1976.反日運動について



<想定内>と、<想定外>。世界経済に急ブレーキをかけかねない
中国の動き。

おそらく、反日デモが行われる時、事前にはある程度日本に対する
威しという、
感をもって、中国共産党の指導があって、反日感の強い学生グルー
プを利用したようだ。
ただ彼等は、無秩序な破壊活動になるまでは想定していなかったが
、大使館等への投石レベルまでは許可し、そのへんで管理できると
思っていたのだろう。

しかし、デモには社会不満分子が流れ込み収拾をつけられなくなっ
た。その辺の読みが甘かった。また。各地への拡大も想定外であっ
たろう。このへんは自国内の不満を甘く見たのではないか。
しかも、政治的立場というのは、経済のように利を求めて、簡単に
態度を変えるというわけにはいかないから、態度を貫くしかない。

また、日本側で、反中もしくは中国警戒論を煽っていた人達も、中
国に対しての傾斜を止め、親米依存路線を確立したかった。しかし
、経済まで影響を及ぼすことは望んでいなかったので、政治上だけ
でやりあえると思っていた。また、逆に、共産党の統制に過大な評
価を与えていた。これも少々のトラブルは想定の範囲内で、そのこ
とにより日本の状況を自分達側に引き付けるのには有利になると考
えていた。
基本的には、この煽りの中国側の反発という形で、事態はすすんだ
。(本屋に行けば、論壇雑誌が、反中国特集で、花盛りなのはあき
らかだ。これに対する反攻の意味があったのだろう。)

しかし、予想以上に全土に拡大し、しかも止められないのではない
か=本当に中国から撤退、生産拠点・市場をという恐れがでてきた
、これは想定外だろう。

また、日本企業のライバル達も、少し拡大のペースが落ち、シェア
競争に有利になるのではないかと考えたのは想定内、しかし、中国
政府のコントロールが本当に効かない事態に発展し、自分達に向け
られた場合(愛国の名のもと、外国製品、外資排斥、台湾排斥にな
った場合)を考えると対岸の火事と言っていられなくなった。これ
も想定外。

経済人なら誰でも知っているが、今の経済を支えているのは、アジ
アであり、そこへ、中核部品を日本が供給するという体制がとられ
ている。日本経済が一息ついたのも、中国特需であったいうことも
明白だった。

しかも、米国の経済というのは、「帝国循環経済」でなりたってい
る。その循環の中核にあるのは、最大の黒字国で、同時に米国国債
の引き受けてで、ドル投資の中心の日本である。ヨーロッパはユー
ロ内で回す気だし、多くの資金余剰国では、ドルとユーロに分散を
始めている。そして、米国の投資も、げんに日本にかなり入ってい
る。
だから、日本がコケルと、この循環が回らなくなってしまう。
循環がもし逆回転すれば、世界経済は崩壊する可能性すら秘めてい
る。

この突発事項が、収拾を見せないと、市場は経済要因外での急変動
に弱いから、デリバティブ等で、大きな破綻が起きてしまう。市場
の想定外。

また、金融資本と、産業資本では大きな差が存在する。それは逃げ
足だ。金融資本というのは、モトモト迫害に合いやすかったユダヤ
人がシステム設計しているために、「逃避すること」を前提に作ら
れている。
ところが、産業資本というのは、土地を確保し、工場を建て、設備
投資し、人を雇用教育するという条件があるため、極めて撤退する
のが難しいし、撤退するときは極めて多大な欠損を覚悟しなければ
ならない。だから、想定外の事態に対してとても弱い。
企業の想定外。

想定内ならば、誰も、程々におさまり、それぞれがそこそこの思惑
どうり利益を得ただろう。しかし、事態は誰もが想定を越える混乱
と対立に向おうとしている。
しかし、暴発する、民衆を中国政府が押えられなくなれば、大混乱
は、世界経済を巻き込むことは必死だ。

                   まとり
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「中国の反日について一考」
 中国の国家戦略としての「反日」は当分止まらないだろう。メリ
ットが、デメリットより大きいからだ。メリットは、
1.一党独裁政権の正当性の根拠になる。(外国軍に侵略されてい
た中国を開放した)
2.国民の不満のはけ口として有効であり、日本からの反撃は日本
のマスコミを通じてコントロールできる判断している。(例えば、
民主党党首:岡田氏の発言)
3.中国に投資している日本企業の資産をいつでも没収できる。(
反日をあおり日本企業を撤退に追い込めば投資した資産は自動的に
中国の資産として、ただで入手できる)
4.世界に「反日」が正しいと言い続け、そして日本が反論しなけ
れば日本を孤立化できる。
5.韓国・北朝鮮を中国の属国にする手段に利用できる。(韓国も
「反日」を権力維持として常に使用するので日韓離反策の一手段と
なる)
デメリットは、
1.国内の不満のはけ口としての行動が、いつ共産党政権打倒に転
換するかが分からない。
2.外国からの投資が、減少する。

 現在の共産党政権にとって、デメリットのうち1番目は軍隊を握
っている限り乗り切れる。2番目は中国市場の巨大さをアピールす
れば世界からの投資が減るとは考えられないと認識している。また
、日本を悪者にすることに成功すれば、投資の減少は起きない。

 以上に対して日本の対応は、まず正当な権利の行使(被害に対す
る謝罪・補償の要求。日本人・資産の保護の要求。東シナ海での当
然の権利の行使)だろう。決して相手の要求に一理あるとの対応は
相手に誤解を与える。具体的には民主党党首の岡田氏の発言である
。外交において、この対応は大人の対応ではなく幼稚な対応である。
 次に、「反日」のメリットを減少させ、デメリットを増幅させる
ことだと考える。具体的方針としては
1.「反日教育」の必要性を低下させる。つまり政権の正当性を「
普通選挙で国民により選択された者に政権を託す」構造にしなけれ
ばならない。自分が選択した政権なら責任は自分に存在するという
当然なことが民主主義の基本であり、軍事力による政権樹立・維持
という権力機構の弱点がない。
2.世界に対し中国の反日教育の異常さを説明することにより、現
状の中国の政策を孤立化させる。

 1番目を実行する手段は、中国国民への情報提供(民主主義の意
味すること)だろう。具体的には情報管理が徹底している中国国内
へは困難だ。しかし、日本に来る中国人には可能だ。それは観光で
もかまわない。普通に時の政権・権力を批判できること。軍国主義
の総本山と洗脳されている靖国神社を見てもらうのも良い。イメー
ジとの違いを感じるだろう。
 2番目は次のように説明できる。現在までの中国の教育は、『現
在の中国では「反日」だけで、中国(つまり自国)の文学さえ教え
ていない。翻って日本では、古来より「中国の古典」を「自国の古
典」と同様に教えている。これは、隣国の文化を教えることにより
その国に親近感を持たせる教育をしてる。決して他国を憎しみの対
象のようにすることはない。』また、『第二次世界大戦後、英国の
教育が自国の誇る文化・文学であるシェークスピアの名前や文学を
教えず、反ドイツのみを教え続けたらどのようになるか』と発信続
けてはどうか。

 政治家や知識者が大人の対応として「中国人の感情を逆撫でして
はならない」という感覚は何の役にも立たない。双方に不満が鬱積
するだけである。相互の感情も含めたコミュニケーションが必要と
いうのが私の意見です。ただし、外交は国家・国民の繁栄・安全確
保が目的で、戦略が必要と考えてます。
 
 今回の中国政権の狙いは、中国の覇権確立の一環ではないでしょ
うか。中国は数年に一度、日本に歴史カードを突き付けて土下座外
交を強要してきたが、小泉首相は拒否した最初の首相です。昨年の
温家宝首相との会談後に靖国参拝を控えているため追込みを実行し
てきたのが深層ではないでしょうか。基本的に覇権国家である中国
の行動様式は4000年変化はなく、新たな地域を占領し、漢民族
以外を少数民族にしてきた歴史は今も続いています。最近チベット
を60年かけて成功させている。巧みな外交戦略に情緒的に同調す
る危険を感じます。
name=佐藤俊二
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戦前にもこういう発言をした、日本の禅者がいた。 虚風老

ここに、戦前1936年、鈴木大拙師が、「一禅者の思索」として
、ロンドンで講演した内容を紹介しておきたい。(講談社学術文庫
、収蔵)

「愛」(karuna)はあらゆる友好心理を動かす原理である。
これが間違った方向に向けられると、利己主義がありとあらゆる形
をとって現れる。すなわち個人的利己主義・民族的利己主義・経済
的利己主義・宗教的利己主義等になって現れる。現今われわれは最
も痛切にこれれの種々相を具えた利己主義に悩んでいりのである。
利己主義の求心的傾向と戦うと思われている宗教さえもがどこから
みても全く無力で、世界の現実態と対抗し能わぬのである。

 宗教はわれわれに利己主義を去れと教えて倦むものではない。
しかし問題が国際的或いは民族相互間のまたはその他の世界事象に
関してくると、その教えはなんら実際的効果をもたらさないのであ
る。社団法人は良心をもたぬといわれるが、或る国家もまたそうな
のである。言いわけが合法的にできさえすれば、その利己的行動は
大手を揮って天下の公道を横切る。

愛国精神・団体精神などという多くの美名嘉称でいかに多くの悲禍
が将来せられたことであろうぞ。これは個人的利己主義からの業果
よりもひどいものがある。そしてそれが通常、経済的利害または政
治的威信の線に沿うて何らかの形で損失を蒙る場合には、その損失
は自らの集団の全面にわたりて分担せられねばならぬ。それ故指導
者達は、自己のあらゆる行為に対して、十分の責任を感じ、また公
共心という道徳を深く抱かなくてはならぬのである。

公共心に富むということは、それがそれだけで内容と実質が相伴う
ている時は非常に良いことであるに相違ないが、形の上の公心でも
、質の上の私心であることがある。或いはあらゆるものを犠牲にし
てもも排他性を極度に肯定するような場合には、われわれはその結
果がわれわれを何処へ落着かせるかを能く知るのである。われわれ
は今や全世界にそれが事実の上にしめされつつあるのを目撃してい
る。そして最も悲しむべき事は、我々が無能・無力であること、而
してこの向こう見ずな進行が避けられぬ終局へ近づきつつあるのを
阻止し能わぬということである。われわれは多分、無始以来の過去
から積んで来た自分自身の業の必然の働きに服従いなければならな
いのであろう。――――。

彼はこの講演の中で、「世界宗教者会議」なるものを夢想したが、
それは戦後、先日お亡くなりになった、バチカンのヨハネ・パウロ
二世によって、催された。
ヨハネ・パウロ二世の偉大さは、カトリック教会が絶対の無謬性で
あることに固執することをあらため、異なった宗教間での対話と和
解をすすめたことであろう。

鈴木大拙も、一禅者としての哲学の上に自分を置き、それを越えて
、思想し行動したといえよう。
願わくば、世界の宗教者が、もう一度地球上に住まう万民の為、す
べての生きとし生けるものの為に、争いを乗り越えて行動すること
を願わん。

                      虚風老
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とげ抜き地蔵にでも、参ってみるかの。 虚風老
   
 今回の騒動では、日本・中国共に損をしたの。
そろそろ、打開策を模索せんとな。

日中間の実質的な問題として、日中中間線問題があるの。
(靖国・歴史教育問題は、感情的価値観の問題として、この際分け
ておこうかの。
ごっちゃになり過ぎて、わしゃ、首を寝違えてしまっとるぞ。)

また、中間線問題は、
 主権的問題。
 海上・海中の漁業問題
 海底資源問題
 尖閣諸島の帰属問題に分けられるとしよう。

まず、主権的問題と、漁業問題で日本は譲れないから、日中中間線
が日本の主張するラインであることを求めていくのはとうぜんじゃ
ろう。

海底ガス資源については、
実は、埋蔵の他に、採算の問題があるんじゃな。
この地域は、荒天(台風通過地点)の場所にあるため、液化・タン
カー輸送では採算が合わないとされておる。また、米国企業が途中
から手を引いたところをみても大規模な鉱区ではないようじゃ。
(とら丸氏が言うとうり、あの、石油には貪欲な米国が、秘密裏に
探査してないわけがないので、日本側にも大規模な石油資源がある
というのは考えにくい。あるとしても小規模。)

ここを開発する場合、採算が採れるのは、パイプラインで、上海に
持って行くことだと言われておる。(これだと、通年で輸送可能。
パイプラインそのものは、既に中国側は施設済み。)

ガス田が、点在するような状況ならば、減価償却等のことを考える
と、上海に持って行くことが合理的ではある。なぜなら、上海地区
で電気は逼迫しておるが、電力の安定は中国に進出しておる日本企
業も必要としておるからじゃ。

主権下のモノだからといって、採算の採れないガスを何がなんでも
自分のところで使わなければならないという理由はないからの。
だから、中間線を日本の主張とすることと引き換えに、地下ガス田
の共同開発に応じるのは、取引き材料としてはええじゃろう。(逆
に、中国側の死活の狙いは、エネルギーの確保にあるわけじゃから
の)噛みたきゃ、米国企業も噛ませればええ。

また、尖閣列島については、日本が実効支配しているわけじゃから
、渡す必要はないな。
この問題は、結局は太平洋戦争後の領土確定の積み残しなのである
から、この解決と確定は、歴史の流れ−米国の統治からの引き継ぎ
を最大のポイントにするべきじゃろう。
先有権等で争うのは止めた方がええ。
どちらが先にここを支配したかを争っても、あまり益はないし、実
際のどうだったかよりも、どちらが先に記述したかを優先してしま
うと、魏志倭人伝の昔から、歴史に記録を残すのを趣味にしている
ような国である。埃をかぶった古文書から、どんな記述を見つけて
くるか分かったもんじゃないからの。

この地は、台湾も主張したこともあるので、米国(戦後の管理者)
を間に立てて、調停・手打ちに持っていくべきじゃろう。この辺が
確定されないのは、米国にもその責任はあるわけじゃしの。(ま、
米国を立てれば、日本のモノであることは確実じゃし)

実を取って、相手にも相応に、実を渡す方式がええのう。ガリガリ
じゃ、収まりがつかん。
総取というわけにはいかんよ。
                       虚風老
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濠川さんの書かれたことを読んで、驚きました。
>領土問題で話すならば尖閣諸島、竹島どちらも明け渡すのが上策と
>思います。北方領土もそうです。

濠川さんのお隣にどのような方がお住まいかわかりませんが、中国
、韓国、ロシアの人々は、そして国家は、絶対に濠川さんの隣人(
多分日本人と思いますが)のような人たちではありません。

勿論、隣人と仲良くすることは大切なことです。しかし、しかし、
物事はそう単純ではありません。朝鮮の人と中国の人たちの間は、
2千年以上にわたる長い間、序列関係があります。朝鮮の中国への
隷属、これは日中関係と根本的に違うところです。中国は、無意識
のうちに日本に対しても、朝鮮に対すると同じ感覚で接してきてい
るのかも知れません。私は、日中間は歴史の上でも平等だと思って
います。

濠川さんがお考えになるような友好関係を、日中、日朝の間に築く
ことは、領土を与えたからといって、できるわけはありません。
それどころか、一歩退けば三歩踏み込んでくる来る人たちと私たち
は対峙しているのだということを肝に銘じておく必要があります。
利害が絡まないうちは、中国にも韓国にも個人的につきあったとき
いい人は大勢いるかも知れません。まして、パック旅行などでふれ
あう人々はみんないい人のように思えることでしょう。

今、デモで日本を非難している人たちがすべてではないのと同様、
旅先で私たちが出会う人たちだけがすべてではありません。数ヶ月
以上その地に住まないと見えないものが沢山あると思います。
私たち日本人には想像することが困難な歴史と文化が大陸にはある
ことを知る必要があります。中国人が日本で起こしている残虐な犯
罪はその一端でしょう。そのような人たちを統治して行くには、今
の共産主義政権に限らず、力で押さえる必要があることでしょう。

今回のデモとそれに対する中国政府の反応は、私たち日本人にとっ
てある意味で、幸いであった、と言えなくもありません。小泉さん
が訪朝した後、日本人の政治家が何をしてきたかが、次第に明らか
になってきました。今回のデモとそれに続く中国政府の対応により
、いろいろなことが私たちの目に分かり易い形で、はっきり見え始
めてきました。
中国の政権の言い分は北朝鮮の言い方と非常によく似ています。私
たち普通の日本人にとっては、とうてい信じられないようなことを
平然と言い放っています。多くの日本人が北朝鮮の問題が解決した
後に、中国問題があることに気がついたことと思います。
実は、シンヨウでの脱北者駆け込み事件、サッカーアジアカップ予
選での反日デモなどで、うすうす気づき始めていたことではありま
す。

中国と南北朝鮮と日本が協力して、ヨーロッパのような社会ができ
る日が来る、ということは少なくとも中国の持つ矛盾が解決されな
い限り、あり得ないことでしょう。それより、インド、ベトナム、
タイ、オーストラリアといった、「まともな国」と普通のおつきあ
いをする方に力をいれるべきです。
中国人口13億人というのは幻想です。広い土地はありますが、資
源があるというのも間違いです。中国の多くの地域は北朝鮮と同様
、貧しい訓練されていない人々が資源のないところに住んでいるよ
うなところです。農業にも、工業にも必要な水が絶対的に不足して
います。

貧富の格差や、政権の腐敗は中国政府が解決すべき問題です。しか
し、今の政権は、民族や歴史を無視して石油などの資源を確保する
ために広大な地域と多くの民族を無理に束ねようとしているためこ
のような解決不可能な問題を抱えざるを得ないのです。いずれ、旧
ソ連のように、民主化された後、いくつかの地域に分割される日が
やってくることでしょう。僻地に移住した漢民族は、バルト三国の
ロシア人のような立場になることでしょう。

そのようになったときこそ、中国と対等につきあっていくことが、
できるのであって、これまでのように日本人の特定の政治家や外交
官、企業家を籠絡したり、脅したりして日本を中国の意に沿うよう
に動かしてきた金日成、正日と同様の手法だけでは、謀略が通じな
くなってきたようです。
濠川さんの土地であれば、ご自由に隣の人に分け与えてくださって
も構いません。しかし、尖閣諸島、竹島、北方領土は大切な石油や
漁業資源の宝庫であるばかりではありません。潜水艦や戦艦が自由
に動き回ることのできる海です。ミサイルの性能が多少低くとも、
沖縄の米軍基地が簡単に攻撃できることになります。
尖閣諸島を中国に譲ったとしたら、問題は解決するでしょうか。
いいえ、沖縄も中国の領土だと言い出すに決まっています。
name=石川義雄
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コスモ戦略コラム3849号   言葉は魂 〜言葉が社会を作る〜


人間は魂を増産できる存在。
人間が何かにまた何かの事象に名前をつける時、その何かや何かの
事象は意志を持つようになる。
聖書の中に、あなたが名前を附したものはすべてその名になる、という
一節があります。名前を附した瞬間からそのものが意志を持ちはじめる
ということを言ってるのではないかと最近では考えます。
ある小説家が言うには、小説を書いているとそこの登場人物たちが勝手
に動き出すということです。これも私が言っていることと似ています。

生物というカテゴリーの中に人類と呼ばれるカテゴリーがあります。
人類と言った時、「人類」は力を持ちはじめるのです。
人類の中に民族というカテゴリーがあります。これも人類が便宜上附した
名ですが、その民族という名を附した瞬間から「民族」は力を持ちはじめる
のです。日本人と言った時、「日本人」は力を持ちはじめるのです。
すべて名を附すということはこのようなことであって、名を附すということは、
つまりそこに魂を入れるということなのです。(「魂」と附したのは人間で
す。)

人間の思考が言葉となったのか、言葉そのものがまず始めにあって、
その言葉を発見することを創造主が望んだが故にその言葉が生れたもの
なのか、聖書によればまず始めに言葉があったということです。すべての
ものはこの言葉からできたと記されています。
言葉の力はかくも偉大なものです。だから言葉を発するとき、また物事に
名を附す時、そこに魂が生れ、その魂が力を持つようになるのだという
ことを忘れてはならないのではないかと考えるのです。
世の中を汚すのも美しく彩るのも人間が発する言葉なのだと理解した方
が良さそうです。

今言ったことは、私はこの数年来ずっと考え続けていることです。なぜ今
このことを強く思うようになったかと言えば、現在中国で行われている暴動
を見てのことです。「反日」という言葉が一人歩きしてしまっているように感
じます。私自身も反日という言葉を使ってしまいました。マスコミが反日と
いう言葉を多様するから、益々人々の意識が反日の方に向かうようになる
のであり、日本人の心の中にも良からぬ感情が生れてくるのです。

マスコミを通じて多く発せられた言葉が人々の意識に浸透し、その意識が
社会を作っているということが言えるのです。つまり言葉がその社会を作っ
ているということが言えるのです。

日本語には美しい言葉が沢山あり、それが日本人の心の柔かさを作って
いるのであり、日本人の心の円やかさを世界に広げるような努力を日本と
してはやっていくべきだと考えるのです。怒りの言葉に対して怒りの言葉を
返してしまうような日本であってはならないのです。
「日本の使命」という言葉に力を持たせたいと私としては考えます。

PSIU代表 白鳥 宙(富山県在住)


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