1933.自国の国益の正義



あらゆるものは、現状からたち上げるなければならないんじゃ。 
                虚風老 
   
 そもそも、「客観的理論」とはなんじゃね。

まず法理の問題になるが、1948年の極東国際軍事裁判において、
日本がソ連との間の起こった、張鼓鋒と、ノモンハン事件すら、た
んなる国境紛争ではなく、「日本側の作戦行動は侵略戦争」である
と判示されてしもうた。
いわば、全体として、あの戦争に付随するできごとは、日本側の侵
略とみなされる。(日本側の言い分は別として、「客観的理論」に
従えばね。

次に、サンフランシスコ講和条約の第2条で、日本は「千島列島」
と南樺太にたいする「すべての権利、権限及び請求権を放棄する」
としている。
これについては、ロシアが批准に参加してないとか、カイロ宣言に
違反ではないかというが、これをもって、相手が拘束されるかにな
るという論議があるの。

もちろん、東京裁判を認めないというのは日本中にあるが、(わし
もあまり認めたくはないし、その理由もある。)しかし、法理上は
生きておるし、変更できんじゃろう。(アメリカさんに、あれは無
かったことにしてくださいというかね?)

で、日本側が北方領土の問題にしたのは、千島列島の範囲であるな。
また、北方領土問題で、正式に千島全島に対して、返還を要求した
ことはないの。
それによって、まず占領時効が成立する可能性があるの。(客観的論理)

また、日本の返還論理の中核にあるのが、交換条約で得たときの千
島が、ウルップ島以北であったことから、もともと、国後・択捉は
千島列島に含まれず、北海道に属するというものなんじゃ。(戦時
終了まで、ロシアが支配したことがないというわけでの。相手が、
火事場泥棒だとしてもね)

そして、これを千島全島は一体であるという論理を日本側からもち
だせば、その論理とコンフリクトしてしまう。まるで、相手方に論
拠を差し出してしまう形になる。
千島全島返還なんてものが、夢物語(安全保障上、資源等から、相
手は絶対にひかない)なら、それをもちだすことは、へたをすれば
、論理上の利敵行為になってしまう可能性があるやもしれん。後で
「あんたは、千島は全島一体だといったじゃないか」とな。
主張をつりあげることは、一見<押し>を強くするようにみえるが
、自分側の法理に穴をあけるとも考えられる。

また、千島全島という主張は、当然ロシア側の右派が、「日本は領
土を奪おうとしている」という、プロパガンダを強化するのにかっ
こうの口実を与えるじゃろう。
こうなれば、まったく現状から動く可能せいはなくなるの。

ひょっとして、現状が動か無い方がいいと考える人なのかね?

つまりこの場合争っている法理が、
1951年のサンフランス平和条約で、放棄した「千島列島」の範
囲はどこか?
放棄した、諸島は無主地か、またはロシア領に編入はれるのは正当か?
1956年の日ソ共同宣言は、現在でも法的に、日本とロシアを拘
束するかになるか?
あたたりじゃが、
なぜ、日本が損なのかと言えば、
まあ、簡単にいえば、客観的な事実は、大枠として、日本が「戦争
に負けた」からじゃね。
その冷厳たる事実が、正義をいかようにも規定する。
その点で言えば、市街地空襲も原爆も大違反じゃろうし。

押してないではないかというが、それは、4島の帰属を、綱引きの
ラインとしているからじゃ。
出発点は、現実(現況)のロシア側、4島占領の状態にある。
4島一括返還というのは、押した要求じゃ。なぜなら、ロシア側か
らみれは、現状の変更は、引いた状態(譲歩)と捉えるじゃろう。
客観的な論理といえ、観点に左右されるが、客観的な事実(締結し
た条約等)はあるの。                     

                        虚風老
==============================
その言葉は、いかなる国際合意にも縛られないと宣言し
たアメリカに言っとくれ。(^^) 虚風老 
   
自国の国益の正義を主張することは、だいたいにおいて問題はない
じゃろう。
だいたいにおいてというのは、そもそも、国益というのが何か、正
義というのが何かということすら、国内の諸勢力でも、分かれるか
らであるの。それは、スパンでも戦略の取り方でも分かれるじゃろ
う。

また、知らなければならないのは、「言葉」というのは、<虚>で
あるということじゃ。
<虚>であるから、口にだして、「嘘」がつけるわけじゃね。それ
の本質は抽象性なんじゃ。
そして、言葉が抽象性をもっておるから<虚構性><仮構性>を構
築できるわけなんじゃ。
また、<虚>であるから、一つの言葉にたくさんのモノを入れ込む
ことができ、様々な実体を指し示すことができるんじゃね。
そして、短い言葉のほうが限定されないから、その説明をするとす
れば、長くなるの。
例えば「愛とはなんぞや」を説明するのに、古今東西の万巻の書が
あるんじゃ。

また、言葉の定義というのは、実はなかなか難しい。
定義そのものが、「考え方」ともいえるが、定義に使われるのも「
言葉」じゃから、その言葉を定義してとなるとエンドレスであるし
、言葉にまつわる複数の意味や、言葉が使われてきた歴史性による
匂いなどもあるんじゃ。100年前に使われた同じ言葉が、今も同
じ意味を喚起するとはかぎらんわけじゃね。
また、論理は定義されていることを前提としているから、はたして
本当に論理というもんが共通なのかは難しい。外国語との間には、
当然語源の違いもあるし使用される背景も違うからの。また、宗教
上の言葉はたくさん日常でも使われるが、それの背景にはそれぞれ
の宗教観があるわけじゃ。
例えば、「正義」という言葉は、もともと我々は、日本化された儒
教文脈から導いておるじゃろうし(あるいは仏教)、キリスト教、
(カトリックとプロテスタント)イスラム教、ユダヤ教ではまた微
妙にちがうであろうな。

それでも、日常使っておってさほど支障がないのは、それは、我々
が同じベース(文化・歴史・民族・言語・環境)を背景として持っ
ておるからじゃね。
よく、あいつら理解できないというのは、言語だけでなく、言語を
支える歴史性まで気がまわらんからじゃ。
しかし、また、他言語であろうとも、「人間」というベースは同じ
じゃ。言語のもう一つ特徴はメタファー(連想性)じゃが、それは
理解できたりする。いわゆる「こころが繋がっている。」わけじゃ
ね。それを担保しているのが、今日完成じゃなかった<共感性>な
わけだ。
だから、<共感性>をもたなくては、正義は理解できないの。

ところで、まあ、自国の「国益」の「正義」なるものが統一された
としよう。問題なのは、相手の国も、それぞれ「自国の国益の正義
」を持っておるわけじゃ。それが、一致するとは限らんのじゃね。

ある人は、戦争とは、互いに異なる正義を持った人が、相手を武力
によって自分の正義に従わせることである。と言ったんじゃ。

例えば、朝鮮半島の人間が、日本を戦前の日本がしたような手順に
したがって、植民地化し、日本人の名前をみんな朝鮮風にあらため
させ(一部のおべんちゃらが、そのようにしてくださいと言ったと
しても)朝鮮語を強要し、二等国人として扱ったら、我々は、それ
を「正義」として受け入れられるじゃろうか?

客観的な理念、、、先の文章で、理論と書いてしまって、投稿して
から気づいたんじゃけど、鼻をほじっておったもんじゃから、直す
のが面倒くさくて、そのままにしておいてしもうたんじゃが、、、、。
おそらく、今ある理念で、まがりなりにも合意されているものは、
<国連憲章>なのじゃろう。(日本国憲法の前文は、その親戚にあ
たるらしが)
なにせ、国連は強制加入ではないので、ここに加わる国は、<国連
憲章>の精神にのっとることを前提にしておるわけじゃ。

ところで、今回のイラク戦争は、一つにはイラクフセイン政権と米
国の戦争じゃが、アナン事務総長が「国際法上の疑義がある」、述
べたように、国際法という<虚構性>と、現実的な<力>の対決で
もあった。
いわば、「国」も「社会」も「法」も「マネーの交換性」も、実は
みんな虚構を維持することでなりたっておる。虚構性=精神が創り
出したものであるといえよう。感情は生体反応であるから、実体じ
ゃけどね。人間が理念と四ドルものは、感情という実体性の土台の
上に構築された仮構なのじゃ。
客観的な理念とは、<合意された虚構>であり、実体ではないの。
それは当然時代や、価値観によって変幻するじゃろう。また、言葉
はね、実体化する時(総論賛成各論賛成というのがあるじゃろう?
具体化しようとすると)纏まっているものが、あつれきを生みあう
んじゃ。

ほんの少し前まで、奴隷制だった国が、今、人権をいつも口にする
じゃろう?

日本は、言語・民族・地域(国土)がほとんど重なり合っていると
いう珍しい国だから、いわば国という概念に対して、自然感(=実
体と虚構のずれがない)があるわけじゃ。
その点で、国益について合意はとりやすい。
しかし、日本史だけから観ることは、今できなくなっておる。世界
史から観ることが必要とされる時代じゃ。どちらか一方では無くて
、どちらにも、<観>の足場を置かなくてはならぬ。
                      虚風老
==============================
香港の民主主義に対する追い剥ぎ的行為   
   
  北京政府は香港の配下を上手にやめさせようとしており、そうすることによって、19
 97年の英国領から中国への返還の指針となった一国二制度の原則を巧妙にないがしろ
 にしようとしている。
 北京は、不人気な香港の董建華行政長官を辞めさせ、一線を退いた政治家用に取ってあ
 る儀礼的な諮問機関に祭り上げて座らせる決定をしたことをひそかにリークした。董氏
 は北京の香港に対する支配を不器用に、あまりにもあからさまにしてしまったため、大
 規模な騒乱を引き起こした。彼はまた、2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)
 発生問題で処理を誤った。董氏の「破壊活動防止法」(国家安全条例)導入の試みは裏
 目に出て、2003年7月、同法案に抗議して香港人50万人が街頭デモを繰り広げる
 という、本土の政治家にとっては我慢のならない光景を見せつける事態を招いた。昨年
 7月1日、香港の英国から中国支配下への返還7周年記念日の最中、再び、50万人近
 い人々が街頭に繰り出して、民主改革を要求した。

 北京政府は今、操っている操り人形の糸の存在を見せないようにできる高度の技術にも
 っと秀でた行政長官を望んでいるのだ。曽蔭権(ドナルド・ツァン)政務長官が北京政
 府が欲しがっている人物のようである。

 しかし、北京政府の最近の動きの中には、より有能な人形遣いを据えたいという望み以
 上のものがある。選挙委員会の現行の任期が7月13日に切れる前に、董氏の辞任を事
 実上命じることによって、北京政府は政治改革を阻むことができると確信しているので
 ある。800人から成る次の選挙委員会は、現委員会よりも、北京政府の望みに対する
 迎合的な態度が少なくなりそうだし、また、より民主的な選挙制度を強く求める可能性
 がある。昨年4月、北京の全国人民代表大会常務委員会は、次回、2007年に行政長
 官、2008年に立法会(議会)の投票が実施される際の香港における直接選挙を禁じ
 た。選挙制度の直接選挙への移行を香港人は強く求めているのである。現委員会によっ
 てツァン氏ないし別の新しい行政長官が選ばれた場合、その任期は2010年まで満了
 にならない。そうすると、行政長官の直接選挙の問題もそのときまで、未解決のままに
 なる。

 北京政府は、より抜け目のない行政長官を据えることができて、香港が繁栄を続けるな
 らば、民主主義に対する要求も弱まるだろうと信じている。北京政府の賭けが当たった
 ら、恐らく、その場合は、その国際的影響力(台湾は要注意)の拡大や、国内の反体制
 派の抑圧がもっと強引になるであろう。

 そうは言っても、中国の賭けは、外れることもあり得る。香港の民主主義の進歩を脱線
 させようという北京政府の試みが失敗し、人々が大挙して街頭に繰り出すならば、多分、
 否が応でも譲歩しなければならないだろう。本土の人々も北京政府の弱点の存在にはっ
 きり気付くであろう。中国指導部の改造の結果はまだ不安定な状態であるが、北京政府
 の腹はあきれるほど見え見えである。世界日報 掲載許可
 
      Kenzo Yamaoka
==============================
反政府運動で揺れるボリビア   
   
 貧しい先住民問題が背景に
 南米大陸のほぼ中央西寄りに位置するアンデス高原の国ボリビアが今、大きく揺れてい
 る。反政府運動が過熱し、再び流血の惨事を引き起こしかねない様相を呈する中、七日、
 メサ大統領は議会に辞表を提出した。しかし、八日深夜、議会はほぼ満場一致で不受理
 を決定した。メサ大統領は、大統領留任を訴える数千人規模の支持者のデモにも励まさ
 れ、国政に全力を尽くす決意を新たにしたようである。
 敵対するのは、議会内第二の勢力を持つ左翼政党「社会主義運動」(MAS)。指導者
 は、先住民で、麻薬原料のコカ栽培農民のエボ・モラレス氏。人口約八百六十万人のう
 ち五百万人近くが貧しい先住民で占められている。少数エリートのヨーロッパ系住民と
 貧しい先住民との分裂がこの国の不安定要因となっている。

 二〇〇二年の大統領選では、親米、中道左派の「民族革命運動](MNR)のサンチェ
 ス元大統領と、エボ・モラレス前下院議員とが決選投票に臨む一幕もあった。その背景
 には一九九八年に米国の資金援助によって、コカ根絶「尊厳のための行動計画」が始ま
 って以来、政府の締め付けが強化されたため、反政府のコカ栽培農家らの団結が強まっ
 たという経緯があった。先住民候補が決選投票まで進むのは初めてのことだった。

 〇二年八月、サンチェス氏は再度大統領に就任したものの、〇三年の九、十月には、天
 然ガスを米国やメキシコに輸出する政府の政策に反対する先住民や農民のデモ隊と警官
 隊が激しく衝突を繰り返すようになった。そして、ついに、首都ラパスの近郊エルアル
 トで五十五人の死者が出た。サンチェス大統領は辞職し、米国に脱出した。それに伴い、
 メサ副大統領が大統領に昇格したのであった。

 歴史家でジャーナリストでもあったメサ大統領は先住民問題担当省を新設するなど、先
 住民の生活改善、地位向上に努めたが、道路封鎖、反政府デモ、またストライキは依然
 として続発した。

 ボリビアは南米第二の天然ガス埋蔵量を誇り、金、銀その他多くの鉱物資源に恵まれる
 もともと可能性豊かな国である。東西冷戦が終わり、九〇年代に推し進められた経済自
 由化、国営企業の民営化などがかえって貧困層を圧迫していると伝えられる。昨年七月、
 国民投票で国に天然ガス会社の経営権を取り戻させる「新炭化水素法」が発布された。
 モラレス議員らは、フランス企業が買い取った水供給会社の再公営化、外国資源企業へ
 の重課税などを要求している。南米のゲリラの英雄チェ・ゲバラはボリビアで最期を迎
 えたという。米主導の自由貿易主義も、適用を誤ると第二、第三のゲバラの温床をつく
 る恐れがあろう。(T)世界日報 掲載許可
 
      Kenzo Yamaoka
==============================
OPECのケライギ報道官に聞く   
   
 生産枠の現状維持が濃厚―16日からイランで第135回総会
原油市場は供給過多
 原油価格が急騰、世界経済への影響が懸念されだした。石油輸出国機構(OPEC)は
 今月十六日、イランのイスファハンで第百三十五回総会を開催、第二・四半期の生産枠
 の調整を協議するが、対応で加盟国間の意見が割れている。本紙はOPECのアブドル
 ラマン・ケライギ報道官と会見、次期総会の見通しを中心に質問した。

(聞き手=ウィーン・小川 敏・世界日報)掲載許可

 ――OPECのバスケット価格は八日、一バレル=四九jを上回る高騰が続いている。
 価格急騰の主因をどう見ているのか。

 米国の天候状況や非OPEC諸国の原油供給の後退が主因であり、それがメジャーの原
 油生産国に増産圧力となって跳ね返ってきている。ほかには、地政学的な要因がある。
 例えば、イラクの原油生産の停滞だ。それらの要因が複合的に働き、原油価格を引き上
 げている。OPEC事務局が既に表明したように、市場の原油供給は十分であり、価格
 を降下させるために増産する必要はない。現在の価格高騰は市場のファンダメンタルと
 は関係がないからだ。

 ――原油市場は現在、どのぐらい供給過多なのか。

 われわれの推測では、市場の供給過多は五十万バレルから百万バレルだ。IEA(国際
 エネルギー機関)ですら、「OPECは増産する必要がない」と表明している。世界の
 原油市場の供給状況には問題がない。

 ――イスファハン総会では第二・四半期の生産枠が協議されるが、減産するのか、それ
 とも現状維持か。

 高騰する原油価格の対応が総会の最大議題だ。OPECは今、二つの選択肢に直面して
 いる。現生産枠(日量二千七百万バレル)の維持か、高騰する価格を抑制するために増
 産するかだ。これまでの動きから前者の選択肢が濃厚だ。先述したように、原油市場は
 十分に供給されている。市場の供給量を需要量より減少することはできない。価格危機
 を自らつくり出す結果となるからだ。

 ――減産するシナリオは除外されるのか。

 OPECとしては、原油価格が高騰中、減産は考えられない。OPECの基本的立場は
 合理的な原油価格を維持することだ。原油価格が高騰しているにもかかわらず、OPE
 Cが減産を実施すれば、安定した原油価格の維持というOPECの基本原則に反する。

 ――第二・四半期は季節的にも需要が減少する時期だ。生産枠を現状維持とした場合、
 価格の下落の危険性はないか。

 OPECは現時点では現生産枠を維持しつつ、今後数週間の市場の動向を監視、五月末
 か六月初めに臨時総会を招集、需要の動向などを分析した上で、必要ならば対応に乗り
 出す考えだ。第二・四半期は需要減少が予想されるだけに、OPECを含む原油生産国
 が懸念していることは事実だ。

 ――増産が必要な場合、どの程度の増産が考えられるか。

 現時点で返答するのは容易ではない。現生産枠は日量二千七百万バレルだ。市場は供給
 過多であり、本来増産の必要がないのにもかかわらず、五十万バレル、百万バレルを増
 産した場合、深刻な問題が生じるだけだ。

 ――前回総会(一月三十日)で現目標価格帯を暫定停止、新規の価格帯の設置を協議中
 と聞く。新規目標価格帯の実施時期はいつか。

 現目標価格帯は今年一月から暫定的に停止、イスファハンの総会では長期戦略グループ
 が推薦した提案や理事国の案などを協議する予定だ。目標価格帯の協議は主要議題の一
 つだが、何らかの決定があるとは思わない。

 ――新目標価格帯として具体的な提案はどうか。例えば、二八jから三五jといった価
 格帯はどうか。

 具体的な目標価格帯は公式には提示されていない。ある加盟国は二八jから三五j、あ
 る国は三二jから三五jといった具合だ。さまざまな提案があってコンセンサスを築く
 のは用意ではないのが現状だ。新目標価格帯が年内に施行されるかどうか分からない。
 新しい価格帯を決定したとしても、現実の動向と一致していなければ意味がない。

 ――イスファハン総会では他の議題はどうか。

 OPEC事務局長の選出問題がある。次回の総会で選出問題が終了するかは不明だ。事
 務局長選では加盟国のコンセンサスが必要だからだ。総会にはオブザーバーとして、ア
 ンゴラ、シリア、エジプト、オマーンが参加を既に通知してきたが、メキシコとロシア
 からはまだ参加通知を受け取っていない。
     Kenzo Yamaoka
==============================
 「植民地支配評価」で総スカン   
   
 韓国学者の寄稿文が問題に
盧政権「親日派狩り」の政治的意図も見え隠れ
 日本による韓半島支配を評価する論文を韓国の学者が日本の雑誌に寄稿し、韓国社会の
 反感を買っている。発信元が韓国人、しかも名門大学で教鞭(きょうべん)を執ってき
 た知識人だけあって、韓国の世論は怒りを通り越し半ばあきれているといった感じだ。
 ただ竹島問題で日韓関係がギクシャクしている時期であるだけに、過剰反応になった面
 は否定できない。また盧武鉉政権が推し進める「親日派狩り」の一環という側面もある。

(ソウル・上田勇実・世界日報)掲載許可

 物議を醸しているのは、高麗大学の韓昇助名誉教授(77)が日本の保守系月刊誌「正
 論」四月号に寄稿した「共産主義・左派思想に根差す親日派断罪の愚−日韓併合を再評
 価せよ」。

 韓名誉教授はこの論文で、「大韓帝国の滅亡と韓日合併はあまりにも韓国民には不幸な
 ことだったが、不幸中の幸いだった」とし、「一九三〇年代、韓国人をシベリアと中央
 アジアの辺境に移住させ、農民虐殺に走ったロシアに合併されていたら、3・1独立運
 動といった事件の際、はるかに大きな被害が出たはず」としている。

 また、「韓国の民族文化は日帝植民地の時期を通してより成長しており、韓国の歴史や
 語学、文学など韓国学研究の基礎を打ち立ててくれたのは、むしろ日本人学者と彼らの
 韓国人弟子だった」とし、「韓国でハングル教育を廃止したのは三七年からであり、太
 平洋戦争が終わった後、韓国語文学が大きな損失を被ることはなかった」と指摘してい
 る。

 さらに韓名誉教授は、「韓国人は日本人に対し、負けまいとする競争意識を持っている。
 このため日本の植民地支配が韓国人の成長、発展意欲を大きく刺激した」とも述べてい
 る。

 韓名誉教授のこうした主張が明るみなるや、「日帝の手先並みの寄稿」などというネチ
 ズン(ネット市民)の非難が殺到、韓名誉教授が共同代表を務めている自由市民連帯は、
 ホームページに謝罪文を掲載し、「日帝の植民地支配が正当で、慰安婦強制動員が大し
 たものではないという韓氏の主張に憤りを覚える」と述べた。

 その後、韓名誉教授は、「日本が支配しなければ、ロシアが支配していただろうし、日
 本の植民支配はかえって民族意識を強化させる機になった」などとして、一時主張を曲
 げなかったが、自由市民連隊スポークスマンをはじめとした非常対策委員会の委員らは
 記者会見を開き、「いくら自由民主国家といえども、国と民族を抑圧した日本の植民地
 支配を美化する自由まで保障することはできない」とし、「微温的な態度に一貫した指
 導部は共に辞任し、韓教授の共同代表職はもちろん、会員資格も剥奪(はくだつ)すべ
 き」と主張した。

 また高麗大学も大学ホームページに告知を出し、「寄稿内容は大学側の立場とは違う」
 と釈明。韓教授の名誉教授としての今後の立場に関する検討作業を始めたほか、同大学
 のインターネット掲示板には「韓教授のせいで、これまで高麗大学が積み重ねてきた“
 民族大学”のイメージが壊れてしまうかもしれない」「大学は韓教授の名誉教授職を即
 刻剥奪すべき」という卒業生の書き込みが相次いだ。

 波紋はいっこうに収まらず、結局、韓名誉教授は電子メールを通じて「寄稿した文に適
 切でない単語と表現を使い、社会的物議を醸したことを心から謝罪する」とし、今週、
 大学側に辞意を表明した。

 竹島問題で日韓関係がギクシャクしている時期に重なったこともあって、足元からの日
 本擁護論に集中攻撃が浴びせられた格好だが、今回の騒動の背景には政府・与党による
 「親日派狩り」が見え隠れする。実際、与党・開かれたウリ党の宋永吉、崔載千・両議
 員は、国家と国民の名誉を傷つけたとして韓氏を相手取った損害賠償訴訟を準備してい
 ることを明らかにした。こうした動きは、「親日派」断罪を通じて最大の政敵であるハ
 ンナラ党勢力を狙い打ちしようという政治的意図からでてきたとみることができるから
 だ。

     Kenzo Yamaoka
==============================
韓国の左翼政権、ウリ党の恒久支配を狙う「反日法」   
   
   親日派、知日派の“弾圧”をまたもや展開
「反日で生き延びる中国」というのは鳥居民氏の名作のタイトルである。この伝で、韓国
のウリ党左翼政権は「反日で生き延びようとする」。

 さて、『正論』四月号に掲載された「共産主義・左翼思想に根ざる親日派断罪の愚」を
 書いた勇敢な韓国人学者は、韓昇助・高麗大学名誉教授である。
 サブタイトルには編集部がつけた「韓国保守派知識人覚悟の論文」という惹句が踊る。

この論文が、発表直後から韓国で俄然、批判の対象となった。批判しているのはウリ党と、
かの「反日大統領」を取り巻く韓国新左翼紅衛兵ら。

 おりから竹島問題で韓国外相が訪日を延期し、廬大統領は三月一日の就任二周年記念に
 でまたもや日本批判を展開した。しかも韓国が騒いでいるのは歴史を六十年以上さかの
 ぼって親日派を糾弾せよとする「日帝強占下・反民族行為真相究明に関する特別法」だ。

 韓昇助名誉教授は、これは「悪法」と断定し、「どれほど韓国民の心を低質化させ、愚
 かにしているか」と嘆く。

 この法律に対して韓国民の反応には四つの考え方があり、@「親日協力行為」イコール
 「反民族行為」として断罪する考えA基本は同じだが、処罰対象の範囲をすこし緩める
 B「しかし日本の強圧的な雰囲気のなかで不可避な行為」だから処罰するのは「道理に
 叶っていない」うえ、真相究明といっても事後処理も困難だから、法案は廃棄すべきC
 「状況から言って『必ずしも反日行為ではなく』それを「今ごろになって精算云々する
 必要はない」とする考え方である。

 廬大統領が、「今ごろになって」、こうした法律を成立させた理由は次期大統領に挑ん
 でくる朴謹恵の「政治的足場を崩す」目的があり、ついでに韓国内の保守勢力を「無力
 化」させる狙いを持つ。ようするに左翼政権の半永久的存続が根っこにあるのだ。

 「親日行為」も「親日派」も正確は定義が難しいし、こういう法律の裏にうごめく左翼
 の謀略的要素は、「重大な歴史歪曲」を前提にしている。

 しかし韓国の常識派は「心の中でしか親日を弁明出来ない」。その理由は「悪意と憎悪
 に満ちた共産主義者とその追随者らの直接的な攻撃に自らを晒すのは嫌だという心理」
 が潜むからと見事な韓国人の体質、その民族的本質を抉っている。

 このあと韓国の親日派のタイプを分析し韓昇助・名誉教授は「韓国にとって幸いだった
 日韓併合」と大胆に続ける。

 おそらく韓国で非難された最大の理由は、この部分であろう。
 朝鮮半島をめぐって当時の状況を勘案すれば「ロシアに占拠・併呑されなかったことは
 幸い」だったのであり、もしロシアに併呑されていればスターリンが大統領で韓国民は
 強制移住でシベリアへ送られ過酷な労働で何十万と死んだであろう。だから「日本に併
 呑されたことがどれほど幸いだったか」と断言する。「日本の植民地政策は怨むより祝
 福すべきで」あって、「日本人に感謝しなければならないだろう」。

 しかし歪曲史観に立脚して憎悪を煽りつつける韓国の共産主義者や左派勢力は自己責任
 をつねに日本に転嫁する。

 「他人の責任をしつこく追及する。その過程で相手の短所を最大限に膨らまし、過大に
 言いふらして仇討ちや補償請求に力を注ぐ」のだが「こんなことが高尚な民族のふるま
 いといえるのか」と韓国の左派勢力を糾弾している。こんなことを何時までもやってい
 ては韓国の若者に自負心は育たないうえ、ますまる駄目な国民のままに終わり、韓国の
 未来は開けてはこない、と韓国知識人の憂国の弁である。

こうした知日派による、じつに客観的な歴史解釈が韓国のマスコミにでないで、日本の雑
誌にでるのも不思議な話ではある。宮崎正弘氏提供 掲載許可
       Kenzo Yamaoka
==============================
日韓友情の年に異常気流?   
   
 竹島問題に歴史問題も加勢−韓国 
 昨年来の「韓流」ブームの追い風を受けてスタートした「日韓友情の年」が早々と大き
 な暗礁にぶつかった。島根県の活発な動きで日韓関係のアキレス腱(けん)ともいえる
 竹島(韓国では独島)問題に火が付き、韓国の反日世論が高まる中で迎えた三月一日、
 日本統治時代の一九一九年に起こった3・1独立運動の記念式で、盧武鉉大統領が日本
 に対して自発的な「謝罪」や「賠償」を求めるに至ったためだ。
(ソウル・武田滋樹・世界日報) 掲載許可

 「(日韓)両国関係の発展には日本政府と国民の真摯(しんし)な努力が必要だ。過去
 の真実を究明して心から謝罪し、賠償するべきことがあれば賠償し、そして和解すべき
 だ。それが全世界が行っている過去の歴史清算の普遍的な方式だ」
 盧大統領の発言は、「普遍的な方式」を示す形を借りながら、日本にさらなる「謝罪」
 や新たな「賠償」を求める意味にも取れる。もし、そうならば六五年の日韓条約以来の、
 特に九五年村山発言以来の日韓関係を揺るがす大問題となるため、その真意がどこにあ
 るのか注目を集めた。

 青瓦台(大統領官邸)の金鍾民報道官によると、問題の発言は、盧大統領の「原則と所
 信を盛り込んだ」ものであり、「日本政府と知性(知識人)の努力を求める」ことが
 「核心」だという。「過去の歴史問題と韓日関係に対する基本的で原則的な問題に言及
 したもの」なので、特別に計画された今後の対策はなく、「懸案に対する対応や別途の
 政策は外交通商省を通して具体化される」という。

 これと関連し潘基文・外交通商相は二日、日韓条約問題に対し、「日韓条約自体を再交
 渉することは現実的でない」としながらも、「過去の歴史を究明するという次元で、ど
 んな方法で協議することがあるのか、外交当局者間で詳細に検討して協議する」と表明。
 「賠償」に対しては、「犠牲者および遺族の苦痛と悲しみを治癒するため、日本が責任
 意識を持ってより誠意ある措置を取っていく必要がある」と語り、個人被害に対する補
 償要求について余韻を残した。

 「謝罪」問題では、日本が公式謝罪を行ってきたことは認めながらも、「これまで日本
 の責任ある政治指導者たちが無責任な発言を多く行い、韓国国民にとってはいまだに本
 当の謝罪と反省はなされていないという認識が払拭(ふっしょく)されていない」とし
 ながら、大統領発言を擁護した。

 盧大統領の発言は現時点では、日本政府や知識人に対する勧告レベルにとどまっている
 が、国内で推進する「過去の歴史清算」との関連を否定できない。

 その最大のターゲットが日韓条約を締結した朴正熙政権であり、現在進行中の「真相究
 明」作業が政府・与党が主張する国民和解に向かうのか、朴政権下で疎外・弾圧された
 人々のうっぷん晴らしにつながるのか極めて流動的なだけに、日韓関係に与える影響も
 予断を許さない。

 これと関連し、与党・開かれたウリ党をはじめ政界では、条約締結過程で論議されなか
 った従軍慰安婦や、サハリン在住韓国・朝鮮人、原爆被害者に対する補償問題に関する
 追加交渉の可能性を模索しており、その行方が注目されている。

 大統領発言が飛び出す直接的な原因となったのは、二月になって急浮上した竹島(独島)
 領有権問題をめぐる動きだ。

 島根県が二月初めから竹島領有権を訴えるテレビコマーシャルを放映し始め、同二十三
 日には島根県議会に「竹島の日を定める条例」案が議員提出された。また、同二十五日
 には、高野駐韓大使が外信記者クラブで竹島が歴史的、国際法的に日本の領土と発言し、
 新たな「妄言」事件として大きな反発を呼んだ。

 このような一連の動きに対して、韓国では反日的な世論が強まっており、八九年に島根
 県と姉妹結縁を結んだ慶尚北道は二月四日に澄田信義・島根県知事に抗議書簡を送った
 のに続き、二十三日には「島根県が竹島の日制定と関連した一連の事態を撤回しない限
 り、交流を全面中断する」と宣言。外交通商省も報道官論評を通して、島根県の「独島
 の日」制定案議会提出に「深い遺憾」を表明した。

 また、慶尚北道市郡議会議長協議会や全国市道協議会も、島根県の竹島の日制定の動き
 に反対する決議案を採択。「独島」が行政区域内にある慶尚北道鬱陵郡の住民は三月一
 日、道の正式許可を得て独島(竹島)で歴史上初めて3・1独立運動記念日(3・1節)
 の記念式を行った。

 盧大統領としても、ただでさえ反日機運が高まる3・1節を契機に、日本に対して何ら
 かの警告を発する必要があったというわけだ。

 三日午後には韓国国会議員が、三十三人の同僚が署名した「日本の独島関連妄言糾弾お
 よび大韓民国独島領有権守護決議案」をもって日本大使館を抗議訪問。日本の議員団の
 訪韓延期だけでなく、日本人旅行客の訪韓キャンセル、逆に韓国の高校が修学旅行先を
 日本から中国・英語圏などに転換するなど、旅行・交流事業にも支障が出始めている。

 竹島(独島)問題は、日韓両国とも譲歩できない領土問題だけにその潜在的な破壊力は
 計り知れない。島根県議会は今月十六日の本会議で条例案を可決する見通しだが、これ
 が予定通り議決されると、韓国側の反発はよりいっそう拡大するはずだ。

 日韓条約締結四十周年を「日韓友情の年」として、さらなる友好関係の強化を図った日
 韓両国だが、実際の状況は、現在まで曖昧(あいまい)にしてきた懸案が噴出する気配
 を見せている。日韓関係には越えるべき課題がまだまだたくさん残っている。


盧武鉉大統領の3・1節記念辞
 (日本関連部分のみ)
 今年は韓国と日本の国交正常化四十周年となる特別な年だ。

 これまで韓日関係は法的、政治的に相当な進展を成し遂げてきた。九五年に村山・日本
 首相は「痛切な反省と謝罪」を行い、九八年には金大中大統領と小渕首相が新しい韓日
 関係パートナーシップを宣言した。二〇〇三年には私と小泉首相が「平和と繁栄の東北
 アジア時代のための共同声明」を発表した。

 韓日両国は東北アジアの未来をともに開いていくべき共同運命体だ。互いに協力して平
 和定着と共同繁栄の道に進まなくては国民の安全と幸福を保障できない条件の上に立っ
 ている。法的、政治的関係の進展だけで両国の未来を保障できないのだ。もしそうなら
 ば、やるべきことをやり尽くしたとは言えない。より実質的な和解と協力の努力が必要
 だ。

 真実と誠意によって両国国民の間を遮っている心の障壁を崩し、真の隣人として生まれ
 変わらなければならない。

 私はこれまでの両国関係の進展を尊重して過去の歴史問題を外交的な争点にしないと公
 言したことがある。そして、この考えは今も変わりがない。過去の歴史問題が提起され
 るたびに交流と協力の関係が停止し、両国間の対立が高潮することが未来のために役に
 立たないと思うからだ。

 しかし、われわれの一方的な努力だけで解決できることではない。両国関係の発展には
 日本政府と国民の真摯な努力が必要だ。過去の真実を究明して心から謝罪し、賠償する
 べきことがあれば賠償し、そして和解すべきだ。それが全世界が行っている過去の歴史
 清算の普遍的な方式だ。

 私は拉致問題による日本国民の憤りを十分に理解する。同じように、日本も相手の身に
 なって考えるべきだ。強制徴用から日本軍慰安婦問題に至るまで、日帝三十六年間、数
 千、数万倍の苦痛を受けたわれわれ国民の憤りを理解すべきだ。

 日本の知性にもう一度、訴える。真実な自己反省の土台の上で韓日間の感情的なしこり
 を取り除き、傷を癒やすために先頭に立ってもらいたい。それこそが先進国を自負する
 日本の知性らしい姿であるはずだ。そうでなくては過去の束縛から抜け出すことができ
 ない。いくら経済力が強く、軍備を強化しても、隣国の信頼を得て国際社会の指導的国
 家になるのは難しいはずだ。

 韓日協定と被害補償問題に関しては、政府も足らない点があったと思う。

 国交正常化自体はやむを得ないことだったと思う。いつまでも国交を断絶して暮らすこ
 ともできず、われわれの要求をすべて貫徹させることができなかった事情もあったはず
 だ。しかし、被害者たちとしては国民個々人の請求権を一方的に処分したことは納得し
 がたいはずだ。

 遅くなったが、今からでも政府はこの問題を解決するために積極的に努力するつもりだ。
 日本も法的な問題以前に、人類社会の普遍的な倫理、そして隣国間の信頼の問題という
 認識をもって積極的な姿勢を示すべきだ。 
       Kenzo Yamaoka


コラム目次に戻る
トップページに戻る