1947.チェス王の旅券法違反



チェス王の旅券法違反   
   
 天才で有名人で、政治的駆け引きで救われたからいいようなものの、
米国は厳しいですね。 
アイスランドの国籍を取得し、米国との重国籍になるのでしょうか?
10カ国くらいの国籍を既に取得しているかも?
米国が引渡しを拒否されたら、米国国籍は剥奪処分になるのでしょうか?

ともあれ、(旅券法違反は一般人にはとても危険でお勧めできませんが)
大物がここまで暗躍(?)すると、なんだか面白く、小説の材料になりそうですね。
この方、国際法上も貴重な研究材料になりそうです。


http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2004/07/post_16.html

その伝説の人、フィッシャーが日本で捕まった。
容疑は表面的には入管難民法違反だ。が、そんなものは名目に過ぎない。
最大の罪は、アメリカへの事実上の反逆罪だ。と、先走る前に事実確認を兼ねて、
共同「チェス元王者を収容 成田で入管難民法違反容疑」(参照)を引く。

 フィッシャー氏は1972年にソ連のボリス・スパスキー氏を破り世界王者に
なった後、消息が分からなくなった。
 92年、米政府が国連の対ユーゴスラビア経済制裁決議を受け、
米国人に対しユーゴにかかわる経済活動を禁止する中、
同氏は突然ユーゴに現れて賞金335万ドルをかけて対局し勝利。
このため米連邦大陪審に起訴された。
 その後再び姿を消したが2001年、東京都内のチェスプレーヤーによって
日本滞在が確認された。

 1972年は冷戦のまっただなかである。先にチェスの天才はロシアで社会的な
ヒーローだと書いたが、当時のソ連でも同じだ。アメリカはフィッシャーを使って、
ソ連をくじいたのである。彼はアメリカのヒーローともなった。
このことが彼の人生に暗い影を落とす。
 1975年、フィッシャーは世界チャンピオンに就いたものの、
タイトル防衛戦の対局をすっぽかして公式には消えた。
その後は、共同が言うほど消息不明というものでもない。
カリフォルニアを拠点に東欧を転々としていた。
彼が次に公式に世界に現れたのは1992年。共同のニュースのとおりだ。
これでアメリカからお墨付きの罪人となる。

http://kiku.livedoor.biz/archives/5994685.html
7月17日、チェスのアメリカ人元世界王者ボビー・フィッシャーが入国管理法
違反容疑で、成田空港の入管支局に収容されました。
パスポートの期限切れということですが、確かなことはわかっていません。

これにはウラがあるようです。
北朝鮮拉致問題におけるジェンキンス氏が来日したのは7月18日。
ボビー・フィッシャーが成田で収容されたのは同13日。
アメリカ政府がジェンキンスの脱走の罪を一時期反故にして曽我一家のために
自由の身とし、その交換条件として国家反逆の罪に問われている
ボビー・フィッシャーの身柄を渡す要求をを日本政府は受け入れたようです。

http://www.jca-chess.com/bobby.htm
7月13日、ボビ-・フィッシャー氏(61)は成田空港で出国の際に、
無効なパスポートをもって入国したとして、
入管法違反で上陸許可を取り消され拘束されました。

1992年ユーゴスラビアの経済制裁下でチェスのマッチをスパスキイとしたことで
起訴状と逮捕状がだされ、2003年これを根拠にパスポートが無効とされる
通告文がフィリピンにあるアメリカ大使館宛てにフィッシャー氏の住所もなく、
送付されました。
当時、フィシャー氏はフィリピンに滞在していなかったため、
通告文を受け取ってません。
また、何も知らなかったフィッシャー氏には通告文の受領後60日以内にできる
不服申し立てができませんでした。
本人が知らないままにパスポートを無効にすることは、アメリカの法律に
違反しています。

フィッシャー氏の対戦相手、元世界チャンピオン・スパスキイ氏(フランス)、
審判員のGMシュミット氏(ドイツ)、その他関係者は誰一人非難もされず、
罰も受けていません。

文化の保護・振興という国家の持つ重大な役割を考えるとき、
チェス文化の最大の貢献者フィッシャー氏がこのままアメリカの刑務所に
送られるのを黙って見ていられません。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050308-00000200-kyodo-soci

代理人弁護士らは8日、同氏の受け入れを表明しているアイスランドの
外国人用旅券を取得したと発表した。
 フィッシャー氏は昨年7月に入管に拘束され、米国へ強制送還の命令を
受けた。しかし、同氏は1992年当時米政府が経済活動を禁じていた
旧ユーゴスラビアで、賞金をかけた対局をしたため米国で起訴されており、
帰国を拒否していた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050308-00000018-maip-soci
米国はアイスランドにフィッシャー氏を受け入れないよう圧力をかけたが、
アイスランドは拒否した。
 フィッシャー氏は航空券も購入しており、旅券の保持で自費出国を妨げる
法的な要因はこれですべてなくなったが、米国以外への送還を拒否している
日本政府は、出国を許していない。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050316-00000278-kyodo-pol

法務省は16日、
外国人用旅券を発給し受け入れを表明しているアイスランドが市民権を与えれば、
法的に同国への出国が可能になるとの見解を明らかにした。
 同省の三浦正晴入国管理局長が、出国を認めるよう申し入れた
社民党の福島瑞穂党首に対し明らかにした。

http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/america/news/20050319k0000e040014000c.
html
AP通信によると、アイスランド国会委員会は18日、
日本の入管当局が身柄を拘束しているチェス元世界王者の米国人
ボビー・フィッシャー氏(62)にアイスランドの市民権を与えることを承認。
国会はこれを受け市民権付与の是非を21日に投票に掛ける予定だが、
ロイター通信は同氏に来週、市民権が与えられる見通しだと伝えた。
(引用以上)

中国が台湾を攻撃するかもしれない、という報道、日本でも行われているようです
ね。

チッペルレ
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シリアとレバノンの関係   
   
 アルアハラム政治戦略研究所所長
アブデル・モネン・サイード・アリ氏に聞く 
 ハリリ・レバノン前首相暗殺後、同国では野党勢力による大規模デモが実施されるなど、
 国内情勢が不安定化している。国際社会からの圧力を受けて、レバノン駐留のシリア軍
 が撤退を開始するなど、反シリア勢力が一定の成果を上げているが、内戦再発の可能性
 はいまだに残る。エジプトのアブデル・モネン・サイード・アリ・アルアハラム政治戦
 略研究所所長に、レバノンとシリアの展望について聞いた。
 (聞き手=カイロ・鈴木眞吉・世界日報) 掲載許可
極めて大きいイランの影響力
両国友好が安定の生命線 
  
 ――今後、どのような政権が誕生すると思うか。
 現在、レバノンの将来は予測しづらい状況にある。ただ言えることは、反政府グループ
 は決してカラミ内閣を受け入れず、現治安機関の存在を受け入れない。なぜなら、反政
 府グループは、ハリリ前首相の暗殺事件では、政府や治安機関に責任があると批判、親
 政府グループ、特に最重要のイスラム教シーア派のヒズボラを、最終的に武装解除すべ
 きだと考えているからだ。しかし私が思うにはヒズボラは決して武装解除しない。

 ここに大きな対立があり、どんな政府でも、ヒズボラを武装解除しようとすれば衝突が
 起こるだろう。

 ――内戦が起きる可能性はあるか。

 可能性はあるが確実とは言えない。レバノンは十六年間の内戦を終えたばかりだし、国
 民は国家を再度破壊したいとは考えていない。内戦時の恐怖も覚えている。内戦の有無
 は政治的エリートたちがコンセンサスをつくれるかどうかにかかっている。

 親シリアのシーア派政党アマルの党首で議会議長のナビ・ベリ氏は、反ヒズボラの立場
 にあり、この人物がどう動くかが重要だと私は考えている。シーア派はレバノンで最も
 大きな宗派グループだからだ。

 さらに、重要な二点がある。一つは、イランの存在だ。イランはヒズボラのみならず残
 りのシーア派教徒との関係も持っており、イランの核問題を防衛するカードとしてヒズ
 ボラを含むシーア派を利用している。

 第二は、どんな政権も、シリアとは良い関係を持たなければならないということだ。ハ
 リリ前首相の妹バヒア氏もシリアとの友好を訴えている。なぜならシリアは広大で、レ
 バノンは狭小だからだ。シリアと友好を保った方がレバノンにとっては安全だ。もし将
 来のレバノン政府が反シリアになれば内戦が始まり、結局政権は崩壊すると思う。

 ――ヒズボラはどのように動くか。

 ヒズボラは、シリアだけでなく彼らもターゲットになっていることを知っている。しか
 も最終的なターゲットにであることを。なぜなら、米国の圧力はイスラエルの要素と関
 連を持っているからだ。イスラエルはヒズボラの武装解除を願い、抵抗運動を終結させ
 たいと思っている。

 ヒズボラはパレスチナ過激派のハマスやイスラム聖戦との関係性を出発させた。しかし
 私は、ヒズボラは決して武装解除を受け入れないが、ハマスやイスラム聖戦との関係を
 絶ち、共同行動をしないということはできると思う。

 ――シリアがレバノンから完全撤退したら、レバノンはどのようにして自国を防衛する
 つもりか。

 レバノンは常に弱い国で、強い軍隊を持ってない。しかし、そのことがレバノンにとっ
 ては歴史的に良かった。彼らは良好な経済に頼り、社会や市場を開放している。私は、
 国際関係の利益が国家を守ると思う。一度国連軍がレバノン南部に展開した。レバノン
 の最大の防衛は国連安保理とシリアとの良好な関係だけでいいと思う。シリアとの良好
 な関係は、シリアがイスラエルと和平を確立する前にレバノンが和平を確立しないこと
 を意味している。

 ハリリ前首相の妹バヒア氏も、「兄は、レバノンの対イスラエル和平の調印は最後にな
 る」と話していたと語り、「シリアを出し抜いてイスラエルと和平を確立することはな
 い」との考えを述べている。

 ――ヒズボラはレバノン軍の一部になる可能性はあるか。

 現状では難しいが、前に述べたような状況が変化すればあり得る。ヒズボラが軍に編入
 されることは一つの解決だ。彼らは南部でイスラエルと戦い、レバノンを守り、解放し
 た勢力だと思っている。シーア派に限らず、社会全体で多くの社会奉仕をし、レバノン
 国内の他の政治グループと対話をしたので嫌われてはいない。

 ――シリアの展望はどうか。

 短期的(一年か二年)には、何かが変化するとは思わない。バース党は強く、バッシャ
 ール・アサドは強く、反対派は弱い。しかしながら、国際社会の圧力により、中期的に
 はある調整(順応、清算)をせざるを得なくなるだろう。調整の一つがレバノンからの
 完全撤退だ。一度レバノンから撤退すれば、多分彼らは経済改革と複数政党制を採用す
 るようになるだろう。しかし彼らはすべてを最後まで彼らの手に残したいことから、変
 化は遅くなるだろう。

    Kenzo Yamaoka


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