1985.反日から反共への必然



反日から反共への必然、世界陣営の両極化
国民党主席・連戦の訪中、反日などの時局について語る
http://www.epochtimes.jp/jp/2005/04/html/d89962.html
大紀元特約評論家・張傑蓮

【大紀元4月28日】中国共産党当局は最近、中国大陸に起こった
一連の反日デモをめぐって支持、扇動、操縦から制限、禁止、取締
へと、劇的にその態度を変えた。また、中国全土で党の風紀を厳し
く立て直すために、共産党員の新たな入党を要求すると同時に、台
湾野党の国民党主席・連戦が北京当局の扉をたたくと、共産党から
厚遇された。さらに、日本と緊張関係になると、北京は東南アジア
へ経済貿易の関係を促進させる姿勢を示し、フィリピン、インドネ
シアへ高額の投資を約束した。中共当局による一連の動きをどのよ
うに読み取ったらいいのだろうか? 

4月23日世界各地で行われた、中国共産党から脱退する百万の民衆を
応援する自由民主集会などの脱党ブーム現象も含めて、最近の中共
に関する時局について、大紀元特約時局評論家・張傑蓮氏(アメリ
カ在住)が4月28日、大紀元の取材に応じ、世界は中国共産党という
問題について両極な陣営に展開し、中国本土の反日デモは必ず反共
運動に発展すると語った。

張氏は、現在中共の一連の処置はすべて生き残りの反応であると指
摘した。中国共産党は、現在中国国内において、その存在の合理性
と合法性が民衆に疑われ、多くの政治的、社会的な危機に直面し、
火山の噴火口の上に座っているとも言える。一番危機感を与えてい
るのは、『九評共産党』(共産党についての九つの論評)という本
が民衆の中での広がっていることだ。『九評共産党』は、共産党の
本質と暴政の歴史を詳細に暴露し、民衆に共産党の仮面を明らかに
し、共産党の存在は中華民族の利益にとって最大の脅迫であるとし
た。『九評共産党』は、中国や海外の中華コミュニティで中国共産
党から脱退するブームを引き起こし、中共の統制基礎までも動揺さ
せたと張氏は述べた。

張氏によると、権力の危機に陥った中共は、自分が救われるように
現在、精一杯利用可能な対象を探しているという。従って、中共の
現時点でのすべての考えや、すべての処置は、この目的に中心とし
ている。「天の時、地の利、人の和」という表現から言えば、中共
内部の衝突と社会危機は地の利と人の和の問題に関わっているが、
共産党の崩壊は、更に天の時の影響もある−天が中国共産党を滅ぼ
す。つまり中国共産党の崩壊は天意である。『九評共産党』は、天
意の現れとも言える。

張氏は、現在のその特殊な時期に、中国共産党は人類の一つの核心
的な問題になっていると語った。その物差しで世界のすべての人が
自分の位置付けをする。中国共産党に近づくのか、遠く離れるのか
、あるいは利益に誘惑されるのか、単なる中国の事情ではない、と
張氏が述べた。その核心問題を中心にして世界の未来は正義と邪悪
の両極化を進めている−中共に付いて陪葬されるのか、それとも中
共の陣営から脱退して救われるのか、中共との関係は、すべての個
人、国家、更に民族までの運命に関わっている。人類は共産党のな
い新しい時代を必ず迎えると張氏が強く主張した。

次は、張傑蓮氏が大紀元の取材に応じた詳細な内容:

反日デモについて

Q:最近中共当局は。反日デモに対して、以前の支持し、扇動したの
とは打って変わって、正反対の態度に変わり、デモを禁止し、更に
一部のデモ参加者を逮捕しました。上海解放日報4月25日付の評
論では、最近の反日デモは“告げられない目的”があり、“陰謀計
画”だと称しています。当局も多くの面に働きかけ、反日デモを鎮
めようとしました。過去各地の大規模デモは当局にとって脅威とな
ったという見方がありますが、これについてのお考えをお聞かせ下
さい?

張:“告げられない目的”というのは、まさに中共当局自身のこと
を指しているのでしょう。泥棒が他人を泥棒呼ばわりをするという
ことですね。三つの側面から見て見ます:

1.党文化  扇動しようとしたら、愛国感情と呼びますが、鎮め
ようとしたら、“安定”の需要、また国民の素質が低いため利用さ
れやすい、違法行為が出やすいなどの口実で抑えます。民衆は、そ
の矛盾の両方の言い方にどちらにも納得します。それはまさに中共
による民衆に対する長期の洗脳の結果です。実は、中共は原則的な
立場がありません。今日は昨日の決定を即否定できるのです。すべ
ては“権利維持”が目的なのです。たとえば、六四天安門事件の時
、百万人が北京でデモを行ったが、治安状況含めて社会的な秩序が
とてもよく守られていました。民衆もとてもよく自らを律していま
した。泥棒も盗みを止めました。つまり、中国国民の素質は低くは
ありません。現在、デモを抑えるため、国民の素質が低いという口
実を作りました。もしそれが本当であれば、どうして中共の政権の
下で、素質の高かった民衆が、自らを律することのできない、低い
レベルの人間になってしまったのか、それはまさに中共の洗脳教育
が招いた結果ではないでしょうか?六四事件の時、民衆が示した高
い素質は、実は共産党文化を捨て、コントロールから解放された自
覚の行為から来たのです。 

2.歴史の真相  中共が反日デモを扇動したのは、中国民衆の民
族感情をかき立て、日本による中国侵略の真相を要求するという口
実です。実は、隠されている中国の歴史真相のほうが非常に多いの
です。たとえば、抗日戦争の真相、六四事件の真相、趙紫陽の真相
、法輪功の真相、文化大革命の真相、あらゆる政治運動の真相など
、中共はすべて無視して、日本の中国侵略真相のみを取り上げて、
常にそれを問題にして民衆を洗脳をしています。ですので、現在中
国の人が、抗日戦争は誰が行ったのかほとんど知らず、六四事件に
ついても分からないのです。大学生でも趙紫陽を知らない人がたく
さんいます。その原因は、国民には真相を明らかにしていないから
です。例えば毎年六四の記念日にあたって真相を封じる動きを必ず
とります。ですので、中共は実際に真相を一番恐れているのです。
嘘と暴力で政権維持をしている共産党は、歴史の真相にまったく興
味がありませんが、どうして日本の中国侵入のみに大変な興味を持
つのでしょうか?そのことを利用して、民族感情を扇動して危機を
逸らすためです。つまり、日本の中国侵入は、中共の切り札にされ
、必要な時期にそれを取り出して危機を回避する。反日デモの背後
にある中共の真意は、民族の気骨ではなく、自身の権利と利益維持
にあります。 日本も中共の脈をよく把握してあり、中共の本当の
目的は真相追究ではなく、国民感情を利用することにあると分かっ
ているようです。ですので、日本もその面では強気で対応していま
す。日本も歪曲した事実を探そうと中共の教科書をチェックすると
称し、共産党の致命的なポイントを掴みました。

3.民族の気骨 民族の利益  中共は外来の邪霊であり、ヨーロ
ッパから来たもので、中国人のものでもないし、中国文化のもので
もありません。中国を代表することはできず、かえって中国の文化
を完全に破壊し、中華民族の利益に害を与えました。中国共産党の
コントロールの下で、民族利益がないし、民族気骨は更にありませ
ん。中国人はもし自分の民族のものを探す場合、まず最初の一歩は
中共を見捨てなければなりません。今の反日ブームは最終的に反共
運動になるのは必然でしょう。民衆は初めて集中します。中共に操
縦された反日デモそのものは民族の中身がありません。民族的な中
身のある物は必ず反共から始まります。ですので、反日デモが反共
運動に転化するのは必然です。反共は、真の民族利益のために励む
行為です。その過程を見た共産党がこの点にも気づき、大変恐れて
いるようだ。ですので、積極的な支持から鎮圧に移り、国民の感情
を起こして国内の危機移転するテクニックです。
(05/04/30) 
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「日中間をどうする?」         Sさん

 中国の問題は僕は違った観点を持ってまして、最大の問題は政治による歴史
の利用かなと。
 海外にいるとよく分かるのですが、日本でも多少の偏向報道をやってます。
暴動が起こる前にまず、中台間の「反分裂法」問題があり、そのあとで日本と
アメリカの外務・防衛閣僚による台湾問題へのコミットメントがあります。
(日本では北朝鮮問題の陰にかすんでしまったが、日米2プラス2会談で、日本
ははじめて台湾を日米共同の戦略地点とすることに同意します。これは田中角
栄以来、日本がはじめて具体的に台湾問題に言及したことになるので、中国か
らしてみればルール違反なわけですね。)
 ここへ台湾独立派が噛んできます。日本でも有名な李登輝さんですが、彼も
いまは反国民党(国民党はいま野党で、中国との統一派の役割を演じている)
陣営にいて、台聯党という小さな党を持っていますが、そこの有志を日本の靖
国神社へ参拝させて、日中対立の状況を煽っています。
 だから日本も台湾独立派にかなり乗せられているようなところもあります。
 そして今回の中国反日デモへとつながっていきます。

 とまあ、この間の騒動は国際政治が複雑にかみ合っていまして、わかりづら
いわけですが、結構僕が心配しているのは、日本の報道だけを見ていたのでは
分からないということです。確かに向こうにそう言われるのは大きなお世話だ
が(中国も検閲はあるので)、中国が日本のマスコミをしきりに批判している
のはそういう訳です。

 で、問題の政治的意図はどこにあるかということですが、まずアメリカが世
界的に戦力が足りなくなってきていて(いまはイラクに戦力を取られている)、
戦略の大転換をやっています。従来のように、日本や韓国に大勢置いておくよ
りも、日本という国家力を有効に活用して、中国や北朝鮮を牽制した方がいい
わけです。
 いままでの日本(吉田から旧田中派まで)はこういうことを拒絶していたわ
けですが、小泉は、日本の経済力が中国と相対的に落ちてきていることや、旧
田中派の資金源を叩くなどの政治的意図からこれに乗っています。
 ブッシュが小泉を支持するというのはそういうことですね。小泉の方が扱い
やすい。そして台湾独立派も噛んできています。
 日本では李登輝さんは「親日派」だということになっていますが、かれも政
治的意図があってのことなので、注意してあたった方がよろしいかと思われま
す。

 それから中国は日本の常任理事国入りを阻止したいと、これは当然あります。

 靖国も「いい・悪い」はともかく、完全な政治上の道具になってしまってい
る。ここに現職の総理大臣が行くだけで、日中衝突になるわけだし、中国に限
らず、日本に中国と対立していて欲しい人(アメリカや台湾)もこれを利用で
きるわけです。

 ではどうすればいいのかということですが、歴史問題と政治問題は切り離し
て討論しようという呼びかけが、一番理にかなった主張になってくるかなあと。
 歴史は過去の問題なので解決できますが、これに現実政治の利益(国連改革
や東シナ海の石油問題、軍事面など)を絡めると、全く対話不能に陥りますの
で、これはやめたほうがいい。そのかわり、日本も過去の歴史清算に関しては
「逃げない」態度が要求されますから、それができないといつまでもこの螺旋
を回されつづけることになります。
 小泉がインドネシアでやった謝罪は「村山談話」の内容を借りた形でやって
いますから、まだ逃げてますね。「じゃ、あんたはどう考えているのか?」と
つっこまれますから。
 どういう原則でどういう解決をはかっていくのかというのを確立しないとい
けません。そのなかで、過去の歴史と現代政治の問題をむすびつけないという
のを相手に認めさせないといけない。

 なぜ中国との関係が大切になるかというと、先ほども言いましたように、ア
メリカの勢力がどんどんアジアから退いていっている。いまは日本もアメリカ
と組んで「イギリス戦法」(イギリスはアメリカとEUのどっちつかずで、それ
に対しフランスやドイツはしびれをきらしている)でもいいのですが、そのう
ちアジアの方に帰らなければならなくなる。その時までに(中国はどうせアジ
アの中の最有力国になりますから)アジアとの間をならしておかないと帰れな
くなります。
 この間柄をどうならしていくかがこの先10年大切になってくるんじゃない
かなあと。

 原則なき話し合いは前面譲歩になりますから、まず原則を確立することが大
切なんじゃないでしょうか? そのかわりに日本は歴史問題からはもう逃げら
れなくなります。

 まあ、感情的にならないほうがいいでしょう。 
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子供の頃から、小学校にも中学校にも朝鮮の人たちがいて、それほ
どの問題なくずっと一緒に育って来ました。
いい人も悪い人もいたし、日本人と同じだと思っていました。

個人的なレベルで感じるのは、朝鮮の人たち日本に住むうちに日本
化されていくのではないかということです。
朝鮮に住んでいる日本人は次第に、朝鮮人のようになっていくので
はないかと私は推測しています。

そうした個人的なことは兎も角として、歴史的にみて、朝鮮は歴史
に残っている限り、中国の属国であったのではないかと思われます
。(要検証ではありますが)

朝鮮の宗主国について言えば、江戸時代までの日本人は中国の古典
こそ尊敬してはいますが、中国人なんて見たこともないし、知らな
かったし、生身の中国人について考えたこともなかったと思います。

私も子供の頃から横浜の中華街によく行きましたが、ほとんど何も
感じることはありませんでした。日本語を話せないおばあさんが日
本に住んでいるということがひどく奇異に感じられました。

その後、共産中国の情報が入るようになってきてからは、尊敬に値
するものはまったくないと思っています。
それどころか、近頃は共産中国は人類の癌(フォーサイスはソ連を
そう認識していた)であるということが次第に明らかになりつつあ
る、と思うようになってきました。

朝鮮が、そのような中国の属国であることをこのところ急にノムヒ
ョンが示してくれるようになってきました。

日本の身勝手な立場を言わせてもらえれば
・朝鮮人がまともな民族であれば、日清戦争は起こらなかった
 (かも知れない)。
・朝鮮が中国の属国でなかったとしたら、日露戦争は起こらなかっ
 たか、もしくはもっと遅い時点で起こっていた(かも知れない)。

朝鮮が消滅せずに2000年の間残ってきたのは、中国の属国とし
て生きる道を選んだからであり、今、そのことがはっきりとしてき
ました。

朝鮮が、中国の属国であることを金正日が示し続けていますが、ノ
ムヒョンが示してくれるようになってきたことで、朝鮮のDNAが
顕在化されてきました。

私たち日本人は、朝鮮のDNAに踊らされないように注意しなくて
はなりません。中国と国境を接しているベトナムもインドもロシア
も中国は大嫌いです。朝鮮と国境を接しているロシアも中国も朝鮮
人は大嫌いです。

朝鮮と中国が好きな日本人もいます。私だって、これまではそれほ
ど嫌いではありませんでした。
しかし、小泉さんの北朝鮮訪問ですべてが変わってしまいました。
これまで、物心ついたときから、朝日や岩波にだまされていたこと
に気がつきました。

日本は、海で隔てられているために朝日新聞のような奇形が生まれ
る余地があったのでしょう。
できれば、朝日、毎日、岩波、共産党、社会党の皆様は中国や朝鮮
に移住されることをお勧めしたいと思います。
もしくは中国や朝鮮に住んだことがない人は朝日、毎日、岩波、共
産党、社会党の構成員とは認めないことにされては如何なものでし
ょうか。

私が日本人の典型だとは思いません。
でも、日本が右寄りに振れてきた、という朝日、・・・の分析は間
違っています。

日本人が朝日、毎日、岩波、共産党、社会党の皆様、にだまされて
いることに気がついたのですよ。
悲しいことに、そのことに気がついていないのは、あなた方だけな
のです。
(でも、本当のところ、気がついている人も結構大勢いるのでしょ
う?)

(Yahoo 掲示板にも投稿しました。いろいろな人に読んでいただきた
いと思って。)
石川義雄
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常任理事国の地位確保を   
   
 とりあえず中国との妥協で
国際社会で失墜
 日本海を挟み日本と中国の対立が厳しさを増している。その対立を緩和しなければ、日
 本の地位は確実に下降する。特に中国が、国連の拒否権を発動し、戦後六十年の節目に
 おける国連常任理事国の地位を獲得しようとする日本の願望をくじくカードを持ってい
 る状況では、日本の柔軟な戦略が必要とされる。

 一九七一年の秋、国連総会において、中国はアルバニア案が採用され国連常任理事国、
 P5の一角を占めることとなった。米中の利益を見事に一致させたキッシンジャーと周
 恩来の外交の成果である。インドやソ連との国境紛争で孤立状態にあった中国は、米国
 との関係を結び台湾から国連常任理事国のポストを奪取した。米国は、米中関係を改善
 することで冷戦に優位な立場に立つことが可能になったのである。

 戦後六十年を経て、敗戦国である日本が、国連常任理事国の仲間入りをする可能性が見
 えてきた。国連安保理改革が進む中、日本が国連安保理に入らなければ、国際社会にお
 ける日本の地位が低下し、高まる隣国の反日感情への対応に苦しむことになる。

 米国の主要紙で連日報道されている日中関係の変化に接していると、中国や韓国の反日
 感情の高まりと、日本のナショナリズムの高揚が呼応し、アジアの分断が進んでいるよ
 うに観察される。日中問題は、日本の株価のみならず欧米の株価にも影響するグローバ
 ルな問題である。今、求められるのは、日本は国連常任理事国のポストを確保すること
 である。その方策を考えてみたい。

柔軟な対応必要

 中国の王毅駐日大使は、自民党の外交調査会の講演で、日本の顔である首相、官房長官、
 外相の三人だけは靖国神社に行かないでほしいとの考えを示した。九月の国連総会で国
 連安保理改革は流動的ではあるが、日本は少なくともこの中国の靖国問題に対する妥協
 案を認めなければ中国の支持を得られない状況にある。

 首相の靖国参拝を固執し得られるものと、中国の妥協案をのむことで得られるものを天
 秤(てんびん)にかけ冷静に判断しなければいけない。二度と戦争をしてはならないこ
 とを靖国神社で誓うことが日本の主張であるが、この日本精神が隣国に理解されないの
 が現実であるとすると、時間をかけてそのギャップを埋める努力が必要となる。

 日本の主張を貫くためには、国際舞台における日本の地位を確保しなければいけない。
 とりわけ、中国の地位がアジアのみならず世界的に上昇している状況においては、日本
 は日米同盟のみならずアジアや国連における日本の存在感を鮮明にしなければ、中国と
 対等に交渉できなくなる。

 従って、靖国問題に固守することで国連常任理事国のポストを失うのでなく、とりあえ
 ず中国に妥協しても国連常任理事国の地位を確保し、日本の主張を世界に伝える方が賢
 明な選択だと考えられる。

 日本の戦前の侵略行為に対する隣国同士のいがみ合いは、二国間より多国間でのグロー
 バルな舞台での謝罪が効果的である。五月九日にモスクワで開催される対ドイツ戦勝六
 十周年式典、七月に英国で開催されるG8サミット、そして八月の終戦記念日までの多
 国間の場で、日本は、謝罪のみならずに日本の軍事に頼らぬ平和国家理念を発表すべき
 である。

 日本の戦略としては、九月の国連総会までは、隣国への柔軟な対応に徹し、そして、国
 連常任理事国になってから靖国問題や歴史教科書問題に関する日本の主張を貫くことが
 賢明であろう。日本は、かつて国際連盟の常任理事国であった。経済大国になった日本
 が八十五年前の外交に劣るようでは、先人に申し訳ないと思われる。

(アメリカン大学客員研究員・世界日報・中野 有)掲載許可
    Kenzo Yamaoka
==============================
日中ガス田問題/EEZ中間線の承認が大前提   
   
  きょう行われる日中外相会談で、町村信孝外相は改めて李肇星外相に反日暴力デモの謝
 罪を要求し、再発防止に向けた中国政府の決意をただすべきである。
 今回はそのほか、東シナ海のガス田開発問題という懸案が待ち構えている。この処理は
 単にエネルギー問題にとどまらず、国家の領海や主権に絡んでいるだけに、中国側のデ
 ータ提供を徹底して求め、それを踏まえて中国側の共同開発案を検討するか否かを考慮
 すべきである。 (世界日報)掲載許可

具体的な回答しない中国

 最も根本的な領海問題をあいまいにしたまま、日中友好の演出を優先し安易に同案に乗
 るべきではない。この海域はすでに一九七〇年ごろ複数の企業から開発の申請が出てい
 たが、政府は日中間の境界が画定していなかったため、トラブルを避けて許可せず放置
 してきた。

 一方、中国は九二年の領海法で尖閣諸島の領有を宣言するとともに、二〇〇三年八月、
 排他的経済水域(EEZ)の日中中間線からやや中国寄りの海底で「春暁ガス田」の開
 発を始めた。

 このため、日本も日本側海域で地質調査を開始した。その結果、「春暁ガス田」の鉱脈
 が中間線の日本側と繋(つな)がっており、日本の保有分も中国側に吸い取られる恐れ
 があると断定し、開発の中止とデータの提供を繰り返し要求した。しかし中国は具体的
 な回答を全くせず、同ガス田の日中共同開発を提案してきた。

 中国は当初、この開発のため欧米の石油メジャーを引き込もうと画策し、〇三年八月に
 は中国二社のほか欧米二社を加えた計四社による開発計画が調印された。

 ところが、昨年九月、欧米二社が突然、「商業的理由」でプロジェクトから撤退してし
 まった。中国が慌てて日本に共同開発を申し入れしてきた背景には、こうした事情があ
 った。

 日本が毅然(きぜん)として独自の開発に向けて試掘権設定の手続きに入ったため、今
 度は「中国の権益と国際ルールに対する重大な挑発だ」(中国外務省の秦剛・副局長)
 と非難の談話を発表した。

 しかし、日本は最初、中国に開発の中止とデータの提供を求めたのに、中国は全く応じ
 なかった。そこで独自開発の道を選んだ。すると今度は、共同開発を提案してきたので
 ある。

 欧米企業が春暁ガス田の開発から撤退したのは、量的確保と採算性について見通しが狂
 ったためだろう。しかし、中国は経済の急膨張でエネルギーがさらに欲しいが資金がな
 い。そこで日本に共同開発を持ち掛けたとみられる。

 しかし、もし日本が中国の反対を押し切って試掘作業にかかった場合、中国側からどん
 な妨害があるか読み切れない。中国が軍艦を派遣して作業を妨害することも十分あり得
 る。

 もともと中国は、日本側が国際ルールに基づいて設定しているEEZの中間線を認めず、
 大陸棚方式を主張して日本の領海奥深くまで中国領海だと言い張っている。

 だが、政府が試掘権設定の手続きに入ったのは、日本周辺の海洋権益を断固として確保
 する姿勢を示したもので、遅すぎた決断とはいえ正当である。

領海を明確にする作業を

 政府が最も重視すべきは、時間がかかってもEEZの日中中間線を中国側に認めさせ、
 領海を明確にする作業である。それなくして独自試掘あるいは共同開発をしても、ガス
 田の権益を得ることができなくなる危険性すらあることを認識すべきである。
    Kenzo Yamaoka
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義務教育の危機に直面する中国   
   
 教育費地方負担で農村にしわ寄せ
貧困児童2700万人、就学できず
 「一人っ子」政策の中国は、毎年9%近い経済成長率を維持しながらも、政府の教育費
 支出は各国と比較して多くない。教科書代が払えない生活苦が理由で小・中学校に通え
 ない児童は少なく見積もっても二千七百万人。やむなくミャンマーやベトナムへ越境入
 学するケースもある。教育費負担増にあえぐ地方政府が義務教育の就学率を水増しして
 虚偽報告、横領するなど汚職も顕在化しており、改革開放政策による貧富の格差は、国
 力の基礎となる義務教育でも深刻な歪(ひず)みを生んでいる。 

(香港・深川耕治・世界日報) 掲載許可

 「二〇〇四年の新たな教師への給与未払い総額は十億元(一元=一三円)。累計の未払
 い総額は百六十億元に上る。とりわけ農村部の教職員への給与未払いが義務教育を脅か
 し、貧困地域の小学校舎延べ三千万平方bが老朽化して危険な状態でありながら、改築
 すらできない事態が続いている」――。

 こう語るのは全国政治協商会議委員で北京航空宇宙大学校長を務める沈士団氏。沈氏ら
 全国政協委員五十六人は、三月の政治協商会議で政府の教育費支出を国内総生産(GD
 P)の4%まで引き上げる提案を行い、ようやく中国政府は〇七年までに実現すること
 を表明した。中国はGDPに占める教育費支出の割合がアジア諸国でもかなり下位のま
 まだ(表参照)。

 中国政府は義務教育の就学率100%を目指し、農村部の教育補充を強化してきたが、
 地方財政の逼迫(ひっぱく)で改善が進まず、小中学校に就学できない児童は全国で少
 なくとも全人口の約2%に当たる二千七百万人(二月八日の中国中央テレビ報道)。教
 育専門家らは「この数字はあくまで官営統計で、都市部の民工(出稼ぎ農民)を親に持
 つ児童数は含まれない。実際は三千万人を超えているはず」と実情の厳しさを指摘する。

 中国の貧困農民二千六百万人の平均年収は約六百元で、農村児童が一人当たり必要とす
 る学費は四、五百元。「上に政策あれば、下に対策あり」との中国の言葉通り、貧しい
 地方農村の児童は地元企業で就労しながら学費を捻出(ねんしゅつ)、生活費に充てる
 児童就労が浸透している。貧農地域では、父兄や教師も児童就労を黙認せざるを得ない
 のだ。

 国際労働機関(ILO)の統計によると、中国内の十―十四歳の児童就労者は確認でき
 ているだけで九百二十二万四千人。山西省の農村では花火工場で児童が就労し、花火工
 場爆発の巻き添えになる事件や広東省ではマクドナルドの景品袋詰め作業に児童約四百
 人が加わって反米感情を高めた事件など枚挙にいとまがない。

 中国の義務教育は一九八六年に「義務教育法」が制定されて以降、「地方負担、地方管
 理」の原則が法制化された。地方農村が教育費負担増で本格的にあえぎ苦しむようにな
 ったのは、八九年の財政改革で教師の給与を含む義務教育費支出のしわ寄せが地方行政
 府の最末端である郷鎮の財政下に置かれるようになってからだ。

 そこで、中国政府は九六年の義務教育法で小中学の義務教育九年間の学費を無償とする
 ことを明文化し、二〇〇二年には教育費負担を郷鎮から県に格上げ。だが、県レベルの
 地方政府の四割が赤字財政といわれる教育現場では「教科書代」「校舎補強費」「印刷
 代」など多種多様な名目で「雑費」と称して教育費を別途徴収、窮乏する農家の家計を
 さらに苦しめ、一向に改善されていない。その一方で一九九三年から「貴族学校」と呼
 ばれる私立学校の設立が認可され、上海で株式公開した広東英豪学校では小学生の学費
 が全寮制で四万六千元。貧富の格差拡大が教育の現場でも拡大するばかりだ。

 中国政府は八〇年代、二十世紀末までに義務教育の達成率100%を目標に掲げてきた
 が、「巨額の教育費に耐え切れず、他の財源に回すしかない郷鎮は数多い。農村では教
 師の給与すら払えず、教育費不足の補償を法整備しない政府方針は決して成功していな
 い」(雲南省の教育関係者)との現場の厳しい意見や不満が蔓延(まんえん)している
 のが実情だ。

 日本からの政府開発援助(ODA)による資金協力で各地の「希望小学校」が地道に建
 設され続けても、「反日愛国」教育の刷り込みの陰で一般国民には知られることは少な
 く、中国の貧困農村の就学問題全体を中国政府が抜本解決しない限り、ごく象徴的なケ
 ースに終わりかねない。広東省の地方政府レベルでは教育費を水増しして虚偽報告し、
 汚職する党幹部が逮捕されるケースもあり、農民の不満は増幅・拡大している。

 深刻な教員不足、教育費不足に悩む雲南省や広西チワン族自治区の過疎農村では、隣接
 するベトナムやミャンマー国境を越境して民営の「華人学校」へ留学する奇異な現象が
 一九九六年ごろから始まっている。

 雲南省教育庁によると、同省の中学校進学率は全国平均(97・9%)よりかなり低い
 88・9%。少数民族が多く、約五十万人の小中学生が衣食に不自由する最貧困家庭に
 属していることが同省の小中学校就学率が低い要因だ。

 就学率が上がらないのは農村だけではない。都市部に正式な戸籍を持たない民工の子供
 たちは、各都市の正式な義務教育を受けられないため、民間で運営する「民工子弟学校」
 に行くか、就学できないままのケースが多い。広東省深●(=土へんに川)では同種の
 学校が教育省の許可を得ずに運営していたとして閉鎖処分になり、路頭に迷う民工子弟
 の教育難が浮き彫りになっている。

 同問題を扱った「当代中国社会流動」(社会科学文献出版)によると、約一億人に達す
 るとみられる民工を中国大陸での「新労働者階層」と命名し、そのうち義務教育を受け
 る児童の割合が3%と見積もれば、三百万人の児童が都市部での正規な義務教育を受け
 ることができず、高額な教育費用を請求されるために就学を辞退するケースが多いとし
 ている。

 「貧富の格差を逆に助長した義務教育の地方財政負担は、地方官僚の汚職を蔓延させ、
 国運を左右する中華民族の宝を蝕(むしば)む」(香港誌「亜洲週刊」)との告発報道
 もあり、「反日」歴史教育以上の反動を憂える声も出始めている。

 【中国の義務教育】中国の教育制度は小学校(小学)、初級中学・高等中学(中学)、
 大学(高校、大学、学院)に分かれ、義務教育は日本と同じく小学校六年間と中学三年
 間の計九年。義務教育費は公庫負担でなく、各地方財政が負担している。二〇〇二年末
 現在、各級各種の学校は約百十七万校、在学生は三億一千八百万人で世界最大規模。

    Kenzo Yamaoka
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シンガポール外相、中国問題を語る   
   
  シンガポールのジョージ・ヨー外相は2日のインタビューの中で、中国経済の急成長は、
 アジアの政治状況を変化させ、周辺諸国や米国に問題と機会をもたらしている、と述べ
 た。
 ヨー氏は、ワシントン・タイムズ紙の編集者・記者との昼食会で、中国と周辺諸国の間
 の影響力をめぐる最近の攻防が、中華民国(台湾)をめぐる論争の中で、「事態を危機
 的状況に押しやる」結果となり、現在は当事者らが緊張緩和を急いでいる状態だと述べ
 た。

 ヨー氏は、中国と、それより程度は少ないがインドの台頭は、「グローバルな極に変化
 をもたらしている」と指摘。それは、21世紀の中南米情勢から中東政治、イスラム教
 の動向に至るまで、あらゆるものを形作るだろうと予測した。

 韓国、日本などは、中国が米国をしのぐ主要貿易相手国となる中で、政策に修正を迫ら
 れている。

 2003年にアジアで初めて米国と自由貿易協定を締結したシンガポールは、中国のよ
 うな一つの市場に依存し過ぎることを避けるため、ヨー氏の言葉を借りれば「無差別の」
 貿易政策を意識的に行ってきた。

 「もし、われわれシンガポールのやり方が正しければ、これから未来に向かって大きな
 波に乗るようになる」と彼は語った。「しかし、われわれが間違っていれば、波にのみ
 込まれ、過去の国となるだろう」

 台湾をめぐる急激な緊張の高まりは、中国、日本、米国による地域的影響力のための攻
 防と同時に、中国と台湾それぞれの国内政治を反映している、とヨー氏は述べた。しか
 し、激しい言葉のやり取りは、逆説的だが、現在のような緊張緩和をもたらし、全員が
 後ずさりを始めた、と彼は述べた。

 「関係国すべてが損得勘定をはっきりと認識するようになり、その結果、リスクを冒す
 ことを避けるようになった。ほとんど皮肉ともいうべき方法で安定度を増したのだ」

 同外相は、中国はエネルギーと資源を確保するためにその強い経済的影響力を利用して
 おり、米国の業者が寄り付かない供給国に標的を絞っている、と述べた。

 「あなた方が空白地帯をつくればどこにでも、(中国は)進出していく。それがベネズ
 エラやイランであってもだ」と彼は語った。

 1999年から2004年までシンガポールの通産相を務めたヨー氏は、特に米議会が、
 懸案の中米との自由貿易協定を拒否すれば、中国政府は中南米諸国に強烈にラブコール
 を送るだろうと予測した。(5月3日)世界日報 掲載許可
    Kenzo Yamaoka
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「文明の選択」の前に中国は?   
   
 文明国から夜郎国の恐れ/日本文明の独自性ゆるがず
筑波大学名誉教授 加藤 栄一
文明を選択した歴史的な先達 (世界日報)掲載許可

 私の寝室に一つの聖像(イコン)を飾ってある。二女(ロシア文学者)がキエフから持
 ち帰ってくれたもので、聖ウラジーミルである。ウラジーミルは千年前のロシアの支配
 者キエフ大公であるが、私が尊崇するのは、彼が「文明の選択」をした指導者であった
 からである。

 ウラジーミルは、当時野蛮のロシア人に文明の恩沢を与えようと、四方の文明国に使い
 を遣わした。

 イスラムは酒を許さないので、ロシア人には向かないと却下した。カトリックはロシア
 人の先祖がすでに拒否していた。ユダヤは国を持たないのが気に入らなかった。

 ギリシア正教は、使いの者が、その会堂は美しく、音楽も耳に快く、香は鼻をよろこば
 せる、まるで地上の天国であると報告し、イコンをもたらしたので、ウラジーミルは、
 これ、と決めた。以来ロシアは正教国となり、共産政権でも生きのびて今日に至ってい
 る。

  五官みな神に浸りてクリスマス

   国彦
と、私はニコライ堂を詠んだが、そのとおりである。

 日本では、聖徳太子が文明の選択をされた。圧倒的な中国文明にもめげず、「日出(い)
 づる国(日本)の天子、書を日没する国(中国)の天子にいたす」と対等・独立の態度
 を示されると共に、遠いインド文明より仏教を摂取された。

 遣隋(ずい)使、遣唐使は中国より文明を輸入したが、菅原道真(みちざね)(天神さ
 ま)は断乎(だんこ)として遣唐使を廃し、和風の日本文明が独自に熟成する道を開い
 た。

 中国大陸からの文物の摂取は、国家レベルの交流が絶えた後も永く僧侶の往来などによ
 って続いたが、日本が中国に臣属するなどのことがなかったのは大幸である。むしろ、
 日本僧イニング然(ちょうねん)は宋の皇帝に会ったとき、「日本の天皇の姓は今何か」
 と問われて、「日本は中国のように革命で何度も王朝の姓(宋は趙)が変るようなこと
 はなく、万世一系ですから、天皇に姓はありません」と堂々と答えて宋帝を悶絶(もん
 ぜつ)させた。

脱亜入欧で中国文明から独立

 明治維新では、「五箇条の御誓文」で国際法に信頼して世界に乗り出した日本は、自主
 的に文明の選択をした。福沢諭吉のいう「脱亜入欧(だつあにゅうおう)」(アジアの
 悪い友人と交際を謝絶してヨーロッパ文明に入ろう)である。これは恐るべくハッキリ
 した宣言であるが、その少し前、幕末にすでに尊王攘夷(そんのうじょうい)派は、そ
 のイデオロギーを水戸の「弘道館記」にあらわし、中国文明から日本文明の独立を宣言
 している(徳川斉昭(なりあき)の命により藤田東湖が起草)。

 それから、何度かのナショナリズムを経つつも、一世紀以上にわたって欧米文明(西洋
 文明)に日本は傾いて来た。近ごろでは長年なじんできた漢字を使う能力も少々衰え、
 英語はじめ西洋語で盛んに造語している。

  横文字の看板ばかり建国日

             八木健

 しかし、日本文明の独自性はゆらいでいない、と私は見ている。

 日本文明は、世界の九つか十の文明の中で一つの文明として発展し続けるであろう。も
 ちろん西洋文明の強大さは当分続くであろうが。

 ここでお節介ながら近隣諸国の文明の選択を一望する。

 朝鮮半島は中国文明があまりに強かったのである。事大(じだい)主義(大国に事(つ
 か)える、つまり中国に何でも従う)という態度が生じざるを得なかった。

 ところが金日成が現われて「主体思想」を唱えた。ソ連にも中国にも、まして米国にも
 屈しないというのである。事大主義を克服したのは偉大である。(もっとも、その独裁
 政治は人民のためにはなっていない。)

 フィリピンはどの文明に属すべきであろうか。人種(アジア人とヨーロッパ人の混血)、
 宗教(カトリック)、言語(スペイン語)、北米への親近感の四つの点から見て、少し
 遠いが、ラテン・アメリカ文明に入るのが最も良いと思われる。(ハンチントン教授も、
 フィリピンの帰属には悩んでいるようなので、一言した。)

文明的でない中国の反日運動

 中国自身はどうか? 何よりも共産主義文明を棄て去るべきである。また「華夷秩序」
 (中華が世界の中心で最も尊く、他国は周辺にあって蛮夷である。その間に対等の関係
 はなく、朝貢(ちょうこう)関係があるのみ、という考え)の思想を捨て、各国が独立
 ・対等、不可侵の国際法秩序に入るべきである。そうしないと、中国自身が一つの夜郎
 国(やろうこく)(夜郎自大と言って、野蛮な孤立国が、自分はえらい国だとうぬぼれ
 る)になってしまう。

 このごろ盛んな中国の反日運動は、決して中国文明を偉大にするものではない。「抗日
 記念館」はウソのかたまりであって、国としてこんな物を展示、教育するのは国辱であ
 ろう。中国政府当局が理性を取り戻すことを切に希望するものである。さもなくば、日
 本人の心は永久に中国から離れてしまうだろう。
    Kenzo Yamaoka
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米国 「新しい日本像」を模索   
   
 下院、日本焦点の公聴会開催
専門家が同盟関係の将来分析
「ポスト小泉」の見通しに注目

 米議会は先月二十日、「変化する日本に焦点を当てる」と題した公聴会を開催した。公
 聴会では通常、懸案となっているテーマが取り上げられることが多く、「過去最高の日
 米関係」といわれる中で、こうした公聴会が開かれたことは異例だ。イラクやインド洋
 への自衛隊派遣など、国際貢献に積極的に関与し始めた“新しい日本”の実像を把握し
 ようとする狙いがあるものとみられる。(ワシントン・早川俊行・世界日報)掲載許可
 l

 下院アジア太平洋小委員会が開いた公聴会には、三人の日本専門家が出席。ボストン大
 学のトーマス・バーガー助教授が外交・安保分野、バージニア大学のレオナルド・ショ
 ッパ助教授が内政分野、オリエンタル・エコノミスト・リポートのリチャード・カッツ
 ・シニアエディターが経済分野について、それぞれ証言した。

 米議会が日本に焦点を当てた公聴会を開いた背景は二つある。

 一つは、東アジア情勢の不安定化だ。北朝鮮の核開発問題が深刻化する一方、中国は急
 速な軍拡を続け、韓国も米国と距離を置き始めている。米国にとって、東アジア地域で
 心底信頼できるパートナーは日本しかなく、今後も日米同盟の重要性は一層高まるとの
 認識がある。

 もう一つは、日本の今後の動向を見極めることだ。ブッシュ大統領と親密な関係を築い
 たのは小泉純一郎首相だが、「ポスト小泉」の時代も現在の関係を維持できるのかどう
 か。問題が発生することが予想されるなら、その芽を今のうちに摘み取っておきたいと
 の思惑がある。

 バーガー氏は、最近の日本の安保政策について、「東アジアの安定のために重要な貢献
 をしている」と高く評価する一方で、「極東の英国からは程遠い」と、日米同盟は米英
 同盟のレベルには至っていないとの見方を示した。

 ただ、同氏は、ポスト小泉時代も日米同盟重視の流れは変わらないと分析。その理由と
 して、@野党・民主党に現在の政策の継続を支持する現実主義者が多くいるA日本は北
 朝鮮、中国に脅威を抱いている――ことを挙げた。

 しかし、自衛隊に犠牲者が出るなど、現在の安保政策は負担が大きいことが明らかにな
 れば、「バックラッシュ(反動)」が生じ、日本の世論が一転する恐れがあると警告。
 それを防ぐために、「日本の国益が米国の戦略決定上、重要であることを示すメカニズ
 ムを創設する必要がある」と提案した。

 一方、ショッパ氏は、今後の日米関係が現在の米韓関係のように急速にギクシャクする
 シナリオだけは回避すべきだと主張した。

 米韓関係がこじれている要因の一つは、韓国の盧武鉉大統領や与党・開かれたウリ党の
 若い政治家が、米国がこれまで関係を築いてきた政治指導者とは異なった対米観を持っ
 ていることにあると指摘。日本でも同様の事態が起きることを防ぐために、「野党の新
 世代の政治家が政権に就いたときに備えておくべきだ」として、近年の選挙で勢力を伸
 ばしている民主党との関係強化の必要性を強調した。

 また、悪化する日中関係に関して、米政府内の一部に、日本を米国側に結び付けておく
 ために日中の摩擦を利用する考え方があることについて、同氏は「深刻な誤りだ」と指
 摘。アジア諸国で反日ナショナリズムが強い状態では、「日本が安全保障上の役割を段
 階的に拡大することが困難になる」とし、日中が対立する状況は米国の利益にならない
 との見方を示した。

 一方、カッツ氏は今後数年間、牛肉や鉄鋼のような分野別の摩擦を除けば、日米貿易関
 係に緊張が生じることはないと予想。その理由として、@日本はもはや米国の主要産業
 の脅威とはみられていないA米国の貿易赤字に占める日本の割合が急速に縮小している
 ――ことを挙げた。

 公聴会の冒頭に発言した同小委員会のリーチ委員長(共和)は、日本の国連安保理常任
 理事国入りに関して、「日本の立候補は米国の確固たる支持を受けるに値する」と述べ、
 全面的に支援すべきだとの考えを示した。

    Kenzo Yamaoka

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