2069.世界の多極化について



米国の衰退で、世界から米軍が引き上げている。  Fより

欧州や韓国から5万人以上の兵士が米国に撤退する。米軍は軍の新
兵募集もできない状態で、イラク13万人の交代要員もなく、イラ
クからも撤退で8万人に減らさざるを得ない状況になっている。

宇宙船ディスカバリーの打ち上げでも耐熱材の損傷をあり、今後の
打ち上げが中止することになった。自動車産業でも日本と韓国に米
国国内でシュアを減らしている。航空機産業でもEUとの競争が激
しい。米国の企業が儲けると企業からの税で米国国家も潤うが、企
業利益が減っているために米国も苦しいことになっている。

また、生命科学の分野でも最先端のES細胞研究に補助金は出さな
いという。ブッシュ大統領としては、宗教上の理由で禁止したいよ
うですが、共和党のフリスト上院院内総務という中核的なメンバー
からもブッシュ案に反対と狼煙を上げられている。また右腕である
ローブ次席補佐官の容疑はまだ晴れていない。このように政治、経
済の両面で米国の限界点にきているような気がする。

イラク戦争の戦費は年間20億ドルであると見られているが、この
予算をイラク戦争に振り向けているために、軍事、宇宙航空や生命
科学などの研究に予算が回っていない。米国は予算を戦略的に次の
最先端な軍事技術や民生技術開発に回して、科学技術的な優位に立
ち、最先端の製品を開発して企業利益を勝ちえ、その利益が国家に
税として還元されて、国家収入も増えていた。しかし、イラク戦争
のような無駄な予算が使われると、国家がだんだん衰退するという
予測をしてきたが、どうも当たったようである。

ディスカバリーは70年代に開発した物で、本来なら次の宇宙船が
開発されても良いはずであるが、予算を減らされて、開発できなか
ったとNASAは言っている。だんだん米国が優位にある企業の商
品が少なくなっているように感じる。今でも優位にあるのは、民生
品ではマイクロソフトのOSだけという状況になっている。

しかし、米国は他国と比べて非常に多い軍事予算を使っている。今
までは、企業収益が他国を仰臥していたために税収入も多く、軍事
予算を振り向けることができたし、その軍事予算で軍事研究を行い
、その軍事技術を民間転用して大量の優秀な製品を米企業は生み出
してきたのです。しかし、どうもイラク戦争の戦費が膨らみ、富を
生み出す軍事研究にも予算が着かないことになってきている。大陸
弾道ミサイルのためのMD研究にも予算が着かない状態になってい
る。これでは米国の成功法則を壊していることになっているように
思う。

このため、軍事費を軍事研究に戻すために、冷戦終結という環境で
米国は海外にある軍事基地を縮小することにしたのでしょうね。
このためには、世界的な紛争を未然に防ぐことが重要である。また
は、アフリカでの紛争のようにアフリカ諸国で解決すると言うルー
ルを作り、米国が手を出さないようにするなどの処置をして、米国
は軍事研究費を確保するしかないと考えているようである。

日本の米軍基地はあまり減らない。これは日本が米軍駐留経費を負
担しているためである。韓国からは撤退の方向であるし、ヨーロッ
パからは大撤退である。逆に中央アジア諸国からは米国の力の減退
を感じかれて、撤退の要求を突きつけられている。

このため、米軍が引き上げた後、各地域での安定化は地域の主要国
で決める必要があるので、上海機構のような組織ができて、世界は
多極化に向かいしかないのでしょうね。東南アジアでの主要国は日
本と中国とインドであり、この3ケ国とオーストラリアが、この地
域の安定に寄与する必要があるようです。これを見越して、中国は
いち早く主導権を取りに来ているのが現状でしょうね。
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米軍への基地提供中止を通告 ウズベキスタン(ASAHI)
 2005年 7月30日 (土) 22:59

 アフガニスタンの対テロ戦争と復興の拠点として米軍に基地を提
供してきた中央アジアのウズベキスタンが米政府に対し、基地使用
の中止を通告したことが30日、明らかになった。対テロ戦争の「
拠点」の役割を担ってきた同国の突然の協力停止通告に、米政府は
困惑している。

 米国防総省当局者によると、29日にウズベキスタン外務省がタ
シケントの米大使館に書簡で通告した。同当局者は「国務省と協力
して、書簡の内容を分析している」と述べた。30日付のワシント
ン・ポスト紙によると、180日以内に航空機、人員、機材を撤去
するよう求めているという。

 米政府は強権的な手法をとる同国のカリモフ政権を支持してきた
が、5月に東部の騒乱に対する強硬手段で一般市民を含む多数の死
者を出したことに懸念を表明していた。突然の措置はこうした米国
の動きにカリモフ政権が対抗したものとみられる。

 同基地は01年9月の米同時多発テロ事件の直後から米軍が使用
。現在はアフガニスタン北部に人道支援物資などを運ぶ拠点になっ
ている。今週、中央アジア諸国を訪問したラムズフェルド国防長官
は、キルギスとタジキスタンから基地使用の保証を取り付けていた。
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与党トップが大統領に反旗 万能細胞で、米政権に打撃

 【ワシントン30日共同】再生医療の切り札と期待される「万能
細胞」の研究をめぐり、保守派を支持層とするブッシュ米政権の規
制政策に対し、与党共和党のフリスト上院院内総務は29日、規制
を緩和する法案を支持すると表明、公然と反旗を翻した。

 規制緩和の法案は既に下院で可決、上院でも可決される可能性が
ある。大統領は上下両院を通過しても拒否権を行使すると言明、主
要な政策課題で大統領と与党トップが対立するのは極めて異例で、
ブッシュ政権にとって打撃となりそうだ。

 万能細胞は、胚(はい)性幹細胞(ES細胞)と呼ばれ、あらゆ
る細胞に成長できるのが特徴。人の受精卵からつくられることから
、「生命尊重」を重視するキリスト教保守派を支持基盤とする大統
領は連邦予算を使った研究を厳しく規制してきた。

 フリスト氏は同日、上院で演説し「大統領の政策は変更されるべ
きだ」と主張。背景には、世界的に発展するこの分野の研究で立ち
遅れることへの米議会の懸念がある。
(共同通信) - 7月30日17時16分更新
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U.S. to Return 11 Bases to Germany in Fiscal 2006
http://www.defenselink.mil/news/Jul2005/20050729_2267.html
By Jim Garamone
American Forces Press Service

WASHINGTON, July 29, 2005 - About 6,100 soldiers will be affected 
by the United States returning 11 bases to Germany 
in fiscal 2006, Defense Department officials said today.

The return of the bases is part of the Army's transformation 
effort that will result in the 1st Infantry Division returning 
to Fort Riley, Kansas.

The announcement follows the Army briefing on new locations 
for the service's modular brigade combat teams. 
The return of the bases is the first step in restationing 
some 50,000 soldiers from Germany and Korea to the United States.

"You will see that these restationing decisions truly ensure 
that our soldiers and their families remain at the centerpiece 
of all that we do, especially from the point of view 
of reducing net stress on the force, ... and making more predictable 
both force rotation and permanent changes of station for our families,
" said Ray DuBois, a special assistant to the secretary of the Army.

The 11 bases affected are: Harvey Barracks in Kitzingen, 
Kitzingen Family Housing, Kitzingen Training Area, 
Larson Barracks, the Schwanberg Site in Kitzingen, 
Faulenberg Kaserne in Wuerzburg, Giebelstadt Army Airfield, 
Giebelstadt Dependant Youth Activity Camp, Giebelstadt Tactical 
Defense Facility and the Breitsol Communications Station 
in Wuerzburg.

The Army will retain Leighton Barracks and Wuerzburg Hospital. 
These two facilities will be returned at a later date, officials said, 
adding that all decisions have been made after thorough discussions 
with German officials.

Officials estimate that in addition to the 6,100 soldiers affected, 
the moves will also affect 11,000 family members, 1,000 Department 
of the Army civilians and 1,000 host nation workers.

"Based upon the proposed move of the 1st Infantry Division 
and their brigade out of Europe during the 2006 time frame, 
we elected not to send families and soldiers over to Europe 
to backfill those soldiers coming out," said Gen. R
ichard Cody, Army vice chief of staff. "So basically, 
we're moving that unit over there now into a cadre status. 
And sometime here at the end of the year we'll move the flag."

Ultimately, two full brigades will be stationed in Europe - 
a Stryker Brigade in Vilseck, Germany, and the 173rd Brigade 
in Italy. 
The number of U.S. troops in the region will drop by a half, 
but it is "certainly not a (U.S.) disappearance from Western 
Europe," Cody said.

DuBois said the moves will reduce by more than half the number 
of individual, discrete installations the United States 
currently occupies. "That is a significant amount of money 
savings to the U.S. taxpayer," he said.
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Re:この辺の突っ込んだレポートはないのかしらん。 米・シンクタ
ンク紹介をみていると

米・シンクタンク紹介をみていると、
日本としては、I I E(国際戦略研究所)が、注目じゃろうね。
米国との問題は、経済関係に集中しやすいからの。
この辺の動向は、常に押えておく必要があるじゃろうな。

民営化郵貯は、地方金融機関も資金運用をさせるというのを引き換
えに、どこに大口の運用させるつもりじゃろう。
国際金融資本側の、長期の計画では、「新生銀行」をその受け皿に
しようと計画したんじゃろうか?ありえそうな話ではあるな。名前
だけは、日本の銀行風じゃし、外資臭さを、で、溶け込ましておい
て、元長銀だからちゅうことで、その辺を日本側のエージェントに
称揚させて、世論の抵抗感を薄めるのかいね。知ってる人には評判
は悪いが、運用実績がいいというのを売りにしてるしの。まあ、何
兆も、日本国民の税金をつぎ込んで、不良債権全部キレイにしてや
って、貢ぎ物にたいに差し出したんじゃらね。(というより、金融
敗戦の賠償金か領土割譲みたいなものかの?)
この辺の動きがどうかな。キナ臭い。。。まあ、そうなれば、小泉
の郵政民営化の本質がみえるといえるじゃろう。

                      虚風老
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ライバルの台頭許さぬプーチン政権   
   
 続投視野に交渉長期化の覚悟を    ≪水に落ちた犬は叩かれる≫
 ロシア最高検察庁は、カシヤノフ前首相に対する捜査を始めた。国家資産の別荘を不当
 に安く入手した職権乱用がその容疑。この告発事件から分かることが、三つある。

 一つは、ロシアでは権力を失った者は厳しいいじめの対象となること。

 カシヤノフ氏は、「エリツィン・ファミリー」の枢要メンバー。エリツィン前大統領に
 よって首相に指名されたので、プーチン大統領はカシヤノフ首相の留任を容認していた。
 が、己の権力基盤が確立した二〇〇四年二月、同氏を首相から解任した。

 カシヤノフ氏と同様の運命をたどったファミリーのメンバーは、枚挙にいとまがない。
 新興財閥のグシンスキー氏やベレゾフスキー氏、ヴォローシン前大統領府長官ら。

 二つ目は、プーチン政権に歯向かう者には、容赦なき処罰の運命が待っていること。

 カシヤノフ氏もおとなしくしていれば、別荘取得をめぐる不正くらいではおそらく告発
 されなかったことだろう。キジも鳴かずば撃たれまい。

 ところが、カシヤノフ氏は、首相解任を不服として、プーチン政権の非民主的な性格を
 批判するばかりか、次期大統領選への立候補すら示唆するに至った。これは明らかに、
 プーチン政権に対する挑戦である。

 同様のことを試みて類似の仕打ちに遭ったのが、ホドルコフスキー氏である。この元ユ
 ーコス社長は、二〇〇三年の下院選の際、プーチン与党の「統一ロシア」以外の諸政党
 に経済的支援を与えた。そればかりか、二〇〇八年の大統領選への自らの出馬の可能性
 をほのめかしさえした。

≪続投仕掛ける大統領周辺≫

 右の第二点を延長させると、間違いなく推測できることがある。それは、プーチン大統
 領の側近たちが、二〇〇八年以後も何らかの形で現プーチン体制の存続を狙っているこ
 と。これが、三つ目。

 プーチン側近の中核をなすのは、いわゆる「シラビキ」(武力省庁に勤務する人々)と
 プーチンの故郷であるサンクトペテルブルクの出身者たち。彼らは、自らの同輩である
 プーチン氏がクレムリンの最高権力者の座に座っている今日、わが世の春を謳歌(おう
 か)している。

 プーチン政権が二期八年で終わるのは、残念至極。現在の栄耀栄華をできるかぎり長続
 きさせたい。このように考える彼らは、次のどれかの方法によって、二〇〇八年以後も
 プーチンの発言力をぜひとも存続させたいともくろむ。

 (1)ロシア憲法を改正し、プーチン大統領の三選を合法化する。

 (2)プーチン氏自身はいったん首相ポストに退き、自らが操作可能な部下を傀儡(か
 いらい)大統領に据え、四年後に再び大統領に返り咲く。

 (3)二期目の終了直前に退任し、大統領選を行う。投票率が50%を割るか、あるい
 は「全候補者に反対」の票が50%以上を占めた後、大統領選挙を無効と宣言する。そ
 の後に行う再選挙にプーチン氏が立候補する。

 (4)ロシアとベラルーシを統合させ、新しい連邦の初代大統領にプーチン氏が就任す
 る。

 ひょっとすると、プーチン氏自身やリュドミラ夫人は、大統領ポストからの辞職を望ん
 でいるかもしれない。プーチン大統領は一日わずか四時間の睡眠しかとっていない。こ
 のような激務を八年間も続けた後は、さすがのプーチン氏も休息したいに違いない。

 そして、もし花道引退すれば、世界最大の独占企業体「ガスプロム−ロスネフチ」の会
 長職を含め、実業界のどのような地位も選(よ)り取り見取り。悠々自適で贅沢三昧
 (ぜいたくざんまい)の余生を送りうるだろう。

≪領土問題に有利不利両面≫

 だが、仮に大統領本人や家族がそう望んでも、側近や家の子郎党は決して引退を許さな
 い。そのようなことを認めることは彼らにとり、打出の小槌(こづち)を手放すに似た
 愚行である。結論として、二〇〇八年以後もまだ当分の間、プーチン式統治が続くと仮
 定して差し支えないだろう。

 プーチン政権の長期化は、ロシアとの間で領土交渉を抱えているわが国にとり有利、不
 利の両方向に働く。北方領土問題の重要性を学びはじめた政治家プーチンの続投は、た
 しかにプラス。だが、「領土保全」を唱えるシラビキが背後に控える人物の継続統治は、
 マイナスであろう。

 いずれにせよ、プーチン大統領が今秋の訪日時に日本との領土紛争にけりをつけること
 は期待薄である。そのようなときに日本側が決着をつけようと張り切りすぎると、プー
 チン大統領の思う壼に陥る危険さえ覚悟せねばならない。
 (■【正論】拓殖大学海外事情研究所教授 木村汎・産経新聞)
       Kenzo Yamaoka
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危機対応で威信回復した英首相   
   
 ■【正論】英コラムニスト ジェフリー・スミス  国の命運握る指導者個人の技量

《打ち消された早期辞任説》
 偉大な国家指導者との評価は危機への対応で決まる。ブレア英首相の立場は七月七日と
 二十一日のロンドンでのテロによってはるかに強固なものとなった。その厳然かつ節度
 ある態度はあらゆる方面から非常に高い評価を得た。

 これは五月の総選挙後のしぼんだ姿とは大違いである。労働党党首として三度目の勝利
 を得たものの、野党との議席差は大幅に縮小、ブレア氏個人の威信は急下降していた。
 四年後といわれる次の総選挙までには辞任を約していたが、選挙の結果、辞任は早まる
 とされた。自党内の不支持は深刻で、イラクを巡る問題の責めを追及され、選挙の勝利
 は党首ではなく、英国の経済発展の貢献者ブラウン蔵相がもたらしたとされた。

 さらにブレア首相は反対がまず確実とされた欧州連合(EU)の憲法批准を来年早々国
 民に問わざるを得ない難題を抱えていた。総選挙後の予測では、国民投票の結果が不支
 持なら首相は即時辞任を迫られるとされ、確実とされた強制辞任まで非常に惨めな数カ
 月間が待っていた。

 しかしここにきて状況は一転した。運もある。EU憲法は全加盟国が批准しない限り施
 行されないため、フランスとオランダでの批准否決の結果、英国は国民投票の義務を免
 れた。しかし、これ以外の側面ではブレア首相は自己の能力と大胆さをもって運命を塗
 り替えたといえる。

《危機を機会とする積極性》

 まず六月末の欧州議会での演説では、巧みな表現力を駆使してよく練られた論点を展開
 した。「あらゆる危機は機会となる」と述べたブレア氏は、仏蘭の憲法拒否が欧州にも
 たらした危機はEU改革の機会となると積極姿勢を打ち出した。これはEU政治への情
 熱に欠けるというブレア氏への批判に対する効果的な反撃であり、英国世論の支持を得
 ると同時に他のEU加盟国からもかなりの評価を得た。

 その約十日後にはシンガポールに飛び、ロンドンへの二〇一二年オリンピック誘致のた
 めに国際オリンピック委員会委員の説得にあたったが、この積極的な関与が四票差での
 誘致成功の大きな鍵といわれている。これは首相に期待された役割ではなく、もし努力
 が無になっていたら浅はかな行動と蔑(さげす)まれていただろう。しかし結果は大成
 功。勝利は政治的ライバルたちも文句のつけようのない国民の熱狂をもって迎えられた。

 この翌日からはスコットランドでのG8先進国首脳会議の議長を務め、ブレア氏が力を
 注いできたアフリカへの拡大支援、さらにそれまで米国が頑(かたく)なな姿勢をとっ
 てきた地球温暖化対策でも一定の成果を得ることに成功した。

 会議の途中でロンドンでのテロが起き、ブレア氏はその対応に追われたが、テロリスト
 には断固とした態度を取りながら、一方でイスラム社会の不安に配慮し、同時にその支
 持を得る努力をした。

 9・11ではニューヨーク市長ジュリアーニ氏が英雄と讃(たた)えられたが、英国人
 は自分たちが選んだ国家指導者がロンドンでのテロという非常事態に優れた対応をした
 と満足することができた。

 ブレア首相は激動の数週間で、自らの政治的立場を見違えるばかりに変化させた。重要
 な国際問題で目立った役割を果たし、全てではないものの勝利を得、いずれの場面でも
 点数を稼ぐことができた。

《退任時期も自分で選択へ》

 ここから幾つかの結論を得ることができる。まず、ブレア氏は公約通りに次の総選挙ま
 でには退任するだろうが、その時期は恐らく自らが選べる状況になったことだ。

 英国外へも教訓となる点があるが、その中でも注目すべきは、近代国際政治において、
 国家指導者個人の技量がいかに結果を左右するかということである。

 日本の場合、小泉首相が中曽根首相以来はじめて世界の注目を集めることにより、日本
 への理解や知名度ははるかに改善されている。今ほど多くの案件が国家指導者間での直
 接交渉で決まることもないだけに、ブッシュ大統領が小泉首相に耳をかすということは
 単なる象徴としてではなく実質的な価値がある。

 さらに言えるのは、国家指導者が成功するための条件が変わったことである。今や指導
 者は自国の政策を黙々と導く単なる行政執行官ではすまされない。世界中で誰もが知っ
 ている有名人であるのも十分条件ではない。認知度を利用して他の指導者と直接交渉が
 できなくてはならない。

 ブレア首相がここ数週間にあげた著しい成果は、同氏がそなえている非常に高い知名度
 と実力の両面を総合的に活用したことによってもたらされたものである。
 (【正論】英コラムニスト ジェフリー・スミス・産経新聞)
       Kenzo Yamaoka


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