揺れる英国の状況を検討しよう。 Fより 英国は一貫して、米国を支持していた。しかし、どうもブッシュ大 統領の「自由を拡大し、圧政を終わらせる」第2期就任演説の前後 から、ブッシュ政権からブレア英国労働党政権は距離を置き始めた ようだ。 とうとう、EUは米国から完全に独立して動き始めた。そのいい例 が対中国への武器輸出であるが、英国も中国への武器輸出をEUと 一緒に行うと米国に宣言している。欧州、英国からの米国の孤立化 が鮮明になっている。 英国は今年5月に総選挙が行われるが、今のような対米追従外交で は政権を保守党・自由党の連立内閣に奪われる可能性が出てきてい る。ブレア首相の支持が38%で不支持が50%となり、政策を国 民の期待に合わせるしかないのでしょう。 ストロー外相もライス新国務長官に、国際協調でいかないと英国も 米国を支持できないと言ったようである。米国は英国の支持もなく して孤立化が増している。英国はEUに靡いて、イラン核問題を外 交で解決するように米国に要請したり、サマワへの英軍派遣も少数 にする意向である。イラクからの撤退も英国での5月の総選挙では 明言する必要に迫られている。 このように、米国の侵略戦争経済から脱出しないと英国の没落にな るし、総選挙にも勝てないと読んでいるようである。このため、米 英日豪シーパワー連合が崩壊状態になっている。露中印ランドパワ ー連合に英国、EUが参加して、国際政治上、圧勝の様相になって きている。国連で常任理事国のほとんどがランドパワー連合国にな り、米国しかシ−パワー連合国がいない。もう米国一国主義しかで きないような国際状況になっている。 とうとう米国の同盟国は日本と韓国とアルバニアなど東欧諸国しか ない状況になっている。東欧諸国も米国支持を急速に止めている。 そして、韓国も北朝鮮問題では、日米とは違い北朝鮮を支持してい る政策をしている。このため、米国に完全に従属しているというか 同盟関係を持続しそうなのは日本しかないようである。国交関係の ない台湾も当分の間、米国に従属するでしょうね。 しかし、台湾企業の投資の2/3は中国本土へのもので、経営者や 技術者のほとんどは台湾独立を望んでいないし、民主的な中国と統 一することを反対していない。基本的に台湾人も中国人であるから 、いつ親中反米になるかわからないですよ。日本企業も米国企業も 同様に投資しているが、日本は中国の覇権を恐れていることは確か であり、台湾のような劇的な変化はしないでしょうね。 そして、もっと悪いことに英国からの撤退要請を一笑して、米国は 12万人規模の米軍をイラクに10年以上は貼り付けるとしている 。イスラエルからの要請であると思うが、キッシンジャー氏もイラ クからの早期撤退を拒否するべきと言っている。 ブッシュさんが、もっとも影響を受けたのがイスラエルのナタン・ シャランスキー氏の昨年刊行した著書「民主主義論−−圧政とテロ に打ち勝つ自由のパワー」であると明言しているし、その趣旨を就 任演説のメインにしている。ナタン・シャランスキーの要請もあり 、イスラエルを守るようだ。 このため、サマワにいる日本自衛隊への支援が薄くなるし、将来的 には英軍も撤退になり、日本の自衛隊は自らの防衛を自分で行う必 要に迫られることになる。自衛隊はそもそも軍隊であるから、自分 を守るのに、英国やオランダ軍の助けが必要なこと自体がおかしい のでしょうが、自衛隊は非戦闘地域に派遣したという建前があるた めに、他国軍の支援を必要としていることになっている。 しかし、その異常な状態は英軍の撤退、米軍の駐留で事態は一変す ることになるでしょうね。サマワも本格的な戦闘地域になるでしょ うね。その時に自衛隊が撤退できるのでしょうかね。できないでし ょうね。とうとう、自衛隊も軍隊に戻る時がきたように感じる。 日本の自衛隊がインド洋津波被害地などの海外支援活動に従事する のはいいと思うが、戦闘行為を行うことは止めるべきである。日本 の心は、戦闘ではなく平和のシンボルとして、国際的な行動をする べきである。銃も持たない平和な活動をして、日本の自然な心「か んながら」の道を世界に広めることである。この行動として自衛隊 がいるし、NPOがいるのでしょうから、アチェのような戦闘地域 で、敵味方関係ない支援を心がけることが、本当の支援であると思 うが。 ============================== サマワ活動 英軍、苦渋の決断 国内の増派反発に配慮 【ロンドン=蔭山実】イラク南部ムサンナ県からオランダ軍が三 月末に撤退した後の治安維持活動を、英軍が正式に引き継ぐことに なり、同県サマワで活動している日本の自衛隊の安全確保は一段落 した。だが、英政府は、オランダ軍の任務を英軍が肩代わりするた めの具体策をこの引き継ぎ発表まで明らかにしないなど、決断に苦 しんだ様子をうかがわせていた。 オランダ軍撤退後の英軍の再展開では、ストロー英外相が今月 二十日に訪日した際、日本から強い要請があった。英側は協力を表 明したものの、英軍の展開規模など具体策には踏み込まなかった。 英国ではイラク戦争から時間がたつにつれ、戦争批判の世論が強 まり、現状以上に英軍の活動が拡大することへの反発は予想以上に 強い。オランダ軍からの任務引き継ぎを明らかにしたフーン国防相 も、英下院で「英軍の展開規模が拡大するようなことはない」と、 野党側への答弁に苦慮した。 国防相の説明によると、オランダ軍からの任務引き継ぎのため、 英軍兵士二百二十人を補給支援などのため新たに派遣することを決 めた。英軍増派に世論は最も敏感なのだが、引き継ぎが軌道に乗れ ば、その一部をすぐに英国に帰還させる方針をあえて打ち出し、反 発する声の緩和を図った格好だ。 さらにムサンナ県の治安維持に要する英軍の規模の判断でも時間 を要したようだ。問題は千四百人という規模のオランダ軍をそのま ま英軍で肩代わりして新たに増派することは世論がもはや許さず、 工夫が必要だった。行き着いた結論が、オランダ軍が育成したイラ ク治安部隊との“混成”による対応だった。 (産経新聞) - 1月29日2時47分更新 ============================== 欧州、米にイラン核開発問題の外交解決促す(nikkei) 【ベルリン=菅野幹雄】欧州諸国が、イランの核開発問題をめぐ って、米国に対し平和解決を目指すよう働きかけを強めている。欧 州では、将来の米によるイラン攻撃への警戒感が台頭。ライス米次 期国務長官に英国とドイツの外相が協力を訴え、シュレーダー独首 相は軍事介入に明確に反対した。イラクに代わりイランが欧米関係 の火種になりつつあるとの見方もある。 25日にホワイトハウスでライス次期長官と会談を終えたフィッシ ャー独外相は「外交努力を成功に導くため欧米が最善を尽くすこと が重要だ」と強調した。前日にはライス氏とストロー英外相が会談 。「軍事行動の可能性については議題にも上らなかった」と外相は 述べ、チェイニー副大統領も外交交渉を支持したと説明した。ただ 欧州側はブッシュ政権の対イラン強硬姿勢に戸惑っている。 (2005/01/26 07:01) ============================== 英国、イラク撤退予定を示すよう米国に要請=英紙 [ロンドン 20日 ロイター] 英国は米国に対し、米国主導 の部隊がイラクから撤退する暫定的な予定を明らかにするよう求め ている。デーリー・テレグラフ紙が伝えた。 同紙は、匿名の政府筋が語ったとして、与党労働党は、ブッシュ 米大統領が2─3カ月以内の正式発表に同意することに期待してい る、と伝えた。 英国は、イラク問題で米国に最も近い同盟国の立場をとり、大 規模な派兵を行っている。 英国は、米国が撤退の「明確な日程」を発表すれば、イラク暫定政 府を支え、抵抗勢力にマイナスの影響を与えることになる、と考え ているという。 同紙によると、同政府筋は、「日程を示すことは、われわれにイ ラクを離れる意志があることを示す重要な政治的シグナルとなる。 イラクの主要政党は、すでにいつ連合軍が撤退すべきかについて話 している。米国は、この問題に早期に対処する必要があることを認 識している」と語った。 (ロイター) - 1月20日20時44分更新 ============================== EU外交、狙いは市場・独自路線強化(nikkei) 【ブリュッセル=刀祢館久雄】欧州連合(EU)が中東や旧ソ連 などの近隣諸国や、中国やインドといった有力新興市場を対象に独 自外交の強化に動き出した。昨年の東方拡大を機に周辺国との関係 を再構築し、地域の安定化につなげるとともに、国際的な市場獲得 競争を勝ち抜く狙いだ。ただ、イランの核開発疑惑や対中武器禁輸 を巡っては強硬路線の米国との違いが鮮明で、米欧関係の波乱要因 になっている。 EUの欧州委員会はこのほど、「欧州近隣政策」の第1弾として ウクライナ、モロッコ、イスラエルなど6カ国およびパレスチナ自治 政府との行動計画をまとめた。経済協力からテロや不法移民対策、 大量破壊兵器の拡散防止まで広範な内容だ。さらにエジプト、シリ ア、グルジアなどとも今後「近隣政策」に基づく行動計画を策定す る予定。最終的にEUの東と南に位置する16カ国・地域を「拡大 EUと平和・繁栄を共有する友人の環(わ)にする」(フェレロワ ルトナー対外担当欧州委員)方針だ。 (07:01) ============================== 英労働党の支持率が38%に低下、保守党に対するリード縮小 [ロンドン 25日 ロイター] 5月に総選挙実施が予想され る英国の政党支持率調査で、ブレア首相率いる与党労働党の野党保 守党に対するリードが縮小した。 1月21─23日、18歳以上の1000人を対象にガーディアン 紙/ICMが実施した調査によると、 労働党の支持率は12月調 査から2%ポイント低下の38%。保守党は前回から変わらずの31%。 ブレア首相個人の支持率は、米国のイラク侵攻を支持して以来低 迷しているが、今回の調査でも支持が38%で不支持が50%とな り、マイナス12%となった。昨年実施された調査では、首相の支 持率はマイナス24%まで低下した。 (ロイター) - 1月25日15時23分更新 ============================== 対中武器売却解禁の方針、英が米に伝達(nikkei) 【ワシントン=秋田浩之】訪米しているストロー英外相は24日、 ライス次期米国務長官とワシントンで会談し、欧州連合(EU)と して対中武器売却を禁止した制裁措置を解除するとの方針を伝えた 。日米両国政府などはかねて反対を唱えており、ライス氏も再考を 求めたとみられる。 AP通信が会談後の英政府スポークスマンの説明として報じた。 それによると、ストロー外相はEUは制裁解除に合わせて、中国へ の武器売却規制を強化するとも強調、無制限に取引を認めるわけで はないとの立場も示した。両外相はイランの核開発問題への対応を 巡っても突っ込んだ意見を交わしたもようだ。EUによる対中武器 売却の禁止措置は中国軍が学生による反政府デモを鎮圧し、流血の 惨事となった1989年の天安門事件が引き金。同事件に抗議するとと もに、中国に人権改善への圧力を加えるのが目的だった。米国も当 時、同様の制裁を発動している。 (2005/01/25 10:30)