2097.少子化について



少子化や高齢化が迫っている。この問題を議論する。  T

高松の産婦人科ME学会に参加した。日本の人口減少の原因は、日
本の女性達が子供を産まなくなったことである。女性達に子供を生
みたいと思わせることが必要である。これは生活が楽になると思わ
せることが重要で、欧州諸国の制度が参考になる。

しかし、もう1つの問題がある。産婦人科の医院や医師が減ってい
る。小児科の医師が不足していることはいろいろな所で言われて、
有名であるが、それと同時進行しているのが産婦人科の医院がなく
なっていることである。

特に地方の産婦人科の医院がなくなっている。このため、中核セン
タの大病院と周辺医院をネットワーク化して、少ない医師で多くの
分娩ができる試みが行われ始めている。

この最先端にあるのが香川県での周産期ネットワークであり、周辺
産婦人科と香川大学の病院を結び、帝王切開などの難しい分娩の場
合、患者を大学病院に送る仕組みを作っている。このために、香川
大学の先生の指導の下に周辺医院と情報の共有化を図る方法として
、電子カルテをWEB化している。それを周辺医院と共同で運営し
ている。

また、日本で皇族方がご利用になる愛育病院も同様な試みをしてい
る。オープンシステムという仕組みで、愛育病院の設備を開業医が
使用できる。これも医師不足を乗り越える方法であろう。

このように、日本の少子化問題は子供の手当てを家庭に支給するだ
けではなく、医療現場、特に産婦人科医師不足の状態を緩和するた
めに、どう効率を上げていくかということも重要で、国の関与が必
要であると感じた。
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人口、半年で3万1000人減 「減少時代」2年早まる?(SANKEI)
 2005年 8月23日 (火) 15:34

 一月から六月までの半年間に人口が約三万一千人減少したことが
二十三日、厚生労働省の人口動態統計速報で分かった。出生数は毎
年七月以降に増える傾向にあるものの、「半年単位で死亡数が出生
数を上回ることはこれまでなかった」(同省)といい、一年間を通
しても人口が減少に転じる可能性がある。この傾向が続けば、人口
減少時代が予測されていた平成十九年よりも二年早く訪れる可能性
がある。

 今年一月から六月に、全国の市区町村に届けられた出生数は
五十三万七千六百三十七人で、前年同期よりも二万三千三百二十一
人減少。同じく死亡者数は五十六万八千六百七十一人で昨年同期よ
りも三万七千七百十二人増えた。インフルエンザが流行したことな
どから、三月に死亡者数が増えていた。

 速報値での人口の自然増加数がマイナスで折り返すのは、昭和
四十四年に公表が開始されて以来初めて。速報値の合計で過去最低
となった平成十六年でも、上半期は出生数が死亡数を約三万人上回
っていた。

 国立社会保障・人口問題研究所の推計では、日本の人口は平成十八
年の一億二千七百七十四万人をピークに、十九年から減り始めると
されている。

 人口減少をめぐっては、一人の女性が一生に産む平均の子供数(
合計特殊出生率)が十五年に一・三を割り込み、十六年も最低を更
新。総務省の調査では、男性人口が今年三月末時点で初めて減少に
転じ、都道府県ごとでは三十五道府県で人口減少が判明した。

 毎年後半は、出生数が多い傾向にあるが、月々の自然増加数は少
しずつ減ってきている。このため厚労省統計情報部は「今年のよう
にインフルエンザなどで死亡者数が増えることも考えられ、一年を
通じた自然増加がマイナスになる可能性は否定できない」としてい
る。
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周産期ME研究会報告(平成12年度)「電子カルテとそのネットワーク化」
会長:原 量宏(香川医科大学附属病院医療情報部教授)
http://www.jsmbe.or.jp/kenkyu/shusanki_me.html

情報ネットワーク技術の革新は、医療の分野においても大きな影響
をあたえている。妊娠管理と新生児・未熟児の管理を中心としたい
わゆる周産期医療ではとくにその傾向が強く、周産期管理を目的と
した電子カルテの開発とそのネットワーク化が急速に進んでいる。
その背景には、厚生労働省による「周産期医療のシステム化プロジ
ェクト」が全国的規模で進められていることにくわえ、平成11年4
月に、厚生労働省により電子媒体による診療録の保存(電子カルテ
)が認められたことが大きく影響している。文部科学省は国立大学
附属病院において、遠隔診断システムを積極的に推進しており、
これまで9大学において予算化がなされている。通信・放送機構は
平成10年度の補正予算で、次世代超高速全国縦断ギガビットネット
ワーク(JGN)を試験的に設置し、医療の分野においても高度な
利用を期待している。(http://www.jgn.tao.go.jp/)

経済産業省は厚生労働省の了解のもとに、平成11年度から電子カル
テのネットワーク化プロジェクトをスタートさせており、平成13年
度の補正予算「先進的IT活用による医療を中心としたネットワー
ク化推進」にみられる様に、医療のネットワーク化に本格的に取り
組む姿勢をしめしている。従来から困難とみなされていた高いハー
ドルが、省庁間の壁をこえて一気に取り払われたわけで、これから
の5年間は医療情報の電子化、ネットワーク化においてのみならず
、我が国の医療のありかた全般にとって大きな変革点になると思わ
れる。

1.周産期医療情報ネットワーク

香川県においては平成10年度から県のモデル事業として、周産期医
療の向上を目的として、香川医大母子センターと地域の基幹病院産
婦人科を結ぶ周産期ネットワークがスタートし、現在は個人病院(
琴平林病院)を含め5施設の電子カルテがネットワークにより接続
され好成績をあげている。(http://www.hw.kagawa-swc.or.jp/net/)

医療情報の電子化、ネットワーク化が周産期医療の領域において早
期に進んだ理由として、すでに60年以上の歴史をもつ母子健康手帳
が全国に普及していたことともに、周産期管理に用いる情報が妊娠
週数、血圧、体重、胎児の大きさ、胎児心拍数など標準化、数値化
しやすい事があげられる。日本母性保護産婦人科医会(日母)情報
処理検討委員会においては、母子健康手帳の電子化を目的として、
平成7年度に "日母標準フォ−マット" を制定し、ネットワーク対
応の電子カルテの開発プロジェクトをスタートさせた。
(http://www.jaog.or.jp/JAPANESE/jigyo/JOUHOU/H10/data_199902.htm)

周産期医療をネットワーク化しようとする試みは全国的にも徐々に
広がりをみせており、高知県においては高知医大を中心とした「地
域周産期医療支援システム」が稼働し、病・診連携の強化に役だっ
ている。香川県の周産期ネットワークシステムと高知県の周産期ネ
ットワークシステムは日母標準フォ−マットを介して相互に情報の
交換が可能である。さらに平成10年度には”胎児心拍数情報ファイ
ルデータフォーマット”を制定し、胎児心拍数の記録法、伝送法の
標準化を実現し、施設内における胎児心拍数モニタリングのネット
ワーク化はもちろん、在宅から病院へもインターネットを介して世
界中どこからでも容易に胎児心拍数を伝送できるようになった。
(http://www.jaog.or.jp/JAPANESE/jigyo/JOUHOU/H10/data_199902.htm)

妊婦の在宅管理に関して香川医大母子センターでは、インターネッ
トを用いて家庭から胎児の心拍数と子宮収縮の伝送を試みており、
ハイリスク妊婦の管理に大変役立っている。また国立大蔵病院およ
び岩手県立久慈病院においては、テレビ電話システムと小型分娩監
視装置を組み合わせた在宅妊婦管理が行われ好成績をあげている。
周産期医療情報の標準化が進むことにより、病院と診療所はもちろ
ん家庭と病院・診療所の間でボーダーレスに情報が流れるわけで、
その意義は非常に高い。

2.次世代超高速ネットワーク(ギガビットネットワーク)

香川医大においては、平成11年度より北大、東大との間で、通信
・放送機構による「キガビットネットワークを利用した病院間リア
ルタイムコラボレーション実用化に関する研究」に取り組んでおり
、CT、MR画像の(DICOM 3.0規格)高速伝送にくわえ、顕
微鏡画像等の高精細画像の伝送の研究を行っている。患者プライバ
シーの保護は最も重要な課題であり、実運用にむけて電子化、通信
における暗号化や認証などセキュリティ確保にくわえ、原本性保証
技術の研究も行っている。
(http://www.kms.ac.jp/~hospinfo/Telemed/index.htm)

3.電子カルテネットワーク連携プロジェクト
この様に医療情報の標準化、ネットワーク化は急速に実現しつつあ
り、今後5年間において、電子カルテは周産期管理の領域のみなら
ず、大病院から診療所まで、すべての医療機関、診療科に普及する
ことが予想される。しかしながら、現在多数のメーカーにより開発
中の一般診療科用電子カルテはスタンドアロンタイプが多く、相互
のネットワーク機能をもたないものが多い。もしこのまま個々の電
子カルテが独自に開発されていった場合、医療機関相互のネットワ
ーク構築は非常に困難となり、将来に大きな禍根を残すことが予想
される。そこで平成10年度、経済産業省は厚生労働省の了解のもと
に、電子カルテネットワーク実証試験に関する研究会(医療情報シ
ステム研究会)をスタートさせた。本プロジェクトにおいては、電
子カルテソフトの開発はもちろんであるが、医療情報の標準化、ネ
ットワーク化に最も重点をおいており、病院と病院、病院と診療所
のネットワーク構築にくわえ、在宅の患者情報のネットワーク化ま
でを考慮している。医療情報の標準化に関しては、HL7やXML
、さらに日母標準フォーマットをベースにしたものが基本になる。
実際の実証試験にあたっては、初年度に診療所レベルでの電子カル
テの試験的運用から始め、次年度以降に県内外の医療機関とネット
ワークを介した医療情報の送受などを段階的に行っていく予定であ
る。平成11年度には、複数のコンソーシアム(3グループ)により
新たに電子カルテが開発され、香川県、島根県(出雲市、隠岐)、
加古川市、舞鶴市の医師会(合計80施設)を中心に実証試験がスタ
ートしている。今回開発された電子カルテは、診療所向け(内科)
を中心としたものであるが、小児科、産婦人科でも利用できる。機
能的には患者基本情報、保険情報などにくわえ、主訴、所見、検査
、診断、処置、処方、病名など、いわゆるSOAP方式を基本とし
た入力形式となっており、入力の能率向上を目的としたテンプレー
ト機能、検査データのグラフ表示、検索機能なども用意されている。
これら3種類の電子カルテの間は標準的な通信規約を用いているの
で、ネットワークを介して相互に医療情報を参照することが可能で
ある。平成13年度経済産業省の補正予算「先進的IT技術を活用
した地域医療ネットワーク委託事業」において、「四国4県電子カ
ルテネットワーク連携プロジェクト」が採択された。本プロジェク
トにおいては、レセプトコンピュータとの連携、検査情報(検査会
社)とのネットワーク接続、県境をこえての医療情報の交換、およ
びデータの二次利用(疫学統計、感染症情報など)を目的としたデ
ータセンターの構築、大学病院、地域の中核病院との広域連携機能
が可能な電子カルテシステムを開発する予定である。将来的には全
国的な規模での展開を視野にいれたものであり、今後とも皆様のご
理解、ご支援を期待します。

(本研究は日母おぎゃー献金研究助成費、通信・放送機構研究開発
助成費、かがわ健康福祉情報ネットワーク、経済産業省、情報処理
振興事業協会、(財)医療情報システム開発センター、(財)四国
産業・技術振興センターの援助による)


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