1903.金融大国を目指して



日本の今後は製造業ではなく、世界の情勢を研究して金融大国を目
指すしかない。その検討。   Fより

金融大国としては米国を思い浮かべるが、米国は貿易赤字と経常赤
字で、ドルが基軸通貨で無くなると米金融大国の没落になる。現時
点で世界的な黒字国は日本である。中国も黒字であるが、蓄積部分
では日本にかなわない。また、中国自体も日本に対しては貿易赤字
である。それだけ日本の技術力は強い。

このため、今後世界的な金融投資余力は日本が一番多いし、かつ、
日本国内の金利は0.1%と低いために、世界に投資する必要があ
る。このため、米ヘッジファンドにも日本の金が、相当入り始めて
いる。このように日本がファンドや金融の世界でも、米国に肉薄し
てきている。金融投資能力は、情報力に起因するが、日本の通信イ
ンフラは米国の通信インフラを仰臥している。

今後、日本の金は米国ファンドではなく、新興国市場に日本企業や
個人が直接投資して、10倍以上の効率を上げる方向になる。
ドル暴落が迫っているために、米国ファンドへの投資は今後ありえ
ない。

米ドルからユーロにロシアや東欧諸国・、中国はシフトするようで
あり、ロシア石油、アフリカの石油はドルからユーロに決済通貨が
替わることになる。中東石油だけが米ドルでの決済になるようであ
る。

この日本が直接、新興国市場に投資して、かつ日本のODAでイン
フラ建設も集中的に行って、かつ日本企業の工場も進出していけば
、投資の効率が高まり、日本から投資した金が、ODAや工場投資
を含めても、数十倍になって帰ってくることになる。このように、
日本の技術、金、ODA、そしてその新興国との友好を確実にすれ
ば、米国の金融大国としての時代は終焉を迎えることになる。

しかし、投資する新興国としては民主主義国家である必要がある。
これは、日本の投資先の新興国を米国の敵と見なされて、邪魔され
ないようにするためである。そのような行動をすれば、日本が米国
に替わって、金融大国になることができる。

米国はイスラム国家との戦争に明け暮れることにより、金融大国に
必要な投資の基礎情報が、世界から嫌われて米国ファンドや企業に
集まらなくなるし、米ファンドが悪者との印象を受けて、いい投資
案件がなくなるように感じる。

欧州と米国の貿易戦争も再開している。欧米が貿易戦争をしている
間に東アジアは、特に中国はどんどん、経済成長をしている。欧州
は、経済成長している中国と友好関係を築き、欧州経済を引き上げ
ようとしている。米国は中国と敵対関係の雰囲気を感じるために、
米企業は中国では目立たない。

このように世界的に米企業の魅力度がだんだん落ちている。そして
M&Aが再度、米国内で盛んになっている。AT&Tも無くなって、
米国の顔がもう1つなくしている。企業買収により、その産業の力
が無くなっていくのが米国M&Aである。このことからすると通信
業界もその終わりを意味しているようである。日本は通信企業間の
競争でブロードバンド通信が低額になり、どんどん普及しているが
、米国はそのようなこともできずに通信企業自体が衰退している。

米企業の直接投資が新興国にないと、その周辺情報が手に入らなく
なる。このため米国の情報力が落ちている。CIAなどの米情報機
関の能力もイラク、イランで分かったがほとんどない。米企業の進
出がないと、情報も失うことになる。

一方、日本の通信速度などのインフラがすばらしく情報度は、どん
どん増しているし、日本企業が世界にばら撒かれているためと、今
後団塊の世代が、退職して退職金を投資する先と海外での生活が一
般的になるために、金融投資に必要な情報が潤沢に手に入ることに
なるように感じる。

欧州の退職者を見ると、アジアや南イタリア、スペインなどに移り
住んでいる。欧州が寒いためもあるが、アジアや南イタリア、スペ
インは物価が安いために、年金生活が優雅に暮らせるためであるよ
うだ。この欧州の退職者もこのようなアジアやスペインなどに投資
している。これと同じことが起きるように思う。

しかし、米国の退職者がアジアやスペインなどに居ない。年金だけ
では生活できないようである。米国は医療保険制度もないために、
老後の医療費もバカにならないことも理由の1つであろうが、米国
自体、すでに一般的な国民の生活は途上国化してきている。米国民
が豊かではない。
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輸出優遇税制でパネル設置 米履行不十分とEU再提訴

 【ジュネーブ17日共同】米国が世界貿易機関(WTO)協定違
反確定後も輸出優遇税制を続けていると欧州連合(EU)が再提訴
した通商紛争で、WTO紛争処理機関は17日、紛争処理小委員会
(パネル)の設置を決めた。

 WTOはEUの要請に基づき、米国の改善措置が十分かどうかを
審理する「順守パネル」で、90日以内に結論を下す。

 米国はタックスヘイブン(租税回避地)にある子会社経由で輸出
する米企業に有利な優遇措置を設定。EUの提訴に基づく2002
年のWTO協定違反確定後も是正しなかった。

 EUは対抗措置として昨年3月、米国からの輸入品に対する制裁
関税を発動したが、米政府が同年10月、優遇措置の廃止を盛り込
んだ税制改正法を成立させたため、今年1月、対米制裁関税の解除
を発表した。
(共同通信) - 2月18日6時42分更新
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鉄鋼最大手アルセロールの2004年通期:過去最高益−鉄鋼価格上昇で 

2月17日(ブルームバーグ):鉄鋼世界最大手、ルクセンブルクのア
ルセロールが17日発表した2004年通期決算は、製品価格の引き上げ
や中国からの需要拡大を背景に、純利益が23億ユーロ(約3160億円)
と過去最高を記録した。 

  同社が電子メールで送付した発表文によると、2004年の純利益
は前年の2億5700万ユーロからほぼ9倍に増加。アナリストを対象
にしたブルームバーグ・ニュース調査では、22億ユーロの純利益が
見込まれていた。同社は1株当たり0.65ユーロの配当を提案する見
通し。 

  同社はほかの欧州鉄鋼メーカーと足並みをそろえ、今年1月に
5四半期連続で製品価格を引き上げた。ギイ・ドール最高経営責任
者(CEO)は、生産コストの削減や一層の増益を狙って、2010年
までにブラジルで30億ドル(約 3160億円)規模の事業拡大を計画し
ている。 

原題:Arcelor Earns Record 2004 Profit on Steel Prices 
(Update1) (抜粋) {NXTW NSN IC1KHT0UQVI9 } 
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米クワドラングル:企業買収ファンド設立で13億ドルの調達図る 
2月17日(ブルームバーグ):企業買収会社の米クワドラングル・
グループは、同社2本目となるメディア・コミュニケーション・フ
ァンド設立に向け、年内に約13億ドル(約1400億円)の調達を図っ
ている。事情に詳しい関係者が明らかにした。 

  株式非公開の投資銀行最大手、米ラザードのパートナーが設立
したクワドラングルは、2001年に同社初の企業買収ファンドを設立
し11億ドルを調達。同社はこのファンド資金で米ケーブルビジョン
・システムズなどに投資した。 

  企業買収ファンドと投資家の橋渡し業務を行うプロビタス・パ
ートナーズのケリー・デポンテ氏は、「投資家の関心は強い。2005
年に大規模な資金調達ができる可能性を示している」との見方を示
した。 

  英調査会社プライベート・エクイティ・インテリジェンスによ
ると、世界の企業買収・合弁会社は今年、最大2500億ドル規模のフ
ァンドを新たに設立する可能性がある。米マジソン・ディアボーン
・パートナーズは、同社最大規模となる少なくとも50億ドルのファ
ンドを設立する計画だ。 

原題:Quadrangle Group Seeks to Raise $1.3 Bln for Second 
Buyout Fund(抜粋) {NXTW NSN IC1KHP1A74E9 } 
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ライス国務長官に対する欧州の反応   
   
  コンドリーザ・ライス国務長官の旅行によって、米国はどういうことをしてくれるのだ
 ろうかといったことについて、海外でさまざまな憶測が噴出している。ブッシュ大統領
 2期目には、米国の外交政策は実質的に変わるのだろうか。米国や欧州の一部の国が舌
 戦を戦わす可能性が低くなるほど世界の状況は進化したのだろうか――等々。
 ライス女史は昨日パリで演説した。その中で彼女は米政府の外交政策の目標としている
 ことを概説した。列挙した事柄の第一のものは、イラク情勢とそれを助けるために欧州
 にできることは何かということであった。ライス女史は特に良い時期に旅行をしている。
 イラクの選挙は、戦争に反対していたフランスやドイツといった国に、多くの非軍事面
 で協力するための政治的な口実を与えることになろう。フランスのメディアでさえ選挙
 の意義を認めた。「彼の強みである頑固さ――しかし、時によってはそれが、彼の弱点
 にもなるのだが――今回はよく働いた。だから、イラク国民に自由な選挙をさせたこと
 でブッシュ氏を非難することは難しいし、不適切である」とルモンド紙は社説で論じた。

 米国にとっては、イラクの治安部隊を訓練し、アフガニスタンを安定化させるなどの北
 大西洋条約機構(NATO)の将来の役割は、やはり、依然として重要である。だが、
 米国の軍事力は欧州にとって、全く比べものにならないくらいの大きさで重要である。
 米軍は事実上欧州が生き残るための保証の役割をしている。なぜならば、欧州は社会福
 祉に多量の出費をして、防衛にはわずかしか支出していないからである。ドイツの人気
 タブロイド紙ビルトは、欧州のその(対米)依存について言及したようである。独首相
 「ゲルハルト・シュレーダーは、結局のところ、米国との友好関係は、例えば、パリ―
 ベルリン―モスクワ枢軸とは異なった性質のものなのだ、ということを知るべきだ」と。

 ライス女史が民主主義と自由を世界に広めることを主張していた熱意や、ブッシュ政権
 がいかにむらなくその熱意を表すことになるかについて、欧州人は懸念を抱いていた。
 「外交政策を説くことは米政府にとって常にジレンマを伴っている。なぜなら、それに
 は、最後までやり通すだけの一貫性がないからである」とドイツのウェルト紙は言った。
 明らかに、イランの核への野望に対処する方法、あり得る欧州の武器の中国への売却、
 そして、イスラエル・パレスチナ間の和平交渉のような、米欧間の不一致の原因になり
 得るものはたくさんある。

 モスクワのコメルサント紙は、中東和平におけるライス女史と米国による調停者として
 の断固としたやり方に大きな不満感を表明した。ライス女史は、欧州に行く前にイスラ
 エルとパレスチナの指導者と会見した。米国の役者を含め、どこの外国の役者がやって
 みても、歴史的に見て、そういった努力は和平プロセスに限られた効果しか与えなかっ
 たのだが、同紙は「ロシア政府の考え方は全く取り入れられていない」と嘆き、さらに、
 「(中東)4人組の米国以外のメンバー――欧州連合(EU)、国連そして、ロシア―
 ―の影響力は無に帰するであろう」と付け加えた。

 ドイツのニュース週刊誌シュピーゲルその他が指摘したように、ライス女史はブッシュ
 氏との緊密度が高いために、より実行力のある交渉相手の可能性を示しているという一
 般的認識もある。そういうことで、大西洋両岸間のコミュニケーションや米国重視の姿
 勢が、ライス女史の外交を通じて高まることがあり得るのだ。世界日報 掲載許可
       Kenzo Yamaoka
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力不足のロンドンG7共同声明   
   
 経済政策協調の具体策見えず、払拭できないドル急落懸念
 日米欧主要5カ国の財務相・中央銀行総裁が行き過ぎたドル高の是正のために政策協調
 路線に打って出た1985年秋のプラザ合意。そのプラザ合意から20周年の節目に当
 たる今年の2月4日と5日、ロンドンで7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)会議
 が開かれました。
 当時も今も、最大の懸念材料はドルの急落ないし暴落であり、これをいかに防ぐかが会
 議の主要なテーマでした。プラザ合意の際には冷戦時代ということもあり、5カ国の財
 政・金融・為替政策の協調はそれなりに有効で、紆余(うよ)曲折はありましたが、世
 界経済の安定化に一定の貢献をすることができました。

 それに比べると、今回のロンドンG7では、なおドル急落懸念は払拭(ふっしょく)で
 きていません。確かに、@米国は財政の健全化に努力するA日欧は構造改革を通して、
 経済成長に寄与するB過度で無秩序な為替相場変動は好ましくなく、各国は為替安定に
 向け協調する――などが共同宣言でうたわれました。

 しかし、いずれも具体的ではありません。米国では、ブッシュ大統領が緊縮型の200
 6年度予算教書を議会に提出しましたが、月額四十億ドル規模の米軍イラク駐留経費は
 06年度補正予算に計上することになっており、最終的な財政赤字は予算教書の見積も
 りを上回る公算が大きいです。また、一部民営化を導入する公的年金制度改革をめぐっ
 て、社会保障税の減収を補填(ほてん)するために巨額の財政資金が必要になると言わ
 れています(10年で約1兆ドル)。09年までに赤字を半減するという財政再建公約
 を達成するのは、厳しい状況です。

 日欧にしても、構造改革の中身がどのようなものであり、また、それがいかにして経済
 成長→対米輸入増加→米国の経常赤字縮小につながるか、極めて不明です。日本では産
 業構造の転換・高度化につながる財政政策の発動、欧州では財政規律を定める安定・成
 長協定の緩和が必要な情勢ですが、それは明確にされませんでした。

 今回のロンドンG7では、日米欧の政策協調の中身を具体化するだけでなく、中国の人
 民元安問題や原油相場の低位安定化をめぐって本来、BRICs(ブラジル、ロシア、
 インド、中国)の協力を得る必要がありました。しかし、中国側のかたくなな姿勢を崩
 すことができなかったなど、それには程遠い内容でした。

 昨秋以降のドル独歩安は今年に入って沈静化しているように見えますが、米国の財政赤
 字、経常赤字の双子の赤字に解決の見通しが出てこなければ、ドル急落ないしドル暴落
 のリスクは中長期的に高まっていくでしょう。G7諸国はやはりBRICs、中でも中
 国を取り込み、効力のある政策協調を打ち出していくべきでしょう。
(野村道彰)世界日報 掲載許可

     Kenzo Yamaoka

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