2052.ロンドン同時テロ続報



この1週間で、だいたいテロの全景が見えてきた。  Fより

ロンドンのテロは、英国国籍イスラム教徒の自爆テロであることが
分かってきた。それとアルカイダ系の人間が関与していたことが分
かっている。高性能な爆弾は手製でエジプト人化学者が製造したと
言う。

もう1つ、ヴァイザー・コンサルタンツが当日にテロ訓練の名の下
に同じシナリオを実行していた。この依頼先を明らかにしていない
が、このような訓練を実行するのは、ロンドン地下鉄しかない。

とすると、このロンドン地下鉄のトップはどのような人たちである
かというと、米国人の元CIA要員となる。怪しいと思うかもしれ
ないが、テロの危険があることは分かっていて、ロンドン地下鉄で
は前から警戒していた可能性がある。このため、このテロ防止のた
めの指導を、この米国人元CIA要員に頼んだような気がする。

とすると、当然、地下鉄の駅はカメラ監視しているしイスラエルの
軍事転用モーション・ディテクション付きのシステムが入っていた
可能性が高い。米英などほとんどの国際空港やメトロには、高度な
カメラ監視システムが入っている。日本には、全然このような高度
なカメラ監視システムが入っていない。このため、日本では自爆し
ないカバン爆弾が可能であるが、欧米の地下鉄は無理である。
ここを指摘する評論家や専門家がいないのは不思議である。

この映像から事件後、犯人の特徴を割り出すと膨大な映像から特徴
で検索すると絞る込むことができ、犯人の行動が分かる。このよう
な監視システムが入っていることを知っているために、アルカイダ
上層部は自爆テロしかできないことを知っていたのだ。そして、犯
人が捕まったら、アルカイダの組織全体を明らかになる可能性があ
るために、足を着かないように実行犯を殺した可能性も否定できな
い。

犯人達は自爆テロであることをどこまで知らされていたのであろう
か。もしかすると、実行犯は知らない時限爆弾であった可能性を否
定できない。

もう1つ、国際空港にはアルカイダ系の人間が入国したことが分か
るカメラ監視システムがあるはず。このため、国際テロ組織アルカ
イダと関係があり、要注意人物リストに載っている男性が2週間前
に海路で英国に入国することになる。これは国際空港には高度カメ
ラ監視システムがあることを知っているのである。これを防止する
には、国際的な港湾にも同様なカメラ監視システムが必要になる。

英国のMI5やMI6は、アルカイダ関係者を泳がしていた可能性
はあったのでしょうが、アルカイダの何回かの計画を事前に察知し
ていたので、アルカイダの方も今回は注意して計画を進めたようで
ある。新人でかつ英国のアルカイダ関係者には接触させていない。

そして、高度なカメラ監視システムでも自爆テロの防止は難しい。
このため英国社会としてもイスラム系の入国・移民を相当絞るし、
英国国籍のイスラム系の人たちがパキスタンなどに行くことも監視
することになると思う。そうしないと今後も自爆テロを防止できな
い。

もう1つ、ニューヨーク市場で株の空売りが事件前にあった。これ
で大きく儲けた人がいる。これはどう解釈するのであろうか??
モサドの情報が、ユダヤ系のファンドに漏れた可能性があると思う。

日本でも北朝鮮や中国の工作員が多数いることを知られている。
日朝の問題が発生すると、この工作員がどのようなテロを起こすか
不明である。またサマワで活動している自衛隊に反対するイスラム
教徒が少数ではあるがいる。
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監視カメラが決め手 地下鉄に6千台

 【ロンドン13日共同】ロンドン同時テロの実行犯絞り込みに威
力を発揮したのは、市内の地下鉄だけで六千台もあるという監視カ
メラだった。
 ロイター通信によると、カメラはロンドンや主要都市などに約四
百二十万台もあり、ロンドンでは地下鉄のほか、市内のバスの65
%に当たる五千二百台に設置されている。百五十メートル離れた人
物の表情もとらえ、一人当たり一日最高で三百回も映る計算になる
という。
 実行犯とみられる四人の男が七日朝到着したキングズクロス駅の
カメラは「ハイキングに行くような雰囲気の、談笑する若者たち」
(英紙オブザーバー)をとらえた。
 ロンドン警視庁は爆破現場から回収した身分証明書の写真と、市
内のカメラから集めた「気が遠くなるような膨大な映像」(同警視
庁当局者)の照合を進めた。
 市内では、交差点や地下鉄駅、公共施設など至る所でカメラがに
らみを利かせ、建物の入り口には「あなたはカメラに見張られてい
る」との掲示が目立つ。
 警視庁当局者は電話取材に「設置総数は言えないが、ロンドンに
入れば常に見られていると思った方がいい」と答えた。
20050713 1816
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英同時テロ、エジプト人化学者を逮捕・爆弾製造に関与か(nikkei)

【カイロ=森安健】エジプト内務省は15日、7日にロンドンで発生し
た同時テロに関係した疑いで、英国中部リーズの大学に在籍してい
るエジプト人化学者マグディ・エルナシャル容疑者(33)をカイロ
で逮捕したと発表した。自爆テロに使った爆弾製造にかかわったと
みられている。本人は容疑を否定しているが、英警察当局も人員を
現地に派遣し、国際テロ組織アルカイダとの関連も含めて取り調べ
を続けているもようだ。

 同容疑者はテロの2週間前に自宅を出たまま行方不明になってい
た。英BBCは捜査に近い関係者の情報として、ロンドンでのテロ
に使われた爆発物は、市販の薬品などで製造可能な化学物質「TA
TP(トリアセトン・トリパーオキサイド=過酸化アセトン)」を
成分とする自家製爆弾だったと伝えた。同容疑者のアパートからは
同種の爆発物が大量に発見されている。同容疑者は自爆した実行犯
の住居のカギを持っていたとの情報もあり、爆弾製造にかかわった
可能性が高いという。 (01:04) 
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テロ2週間前に英国入り=アルカイダ関係者

【ロンドン15日時事】15日の英BBC放送によると、国際テロ組織ア
ルカイダと関係があり、要注意人物リストに載っている男性が、ロ
ンドン同時爆破テロの2週間前に海路、英国入りしていたことが明ら
かになった。 
(時事通信) - 7月16日1時4分更新
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アフガンで軍事訓練か 同時テロのカーン容疑者

 【ロンドン15日共同】ロンドン同時テロで、実行犯の一人とさ
れるモハメド・サディク・カーン容疑者の友人が14日、匿名で英
BBCラジオに出演し、同容疑者が定期的にアフガニスタンなどを
訪れ、軍事訓練を受けていたと述べた。
 また英各紙によると、実行犯らの拠点、中部リーズで大学講師を
していたとされるエジプト人男性が、テロ首謀者とされる英国生ま
れのパキスタン系の男や実行犯と接点を持っていることが14日ま
でに分かった。英警察は事件解明の鍵を握る重要人物とみて、この
男性の行方を追っている。
 友人の証言が事実とすると、アフガン国内に訓練キャンプを築い
ていた国際テロ組織アルカイダと、実行犯である同容疑者に何らか
のつながりがあった可能性がある。英メディアによると、首謀者と
されるパキスタン系の男も、アルカイダとつながりがあるとされる。
(共同通信) - 7月15日12時23分更新
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英同時テロ 首謀者2人を特定 標的指示と爆弾製造

 【ロンドン=蔭山実】ロンドンの同時爆破テロで英警察当局はテ
ロの背後関係の解明に焦点を移し、国際テロ組織、アルカーイダと
関係があるとされる英国生まれでパキスタン系の三十歳代の男と、
爆発物を製造していたとみられる非パキスタン系の男の二人を首謀
者とみて行方を追っている。一方、ロンドン警視庁のブレア警視総
監は十四日、ロンドンで外国人記者団に、実行犯はいずれも自爆テ
ロだったことを初めて認めた。
 同日付の英紙タイムズによると、首謀者の一人とみられるパキス
タン系の男は先月、海路で英国入りし、英中部ウエストヨークシャ
ー州のリーズを訪れ、実行犯らにテロの標的を指示し爆弾の使い方
を指導したとされる。この男はテロ直前に英国を離れた可能性が高
いという。
 非パキスタン系の男は不審車両が見つかったロンドン北郊ルート
ンの監視カメラに実行犯らと一緒に写っていた二人のうちの一人で
、爆弾を製造したとみられている。カリブ系の黒人で、ルートンの
駅で実行犯と別れたことから、ルートンに居住し、テロ直前にこの
男の自宅に実行犯が潜伏していたとの見方もある。
 警察当局は身元不明だった実行犯をジャマイカ系英国人と特定、
十三日夜から、ロンドン北西郊外のバッキンガムシャー州のエイル
ズベリーでこの人物の自宅とみられる住居を家宅捜索した。これま
でのところ逮捕者や爆発物は出ていない。
 一方、ロンドン警視庁は十四日、テロの死者が一人増えて五十三
人になったと発表した。同庁当局者は記者会見で、地下鉄のオルド
ゲート駅付近で爆破を実行し、その場で死亡した犯人をシェヘザド
・タンウィール容疑者(22)と断定した。バス爆破現場の実行犯
は年齢を十九歳から十八歳に訂正、この実行犯のテロ当日の行動を
解明するため、顔写真を公開して情報提供を呼びかけた。
(産経新聞) - 7月15日3時2分更新
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イギリスが新たなテロ対策法によってイスラム教徒の活動を制限 
[IRIBラジオ日本語ニュース] 阿修羅より
http://www.irib.ir/Worldservice/japaneseRADIO/news.fri.htm#3

フランス通信がロンドンから伝えたところによりますと、新たなテ
ロ対策法により、アメリカやEU諸国での活動を禁止されているイ
スラム教徒に対し、イギリスへの入国が禁止されます。

イギリスで発表された記事によりますと、この新しい法により、イ
ギリス内務省は、国内でのテロ活動への関与や扇動が疑われるすべ
ての人物の滞在を、犯罪を立証することなく拒否したり、あるいは
国外に退去させたりすることができるようになります。

最近のロンドンでの爆破テロを受け、ヨーロッパのイスラム教徒は
、同時多発テロ事件後のイスラム排除の影響を受けた経験から、反
イスラム的な措置に対し、強い懸念を表わしています。
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ロンドンのテロ:同時に訓練の名の下に同じシナリオが実行されて
いた(仏『レゾーヴォルテール』)阿修羅より
http://www.reseauvoltaire.net/flagrant-delit.html

7月7日朝のロンドン・テロの時、危機管理の専門会社ヴァイザー
・コンサルタンツ(Visor Consultants)が、テロ攻撃のシミュレー
ションという重要な訓練を企画していた。実際のテロとまさに同じ
時間、同じ場所でである。これは2001年9月11日のニューヨ
ークとワシントンのテロの実行者に、航空管制の安全管理を無効に
させるのを許したシミュレーションを思い出させてしまう。

ここにテロ当日、ヴァイザー・コンサルタンツの経営者ピーター・
パワー(Peter Power)がITVで発言した内容がある。

パワー: 今朝9時30分、実はわれわれはロンドンの1000人
を超えるある会社のために訓練を行なっていた。地下鉄の駅で、爆
弾が同時に、正確に爆発することを想定した訓練だ。それが今朝同
じ場所で起こってしまった。私は今鳥肌が立っている。

ITV: もっとはっきりさせよう。あなたはそれにどう立ち向か
うべきか知るために訓練を企画していた。そして実行している最中
にあれが起こってしまったと?

パワー: その通り。今朝9時30分ごろだった。われわれはある
会社のために企画したが、明白な理由があって彼らの名を言うわけ
には行かない。だが彼らは彼らのテレビの前にいてそれを知ってい
る。互いに初めて会った大勢の危機管理者がある会場に集まったが
、5分以内に、それが本当に起こったとしてすばやく決定を下し、
遅い反応からすばやい反応へと移れるよう、危機管理の手順をテキ
パキと行なえるシナリオを実行した。
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増田俊男の時事直言

実は、私は今回のロンドン事件の直前、同様の動きをキャッチして
いた。事件前、シカゴ先物市場(24時間営業)で異変が起こってい
た。7日に向けてじわじわと「空売り」が膨らんでいたのだ。9・11
前夜とまったく同じ現象である。事件が起こると同時に、NYダウ(
先物)は出来高急増と共に180ドルを越す下落となり、あっと云う間
に上昇に転じ、現物市場(NY)では31ドルのプラスで終わった。空
前の空売りは一気に買い戻され、逆転買いに転じ、気が遠くなるほ
どの儲けを出した。

高度なテロの増幅が、アメリカの国益と何者かのマネー強大化に貢
献している!

では、真のテロリストは誰で、スポンサーは誰だ? それはアメリ
カが知っている!?
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歓喜の後に死の恐怖   
   
 英国から
 先週のロンドンはまさに「天国から地獄へ」を体験させられたかのようだった。水曜日
 の正午半すぎに、シンガポールからの生中継画面を見ていた市民たちは、二〇一二年夏
 季オリンピック決定の瞬間に、飛び上がって歓喜した。本命のパリを破って、六十四年
 ぶりに五輪開催を手にした市民たちの興奮の渦に、記者ものみ込まれそうな思いになっ
 た。
 ところが、その翌朝に予想だにしない連続爆破テロ事件発生。米同時テロ事件以降これ
 まで何度かテロ情報が飛び交っていたが、警戒が厳重なロンドンではまさか起きまいと
 いうのが多くの人々の正直な思いであったため、ショックは大きかった。

 古くて、狭いトンネル内を走行するロンドンの地下鉄は空調が悪く、普段でも快適な乗
 り物ではないが、ラッシュアワー時の混雑した状態で地下深いトンネル内で爆破事件に
 遭うのは最悪だ。もし自分がその時乗り合わせていたらと思っただけでもゾーッとした。
 また、もし爆弾がもっと強烈だったり、広範囲に影響が出る生物化学兵器だったりした
 ら、と恐怖感が募ってきた。

 事件発生直後、知人の子供が通っているロンドン郊外の小学校では、一部の児童が市内
 に通勤している父親がテロ事件に遭ったのではないかと心配して泣きだし、他の児童も
 泣きだして授業にならなかった、と聞いた。この日は公共交通機関がストップし、多く
 の学校で授業中止になった。

 テロ事件は直接の犠牲者、被害者のみならず、多くの人々に心理的ダメージを与えてい
 る。記者も事件発生後の二日間、頭痛がして沈痛な思いになった。歓喜の後に死の恐怖
 を感じた異常な週だった。(G)世界日報掲載許可
    Kenzo Yamaoka
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英同時テロを歓迎−エジプト一部国民   
   
 指導者は危険思想を放置
 英国同時多発テロをテレビで見ていたカイロ市民の一部は、米国同時多発テロを万歳し
 て歓迎した時と同様、歓声と拍手で歓迎した。アラブ・イスラム諸国政府は一斉にテロ
 を批判したが、アラブ・マスコミは、「イスラム教とテロは関係ない」として予防線を
 張り、問題の本質を隠してイスラム教擁護に懸命だ。
(カイロ・鈴木眞吉・世界日報掲載許可) 
 テロの実行犯に関する英国当局の調査は国際テロ組織アルカイダ系の人物の関与を示唆
 している。
 アラブ・イスラム諸国で、政府の公式声明とは異なり、国民がイスラム過激派によるテ
 ロを歓迎する素地が幅広く浸透している原因は、(1)同諸国政府が自国の内政問題へ
 の国民の批判をそらすため、パレスチナ問題を徹底的に利用、イスラエルおよび米国を
 侵略者・占領者に仕立て上げ、反イスラエル・反米思想を徹底した(2)自爆や爆弾テ
 ロがパレスチナで日常化していたため、それらに対する違和感がなく、テロの定義問題
 で国際社会と対立、常識的なテロ定義に対する感覚が麻痺(まひ)している(3)イス
 ラム教における聖戦思想は、侵略者・占領者への徹底抗戦を支持することから、米英両
 国を占領者と見るイスラム思想が民衆レベルまで浸透している――などが挙げられそう
 だ。

 しかし何よりも、「異教徒」「イスラム戦士」などの差別的・戦闘的言葉を多用するテ
 ロリストの声明文を見れば分かるように、テロを多発させる最大の要因は、彼らが、危
 険思想を内包したままのコーランの言葉を利用、言葉の時代的制約性を無視した急進的
 ・独善的な信仰観の下、「世界赤化」ならぬ「世界イスラム化」を掲げる思想そのもの
 にあるようだ。テロの温床は貧困との見方は世界中のイスラム教徒から献金を集める裕
 福な彼らには当てはまらない。

 エジプトなどアラブ・イスラム諸国に来て生活すれば分かることだが、神の存在を疑う
 人はおろか、コーランに疑義を挟む人は皆無という、日本では到底考えられない思考方
 式が現実として実在する。学者もほとんどが護教学(コーランおよびイスラム教の正し
 さを論理化する目的の学問)の域を出ない研究や発表だけを行い、国民は生まれながら
 に無批判に信仰を持つという、いわば、文芸復興も宗教改革も経ない、科学の光を当て
 られる以前の中世キリスト教社会と同様の純粋培養的イスラム教信仰が浸透している。
 このこともテロリスト育成の温床の一つと見なされている。

 ローマ法王も十日、ついに見かねて「神の名」の下の蛮行を非難したが、イスラム信仰
 に含まれる危険思想を放置するイスラム指導者の責任を問う声は大きい。
    Kenzo Yamaoka
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『日本を考える』   
   
 9日付の英紙デイリー・テレグラフが掲載したロンドン同時爆破テロを受けた緊急世論調
査結果によると、イスラム教徒について、「反社会的な危険人物はごく少数」が64%、
「ほぼすべてがテロを支持していない」が23%。「大多数は反社会的」との回答も10
%にとどまったとのこと。
 テロはイスラム過激派の犯行との見方が有力だが、イスラムと共存する国民心理の一端
 を示す結果と言えそうだ。
 政府のテロ対策については「よくやっている」が55%、「かなりよくやっている」が
 13%で、肯定的な評価は同じ質問をした04年3月の調査より13ポイント上回った。
 ブレア首相の迅速な対応が好印象を与えたようだ。

  あまり仮定の話はすべきではないが、もし、日本がテロの標的にされた後にアンケー
  ト調査をすれば、どうであろう?
イギリスでは「反社会的な危険人物はごく少数」が64%あったが、日本人ならどうだろ
う?
現在のテロ事件の主犯格はイスラム系が多い現実を見れば、このような高い数字はでない
だろう。
この結果だけを見れば、イギリス人は偏見のない理解のある国民のように見える
       Kenzo Yamaoka
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ロンドン自爆テロの波紋(上)   
   
 「欧州内で初」の衝撃、英国にテロ予備軍3000人
 ロンドン同時爆破テロ事件は英国内で生まれ育ったイスラムの若者四人による自爆テロ
 だったことが判明した。彼らの動機と狙い、治安対策上の問題点、移民社会の課題など
 を検証してみる。
 今回のテロ事件が英国生まれのパキスタン系青年たちによる自爆テロだったことは、英
 政府と治安当局、それに国内イスラム社会などに対し大きな衝撃を与えている。

 実行犯は当初、昨年三月に起きたマドリードの列車爆破事件との類似性から国際アルカ
 イダ組織のメンバーだとみられていた。しかし、英国のみらず欧州で初の自爆テロ事件
 が発生したことで、新たな戦線が開かれたことになった。

 デーリー・テレグラフ紙に寄稿したアーメッド・ラシッド氏(イスラム軍事組織専門家)
 によると、今回の自爆テロ犯は「欧州におけるニュー・アルカイダ」だと言われている。
 彼らは国際アルカイダ(オールド・アルカイダ)と直接には接触しておらず、国内で独
 自に秘密裏(モスクや政治集会に参加せず、電話やEメールも使用せず)に活動してい
 る。出入国の機会も少なく、それだけに治安当局によるチェックも困難で、厳重な監視
 網を免れている。

 ロンドン警視庁のスティーブンズ前総監は十日、「英国内には、イスラム・テロリスト
 を志願する十分に多くの者がいる」と語り、最大で三千人の英国生まれ、ないし英国に
 生活基盤を持つテロリスト予備軍の若者の存在に言及した。

 治安当局は、テロリスト予備軍のうち、実際にテロを実行する恐れがあるのは数百人程
 度だと分析している。これら若者たちは、中流家庭育ちで大学教育も受けた聡明なイス
 ラム青年たちであり、学内などでリクルートされている。

 英国内にはイスラム過激思想家たちが定住しており、「アル・ムハジローン」(亡命シ
 リア人のオマール・バクリ・ムハメッドが一九九六年に設立。世界イスラム国家建設が
 最終目的。二〇〇四年十月にいったん解散)のメンバーや、サウジアラビアの反体制派
 モハメド・アルマサーリ、イラクでの武装闘争を喚起しているサード・アルファギらが
 若者たちに影響を与えている。

 今回のテロ事件はグレンイーグルズでの主要国首脳会議(サミット)に合わせて起きた
 が、自爆テロ犯の動機、狙いに関してはまず、イスラム教徒を取り巻く国際政治的要因
 が指摘されている。

 英政府の内部文書によれば、英国内のイスラムの若者たちはカシミール、チェチェンに
 始まり、最近ではアフガニスタン、イラクでの対テロ戦争における欧米、特に米英の外
 交政策が「ダブル・スタンダード(二重基準による不平等)」だと憤慨している。

 ビンラディンの国際アルカイダ組織は、米英のイスラエルに偏した中東政策や米軍のサ
 ウジ駐留への反対を大義としてきた。ニュー・アルカイダはそうした大義だけでなく、
 「イラク占領、米軍設営のアブグレイブやグアンタナモ刑務所など、もっと最近感じら
 れたムスリム屈辱のシンボルによって動機づけられている」(ラシッド氏)という。

 ブレア首相は、今回のテロ事件の背景に英国のイラク参戦があるとの見方を否定した。
 英警察当局はテロ事件は一部の過激な「ギャング、犯罪者」、政府寄りメディアは「無
 政府的過激主義のカルト」によるものとのレッテルを張った。しかし、事件の背後には
 イスラムと欧米社会の根深い対立が影を落としていることが明らかだ。
(ロンドン・行天慎二・世界日報掲載許可) 
    Kenzo Yamaoka

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