1970.イスラエル事情1



電子製品調査の出張で、イスラエルの有能さの原因を調べる。Tより

今、イスラエルのホテルにいます。イスラエルには、電子機器分野
の製品を探しに来ている。イスラエルの人口は600万人の小さな
国ですが、IBM、インテルなど有名な米国の会社の研究所があり
、かつ軍事的な電子製品や医療分野の電子機器など、多くの世界的
に優れた商品を開発している。

このため、今回イスラエルへの出張となったのですが、東京からイ
スラエルへの直行便はなく、トルコ航空でイスタンブールに行って
、そこで乗り継ぎでテルアビブに着いた。トルコ航空のイスタンブ
ールで、テルアビブ行きの飛行機に乗り込む時に検査が非常に厳し
かった。まだ英語に慣れていないため、聞き取りが十分できない。
そこを疑われた。いろいろと聞かれる。警備要員のイスラエル人が
OKということになり、通過した。

しかし、東京から20時間程度の行程でしたが、BAやルフトハン
ザなどの欧州航空会社を利用するより、大幅に早く着くそうです。
乗り継ぎ時間がインタンブールでたったの2時間でしたから。

しかし、なぜイスラエルは少ない人口で優れた能力を持っているの
であろうか。国土の面積は四国程度であり、人口も少ない。ユダヤ
人が世界から来ているが、米国の方が人口的にはユダヤ人が多いの
だそうだ。ロシアから近年40万人のユダヤ人が来たようである。
人口も増えて、400万から600万人になっている。ロシアは昔
から軍事技術、特にイメージセンサに関する研究が進んでいた。
この研究者がイスラエルに来て、それを製品化していると聞く。

昼食を食べに、イスラエルの食堂へ行った。ここの食事はナンのパ
ンと野菜を煮た物やトマトを煮物など10種類のおかずが出て、そ
れに肉の串焼きが付く。どこでもナンの変わりにパンになったりす
るが、野菜の煮物は同じである。食文化が野菜中心で、肉は少しで
ある。Runninng Sushiという回転すし屋もあった。

そして、店でも会社でもショピングモールでも、入る時には身体を
ガードマンが検査をしている。このため、その中にはアラブ人がい
ない。街中でカメラで写真を撮ると、警備員からダメと言われる。
これにはビックリしたがそこまで、警備が厳しいようである。

警備員でも英語は皆できる。イスラエルの大学では英語で教育され
ているし、皆が大学まで行くためにほとんど全員が英語が出来るよ
うである。街中のタクシー運転者もできる。日常会話はヘブライ語
かもしれないが、英語もイスラエル人全員が話せる状態で、普通は
4ケ国語を話すようである。ヨーロッパ諸国では4ケ国語が当たり
前はそうである。日系ギリシャ人と一緒にイスラエルに来たが、ギ
リシャでも同じで、ギリシャ人は優秀な人間は海外に出ているとい
う。同様にユダヤ人も海外から来るし、海外に出ている。

イスラエルの能力をベンチャーの社長は、イスラエル人は皆がドク
ターでかつ、いつも新しいことを始めたいと思っている。だいたい
4人が会社の規模で一番よくて、それ以上になるとそれぞれが違う
ことをして、知らぬ間に部門が増えている。少人数のため、意思決
定が早く、なんでも早い。どんどん業務分野を変えている。しかし
、このようになったのはソフトの重みが、製品で重要になったこと
によるようである。ハードの付加価値をソフトで最大限出すことを
ユダヤ人はしている。そして、米国の会社がイスラエルに研究所を
作る理由であろう。

しかし、イスラエルの人口は少ないために、ソフト作成はインドに
任せている。インド人はイスラエルに行くのを恐ろしがっているた
めに、キプロスにソフト開発拠点を持っている。テルアビブからキ
プロスまで飛行機で30分程度である。

しかし、ユダヤ人は商売が下手と日系ギリシャ人は言う。このため
、会社が大きくなり、営業ベースになるとNASDAQに上場して
営業を米国人に任せているようだ。米国人というのも疑問で、その
中にはギリシャ人やいろいろな人がいるとのこと。

そして、企業が成功すると興味をなくして、次の企業を作る。この
ため、いつも経営者を変えるとか、上場をして営業中心の会社にす
る。このように進めているために、新しい会社を始めると投資家か
らの投資が非常に多いようである。社長の1人が20億円の投資を
得ていると言っていた。

もう1つがイスラエル軍が軍事研究を民間に委託して行っているが
この技術の民間利用を比較的早く許している。このため、基礎技術
を早く製品化できることになる。軍の研究が重要な役割をしている
。米国の軍事研究の成果を民間利用は遅いようである。

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