2005.靖国論議について



靖国論議について、歴史観や死生観と行動の価値観は別
 
 マスコミのコラム等に気になる点がある。靖国論議を一段高い視
点からの考察のように表現し、結論を押しつける方向へそれとなく
誘導する記事を多く見かける。例えば、中国等からの圧力ではなく
、感情論を抑制し国内問題・日本の進路問題として論議すべきであ
り、日本の価値感を統一し結論を出すことが必要であるという記事
だ。この結論に首相等が従うべきとは言及しないところがミソで、
反感が出ないように工夫されている。
 
 この考え方は、民主主義を否定している。まさしく全体主義また
は共産主義的である。色々な考え方の人たちの中から、国民(選挙
民)が自らある人(考え方)を選ぶのが民主主義である。ゆえに民
主主義は価値観や政策の方向性が揺れるのだが、これは致し方ない。
しかし、民主主義は大きな時間軸で考慮すると最も安定した社会と
国際関係を築く事ができることを歴史が証明している。
 
 または、国際協調や東アジア共同体が実現できれば解決するよう
な言い回しも不思議な論理だ。行動を抑制する侵略戦争や人殺しを
否定する価値観を共有するのと違い、一つの歴史観だけで多数の国
家を統合するなどあり得ない。人間社会は完全自己否定しては成立
しないから、各国毎の歴史観はある程度自国中心にならざるを得な
い。また、一国の歴史観はその時々によって解釈が変化する。それ
を完全一致させる方法は、力による強要以外できないことだ。私は
過去の日本の侵略戦争を肯定してるわけではないが、互いの歴史観
や死生観の違いを認め合うことが前提でなければ、緊張関係が増す
だけである。
 
 論議は大いに結構と思う。しかし、政治の問題を討論によって一
つの結論に導き出せると言う考え方は学者・識者の陥り安い点であ
る。政治は一つの結論ではなく、論議しながらの試行錯誤とその結
果の検証を行い、そして、コミュニケーションの繰り返しではない
だろうか。それが民主主義だろう。コミュニケーションを拒否し、
策謀だけで政策を行う中国はまだ三国志の価値観が支配しているよ
うに見える。カントリーリスクが高いことを証明したと思える。
佐藤 俊二
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詐欺師達の官民複合体
       ― 小泉経済で一番目立つ特徴 ―
               2005.5.22
                  DOMOTO

政府による景気判断、GDP統計発表はもう、「国家による犯罪」にな
っている。

大小企業問わず、日本の企業経営陣の多くが、日本経済新聞や金融
機関系シンクタンク、アナリストなどが政府と結託して垂れ流す、
「景気は良くなる」という景気予測を鵜呑みにし、結果として莫大
なる赤字を出す羽目となっている実態を、5月20日付けのコレクタ
ーズ・ジャパンが下記のように伝えている。
http://otd5.jbbs.livedoor.jp/577859/bbs_plain?base=86&range=1
http://www.collectors-japan.com/nevada/wr_sokuhou_fr.html

大前研一さんが昨年7月に出した著書『日本の真実』によれば、政
府による大手マスコミの論説者達への、国立大学機関などへの天下
りを餌にした取り込みの活動が、1980年代後半から行われ出したそ
うだ。つまり政府よりの記事を書かせる。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4093896097/kokusaisenrya-22

日本の企業経営者達も、いろいろな情報ソースを使って、普通に「
自分の頭で」情勢分析する時間ぐらいあるだろうと思うが、政府、
大手マスコミ、金融機関系シンクタンク、アナリストなどは、「詐
欺師達の官民複合体」だと思っていれば間違いない。

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今期業績の急悪化    2005/05/20(Fri) 
http://www.collectors-japan.com/nevada/wr_sokuhou_fr.html

3月18日付け経済速報にて、企業業績につき今期は果たして増益
を達成できるのか?と指摘しましたが、どうやらその通りになって
きたようです。
今日付けの日経新聞が発表しました内容では、今期の企業業績は増
益率がたったの<+1.5%>に急悪化すると発表したからです。

3月18日付け経済速報抜粋
2006年3月期予想  +6.4%   今回発表 +1.5%

前期の<+25%増益>からはまさにつるべ落としのような状況と
なっています。
では、本当にこの<+1.5%>を達成できるでしょうか?
まず無理だと言えます。
特にハイテク関係は減益で済めばよいという惨状を示すはずだから
です。その理由は、3月末にかけて決算数字を作るために猛烈な生
産を行い結果在庫がたまりに溜まってしまっているところに、価格
の急落が襲ってきているからです。
下げ止まるとしきりに“新聞”一面大見出しで指摘されてきていま
したが、実際は下げ止まるどころか、更に下げが加速してきていま
す。

(一例)
半導体スポット価格(5月19日)
256M(DRAM) 240円〜250円(マイナス10円:マイナス
4%)

また、商品市況も、中国バブルが完全に崩壊し、価格は高値から大
幅な下落を見せています。

通常、企業経営者は、期初は強気の見通しを発表する傾向がありま
すが、今期はそれでも<+1.5%>なのです。
実際の足元を見れば怖くてとても数字など言えないという経営者が
多くいるはずです。なぜなら、中国バブルは続き、この1・3月期
で景気は底入れをし、4月以降急上昇すると信じ込んでいたからで
す。

確かに1・3月期のGDP統計は“素晴らしい”数字となっていますが
、これはこの“期待”を込めて増産・設備投資をした為に起こった
現象であり、正確な内容ではないのです。
これが経営者は今、分かってきたのです。
このため、<+1.5%増益>としか言えなかったのです。
今後、業績は悪化の一途を辿り、前期末に在庫を積み上げたハイテ
ク関係企業の中には大幅な赤字に転落するところも出てくるはずで
す。<20〜30%の減益>で済めば御の字ということになると思
います。

DOMOTO
http://www.d5.dion.ne.jp/~y9260/
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小泉総理に改めて一言  
対中国対韓国に対しての「靖国問題」       ks_kiyo4
   
 先般中国副首相の来日で小泉との会談の「ドタキャン」
問題を政府は非を改めず政府関係者が暴言を言った事は国民が実際
に聞いたわけで無いがテレビ新聞等の報道を信ずるしか無い
小泉の言い分「報道を見て」「話し合えばわかるのに私は何時でも
会いますよ」とのコメント一国の
総理が言って良い言葉なのかこれこそ相手国の要人を愚弄した言葉
ではないのか
前にも言ってるが靖国神社だけが国の為の犠牲者か戦時中は全ての
国民が戦死者、災害死者等々馬鹿げた戦争で
「国の為」だけで片付けられている、でも国民は何事も不満は言っ
ていないかく言う 私は志願兵「海軍」南方での参戦18歳の若きあ
やまちと思う、
小泉は戦争を知らない子供達に属するのでは、国の為に尽くして死
んだ人達の靖国神社だとこればかり
東条戦犯は戦地で戦ったのか戦地で戦死した者たちは国の為に戦死
したのでは無い当時仕方なく其の目に逢っただけだ戦争の現地で生
き残りの本人が言っているのだから間違いない もういい加減に靖
国問題から手を引いたら小泉の顔なんて問題じや無い「改めて悔い
なし」
日本始め「北朝鮮」も含め東洋の平和の為つまらぬ事に誇示するの
を止めるべきだ。
今悔い改めたら日本の経済、多くの企業がどれだけ助かるか分かり
ますかな各企業の収益のお陰で税金の収益が保たれているのか税金
の無駄使い「鉄骨橋梁事件」2年前からとか小泉自民党の責任と思う
よ金が無い金が無いとお題目ばかり言ってないで自らの無駄遣いを
改めたら
「改めて悔いなし」 小泉さんよ、言っている事解かるかな私の様
な人間にバカ呼ばわりは情け無いよ。

   2005.5.25.pm3.00. s_kiyoc
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 ■日中摩擦、Wストリート・ジャーナル紙論評 「対日要求は横柄」
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 反日の動機「国連や台湾」
 【ワシントン=古森義久=産経】中国の呉儀副首相が小泉純一郎首相との会談を突然、
 中止して帰国したことなど日中間の摩擦について、米国大手紙ウォールストリート・ジ
 ャーナル(電子版)は「小泉氏の土下座拒否」と題した社説(二十五日付)で、中国か
 らの靖国参拝中止などの対日要求を「横柄」と批判し、呉副首相の言動も中国側の圧力
 戦略だと評した。 
 同社説はまず、呉副首相の唐突な会談中止について「北京からの間断ない長広舌にもか
 かわらず、小泉首相が拡張する中華帝国への土下座を拒否していることに対する中国政
 府部内の不満の高まりの証拠」と位置づけ、「他のアジア諸国も注意すべきだ」と警告。
 「中国は自国の存在をアジア諸国に認めさせようとしており、台湾と日本がその圧力を
 まず最初に受けたのだ。もし中国がその方針に固執すれば、他のアジア諸国民もまた横
 柄な扱いを受けることになる」と指摘し、中国の対日要求を明確に「横柄」と批判した。

 同社説は、中国当局が今回、小泉首相が靖国問題での反論に孔子の教えを引用したこと
 などに怒ったとし、「小泉首相は靖国には戦犯とされた人たちだけでなく一般の将兵の
 霊が祭られていることを明確にしている」と強調した。

 同社説はまた、中国は一九三〇年代の日本の侵略の記憶をいまも新鮮にしておこうと努
 めているが、日本は既に極めて大きな代償を払い、六十年間も国際社会で好ましい地位
 を保ち、特に中国にはない自由と民主主義を享受してきたとしたうえで、小泉首相の四
 月のアジア・アフリカ首脳会議での謝罪声明まで紹介。中国の「歴史問題」をめぐる主
 張の非を指摘した。

 同社説は反日デモについて日本大使館などの破壊を許容した点で「中国当局は明白に間
 違っていた」と述べ、中国当局が反日行動は自然に発生したかのように主張することは
 「有罪」だとし、中国政府がインターネットの「地下工作員」を使って世論を誘導する
 という最近の情報を紹介している。

 反日行動の動機について同社説は、「歴史」や「靖国」ではなく、日本の国連安全保障
 理事会常任理事国入りへの動きや中国の台湾への軍事脅威に対する日米共同の懸念表明
 を挙げた。

 同社説は、中国の対日戦略として(1)政府が無力を装って大衆を動員する義和団方式
 (2)道義的により高い立場を目指すアピール−を挙げ、「その二つとも失敗したため、
 中国はいまや新しい策略を試みている」と指摘。呉副首相が訪日中にトヨタ自動車の奥
 田碩会長らに日中関係の政治面での悪化は経済面に悪影響を及ぼすという趣旨の警告を
 したことを、「小泉首相の頭ごしに日本の財界に訴えようとする新策略」だと述べてい
 る。

 同社説は結論として、この種の中国の策略は「危険なゲーム」だとして、日本国民の9
 2%が中国の日本への対応に納得できないという読売新聞の世論調査結果を引用し、
 「中国は日本が民主主義国家であり、その政治家は国民の意思に耳を傾けねばならない
 ことを理解しなければならない。呉副首相の会談拒否は礼節を重んじる国では、よく受
 け取られない」と論評した。
              ◇

 ■“日本責任論”を強調 会談中止問題で中国マスコミ

 【北京=野口東秀】中国の呉儀副首相が小泉純一郎首相との会談をキャンセルしたこと
 について中国では、小泉首相と日本政府に「実質的な責任」があり、「会談を壊したの
 は小泉(首相)だ」というキャンペーンが始まっている。

 共産党機関紙「人民日報」系列の国際問題専門紙「環球時報」は二十七日付で、「中国
 は関係改善に努力してきた。(それを無視し)失礼なのは日本の方だ」と強調した。

 同紙は、十六日の小泉首相の靖国神社参拝に関する国会答弁を「道理のかけらもない」
 としたうえで、「(呉副首相の訪日期間中に)日本政府は休みなく中国を挑発し続けた」
 と批判。具体例として、尖閣諸島(中国名・釣魚島)や沖ノ鳥島に本籍を持つ日本人が
 いるという内容の政府答弁書や、石原慎太郎東京都知事による沖ノ鳥島での「パフォー
 マンス」などを挙げた。

 また、呉副首相の訪日目的は「小泉首相に会うことではなく、友好の誠意を日本人民に
 示すためだった」とし、中国に対抗しようとした日本側のいくつかの動きが「訪日の政
 治的雰囲気に悪影響を与えた」とし、それが会談キャンセルの理由となったと主張。
 「中国を挑発し、失礼なのは日本だ」と決めつけた。

 国営新華社通信が発行する週刊紙「国際先駆導報」(二十六日発売)も、呉副首相の訪
 日は胡錦濤国家主席の「(両国の交流拡大など)五つの主張」を実行に移すことが目的
 だったとし、「小泉首相の発言の結果、両国関係がさらに陰った。日本は大国としての
 正義と道義を持つべきだ」と非難した。

 新華社は電子版でも、「会見を壊し、両国関係を壊したのは小泉だ」とし、「中国に対
 する暴挙であり、中国が強く反応しなければ、中国が苦い結果を味わう危険性があった」
 と“日本責任論”を強く打ち出した。

 また、「中国政府が靖国問題について強く抗議していることで、日本国内では小泉批判
 が高まっている」との報道が増えているのも目立つ。

                   ◇

 ■中国大使館、本紙に抗議

 中国の呉儀副首相が小泉純一郎首相との会談を取りやめた背景に、中国軍内の動静が関
 係したとの情報を伝えた本紙記事(二十七日付三面)について、駐日中国大使館の黄星
 原参事官(報道担当)は同日、産経新聞社に対し、「報道内容は事実無根だ」と抗議し
 た。
       Kenzo Yamaoka
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 「対日」で一枚岩崩れる   
  
 揺れ動く中国指導部
胡主席・国務院に食い違いも
 対日協力強化が主目的だった中国の呉儀副首相の訪日前後、小泉純一郎首相らが靖国神
 社参拝を継続する意向を示したのを受け、呉副首相が首相との会談を土壇場でキャンセ
 ルして帰国した問題は、胡錦濤国家主席ら中国指導部の「揺れ」を鮮明にした。反日デ
 モ拡大を受け、中国が対日関係改善へと動きだしたさなかの会談中止を「誰がいつ決め
 たのか」はいまだ明確でなく、「対日協力」と「歴史問題」の間で、指導部の一枚岩が
 崩れた形だ。
 対日重視派の胡主席も「呉副首相との会談で小泉首相が参拝継続を表明することに強い
 危機感を持った」(中国筋)とされるが、決定過程には、歴史重視派の国務院ラインと
 の食い違いも見え隠れする。

 ◇首相との会談、当初から消極的

 中国筋によると、会談中止の決定に加わったとされるのは、(1)外務省を中心とした国
 務院(温家宝首相)(2)共産党(胡主席)(3)在日中国大使館(王毅大使)(4)最高意
 思決定機関の「政治局常務委員会」(胡主席)――などだ。

 中国が愛知万博(愛・地球博)に日本の要請した温首相でなく、万博担当の呉副首相の
 派遣を決めたのは昨年末。当初から「歴史・台湾問題があり、愛知には行っても、東京
 で小泉首相と会談するのはリスクが大きい」(日中関係筋)との消極論が大勢だった。
 万博中国ナショナルデーの十九日にも、呉副首相随行筋が関係筋に「小泉首相と会うの
 は難しい」と示唆していた。

 会談キャンセルの直接の契機となったのは小泉首相が参拝継続を示唆した十六日の国会
 答弁。唐家★(★=珈の加を旋に)国務委員、王大使、武大偉外務次官ら国務院ライン
 の知日派は、国民からの対日弱腰批判が自分たちに向けられるため、日本に手厳しい対
 応を取る。呉副首相に随行した王、武両氏が決定に関与した可能性もあるが、「北京で
 決められた話」(中国筋)との見方が強い。

 ◇政治局常務委の総意か

 北京では二十一日、自民党の武部勤幹事長らが王家瑞党対外連絡部長と会談、靖国問題
 に対する中国の対応を「内政干渉」とする見方を伝え、これに王部長が激怒。しかし北
 京の外交筋は「これを(呉副首相の)帰国原因とするなら、翌日に胡主席は武部幹事長
 に会うこともない」と否定的だ。

 孔泉外務省報道局長は二十四日の定例会見で呉副首相の帰国理由について、「『緊急公
 務』とは言っていない」と否定した。しかし中国側はその後、外交ルートで「緊急公務
 とともに、(日本側への)不満があるのも事実」と回答しており、内部混乱も生じてい
 る。孔局長は「(武部幹事長の『内政干渉』発言を)見ていない」と答えるなど全容を
 把握しておらず、上からの指示を読み上げているだけの可能性が高い。

 共産党関係者は、「胡主席は『親民政策』だ。歴史問題は指導部が決めるものではなく、
 国民感情が決めるものだ」と強調する。副首相の帰国は最終的には、政治局常務委員の
 総意として決定されたとみられる。(世界日報)掲載許可

    Kenzo Yamaoka
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日本封じ込め戦略   
  
 強硬路線に転じた中国/対中「歴史力」の構築が不可欠
 「中国」問題が深刻である。中国全土で起きた反日暴動デモがようやく小康状態になっ
 て一段落したかに見えたが、別の形で再燃している。最近では中国副首相の小泉首相に
 対するドタキャンである。当初「緊急な公務が生じたため」急遽(きゅうきょ)帰国と
 いう説明だったが、後で中国は公式に「靖国」はじめ歴史問題が理由だと開き直った。
 先の反日デモも、半ば官製との見方が強かったが、今度は中国政府自らが中国側が希望
 してセットされた小泉首相との会談を直前になってキャンセルするという、国際マナー
 を無視したやり方をやってのけたわけだ。編集委員 黒木 正博・世界日報 掲載許可

 中国外務省スポークスマンの会見も、自らのルール違反は棚に上げ、全面的に日本側の
 歴史問題に対する姿勢に非ありとする敵意丸出しの異様さだった。今回の中国側の対応
 に対する批判には「日本の侵略で被害を受けた中国人民の傷がまだ癒えていないという
 ことを考慮したことがあるのか」と反論しているが、歴史問題は歴史問題として論ずべ
 きで、これは外交マナー違反を問うた批判者への筋違いな封じ込めである。「愛国無罪」
 を政府自ら踏襲した形だろう。

 こうした一連の中国側の動きは、日本側の反発は見越した上で、徹底して「歴史カード」
 を対日戦略の主軸に据えたということを意味しよう。いわば“確信犯”ともいえる動き
 である。

 この中国の対日戦略にどう対応したらいいのか。今月の論壇は反日デモを受けて「中国
 特集」が組まれているが、中でも「諸君!」六月号の中西輝政氏「中国には『歴史力』
 で勝負せよ」が、日中間の歴史的な相克を縦軸にその処方箋(せん)を説いている。

 中西氏は、今回の一連の反日運動について「『歴史問題』の歴史的転換と呼ぶべきもの」
 と述べ、これほどあからさまに「対日パワーポリティックスの道具」にすぎないことが
 満天下に示されたことはなかったと断じている。

 今年は第二次世界大戦終結六十周年に当たるが、「歴史観の六十年周期説」が持論の中
 西氏によれば、近代において世界史はおよそ六十年くらいの周期で大変動を繰り返し、
 いったん、その変動期を迎えたなら、今まで地中に隠れていた諸々の真実が、次から次
 へと隠しようもなく浮上してくるという。

 その意味では、今回の反日暴動も、日本人だけでなく広く世界の人々が、日本に対する
 「歴史バッシング」なるものの背後には、東アジアの権力政治的な思惑があり、そもそ
 も中国などの言う「歴史」が、専ら政権の都合に合わせた恣意的解釈に基づくもので、
 その根拠はすこぶる怪しい、ということに気付き始めたのだ。

 中国の対日強硬姿勢への変化をどう見るか。中西氏は、最近の日本の常任理事国入りを
 めぐる動きにそれを読み解くカギがあるとする。つまり、中国は国連本部を「ギャラリ
 ー」に見立て、何としても日本の常任理事国入りを阻止することを目的とした国家戦略
 に基づく外交ゲームを展開しているというわけである。

 歴史的にも、日中間では一九二〇―三〇年代に中国でしばしば反日運動、日貨排斥運動、
 日系企業襲撃といった騒擾(そうじょう)が起きた。日本の国際連盟脱退の引き金にな
 った満州問題におけるリットン調査団報告書作成に対する徹底した工作はその代表的例
 だ。当時の日本は、中国側の仕掛けた罠(わな)に引っ掛かり、その術中にはまってし
 まうことが多かった。

 中西氏は、こうした中国の「歴史カード」に対して、日本も「歴史カード」で対抗し
 「歴史力」で負けないようにすべきだという。いつ、また「侵略国」と認定される危険
 性を内包する「旧敵国条項」を温存したままの国連ではなく、「新しい国連」をつくる
 ぐらいの気概を持って、国際社会に訴えていくだけの外交力と国民の結束が求められる
 との主張を、外交当局はどう聞くのか。
    Kenzo Yamaoka
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中国反日デモ/民主化勢力が最も得をした   
  
  中国の胡錦濤国家主席は、自民、公明両党幹事長との会談でも四月の反日暴動デモに対
 する謝罪をしなかった。逆に、小泉首相の靖国神社参拝継続発言や歴史教科書問題など
 の内政問題を批判する姿勢を示した。
 両幹事長の平身低頭の外交姿勢は問題だが、謝罪や補償もせずに「中日友好善隣の方針
 に何ら変わりない」とする胡主席の非礼な態度も両国の友好発展にふさわしくないもの
 である。  (世界日報)掲載許可

共産党の歴史認識も問題

 今回の反日デモを中国共産党と中国政府の立場から見ると、自分たちの路線が裏目に出
 た形となった。それだけでなく、共産党の歴史認識までも問題として浮上してきた。反
 日教育は中国共産党にとってやっかいな存在にさえなってきたといえる。

 反日デモが一段落した後の中国各紙は、かつての日中共同声明を伝えたり、日本人ボラ
 ンティアの中国における植林活動を報じるなどプラスの面を伝えようとする姿勢がうか
 がえる。これは中国の党と政府が今回の事態に衝撃を受けたことを物語っている。

 この一連のデモで注目すべきはいったい誰がこの反日デモで得をしたかである。このデ
 モで最も得をしたのは中国共産党に反対する民主化勢力だろう。

 中国では一九八九年の天安門事件で学生、市民の運動が弾圧されて以後、体制を揺るが
 しかねない事件が二つあった。それは九八年の中国民主党弾圧、九九年の法輪功弾圧だ
 った。

 今回の反日デモはその時以来の事件で、中国内外でひそかに活動する民主化勢力にとっ
 て「チャンス到来」とさえいえるものだった。

 それまで圧倒的な共産党と人民解放軍の前に抑え込まれていた民衆の声はいとも簡単に
 共産党に打撃を与えた。その点では、米国の民主・人権派も今回の事態を歓迎しただろ
 う。米国の民主派勢力は、中国における人権弾圧や少数民族の弾圧、死刑などを厳しく
 批判してきたからだ。

 もう一つ、得をしたのは中国共産党の反胡錦濤派である。今回のデモは胡体制を揺さぶ
 った。そのため、その背景には党内の権力闘争があるのではないかとの見方も強くなっ
 ている。これを裏付けるように、中国共産党上海市委機関紙「解放日報」は、デモに関
 して「黒幕のいる陰謀」との論文を掲げ、この陰謀との戦いを訴えた。

 中国共産党は現在、胡総書記に近い派と江沢民前総書記に近い派とに分かれている。も
 し、後者が何らかの形でデモに関与しているなら、これは本格的な権力闘争と言わざる
 を得ない。このように今回の反日デモは見えないところで波紋を呼んでいる。

 そして、天安門事件後、体制維持のために打ち出した「安定団結路線」の目玉だった愛
 国主義教育、反日教育が逆に中国の安定を損なう可能性が出てきたといえよう。

 また、中国共産党に対し、「中国共産党こそ大躍進の失敗、文化大革命の大量死などの
 歴史を教えていないではないか」という声が主として欧米から出てきたことの意味は大
 きい。こうした声は外国の放送、ネットなどを通じて中国民衆に伝えられている。

愛国教育が錦の御旗に

 こうした事態に中国共産党はどう対処しようとするだろうか。同党は今後、愛国主義教
 育、反日教育をトーンダウンしていこう。だが、それらをトーンダウンすると国家への
 求心力が弱くなる。中国の愛国主義教育は実は、愛党教育(共産党を愛する教育)であ
 り、錦の御旗となっているからだ。

     Kenzo Yamaoka
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対中情報発信の欠如   
  
  中国で起こった先般の反日デモが、@わが国の歴史認識の誤りを国際社会に訴え、国連
 安保理常任理事国入りを妨げるAなくなることを認めざるを得なくなったODA(政府
 開発援助)の代わりにわが国から資金や技術をしゃぶり取るための方策を得る、そして
 最後にB小泉首相の靖国参拝をやめさせることを狙った半官製の代物であったことは、
 わが国では、今ではもうほとんどの国民が承知している。
 が、策士の思惑はことごとく外れ、その中でも最も痛かったのは、国際社会における自
 国の信頼度が著しく低下したことだろう。

 何しろ、前にも述べた通り、「ニューズウィーク」誌に、「歴史認識をいうなら、中国
 にも常任理事国の資格はない」というコラムが載ったのをはじめ、欧米の紙誌が、軒並
 み中国共産党の歴史認識を批判したばかりか、何事も自国に追随してくるものと思い込
 んでいたあの韓国の治安当局者までもが、事もあろうに日本の新聞に「韓国は途上国的
 な中国と違う」(産経4月16日、傍点筆者)というが如き談話を発表する羽目になっ
 たからである。

 もっとも、これで一安心とは参らない。

 なぜなら、欧米紙誌が批判した中国共産党の歴史の捏造(ねつぞう)、歪曲(わいきょ
 く)の対象は、建国後の党の汚点に限られ、旧日本軍が犯したと、媚中派日本人と共に
 喚き立てる“悪業”には触れていないためである。

 欧米紙誌の記者諸氏としても、相手は何しろ名にし負う「白髪三千丈」の国。教科書で
 教えられている「日本軍の悪業」なるものが、いささか怪しいなとは思っていても、各
 地の「偽史記念館」など見せられていると、そのうち、「中国が、ああまでしつこく執
 念深く言い続けるところからすると、日本軍も話半分としても相当悪い事をしたんだナ」
 ということにもなりかねない。

 当局の怠慢とは言わないが、わが国からの情報発信なきが故であって、私はこれがいち
 ばん恐ろしい。

 幸い、この十六日から三日間、町村信孝外相は、世界各地に赴任しておられる特命全権
 大使を一堂に集め、常任理事国入りの方策を討議されたが、折良く例の日本政策研究セ
 ンターから、中国・韓国の歴史教科書の誤りを指摘し正したブックレットが出たばかり。
 任地のマスコミ対策資料として、お土産にお持たせになったでしょうナ。
 (土田 隆・世界日報)掲載許可

     Kenzo Yamaoka


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