2080.郵政民営化反対派に反論



民営化反対派の論理を検証し、それに反論を述べよう。 Fより

(主張1)民営化すると、米国企業が郵政会社を乗っ取ると見てい
るようである。(株式日記、阿修羅など)

これの対応は簡単である。「特に持株会社に4社株放出後一定の買
戻し権を持たせる」ことを条件にすれば良いだけである。米企業支
配から守る方法は、他に51%以上を政府が持つでも、日本人が
51%を持つと言うNTT会社法などの条項を取り入れるだけで良
いはずである。
ところが、自民党反対派は4社一体などの特定郵便局を守ることを
優先して間違えた要求をして、51%条項を協議していない。
民社党に至っては、民営化反対で対案さえ出していないのが現状で
すよ。どこを選び、この条件を加味させるべきか明確ではないです
か??

(主張2)郵貯資金330兆円が米国企業に取られる。(株式日記)

現状の郵政公社の貯金金利は、民間金融会社より高い金利を支払っ
ているが、330兆円の2/3は不良債権化した公共事業への貸出
しである。道路公団や林野庁などで、この債権は固定化している。
300兆円以上は、大蔵省資金運用部が公的機関に貸し出した政府
が保証している債権で、当分返す当てが無い債権で、もしこの債権
を売ると、30%以下の値段しかつかないでしょうね。金利の数%
程度の一種の劣悪なジャンク債ですよ。このような不良債権を持つ
企業を正規の値段で買うことを米国企業はしない。資本の論理です
から間違いない。株式日記の主催者やそこに載る人たちの経済セン
スは最低で、主催者はよくそのような評論家を見つけていると関心
すること仕切りですね。

郵政公社で運用できる資金は30兆円以下でしょうね。このため、
会社になって、全部を米国へ投資するとしても、できる金が30兆
円程度ですよ。

しかし、今までのように資金を国債や地方債で運用すると、預金金
利や事務経費の方が高くて赤字になると生田総裁も述べている。
リスク資産に運用を広げる必要と言うが、この意味は民間企業への
直接投資などで、ここでも大手民間銀行が民間企業への直接投資を
実行して、1000億円以上の巨額の利益を出している。この権利
を欲しいということである。

今までのような地方の赤字高速道路などの公共事業に投資しても、
日本の将来は明るくないし、公的投資は日本を暗くしている。民間
企業に直接投資した方がいいに決まっているではないですか??
その民間企業への直接投資を禁止すると反対派は主張している。反
対派は反日親中の人たちで、反米の日本にして中国のために日本を
作り変えようと主張しているように感じる。

米国経済を見ると、日本企業の侵略が激しくGMがトヨタに負けて
赤字転落になるし、ソニーのように米国の映画会社を買収して利益
を出して、日本で作るAVが大幅赤字になって、米国買収企業の利
益で会社が成り立つと言う企業も出てきている。日本企業ではホン
ダ、日産、富士重工や船井電機、松下など多くの日本企業が米国で
の利益で成り立っている。これを問題にしないのが米国ですよ。
トヨタ、ホンダなど自動車業界の米国での利益は、毎年1000億
円以上ですよ。新生銀行でハゲタカファンドが300億円を儲けた
のとは、レベルが違いすぎですよ。
この面を株式日記などの反米家は触れようとしない。片手落ちであ
る。

しかし、ユノカル買収で中国への米国の反発で分かるとおり、日本
は米国の同盟国として、日米が最重要国家同士であるから、ソニー
に米国の魂である映画産業を売り渡したのですよ。もし、日本全体
が反米になったら、日本企業の追い出しが起こるでしょうね。米国
と日本は同一経済圏的に扱うことを米国は求めている。

しかし、今の現時点を見ると、そのような同一経済圏で得をしてい
るのは日本企業のような気がする。グローバルリズムは日本にとっ
て得なのです。このコラムの継続した主張です。

(主張2)米国の『年次改革要望書』で日本に民営化を迫っている
と言う。(株式日記、阿修羅など)

その本文が米国大使館のHPにある。該当部分を見ると、
民営化:
「本年の米国の提言の柱は、日本郵政公社の民営化が日本経済に最
大限の経済的利益をもたらすためには、意欲的かつ市場原理に基づ
いて行われるべきであるという原則である。真に市場原理に基づい
たアプローチというものは、日本の保険、銀行、宅配便市場におい
て歪められていない競争を確保することを含まなければならない。

日本郵政公社に付与されている民間競合社と比べた優遇面の全面的
な撤廃は必要不可欠である。これらの優遇面は、米国系企業および
日本企業の双方にとって同様に、長年の懸念となっている。経済財
政諮問会議は、9月10日に発表した「郵政民営化の基本方針」におい
て、日本郵政公社と民間企業との間の「競争条件」の均等化の重要
性を確認することにより、重要な一歩を踏み出した。

 米国は、日本郵政公社と成田国際空港、日本道路公団等の他の組
織の民営化が成功することを期待している。これは、複雑で挑戦的
な取組みではあるが、効果的に実行できれば日本経済と日本の企業
、消費者に大きな利益をもたらすことになる。」

と言うように、日本の経済財政諮問会議が9月10日に発表した「郵
政民営化の基本方針」を支持しているだけで、米国から民営化を要
求していない。要求しているのは、民間企業と同様の条件にして欲
しいということである。
米国の郵便事業は国営であるが、米国には金融機能が無い。
それと、UPS、VHLなどの民間宅急便会社は米国郵便事業と同
様の競争条件があるし、郵便事業と同様な米国郵便監査機関の審査
を受けることになっている。条件が一緒である。米国の郵便事業は
日本より、人口の粗密が激しいために、郵便事業を民営化すると経
営が成り立たない。このため、郵便事業を民営化しろとは言えない
ようである。競争条件を一緒にして欲しいということである。

(主張4)民主党の海江田万里は、日本の社会を「競争ではなく共
生」で、小泉自民党の改革は競争万能の社会で、社会にいわゆる勝
ち組と負け組みができたことです。と批判している。

民主党の主張は大きな政府を作り、民に任せずに官が非効率な仕事
してでも平等が重要と言う。社会主義国家建設を目指しているよう
なことを言う。そのような改革を国民は望んでいない。農村を保護
したために、農村人口は急激に減少し、農産業全体が衰退した。日
本国家全体でも国民保護したら、日本の競争力は大幅に減退するで
しょうね。

国民が望んでいるのは、「官から民」へ仕事を移して、小さな政府
を作り、勝ち組と負け組が出来ることは仕方が無くて、その格差を
是正するために税制や福祉の充実で、セーフティネットという最低
レベルの生活を補償することである。それと次世代の子供達を生む
や育てるための支援である。このような格差是正処置が移民で多民
族社会の米国ではできない。ここが大きく違う所であり、単一民族
である欧州諸国と同様な福祉の仕組みにすることである。そして、
勝ち負けの日本の仕組みは欧州ではなく、米国の競争社会と同様に
するべきである。

公的機関や公共事業を減らして、格差是正や福祉、防衛や治安維持
の警察などに予算を廻す必要がある。
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郵政公社 新事業への参入頓挫 収益先細りに危機感(ASAHI)
2005年08月09日02時02分

生田正治総裁は8日夕、記者団に「公社のままでも、まだまだ改善
の余地がある」と経営努力を続ける姿勢を強調したが、「郵便局網
の維持がだんだん重荷になる」と危機感もにじませた。 

黒字の大部分を稼ぐ郵便貯金も、過去に旧大蔵省資金運用部に預け
た預託金利息頼りなのが実情で、先細りは確実だ。民営化の頓挫で
、リスク資産へ運用を広げる道が断たれれば、国債中心の運用を続
けざるを得ず、収益向上の展望は開けない。簡易保険(簡保)も公
社のままでは、競合する民間並みに商品群を用意することは難しい。 

 生田総裁は国会で、公社のままなら、経営悪化のしわ寄せが利用
者に回る可能性を示唆し、「公社が生き延びる選択肢は、公社法に
民間並みの経営の自由度を与えてもらうか、難しいなら早期の民営
化で完全に自由に経営をさせてもらうことだ」と何度も訴えた。 
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増田俊男の時事直言bR14

私の見解は「特に持株会社に4社株放出後一定の買戻し権を持たせ
る」ことを条件に郵政民営化賛成である。郵政民営化による経済活
性効果は(竹中大臣指摘の通り)確かに大きいし、国際経済にも貢
献する。ただし郵便事業で民営化して採算が取れるものはすべて民
営化すべきだが、どうしても採算が取れない部分は公営事業にすべ
きである。重要な点は貯金会社と(簡易)保険会社が外資のM&A
に対抗できるよう持株会社の4社株買戻し権だけは温存すべきであ
る。こうした諸点を候補者に確かめてもらいたい。
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解散総選挙:小泉自民党勝利の予感   
   
 「小泉自民党勝利の予感」などといっても、私は「閃き人間」であり、この
閃きが当たるかどうかは分からない。当たるも八卦、当たらぬも八卦と承知
してください。その上で以下の産経新聞の記事を見て頂きたい。 

★郵政民営化…黙殺できず 苦悩の民主(産経新聞8月11日) 

 衆院選が自民党の分裂選挙になることで民主党は漁夫の利を得るとみられて
いたが、党内には「郵政民営化をめぐる自民党内の対立が予想以上にクローズ
アップされ、存在感を示せない」(幹部)との危機感が、早くも広がり始めた。
岡田克也代表ら執行部は自民党と同じ土俵に乗らないことで「郵政選挙」の
色彩を薄めることに躍起だが、「郵政民営化に対する立場を明確にしないと
戦えない」(中堅)との声も漏れ、戦略見直しを迫られる可能性もある。 

 「有権者の目がマイナーな話に向くことは日本の将来にとって不幸だ」 

 岡田代表は十日、記者団に、自民党内の対立に民主党が埋没することは
ないとの見方を示しつつも、郵政問題を「マイナーな話」だと表現し、争点
になることへの懸念をにじませた。 

 自民党が分裂選挙となれば「自民系候補」が共倒れし、民主党に有利に
なるとの見方があった。だが、「自民党の内ゲバ」(民主党幹部)によって
郵政問題はいっそう脚光を浴びる流れになっており、「郵政問題について
ほおかぶりを決め込めば蚊帳の外に置かれ、頼みの無党派層から見放される」
(中堅)との不安が広がり出した。 

 公認をめぐり自民党が分裂した四月の衆院宮城2区補選では、民主党は
当初、有利だとみられていたが、ヒートアップする自民党内の対立に有権者
の関心が集まり、民主党は敗北を喫した経緯がある。「郵政解散」を受けた
マスコミ各社の世論調査で小泉内閣の支持率が軒並み上昇していることも、
民主党の危機感に拍車をかけている。 

 このため党内には、民営化の是非をあいまいにしたまま「日本郵政公社
をスリム化する」とした党の見解を踏み越え、「民営化賛成」を公言する
候補も出てきた。 
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郵政民営化の問題は単なる郵政公社の問題ではない。それは「改革」の象徴
になっており、郵政改革を大手全国紙のすべて(右の読売/産経から左の
朝日/毎日まで)が支持したことによって小泉自民党が「改革政党」として
認知された。

だからこそ、郵政法案に反対した造反組も、この「時流」を踏まえて自民党
を離党しなかった/できなかったのである。

従って、民主党は、「いや違う。自分達こそが改革政党」との証明を有権者
から求められている。果たして彼らが9月11日の投票日までに有効な証明
をできるかどうか、そこに民主党の勝利/敗北の分岐点がある。 

しかしながら、海江田万里のメルマガを見ると、「衆議院解散をうけて
立つ!」、「『改革のようなもの』では意味がない」、「自民党政権では
もう限界だ」などと勇ましいのだけれど、「★民主党の目指す本当の改革」
を見てみると、次のようなことが書いてある: 

小泉総理になってから4年3ヶ月の間に、確かに日本の様相はそれまでの
日本と違ってきました。その姿は競争万能の社会で、社会にいわゆる勝ち組
と負け組みができたことです。経済の面で競争が存在するのは当然のこと
ですが、その原理が社会全体にまで拡大し、子供たちが夢と希望を無くして、
「希望格差社会」などと呼ばれるようになったのは、政治の貧困、政治の
責任放棄に他なりません。私は、日本の社会は「競争ではなく共生」つまり、
一人ひとりが『Only One』としての自覚と尊厳を持ち、それをお互い
が助け合って行く、そんな社会を目指すべきだと思っています。 
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要するに、競争はいけない/弱肉強食(=資本主義)はいけない。すべての
弱者を政府が面倒を見て、「みんな仲良く」の「共生」で行きましょう、と
いう「大きな政府」路線じゃないか。

こんな「社会主義」で日本が再生するわけがない、と私は考えるのです。 
       Kenzo Yamaoka


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