2006.不食ー食べることから、文明から、自由になる



現代という芸術10 : 不食ー食べることから、文明から、自由になる

 スローフードの運動があった。地元でとれる新鮮な食材を、ゆっくり食べ
る。会話を楽しみながら、心を通わせながら。
 現代の流れに掉さす、人間性を取り戻すための運動。
 だけど、都市に住んでいる人間にとって、スローフードは夢のまた夢。都会
の住民は、スーパーの棚に並んでいる、いつ誰がどこで収穫したかもわからな
い、遺伝子操作や農薬散布の実態もわからない、遠路はるばるトラックや飛行
機や船で運ばれてくるものしか口にすることはできないから。

 現代に背を向け、人類の文明にも逆らうことで、都会に住んでいてもできる
ことがあった。
 それは、食べないこと。365日の断食。仙人のように、霞を食って生き
る。野生動物のように、いつもお腹の中を空っぽにして生きる。
 まったく食べないというわけではない。どうしても食べなければならないと
きに、消化のよいものをごく少量、それもできるだけ調理をしないで、生のま
ま食べる。
 山田鷹夫著「不食 人は食べなくても生きられる」(三五館,2004年)はい
う。不食によって、「疲れず、病気にならず、若返る」と。

 これは発想の転換だ。食糧安全保障や食料自給率もどうだっていいというこ
とになる。少々有毒物質が混じっていても、摂取量そのものが少ないから、病
気になることもない。
 今みたいに、いつもお腹一杯食べることが、自然に反することなのだ。胃腸
の中を空っぽにしておけば、健康になる。そして空腹は、われわれの遺伝子の
中に伝わる野生の血を、呼び覚ましてくれるのかもしれない。
(2005.5.21) 
得丸久文
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鈴木 麗加 です。   
   
 国際戦略コラム 様 へ

久しぶり投稿します。
昨今中国の反日運動が激しくマスコミも大きく取り上げて居ります
が、日本の政治家達は近隣諸国の間違った歴史観に何故黙っている
のでしょうか?

私の知っている明治、大正の方々は皆立派な人格者ばかりです。
あの東京裁判史観で国の為働いた軍人を戦犯と罵り犯罪者あつかい
です。
我々日本人の先祖を近隣諸国の出鱈目な歴史観で貶めても良いので
しょか?
日本の政治家に歴史の真実を訊ねても解らないの一言です。
アインシュタインは日本人を世界に誇れるすばらしい人々でこの国
を残された神に感謝すると言われました。
中国は一言白髪3千丈の世界です。
韓国も中国もノーベル賞をもらった人は一人も居ない国です。
私は黄 文雄氏の「捏造された昭和史」を読んで黄氏が詳しく日露
戦争から昭和までの日本人のすばらしい近隣諸国での働きを書かれ
た事に感動致しました。

日本が植民地にしたと云われている近隣諸国に日本国民の税金や私
財を投げ打ってインフラを整備した事や中国や韓国の国創りに全力
で協力してきた事が詳しく書かれて居ります。
日本の若者にこの事を話しますと皆感動して今までの歴史教育は何
だったのだろうと又政治家が何も反論しないのはどうしてなのかと
不思議がっています。
若者に「捏造された昭和史」を読むように云って居ります。
今の若者は日本の先祖が戦争で残虐な行為をしたので謝罪ばかりし
ていると思って居たようです。
日教組の教育が行き渡ってこの儘だと日本は未来の無い亡国となっ
てしまいます。
大人も日本人なら胸を張って近隣諸国の間違いを正していかなけれ
ば成らないと思います。
鈴木 麗加
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視野に入ってきた憲法改正   
   
 9条見直しに必要な視点
 衆参両院に設置された憲法調査会の最終報告書が四月に提出された。憲法改正に向けた
 国政における論議の一つの大きなステップといえよう。もちろん、憲法改正というゴー
 ルへの道のりはまだ遠く険しい。だが、はるかに遠くでも視野に入ってきたことは大き
 いのではないか。
 「中央公論」で西修氏が「時代を見据えた憲法九条改正案を」と題して、単なる字句修
 正といった次元でなく、新しい憲法概念を構築し、その全体構図の中での九条改正論を
 唱えている。その四点として、「平和立国」を内外に強く宣明する、国家の主権と独立
 を守り、国民の生命・自由・財産の保護する旨の明文規定、そしてそのための国防組織
 の明記、さらに非常事態条項を設けるというものだ。

 一方、「諸君!」は特集「『占領憲法』の終焉」と題し、櫻井よしこ氏を聞き手に、安
 倍晋三・自民党幹事長代理、前原誠司・民主党「次の内閣」ネクスト防衛庁長官に憲法
 改正の必要性を語らせている。同世代で自民、民主の改憲派リーダーだけにその意欲と
 積極性が前面に出て、今後の「憲法」をめぐる政局展開が注目されよう。

 安倍氏は「今の憲法を全面的に見直すことなくしては、占領軍による付与のものである
 戦後体制を自ら変えることはできません」として全文を書き直す気概を強調、前原氏も
 「全面的に見直さなければならない」と一致した見方だ。前文についてもそれぞれ「詫
 び証文」(安倍氏)、「空想的で人頼み」(前原氏)と一刀両断である。

 ただ、集団的自衛権の扱いについては微妙に異なる。安倍氏は憲法にことさら明示する
 必要はないとの立場だ。国家は自然権として自衛権を持っており、集団的自衛権も当然
 含まれるからだ。

 だが、前原氏は「フルで認めていいか少し疑問」という。同氏は原則論としては権利は
 行使できるし、留保もできるが、これまでの日米関係からみるとそれを使い分ける「民
 度」に日本は達していないとの認識だ。安全保障基本法を別に作って、そこで集団的自
 衛権を行使できるケースを明確にしておくべきだという点で、安倍氏との違いはあるが、
 現実的で責任ある安全保障を追求している点では同じといえる。
  編集委員 黒木 正博  世界日報 掲載許可
    Kenzo Yamaoka
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米国におけるヒズボラ   
   
  アルカイダは別にして、ヒズボラほど多くの米国人を殺しているテロ集団はない。この
 集団は少なくとも年に1億jという大金をイランから資金援助されている。ヒズボラに
 よる作戦の主な戦場は、(1980年代に数百人の米国人を殺害した)母国レバノンと、パ
 レスチナの和平拒否派がイスラエルを標的にするのをヒズボラが助けているヨルダン川
 西岸およびガザ地区である。しかし、この集団は米国内でも活動しているのである。ヒ
 ズボラは少なくとも米国の10都市に下部組織を持っていると信じられている。
 この組織はまだ米国本土では襲撃を行っていないが、その米国での活動は穏やかなもの
 とは程遠い。この国での活動の主な目的は二つである。一つは、資金調達とヒズボラの
 ゲリラ兵に対する武器密輸である。それは、クレジットカード詐欺からたばこの密輸に
 至るまでの犯罪行為を手段としていることが多い。もう一つは、敵方の戦線に潜んでい
 て、万一の米国・イラン政府間の武力紛争発生により、米国内の標的に攻撃を加える事
 態が起きたときに備えて、しっかりした観察眼をもって偵察活動を行えるようにするこ
 とである。ヒズボラの最高指導者ハッサン・ナスララのイラン在住の支持者らがしてい
 るように、ナスララ氏は米国とイスラエルをその組織の最大の敵として常に非難してい
 る。9・11事件や、機会あるごとに米国人を誘拐し、拷問し、また、殺害したヒズボラ
 自体の過去の記録を考えれば、この集団のこの国における作戦に対して知らぬふりをす
 ることは、私たちにとって危険である。

 大都市デトロイトの郊外で先月起きたことだが、41歳のビジネスマン、ネムル・アリ・
 ラハルがディアボーンの自宅でヒズボラへの資金密輸のかどで逮捕されたことは、米国
 中の報道機関が大体報道しないままやり過ごした。しかし、この話は注目に値する。ラ
 ハル氏の家で係官は同氏が3年前に同氏が参加したレバノンでのヒズボラの総決起大会
 のビデオを見つけた。連邦捜査局(FBI)によると、FBIはラハルの家のバケツの
 中に600j相当の小銭を見つけたが、ラハル氏は、それは「孤児」、すなわち、自爆者
 の子供たちにあげるためのカネであると語ったという。ラハル氏は、クレジットカード
 詐欺で40万j以上を盗んだとして告発されている。ラハル氏が2月9日、カナダ旅行か
 ら帰った時、税関の職員は彼のパスポートに爆発物の痕跡を見つけた。

 ディアボーンのマフムード・クラニは3月、ヒズボラに物的支援を行ったという罪状を
 認めた。彼は来月判決を受ける。兄弟がレバノン南部のヒズボラの治安部隊長を務める
 クラニは、2001年2月にメキシコから米国に潜入した不法外国人である。連邦当局は、
 暗視装置その他の兵器をヒズボラに密輸することを試みたとして同集団一味の容疑者を、
 繰り返し逮捕している。1998年に逮捕された1人の容疑者は、昨年連邦の告訴を受ける
 ため米国に戻るはずのところを、保釈中行方をくらまして、レバノンに逃亡した。2003
 年、連邦裁判所は、たばこ密輸団を動かしてヒズボラを援助したかどで、ノースカロラ
 イナ州シャーロットに本部のあるヒスボラの支部に有罪判決を下した。その集団の指導
 者、モハメド・ハムードは155年の実刑を言い渡された。(世界日報)掲載許可 
      Kenzo Yamaoka
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北の核問題/どこまで「挑発」を続けるのか   
   
  今年二月、核兵器保有と六カ国協議の無期延期を公式宣言して以来、北朝鮮の核実験実
 施の可能性が取りざたされる中、問題解決の行方は混迷の度を増している。
複雑な対応を示す中国   世界日報  掲載許可

 北朝鮮の開城で十カ月ぶりに行われた南北次官級会談で、韓国側首席代表・李鳳朝統一
 省次官は、「核問題の実質的進展に向けた重要な提案を行う用意がある」と六カ国協議
 参加への誘い水を向けた。だが北側は核問題、六カ国協議には一切言及せず、合意文に
 も核問題に関する文言を盛り込むことに反対した。

 この背景には、北朝鮮が六カ国議長国・中国に提案した内容が関係していたことがある
 とみられる。それは六カ国協議の議題を「北朝鮮の核開発阻止」ではなく、北の核保有
 を前提とした「軍縮会議」とすることを要求したものだ。

 もちろん、米国はこれを無視し、引き続き六カ国協議への即時、無条件復帰を要求した。
 中国も四月下旬に訪中した米首席代表・ヒル国務次官補と受け入れは難しいとの認識で
 一致したといわれる。

 これより先の北京からの報道では、中国は北朝鮮の核実験実施が確実と判断すれば、平
 壌に特使を派遣し断固阻止するとの方針を固め、一部協議参加国にその旨伝えていたこ
 とが明らかになった。

 先のヒル国務次官補の訪中の際、また、李肇星外相とライス米国務長官との電話協議で
 も、中国は北朝鮮が核実験を実施した場合、国連安保理付託を容認する姿勢をにじませ
 たという。

 だが他方、米紙「ニューヨーク・タイムズ」(十三日付)によると、中国外交部高官・
 楊希雨氏は北朝鮮との交渉再開に向けた中国の努力を米政権が台無しにしていると批判
 し、また北が核実験の準備を進めている「確固たる証拠はない」との認識を示した。同
 氏は「北に核開発を断念させる明確な成果が上がっていないのは事実だが、その努力が
 実らない根本的理由は米国側の協力不足」と述べた。

 中国は、日米両国が期待する北への経済支援留保、エネルギー支援打ち切りなどの圧力
 行使を「北朝鮮を追い込むことで好ましくない」と見て、北朝鮮の崩壊阻止と自らの対
 北影響力保持という国益中心の動きを一歩も出ようとはしない。その一方で、北の核に
 関する言動にはうんざりとの姿勢を示し始めたともみられる。

 また、複数の米朝交渉筋により金正日政権がライス国務長官に訪朝を要請し、ハイレベ
 ルでの米朝対話で核・ミサイル問題の一括解決を打診していることが明らかになった。

 この背景には、米国による北朝鮮国家体制保証の取り付けという焦燥感がある。ブッシ
 ュ政権との取引を覚悟せざるを得なくなった金政権が、クリントン政権下で果たせなか
 った目標達成に再び狙いを定めたものともみられる。北が一連の核に関する「挑発行為」
 で米国との駆け引きを最大限に有利に展開しようとしてきたのもそのためだ。

 だが、関係国が北の核兵器・ミサイル開発阻止の態度を堅持する限り、その意図は成功
 の見込みが全くないことを北朝鮮は認識すべき土壇場に来ている。

北が協議参加本格検討も

 米政府部内には北朝鮮が六カ国協議の参加の是非を本格的に検討し始めたと観測する向
 きもあり、ライス長官の九日のCNNテレビでの「北朝鮮を主権国家として認める」と
 の発言も北の変化に対するシグナルとの見方も出ている。北朝鮮がどこまで核の「挑発
 行為」を続けられるかが焦点である。
       Kenzo Yamaoka
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先行き見えぬ民主化―湾岸諸国   
   
 イスラム的価値観が妨害も
 クウェートでは十六日、女性に対する全面的な参政権を認める選挙法の改正案が賛成多
 数で可決された。エジプトでは、複数の政党から大統領候補者を立て、国民が直接大統
 領を選出できるようにするための憲法改正案の是非を問う国民投票が二十五日に行われ
 る。表向き進む中東の民主化の中身は?(カイロ・鈴木眞吉・世界日報)掲載許可
 クウェートの国家元首ジャビル首長が女性の参政権を認める首長令を発布したのは一九
 九九年五月。ところが、イスラム保守派が多数を占める議会は同年十一月に否決。政府
 はさらに、昨年五月に同様の法案を承認して再度議会に諮ったが、今年五月二日、再び
 保守派の反対により否決された。

 政府側は今回、「イスラム法を順守する女性にのみ参政権を与える」との条項を盛り込
 むことで保守派と妥協を図り、賛成三五、反対二三、棄権一で、法案を通過させた。

 この条項が具体的に何を指すかは不明だが、他宗教を信じる自由のないイスラム独善の
 湾岸諸国の現状をさらけ出したのみならず、いかにイスラム教が女性の権利を妨害して
 きたかを一目瞭然(りょうぜん)と見せつけた。それでも国内外の民主化圧力を受け、
 オマーンは九七年、バーレーンは二〇〇二年、カタールは〇三年に女性の参政権を承認
 した。

 しかしサウジアラビアは、今年二月に建国以来初の選挙を実施したものの女性に参政権
 を与えるまでには至らず、アラブ首長国連邦に至っては、一院制の連邦評議会はあるも
 のの全員が各首長の任命制で選挙自体がない。イスラム教の聖典コーランや予言者マホ
 メットの言行録を基準に定めたとされるイスラム法(シャリア)の家族法では、夫の妻
 に対する性交権と妻の夫に対する扶養権が一対で、妻は性を提供する代わりに夫の扶養
 を受けるという関係性が規定されている。妻の夫に対する従属性が信仰的伝統として受
 け継がれていることが、女性の自立を困難にしているとの指摘もある。コーランの現代
 的解釈が望まれる理由の一つだ。

 エジプトでは、ムバラク大統領が二月に人民議会に提出した憲法改正案を、議会は五月
 十日に可決承認。最終承認は二十五日の国民投票で成されるが、現在、野党四党と「過
 激派の温床になり得る」との理由で非合法化されているムスリム同胞団が、投票ボイコ
 ットを決定、国民にもボイコットを呼び掛けている。

 理由は、立候補者には議員二百五十人以上からの推薦が必要との条項があり、実際候補
 者を出せない状況にあるからだ。制度上の民主化は大いに進展したものの、実質は長期
 政権維持をもくろむ現政権のやり方を見る限り、中東の民主化はまだまだ先行きが見え
 ない。
    Kenzo Yamaoka
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「内憂外患」の軍事政権−ミャンマー   
   
 少数民族の一部が停戦破棄
 タイの有力英字紙バンコク・ポスト(二十二日付)によると、ミャンマー軍事政権と一
 九九五年以来、停戦合意していた少数民族組織「シャン州民族軍」の一部がこのほど合
 意を破棄し、反政府武力闘争に回帰することを宣言した。
(バンコク・池永達夫・世界日報) 掲載許可
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 ミャンマー軍事政権は昨年十月、キン・ニュン首相を解任。だがキン・ニュン前首相こ
 そは、同国で長年くすぶり続けた少数民族問題を解決するため、和平交渉の最前線に立
 って十七組織との停戦を実現した立役者だった。
 そのキン・ニュン氏に代わって就任したソー・ウイン新首相は、ミャンマー軍政の強硬
 派タン・シュエ国家発展評議会(SPDC)議長の右腕として働いてきた経緯から、首
 相就任後も少数民族問題に対し、強硬路線を敷いた。

 「シャン州民族軍」は現在消滅したモンタイ軍(MTA)から離脱した後、十年前の九
 五年にミャンマー軍事政権との停戦に合意していた。だがタイやラオスと国境を接する
 シャン州では別の少数民族グループが四月、東部の「独立」を宣言するなど、反政府活
 動がにわかに強まっている動きを見たソー・ウイン新首相は、「シャン州民族軍」に対
 しても、「独立の動きを見せた」などとしてそのリーダーを捕捉。さらに武力放棄を突
 き付けてきたことから、同民族軍が十年間維持してきた和平合意を反古(ほご)にして
 反政府武力闘争回帰宣言を出すことになったもようだ。

 なお、「シャン州民族軍」はタイとミャンマーの国境に展開する少数民族シャン人の反
 政府武装組織シャン州軍(SSA)と合流することで軍政を牽制(けんせい)する軍事
 的パワー増強に動き、反政府少数民族の合従連衡を促す振る舞いにも出ている。

 一方、ミャンマー軍政は今年一月、少数民族反政府組織カレン民族同盟(KNU)が東
 部カレン州カロワーに置いている拠点を攻撃した。KNUはミャンマー独立直後から、
 自治を求めて軍政との武装闘争を続けてきた。その長い闘争生活に終止符を打つため、
 昨年一月にはキン・ニュン前首相との間で停戦に合意したものの、キン・ニュン前首相
 が昨年十月に失脚したことで交渉は中断されたままとなっていた。

 恒常的外貨不足のミャンマーでは、ガソリンの高騰を筆頭にインフレが市民の台所を直
 撃。ミャンマーの国際的孤立は深まるばかりでなく、経済的桎梏(しっこく)状況は歯
 止めが掛かっていない。「内憂外患」状況そのもののミャンマー軍政の閉塞(へいそく)
 感は募るばかりだ。

    Kenzo Yamaoka
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ファースト・レスポンダーと選挙区への助成金   
  
  国土安全保障費は、テロリストが襲撃する可能性が最も高く、被害が最も大きくなりそ
 うなところに与えられるべきである。9・11委員会(米国へのテロリスト攻撃に関す
 る連邦委員会)はこのような結論に達したが、良識的に考えても間違いなくそうである。
 しかし、過去数年間、そういう合意があっても、メーン州からハワイ州に至るまでの連
 邦議員が、小さな州を大層優遇する予算配分方式を推し進めることに歯止めが掛けられ
 ないでいる。
 現在、国土安全保障省の緊急事態準備金の40%が、ワイオミング州に、一人当たりで
 言えば全国で最高額が支払われ、ピオリアの市民とワシントンの住民とを同一に扱うよ
 うな仕組みで、均等に配分されている。それ以外のカネは人口の大小に従って支出され
 るので、ニューヨークのような危険度の高い場所に有利になり、幾分安心である。しか
 し、今に至るまで、連邦議会はマイケル・チャートフ国土安全保障長官が求めている危
 険度に基づいて裁量するやり方に動揺している。

 下院は先週、「ファースト・レスポンダー(緊急事態に対する第一応答者)のための迅
 速かつ賢明な資金拠出法」を可決した。クリストファー・コックス国土安全保障委員会
 委員長(カリフォルニア州選出・共和)によって発案された同法案は、緊急事態準備金
 の現行の州当たり支出の最低0.75%を0.25%に縮小するが、外国と国境を接す
 る州には最低0.45%を支給するというものである。ブッシュ政府は、さらに、それ
 を0.25%に引き下げることを求めている。上院では、0.25%案の支持者は、ダ
 イアン・ファインスタイン上院議員(カリフォルニア州選出・民主)およびジョン・コ
 ーニン上院議員(テキサス州選出・共和)によって先週提出された、境界州に対する0.
 45%の支給条項を除外するという厳しい法案をめぐって結束を呼び掛けている。0.
 25%案支持者は、スーザン・コリンズ議員(メーン州選出・共和)およびジョセフ・
 リーバーマン議員(コネティカット州選出・民主)発案の法案とも争うことになろう。
 2人は、すべての人に0.55%の最低金額支給案を選択し、大幅削減への道を上手に
 阻もうとしている。本誌としては、0.25%案支持者が優勢になることを期待する。
 実際、彼らは、最低限の助成金などというものは完全に廃止する方向に強力に進んでい
 くべきなのである。州当たりの最低限の助成金など、国土安全保障とはほとんど関係が
 ない。それはすべて、議員が選挙区へ持ち帰る助成金の多寡に関係しているのである。
 最低限の助成金案は、国土安全保障費というパイに食指を動かしている小さな州の議員
 がつくり上げたものなのだ。

 9・11委員会は、そういうものは廃止するよう勧告している。チャートフ国土安全保
 障省長官の演説の行間にも、同長官がこれをほとんど無用のものだと思っていることが
 明らかに読み取れる。同省長官として最初に行った重要な演説の中で、チャートフ氏は、
 「危険度に基づいたアプローチ」が国土安全保障政策成功への鍵である、とジョージ・
 ワシントン大学の聴衆に向かって語った。米国領サモアがニューヨークの10倍もの一
 人当たりの助成金を受け取っている限り、「危険度に基づいた」アプローチなど存在し
 ない。

 ニューアーク港(ニュージャージ州)やエリザベス港(ノースカロライナ州)のような
 場所は、マンハッタンのすぐ外側にあり、化学工場がたくさんあって、極めて無防備な
 ので、テロの専門家は、それらを米国における最も致命的な2マイ ルと呼んでいる。
 わが国の国土安全保障費の見地からは、それらは、シャイアン(ワイオミング州、大陸
 間弾道ミサイルの基地がある)よりも重要である。連邦議会がこの真実の姿を受け入れ
 ようとしていることは喜ばしい。そういうわけで、ファインスタイン夫人・コーニン氏
 組が、リーバーマン氏・コリンズ夫人組を打ち負かすことができたら、本物の前進が見
 られるであろう。世界日報 掲載許可

    Kenzo Yamaoka
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アフリカ援助増額で合意−EU   
   
 サミットへ英を後押し 
 欧州連合(EU)加盟国は二十四日、アフリカなど貧困国への援助額を今後五年間で倍
 増することで合意した。今年の主要国(G8)首脳会議(サミット)でアフリカ貧困問
 題を主要議題にしている英政府にとっては強い後押しだ。
(ロンドン・行天慎二・世界日報)掲載許可 
 ブリュッセルで開かれたEU国際開発相会議で合意された内容によると、EUは貧困国
 への援助額を二〇〇六年から一〇年まで年間百四十億ポンド(約二兆八千億円)増額し、
 一〇年までには八百億ポンド(約十六兆円)を達成して、〇四年実績の四百億ポンド
 (約八兆円)の二倍にする。
 このために、豊かな西欧加盟国十五カ国は一〇年までに国内総生産(GDP)の0・5
 1%を、東欧など残りの加盟国十カ国は同0・17%を政府開発援助(ODA)として
 支出する。

 こうしたEUの動きは、国連ミレニアム目標(一五年までに世界の貧困を半減にする)
 に沿ったものだが、先進国は最終的にGDPの0・7%をODAとして支出するように
 求められている。EU諸国では、デンマーク、スウェーデン、ルクセンブルク、オラン
 ダがすでにこの目標値を達成。英国、フランス、ベルギー、フィンランド、スペインも
 一五年までに履行すると約束している。

 バローゾ欧州委員長は二十日、ロンドンでアフリカ問題について講演し、「六月のEU
 首脳会議では新しく大胆な援助目標に合意するように要請する。それによって欧州は七
 月のグレンイーグルズでのG8サミット、九月の国連サミットに強く団結した強力な声
 で臨むことができ、その他の富裕な国々を激励することになろう」と語り、EUが一致
 してアフリカ貧困救済のイニシアチブを取る姿勢であることを強調した。

 英政府は今年のG8サミットのホスト役として、地球温暖化問題と並んでアフリカ貧困
 救済を中心議題にしており、EUから力強い後押しを得た感じだ。ブラウン英財務相は
 EUでの合意を歓迎し、「世界のすべての豊かな国々を集めて、一括案に署名すること
 が重要」と述べ、グレンイーグルズ・サミットで米国や日本も援助増額に合意するよう
 に促した。

 ブレア英首相は今週末から来月中旬にかけてG8参加国を訪問し、サミット議題の合意
 に向けた首脳会談を行う予定だ(ただし、日本とカナダとは衛星中継画面で会談)。 
    Kenzo Yamaoka


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