1914.日米軍事同盟の確立



日米軍事同盟がどういうもので、何を米国が狙っているかを見よう
。              Fより

米国は日本とも軍事同盟を組んだが、これは米軍の規模を縮小して
軍事費の比重を中東戦争にシフトするためである。日本は台湾海峡
紛争や北朝鮮の核問題をこの同盟の中心的な課題と規定しているが
、米軍再編は世界で8万人以上を米国に戻して、軍事費の比重を世
界各地にある兵站基地から中東地域集中したいからである。米国は
今、イラク、シリア、イランの中東地域に軍事費を集中的に使うし
かない。

ドルの価値が、ユーロとの国際収支面からの比較から、このままに
すると大幅下落して、ドルが基軸通貨でなくなり、引いては米国の
没落になる。このため、石油を押さえてドルと石油をリンクして基
軸通貨の位置を確保するしかない。このためには中東の石油を押さ
えることが国家戦略として、どうしても必要なことである。

ブッシュ政権としては、中東が確保できたら、中国との競争がある
と見ている。このため、米国は中国の大陸弾道弾ミサイル防衛のた
めにSM3迎撃スシテムを持つ日本のイージス艦が必要なのである
。米軍の艦船は今後減少する方向であり、空母も12隻体制から11
隻体制に減少する。工業力が衰退して、金融しかない米国では膨大
な軍事費が続かなくなっている。日本の国家予算の半分である42
兆円もの軍事費は多すぎる。今はドル紙幣を印刷してどうにか賄っ
ているが、その内それもできなくなる。それに備える必要がある。

しかし、中国軍と米軍幹部が対話もして、米中関係は非常にいい状
態を維持している。米国企業と中国企業の関係も良好な状態で、日
本と中国との政治関係だけが最悪である。

今、中国は北朝鮮との問題があり、米国としては中国と問題を起こ
す必要がない。それより、中国に問題解決を委ねているために、配
慮する必要があるようだ。中国も米国と問題と起こす前に民主主義
化する必要がある。そうしないと、米軍事大帝国と激突してしまう。
この回避は、民主化しかない。民主化すると中国との戦争の大義名
分が無くなってしまう。米国としては、将来の覇権国家を叩きたい
であろうが、無理になる。

米国の記事を見ると、今回の協議で日本は世界規模で、米国を支援
する役割になったように書いてある。米国から見ると、英国やカナ
ダなどの米国同盟国が同盟から離脱して、日本や豪州しか軍事同盟
を結べない状況になっていると見える。それだけ米国ブッシュ政権
は世界的に孤立している。米国の資源確保戦略が、他の欧州諸国の
利益と相反しているためである。

ドイツや英国、イタリアなどにある米軍基地も返還するようであり
、米軍基地もなくなる。このためNATO軍の中心であった米軍が
居なくなり、欧州や欧州勢力範囲の防衛は欧州連合軍がNATO軍
から引継ぎことになると思う。

欧州はロシアから石油や天然ガスなどを供給されて、ロシアとは協
調関係にある。もうロシアという仮想敵国が欧州には存在しないた
めに、米国のような強引な資源獲得をしなくても、ユーロは国際収
支が黒字であることも手伝い、時間的に経過すれば、米国を追い詰
めることがハッキリしている。

このため欧州は時間が経てば、米国は没落するとみているために米
国とも今、問題を起こすことはない。ただ、中東石油獲得にイラク
戦争前は動き、米国と問題を起こしたが、カタフィのリビア石油が
欧州となったことで、欧州も中東は米国の勢力範囲と認めた。

このため、中東の石油を米国と争奪するのは中国、ロシアになって
いる。このため、米国はロシア、中国を仮想敵国にする可能性があ
る。民主主義でないとロシアに言いがかりをつけている。米国自身
は中国と問題を起こせないが、日本と中国の分断を米国は図ってい
る。

そして、日本・豪州の軍事力を米軍の補完として、利用したいよう
である。このため、日本周辺に軍事的な問題を作り、それで日本の
軍事費を削減されないようにし、かつ中国と敵対関係にしようとす
る。その工作に日本は嵌っているし、中国も米国の工作に同調して
いる。

日本は資源獲得のための軍事活動をしないと米国は知っているため
に、今後、米国の資源獲得戦争に民主主義という正義の看板を言い、
日本の自衛隊を派遣することになると心配する。また、国連常任理
事国にも日本がなる可能性があるが、これも世界の資源もない極貧
国のお荷物を日本に任せることになると思う。ODAを要求されて
その極貧国につぎ込み、かつ欧米はその極貧国の借金を日本に肩代
わりさせることになるようだ。特にアフリカ諸国でしょうね。

しかし、それの方が日本にとってもいい可能性がある。どちらにし
ても、憲法9条との関係をいいながら、米国の資源獲得戦争に駆り
出されないことが重要であると思うが。
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「戦略対話」に原則合意 米政府が対中関係強化

 【ワシントン16日共同】中国政府が昨年11月、米政府に対し
、外交・安全保障にかかわる国際問題を高官レベルで協議する米中
間の新たな枠組みとして「戦略対話」の創設を提案、米政府がこの
提案に原則合意したことが15日分かった。米政府当局者が共同通
信に明らかにした。

 唯一の超大国である米国と強大化するアジアの大国の中国が、外
交・安保をめぐる対話の枠組みを持つのは初めて。提案への原則同
意は、米政府が対中関係を実質的に強化することを意味し、両大国
の結び付きの強まりを象徴するものになりそうだ。
 中国政府は、既に米政府と戦略対話を実施している日本政府に対
しても外務次官級の「戦略対話」の定期開催を提案しており、強ま
る日米同盟関係にくさびを打ち込む狙いもあるとみられる。
(共同通信) - 2月16日17時25分更新 
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テロ・地域の脅威に共同対処・日米、戦略目標で合意(nikkei)

 【ワシントン=中山真】日米両政府は19日午前(日本時間20日未
明)、国務省で外務、防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2
プラス2)を開いた。同盟強化の土台となる「共通戦略目標」で合
意。テロや大量破壊兵器などの世界的問題と地域の脅威に共同対処
する方針を打ち出し、北朝鮮と台湾海峡情勢を注視することを明記
する。自衛隊と米軍の役割分担や在日米軍基地の再編協議を具体化
させることも確認し、日米の安保協力は新たな段階に入る。 

 2プラス2の開催は2002年12月以来、約2年ぶりで、日本側から
町村信孝外相、大野功統防衛庁長官、米側からライス国務長官、ラ
ムズフェルド国防長官が出席。両政府は今後、在日米軍基地問題の
具体化を進め、今秋にも両国首脳が戦略目標を核とした「新日米安
保共同宣言」(仮称)に署名する方向で最終調整する。共通戦略目
標は安全保障環境をめぐり、世界規模でのテロや大量破壊兵器など
新たな脅威の出現に言及。アジア太平洋地域では北朝鮮と台湾海峡
を挙げ、「不透明性、不確実性が継続し、新たな脅威が発生する可
能性」を指摘する。 (07:01) 
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米軍基地、日本に管理権も・共同使用拡大検討(nikkei)

 【ワシントン=中山真】日米両政府は19日(日本時間20日)、国
務省で開いた外務、防衛安全保障協議委員会(2プラス2)で、在
日米軍基地再編に向けて、自衛隊と米軍の基地共同使用の拡大を検
討することで合意した。米軍が握っている基地の管理権や航空管制
権を日本側に移管、自衛隊の管理下で米軍と共同使用する案を想定
している。すでに横田基地(東京都)などで共同使用構想があり、
日本側は他の在日米軍基地にも広げたい意向だ。 

 大野功統防衛庁長官は記者会見で、共同使用についてラムズフェ
ルド米国防長官から提案があったことを明らかにしたうえで「共同
使用は抑止力の維持と負担の軽減に道を開くことにつながる。いい
影響が出るなら検討しなければいけない」と強調した。 

 米軍と自衛隊の基地共同使用は三沢などの例があるが、米軍基地
自体は米側が管理している。管理には施設のメンテナンスや警備な
ど基地運営の実務全般が含まれ、管理権の移管によって米軍基地は
自衛隊基地に衣替えすることになる。 (23:01) 
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日本の軍拡競争参加を懸念 米専門家
2005.02.21
Web posted at: 17:33 JST
- CNN
(CNN) 北朝鮮の核問題をめぐる朝鮮半島情勢や、台湾海峡問
題を巡り、日本の関わり方を懸念する声が米国のアジア研究家から
あがっている。

中国の経済成長について著書「China Inc」を発表したアジア研究家
テッド・フィッシュマンさんはCNNに対して、「核兵器をもった
日本は近い将来、全くあり得ない話では決してない」と述べた。

ロサンゼルスからCNNの取材に応じたフィッシュマンさんは、日
本が北朝鮮の核兵器開発をめぐり、中国による北朝鮮説得を期待す
る一方で、その見返りとして中国が求めている武器禁輸の解除を強
く警戒していると指摘。

欧州連合(EU)はフランスを中心に、1989年の天安門事件を
機にした対中武器禁輸を解除する方向で動いており、ブッシュ米政
権はこれに猛反対している。

フィッシュマンさんは、日本は苦しい立場に立たされていると話す
。「核兵器をもった北朝鮮は日本にとって大問題だが、中国の軍事
力強化も日本にとっては問題だ」

さらにフィッシュマンさんは、北朝鮮の核保有を前にして、日本も
核兵器の保有を目指すかもしれないと指摘。「北朝鮮の核兵器を目
の前につきつけられて、自前の核兵器を蓄える必要があると日本が
考えるようになるのは、そう遠くない話しだ」

朝鮮半島情勢以外に台湾海峡問題が、アジア情勢をさらに複雑にし
ている。CNNの北京特派員スタン・グラント記者は、日米の国防
・外務閣僚が日米共同声明で、「台湾海峡をめぐる問題の対話を通
じた平和的解決を促す」と共同歩調を表明したことが、事態の混乱
に拍車をかけたと伝えている。

共同声明が発表されると中国政府はただちに、「内政干渉」と反発
するコメントを発表した。

朝鮮半島や台湾海峡の情勢を背景に、日本を含めたアジア諸国の軍
拡競争が懸念される要因のひとつは、日本の国内情勢だ。日本国内
では近年、異論の多い防衛上の問題について、以前よりも自由に議
論する風潮が目立ってきている。

日本政府は昨年12月、新防衛計画大綱と中期防衛力整備計画を閣
議決定。新大綱は自衛隊の海外活動を国土防衛と並ぶ主な任務の
ひとつに初めて位置づけ、テロや弾道ミサイル攻撃に対抗する即応
性と機動性を重視する姿勢を明確にした。

また小泉純一郎首相は今月2日、衆議院予算委員会で憲法改正に
ついて質問され、憲法に「自衛隊」ではなく「自衛軍の明記に賛成
だ」と言明した。

日本政府は北朝鮮によるミサイル攻撃の懸念が高まるなか、03年
12月に「弾道ミサイル防衛システムの整備」について閣議決定。
日本政府は当時、「テロや弾道ミサイルの新たな脅威等に実効的に
対応しうる必要な体制を整備」する必要性を理由にあげ、米国開発
のシステム導入を決定。07年の初期配備と11年の完成を目指し
ている。

http://cnn.co.jp/world/CNN200502210011.html 

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対北朝鮮で中国に配慮−2プラス2   
   
 本音は軍備増強を警戒
台湾海峡取り上げ
 「中国が責任ある建設的な役割を果たすことを歓迎する」――。日米両政府の外務・防
 衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)は十九日、「共通戦略目標」で、
 中国に対するメッセージを控えめな表現で盛り込んだ。北朝鮮の核問題解決に取り組む
 中国への政治的配慮を示したものだが、台湾海峡問題では「平和的解決」を促し、中国、
 台湾の双方に自制を求めた。2プラス2という場で、台湾海峡問題に触れた意味は小さ
 くなく、中国の軍事力増強を警戒する日米両国の本音がのぞいた。

 ◇中国にらみ陸軍司令部移転

 米国防総省が昨年発表した中国の軍事力に関する年次報告書によると、中国は台湾対岸
 に短距離弾道ミサイルを既に五百基以上配備。米国防情報局(DIA)のジャコビー局
 長は十六日の上院情報特別委員会で「(中国の)ミサイルは台湾の施設だけでなく、周
 辺地域の米国や(日本、韓国などの)同盟国の軍用施設も標的にすることが可能」と証
 言した。
 ある日本の軍事専門家は「米軍の頭の中にあるのは北朝鮮よりも中国。日本、台湾、フ
 ィリピンによる『第一列島線』と呼ばれるラインで中国の脅威をブロックしたいと思っ
 ている」との見方を強調する。

 米国にとって米陸軍第一軍団司令部(ワシントン州)のキャンプ座間(神奈川県)への
 移転は、在日米軍再編の最優先事項だ。米軍は台湾海峡はじめ中東から北東アジアの
 「不安定の弧」と呼ばれる地域をカバーするため、座間を陸・海・空軍の統合運用の拠
 点とし、有事の際は陸軍トップの司令官を配置する考えだ。

 ◇北朝鮮の説得に役割期待

 もっとも、2プラス2の共同声明では、中国の脅威に直接言及することは避け、北朝鮮
 の扱いと一線を画した。「地域における軍事力の近代化に注意を払う必要」を指摘し、
 台湾海峡の平和的解決や、中国が軍事分野の透明性を高めるよう促す一方で、「中国と
 の協力関係を発展させる」ことなどを明記した。

 これは、日米両政府が北朝鮮問題解決のためには、同国に強い影響力を持つ中国の協力
 が不可欠で、「中国に特別の責任がある」(ライス国務長官)と判断しているからだ。

 2プラス2後の記者会見で、町村信孝外相は「中国が積極的なプレーヤーとして北朝鮮
 に働き掛ける必要がある」と、六カ国協議再開に向けた中国の役割に期待感を表明。大
 野功統防衛庁長官は「中国の動向は注目すべきだが、基本的には仲良くしていかなけれ
 ばならない」と強調した。

 共通戦略目標は、中国への配慮が目立つ内容とはいえ、台湾海峡問題が盛り込まれたこ
 とに対し同国は「内政干渉」と早速反発。日米軍事同盟の強化に警戒感を示しており、
 ぎくしゃくしている日中関係にも影響を与えそうだ。世界日報 掲載許可
       Kenzo Yamaoka
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米世界戦略との一体化、説明必要 

「共通目標」で安保協力拡大
 日米が今後の防衛協力で掲げる「共通戦略目標」は、北朝鮮問題や台湾海峡有事など日
 本周辺の不安定要因に加え、テロや大量破壊兵器など新たな脅威を対象に世界的規模で
 の共同対処を打ち出した点が特徴だ。日米協力が「極東の平和と安全維持」を目的とす
 る日米安保条約の枠組みを超えていく可能性をはらんでいる。
 米国が米軍再配置で重視しているのは、テロ対処での機動力向上と同盟国との協力強化
 だ。在日米軍再編で米側が、米ワシントン州の陸軍第一軍団司令部のキャンプ座間(神
 奈川県)移転を「最優先課題」(防衛庁幹部)として提案しているのも、中東から北東
 アジアにかけての「不安定の弧」での事態への対処能力向上に主眼がある。

 共通戦略目標の策定は、米国のこうした世界戦略に基づく米軍再編に日本側が協力する
 のに当たり、土台をつくるのが目的といえる。日米双方が、米軍再編協議で安保条約の
 「極東条項」見直しを前提としないとの方針を示しているのも、「共通目標」だけで日
 米の防衛協力が規定できるとの判断からだ。(世界日報)掲載許可
 
  Kenzo Yamaoka
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在日米軍再編、半年以内に具体案―2プラス2   
   
 基地の共同使用を検討
 【ワシントン19日早川俊行】日米両政府は十九日午前(日本時間二十日未明)、ワシ
 ントンで外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)を開いた。この
 日合意した「共通戦略目標」は、日米同盟を地域と世界の安定のために「死活的に重要」
 と位置付け、協力関係のさらなる拡大を目指すことを強調。日米は今後、共通戦略目標
 に基づき、在日米軍再編や自衛隊と米軍の役割・任務見直しなどについて、半年以内に
 具体案の策定を行う方針だ。
 委員会では、急速な軍拡を進める中国に対する懸念が相次ぎ、台湾海峡問題や欧州連合
 (EU)の対中武器輸出解禁の動きに、日米が連携して取り組むことで一致した。

 ラムズフェルド国防長官は、世界的規模で進める米軍再編(トランスフォーメーション)
 について、「冷戦型の兵力配置を見直し、よりフレキシブルな体制を目指したい」と説
 明し、在日米軍の兵力構成見直しに関し日本側の協力を要請。これに対し、大野功統防
 衛庁長官は、抑止力の維持と基地を抱える地域の負担軽減を両立させることが重要との
 認識を示し、委員会では自衛隊と米軍による基地の共同使用を具体的に検討する方針が
 決まった。

 これに関連し、町村信孝外相は、日米安保体制の効果的な運用を確保する上で、沖縄の
 負担軽減が欠かせないと強調。ライス国務長官は、軍の安定的駐留には「国民の支持が
 必要だ」と語り、前向きに対応する姿勢を示した。

 一方、中国の動向については、ライス長官が「軍事力や国内の人権問題について注視し
 ていく必要がある」と指摘。大野長官も、昨年十一月の中国原子力潜水艦による領海侵
 犯事件に言及し、「中国とは良好な関係を保ちつつも、軍事的な動向には注意をしてい
 くべきだ」と語った。

 また、町村外相が「EUの対中武器輸出解禁は東アジアの安全保障に重大な影響を及ぼ
 す」として、この問題における日米の協力強化を提案したところ、ライス長官はこれに
 同意。北朝鮮の核開発問題でも、「中国の積極的な役割が重要」との認識で一致した。

 両政府は協議後、共通戦略目標などを明記した「共同声明」を発表。@北朝鮮の核計画
 の完全廃棄を要求A中国の地域内での建設的役割を歓迎B台湾海峡問題の平和的解決を
 促すC在日米軍再編協議を強化D弾道ミサイル防衛の推進――などが盛り込まれた。
       Kenzo Yamaoka
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2プラス2(解説)   
   
 共通戦略目標、中国にウエート
抑止力向上へこれからが本番
 【ワシントン19日早川俊行・世界日報】掲載許可 日米両政府が外務・防衛担当閣僚に
 よる安全保障協議委員会(2プラス2)で合意した「共通戦略目標」は、中国の動向に
 大きなウエートを置くものとなった。

 戦略目標は、中国を直接「脅威」とは位置付けず、逆に中国が「建設的な役割」を果た
 すことや協力関係の発展に期待を寄せている。これは、北朝鮮の核開発問題が緊迫化す
 る中、中国の協力は不可欠との判断が働いたものとみられる。

 だが、その一方で、「軍事分野における透明性を高めるよう促す」「不安定を招くよう
 な武器および軍事技術の売却および移転をしないように促す」として、中国の急速な軍
 拡には明確な懸念を示した。前者は、中国が公表する国防費は、実際の支出額の一部に
 すぎないことを念頭に置いたものであり、後者は、欧州連合(EU)の対中武器輸出解
 禁の動きを警戒したものだ。

 このほか、国名は挙げていないが、「地域における軍事力の近代化にも注意を払う」と
 の文言も、中国が含まれることは間違いない。

 今回、日米が戦略目標を通じて、中国に対する警戒感を共有し、それらに共同で対処す
 る姿勢を示したことは、対中抑止力の点でプラスに働くことが期待される。ただ、戦略
 目標はあくまで「総論」であり、「各論」の議論はこれからが本番だ。在日米軍再編の
 着実な実施や自衛隊と米軍の相互運用性(インターオペラビリティー)の向上などによ
 って、日米同盟の強化を目に見える形で示すことが、真の対中抑止力となる。

     Kenzo Yamaoka
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第2期ブッシュ政権と日米関係   
   
 米戦略国際問題研究所日本部長 ウィリアム・ブリアー氏に聞く
 第二期ブッシュ米政権がスタートしたが、対日政策に変化はあるのか。国務省日本部長
 を務め、駐日公使の経験もある米戦略国際問題研究所(CSIS)のウィリアム・ブリ
 アー日本部長に聞いた。
(聞き手=ワシントン・早川俊行・世界日報)掲載許可
東アジアの米軍再編はまだ先
尖閣防衛に安保条約を適用 

 ウィリアム・T・ブリアー 1936年生まれ。35年間の外交官キャリアを経て、9
 6年から現職。計18年間日本に駐在し、アマコスト、モンデール両駐日大使時代に筆
 頭公使を務める。また、国務省日本部長、情報調査局北東アジア担当部長、政策企画局
 上級顧問などを歴任。  
 
 ――国務長官がパウエル氏からライス氏に代わったが、ブッシュ政権の対日政策に変化
 は生じるか。

 長官が代わっても、変化はほとんどないだろう。ブッシュ大統領と小泉首相の関係が非
 常に親密なため、スタッフも大統領の意向をくんで行動する。また、米国の指導者は皆、
 日米関係が重要だと認識しており、良好な関係を維持していくことは間違いない。議会
 もそうだ。

 今、日米間に大きな問題はない。農業などの貿易問題が残っているが、関係を悪化させ
 るほどのものではない。

 ――知日派のアーミテージ氏の後任となるゼーリック次期国務副長官は、日本に厳しい
 考えの持ち主との見方もあるが。

 ゼーリック氏は通商代表部(USTR)代表の立場から、日本に対して厳しい発言をし
 ていた。通商交渉ではそうせざるを得ない。しかし、私は彼と一緒に二回ほど日本に行
 ったことがあるが、彼は日米関係が世界でどのような役割を果たしているかよく理解し
 ている。全く問題ないと思う。

 ――在日米軍の再編では、米陸軍第一軍団司令部(ワシントン州)のキャンプ座間(神
 奈川県)への移転などが検討されている。ブッシュ政権は世界戦略の中で、日本をどの
 ように位置付けているのか。

 私は米政府の東アジア戦略はまだはっきりしていないとみている。第一軍団司令部をな
 ぜ座間に移すのか、また、どういう役割を果たすのか、明確に説明されていない。兵力
 を展開しないで、司令部だけを移転しても意味がないと思う。日本は、米国のコミット
 メントの印として歓迎するかもしれないが。

 ――米陸軍第一軍団は日本やアジア・太平洋地域の安定に責任を持っているのではない
 のか。

 日本の防衛に大きな役割を果たしているのは、海軍と空軍だ。陸軍は今、人数も予算も
 不足している。そのような時期に、新たな役割を課すことはちょっと理解できない。

 ――尖閣諸島をめぐって紛争が起きた場合、米国は安保条約を適用して対処するか。

 まず、第一の責任は日本側にある。海上自衛隊は近代的な兵器やイージス艦も持ってお
 り、中国海軍より圧倒的に強い。航空自衛隊も同様だ。日本一国で尖閣諸島を十分防衛
 することができる。もしできないとなれば、米国は間違いなく安保条約を適用して、自
 衛隊とともに防衛することになるだろう。

 ――米中は現在、テロ対策や北朝鮮問題をめぐり良好な関係を維持しているが、今後も
 この関係は続くか。

 それは台湾問題の展開次第だ。だが、米中両国は台湾問題を爆発させないように行動し
 ており、米中関係は現状のままか、さらに良くなっていくだろう。

 ただ、問題の一つは貿易収支だ。繊維産業をはじめあらゆる分野の製造業が中国に移っ
 ている。空洞化問題によって反中的な運動が広がる可能性がある。

日中の「政冷経熱」は残念
常任理入り、最大の障害に
 ――中国は急速に軍事力を増強しているが、安全保障面で緊張が高まることはないか。
 先日、米軍の太平洋司令官が講演で、それほど心配すべき問題ではないと言っていた。
 中国の軍事力のレベルはまだまだ低く、長距離展開もできない。

 中国は強大な軍事力に囲まれているため、バランスを取り戻したいと考えているのだろ
 う。それ以上の意図があるかどうかは分からない。しかし、いずれにせよ軍拡競争は避
 けるべきで、日本、米国、韓国、中国が知恵を出し合うべきだ。

 日本と中国は文化が近いにもかかわらず、「政冷経熱」の状態にあるのを残念に思う。
 これは長期的には東アジアの秩序のために良くない。

 ――日本の憲法改正の動きを、米国はどのように見ているのか。

 米国は憲法改正は日本国民の問題であり、改正してもしなくてもいいと思っている。た
 だ、安全保障戦略に携わる人々は、改正を望んでいる。日米間の軍事的な協力態勢を強
 化することができるからだ。

 日本では憲法を改正して「普通の国」になるべきだという議論があるようだが、米国は
 そのようなことは気にしていない。米国は関与すべきではなく、改正するなら日本人の
 手による民主主義的なプロセスで行ったほうがいい。

 ――米国内にはこれまで、日本の軍事力強化に否定的な「瓶のふた」論があったが。

 それはもう古い議論だ。米国は日本が軍事大国になることを望んでいないが、日本がこ
 れからどうなっていくかについては、米国は基本的に打つ手がない。

 ――日本の国連安保理常任理事国入りについて。

 日本が常任理事国になるのは当然だ。しかし、そこに至るのは非常に難しい。一番大き
 な障害は中国だろう。「政冷経熱」の状態を解決をしなければ難しいのではないか。
       Kenzo Yamaoka
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中国の「近未来」   
   
  もうお読みになったろうか。まだなら、できるだけ早く書店に急ぎ入手されたいが、お
 すすめしているのは、文藝春秋三月号に載っている水木楊氏の「中華人民共和国が消滅
 する日/北京五輪と上海万博の明暗。ついに二〇一五年―」と題する近未来小説である。
 右肩に、同誌編集者の手によると思われる「驚愕の近未来予測」という惹句がついてい
 るが、読み終えて、あまり驚かれることはないだろう。

 なぜなら、本欄でも何度か説き、そして本紙読者諸氏も心中ひそかに「あの繁栄がいつ
 まで続くのだろう」と憂いながら口に出さずおられる事態に至るまでの過程が記されて
 いるだけのことだからである。

 が、さすがは元日本経済新聞論説主幹。ご自身、「二十一世紀の最初の十年間ほど、中
 国が輝いてみえたことはない」とおっしゃっているあの国が破局に至るまでの過程の予
 測は、論理的かつ具体的で、第一、経済の面に説得力がある。

 そういえば、二十一世紀に入る直前の一九九五年、あの国の李鵬首相(当時)が、豪首
 相に「日本など二十年もたてば消えてなくなる。真剣に考える必要はない」と豪語され
 たことがある。

 とすると、奇しくもわが国と中国は同時に消滅ということになるわけだが、私は中華人
 民共和国の解体の方が、もっと早いのではないかと見ている。

 胡錦濤国家主席の全権掌握の手法は実に見事で、心配していた江沢民氏は、もはや孤影
 悄然。権力基盤であった上海入りの希望を申し出られるような雰囲気さえないことはい
 いとしても、党官僚の腐敗甚だしく、さすがの胡主席も、水木氏が予測された二〇一二
 年の任期を待つことなく健康を損ね、結局、人民共和国を消滅させることになる後進に
 全権力を委譲せざるを得なくなる可能性もあるのではないかと考えたからにほかならな
 い。

 例えば、新潮社の直接購読誌「フォーサイト」三月号に載っている藤田洋毅氏の見事な
 リポート、「進む『胡錦濤独裁』、しかし追いつめられる共産党」の結びの文章をご覧
 にいれさせて頂くことにしよう。

 「限界に近づきつつある人民の忍耐力と、胡の執政能力建設の進展を競うギリギリの時
 間レースが始まっている」
その最中、仮に一方の頼みにしている選手が病で倒れたとしたら…。
 (土田 隆・世界日報)掲載許可
      Kenzo Yamaoka

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