2073.日本の改革について



郵政民営化で議論していないことを、今週も論じようと思う。
                         Fより

日本の構造改革をしないと、21世紀の早期に中国に経済的・軍事
的に抜かれることが確実である。日本より人口が多く、かつ人件費
が安いために、日本の工場は中国に移転している。この工場群のほ
とんどは日本に戻ってこない。中国の元が値上がりすると東南アジ
アに移転されていくだけである。

日本の高速道路は、1980年代日本の都市部から農村部に工場を
移転させて労働の地方分散をさせたが、現在、地方の人口はお年寄
りだけになり、高速道路を造っても交通量がない、そこには資金投
入量に見合った価値がないのです。日本の可能投下資金を公共事業
より地方を含めて福祉事業に転換する必要があるのです。このため
今までのように郵貯資金を公共事業に投入してはいけないのです。

低付加価値の商品を中国や東南アジアが生産しているために、日本
企業は高付加価値製品を生む必要がある。このためには日本企業は
米国企業と同様に革新性を求められているのです。あの有名なソニ
ーでさえ保守的になり、革新的な製品がないと衰退するのです。

革新性がないと企業の衰退が起こり、最後には倒産になるのです。
このためには企業間の自由な競争環境が必要になっている。電話事
業を見れば分かる。日本電信電話公社時代には考えられないような
発展と技術革新をNTTの民営化かつ競争原理の導入で日本社会は
享受している。インターネットでは光ファイバーの導入は日本が一
番になっている。その上にブロードバンド映像サービスなどの革新
的なビジネスが出てきている。

通信の民営化で米国などの外資が参入したが、日本企業の猛然とし
たスピードについていけなく、ほとんどの外資は撤退している。今
、残っているのはボーダファンだけであるという事実を確認してほ
しい。このように日本人は優秀であり、米国人や欧州人にスピード
で負けるはずがない。この事例があるにも関わらず、議論が外資の
日本支配という評論家がいることに、情けなさを感じる。民営化し
た国鉄と電電公社のその後を調べるべきである。

1990年以降、日本のバブル期に高い値段で造った赤字の施設を
外国のファンドが買収したが、とうとう日本企業や銀行は利益を回
復して、今までのように外国のファンドが甘みを得ることはない状
態になっている。その良い例が、不動産の外国のファンドは日本か
ら撤退している。ビルの値段が回復して、もう甘みがないようだ。
代わって、日本の不動産ファンドが出てきている。日本は金融面で
も復活している。銀行の利益を見れば分かる。それに引き換え、米
国のヘッチファンドは資金が枯渇して撤退している。この事実があ
るし、米国の不動産価格が高騰して、いつバブルが崩壊するか心配
な状態になっている。米国は確実に金融面でも衰退し、日本が復活
している。

郵政民営化で、その資金が外資に回ると言う意見があるが、その運
用は米国の成績の悪いファンドではなく、日本の成績のいいファン
ドにいくだけである。郵政会社の運用者は日本人であり、その運用
を会社にとって一番いいと思う所にするだけですよ。

なぜ、米国の言いなりになると言う論理が出てくるのか、分からな
い。民間会社は利益最大にすることを求められる。このため、その
ように運用するだけですよ。それも運用者は日本人ですよ。海外投
資には不安を感じるでしょうから、外内のバランスはどうなるか、
分かるではないか。会社の運営方法も分からない人たちが、メチャ
メチャな陰謀論を言っているだけである。

日本の議論レベルが低すぎる。もう少し、考えてから議論してほし
い物である。日本の構造改革ができないと、日本の衰退が迫ってい
る。保守ではダメで、明治維新と同じ改革をしているという意識が
必要であると思うが、小泉首相ガンバレ!!!!
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社説1 「良識の府」の真価が問われる参院(8/6)(nikkei)

 参院郵政民営化特別委員会は与党の賛成多数で、郵政民営化法案
を可決した。法案は8日の参院本会議で採決される予定だ。自民党
執行部による反対派議員の説得は功を奏しておらず、法案が否決さ
れる可能性が高まっている。否決された場合、小泉純一郎首相は衆
院を解散して信を問う構えを崩していない。内閣の命運がかかる際
どい局面を迎えた。

 参院自民党内ではかねて民営化反対論が多かった。依然として法
案の中身への反発もくすぶるが、首相と反対派との対立はもはや政
策論を超えて、首相の政治手法への反発や、「小泉おろし」の思惑
が絡んだ権力闘争の様相を強めている。しかしここは冷静になって
、法案が否決された場合の損失を考える時である。

 郵政法案を巡る党内対立が激化したあおりで、すでに来年度予算
の概算要求基準(シーリング)の策定や、規制改革の中間答申決定
が先送りされるなどの影響が出ている。衆院が解散されれば長期の
政治空白が生じるのは必至で、内閣総辞職の場合でも政治の混乱を
招き、国政の停滞は避けられない。

 小泉構造改革の本丸である郵政法案が葬られることになれば、政
府系金融機関の統廃合や、国と地方の税財政改革(三位一体改革)
、医療制度改革など他の政策課題にも計り知れない打撃を与える。
郵政民営化は自民党のマニフェスト(政権公約)の柱である。党内
の造反で実現できなくなれば、自民党への信頼感も大きく損なわれ
るだろう。

 私たちはこの法案は問題があると考えるが、民営化の意義を踏ま
えれば、今国会で成立させたうえで、問題点を手直しするのが現実
的な選択であると主張してきた。自民党には重ねて公約の実現を求
めたい。

 現在の二院制のもとで、参院には「良識の府」としての役割が期
待されている。衆院とは違って解散がなく、6年間の長い任期が保
証されている。参院の利点としては、長期的な視点に立った政策立
案能力などが挙げられる。郵政民営化は本来、大局的な見地から参
院が判断するのにふさわしいテーマである。

 現行憲法は法案の成否について、衆参両院にほぼ同じ権限を与え
ているが、政局に与える影響という点では、抑制的な態度で臨むの
が参院のあるべき姿だろう。参院は時に衆院のカーボンコピーと揶
揄(やゆ)されるが、今回の本会議採決では議員1人ひとりがかつ
てなく重い責任を担っている。国の針路を誤らぬよう、「良識の府
」の参院らしい判断が示されることを切に望みたい。
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■【主張】郵政国会 構造改革つぶすつもりか(サンケイ)

 郵政民営化関連法案が参院特別委員会で与党の賛成多数で可決され、八日に参院本会議
 で採決されることが決まった。本会議で自民党から十八人が反対に回れば、法案は否決
 される。現状はまったく予断を許さないという。
 これほどおかしな事態はない。

 自民党参院議員百十四人のほぼ全員は、小泉純一郎首相が掲げる改革の旗の下で二回の
 選挙を戦った。この意味は、小泉改革の実現が国民との公約ということだろう。

 小泉首相の総裁選出馬は四回を数えるが、いずれも郵政民営化を訴えている。首相が改
 革の本丸と位置づける郵政民営化に反対することは、当選するときだけ、首相の看板を
 利用したとのそしりを免れない。

 参院が政局の帰趨(きすう)を決することが果たして適切か、という問題もある。郵政
 法案は僅差(きんさ)ながら衆院を通過した。良識の府である参院が本来の機能を果た
 さず、自民党内の権力闘争をそのまま持ち込んでいるようでは、参院無用論は高まらざ
 るをえない。

 忘れてはならないのは、郵政民営化が日本の将来にとって、なんとしても断行すべき課
 題だということだ。

 この改革が頓挫すれば、構造改革全体に甚大な悪影響を及ぼし、「小さな政府」は実現
 できまい。

 金融・資本市場に与える影響も大きい。市場を支配する外国人投資家は改革の進捗(し
 んちょく)状況を投資判断基準にしている。株、債券を合わせた“日本売り”に入る危
 険性がある。すでに五日の東京株式市場は政局の混乱を嫌って、急落した。

 改革は痛みを伴うが、改革しなければ痛みはさらに大きくなる。生田正治日本郵政公社
 総裁も「この先確実に売り上げも利益も減る。公社のままでの改革が難しいならば、良
 い民営化が選択肢になる」と述べている。

 民主党衆院議員だった松沢成文神奈川県知事でさえ「郵政民営化は構造改革の最重要課
 題の一つ。参院議員諸兄には国家百年の計に立ち、良識ある判断を下されるよう強く求
 める」との緊急メッセージを発表した。さらに「国営企業の民営化は民主党が取り組む
 べきテーマだ」とも語っている。

 国民は参院本会議でだれが反対票を投じるのか厳しく監視している。


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郵政法案否決なら即日解散…首相決断

 小泉首相は5日、郵政民営化関連法案が8日の参院本会議で否決
された場合、同日中に衆院解散を断行する意向を固め、政府・自民
党幹部に伝えた。

 同党執行部や賛成派の派閥幹部らは説得工作を続けているが、反
対派は勢いを増しつつある。与党執行部内では「法案の成立は厳し
くなった」との危機感が強まっている。

 首相は5日夕、首相官邸で自民党の武部幹事長と会談し、法案成
立に向けて反対派の説得に全力を挙げるよう指示した。武部氏との
会談後、首相は記者団に「成立、否決の可能性、五分五分だと言っ
ている。最後まで頑張らないといけない」と語った。さらに、首相
は同日夕、首相官邸で麻生総務相と会談し、麻生氏が「解散すれば
法案も廃案になる。成立させる方法を探るべきだ」と進言したのに
対し、「可決されれば解散はない。否決されれば解散する」と強調
した。

 首相は、法案不成立は小泉内閣の不信任と同じだとの考えを重ね
て示しており、法案否決直後に解散することで、郵政民営化を衆院
選の争点として明確にしたいとの思惑があるものとみられる。

 また、同法案が参院で否決された場合、〈1〉衆参の両院協議会
で成案の取りまとめを目指す〈2〉衆院本会議で3分の2以上の多
数による再議決を目指す――の選択肢もあるが、首相は、自民党内
の反対派や野党の協力が得られる見込みがないと判断している。

 これに関連し、衆院議院運営委員会は5日、川崎二郎委員長(自
民)の職権で8日午後の衆院本会議を設定した。首相が解散を決め
た場合、この衆院本会議で河野衆院議長が解散詔書を読み上げ、解
散する段取りを想定したものだ。政府・自民党内では、8日解散の
場合、衆院選日程を「23日公示、9月4日投票」「30日公示、
9月11日投票」とする案が検討されている。

 こうした党内情勢について、自民党の森前首相ら森派幹部は5日
、派閥事務所で協議し、「参院亀井派会長の中曽根弘文・元文相が
法案反対を表明したことで、否決の方向が明確になった」との認識
で一致した。公明党の東順治国会対策委員長は記者団に対し、「解
散が現実のものとして大きく目前に広がってきた」と述べた。

 ただ、森氏と、山崎拓前副総裁、高村正彦・元外相、小里貞利・
元総務庁長官は5日、都内のホテルで会談し、解散回避に向けて努
力していくことで一致した。森氏は党本部で、武部幹事長と会談し
、〈1〉法案可決に向け、執行部が反対派説得に全力を挙げる〈2
〉法案否決の場合でも、解散しないよう首相に働きかける――こと
などを求めた。
(読売新聞) - 8月6日8時49分更新 

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