1989.中国への逆襲



米国での中国のパッシングが激しくなっている。  Fより

とうとう、中国版プラザ合意が米国で議会に掛けられている。ブッ
シュ政権としては、北朝鮮との関係があるために中国政府と問題を
起こしたくないようであるが、議会が先に中国の繊維輸入急増で米
国繊維業界からセーフガードの発動を議員に要求されて問題にして
いる。

中国からの貿易赤字が多いために、中国人民元のドルリンクを問題
にしている。そのような議論が中国の反日運動後、米国で急に問題
になってきている。

米国議会は一律27・%関税法案から「為替操作」を名指し、往年
の日本たたきに似た様相になっている。このため、中国人民銀行(
中央銀行)の呉暁霊副総裁は、人民元の為替制度改革について「技
術的な準備はできた」と言っているが、もし為替を変動相場にする
と30%以上の上昇は確実である。中国のペック制での優位性は無
くなる方向である。このため中国生産での大幅な価格優位性はなく
なる可能性が出ている。こうなると、ベトナムなどに海外企業は逃
げる可能性が出てくる。

もう1つ、中国の問題点はGDPの150%という債務残高があり
、かつ上海市内に16階建て以上の高層ビルは4000棟もあるが
、NYを抜いて世界一となったのはよいにしても、バブル崩壊によ
り無人ビル、幽霊マンションが目立っている。このため、中国国営
企業の倒産や銀行の倒産が出てくるようである。

このため、上海の株価指数は絶頂期から40%の崩落も下落してい
る。日本や米国企業の中国進出も反日活動で一時のような勢いを失
くしている。よって、ビルの空きは埋まらない。

もう1つ、米国のニューヨークにある中国民主化を推進する報道機
関に、ソロスなどの財閥が支援し始めている。2010年を目指し
て、中国民主化が動き始めている。特に反日運動で日本からの支援
も期待できることになり、中国本土での反共産党活動を盛んにする
資金を得ている。この組織を台湾も支援しているようである。

このように日本を敵にした中国共産党は反共産党の活動を活発にし
ている。このため、危険を感じた中国政府は反日の官営デモが反共
デモに変化すると恐怖を感じて、江沢民の上海勢力が仕掛けた反日
活動を潰した。このため、上海企業を中心とした閥を中国政府は潰
しにかかるために、上海のバブル崩壊と共に中央政府の重圧で上海
の輝きを失う可能性が高くなっている。

このため、一方で中国政府としても日本との友好を阻害することが
できずに、日本への友好的な対話や損害補償に言及するしかない状
態になっている。
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米財務長官「人民元、改革の時がやって来た」 (nikkei)
 【ワシントン=小竹洋之】スノー米財務長官は13日、米CNBC
テレビのインタビューで、対ドル相場を事実上固定している中国の
人民元について「改革の時がやって来た。中国が動くことを切望し
ている」と述べ、直ちに変動幅を拡大するよう重ねて要請した。
同長官は「改革は中国自身の判断だが、中国はいますぐ動いてほし
いという米国の意向を承知している」とも語った。  (13:02) 
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米政府、中国製品に緊急輸入制限・繊維・衣料3品目 (nikkei)
 【ワシントン=吉田透】米政府は13日、綿製ズボンなど中国製の
繊維・衣料3品目について緊急輸入制限(セーフガード)を発動する
方針を決めた。今後の中国政府との協議で今夏中に中国側が輸出抑
制への対応策を示さなければ、セーフガード発動に踏み切る。 

 グティエレス商務長官は決定に関して「米産業界に(他国企業と
の)公平な競争条件を整えようとする米政府の決意の表れだ」とす
る声明を発表した。 

 米国が中国製の繊維製品にセーフガード発動を決めたのは2003年
秋以来。今年1月に繊維製品の国際的な輸入割り当て(クオータ)制
が撤廃され、中国製繊維の輸入が急増し始めてからは初めてのケー
スだ。 

 対象となるのは綿製ズボンのほか、綿製・合繊製下着、綿製ニッ
トシャツ。これらの1―4月の輸入は前年同期に比べ約4―16倍も増え
ている。米繊維業界は「大きな被害を受けている」として米政府・
議会へのロビー活動を強め、セーフガードによる救済を求めていた。
  (10:03) 
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米上下院、中国人民元対策で為替操作阻止法案提出(nikkei)
 【ワシントン11日共同】米上院中小企業委員会のスノー委員長(
共和党、メーン州選出)は11日、中国をはじめ貿易相手国による為
替操作を阻止するための法案を提出したと発表した。為替操作で人
民元を安く維持した結果、米国の対中貿易赤字が膨らんだと批判し
ており、同じ内容の法案が下院へも提出された。

 法案は、特定の国を「為替操作国」と指定した上で、為替介入を
やめさせるため米財務省が交渉するとの内容。中国を名指ししてい
るものの、運用次第では日本なども対象になる可能性がある。

 中国へ進出し収益に結び付けられる大企業と異なり、安い輸入品
に市場を奪われている米国の中小企業は、特に中国の為替政策への
不満が強いとされる。 (09:00)
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米議会に貿易相手国の為替操作阻止法案・人民元を標的(nikkei)
 【ワシントン=吉田透】米国の貿易相手国による為替操作の阻止
を狙う新たな法案が10日、米上下両院に同時に提出された。法案は
対ドルの相場を事実上固定している中国の人民元を名指ししている
。日本についての言及はないが、運用によっては円相場への市場介
入も標的にされる恐れがある。

 上院中小企業委員会のスノー委員長(共和党)と下院中小企業委
員会のマンズーロ委員長(同)が作成した。人民元が対ドルで割安
に据え置かれ、米企業が中国製品との競争で著しく不利になってい
るとする全米製造業者協会(NAM)などの声を反映した。

 両院に提出された「公正為替慣行法案」によれば、「対ドルの為
替市場で一方向の市場介入を大規模かつ長期間実施している国」を
「為替操作国」と定義。米財務長官に定義に当てはまる国を特定さ
せ、為替操作阻止のため交渉することを義務づけている。

 1988年米包括通商競争力法も米財務省に為替操作国の特定と、相
手国との協議を求めているが、法案は現行法よりも為替操作の定義
をより明確にしている。 (10:53) 
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人民銀・呉副総裁、人民元改革「技術的な準備完了」(nikkei)
 中国人民銀行(中央銀行)の呉暁霊副総裁は日本経済新聞の取材
に応じ、中国の通貨、人民元の為替制度改革について「技術的な準
備はできた」と述べ、事前の検討は終わったことを示唆した。その
上で「国際社会は中国が自主的に(改革の時期を)選ぶ機会を与え
てほしい」と語り、変動幅拡大など制度見直し要求を強める米国を
けん制した。

 人民元問題に注目が集まる中で、人民銀行幹部が外国メディアの
取材に応じるのは異例。 (07:01) 
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中国製繊維にセーフガード発動要請・米繊維業界(nikkei)
 【ワシントン=吉田透】全米繊維協会など米国内の繊維関連四団
体は6日、中国製の繊維製品14品目について、輸入急増で国内業界に
被害が出ているとして緊急輸入制限(セーフガード)の発動を米政
府に正式に要請した。

 セーフガードの発動を求めているのは合繊製シャツ、綿製及び合
繊製セーター、合繊製ズボンなど。今年1―3月期の中国からの輸入
が前年同期に比べて、1.3―8.7倍に急増したという。全米繊維協会
のスピルハウス理事長は声明で、「前例のない中国製品の輸入急増
で米繊維業界は深刻な混乱に陥っている」と強調している。

 中国の世界貿易機関(WTO)加盟後、安価な中国製繊維の輸入
量は急増を続けていた。今年1月に繊維製品の国際的な輸入数量規制
(クオータ制)が廃止されると、輸入は一段と加速する兆しを示し
ており、米業界は懸念を強めていた。 (12:31) 
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成17年(2005年)5月13日(金曜日)
通巻第1123号

米中の「通商摩擦」、どうやら抜き差しならない状況に陥った様相
 一律27・%関税法案から「為替操作」を名指し、この遣り方は
「ならず者国家」名指しの発想と同じ

アメリカの選挙民は不公正、不平等といわれると敏感に反応する。

米国連邦議会上院の「中小企業委員会」(スノー委員長、共和党、
メーン州選出)は、中国をはじめ貿易相手国による為替操作」を阻
止するための法案を5月11日に提出した。
米国が一方的に定義している「為替操作」なるもので、中国が「人
民元を不当に安く維持した結果、米国の対中貿易赤字が膨らんだ」
といつものようなステレオタイプの批判を展開している。

ほぼ同じ内容の法案が下院にも提出されている。
これは米国の対中国貿易赤字が年間1300億ドルを超えた事態に
絶えられないため、とくに地元企業からの悲鳴を受け止めて対中姿
勢を強硬に演じなければいけない下院議会は、当然の流れだが、上
院も揃い踏みは極めて異例である。 

 法案は、中国だけをいまのところ「為替操作国」と名指ししてい
るが、いずれ日本も対象になる懼れが強い。
 法案はブッシュ政権が途中で議会を説得して廃案になる可能性が
いまのところ高いが、先月もシューマー上院議員が「中国からの輸
入品に一律27・5%の関税をかけよ」とする法案が提出されたば
かり。

 米国議会に流れるアンチ中国感情、日本の想像をこえた深刻な状
況である。
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成17年(2005年)5月10(火曜日)
通巻第1119号   

中国の経済危機の本質はGDPの150%という債務残高
 もはやバブル崩壊は回避する路がなくなった

 北京がいまさら強がりを言っても間に合わなくなった。
 中国への投資が減速傾向にあることは周知の事実だが、とくに台
湾からの投資が「反国家分裂法」と許文龍氏の「奇美実業」グルー
プへのいじめが祟って半減した。
 連戦をにこにこ顔で迎え赤絨毯を敷いて、南京の孫文陵に数千の
「市民」を動員して歓迎し、あまつさえパンダ二頭で誤魔化そうと
したって無理だって。
 
 日本からの投資も確実に下落傾向になるだろう。
当然、「反日暴動」が影響しているが、そのうえに「チャイナ・リ
スク」があまねく知られるようになった。合弁解消、投資中断が陸
続とつづいている事態は、日本経済新聞があまり伝えないので知ら
れていないが、相当深刻である。
 過日、京王プラザにおける江蘇省の日本企業誘致セミナーがガラ
ガラだった異常事態を看ても、日本企業の中国進出ブームが去りつ
つあることがわかる。
 江蘇省と言えば、上海から無錫、蘇州、常州、鎮江、陽州、南京
へといたる大工業ベルト地帯、日本企業はすでに一万社以上がここ
に蝟集している。その江蘇省も日本企業に見切りをつけられた?

 上海への海外企業からの投資は2001年が73億ドル、2004
年は116億ドル、中国全体で2004年は606億ドルの投資に
恵まれた。
 上海の金融機関は内外銀行と支店を含めて2988店舗。外貨資
産は日本円換算で34兆円。貯蓄は26兆円。貸し付け総額は19
兆円余。要するに中国全体の六分の一は上海に集中しているのである。

 さらに高層ビルの乱立は地盤沈下を産んでおり、いずれ摩天楼の
多くは海に沈む(?)。
 上海市内で16階建て以上の高層ビルは、ついに4000棟。
NYを抜いて世界一となったのはよいにしても、バブル崩壊により
無人ビル、幽霊マンションが目立ち、金融センターとなった陸家嘴
地区は毎年60ミリから一センチの地盤沈下が進行中だ。


 経済が本当に「高度成長」なら、上海の株式指数も上昇し続ける
はずである。
 上海の株価指数は絶頂期から40%の崩落(人民元建て)、上海
B株は67%の墜落。くわえてここに米国の金利高が追い打ちをか
ける。人民元はドルにリンクしているため、米国の金利に中国の金
利が連動するからである。金利が上がれば経済成長は減速する。

 人民元の米ドルへのペッグは予期せぬ事態を産んだ。
 原油高がじわり、中国経済に甚大なパンチとなって跳ね返ってき
たことである。なぜなら変動相場制度ではない人民元をドルになお
して石油を輸入する関係上、一バーレル50ドル台は悲鳴に近い工
業レベルのインフレをもたらしたからだ。
 日本は一ドル360円時代の一バーレル20ドルも、いまの一ド
ル100円台の一バーレル55ドルも、それほどの悪影響を受けて
いない。加えて日本のハイブリッドカーが象徴する省エネへの努力
は、消費効率で中国の八分の一の低コストを実現している。

 中国のエネルギーの無駄使いは、漏電、漏水のうえに燃費効率の
悪さ、公害無対策などにより、日本との競争力がまるでないのである。
 さらに石炭輸送中の盗難、ガス輸送管からの盗難、電力の盗用な
ど中国人のモラルのなさからくる経済全体の損出は、惨状といって
も良いだろう。

他人事ではない。中国経済の崩壊に備えよ。
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上海不動産のバブル抑制−中国   
   
 調査チーム派遣で本腰
 不動産相場が高騰する中国・上海では、ついに国務院(政府)が検査チームを送り込み、
 不動産が適正に売買されているか本格調査を開始した。国務院は地方政府に不動産価格
 の抑制を指示し、抑制されていなければ担当者の責任を追及する徹底ぶりで、胡錦濤政
 権にとっては沿海部の不動産相場高騰が貧富格差拡大を助長する元凶として本格規制に
 乗り出した。
(香港・深川耕治、世界日報) 掲載許可
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 高級マンション建設ラッシュが続く上海市内  
 胡錦濤―温家宝体制にとって、過熱した景気の抑制、すなわち不動産バブルなどによる
 地価高騰、貧富の格差拡大助長を徹底して規制し、金融引き締め策でコントロールする
 ことが国民の不満を抑え込むための政治的な至上命題となっている。
 すでに温首相は昨年後半から本格的に景気抑制に乗り出し、不動産高騰による金満体質
 の恩恵に浴してきた江沢民前国家主席を中心とする上海閥の利権にメスを入れ始めた。
 温首相周辺への政治圧力は地方政府の利権を奪われまいとする“抵抗勢力”との暗闘と
 して香港メディアで幾たびも報じられてきた。上海は、いわば“抵抗勢力”の牙城であ
 り、本丸でもある。

 国務院の景気抑制政策が推進されているにもかかわらず、上海の不動産価格は今年第一
 ・四半期で14%増、実際には20%増と見られており、先月八日、ついに国務院の専
 門検査チームが上海に乗り込んで実態調査を開始した。これと前後して国内では反日デ
 モが起こり、十六日に発生した上海の数万人規模の反日デモは上海の不動産価格を暴落
 させ、四月一カ月だけで約30%も下落。専門検査チームの上海入りと上海の反日デモ
 の発生、不動産暴落に「中央対上海」の権力闘争による陰謀説もささやかれ始めている。

 上海の一人当たり国内総生産(GDP)は約五千ドル。二〇〇三年の上海の不動産価格
 は一平方メートル当たり平均五千八百元(一元=十三円)増加しており、国内一の高騰
 ぶりだ。工業施設が上海から周辺都市へ移転が進み、上海は国内経済の「心臓部」とし
 て高層商業ビルや高層マンションが乱立。市中心部の九十平方キロ以内には一平方キロ
 当たりの人口密度が四万人となり、世界各地の大都市と比較しても超過密状態となった。

 一九九〇年代中期には一極集中の過密状態を緩和するドーナツ化現象が進み、周辺部の
 住宅建設ブームが地価高騰、不動産高騰に拍車を掛けた。

 一〇年の上海万博に向け、環境重視の都市開発が求められている上海市は、沿海部の異
 常な地価高騰、不動産価格高騰を押さえ込むシンボルとして国務院と上海市政府の思惑
 の違い、政治的せめぎ合いが一層顕著になるのか。上海の反日デモを契機に、ここ数年
 間の土地政策の動向は国内経済安定優先と地方利権の間で激しい綱引きが続きそうだ。 

    Kenzo Yamaoka

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