2095.米中関係に変化



米中関係は変化している。この実情を見よう。   Fより

米国は依然、イラク戦争から手が抜けない。イラク憲法制定委員会
でスンニ派、シーア派、クルド人の自治に対する考え方が違い、ス
ンニ派を見切って、イラク憲法を制定する選挙になるが、このまま
であると、スンニ派は選挙のボイコットが起こり、スンニ派のゲリ
ラ活動は今後も続くことになる。

米軍はイラク共和国の治安維持のために、ゲリラ活動を抑えるため
に当分イラクに駐在する必要があることになり、東アジアの中国と
は問題を起こせない。

この米国の状況を見て、中国は台湾占領を目指したロシアとの合同
軍事演習を始めた。しかし、ロシアは中国に大量のロシア製兵器を
かって欲しいために、中国からの依頼を断れなかったようだ。ロシ
アも中国を警戒して、ロシアの旧式な兵器を売るが、最新鋭の武器
を売らないようだ。軍事的にはロシアと中国は同盟関係になれない。
インドも中国とは同盟関係になれない。それだけ中国の軍事力に対
して周辺諸国は警戒している。

米国のビジネス界では中国依存度が高まっている。日本と中国は政
治上の問題を抱えて、中国人の日本製品不買運動が起きているため
、欧米製品が日本製品を押さえて売れている。日本から撤退したカ
ルフールも中国では成功している。このため、アジアのパートナー
は中国と欧米の有識者が考え始めている。日本は郵貯問題でも直ぐ
に反米的な論調になる左翼だけではなく、右翼陣営まで反米的な論
調になってしまう。

この点、中国は米国に大量の商品を売るために、米国と同様な法律
を作り、中国市場を米国に明け渡すことを積極的にしている。軍事
的・政治的には米国から離れて行動するが、経済的には日本以上に
米国を優遇している。通貨問題を初め、米国とは経済的な問題を起
こさないという政策をして、感情的な日本を尻目に米国有識者の支
持を集めることに成功している。ここいら辺の交渉力は凄い。日本
の感情論で論理的でない議論とは違うことになっている。

米国でも変化がある。イラク戦争の支持率が低下してきた。1800
人の犠牲が出て、犠牲になった母が抗議行動を起こしたことで、世
論の方向が一遍に変化した。北朝鮮問題も依然、解決できない。韓
国は米国離れを起こし、同盟関係を維持するのに、米国は大きな努
力を必要としている。日本は北朝鮮問題ではほとんど役に立たない
。拉致問題での進展もない。

米国経済は、住宅バブルの崩壊に震えている。FBR議長も警告を
出している。日本の小泉構造改革が継続すると見て、米国から日本
に資金を移し初めている。このため、日本の株価が高騰している。
日本の公定歩合が低金利のために、市場に金が溢れている。しかし、
国債の金利をこのままの低い状態にするために、公定歩合を上げる
ことができない。
この日本の金利が低い資金が世界を回り、世界的に金余りを引き起
こしている。異常な資金余りのために、米国では住宅バブルに陥っ
ている。

ここで中国のドル離れを起こされて、ドルが下落すると一段と石油
価格が上昇することになる。このことを知って、中国は外貨通貨を
ドルから複数通貨にすると脅しを掛けている。このために、米国の
元切り上げという声が急速になくなっている。

米国は現実主義(リアリズム)に政治体制も変化して、今の時点で
中国と問題を起こすことはない。ロシアも現実主義で中国と同盟関
係を築くことは無いが、日本の強硬外交にも辟易しているようであ
る。日本だけ石油が武器に使えない。感情論に支配されている日本
外交に手が無いのが日露関係のようである。
==============================
米大統領支持率、就任以来最低40%・イラク情勢など響く(nikkei)

 【ワシントン=加藤秀央】昨年秋に予想を上回る大差で再選され
たブッシュ米大統領の支持率が、2期目の半年余りで過去最低に落ち
込んだ。混乱が続くイラク情勢や原油高によるガソリン価格の高騰
が原因。長期休暇中の大統領はテキサス州の私邸から頻繁に遊説に
出て支持獲得に懸命。しかし指導力に陰りが生じたことで、秋から
本格化する年金改革など重要課題に影響を与えそうだ。

 米CNN、USAトゥデー、ギャラップ社が26日発表した世論調
査によると、大統領の支持率は40%で2001年の就任以来最低。不支
持率も最高の56%を記録した。

 戦後に再選された歴代の大統領と比べても人気低下が著しい。ウ
ォーターゲート事件の渦中にあったニクソン氏(34%)を除くと、
アイゼンハワー、ジョンソン、レーガン、クリントンの各氏はいず
れも2期目の最初の夏時点では支持率60%を超えていた。 (13:56) 
==============================
米国「アジアのパートナーは中国」が急増、「日本」は減(ASAHI)
2005年08月27日11時14分

 米国の有識者の間で、アジアの最も重要なパートナーを「日本」
と考える人が大きく減り、「中国」とする人が急増している――。
外務省が米国で実施した「対日世論調査」で、そんな傾向が明らか
になった。同省は「国際社会での中国の台頭が影響している」(担
当者)と分析している。 

 調査は同省が60年から実施しているもので、今回は今年2、3
月に政府・議会・経済界・マスコミ関係者ら254人を対象に電話
で実施した。 

 調査で「アジア地域の中で最も重要なパートナー」を挙げてもら
ったところ、「日本」と答えた人は全体の48%で17年連続1位
を維持したが、前年比17ポイント減と減少幅は過去最大だった。
一方、「中国」と答えた人は38%で、その増加幅は前年比14ポ
イント増と、やはり過去最大を記録した。日中両国の差は前年の41
ポイントから10ポイントに急激に縮小した。 

 中国を選んだ理由では、大半が「経済成長の可能性」を挙げた。 
 一方、欧州やアジアの8カ国・地域について「米国と価値観を共
有しているか」を質問したところ、日本は英国、ドイツに続いて3
位となり、7位の中国を引き離した。日米関係を「極めて良好」か
「良好」と答えた人の割合は83%と過去最高を記録。今後の日米
関係も「良くなる」「変わらない」とする回答が全体の9割を超え
た。 

 外務省は「米有識者の対日観に大きな変化はなく、日米関係の評
価に変化はない」(担当者)と説明している。 
==============================
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成17年(2005年) 8月26日(金曜日)
        通巻1212号

中国とロシアの合同軍事演習は台湾侵攻が最大の目的の筈だったが。。
ロシアが目的鮮明に慎重、合同演習とは名ばかりに

 中国軍とロシア極東軍の大規模な合同軍事演習は、「平和の使命
2005」などとする不埒な作戦名を冠して18日から極東で開始
され、25日に終了した。

 ”合同”の演習本部はロシア極東のウラジオストクにおかれ、兵
員約一万人(うち中国軍が8千名、ロシア側1800名)、イリュ
ーシン72など夥しい航空機、艦艇が参加した。
 ウラジオストクには中国人民解放軍の梁光烈・総参謀長、ロシア
軍のバルエフスキー参謀総長も参集、各国からのテレビを前に合同
演習開始を宣言した。
 両国の軍事演習は山東半島に場所を移し、8月25日までに上陸
訓練、戦車戦、パラシュート部隊の訓練などが行われた。

 中ロ両国は国際テロリズムとの戦い、国家安全保障における双方
の信頼醸成が目的であると呼号しているが、西側観測筋は「台湾有
事」を想定したとみた。
 ところがホワイトハウスは「台湾侵攻目的にあらず」として、こ
うした観測を否定したのだ」(タイペイ・タイムズ、8月17日付け)。

 日米はとくに二月の「2プラス2」で、台湾問題を安全保障上の
共通戦略目標としたうえ、防衛白書ははじめて中国軍事力の驚異を
協調した。

このため台湾は「日本は有事の際、米国と協力し、また日米安保体
制の手前、かならず台湾防衛に出動する」(パリス・チャン国家安
全保障補佐官)。

 だからこそ、日米安保条約体制を牽制するのが目的でなければ演
習そのものに意味がないことになる。 

 さてロシアの目的は武器を売りつける顧客としての中国との付き
合いもあり、また米国を前にして中国と軍事協力強化を見せつける
ことによって、国際政治における存在感を誇示したい。北京の台湾
侵攻という火遊びに付き合うのは本心ではないだろう。

 北京はロシアの出方をみて、「分離主義者の叛乱を未然に防ぐの
が目的」として、ロシアが参加した理由をお互いが分離独立への対
抗が共通目的である旨を強調する。
 このあたり、北京とモスクワとワシントンが平仄を合わせている
フシがある。

 台湾軍事筋は奇妙なポイントに注目した。
「それは軍事合同演習を謳いながら司令本部はそれぞれ、つまり命
令系統は合同ではないうえ、バラバラの演習をしている模様」
(台湾国防部幹部)。
==============================
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成17年(2005年) 8月27日(土曜日)
        通巻1214号 

米国、台湾との国防会議「モントレー会議」を一方的にキャンセル
  胡錦濤訪米直前、さらに譲歩のブッシュ政権、人気に陰り

 ブッシュ政権に大きな陰りがでた。
 従来の台湾への姿勢を後退させ、先日の中ロ軍事合同演習を黙殺
の挙にでたブッシュ政権は、つぎに胡錦濤訪米を前にして、恒例の
台湾軍部高官との会合を取りやめると発表した。

 いわゆるモントレー会議は、毎年、台湾と米国が共同防衛をベー
スに、多岐の話し合いを持つ場であり、さらに米国からのF16ジ
ェット戦闘機150機を保有する台湾空軍は訓練のため、これまで
に数千のパイロットを米国に送っている。モントレー会議は、カリ
フォルニア州モントレーで九月14,15の二日間を予定していた。
ちなみに胡訪米は9月7日。

 こうした意味からもモントレー会議は、米台間のきわめて重要な
会議であるにもかかわらず、胡錦濤のはじめての公式訪問を直前に
控えたブッシュ政権は、ことしの中断を決めてしまった。

 保守派の反発は必至。また「台湾防衛法」を履行する義務のある
米国の姿勢は不変であり、この手前、議会からのブッシュ政権批判
も大きくなるだろう。
==============================
中ロ軍事演習終わる 台湾有事を想定、米一極支配牽制も(ASAHI)
2005年08月25日21時20分

 中国とロシアの初の本格的な合同軍事演習「平和の使命2005
」が25日、8日間の日程を終えた。演習はアジア太平洋地域での
両国の軍事協力関係を誇示する大規模なものだった。台湾独立派や
、米国による一極支配を牽制(けんせい)する狙いがあるとみられ
、部隊上陸など台湾有事を念頭においたとみられる訓練も繰り広げ
られた。 

 国営新華社通信によると、中国の曹剛川(ツァオ・カンチュワン
)国防相とロシアのイワノフ国防相が同日、中国・山東半島の●坊
(「●」は「さんずい」に「維」)で閉幕式に出席した。曹国防相
は「中ロ両国の世界平和を守り、共に発展するという固い決意を示
した」と演習の成果を強調した。 

 演習に参加した約1万人のうち約8000人を中国軍が占めた。
第1段階の図上演習はロシア・ウラジオストクで行われたが、第2
段階の兵員の輸送と展開、最終段階の交戦訓練といった重要な部分
は、舞台を山東半島に移し、中国が主導した。 

 演習の目的は「国際的なテロリズムや過激主義、分裂主義に打撃
を与える」(中国人民解放軍の梁光烈・総参謀長)とされた。しか
し、ロシアの戦略爆撃機や潜水艦を投入したうえ、巡航ミサイルも
発射、部隊上陸や海上封鎖の訓練もあった。山東半島を台湾に見立
て、独立を防ぐための武力行使を想定したとみられる。 

 台湾外交部は「台湾海峡の平和と安定が損なわれることがあって
はならない」と、不快感をにじませるコメントを発表したが、政権
要人は表立っての発言は避けている。 

 中国は一貫して演習は「第三国に向けたものではない」と強調し
てきた。しかし、軍機関紙、解放軍報の特集記事は、合同演習を「
潜在的な敵国を威嚇、牽制する重要な手段」と位置づけ、「米国が
中国周辺で行う合同演習は特定の対象に向けた性格が非常に強い」
と指摘。米国による一極支配を牽制する狙いもあることを示唆した。 

 また、2月の日米安全保障協議委員会(2プラス2)で共通の戦
略目標に台湾海峡問題を明記したことに、中国が「内政干渉」と強
く反発していることから、演習は日米安保体制への牽制の意味も持
つとの見方もある。政府系研究者は「演習は、台湾問題に触れさせ
ないという強い意思を日米に知らせる効果もあると考える」と話す。 
==============================
欧州3ヵ国交渉が暗礁に−イラン核問題   
   
 イランの出方に注目
 イランが核兵器製造につながる核活動を再開したことから、イランと交渉を続けてきた
 フランス、英国、ドイツは二十三日、今月三十一日に予定されていたイランとの会合取
 りやめを決めた。欧州三カ国とイランの間で、核停止と引き換えにイランへの総合的な
 支援を行う合意が無視されたことで、欧州三カ国は難しい選択を迫られている。
(パリ・安倍雅信・世界日報掲載許可) 
 仏外務省は二十三日、昨年十一月にイランと欧州三カ国が交わしたパリでの合意が、イ
 ランによって一方的に破られたとして、イランとの会合を延期すると発表した。欧州三
 カ国は今月五日、新提案をイランに示し、イランがウラン濃縮や転換作業などの濃縮関
 連活動、再処理に至る核燃料サイクルを断念する見返りに軽水炉建設を認めるなど、核
 問題の包括提案を行った。
 新提案では、軽水炉の建設や核兵器開発につながらない形での核燃料調達、他国での使
 用済み核燃料再処理を認めるなど、イランへの譲歩も示し、そのための会合を三十一日
 に行うことも求めていた。だが、イラン外務省のアセフィ報道官は七日、同包括提案は
 「受け入れられない」と述べる一方、三カ国との交渉を破棄するものでないことも示唆
 した。

 イランはウランの転換作業再開に続き、中部イスファハンのウラン転換施設の封印を解
 除し、施設の全面稼働に踏み切り、国際原子力機関(IAEA)は十一日、イランに対
 して転換作業中止を求める非難決議を採択した。さらに同問題で九月三日までに報告書
 をまとめることを決め、フランスなど欧州連合(EU)は、九月三日までは様子見とな
 った。

 今回、EUとしては、三十一日に予定されていた会合を中止する決定を下した一方、仏
 外務省は「この決定は、イランとの交渉を絶つことを意味しない」と述べ、イランの出
 方を見ながら交渉を続けていく意思のあることを確認した。ドストブラジ仏外相も「九
 月三日のIAEAの報告書を待って、次の出方を検討したい」と述べている。

 IAEAは非難決議の中で、イランのウラン転換作業再開に対して「深刻な懸念」を表
 明、米国も強く非難している。米国はEUがイランとの交渉に取り組んできたことを評
 価しており、イランがEUとのチャンネルを絶っていないことにも希望をつないでいる。
 だが、EUとしては、パリ合意が無視されたことを重大に受け止めている。

 イラン国内のメディアの中には、保守強硬派のアハマディネジャド新大統領が、経済問
 題など山積する内政問題から、国民の目をそらすために、核問題を利用し、米国やEU
 などの大国の干渉に屈しない姿勢を鮮明にしているとの見方もある。イラン政府は、
 「新内閣発足後にイラン側から新提案を出す」などと述べている。

 九月三日まで待って、イランに動きがなければ、EUとしても国連安全保障理事会への
 付託という選択肢にシフトせざるを得なくなる。そうなれば米国が強硬な解決策を打ち
 出してくる可能性も高く、一挙に中東は緊張状態に陥る。中東全体に反西洋の動きが加
 速する中、イラク復興も停滞状態で、この一週間のイランの動きが注目される。 
    Kenzo Yamaoka
==============================
軍人の母らクロフォードへ   
  
  マスコミはデボラ・ジョーンズさんについて、シンディー・シーハンさん(訳注:息子
 がイラクで戦死し、テキサス州クロフォードにあるブッシュ大統領の私邸近くで反戦運
 動をしている女性)にしたような大々的な取材をするだろうか。私たちは、それはない
 と思う。
 カリフォルニア州ローズヴィルの住民で、「北カリフォルニア・海軍軍人の母」の創立
 者であるジョーンズ夫人は、イラクに従軍している息子を持っている。彼女は「シンデ
 ィー、あなたは私の代弁をしていない」という名前の戦争支持者のグループを率いて、
 クロフォードへの1週間のトレッキングを行っている。彼女のしていることは、シーハ
 ン夫人に対抗するための精いっぱいの努力で、シーハン夫人のマスコミ報道は「絶対に
 いきすぎだ」と不満を述べ、さらに「これがわが国のリベラルなマスコミの実態なのだ」
 と付け加えて言った。

 ジョーンズ夫人は、8月の取材が一時的に沈静化した後に(クロフォードに)到着する
 のだし、戦争支持者だし、最悪なことに、ブッシュ大統領支持者ときているので、私た
 ちは、大手マスコミは、あくびをするのが関の山だということを予告しておく。マスコ
 ミは、ヴァカヴィル、サクラメント、フィーニックス、そしてダラスで彼女が目の前に
 現れても、そのまま見送り、反戦の抗議者や他の無秩序なイベントとの衝突でも起こら
 ない限り、彼女の27日のクロフォード到着も無視するであろう。マスコミは「神が息子
 の命を取り給い、天国に召し給うても、私は軍人男女を支援し、合衆国のわが大統領を
 支持し続けるであろう」という彼女の決意の言葉など、大勢順応主義の行動パターンだ
 として取り上げもしないであろう。

 ジョーンズ夫人の考えは、子供を失っていても、いなくても、軍人の親の気持ちをシー
 ハン夫人よりもはるかに良く代弁しているように思えるので、これは残念なことである。
 「私はシーハン夫人に深くお悔やみ申し上げる」「しかし、シーハン夫人の行動は、対
 テロ戦争に従軍中の愛する者を持っているわれわれのような者の心にただ痛みを起こさ
 せているだけである」とジョーンズ夫人は先週語った。同じことがニュージャージー州
 ピットマンのリン・ケリーさんについても言えるであろう。ケリーさんは2週間前に
 「グロースター郡タイムズ」紙に、「私だったら“ブッシュ、あなたは私の子供を殺し
 た。私はこのことを納得しない”というような言い方はしない」と言った。別の遺族の
 母親が言ったように、「(シーハンさんは)私の息子に起こったことについて何も言う
 資格はないのだ」。

 マスコミはそのような気持ちを全く分かっていないようである。CNNの21日のハワー
 ド・クルツ・ショー「信頼できる情報源」で、ゲストのワシントン・ポスト紙のデイナ
 ・ミルバンク記者は、ケリー夫人のような人たちのことはご存じないような話し方をし
 ていた。「この際、極めて興味深いことは、戦争を支持している『金星章の母の会』
 (訳注:子供が戦死した母親の会)の人が、表面に出てきている姿が多くは見られない
 ことである。シンディー・シーハンさんは批判の余地のない存在のようになっている」
 と語った。そんなことは、注意を怠っていて初めて言えるように思える。

 このすべては、普通だったら野党がするようなやり方で、大手マスコミがブッシュ氏に
 反対し、喧嘩(けんか)腰の態度を取り始めている、ということのさらに大きな証拠で
 ある。しかし、民主党員が野党として、その役割を果たすべきかどうかを、麻痺(まひ)
 したように決められずにいるために、大手マスコミがそれを引き受けているのである。
 大手マスコミは、保守派の批判者が長年非難している政治的現状改革運動を、ほしいま
 まに行っているというわけだ。(8月23日付)世界日報掲載許可
       Kenzo Yamaoka
==============================
スンニ派が対案を提示 イラク憲法草案修正協議(ASAHI)
2005年08月28日00時28分

 イラクの新憲法草案を巡る修正協議は27日、イスラム教シーア
派が示した修正提案に対するスンニ派側からの対案が示された。ス
ンニ派の交渉担当者がAP通信に語った。 

 同担当者は「今日、示した修正提案が入れられなければ、シーア
派、クルド両勢力が成立したと主張する草案に、同意できない」と
明言。10月の国民投票で、否決を目指す動きを再確認した。 

 草案を巡る修正協議は、国民議会議長の裁量で28日まで2日間
、延長された。28日には議会定例会が予定されており、この場で
最終的な結論が示される見通しだ。 
==============================
米大統領、対テロ・イラク政策の支持訴え   
   
 国内で政権への風当たり強まる
民主、敵失ものにできず
党指導部とリベラル派が路線対立

 イラク情勢の先行きが見えないことなどから、米国内ではブッシュ政権への風当たりが
 厳しくなっている。そうした中、ブッシュ大統領は、「対テロ戦争」「イラク戦争」の
 意義を改めて訴えながら、国民に理解を求めるキャンペーンを展開。一方、野党・民主
 党は、ブッシュ政権のつまずきを反転攻勢のチャンスに生かし切れずにいる。(ワシン
 トン・三笘義雄)

 ブッシュ大統領は二十日の週末ラジオ演説で、「米兵たちは、米国民を残酷な敵から守
 るために、イラクやアフガニスタン、全世界で戦っていることを知っている」と語り、
 米国がテロリストに海外で攻勢を掛けなければ、「いつかわれわれの街や通りで立ち向
 かわなければならなくなる」と警告した。さらに「米国民すべての安全がこの戦争に懸
 かっている」と述べ、「対テロ戦争」継続の必要性を訴えた。

 大統領は、二十二日にはユタ州ソルトレークシティーで開催された退役軍人の集会で演
 説。「イラクは対テロ戦争の最前線」と指摘した上で、「撤退と孤立の政策は、われわ
 れに安全をもたらさない。われわれの国民を守る唯一の道は、テロリストの後を追って
 彼らがいる場所に行くことだ」と語り、「任務完了」まで米軍のイラク駐留を続ける決
 意を改めて示した。

 イラクでの米兵の戦死者が千八百人を超えてさらに増加する中、米国内ではイラク戦争
 に対する厳しい見方が拡大。そこにガソリン価格高騰なども重なって、ブッシュ大統領
 の支持率は、各種調査で軒並み50%を割ってジリ貧傾向にある。

 そうした状況もあって、「夏季休暇中」のブッシュ大統領は、「対テロ戦争」「イラク
 戦争」の意義を改めて国民に想起させる必要に迫られている。二十日の週末ラジオ演説、
 二十二日の退役軍人集会に続き、二十四日にはアイダホ州で地元州兵を集めて演説が予
 定され、現在は、対テロ・イラク戦争への支持回復キャンペーンを展開中だ。

 ブッシュ政権が守勢に回らざるを得ない状況にある中、身内の共和党からも、一部に公
 然とブッシュ政権のイラク政策を批判する動きが出ている。

 共和党のチャック・ヘーゲル上院議員(ネブラスカ州)は二十一日、ABCテレビの政
 治討論番組に出演し、「米国の(イラクへの)関与によって、中東を不安定にしてきた」
 と主張。「われわれは現在、ベトナム戦争の時のような泥沼の問題にはまり込んでいる。
 われわれのイラク駐留が長くなればなるほど、たくさんの問題が生じてくるだろう」と
 語り、イラク戦争が「ベトナム戦争化」するのを防ぐために米軍は速やかにイラクから
 撤退すべきだと語った。

 野党・民主党議員でも、ここまでストレートにイラクの「ベトナム化」や早期米軍撤退
 を声高に叫ぶ議員は少数だ。ヘーゲル上院議員をはじめ、ブッシュ政権を公然と批判す
 る共和党議員が出てくる背景として、二〇〇八年大統領選への出馬をにらみ、現政権と
 の距離を強調することで、党内外に存在感を示す目的があるといった冷めた見方もある。

 一方、イラク情勢がなかなか好転を見せないにもかかわらず、米国内がベトナム戦争当
 時のように反戦ムード一色になる気配はない。また、ブッシュ政権への不満が、野党・
 民主党の支持率アップに結び付いているわけでもないようだ。

 世論調査会社ゾグビー・インターナショナルのジョン・ゾグビー氏は、「民主党は、ブ
 ッシュ大統領に深刻な打撃を与える面でも、米国民に意義あるメッセージを伝える面で
 も、得点を稼いでいるわけではない」と述べている(ワシントン・タイムズ紙十九日付)
 。

 これは、民主党がブッシュ政権の政策に対する有効な代替案を提示できていないのに加
 え、ブッシュ政権のイラク政策を基本的に容認している党指導部と、より強硬にブッシ
 ュ政権攻撃を展開すべきだと考えるリベラル派活動家グループなどとの路線対立から、
 党として一致した戦略を打ち出せないでいることが原因とみられている。世界日報掲載
 許可
    Kenzo Yamaoka
==============================
中ロ軍事演習とネットワーク   
   
 注目される解放軍IT化/軍事力を測る大きな尺度に
元統幕議長 杉山 蕃
数量性能に加えIT化に関心  世界日報掲載許可

 中国とロシアの軍事共同訓練実施について、報道されている。「米国・日本を意識した
 演習である」とか、「ロシアにとっては、兵器輸出の最大の顧客である中国であるから、
 絶好の機会である」といった論旨に引きつづき、「米国は最大の興味を持って注目・情
 報入手に務める」といった内容で締めくくられている。たしかに、中国の軍備拡張はハ
 イペースであり、目を瞠らせるものがある。曰く、キロ級潜水艦、サンバーン対艦ミサ
 イル、SU−27、SU−30新鋭戦闘機、そして国産と言われる漢級原潜、J−10
 戦闘機、東風11、15、21、31といった各種弾道ミサイル等々である。しかし、
 これら新鋭兵器の運用度も興味あるところであるが、むしろ解放軍組織がどこまでIT
 化されているか、どこまで情報化が進んでいるかにあるという点が、米国をはじめ、我
 が国を含めて、さらに興味がある事項であろうと思われる。

 軍事力を測る尺度は、色々な種類がある。代表的なのは、今なお主に使用される戦車何
 両・艦艇何トン・戦闘機何機といった絶対的数量と、何々級・何世代あるいは新鋭・新
 型といった言葉で表現される性能の新旧度であろう。しかしここ数年、新しい強力な尺
 度が注目されるに至っている。それが「IT化」「ネットワーク化」というスケールで
 ある。本年の防衛白書にも取り上げられているごとく、情報通信技術の大幅な進歩に伴
 い、軍事分野においても米国を先頭に革命的変革が進んでおり、今後の作戦は、部隊装
 備のIT化を前提に、ネットワーク中心の戦闘へと変化しつつある。これは、衛星をは
 じめとする各種の情報収集システムを通じて得た情報をリアルタイム処理し、ITを通
 じ必要な情報を関係全部隊が共有し、司令部の迅速な指揮活動により、最も効率的に作
 戦を遂行する能力といってよいだろう。

ITネットワーク化進む周辺

 また、同盟国、連合軍など多国籍で行動する場合には、リンクを結ぶことにより、それ
 ぞれの持つ情報を共有し、それぞれの状況を確認しつつ無駄なく行動することができる
 のである。その効果は、イラクにおいて本格的な地上戦なく、イラク軍を撃破した迅速
 精密な攻撃、浮上せぬまま航行を続けた中国原潜の、わが国領海の侵犯を、間髪を入れ
 ず公表追及した事案等で明らかである。

 このIT化という尺度で、わが国周辺諸国の軍事力をみると、まず韓国は、韓国軍とし
 ての軍備であると同時に、米韓連合軍としての装備でもあり、有事に米軍人指揮の下、
 連合・協同作戦を実施することから、IT・ネットワーク化は進んでいる。また、定期
 的に行われている米韓共同演習の積み重ねで、その錬度は高いと見るべきであろう。台
 湾は、かつて本欄でコメントしたが、中国の横槍でアーレイ・バーク級イージス艦の導
 入はできなかったものの、キッド級駆逐艦・F−16戦闘機の導入により、米国データ
 リンク・システムとの提携能力は一段と向上するものと考えられる。わが国は、当然の
 ことながら、日米安保に基づくわが国の防衛、周辺における重大事態に有効に対処する
 ため、イージス艦、AWACS、バッジシステム等海空自衛隊を中心に、必要に応じ米
 軍と情報交換が可能な体制にあり、陸上自衛隊も、中核部隊のIT化、デジタル化に本
 腰を入れつつある。

産業能力生かしていない日本

 このような趨勢から、中国人民解放軍にあっても、〇四年国防白書において「情報化を
 核心とする中国の特色ある軍事変革を積極的に推進する」旨明言しIT化ネットワーク
 化を大きな目標としている。そして、中国自体の高い防衛費の伸び率、サイバー戦では
 最先端を行くと言われるコンピューター応用技術を勘案すれば、新鋭装備主力の導入元
 であるロシアとどの様な形態でネットを組むのか、独自開発を行うとすれば、どの程度
 システム化が進んでいるのか、大なる興味を持って注目していく必要があるのである。
 すなわち、IT化、ネットワーク化は近代化を進める中国軍事力を測るキーポイントと
 言えるのである。

 わが国の、軍事IT能力について付言するならば、米国との情報交換については前述の
 通りであるが、本来わが国が持っているIT産業能力からみると、その能力を発揮して
 いるとは言い難い。防衛庁・自衛隊の組織を見ても、在来組織の中で処理している状態
 と見て良いだろう。人材養成・専任組織の新編・民間能力の活用など意欲的に、今後の
 作戦能力を確実に左右するであろうこの分野で、「戦力育成・能力向上」に努力すべき
 であることを声を大にして訴えるものである。

    Kenzo Yamaoka
==============================
ロシアが中国と初の合同軍事演習   
   
 上海協力機構の「軍事ブロック化」も 
 「台湾侵攻」を想定した上陸作戦などを含む初の中ロ大規模合同軍事演習「平和の使命
 ―2005」は二十五日に終了したが、そのわずか一週間後の九月初め、ロシアはウズ
 ベキスタンとの合同軍事演習を実施する予定だ。ロシア軍首脳はさらに大規模な中ロ合
 同軍事演習を行う方針を示しており、ロシア、中国と中央アジア四カ国でつくる上海協
 力機構(SCO=インド、イラン、パキスタン、モンゴルは準加盟)が「軍事ブロック
 化する」との指摘もある。
(モスクワ・大川佳宏・世界日報掲載許可) 
米国や台湾への牽制が実施の目的
来月初めにはウズベキスタンとも 
 「民族衝突が発生した架空の隣国に対し、その衝突が終わった後に、治安回復のための
 支援を行う訓練――」。ロシア軍が公表した演習計画を信じれば、これが今回の中ロ大
 規模合同軍事演習「平和の使命―2005」の内容である。ところで、ロシアが軍事演
 習に投入した戦略爆撃機ツポレフ95や爆撃機ツポレフ22M、通常型潜水艦が行う治
 安活動とは、一体どういうものなのだろう。
 各国のマスコミが報じるように、合同軍事演習の最大の目的は、山東半島で「台湾有事」
 を想定した上陸作戦を行い米国や台湾を強く牽制(けんせい)し、米国が深い利害を持
 つ極東や中央アジアでの中ロのプレゼンスを誇示することだ。同時にこの合同演習は、
 軍の近代化を推し進めたい中国と、兵器輸出を拡大したいロシアの思惑が合致した産物
 である。
 ロシア、中国の行動の背景には、中央アジアなど旧ソ連諸国で影響力を強める米国への
 いら立ちがある。ロシアはウクライナのオレンジ革命など一連の「カラー革命」を米国
 が支援したと批判しており、中国も背後から同国をうかがう位置にあるキルギスなどの
 駐留米軍を警戒する。中ロが主導するSCOは七月の首脳会議で、「SCO加盟国内に
 おける外国軍隊駐留」に関する共同宣言を発表し、中央アジアからの米軍の早期撤退を
 要求した。
 このような流れの中でロシア軍のバルエフスキー参謀総長は、SCOの利益のためにロ
 シア軍と中国軍がより高い次元で協力することができると指摘し、中ロ両国合わせて一
 万人の兵員と百四十隻以上の艦船が参加した今回の演習よりも、さらに大規模な中ロ合
 同軍事演習を行う方針を示している。

 さらにロシアは、中ロ合同軍事演習の終了からわずか一週間の九月初め、ウズベキスタ
 ンとの合同軍事軍練を行う予定だ。ウズベキスタンのカリモフ政権は、五月に同国東部
 アンディジャンで発生した暴動鎮圧で米国の非難を受け、同政権を全面支持するロシア
 に擦り寄った。カリモフ政権は、中央アジア最大の規模を誇る同国ハナバド空軍基地に
 駐留していた米軍に撤退を要求し、米軍はアゼルバイジャンに移転。一方で米軍撤退を
 受け、ロシア空軍・空挺部隊がハナバド基地駐留を開始した。

 ところで、SCOが中央アジアからの米軍早期撤退を要求した七月の首脳会議で、イラ
 ン、インド、パキスタンが準加盟を果たした。イラク攻撃や、「カラー革命」による旧
 政権退陣・親米政権発足を目のあたりにした各国が、“内政干渉”を防ぐためにSCO
 に参加する方針に傾いた、との分析がある。

 中ロを中心に米国排除の姿勢を鮮明にしたSCOにイランやインドなどが正式加盟すれ
 ば、米国を牽制する軸としてのSCOの存在は極めて大きなものとなる。「インドがS
 COに正式加盟すれば、ユーラシアを包括する軍事ブロックが出現する可能性があり、
 冷戦終結後につくられた(米国)一極集中世界に対抗することができる」と、中ロ合同
 軍事演習のロシア側指揮官モルテンスコイ大将はロシア紙のインタビューで、このよう
 に強調している。
    Kenzo Yamaoka

 
 


コラム目次に戻る
トップページに戻る