2102.米国で最悪の被害



ハリケーン「カトリーナ」で米国は変化することになる。 Fより

日本と違い、銃社会でかつ、黒人の貧民層が多いことで、災害があ
ると、直ぐに米国では略奪や暴行などが起きて、治安が悪くなる。
それと、神戸大震災で7000人も死んだ日本を発展途上国と同じ
レベルの社会インフラと米国評論家が評論していたが、米国も同様
な社会であることを示してしまったようだ。

今のニューオリンズを見ると、神戸震災時の神戸に比べても惨めで
ある。略奪や暴行は日本にはない。それと、震災後直ぐに、周辺の
県から支援のために消防車や警察と自衛隊が駆けつけている。日本
は木の家で地震には弱いために、死者の数が多くなったが、ニュー
オリンズの状況を見ると同じような木造の家で水位が上昇して、溺
れた人が多数いるような気がする。それと、避難した後に水や食糧
・医薬品がなくて死んだ人も多数いるという。

そして、もう1つ、イラク戦争の戦費で、ニューオリンズの堤防改
修費が削られて、大災害になったということがわかってきた。もう
1つ、ルイジアナ州の州兵がイラクに派遣されていて、治安や救援
活動に十分な兵力が無かったことが分かる。

市長のネーギン氏が「水につかり大声で助けを求めている被災者と
、イラクのどちらが大事なのか」を言いたくなる気持ちも分かるよ
うな気がする。

米国ブッシュ政権は国内の災害対応もできないと国民からの支持が
無くなり、イラクからの撤退を不名誉な形でも行う可能性が出てく
る。また、台風の災害は今後もニューオリンズを襲うであろうから
、継続した堤防改修費が必要であろう。

どうも、イラク戦争の経費が18兆円となり、国内で必要なインフ
ラ整備に必要な経費を削って、イラク戦争の経費に廻しているが、
そのインフラが脆弱なために米国国内の自然災害で莫大な損害を受
けるし、技術的な研究開発支援費用も削られて、新しい製品ができ
てきていない。米国経済の衰退がここでも明らかになっている。

イラクは憲法草案などの経緯からシーア派、クルド、スンニ派の3
つの国になり、内戦になる可能性が益々高まっている。シーア派は
イランと連携して、中東でスンニ派に対抗できる勢力になってきた。
米国の利益にはならない形で、情勢は推移している。この意味でも
イラク戦争は失敗の状態にある。

イラク石油で米国は潤うはずが、イラク戦争の失敗とイラク戦費の
捻出で、いろいろな無理が国内に出ているために、今後イラク戦争
見直しが広がることになるでしょうね。CNNも番組を変えて、ニ
ューオリンズの状況を伝えると共に、イラク戦争反対の放送をして
いた。
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米ハリケーン被害 政府の対応に高まる批判
2005年09月04日09時35分

 ブッシュ米大統領は2日、大型ハリケーン「カトリーナ」による
被害者救援の遅れに対する批判に応え、被災5日目で現地を視察し
た。しかし、洪水被害に対する認識不足による「人災」との見方も
出ており、ガソリン価格の高騰と相まって、批判は与党内でも広が
っている。大統領は出遅れ批判を意識して7日の胡錦涛(フー・チ
ンタオ)国家主席との会談を延期するなど、外交日程にも悪影響が
出始めた。中間選挙を約1年後に迎える大統領にとって、イラクの
戦後処理と並んで重荷になりそうだ。 

 被災州に降り立って初めて現場をじかに見た大統領は言葉を失い
、目に涙を浮かべる場面もあった。日頃はめったに誤りを認めない
大統領もこの日は「(災害対応は)十分でない」と認めざるをえな
かった。 

 3日朝には、通常は録音放送している毎週恒例の国民向けラジオ
演説を、異例の生中継でホワイトハウスから行い、現役兵士7千人
を被災地域へ追加派兵する方針を発表するなど、防戦に追われた。 

 政府の対応については「トゥー・リトル、トゥー・レイト」(内
容不足で手遅れ)との批判が日増しに強まっている。特にルイジア
ナ州ニューオーリンズは、全米で水害の危険が最も高いと指摘され
ていた。堤防の強化計画もあったのに予算が削られていたことがわ
かり、批判に拍車をかけている。 

 大統領は「堤防の決壊はだれも予想していなかったと思う」と強
弁しているが、サーベイUSAが31〜2日に実施した世論調査に
よると、68%が「対応が不十分」と回答。大統領支持率も40%
で過去最低になった。 

 野党民主党は世論の後押しを受けて「対応は適切ではなかった」
(ペロシ下院院内総務)と批判を強めている。上院で公聴会を開き
、政府の初動の遅れを追及する構えだ。与党の共和党内でも救助活
動については「作戦ミス」(ビター上院議員)などの指摘があり、
公聴会開催には応じる考えだ。 

 大統領にとって手痛いのは、復旧にあたる州兵出動の遅れをイラ
ク戦争と結びつけられてしまうことだ。米軍駐留の長期化で、イラ
クには本土防衛が任務の州兵までかり出されている。ルイジアナ、
ミシシッピ両州の州兵は約3分の1がイラクに派遣されている。大
統領は2日も「テロとの戦いと被害者救助は両立する。必要ならば
他の州に頼めば派遣してくれる」と反論したものの、不信は簡単に
ぬぐえない。 

 ボディーブローになっているのがガソリン価格の高騰だ。イラク
情勢の混迷などで昨年から高値だったうえ、ハリケーンの被害拡大
によるエネルギー供給不安が重なったからだ。ガソリン価格は米国
民の最大の関心事の一つ。このままいけば、中間選挙の争点になり
そうだ。 

 92年8月に大型ハリケーン「アンドルー」がフロリダ州を襲っ
た時、父のブッシュ大統領がやはり「対応が遅すぎる」と批判され
、再選の足かせになった。被害規模の広がりによっては「カトリー
ナ」が中間選挙の足かせになるかもしれない。 
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遺体収容始まる=ニューオーリンズ−死者数は依然不明

 【ニューヨーク3日時事】大型ハリケーン「カトリーナ」の被害
を受けた米ルイジアナ州のニューオーリンズで3日、これまで手が回
らなかった犠牲者の遺体収容作業が徐々に始まった。
 これまでのところ、ミシシッピ州で死者は確認されただけで147人
とされているが、ルイジアナ州は「生存者の救出が優先」として確
認された死者数を明らかにしていない。
 現地からは、遺体安置所の一つになっているルイジアナ州セント
ガブリエルの刑務所で「1000〜2000人の遺体が置かれている」との
衛生当局者の話も報じられており、同州での死者は数千人に達する
との見方が強まっている。 
(時事通信) - 9月4日13時7分更新
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ニューオーリンズ市長「被災者とイラクどちらが大事」

 「水につかり大声で助けを求めている被災者と、イラクのどちら
が大事なのか」――。ハリケーンが直撃したニューオーリンズの黒
人市長ネーギン氏は地元ラジオ局のインタビューで、救援物資到着
の遅れなど政府の対応を厳しく批判した。米CNNテレビが2日、報
じた。

 ネーギン市長は「数千人が死亡し、さらに数千人が死の危険にさ
らされている。被害発生から何日もたっているのに支援はまだ十分
に届いていない」と現地の状況を説明した。さらに「我々が助けを
求めても政府は何も分かっていない。イラクの人々は米国に来てほ
しいと頼んだのか」とイラク戦争にも反発。「とっとと腰を上げて
、米国史上最大の危機に対応すべきだ」と激しい口調でぶちまけた。
(ニューヨーク=米州総局) (13:51) 
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全域排水に80日、都市機能まひ続く ニューオーリンズ(ASAHI)
2005年09月03日19時15分
 
 超大型ハリケーン「カトリーナ」で、市街地の8割が冠水したま
まの米ルイジアナ州ニューオーリンズは2日、食料配給が一部の施
設で5日ぶりに再開され救援が本格化した。残された推定約5万人
の避難が一段落し、冠水がひどい市街地を中心に都市を「無人化」
させるには数日かかる見通しだ。水を抜いてから都市機能を復旧さ
せる計画だが、全域の排水は「80日後」(陸軍)とみられる。約
50万人が住んだ都市のまひ状態は数カ月続きそうだ。 

 完全武装の兵士に護衛された救援の車列が2日午前、約2万人が
避難する国際会議場に到着した。水と食料の配給は5日ぶり。3階
には七つの遺体が放置されているという。同日はバス95台で約
4000人が避難。取り残された市民が脱出するまで数日かかりそ
うだ。 

 2カ所で決壊した堤防の復旧工事が同日始まった。市域の大半が
標高ゼロメートル地帯。堤防を修復しても水は抜けないが、さらな
る浸水は防げる。市内の排水ポンプの多くは冠水で使用不能。大型
ポンプから修理を始め、一部は5日に復旧する見通しをメディアは
伝えた。 

 陸軍工兵隊によると、排水が終わるのは「一部では36日後、全
域では80日後」。救援・復旧活動を担う連邦緊急事態管理庁
(FEMA)は「排水には半年かかり、地域が乾くまでにはさらに
3カ月かかる」との見通しを示したという。 

 市内の9割が被災した同市は通信、電気、ガスなどが壊滅的な状
態だ。治安悪化を背景に2日も市内各地で火災が起きた。もとの状
態に復興するまで「数年かかる」との見方もある。 
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略奪凶暴化、救援隊に発砲も 治安失うニューオーリンズ(ASAHI)
2005年09月03日00時13分

 「警察官までがスーパーの略奪に加わっている」。ハリケーン「
カトリーナ」の被災で、社会不安が広がる米ルイジアナ州ニューオ
ーリンズ(人口約50万人)から7時間歩いて避難してきた男性が
訴えた。人口の1〜2割が取り残されたとみられる市街地の一部で
は、救援が遅れるなか、略奪や暴行などが起きたという。なぜ「凶
悪犯が市を仕切るようになった」(市関係者)とまで言われる状況
になったのか。 

 「市街戦の状態で活動している」と、救援活動を急ぐ連邦緊急事
態管理庁(FEMA)のブラウン長官は嘆いた。避難者の話による
と、商店の略奪は29日の被災直後に始まった。配給がないので食
料品などをあさっていたが、他人の車や現金を奪い、住宅にも押し
入る強盗に変わった。グループで連携するなど凶暴化。警察や軍へ
の発砲で救援、避難活動を妨げだしたという。 

 当局は近隣州に避難者を移しているが、市長が「もっとバスが欲
しい」と全米に訴えるほど交通手段が不足している。バスを脱出用
にカージャックするために発砲し、患者を移送中の病院関係者も銃
撃された、と現地メディアは伝えた。 

 ニューオーリンズの暴力犯罪の発生率は人口10万人あたり692
件でニューヨーク(717件)並みだ。犯罪の多発都市が、銃を野
放しにしたまま「無法状態」(市幹部)になった形だ。 

 市は31日、優先していた救援活動から1500人の警官を割い
て治安対策を強化しようとした。しかし、警察組織も機能が弱って
いる。ルイジアナ州警察本部は、警察官が日に日に出勤しなくなり
、欠員率は20%にのぼる、と米テレビに明かした。市街地の8割
が冠水し、ライフラインも回復せず、衛生状態が悪化するなか、次々
と市外に避難している模様だ。 

 市警察のコンパス署長によると、暴行や略奪している犯行グルー
プなどが根城にしている国際会議場(約2万人が避難)に、11人
編成の警官隊を8組派遣して警備を強化しようとしたが、武装した
人たちに追い返されてしまったという。 

 警察署も武装集団を警戒。パトロールができる状態ではない、と
CNNテレビは伝えた。 

 米国では、治安回復や災害救援の主役となるのが州兵だ。週末だ
け軍事訓練を受ける州兵の多くは、地元の警察官や消防士を兼任す
る。土地勘と経験を生かせるが、ルイジアナ州の州兵は兵力の3分
の1にあたる3千人がイラクに派遣中。州兵4万人の増援を要請し
、国防総省も週末にかけて3万人を派遣する方針だが、「よそ者」
が即戦力になるか疑問視する声もある。 
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被害想定が現実に 予算不足で対策後手 ハリケーン被害(ASAHI)
2005年09月03日06時07分

 ニューオーリンズ市でハリケーン「カトリーナ」が起こした災害
の規模について、米連邦政府や州政府など関係当局は少なくとも5
年前から想定し、机上演習も2回実施していたことが分かった。
貧困層の人々が取り残される事態を含め今回現実になった問題が
すでに確認されていたが、予算不足などで抜本的な対策はとられな
いままだったという。 

 2日付ニューヨーク・タイムズ(電子版)や米南部の地元紙タイ
ムズ・ピカユンが報じた。今年1月、連邦緊急事態管理庁(FEMA
)幹部がスマトラ沖大地震・津波の被災地を視察したが、その際も
、米国が学ぶ教訓としてニューオーリンズ市が最ももろいとの結論
に達していたという。 

 両紙によると、演習は00年と昨年7月に行われた。昨年の演習
は、FEMAの肝いりで連邦、州、地方当局から計250人が参加
。大型ハリケーンが同市を襲い、堤防から水があふれ、100万人
が避難。市民の半数は屋根の上に取り残されるという想定で、今回
の被害を引き写したようなシナリオだった。 

 演習の結果、綿密な避難計画や、被災者の大規模な捜索・救出の
計画づくりなどの必要性が確認された。さらに、車を持たない貧困
層や高齢層など計約10万人は、事前勧告しても避難は難しいと指
摘されていた。 

 今回の災害で実際に多くの貧しい人々が取り残された。避難させ
る警察の人員は確保できなかったうえ、発生が月末だったことも響
いた。政府の生活保護手当は月初めに支給されるため、貧困層には
逃げる資金もなかったようだとニューヨーク・タイムズ紙は報じた。 

 ただ、過去の演習は、いずれも堤防から水があふれることを想定
しており、今回起きたような堤防そのものの決壊までは予想してい
なかったという。当局側は、ハリケーンの猛威が予想を超えていた
と反論している。 

 しかし、USAトゥデー紙も1日、「技術者らは災害を警告して
いた」とし、連邦政府がハリケーン対策予算を軽視していたとの記
事を1面に掲載。シカゴ・トリビューン紙も予算不足の一因はイラ
ク戦争にあると論じるなど、政府への風当たりが強まっている。 
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非公式情報
ネオコンにとって厳しい季節

By StrangeLove

2001年9月11日、ニューヨークに建っていた貿易センターのツイン・
タワーへ2機の旅客機が激突、国防総省の工事現場にも大きな穴が
あいた。ハイジャックされた航空機が利用された「テロ」だとされ
ている。

ハイジャック犯とされているのがモハメド・アッタなどイスラム系
の人びと。そのアッタを含む複数の人物を危険人物としてアメリカ
の軍情報部に所属する秘密部隊「エイブル・デンジャー」が1999年
頃から追跡していたとする情報が流れている。

勿論、イスラエルの情報機関も早い段階からアッタたちを監視して
いたと言われているわけで、軍の情報機関が彼らを追跡していても
不思議ではない。興味深いのは、こうした情報が議会を通じて外部
に漏れ始めた事実だ。

今年に入り、ネオコン(親リクードのストラウス主義者とキリスト
教原理主義と呼ばれるカルト集団の連合軍)の影響力が弱まってい
るように見える。その象徴的な出来事がイスラエル系ロビー団体、
AIPACの摘発。ウォルフォウィッツがホワイトハウスを離れたのも
この事件と無縁ではないだろう。

ネオコンの忠実な僕(しもべ)だと言われている某国の首相やマス
コミにとっても由々しき事態である。かつてナチス・ドイツの軍事
力に見せられて暴走した人びとがいた。最近はネオコンのマッチョ
ぶりに心酔している人が少なくない。腕力で物事が解決すると思っ
ているのは知恵の足りないガキ大将だけでないから驚く。

ともかく、そのネオコンが苦しい立場に追い込まれている。ハリケ
ーンの被害はさらに追い打ちをかけたようだ。7月にロンドンで発生
した爆破事件も風向きを大きく変えることはできなかった。

最近、アル・カイダがシドニー、シンガポール、あるいは東京の金
融センターを攻撃するという噂が流れている。ネオコンにとっては
良い情報かもしれないが、筆者としては現実にならないでほしい。
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成17年(2005年) 9月2日(金曜日)
        通巻1219号 
米国史始まって以来最悪の災禍「ハリケーン・カトリーヌ」
あのジャズの町、ニューオーリンズのフレンチ・クォーターも浸水

 ハリケーンの災禍はニューオーリンズを水没させてしまった。

 数々の映画の舞台にもなり、三島由紀夫はニューオーリンズをこ
う書いた。「私は本物のヨーロッパよりも、中南米や、西印度諸島
やメキシコや、北米南部に残る、衰えた、やつれた、息も絶え絶え
な、哀れなヨーロッパのほうを余計に愛する。郷愁でいっぱいにな
った、そして昔は支配者であったものが今は虜囚の身分に落ちた、
半分きちがいになった哀れなヨーロッパが、北米で見られるのは、
多分ここニュー・オルリーンズの一角のヴィウ・カレ、いわゆるフ
レンチ・クォータだけであろう」(「旅の絵本」)。

 筆者も十数年前に、この地をおとずれて二泊している。そのとき
の紀行は下記サイトに。
http://www.nippon-nn.net/miyazaki/misima/NewOrleans.html

 嗚呼、あの町も水没、再建は不可能か、長い年月を要することに
なるという。

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