵に作らせた法案である
」とか「日本の金融資産数十兆円が国外に流れ出て戻ってこなくな
る」とか「武部幹事長はサラリーマン増税はしないといっているが
、選挙が終わったら増税が行われる」ということを明確に主張すべ
きだった。以上の3点はどれも事実であるか、やがて事実になろう
としている。

ところが、アメリカに関する点は、民主党の次期代表が親米派の前
原誠司(松下政経塾出身)であることからも判るように、民主党に
も、アメリカに操られている人たちが数多くいる。(つまり民主党
が育てるべき人材は、親中派の人材である。新潟の菊田真紀子あた
りが有望か?)

要するに、国民は「改革の熱狂」によって騙されたのだ。その一番
良い例が大増税(定率減税の廃止。サラリーマンが影響を一番受け
る)である。

郵政法案は、いずれにしても成立するだろう。2007年から郵政
事業は、不要な分社化を強いられる。郵便局の局舎で働くのは同じ
人たちなのに、それぞれが別々の仕事をするのだろうか。何と非効
率的なことだろう。

郵政民営化を真面目に考えるならば、NTTのように政府が株を持
ち続けたうえで、三事業一体ですべきなのに、竹中はアメリカにい
ずれ郵貯銀行を売り飛ばす算段があるのだろう、わざわざ分社化を
行った。おそらくはシティが買収するのだろう。きれいにしてあげ
た上で外資に買って貰うということになると思う。

そして、次の政治課題は憲法改正である。民主党もこれには多くの
人たちが賛成するだろう。今行われている、日米の軍事基地の教養
の名ですすむ、自衛隊の米軍との一体化(結局横田基地の管制は戻
ってこないらしい)と合わせて、憲法9条の作りかえがテーマにな
る。

アメリカが今後中国との対決を強めるのであれば、「属国」として
の日本はそれに振り回されるしかない。山本一太、前原誠司、石破
茂、長島昭久、小林温など、「ふりまわされたーい」と思っている
としか思えない議員達が、今後の日本外交の立役者になっていくだ
ろう。今こそ親中派、知中派の国会議員の育成が望まれる。親米派
とのバランスを取るためにも。

郵政法案はいずれにしても成立する。日本の憲法改正の動きも来年
の国民投票法制定を皮切りに着々と進んでいくだろう。

日本人は、火をくべてたきつけるには非常に有効な民族であると、
今回の郵政プロパガンダ選挙で、アメリカの広告会社は認識したこ
とだろう。

誰かが言っていたが、数年後には「郵政改革」ではなく、「憲法改
革」がテーマになって、安倍晋三あたりが総理大臣として国民にた
いしてアジテーションするのではないか。次の総選挙は三年半くら
い先だろうが、「憲法改正選挙」になるような気がする。 
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(Fのコメント)
アルルさんの親中派育成論は面白いが、中国の分裂がだんだん明確
化してきている。それと反日感情を抑えない状態では親中派は日本
では冷遇されることになりそうである。

今の時点を見ると民主党、自民党ともに親米派になってしまうでし
ょうね。中国が今のような日本に強圧的な対応では、日本国民は中
国に敵対的な気持ちを起こしてしまう。

このコラムも中国に期待したが、その期待を中国政府が崩してしま
った。反日感情を直接にぶつけると日本企業は中国への投資を止め
るしかないし、日本国民も反中感情に襲われることになる。韓国も
同様である。反日感情が反韓感情を日本国民に起こさせることにな
る。これは韓国にとってもよくないことであると思う。中国が反日
感情でも、日本は親中的な感情を持てと言っても無理がある。

一方、米国の衰退が明確になってきている。デルタとノースウエス
トの米航空2社も倒産で、USエアやユナイテッドなども倒産して
いるために、米航空会社の半分が倒産という状態になる。まともな
大手航空会社はアメリカンエアーぐらいしかない。

米国が大国という幻想は、幻想でしかない。米投資機関も大きなダ
メージを受けているはず。
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デルタとノースウエストの米航空2社、経営破綻(ASAHI)
 2005年 9月15日 (木) 10:54

 米航空3位のデルタ航空(本社・ジョージア州)と、同5位のノ
ースウエスト航空(同・ミネソタ州)が14日、連邦破産法11条
(会社更生手続き)の適用をそれぞれニューヨーク連邦破産裁判所
に申請し、経営破綻(はたん)した。負債額はデルタが282億
7000万ドル(約3兆1000億円)、ノースウエストが179
億1000万ドル(約2兆円)。今後も運航は続け、裁判所の監督
下で経営再建を図る。

 ともに、後発の格安航空会社との厳しい価格競争に、原油高に伴
う燃料費高騰が加わり赤字が続いていた。AP通信によると、デル
タの負債規模は米企業の破綻で史上9位。米航空業界は大手7社の
うち2位のユナイテッド航空と7位のUSエアウェイズを含む4社
が、更生手続き下で運航する異例の状態となる。

 デルタ、ノースウエストとも国際線を含めて運航は続け、マイレ
ージ制度などの顧客サービスも維持する、としている。

 両社は、旅客の輸送コストが他社に比べ割高で、特に従業員の年
金負担など人件費が重荷となっている。デルタは昨年、06年まで
に年間コストを02年比で50億ドル削減する合理化計画を策定。
従業員の約1割にあたる6千〜7千人を削減するなど「計画より速
いペースで実行していた」(同社)が、原油高と価格競争による収
益悪化が予想を超えた、としている。

 ノースウエストも人件費削減をめぐる労働組合との交渉が難航し
ているところに燃料費の急騰が重なり、大胆なコスト削減には更生
手続きが避けられないと判断した。

 両社の4〜6月期の燃料費は、前年同期比6割近く上昇。米南部
を襲ったハリケーン「カトリーナ」による欠航と、一層の原油高騰
が経営悪化に追い打ちをかけた。

 すでに更生手続き中のユナイテッドは、06年初めの手続き完了
を目指し7日に再建計画を提出。USエアは、全米8位のアメリカ
ウエストとの合併を決めており、今月末にも更生手続きから脱却す
る見通しだ。
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小選挙区制の、おもしろさがでた選挙だった。(伊勢新九郎より)

小選挙区制の、おもしろさが出た選挙になった。対立する諸政党が
、政策をぶつけあう。そのいいと思う政策の党に、国民は一票を投
じる。候補者個人の経歴うんぬんは、あまり関係ない。国民の多数
のニーズに一致する政策をかかげる政党だけが、勝ち残って、パイ
の大部分をとることになる。
 
それゆえ、国民の多数が支持する「小さな政府」「郵政民営化」を
かかげた小泉自民党が圧勝したことは、この制度のもとでは、当然
の結果である。マスコミも評論家も、こぞって「予想外」としてい
るが、これは見る目がないためでしょうね。自民性悪説と、野党性
善説の色メガネで見ているせいなのか、国民が何を望んでいるのか
見えていない。このコラムでは、Fさんはじめとして、小泉圧勝の
予測が主流であった。
 
しかし裏をかえせば、今回惨敗した民主党も、国民の意向をくみと
って、そのニーズに合った政策を打ちだすことに成功するならば、
次の選挙で大勝する可能性もある、とも言える。そして、その政策
実行力について、国民の信用を得ることが必要であろう。小泉さん
は、亀井さんなど利権政治家を追放して、信用を勝ちとったが、労
組の利権を固守する岡田さんは、ついに国民の信用を得ることがで
きなかった。
 
このように、国民のニーズと一致した政策をかかげ、なおかつ、そ
の実行力を認められた政治家を党首におく政党が大勝ちし、そうで
ないダメ党首の政党は大敗してしまう。このような針の揺れ方をす
るのでしょうね、この小選挙区制では。その点に、おもしろさを感
じる。
 
そして今後は、政策の優劣で黒白を決するという傾向が、ますます
顕著になっていくと見る。このため、候補者のディベート能力が問
われることになる。党首どうしのテレビ討論が選挙のゆくえを左右
する米国型に、だんだん近づいていくのでしょうね。
 
なお、選挙区と比例区の、ダブル登録によって実現する比例復活制
は、廃止すべきであろう。選挙区で、有権者からノーを突きつけら
れたはずの落選者が、党内の力関係などで比例名簿に上位記載され
、そのおかげで復活するというこの制度は、民意を正確に反映して
いない。どうも、おかしい。ちなみに、あの辻本清美氏も、大阪10
区では有権者の厳しい審判を受けて敗北したが、比例で復活当選し
ている。
name=伊勢新九郎
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自民党勝利の分析   
   
 いつも楽しく読ませていただいてます。
国際戦略コラム様としましては、今回の選挙結果をどのように分析
してますでしょうか?単なる郵政問題とお思いでしょうか??

私は、無党派層が,大量に自民党に流れた理由に・・
亡国の「危機感」があったと思います。

ブログにも書きましたが・・
「 郵政の影にある問題の提起はすでにあった。有権者、特に無党
派層は、日中韓関係と日米関係を天秤にかけなければならなかった
、今アメリカ=小泉首相=ブッシュの盟友を選択しなければ、亡国
になるという危機感を持っていた。

 成長する隣国の脅しで靖国参拝すらできない首相の屈辱、盗掘さ
れるガス田問題、尖閣諸島から教科書問題。日本の主権に無神経に
入り込んで来る中国への反感。その証拠に靖国参拝者が激増してい
るのだ。これらへの怒り、やるせない思いが、ネットでの交わされ
、情報として、一種の世論形成となっていった。ITを軽んじる
「じーさん」達が支配する「マスコミ」や「旧政党」は、このうね
りをリークできな。 」
でも、首相にはわかっていたのです。
「 マスコミが「首相の囚人」とまでバカにした有権者(無党派層
)は、マスコミ以上に日本が直面する問題の本質を理解し動いた。
」結果だと思います。
頼もしい無党派層ではありませんか??

中国、韓国がイチバン恐れるのは、日本人がこのような認識を持ち
始めることですよね。しきりと否定してますから・・・

ネットネーム 榊雲水
http://syoukensyougo.blog21.fc2.com/
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民主党につける薬   
   
  はた目にもあまりにお気の毒なので、民主党再生の処方箋(せん)を僭越(せんえつ)
 ながら提示する。敗因は簡単だ。マニフェストもヘチマもない。バクチ打ちの血筋丸出
 し、喧嘩腰の小泉に対してヘタレなのを見抜かれたのだ。だったら、一発腹くくって根
 性見せるしかないじゃないか。まず、支持母体の労組との関係を見直せ。郵政民営化問
 題で腰砕けになった最大の原因、自治労はもちろん、もはやどうしてつきあっているの
 か双方よくわからなくなっている腐れ縁の大旦那、連合そのものまで、この際すっぱり
 袖にしてみせよ。
 小泉はやった。これまでの自民党の腐れ縁を軒並み切って退路を断ってみせた。ならば、
 民主党も大いにやるべし。それによって、現状どうにもならなくなっている労働組合の
 あり方を根本的に問い直すきっかけになる。労組もまた、官僚腐敗とそれにからんだ利
 権構造と同じく、もはや払拭(ふっしょく)すべき「戦後」のお荷物、という認識を持
 つことだ。民主党にもできる「構造改革」は、そこしかない。

 ここまで旗幟(きし)鮮明にしないことには、おっしゃる二大政党など夢のまた夢、前
 回“大躍進”のほぼ唯一の原動力だった虎の子、都市部浮動票に見限られ、「まともな
 野党を」という共産党のマニフェストにも勝てなかったばかりか、事実上壊滅の社民党
 にすら票が流出したことの情けなさとその深い意味を、しみじみ味わってみることだ。

 でもなあ、これやっちゃうと、今の民主党って全く意味なくなるんだよなあ。いっそ解
 党、せめて分裂してくれるのが、国民としてはいちばんすっきりわかりやすくなるんだ
 けど。(民俗学者・大月隆寛)産経新聞
    Kenzo Yamaoka
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改革党のお株奪われた民主の凋落   
   
 労組と距離置かずば自滅の道へ ≪革新政党が既得権擁護に≫ 
 小泉自民党は郵政民営化選挙をきっかけに古い党の体質を一新した観がある。

 本来なら保守党が既得権益にしがみつき、革新政党が既得権を打破しようとするのが常
 だが、どういうわけか日本では自・社体制時代から逆転現象がみられた。

 自民党が国鉄の民営化に取り組み、社会党が国労、動労の先兵となって民営化に反対し
 た。この結果、国労が分割民営化されるとともに社会党は凋落(ちょうらく)した。今
 回、民主党は郵政公社労組(旧全逓)と全郵政を守ろうとして惨敗した。旧社会党にし
 ろ、民主党にしろ、官公労という親方日の丸の労組に引きずり回されて自滅したのであ
 る。

 連合の笹森清会長は郵政解散となった直後、採決の際、反対票を入れて公認されなかっ
 た自民党系候補を応援するよう指令した。笹森氏は民主党が惨敗した後の記者会見で
 「小泉氏の刺客作戦など劇場型話題づくり作戦にやられた」と語っていたが、これほど
 自覚のない責任感のかけらもない言い分も珍しい。

 民主党内には早くから郵貯・簡保の民営化論が存在し、代表の岡田氏もその論者だった。
 ところが連合が圧力をかけて民主党内に「郵政公社を守る会」を作らせ、選挙で脅して
 百人もの会に育て上げた。この結果、民営化という体制の変革は不可能だから、郵貯の
 限度額の引き下げという糊塗的な手段を打ち出さざるを得なくなった。

 国労にしろ全逓にしろ官公労の組合が民間組合の「連合」を牛耳るというような姿は世
 界にはない。加えてその官公労が代表を政党の中に送り込んで、大政党(民主党)の方
 針を左右する例などない。

≪再生にはまず党内刷新を≫

 イギリスの労働党が十八年間も政権を取れなかったのは、労働党が炭労という強力な組
 合に牛耳られていたからだ。英国民は自分が選んだわけでもない組合員が政党の方針を
 左右する姿に拒否反応を示していたのだ。組合は労働者の雇用を守る。政党は国民の利
 益を追求する。そのためには民営化という変革は避けられない。それが組合と政党の違
 いなのだ。

 小泉自民党は特定郵便局長会(大樹会=約二十四万人)という古くから頼りにしてきた
 支持母体と縁を切って、郵政公社の民営化に踏み切ったのである。そのために党内の抵
 抗勢力を排除し、その地盤に“刺客”を送り込んだ。一方で候補者を公募し、従来の地
 縁・血縁主義と長老支配体制に風穴を開けた。

 “小泉劇場”と呼ばれた、この一連の党内刷新によって「改革の旗」を自民党が握るこ
 とになった。

 民主党が再起するための第一の要諦は、官公労に牛耳られた連合と距離を保つことだ。
 連合が官公労と切れないなら、連合とも別れた方がよい。民主党が旧全逓や日教組、自
 治労に強く影響されている姿を国民は見透かしている。日教組加盟の教師でさえ、自分
 の子供を公立学校に入れない現実は何を物語るか。

 大阪府の労組(自治労)がこっそりやっていたヤミ給与、ヤミ手当は、はっきりいって
 税金泥棒だ。

 投票の前日、駅のそばで候補者が「戦争がやってきます」と激しく連呼している。てっ
 きり社民党の候補者かと思ったら、民主党の候補者だった。「政権選択」というからに
 は、もっとまじめに政策を訴えてもらいたい。

 民主党のマニフェストに「十二月までにイラクから自衛隊を撤退させる」とある。撤退
 問題は日米関係を勘案し、国際情勢、イラクの国内情勢をみながら決定されるべきもの
 だろう。この一文でこの党は日米関係に無頓着な党だと認識されるだろう。

≪外交の大幅乖離は逆効果≫

 岡田氏の外交ビジョンによると、「米国から距離を置き、アジアに重点を置く外交に切
 り替える」という。アジアというのは中韓ということだろうが、両国の国家目標が「反
 日」であることを知った上で言っているのか。

 彼らが言う「歴史認識」とは中韓の言い分を日本も認めろということに他ならない。そ
 の言い分に何十年も屈して現在の土下座外交がある。町村外相の就任以来、ようやく後
 ずさりが止まった状態であって、国民はほっと一息ついているところだ。町村外相だけ
 は代えてほしくない。

 民主党が政権を獲る第二の要諦は、外交方針を与党とあまり差のないものにしておくこ
 とだ。国民は外交では高いハードルを越えたがらないからだ。自民党は脱皮した。民主
 党も脱皮しなければかつての英労働党並みに十八年間冷や飯を食うことになるだろう。
 (【正論】「自民圧勝」を読む 政治評論家・屋山太郎・産経新聞)
       Kenzo Yamaoka


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