2098−1.外資の考え方



郵政民営化反対派の論点がおかしい。それを検証。Fより

郵貯・簡保は完全民営化すると小泉首相は宣言している。このため
、米国企業だけではなく、欧州企業でも中国企業でも郵貯・簡保を
買収できるのですが、米国企業が買収すると宣言している。これは
反米的な考えがないと言えない。

もう1つ、民営化することで買収の可能性は外資だけではなく、日
本企業にもあることを無視している。可能性は全ての企業にあると
言うことである。

ここでおかしいと言っているのは、経営的に米国企業が郵貯を買う
はずがないということです。国債と財投債を売らないと他へ投資す
る資金ができないが、この国債を売ると、国債が暴落することにな
る。しかし、これを指摘していながら外資が郵貯を買うという論理
を展開する。

しかし、外資は儲ける為に郵貯を買うことになるはずであるが、国
債が暴落するのに、そのような銀行を買うのでしょうかね。もう1
つ、外資から見ると、反米国粋主義者が多い日本で反米家が日本国
民に預金の解約を勧めると、一挙に倒産することになる。このよう
なリスクを犯してまで、郵貯を買うのかという経営者としての立場
から買収はないと発言している。

しかし、株式日記は国粋主義的な感情論から、一方的に米国金融機
関が郵貯の預金を奪うという。郵貯のようなリクスがあるものを外
資は買収しないという目線が無いし、国債は民営化すると暴落する
ともいっている。暴落する国債や財投債を300兆円も持つ企業を
外資が買うはずが無いという考えも無い。そして自己論理矛盾をお
かしていることさえ気が着かないようだ。

もう少し、全体整合性を保つよう考えてから発言するべきである。
ただただ、感情的に反米を言っているだけのような気がする。

しかし、アルルさんの指摘は正しい。日本の知識人の意見を元に米
国の利益も図れるように年次改革要望書は書かれているが、米国の
要望が米国だけの利益ではなく、日本の国際化を推し進めるような
記述になっていている。日本の国際化を言いながら、自分の利益を
最大限にしようとする意志がある。

もう1つ、簡保の状況は郵貯とは違う。日本の保険業界は政府料率
と言う護送船団方式で守られていたために、保険料が米国の2倍か
ら5倍も高い。このため、欧米保険会社は日本の保険会社に比べて
も競争力が断然にある。この日本への進出を考えている欧米企業が
沢山ある。

このため、その進出の基盤としての簡保に魅力がある。これに対応
するには魅力ある料率の低い保険を日本の保険会社も考える必要が
あると思う。女性外交員制の人件費が大きいため、この体制を変更
する必要がある可能性もあると見える。どちらにしても日本の保険
業界にとっては黒船になる危険性がある。

というより、加入者からの保険請求履行をしない日本の保険会社に
強烈なショックを与えて、ユーザの権利を保障する保険会社になる
必要がある。政府から守られていたために、官僚化してユーザの立
場に立っていないのが今の日本の保険会社である。
==============================
郵政法案だけではなく他の5法案もみてみると・・・ 
                      アルルの男・ヒロシ

「郵政民営化法案とその関連法案」を読んでいて判ったこと、関係
当局に問い合わせをして判ったことを、走り書きで纏めます。

結論を言うと、ウォール街が狙っているのは、郵貯銀行や郵貯資産
というよりも、郵便保険会社(新簡保会社)が、「独立行政法人郵
便貯金・簡易生命保険管理機構」の運用する簡易保険の「旧契約」
(既存の契約の意)の分の保険預かり資産ではないかと思われる。

郵政民営化法案には、郵政民営化後も続く、既契約の分の簡易保険
の月々の保険積立金を運用するのに、新会社(郵便保険会社)との
「運用の委託」を行うことが可能である。つまり、新契約と厳密に
運用の財布は分離するけれども、旧契約を運用するのは、機構では
なく、新郵便保険会社であるということである。

また、公社の今は国家の全額保証があるので、公社の保険契約には
再保険契約が行われていないが、民営化後は保険業法にと基づく、
再保険が行えることになっている。保険業法では、この契約を行え
るのは、内閣総理大臣の営業免許を受けた保険会社となっているの
で、アフラック、AIG、オリックス生命などが再保険契約を受け
ることは実に簡単である。

問題は郵貯資産の運用の場合には、外債(米国債)での運用が認め
られていないのに、簡易保険資産は外債での運用が認められている
点である。

このことは郵政民営化法案だけをみても、まったく判らないのであ
る。(民営化ということは民間の保険業者が出来ることが当然に可
能であるということを原則意味する)

郵貯資産については「機構の独立行政法人という性格上、既契約が
なくなるので利回りを少し犠牲にしても、確実な運用が求められる
」(同準備室)のだそうだ。

条文をみてみよう。独立行政法人の機構法案には、次のように書か
れている。

(貼り付け開始)
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g16205088.htm
閣第八八号

   独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案

目次

 第一章 総則(第一条─第五条)

 第二章 役員及び職員(第六条─第十二条)

 第三章 業務

  第一節 通則(第十三条・第十四条)

  第二節 郵便貯金管理業務(第十五条)

  第三節 簡易生命保険管理業務(第十六条─第十八条)

 第四章 財務及び会計(第十九条─第三十条)

 第五章 雑則(第三十一条─第三十六条)

 第六章 罰則(第三十七条─第三十九条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機
構の名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定めることを目的と
する。

 (名称)

第二条 この法律及び独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三
号。以下「通則法」という。)の定めるところにより設立される通
則法第二条第一項に規定する独立行政法人の名称は、独立行政法人
郵便貯金・簡易生命保険管理機構とする。

 (機構の目的)

第三条 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構(以下「機
構」という。)は、日本郵政公社から承継した郵便貯金及び簡易生
命保険を適正かつ確実に管理し、これらに係る債務を確実に履行し
、もって郵政民営化に資することを目的とする。

(中略)

(再保険の契約)

第十六条 機構は、生命保険会社(保険業法(平成七年法律第百五
号)第二条第三項に規定する生命保険会社及び同条第八項に規定す
る外国生命保険会社等をいう。以下同じ。)を相手方として、旧簡
易生命保険契約(旧簡易生命保険法第三条に規定する簡易生命保険
契約をいう。以下同じ。)に基づき機構が負う保険責任について、
機構と当該生命保険会社との間に再保険関係が成立する旨を定める
契約を締結することができる。

2 前項の契約の締結、変更又は解除は、総務大臣の認可を受けな
ければ、その効力を生じない。

3 第一項の契約には、再保険関係に係る再保険金額、再保険期間
、再保険料率、支払うべき再保険金の金額、再保険料の収受、再保
険金の支払、再保険料の払戻し、当該契約の変更及び解除、当該契
約に係る資産の運用、再保険責任に係る再再保険契約の締結の可否
その他総務省令で定める事項を定めなければならない。

(中略)

 (郵便貯金資産の運用)

第二十八条 機構は、次の方法による場合を除くほか、郵便貯金資
産を運用してはならない。

 一 整備法附則第五条第一項の規定によりなおその効力を有する
ものとされる旧郵便貯金法第六十四条の規定による預金者に対する
貸付け

 二 次に掲げる債券(その元本の償還又は利息の支払が外国通貨
をもって行われるものを除く。)の売買

  イ 国債

  ロ 地方債

  ハ 政府保証債(その元本の償還及び利息の支払について政府
が保証する債券をいう。次条第三号チにおいて同じ。)のうちロに
掲げる債券に該当するもの以外のもの

 三 金融機関(銀行、農林中央金庫、商工組合中央金庫又は全国
を地区とする信用金庫連合会をいう。次条第三号ホ、第四号及び第
五号において同じ。)への預金(外貨預金を除く。)

 四 信託会社(信託業法(平成十六年法律第百五十四号)第三条
又は第五十三条第一項の免許を受けたものに限る。次条第十号にお
いて同じ。)又は信託業務を営む金融機関(金融機関の信託業務の
兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第一条第一項の
認可を受けた同項に規定する金融機関をいう。同号において同じ。
)への信託のうち前二号に掲げる方法により運用するもの

2 機構は、前項第三号に掲げる方法により郵便貯金資産を運用す
るときは、総務省令で定めるところにより、担保を徴しなければな
らない。ただし、当該預金の額その他の事情を勘案して総務大臣が
支障がないものと認めて承認したときは、この限りでない。

 (簡易生命保険資産の運用)

第二十九条 機構は、次の方法による場合を除くほか、簡易生命保
険資産を運用してはならない。

 一 保険契約者に対する貸付け

 二 第十八条第一項の規定により機構が業務を委託した生命保険
会社への預託

 三 次に掲げる有価証券その他の資産の売買

  イ 国債(証券取引所(証券取引法(昭和二十三年法律第二十
五号)第二条第十六項に規定する証券取引所をいう。リにおいて同
じ。)が、定款の定めるところにより、国債について、債券先物取
引のため、利率、償還の期限その他の条件を標準化して設定した標
準物を含む。)

  ロ 法律の定めるところにより、予算について国会の議決を経
、又は承認を得なければならない法人の発行する債券

  ハ 地方債

  ニ 特別の法律により設立された法人(ロに規定する法人を除
く。)で、国、ロに規定する法人及び地方公共団体以外の者の出資
のないもののうち、特別の法律により債券を発行することができる
ものの発行する債券

  ホ 金融機関が発行する債券(次条において「金融債」という。)

  ヘ 社債で政令で定めるもの

  ト 特定社債(資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百
五号)第二条第七項に規定する特定社債をいう。次条において同じ
。)で政令で定めるもの

  チ 政府保証債のうちロからトまでに掲げる債券に該当するも
の以外のもの

  リ 外国政府、外国の地方公共団体又は国際機関(ヲ及び次条
において「外国政府等」という。)の発行する債券その他外国法人
の発行する政令で定める債券(証券取引所が、定款の定めるところ
により、外国政府の発行する債券について、債券先物取引のため、
利率、償還の期限その他の条件を標準化して設定した標準物を含む
。同条において「外国債」という。)

  ヌ 貸付信託の受益証券

  ル 法人が事業に必要な資金を調達するために発行する約束手
形で総務省令で定めるもの

  ヲ 外国政府等又は外国法人の発行する証券又は証書でルに規
定する約束手形の性質を有するもの

 四 金融機関への預金

 五 第三号に掲げる方法により取得した債券であって政令で定め
るものの金融機関その他政令で定める法人に対する貸付け

 六 債券オプション(当事者の一方の意思表示により当事者間に
おいて債券(第三号イ及びリに規定する標準物を含む。)の売買取
引を成立させることができる権利又はこれに類する権利であって、
政令で定めるものをいう。)の取得又は付与

 七 先物外国為替(外国通貨をもって表示される支払手段であっ
て、その売買契約に基づく債権の発生、変更又は消滅に係る取引を
当該売買の契約日後の一定の時期に一定の外国為替相場により実行
する取引(金融先物取引法(昭和六十三年法律第七十七号)第二条
第六項に規定する金融先物取引所の開設する市場において行われる
取引又はこれに類する取引であって、政令で定めるものに該当する
ものを除く。)の対象となるものをいう。)の売買

 八 通貨オプション(当事者の一方の意思表示により当事者間に
おいて外国通貨をもって表示される支払手段の売買取引(前号の政
令で定める取引に該当するものを除く。)を成立させることができ
る権利をいう。)の取得又は付与

 九 コール資金の貸付け

 十 信託会社又は信託業務を営む金融機関への信託。ただし、運
用方法を特定するものにあっては、次に掲げる方法により運用する
ものに限る。

  イ 第三号から前号までに掲げる方法

  ロ 投資顧問業者(有価証券に係る投資顧問業の規制等に関す
る法律(昭和六十一年法律第七十四号)第二条第三項に規定する者
をいう。)との投資一任契約(同条第四項に規定する契約をいい、
同項に規定する投資判断の全部を一任することを内容とするものに
限る。)の締結

 (運用に係る制限)

第三十条 機構は、第二十八条第一項第二号ロ若しくはハに掲げる
債券を郵便貯金資産をもって取得するとき、又は前条第三号ロから
リまでに掲げる債券を簡易生命保険資産をもって取得するときは、
応募又は買入れの方法により行わなければならない。

2 機構が金融債に運用する簡易生命保険資産の額は、簡易生命保
険資産の総額の百分の二十に相当する額を超えてはならない。

3 機構は、簡易生命保険資産を金融債に運用する場合には、一の
法人の発行する金融債の十分の五又は一の法人の一回に発行する金
融債の十分の六を超える割合の金融債を取得してはならない。

4 機構が簡易生命保険資産をもって取得する金融債は、利率、担
保、償還の方法、期限その他の条件において、機構以外の者の取得
に係るものとその種類を同じくするものでなければならない。

5 前三項の規定は、機構が簡易生命保険資産を社債、特定社債、
外国債又は貸付信託の受益証券に運用する場合について準用する。
この場合において、機構が簡易生命保険資産を外国債に運用する場
合について準用するときは、第三項中「割合」とあるのは、「割合
(外国政府等の発行する外国債その他政令で定める外国債に運用す
る場合にあっては、一の外国政府等又は外国法人の発行する外国債
の十分の五を超える割合)」と読み替えるものとする。(後略)


http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g16205088.htm
(貼り付け終わり)


アメリカの簡保会社としては、再保険契約というビジネスチャンス
があるし、運用資産の確保が出来て、間接的に米国再投資に繋がる
と踏んでいる。さらに、新会社を子会社化することで、経営の主導
権を握る。新勘定と旧勘定を分けると言っても、実際には旧勘定か
ら、新勘定への「預け替え」も行われるのだろうし、運用の委託が
出来る以上、かなり一体のものであると見て良いのではないか。

カラクリは郵政民営化法案だけにあるというわけではなかったので
ある。これをレンタル竹中、セクハラ山拓は再提出するというのだ
ろうか?法案の中身はやはりもっと問題にされてしかるべきである。

問題なのは、資産の運用の形で米国に流れ出した金融資産は日本国
内に再投資されないということである。元本に利子は付いてくるが
それだけである。一方のアメリカは国債をその資金で買い支えるこ
とで、財政赤字の補填、戦費の補充、年金資金の穴埋めなどに利用
することが出来る。国内に再投資がない、ということが問題なので
ある。

それでも米国債は利回りがあるから、良いではないか、という議論
も成り立つことは成り立つ。しかし、日本が米国債を抱え込むリス
クはあるわけである。要するに、何が日本国民にとっての合理的選
択かということなわけです。

コラム目次に戻る
トップページに戻る