2060.水を燃やして永久機関が可能か



水を燃やして永久機関が可能か

岩住達郎

2053で山口潔氏が述べられた説明では釈然としない人が多いと
思いますので、以下に私の説明をさせて頂きます。私は在米44年
の科学者で生体内の電磁場理論と構造力学を専門にやってきた者で
す。

先ず、電磁場とか重力場は空間に歪みを引き起こす事によりエネル
ギーを蓄積する性質があります。これはバネを延ばしたり縮めたり
して蓄積できるエネルギーと似ており、バネの素材中に発生するス
トレス・テンサーを使って理論的に理解出来るのと同様に、電磁場
も空間にストレス・テンサーが存在するからだと理解出来ます。
問題はこの空間に蓄えられた歪みエネルギーをどうやって我々の実
用目的に活用できるか、という事です。

さて、水を分解するには熱エネルギーか、場の歪みエネルギーを加
える必要があります。場の歪みエネルギーは分子の持つエネルギー
障壁の高さを引き下げる働きをしますので、分子が簡単に分解しま
す。歪みエネルギーは熱を伴いませんから我々にとって都合の良い
エネルギー源です。その実例は無機物の分解では触媒、生体内の分
解では酵素と呼ばれる物で、共に特定の分解したい分子にのみ対応
するように、特殊な分子構造及び高い歪みエネルギーを持たせた物
に他なりません。つまり、これらの触媒とか酵素は極めて選択性が
高く、歪みエネルギーを放出すると、その分子は壊れて終うのが普
通で、消耗品です。だから生体内では、ATPなどの持つエネルギーを
使って自家製造するのが普通で、自家製造出来ない酵素は外から常
に食料として補給してやらねばならないのです。

倉田氏の開発した水の触媒の組成や製造法は秘密ですが、触媒が内
蔵する歪みエネルギーに限りがある事は明らかです。問題はその触
媒を製造するのにどの位エネルギーを必要とするかにあります。
もし水の触媒を製造するエネルギーが水を分解して得た水素と酸素
を燃やして得たエネルギーより大きければ、綜合的にエネルギーを
失った事になります。

酵素の場合は全てのエネルギー源は太陽からの光エネルギー(即ち
電磁波エネルギー)に帰着します。勿論、太陽はその光エネルギー
を核融合から得ている訳です。ですから、将来、人間が無限に近い
エネルギー源を確保するには核融合エネルギー以外にはありません。
しかしながら、核融合は全て超高温で起こるのではないようで、常
温核融合は未だ研究中ですし、生体内でも核融合が起こっている可
能性があるのです。私はその秘密は超高密度の歪みエネルギー発生
法にあるのではないかと思っています。

場のエネルギー密度は電場よりも磁場の方が遥かに高く出来ます。
1万ガウスの磁場密度は簡単に永久磁石で作れますが、それと同等
のエネルギー密度を電場で実現するのは極めて難しいのです。だか
ら、人間の作った電磁モーターは静電モーターより遥かに強力なの
ですが、一方生体内では全て静電モーターが使われています。その
理由は機械の寸法がナノ・メーターに近づくと静電エネルギー密度
が1万ガウスの磁場密度に匹敵するようになるからです。

追記:
沢山の永久磁石を巧みに配置する事により永久?に回るモーターが
発明され一時話題になった事があります。このエネルギーは何処か
ら供給されるのかを考えてみましょう。

エネルギー源は永久磁石に蓄えられた磁気歪みエネルギーで、モー
ターが回転して機械エネルギーを発生するにつれ、磁石内のエネル
ギーが減少し、磁力が弱くなってきます。勿論、このモーターに使
った永久磁石の持つエネルギーは磁石を製造した工場で与えられた
物で、これらの永久磁石を作るには磁石の持つエネルギーより遥か
に大きなエネルギーが必要です。従って原料や工程に必要なエネル
ギーを綜合すれば、このモーターが発生するエネルギーは比較にな
らぬ位小さく、結局エネルギーを浪費した事になるのです。

投稿「水を燃やして永久機関が可能か」への追加

ここで共鳴現象について一言。共鳴を利用すれば各波動毎に少しづ
つエネルギーを注入できるので大きなエネルギーを一度に加えなく
て良いだけで、最終的に総計すれば必要なエネルギーを加えた事に
変わりはありません。だから分子の分解エネルギーを節約出来たわ
けではないのです。

name=岩住達郎
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(Fのコメント)
なるほど、永久機関ができたわけではないのですか??

磁気エネルギーを取り出しただけということであるという説明は、
非常にいいですね。岩住さんの説明なら、よく分かるような気がす
る。しかし、山口さんの説明とは違うと思うがどうなのでしょうか
ね。山口さんのご意見を求めます。


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