1901.正義を装った悪



英国の動向2005.01.29 について
>日本の心は、戦闘ではなく平和のシンボルとして、国際的な行動
>をするべきである。銃も持たない平和な活動をして、日本の自然
>な心「かんながら」の道を世界に広めることである。

とありますが、「神ながら」の道は、己が罪穢れを去り災いをはら
って、それらに妨げられることなく、人が天御中主の分御霊として
己が神性(かむさが)を能く発揮する意です。
神性はいわば自然な個性、和魂、荒魂など、その発露の態様も様々
で、武辺荒事にも適用されますから、「神ながらの道」は記事にあ
る如き仏教的な活動を指す所ではありません。

Fさんは、日陰で育った材木は建物の北に使うと良いというように、
様々な材木の部位を用途に分けて用いるように、平和的な活動を得
意とする者のみを、国際的な活動に充てるべきとおっしゃりたいの
ではないでしょうか。
ですがそれは偏りだと思います。

今を見てみても、平和呆けしたお人よしの一般市民を、フセイン政
権崩壊後に都市部で現地人による略奪が報道されたようなイラク等、
情勢不安な地域に、自国の武力・警察力の庇護なく送り込めますか。
私は出来ないと思います。
自衛隊の個性は戦闘にありますが、それは警備上警察比例の原則を
満足させるためであって、派遣目的はそもそも戦闘ではありません。
朝顔
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(Fのコメント)
今の世界は米国を見れば分かる通り、資源強奪のための侵略戦争を
民主主義の普及などという倫理を押し付けて、罪もないイラク人を
数百万人も殺して、イラクの石油を米国企業で独占している。
米国の侵略戦争でイラク人が生きるという基本的な人権も蔑ろして
民主主義を普及すると言うのです。

このような他人の資源を奪うような行為が正義になる世界は、どう
してもおかしい。正義を装った悪に憤りを感じるのです。日本だけ
が、本当に相手のことを考えたODAを行っているようです。日本
の支援は、国内的にはキックバックの問題があるが、相手国に対し
ては(資源や市場の支配を求めない)絶対善の行為であり、このた
め戦前の支援で韓国、台湾も日本に引き続いて先進国になり、その
後中国も日本のODAで離陸している。

しかし、このような日本の行為に正当な評価が与えられていないの
です。特に日本の支援でテイクオフした韓国や中国で反日運動が起
きることに情けなさを感じるのですが、許せないという思いも日本
国民に沸き起こるのは、理解できることです。

そして、日本は、今後も他国の資源を奪うためにODAを行う欧米
諸国のようなことをしてはいけない。もうだんだん、途上国は欧米
の行為がおかしいことは見えてきたように思う。今後も欧米と違っ
て、日本は援助国のことを思い、無償の行為をすることである。

日本が無償行為としてODAをしていたペルーは、それなりに貧乏
から脱出ができてきていたが、米国はペルーが日本に取られると、
フジモリさんを追い出し、ペルーを米国経済圏に戻したが、その後
のペルー経済はどんどん落ちて、元の姿に戻っている。日本のOD
Aの援助が何であったが、このペルーを見るとよく分かると思いま
す。しかし、日本のマスコミは、その現実を伝えません。このため
国民も知らないのです。ペルー経済支援に資源強奪の論理を持って
いない事を知るのです。日本は、いつかその国が豊かになり、この
支援が生きると、無償の行為に徹しているのです。

このような行為にするためには、米国の地域を分捕り、資源を強奪
する戦争行為を助けるのではなくて、本当にその地域の平和を思っ
て行う支援活動であるべきと言っています。

その地域の状態で、自衛隊が出かけるのがいいか、NPOを出した
方がいいのかは治安の状態や諸条件を見て考えるべきであると思い
ます。

しかし、あくまでも欧米の地域分捕りの資源強奪戦争の手助けをし
ないことである。日本が平和のシンボルとして、誰から見ても納得
いくような状態で平和活動することである。しかし、どうも親米派
の人たちは現地人を大量に殺し資源を奪う米国の民主主義普及とい
う正義を装った悪を推進する支援を日本の自衛隊はするべきと言う
のです。

しかし、そのようなことは日本使命を台無しにしていると言いたい
のです。それだけです。
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日中戦略対話を提案について

 現在日本は、同盟国である米国のみと戦略対話を実施している。
中国とは同盟関係は存在しない。むしろ、中国とは軍事的には潜在
的な緊張関係にある。この場合、日中間に必要なものは、不測の事
態を招かないための外交・軍事交流での対話であって、けっして戦
略対話ではない。
 
 戦略対話が意味するところは、相互の価値感(政治経済体制=民
主主義・資本主義)が一致したうえで、相互に対する脅威が一致し
た場合にのみ有効に働き、かつ必要となる。それぞれに対する脅威
の軽重は違っても全体の枠組みの中で価値感・脅威が共有される場
合に戦略対話が必要かつ重要なのである。
 
 ひるがえって、中国の目的は古典的戦略に基づいた政策だと判る
。第一に日米間の離反である。上記のように同盟関係上に存在する
戦略対話を潜在的脅威との相手とすれば、同盟関係を冷却させる効
果がある。これは、隣国が経済・軍事で弱体化することを目的とし
た一国中心主義の戦略である。

 第二には中華圏の拡大を目的としている。地政学的な発想で中国
の外縁部に安全地帯を構築する事は理に適っている。これは中華思
想そのものでもあり、中国にとっては心理的にも落ち着きを感じる
のではないだろうか。
 
 最近、中国が近隣諸国と戦略対話を実施していると報道されてい
るが、その目的として「現在の中国は、経済発展を最重要視するた
め近隣諸国との紛争を避ける為」としている。これは外交・軍事交
流で解決するものである。中国が自国の行っている行動を「戦略対
話」と表現するのは自由だが、朝日新聞が「戦略対話」という表現
をそのまま使用することは、間違って使用しているのか、中国の目
的に従って使っているのか疑いたくなる。

 価値感を共有した同盟国が相互に発展し、相互に恩恵を受けるの
が日本の戦略と私は考えるが、中国が同じ考えであるとはとても思
えない。今後を注目していきたい。
佐藤俊二
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(Fのコメント)
中国のジレンマと見て取れて、面白いと思う。今の中国は米国と敵
対関係なれるような状態ではない。中国海軍はロシアの旧潜水艦で
あり、簡単に捕捉されるなど米軍とは非常に実力差がある。今、
敵対関係になっても、米国と日本の連合軍に負けることは明白であ
る。

また、中国大陸弾道弾ミサイルを発射時点で捕捉すれば、ほとんど
のミサイルは初速の段階でSM−2、将来はSM−3迎撃ミサイル
で打ち落とされて、中国国内で核爆弾が破裂することになる。今後
益々、MD研究で精度が上がるために、どんどん打ち落とす確率が
高くなる。このため、日本、米国のMD研究についての情報が欲し
いはずである。

しかし、米国がだんだん軍事技術でも実力が落ちている。米国企業
の基本的な電子部品・製品がほとんど中国や台湾での製造であるた
めに、米兵器に必要な電子部品を日本に頼らないといけない状態に
なっている。仮想敵対国の中国製・敵対国に近い台湾の電子部品を
使えない。戦争状態になった時、部品の補給が効かなくなるので、
米国または米国同盟国の部品しか使えない。この部品を補給するの
は、日本しかない。このため、武器3原則を解除したのです。MD
などの電子兵器は、電子部品とその上のソフトが重要であり、米国
だけでは製造できない状態になっている。米国との情報交換ととも
に、日本との情報交換も重要になっているのです。特に戦略兵器で
ある中国の大陸弾道弾ミサイルが無効になると、戦略を見直す必要
に迫られるからです。

このように軍事的な側面で、中国の方が弱いことは認識している。
このため、日本との対話で米国と中国の仲介を日本に期待している
はずであり、そのためには日本との関係を正常化する必要がある。
国際的な状況でも、中国の元が追い詰められている。日本のサポー
トが中国としては欲しいのですよ。中国の助けてという声と解釈す
るべきである。
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北方四島の返還

 これは領土問題であるので以下のように整理してみた。
1.領土問題は取り返せば、問題が解決したという問題ではない。

2.結局は取った・取られたで当事国の国民感情に傷が付く。上手
い説明で一時的に納得させても、その後の世代には伝承はされない
。中国のように、その民族が住む地域全域を漢民族で多数形成し少
数民族にするしかない。

3.歴史的経緯は、どの様にも解釈でき自国民にとって心地好い響
きを持つものしか受け入れられない。

4.沖縄のような特殊形態(日本人が住み続け、自治も行われいた
)で、米軍基地を米国が望む期間存続させるという米国の利益が守
られる場合を除き領土の返還はスムーズには行かない。

5.北方四島を考えた場合、ロシアの国民感情はどの様な場合に動
くのだろうか。たぶん、日本が領土を放棄し、経済援助(経済交流
)を得るのが希望だろう。しかし、これでは、日本人が納得しない
。逆に、四島が完全に返され、ロシア人が退去するするのが日本の
希望だろう。

6.ロシアの戦略は、「四島返還をせずに日本からの経済援助を引
き出させる国際環境を構築する」ことだろう。

7.日本は経済援助との取引を考えている。これは「沖縄返還は貿
易摩擦(繊維取引)の譲歩との交換」で成立したと勘違いしている
人の発想である。現実には米国の軍事戦略上の支障をきたさず、民
政業務と経済負担の移管を実行したのだ。

 以上より、北方四島返還を考えるとロシアと日本の戦略は、そも
そも両立しない。言葉上での宣言などでは解決できる問題とは違う
。そこで以下の提案がある。

提案:
 「領土の帰属は一旦、日本領とするが、共同統治をする」として
はどうだろうか。共同統治なら、両国民は自由(ビザ無し、国内待
遇)に往来でき、両国民の感情的対立もずいぶんと違うものになら
ないだろうか。

 
 共同統治することにより、現在のロシア人はそのまま居住できる
上、日本の行政サービルも受けられる。もちろん日本人も自由に居
住できる。両国民とも自由に経済活動もできる。さらに、法律や治
安維持に関する共同作業を発生させることにより、ロシアの体制移
行を側面支援できないだろうか。日本には、非ヨーロッパ圏で初め
て近代化と民主主義(明治時代よりの歴史がある)を自身で実行し
たソフトがある。ロシアが非近代的というわけではなく、現在、ロ
シアは「民主主義化と資本主義化」という急激な政治経済体制の移
行で社会体制が揺らいでいる。原油価格の高騰により、体制維持が
できているにすぎない。しかし、元来ロシアの科学技術・国民資質
は一級である。(私は大学時代に優れた教科書として学んだ参考書
が、実はロシアで出版された学術書の翻訳本であったことを覚えて
いる。)国家丸抱えの社会主義体制からいきなり資本主義体制に移
行するには時間と智恵が必要なのは当然である。ソフトパワーは、
広がるときのスピードと範囲はハードパワーよりも各段に強い。
 
 隣国とのパワーゲームは注意が必要だが、北方四島はやり方によ
っては安全保障を含めた利益が期待できるのではないだろうか。

佐藤俊二
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(Fのコメント)
過去に、北方4島を日露共同統治にして、ロシアとの友好関係を深
めようという佐藤さんと同様な提案をしています。

しかし、反米的になっているロシアがオホーツク海を内海との権利
を失う国後島、択捉島の2島のロシア領有権を手放すはずがないと
思います。このオホーツクに原潜を沈ませて、米国に大陸弾道弾ミ
サイルを打つというMDでも防御が難しいことをできるためです。

領有権をロシアに残して、共同管理であれば、ロシアは乗ってくる
と思います。ロシアのサハリン天然ガスからパイプラインで、日本
向けにガス供給をしているが、日本のガス会社は買いませんでした。
米国石油会社が関わっていないために安定供給に疑問があるためで
すが、石油事情はだんだん悪くなるので、ロシア石油も手に入れる
べきです。もう少し、日本の資源、特にエネルギー資源には意欲を
もって欲しいと思っています。

このため、ロシアとの友好関係は重要です。
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岐路に立つ21世紀の日中関係   
   
 厄介な隣国との関係構築に向けて/プラス面含め総合的に評価せよ
拓殖大学国際開発学部教授 茅原 郁生
嫌中反日感情の中の両国関係  (世界日報)掲載許可

 「経熱政冷」と比喩される日中関係は試練の年を迎えている。経済面で著しい成果が見
 られる一方で、政治面では小泉総理の靖国神社参拝などでぎくしゃくしており、首脳の
 相互訪問が三年もない異常な関係が続いている。加えて、中国の原子力攻撃型潜水艦の
 領海侵犯、海洋資源開発や尖閣諸島の領有権問題、サッカーアジアカップ戦での不快な
 ブーイングなどが重なって、今やわが国内では中国への嫌悪感が広がっている。実際、
 昨年の内閣府による世論調査では中国に親近感を抱く割合が37%と過去最低となり、逆
 に親しみを感じないが60%近くにまで上がっている。同じように中国でも、胡錦濤政権
 の対日関係の改善意欲にもかかわらず、さらに激しい反日感情と嫌日感が拡大している。

 今日、両国間に横たわる問題の本質は何かを探り、多少痛みを伴ってもその場しのぎで
 ない関係構築のための戦略的な対応が求められている。

 当面は歴史問題が焦点となっているが、日中関係で最も根本的な問題は二十一世紀の新
 しい戦略環境の中で両国関係をどのように位置づけ合うかにあると思量する。すなわち
 両国は相互に大国化した現状とその役割を容認し合えるのか、などが重要課題となる。

 これまでの日中間の力関係を大観すれば、近代を迎えるまで日本は朝鮮半島では角逐し
 ながらも、中国優位の華夷秩序の中にあった。しかしアヘン戦争を契機に列強から半植
 民地化の屈辱を受けた中国に対して、日本はいち早く近代化を達成して大陸に進出した
 ように、近代史における両国の力関係は逆転した。やがて一九四五年に日本は終戦を迎
 え、中国は四九年に社会主義国家となったが、新生両国は冷戦下で竹のカーテンに遮ら
 れ、政経分離のいびつな関係であった。七二年には国交正常化されたが、なお冷戦構造
 の中で日中関係構築には制約が多かった。

史上モデルのない両国の局面

 冷戦が終焉した時、中国は既に政治大国化し、日本は経済大国化するという非対称的な
 関係であった。二十一世紀を迎えて、日本が国際社会でより大きな役割を担うべく国連
 常任理事国入りを求め、他方中国では経済発展に伴う軍事大国化が進む中で、日中両国
 は相互にどのように棲み分け、位置づけるかという課題に直面してきた。しかし大国と
 して相互に受け入れる心理的な準備のない中で、日中両国は隣接する大国同士の関係を
 どのように構築するかという史上モデルのない局面に遭遇し、試行錯誤で模索している。

 日本にとっては急台頭する中国がどのような大国になるのか、その不透明な将来像に不
 安が残る。自己中心的な対外戦略を展開する中国は地域秩序にとって余りに大きい不確
 定要因であるが、その多くは国内問題に起因するものである。中国は、十三億人の扶養
 を抱えた経済の高度成長が社会に歪みを生じさせる一方で、国内に蓄積されたエネルギ
 ーが宇宙、海洋へと拡散し始め、今や「中華民族の偉大な復興」を目指している。「平
 和的台頭論」を唱えながらも覇権大国になるのではないかとの警戒心が浮上し、世界の
 成長センターへと頭角を現す中国への対応に日本は戸惑っている。

 同様に中国側も、日本の国際社会における活動領域の拡大や安全保障に関わる従来のゆ
 がみの是正など、普通の国家へ脱皮する努力に対して政治大国化と猜疑の目を向け、自
 己主張し始めた日本の意図に不安を感じている。特に最近の憲法改定論議、新防衛大綱
 の決定、米軍のトランスフォーメーションをめぐる日米戦略協議、ミサイル防衛システ
 ム導入などを日本の軍事大国化と警戒し、歴史の悪夢と重ねて中国もまた対日不信感を
 強めている。

 このような現状を踏まえて新しい日中関係の構築が必要になってくる。あるべき日中関
 係について筆者はこれまで、国益を踏まえて率直に言うべきことが言える、敵対しない
 し迎合もしない、普通の国家関係に成熟されるべき、と主張してきた。このためには中
 国に対しては、大国の自覚の上に地域への影響を考慮する国際社会で協調的な責任大国
 に成熟するとともに、日本の大国として果たすべき役割への理解が求められる。日本も
 また大国としての自覚と自信を持って、明確に国家の意図を発信するとともに中国の大
 国化を容認した上で国益を踏まえた是々非々の対応をすることが必要になってくる。

 日中関係は、「未来志向の友好パートナーシップ」とされながら、なお「戦略的なパー
 トナーシップ」の水準には遠く、調整すべき課題を多く抱えている。

多重な対話ルート構築が急務

 日中両国が従来の特殊な関係から普通の国家関係に脱皮するためには何をすべきか。ま
 ず多重な政治対話の場やルートの構築、とりわけ防衛、安全保障面での太いパイプの構
 築が急務である。そして両国間に緊張が高まっても衝突しない復元力のある関係構築が
 緊要である。その基盤として幅広い国民レベルでの相互理解の促進が必要で、相互に感
 情的なナショナリズムの暴走と悪化の連鎖を断つことが重要である。

 多国間では、ASEANプラス3で進められる東アジア共同体の構築に向けて日中両国
 が主導権を競うことなく協働して支援する、さらに地域の安全保障対話や協議の場にお
 ける協力などが重要になってくる。

 肝要なことは、日中関係を暗い側面だけでなく、日本にとって最大の貿易国となった中
 国とは経済的な補完関係や依存度が深化し、人的交流も拡大するなど明るい面を含めて
 総合的に評価することである。そして日中両国が二十一世紀の地域大国としてアジア地
 域の安定と発展を担う共同責任の重みを受け止め、冷静に対応することである。

 かやはら・いくお 昭和十三年(一九三八年)山口県生まれ。防衛大学校(第六期)卒。
 陸上自衛隊師団幕僚長、防衛研究所研究部長などを経て平成十一年より拓殖大学国際開
 発学部教授(元陸将補)。この間、外務省中国課出向、英ロンドン大学客員研究員など
 務める。著書に『中国軍事論』(芦書房)、『中国の核・ミサイル・宇宙戦略』(蒼蒼
 社)、『安全保障から見た中国』(勁草書房)、共著に『2020年の中国』(日本経
 済新聞社)など。 

     Kenzo Yamaoka
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中国対策   
   
  中国の増大する経済力が、先週末に行われた先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G
 7)の焦点であった。今のところ、中国経済の日の出の勢いは、中国の脅威の性格と程
 度の問題としてとらえられている。
 しかし、何年かたつうちに、中国の経済力は、アジアその他の地域における米国の影響
 力に対抗を試みるために必要な手段を中国政府に与え得る軍事力に形を変える可能性が
 ある。中国が一体どのように経済的、軍事的に強くなり、その力をどのように発揮する
 道を選ぶかは、現時点ではまだ分からない。中国の長期的経済発展は、まだ、銀行の不
 良債権を処理し、通貨を変動相場制へ移行させ、さらに、非効率な国有会社の解体を実
 行する中国政府の能力にかかっている。

 中国を抑える米国の力は、米国と同盟関係にある世界中の他の対抗勢力、特にアジアの
 対抗勢力の台頭に依存しているといえるかもしれない。日本の中国との関係は、米中関
 係と同じくくらい複雑である。しかし、日本政府は、明らかに、勢力を増している中国
 を相手にしながら、優位を確保しようと競っている。

 中国の他のアジア諸国との拡大する通商関係に対抗するため、日本はタイやマレーシア
 との通商協定締結を推し進めている。日本政府はまた、10カ国からなる東南アジア諸国
 連合(ASEAN)と通商協定の交渉を模索していて、協議は2、3カ月のうちに始ま
 る予定である。日本の軍事力増強が進んでいることも、やはり、もろに中国に照準を当
 てているように思える。日本自体は、中国という巨大な怪物の対抗勢力として動く経済
 力を持つようになるとは思えないが、中国政府を警戒し続ける国々の緩い同盟の重要な
 一員になることはできよう。また、日本政府が中国政府によってどんどん窮地に追い込
 まれると感じたら、ほんの数カ月で自らの核兵器を獲得することができるが、そういう
 方向は、中国が避けようとするであろう。中国政府は、日本政府の心配そうな様子に、
 両国間の自由貿易協定締結を呼び掛けることで応えている。

 ほかのどのアジア諸国が中国警戒同盟の一部を構成するかは、今のところは分からない。
 中国は、他のアジア諸国は、緊密な関係を維持すれば、経済的利益が得られるのだと明
 言した。中国は他のアジア諸国や発展途上国全般に対して、貿易赤字を抱えているが、
 これは恐らく、中国の地政学的影響力維持を狙った政府管理の通商政策の一環として表
 れていることなのであろう。韓国、台湾、フィリピン、タイ、そしてインドネシアなど
 はすべて、対中貿易が大きく伸びている。

 インドは中国に対するさらなる重要な潜在的対抗勢力である。中国の成長の方がインド
 のそれより勝っているが、後者は多分、経済的地政学的面で中国の対抗勢力になるであ
 ろう。この両国の2国間貿易は急成長しているが、両国は国土が隣接していることと、
 エネルギー資源競争のために、自然と敵同士になる。インドが中国に挑戦していること
 は、米印関係が今後20〜30年間強固なままでいる限り、米国には大いに利益になる。

 中国は貿易や投資を世界的影響力のための踏み台として効果的に使っているように見え
 る。そういうことになると、中国は手ごわい交渉人で、場合によっては、ほかの国が台
 湾関連で中国を公に支持することを通商関係の条件にしたりする。このような中国の動
 きがあるために、米国が、特に西半球で、貿易の世界的主導権を維持し、また、インド
 や日本その他のアジア諸国と緊密で、生産的関係を維持することが、一段と切実に必要
 になるのである。(世界日報)掲載許可
 
      Kenzo Yamaoka

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