2116.国の形について



日本の国の形について検討しよう。   Fより

郵貯の民営化が決まり、大きな公的事業機関はほとんど民営化した
ことになる。国鉄、電電、専売、郵政などの公的事業機関のことで
ある。この政府出資の企業の意味は官僚と民間がシームレスに繋が
ることでもある。今後も政府機関が民営化されると思うが、官と民
を行き来できる機関として利用することである。

民営化とは経営的なセンスで機関を運営することである。この能力
を官僚の皆さんも絶対に必要である。特に将来上位クラスのポジシ
ョンに付く官僚の皆さんには特に必要でしょうね。その訓練場所が
なかったのですが、それができたように感じる。財務省の若手官僚
が税務署長に配属されるように、政府機関民営会社を1つの教育場
所として、利用することが良いと思う。

官と民は日本の知的な2つの大きな部分である。そして、官には知
的に優秀な人たちが多い。全体のバランスや専門的なことだけでは
なく、分野全般を広く考える習慣がある。特に財務省は国全体や財
政を考える必要があるためにその能力が優れている。そして、民は
会社経営上必要な時代の方向を見極める能力があり、その嗅覚も強
い。そして、この2つの力を統合して、日本の方向を決めることが
政治で必要なのである。

官を中心とした組織で政治を動かしてきたが、今後は官と民が諮問
会議で方針を決めて、その上で両者の知識も政策作りに取り入れる
ことが必要になっている。官僚も官から民に移動して、経営も経験
して、官僚がより広い視野を持つことが必要であるし、その基盤が
政府機関が民営化されたことで整い始めている。民も政策に関与す
るために今までと同様に省庁への出向や審議会に参加することが必
要であろう。

このようにして、官民のお互いにその特徴ある能力を相互に利用し
て、日本国としての競争力を高める必要がある。官と民の総合力を
高めることが日本にも必要なのである。人的資源としては官から民
ではない。官と民の融合である。官が民にもなるということで実現
する。

外務省の官僚がNGOに出向しているように官と民が融合して、日
本の政治を見ることが必要なのであろう。現場と政治の融合が望ま
れている。民も官になり、官も民になる官民の融合をしていくこと
である。改革の本丸が民営化であるというもう1つの理由が、官が
経営を経験できる場の創出なのである。

そして、今度の選挙でハッキリしたのが、日本的な社会主義でもあ
る自民党の元主流派の利権政治と民主党の労組の既得権益擁護のど
ちらの政治も終わったことである。ハッキリ言って、左翼思想の崩
壊である。この左翼思想を擁護していた朝日新聞の部数減少も止ま
らないようである。ここでも、左翼思想の終焉になっている。朝日
から日経に日本の知識階級はシフトしている。

国の形でもう1つの問題は国の財政の行き詰りにどう対応するかで
ある。
この解決には、国の政治優先順位を明確化することが必要である。
国家の基本は国民の生命・財産を守ることで、次に国民生活の向上
を図ることである。この順位からすると、周辺諸国の動乱・敵対行
為に安全保障上から対応する必要がある。また、国内の治安維持や
地震や台風の被害から国民の生命を守る防災を優先するべきである
。この基礎ができた状態で次の課題である国民生活の向上になる。

そのため、今後の生活向上の方向は最低限の弱者救済はするが、経
済面ではあまり政府が口を出さない民間の活性化支援になるように
感じる。
日本経済で民間の活性化を支援することが政府でできることの全て
である。このためには競争を制限するのではなくて、競争をしてよ
り良い物を作る環境を政府が作ることである。イノベーションを促
進して、世界で活躍する日本企業をいかに多く育てるかが勝負であ
る。このために企業と共同研究ができるように国立大学も独立法人
化したのであろう。この方向を崩さないことでしょうね。

しかし、この競争活性化では農業分野、農村地域が立ち遅れている。
やっと、農業政策に手を付けられる状態になっている。今までは金
融の不良債権や企業の再生で手が一杯であったが、やっとその部分
は目処が付いた。今後、農業分野では、いろいろな分野に企業の参
入を許可することと、国民の全てが農業に簡単に参入できるように
することである。農協に出荷できなくても、農産品を扱う商社が参
入すれば、出荷ができることになる。

退職者である都市住民が農村移住を10%でもすれば、農村の大き
な振興になるはずである。減少に悩む農村人口の増加にもなる。そ
して、企業を農業に参加させれば、若者の職場ができるために、農
村人口は一層増えることになる。どうして、高齢者しか居ない農村
を保護し、農協は古来の農民しか相手にしないのか、非常に不思議
に思っている。

東南アジアの国々とFTAの交渉をしているが、日本の農業分野で
の保護政策が、外交の大きな重石になっている。日本の問題点は、
農業保護であるが、この保護は二重の意味がある。国内的に企業参
入阻止と農民以外の国民参入阻止と、外国の農産物の高関税である。
都市住民が小泉さんを勝たせたのですが、この部分の改革を急がな
いと次回の選挙はどうなるか分からないと思う。
逆にここの改革を訴えれば、民主党の前原さんにも勝利のチャンス
があるでしょうね。
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民主党新代表に前原氏、2票差で菅氏を破る 党代表選(ASAHI)
2005年09月17日16時02分

 総選挙大敗を受けて辞任した岡田代表の後任を決める民主党代表
選が17日午後、東京都内のホテルであり、党所属国会議員(194
人)による無記名投票の結果、前原誠司氏(43)が菅直人氏(58
)を破り、新しい代表に選ばれた。 

 投票総数は192。得票は、前原氏が96票、菅氏が94票、無
効2票だった。 

 当選後のあいさつで前原氏は「国民から期待されながら選挙で敗
れた。信頼を回復して、民主主義を機能させる責任は大きい。挙党
一致態勢で国民の負託に応えたい」と述べた。 
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官僚から東大法卒が消える日(日刊ゲンダイ)
霞が関メルトダウン

 霞が関の中央省庁は、選挙が終わるまで開店休業状態が続く。そ
んななか、各省庁の幹部が集まると決まって話題になるのが、来年
度新規採用者のうち農水省が「東大法卒ゼロ」になるという情報で
ある。 

 農水省といえば、霞が関では財務省と並ぶ東大法卒の牙城。本省
の局長以上8人のうち事務次官、有力局長、官房長など6人が東大
法卒だ(7月現在)。同省は、かねて東大法卒生からの人気が高く
、国家公務員T種試験トップ合格者とか、「田んぼを見たことがな
い」というガリ勉タイプなどがこぞって入省したものだ。それがゼ
ロというのだから、農水省関係者が「歴史的事件」と驚くのも無理
はない。 

 もっとも、これは農水省だけの話じゃない。宮沢内閣の頃、「事
務系キャリアから東大法卒の割合を5割以下にせよ」と、官房長官
だった加藤紘一が厳命したのがウソのようだ。 
「ここ数年、どの省庁でも東大法卒の割合は3割前後にまで低下し
ています。この流れは年々加速しています」(関係者) 
 最大の理由は、学生の間でも「官僚神話」が完全に崩壊したこと。
10年ほど前、T種試験の面接会場で東大法学部の受験者10人ほ
どの話を聞いたとき、彼らは志望理由を「カッコいい」「尊敬され
るから」「試験が難しい」などと言っていた。ところが最近は、「
官僚=ダサイ」のイメージが定着してしまったようだ。代わりに司
法(弁護士、検事、裁判官)が人気になり、優秀な人材は外資系、
ベンチャー企業に流れていく。 

 さて、当の官僚たちはどう思っているのか。局長クラス数人に尋
ねたところ、農水省の「東大法卒ゼロ」に驚きながらも、おしなべ
て「当然」と答えた。 
 さらに全員が「いま私が学生なら、官僚を志望しないでしょうね
」と言うのである。 
 テクノクラート集団などと呼ばれ、東大法卒が支配してきた霞が
関は急速に変貌(へんぼう)している。 
「並の組織」になる霞が関がこれからの日本社会において、どのよ
うな役割を果たしていくのか。それを決めるのは「政治」である。
官僚たちが霞が関改革を最大争点にみているのは間違いない。
【生田忠秀】
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今回の選挙結果での私見を少し       S子 
   
 異論や反論もあろうかとは思いますが、これから述べることは、
今回の選挙結果からみて思った私なりの考えです。

選挙結果としては、予想していたよりもはるかに自民党の圧勝であ
り、そして、これまた予想外な民主党の惨敗劇でした。小泉首相が
郵政民営化、反対か賛成かを問うた二元論選挙であったわけですが
、当初から民主党の岡田代表は場違いな土俵からの論戦で、この選
挙戦に臨みました。結果的にこれが迷走路線となり、民主党は国民
を強く引きつけることができませんでした。戦略的には民主党の失
敗の感は強くありましたが、ここまでの自民党の圧勝も正直なとこ
ろできすぎの感がしないでもないのです。

なぜ、小泉首相が郵政民営化問題で国会解散、即選挙となったのか
という疑念はあります。あまりにも事が性急すぎたからです。もし
かして、郵政民営化問題には既に強力な下地があり、自民圧勝も見
えていたのではないか。だからできれば少しでも早くこの郵政民営
化問題に決着をつけ、いかにも国民の総意であるかのようにし、小
泉首相は早急に改革の意志を成し遂げたかったのではないか。そし
て、それは小泉首相の意思であり、また米国の意思でもあるのだろ
うということです。もうこれは覆い隠せない事実のようにも思える
のです。

自民造反議員もこの選挙結果から民意には逆らえないと言って、賛
成派に鞍替えし、保身に徹しています。それだけ小泉首相の粛清(
米国の粛清でもあります)を恐れているということです。この一事
からも日本が完全に政治や経済において米国一辺倒になってしまい
、米国に異を唱えることができなくなったということがわかります。

また、この自民圧勝でいかにも郵政民営化に賛成である国民が多い
ことかという風に解釈されがちですが、それはあくまでも賛成か反
対かを問うた二元論選挙であったがゆえの結果でしかないと思いま
す。無党派層からの流れも大きく自民圧勝に影響しているようです
が、過去は民主党支持だったけれどもその不甲斐なさに失望して
今回は自民党に入れたとか、改革と言う言葉に日本の未来を託して
自民党に入れたと言ったような意見もありで、まったく郵政民営化
に賛成で一票を投じたのではない人達もいるわけです。結果的には
郵政民営化賛成とみなされてしまっても仕方がないのですが。

小泉首相の改革という言葉のマジックも効いているのも確かです。
そして、国民が改革という言葉の魔力にとりつかれ、旧体制を破壊
し、これからよりよい方向に日本が向かうのではないか、という幻
想を抱いてしまったということもあるでしょう。しかし、小泉首相
が改革という名のもとにやってきたことは破壊ばかりでした。改革
とは古い伝統でも今現在でも通用できるものがあれば、それは残し
、また少々の手を加えて生かし、もう明らかに時代の潮流にそぐわ
ないのであれば、そこで切り捨て、そこに新風を取り入れるという
人間重視の緻密な作業があればこその改革だと思います。

民主党は過去にも次期政権を狙う好機がありながら、その好機を生
かすこともできずに選挙戦で負けては党首交替劇を繰り返していま
す。そのたびに思うことは、民主党には政権を握らせようとしない
何かしらの意思が大きく働いているように感じるのです。今回でも
場違いな土俵からの闘いは、国民に失望の念を大きく抱かせてしま
いました。あくまでも選挙を闘うポーズだけでしかないのですね。
誰がこんなシナリオを考えたのでしょうか。

郵政民営化問題はその本質を小泉首相が明らかにしなかったことで
、正直国民にはわかりにくいものでした。ただ、賛成か反対かでは
中味がないのと一緒です。民主主義の多数決尊重単純論理が見事に
開花した選挙でしたが、これで果たしていいのだろうかという思い
もあります。

しかし、この郵政民営化問題は、国民に日本人としてのアデンティ
ティを想起させたという意味では大きな役割を果たしたと私は思っ
ています。グローバルな社会だからこそかもしれませんが、日本人
としてのアイデンティティを総括する良いチャンスでした。


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