1971.イスラエル事情2



電子製品調査の出張で、イスラエルの有能さの原因を調べる。Tより

26日は休日であり、子供が大勢、町中にいる。そこを押して複数
社を訪問した。この中にIAI(イスラエル・エアロスペース社)
の子会社があった。ここでは民間衛星を打ち上げるのであるが、費
用を最小限にするために、ロシアのSS−20ミサイルのランチャ
ーで衛星を打ち上げると計画している。SS−2O自体が中距離ミ
サイルであるが、そのミサイルはロケットでもある。300キログ
ラムの衛星を発射可能だそうだ。

もう1つ、その衛星の工場を見たが、衛星自体もいろいろな民生品
を使い、普通のフレハブの簡単な工場で作っていた。その衛星姿勢
制御のコントロール室は若い2人で簡単な機器で衛星を監視してい
るし、衛星からの写真を受信する機械は一架程度の小ささである。
衛星がこんなに簡単に運営できるとは、日本の現状から見ると想像
できないことである。そのため、従来より5分の1のコストで衛星
ビジネスができ、クライアントも凄く安い価格で買える事になると。

この運営方法を日本の衛星技術者も見ていく必要があると思う。非
常に日本の衛星打ち上げには参考になるはず。このIAIの工場の
中に衛星関係の工場もあるが、民生用と軍事用では衛星の作り方は
どう違うのですかと質問したら、あまり変わらないと。軍事衛星を
イスラエルは大量に打ち上げているが、あまり経費がかかっていな
い可能性があると感じた。しかし、軍事衛星はイスラエルのランチ
ャーで打ち上げていると。

軍事の民間転用でもロシアとも付き合っている。ソフトではインド
とも仲がいい。イスラエルは米国一偏等であろうと来たが、なかな
かビジネス上では、凄い関係を作っている。この民間衛星のクライ
アントには中国もいるようである。こちらからは聞けなかったが、
衛星商売としては中国へのビジネスは良いと言っていた。

スポット衛星(仏)より解像度がいいので、いい顧客でしょうね。
このようにイスラエルも中国との関係がビジネス上で発生している
ように感じる。米国はイスラエルに禁止を呼びかけていても、民間
ベースの問題であり、イスラエルに米国が相当強固に言わないと無
理があると思う。

しかし、イスラエルは国中、高速道路網が整備されている。乾燥し
た今の時期、カリフォルニアにいる感覚である。街も整備されてい
て、特に私たちがいくハイテクベンチャーがある街は新しい街であ
るために、ビルが工事中であるのに入居している会社など、ヘブラ
イ文字がなかったら、アメリカにいると錯覚しようなほど近代的で
ある。そういう意味では世界は近代化させて、雰囲気が同じになっ
て、かつ英語が世界の標準語として確立されているために、グロー
バル化しているのでしょうね。ユダヤ人と話をしていても、違和感
を感じない。それもすべて英語での会話である。

街で黒装束でもみ上げを伸ばしている一団を見て、タクシーの運転
手が原理主義者でクレージーだとはき捨てるように言っていた。こ
れがイスラエルでも信仰が薄らいでいると見て取れる。ユダヤ人が
、なぜ国を作ったかは、安全で差別されないことを保障してくれる
権力が欲しいということである。このため、ユダヤ人差別問題が出
ると、その地域からの移民が増えるようである。つい最近はフラン
スからの移民が増加中であるとのこと。

このため、軍事費は国家予算の半分であり、軍事技術から派生した
民間技術ができたことで豊かになっているのであって、信仰をして
いるから国家が豊かになったわけではないことを、このイスラエル
の国民、ユダヤ人たちも知っている。

テルアビブの昼間は温度が高いが風が涼しいために、木陰に入ると
寒いぐらいである。そして、今が一番いい時期であり、暑くも無く
、寒くもないのはこの2週間だけで、あとは寒いか暑いかの季節に
なるようだ。

テルアビブの人口は200万人で、どんどん新しい街ができている
。テルアビブには10の街があると。

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