2024.北朝鮮情勢について



北朝鮮、中国、韓国、米国、日本のそれぞれの利害が絡み、流動的
な状態で、見通しが効かない。   Fより

北朝鮮の金総書記と韓国統一相が会談して、急遽「6者協議に7月
復帰も」という談話を金総書記が行い、6者協議に復帰の可能性を
示唆した。

中国が10万の軍隊を中朝国境に集めて、北朝鮮に圧力を掛けてい
たが、中国は北朝鮮と中国朝鮮自治区を1つにする方向で検討して
いた。朝鮮王朝である高句麗を中国の地方政権という位置づけにし
て、朝鮮を中国に統合しようとしていると金総書記も韓国のノムジ
ュン大統領も見ていた。

この防止を行うために韓国と北朝鮮は共同して中国対応をせざるを
得ないことになっていた。特に北朝鮮は経済的に行き詰まり、中国
の経済援助を受けるしかなかった。ここが弱みであるために、韓国
は北朝鮮にいろいろな支援を行い、中国一辺倒にならないように配
慮していた。しかし、日米は韓国の北朝鮮への援助を裏切りを見て
いたし、北朝鮮の思う壺と見ていた。

中国は反対に韓国を取り込み、朝鮮半島すべてを中国圏にできると
読んでいたようだ。韓国が米国から距離を置くことを勝利と見てい
たが、6月の韓国のノムジュン大統領と米国のブッシュ大統領の会
談で、大逆転が起きてしまった。中国の朝鮮半島全体支配の意図を
米国に知らせて、韓国は北朝鮮とともに中国の野望を封鎖すると述
べたようである。このため、米国も韓国の北朝鮮との交渉を見守る
ことになったようである。

中国の野望封鎖は金総書記も賛成したために、米国との2者会談を
北朝鮮も望む事になったようである。2者会談に持っていくために
核実験を行うような素振りを見せて、米日をいらいらさせたようで
ある。もう1つ、米海軍の空母やステルス機をアジアに持ってこさ
せた。これの目標は北朝鮮であるが、簡単に中国を目標化できるこ
とでもある。

米国は北朝鮮への経済援助をするためには国内説得のために北朝鮮
の民主化が必要である。しかし、北朝鮮は金総書記独裁体制を崩す
ことはできないと体制護持を条件にしている。しかし、中国の影を
米国も感じている。一番真剣に感じているのが北朝鮮である。

このような状態であるために、欧米では揃って、中国が独裁国家で
あるという宣伝を開始している。貧困農民のデモを共産党支配者が
襲う番組を欧米の主要な放送局で流し始めた。中国の圧制で国民が
困っていると言う印象を欧米で定着することを意図しているようだ。

米国としては、朝鮮半島のすべてを中国支配地にすると、将来アジ
アでの活動に制限が出るために、韓国を米国の同盟国としておきた
いようである。このため、北朝鮮を中国から切り離すために食糧援
助を6ケ国協議に復帰すれば行うようである。

北朝鮮内部では、中国派と反中国派の闘争が起きるでしょうが、金
総書記の判断は中国からの独立でしょうね。

しかし、米国が北朝鮮を向かないと中国に靡くしかないのでしょう
から、情勢が混沌として、どちらに行くか判断できない状況である。

日本は、ブースト段階で打ち落とすミサイル防衛を真剣に検討する
ことが必要である。これは来る中国との紛争でも有効である。当面
は北朝鮮向けで研究しておき、進化させることである。日本独自で
も米国製でも最初はどちらでもいいですよね。その後の改良が重要
であり、そこにイスラエルのアロー2のような精度を日本が改良で
達成すればいいだけである。初めからアロー2を導入して、それを
改良してもいいと思うくらいである。命中精度はPAC3よりアロ
ー2の方が上である。
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「6者協議に7月復帰も」 金総書記、韓国統一相に示す(ASAHI)
2005年06月17日22時06分

 北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記は17日、韓国の鄭
東泳(チョン・ドンヨン)・統一相と平壌で会談した。金総書記は
核開発問題について「米国が我が国を相手として認め、尊重するな
ら、7月中にも6者協議に復帰する用意がある」と述べ、米国の対
応次第では6者協議の再開に応じる考えを示した。「体制の安全の
保証が貫徹されれば、核兵器を持つ理由がない」とも述べた。ただ
、米国が新たな譲歩に応じる可能性は低く、再開までにはなお曲折
がありそうだ。 

 南北共同宣言5周年行事を終えて帰国した鄭統一相が17日夜、
記者会見で明らかにした。 

 金総書記は「我々は6者協議を放棄も拒否もしたことはない」と
したうえで、「この問題は米国ともう少し協議しなければならない
」と述べ、米朝間でさらに調整が必要だとの考えを示した。核問題
の平和解決方針で一致した10日の米韓首脳会談の結果については
「肯定的に評価」するとし、「今後の米国の態度を注視する」と語
った。 

 総書記は「南北非核化共同宣言(92年発効)は依然有効だ。非
核化は故金日成(キム・イルソン)主席の遺訓だ」と述べ、非核化
を捨てたわけではないと強調。「体制の安全の保証が貫徹されれば
、核兵器を持つ理由がない」として、「核問題が解決すれば核不拡
散条約(NPT)に復帰し、国際原子力機関(IAEA)などの国
際査察を受け入れ、徹底検証を受ける用意がある。すべてを公開し
てもよい」とも述べた。 

 また多国間による安全の保証についても「一理ある。慎重に検討
する」と述べた。 

 鄭統一相は、核問題の早期解決と南北関係の持続的発展を主要な
内容とした盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の口頭メッセージを伝達
。金総書記に6者協議への早期復帰を促した。さらに6者協議が再
開した場合、韓国政府として核問題の実質的な解決を促すため「重
大な提案」をする用意があると説明。総書記は「慎重に研究し回答
する」と述べた。 

 また南北関係をめぐって、金総書記は8月15日の日本による植
民地支配からの解放記念日に、北朝鮮・金剛山で離散家族の再会事
業を実施し、ソウルの解放記念日式典に北朝鮮から政府代表団を送
ることにも同意。南北の将官級軍事会談を再開させる考えも示した。 

 会談は平壌市内の大同江迎賓館で行われ、昼食も含めて約5時間
に及んだ。昼食には韓国の林東源(イム・ドンウォン)・元統一相
、朴在圭(パク・チェギュ)・元統一相らも同席した。 
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米、北朝鮮に警告「他の選択肢も」(nikkei)

 【ウィーン=桜庭薫】国際原子力機関(IAEA)は16日の定例
理事会で北朝鮮の核問題について協議した。米国は北朝鮮に対し、
6カ国協議に無条件復帰しなければ「他の選択肢」を検討すると警告
した。

 米政府代表団は演説で「北朝鮮が無条件で6カ国協議の場に復帰し
、核兵器開発計画を放棄しない限り、同盟国と(外交的解決以外の
)他の選択肢について協議しなければならない」と警告、6カ国協議
が朝鮮半島非核化の唯一の外交交渉の場であることを強調した。

 米国は北朝鮮の核拡散防止条約(NPT)からの脱退宣言を憂慮
したうえで、「IAEA理事会は北朝鮮がリビアに六フッ化ウラン
を輸出した可能性に注意を払うべきだ」と指摘した。IAEAは2002
年末から北朝鮮での核査察活動を停止しており、米国、日本などが
査察官の受け入れ再開を求めている。今回の理事会では北朝鮮非難
決議を採択する動きはなく、最終日の17日に拘束力の弱い議長要約
をまとめる見通しだ。 (00:36) 
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米、再開視野に検討開始 北朝鮮の食糧支援

 【ワシントン15日共同】米国が昨年7月以降、追加支援の表明
を見送るなど事実上「凍結」していた北朝鮮への食糧支援について
、米政府内で最近、再開を視野に入れた検討が始まったことが15
日、分かった。米政府関係者が明らかにした。
 支援再開検討で北朝鮮に前向きなメッセージを送り、出席拒否を
続ける6カ国協議への復帰を促す狙いもあるとみられる。
 ブッシュ政権は食糧支援を「政治の道具にしない」(ヒル国務次
官補)との姿勢を表向き堅持しているが、前回6カ国協議直後の昨
年7月に5万トンの支援を表明して以降、支援を停止。政権内強硬
派にはもともと支援実施に否定的な意見もあり、支援再開の見通し
が立っていなかった。
(共同通信) - 6月15日17時40分更新
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対米強硬派が暗闘に勝つ?(東京新聞)
北朝鮮指導部

【ワシントン=松川貴】十日付の米ワシントン・ポスト紙は「北朝
鮮指導部で今年二月、核問題をめぐって、外交交渉派と対米強硬派
間で暗闘があり、強硬派が勝利した」という論評記事を掲載した。
筆者は北朝鮮指導部と接触があるセリグ・ハリソン氏。背景には「
核問題で金正日総書記が外交、防衛政策の両方に絶対的な指導力を
果たしていないこと」があると分析している。

 交渉派は金総書記の外交補佐官役の姜錫柱・第一外務次官に代表
される実務派で、強硬派は軍幹部と朝鮮労働党指導部の連合。ハリ
ソン氏は、暗闘にかかわったという何人かの関係者から直接話を聞
いたという。

 それによると、交渉派は「核保有はあいまいにし、非核化の段階
ごとに経済的な支援を得るべきだ」と主張。これに対して、強硬派
は「ブッシュ政権は北朝鮮の体制変更を狙い、六カ国協議で追い詰
めようとしている。現時点での核解体協議を排除し、核保有国を宣
言すべきだ」と訴えた。

 最終的に強硬派が勝利を収め、二月十日の「核保有宣言」、さら
に三月末の「米国が北朝鮮と関係正常化するまで、核兵器解体につ
いて交渉しない」という宣言につながったという。記事は「現在は
強硬派が牛耳っており、関係正常化を脇に置いたまま核協議に応じ
る可能性はない」と分析している。


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