2059.米国のジレンマ



米国のイラク占領政策が行き詰っている。それを検証する。Fより

イラクの政権がシーア派主導になったことで、イランのシーア派政
権と接点が出来ている。シスターニ師はイランから派遣されたイラ
ク・シーア派の最高指導者である。このシスターニ師が指導するイ
ラク政権であるために、当然イランとは友好条約を結ぶことになる。

イラク戦争前に、米国はイラクのスンニ派のフセイン政権を嗾けて
、イランと対峙させてシーア派の中東における力を制約させてきた
のですが、民主主義の普及と言う大義で、シーア派の力を拡大した
のが、今回の戦争である。

当然、イランとイラクのシーア派政権は友好的な関係になり、反米
的な色彩になる。イランの大統領選挙で、反米強硬派のアハマディ
ネジャド氏が当選した。このイランとイラクは軍事協力を行うと宣
言している。イラクのジャファリ首相はイランとの軍事協議後、米
国の撤退も求めてきた。

これに対して、スンニ派はイランと友好関係になる政府の憲法起草
委から引き揚げることにしたし、米国はイラク軍や警察の力がない
ために撤退できないとイラク政府の要求を拒否している。しかし、
米国国内からもイラクからの撤退を求められている。このため、ブ
ッシュ政権は両方からの要求に困惑した状態になっている。

米国としては、丁度良い時にロンドンのテロがあったことになる。
米国国内の戦争反対やイラクからの反米ゲリラやイラク政府からの
撤退要求をかわす為に、テロ戦争でイラクにいるという大義名分が
必要であり、かつ米国でテロを起こすと国内警備体制を整備しても
テロが起きることになり、批判を浴びることになる。このため、米
国と同盟関係にある英国でのテロは、非常に良い時期、良い場所で
のテロであったことになる。

私Fは、陰謀説は採らないが、英国でのテロ計画を放置していた可
能性はあると思う。モサドの情報は米国にも知らされているし、そ
の対価として米国の経済援助が毎年イスラエルに行われている。
この情報を故意にMI6に知らせていないのではないかと疑うので
ある。

これで当分、対テロ戦争でイラクにいるという論理ができることに
なるが、この状態は長くは続かない。よって、米国の撤退は秒読み
の段階になっている。イラクの正当政府が12月にできるとその時
点で正当政府は再度、米国に撤退を勧告することになるでしょうね。

そして、南部にあるシーア派地域の石油はイランの積出港から世界
に積み出されることになる。当然米国石油会社は排除されることに
なるし、それに反してクルド人地域の石油は、米国企業によりトル
コ経由かシリア経由となる。トルコはクルド人を独立させると、ト
ルコにいるクルド人も独立する可能性があるために反対していたが
、米国としては反米イラク政権は容認できないために、クルド人を
独立させる可能性がある。

とすると、スンニ派地域も独立してイラクを3分割するのが米国に
よって最良な解決案になる。それにより、イラク最大のモスル石油
を手に入れることが出来ることになる。

しかし、今までイラクを統一して管理すると言う政策があり、万一
分割できないときは、米国にとってのイラク戦争は、何であったの
か分からなくなる。しかし、最悪のシナリオも想定していると思う。

その案はエネルギーの分散化・自立化で、非中東のナイジェリア石
油の増産や原子力発電所の建設を始めるとしている。このようにイ
スラム不安定地域からの脱出と石油エネルギーの高騰と地球環境の
保護から再度、原子力発電所が注目されてきている。中国も電力が
不足しているので、その解決として原子力発電所の建設を決めてい
る。

この原子力発電所の技術を温存させているのが日本とフランスであ
る。フランスは国際的な新原子炉の実験設備を誘致して、かつEU
内に電力を輸出しているし、日本の三菱重工は、世界市場を見てウ
エッチングハウスという原子力発電設備の米国企業を買収した。
これで日本は世界を相手にできることになる。

自動車産業を含めて、徐々に米国企業が得意としていた領域を日本
は奪っている構図が見える。そして、日本が得意であった電子産業
分野は韓国と台湾に奪われている。米国は軍事産業しかないことに
なっている。欧州も軍事産業は旺盛であるので、どうしてもアジア
での市場を欧米で奪い合うことになる。

アジアで高価な軍事設備を購入できるのは日本、韓国、台湾と中国
ですから、この市場を取り合うことになるのです。このため、米国
は中国と欧州の連携に歯止めを打ち、かつ同盟国を離さないという
選択をしているようである。

米政府内の国務省と国防総省で、中国に対する見え方が違うという
問題が起きているが、ブッシュ米大統領は9月中旬、中国の胡錦濤
国家主席をテキサス州クロフォードの私邸に招き、中国の元問題や
北朝鮮問題を話すとしている。友好国として待遇するとしている。

しかし、その時期に中国の将軍が核攻撃の発言してくれている。中
国政府はその発言を放置しているし、米国もあまり強く反応してい
ない。将来の紛争の目はあるが、当分チェンバレンと同様な懐柔政
策のようである。

米国は中東の泥沼から抜け出せずに、中国との友好関係を維持する
と見るがどうであろうか米国のジレンマは深いですね。
これがライスの手綱裁きなのであろうか??

1760.イラク情勢
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/k6/160926.htm
1626.米国のイラク泥沼化
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/k6/160515.htm
1459.米国のイラク占領政策の変化
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/k5/151130.htm
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米大統領、中国国家主席を私邸に招待
【ワシントン=秋田浩之】ブッシュ米大統領は9月中旬、中国の胡錦
濤国家主席をテキサス州クロフォードの私邸に招き、人民元や安全
保障問題を巡って包括的に協議する意向を固めた。人民元の一層の
切り上げを求めるとともに、26日からの6カ国協議を踏まえ、朝鮮半
島非核化に向けた米中の協調体制を改めて強化する狙いだ。

 複数の米政府筋が明らかにした。26日に訪米する唐家セン中国国
務委員に伝達する。ブッシュ大統領はブレア英首相ら親友とみなす
首脳だけを私邸に招いており、胡主席への招待は米中関係に重要な
意味を持つ。8月1、2両日には北京にゼーリック国務副長官を派遣、
米中定期高官協議の初会合を開き、地ならしを進める。 (07:01) 
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スンニ派、憲法起草委から引き揚げ=制定作業に打撃−イラク

 【カイロ22日時事】イラクのイスラム教スンニ派諸組織の横断団
体「国民対話評議会」は21日、憲法起草委員会に所属するスンニ派
委員15人全員を一時的に引き揚げることを決めた。基本法(暫定憲
法)が定めた憲法起草期限は8月15日に迫っており、この時期でのス
ンニ派の撤退は制定作業にとって大きな打撃となった。 
(時事通信) - 7月22日15時2分更新
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イラク軍の大半は能力不足 米軍評価、程遠い「自立」

 【ワシントン21日共同】米国防総省は21日、イラク軍の3分
の2と警察部隊の半分は依然として能力が備わっておらず、米軍の
支援があっても十分に作戦が遂行できないとの厳しい評価を下した
報告書を記者団に配布した。ロイター通信などが伝えた。
 ブッシュ米大統領は、イラク軍が訓練により自立すれば米軍はイ
ラクから撤退できるとの考えを示しているが、イラク軍の実態は「
自立」から程遠い状況であることを浮き彫りにした。
 イラクで相次ぐテロにより米軍の撤退時期が見通せない中、ブッ
シュ政権のイラク政策に対する野党、民主党の批判が強まりそうだ。
 国防総省によると、イラクでは現在、7万7000人のイラク軍
と9万4000人の警察部隊が活動している。
(共同通信) - 7月22日11時11分更新
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イラク首相、駐留米軍に撤退スケジュールの明示を要求
(nikkei)

 【バーレーン=加賀谷和樹】イラク移行政府のジャファリ首相は
19日、訪問先のイランでの在外イラク人との会合で「我々は外国軍
の撤退日程の設定を求める」と述べ、米軍主導の駐留多国籍軍に早
期撤退を促す姿勢を示した。イラン国営ラジオが報じた。

 ジャファリ首相はこれまで、多国籍軍の駐留期限について「イラ
ク治安機関の整備を終えるまで」と明言を回避。一方、米国と敵対
するイランは早期撤退を要求し、首相に同調を促していた。

 ジャファリ首相はイラン滞在予定を19日まで延長。18日にはイラ
ンとの間で政治、イラク復興、経済、貿易、反テロの5分野で協力の
具体策を協議する合同委員会を立ち上げたと語った。

 両国は19日、イラク南部バスラとイラン南部アバダンの間に二本
、イラン南西部マハシャハルとアバダンの間に一本の石油パイプラ
インを建設する覚書を交わした。イランが工事と費用を負担し、正
式契約後10カ月で完成する。 (12:47)
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イラク首相、イラン訪問・エネルギー、軍事で協力強化へ
(nikkei)

 【バーレーン=加賀谷和樹】イラク移行政府のジャファリ首相は
16日、隣国イランを3日間の予定で訪問した。1980年代のイラン・イ
ラク戦争で旧フセイン政権の開戦責任を認め、謝罪し、将来の平和
条約締結を視野にエネルギー、軍事などで協力を深める。イスラム
教シーア派が主導する両国の接近は周辺のスンニ派政権の警戒を強
め、イランを敵視する米国を刺激しそうだ。

 イラク首脳のイラン訪問は80年のイラン・イラク戦争開戦後では
初めて。ジャファリ首相はイランで8月上旬に任期を終えるハタミ大
統領、アハマディネジャド次期大統領、最高指導者ハメネイ師らと
会談する。首相はシーア派有力政党アッダワ党の代表で、旧政権の
迫害を受け、イランに亡命した経験を持つ。

 ジャファリ首相にはジバリ外相、ドレイミ国防相ら少なくとも7人
の閣僚が同行。「イラン攻撃を目的とした外国軍にイラクの領土を
使用させない」と約束、米軍のイラン攻撃には協力しないと表明す
るとみられる。 (23:12) 
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中国軍は「脅威」か 報告書巡り米政府内で攻防(ASAHI)
2005年07月20日23時53分

 米国防総省が19日に発表した中国軍に関する年次報告書は、当
初の予定より約4カ月も遅れての公表となった。背景には、中国軍
に強い警戒感を抱く国防総省と、対中関係を重視するホワイトハウ
ス、国務省との攻防があった。その結果、発表のタイミングは、中
国政府が北朝鮮の核問題をめぐる6者協議の日程を確定させた直後
となり、一方で報告書には国防総省が求める「脅威」との表現が盛
り込まれた。 

 同日朝、米議会ビルにラムズフェルド国防長官の側近でアジア方
面を担当する国防総省幹部の姿があった。幹部は議会の対中強硬派
を含む議員やスタッフらに報告書の中身を説明して回り、理解を得
た。国防総省は同日夕、ホームページに報告書の全文を掲載した。

 複数の関係者によると国防総省の担当者らは当初、中国の軍拡が
続けば中国は米国の「戦略的なライバル」になる、との表現を報告
書に盛り込むつもりだった。しかし、ホワイトハウスの国家安全保
障会議(NSC)や国務省が抵抗した。 

 報告書が米議会に提出される予定だった3月は、ライス国務長官
が日中韓を歴訪し、6者協議再開に向けて米国が外交努力を加速さ
せていた時期。NSCは、報告書の対中批判が米中関係や、中国の
役割に期待する6者協議の行方に影を落とすことを懸念した。 

 報告書は国防総省に突き返され、「草案はその後、ポトマック川
をはさんで国防総省とホワイトハウスの間を何度も往復した」(米
政府筋)。 

 しかし、米議会では国防総省を支持する声が次第に広がった。下
院軍事委員長を務めるハンター議員(共和党)ら対中強硬派が、報
告書の早期提出を要求。経済摩擦や人権問題などを背景に対中強硬
派が議会に多いことが国防総省には追い風となり、中国軍が長期的
には「脅威」になり得るという表現に落ち着いた。 

 公表されている中国の05年の国防予算は299億ドル(約3兆
3800億円)だが、報告書は実際には2〜3倍と指摘。中国で3
月に成立した反国家分裂法への批判も盛り込んだ。 
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米、中国高官核発言を非難

 米国務省のマコーマック報道官は15日の記者会見で、中国人民
解放軍国防大学の朱成虎教授(少将)が、台湾海峡での武力紛争に
米国が介入した場合、核攻撃も辞さないなどと発言したことについ
て、「無責任だ」と強く非難した。
 マコーマック報道官は「この発言が中国政府の(公式な)立場を
反映したものではないことを期待している。米国は中国に脅威を与
えることはない。われわれは幅広い問題で中国と協力してきており
、ライス国務長官も先の訪中で、実りある会談をしている。個人に
よるこうしたコメントは不幸なことだ」と述べた。
(ワシントン 樫山幸夫)
(産経新聞) - 7月16日15時25分更新
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中国、米国に対し核兵器使用の可能性警告―人民解放軍幹部=FT

 [ロンドン 15日 ロイター] 中国人民解放軍の朱少将は、
中国と台湾の関係をめぐって米国が中国を攻撃してきた場合は、米
国に対して核兵器を使用する用意があると警告した。15日付けの
FT紙が報じた。
 朱少将はこれについて、個人の見解だとしたうえで、米中間に摩
擦が発生するとはみていないが、中国が攻撃を受けた場合は核兵器
を使用せざるをえない、との姿勢を示した。
 同少将は外国人記者団との記者会見で、「米国が中国領土内の目
標圏にミサイルや位置誘導兵器を発射してきた場合、核兵器で応戦
しなければならないだろう」と述べた。
 FT紙は、この発言の真意は不明としながらも、過去約10年間
のうちになされた中国高官による発言でもっとも明確なものである
と伝えた。
(ロイター) - 7月15日15時8分更新
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イラク戦争が同時テロ招く 英シンクタンクが報告書

 【ロンドン18日共同】英国の有力シンクタンク、王立国際問題
研究所は十八日に発表した報告書で、英国のイラク戦争参戦がロン
ドン同時テロのきっかけになったとの見方を示した。ブレア首相は
事件は「イラク戦争とは関係ない」と主張しているが、権威あるシ
ンクタンクの批判は痛手となりそうだ。
 報告書はイラク戦争が国際テロ組織アルカイダによる「宣伝、勧
誘、資金集め」の活動に拍車を掛けたと指摘。
 英国がアルカイダなどのテロ攻撃の危険性にさらされているにも
かかわらず、対テロ戦が「米国のかじ取り任せ」になっていたため
、有効な対策を取れなかったと批判。こうした延長線上で同時テロ
が起きたとの見方を示した。
 報告書はまた、英情報機関が一九九〇年代に北アイルランドのカ
トリック過激派アイルランド共和軍(IRA)のテロ対策に追われ
、英国内でのイスラム過激派の台頭を見過ごしたと指摘した。
 報告書を受けて、リード国防相は同日、BBCラジオで、英国に
よるアフガニスタンやイラクへの関与が同時テロを招いたとの見方
は「受け入れられない」と語った。
20050718 2153

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