1872.米中対決時代に



中国の経済力・軍事力の両面で年率10%以上伸びている。このた
め2020年頃には、米国にとって脅威となると見なし、その準備
をし始めた。この検討。         Fより

国防総省、NICからの報告書が提出された。これによると、中国
が近将来に地政学上のライバルとして描かれている。この中国に対
応した米軍配備と日本、韓国の米同盟国と戦略統一化が必要になっ
ている。日本には審議官級の戦略協議で、中国を脅威として対応策
を検討するし、韓国には在韓米軍を中国との戦争にも使うと宣言し
て韓国政府と協議に入るとしている。

これは中米対決を米国が宣言したことになる。しかし、この中国と
の対決となると、イラク侵略戦争を止める必要が出る。二正面作戦
は今の米国にはできない。兵力を倍増する徴兵制を復活すると言っ
たら、選挙に勝てないから、そのようなことができない。しかし、
その徴兵制で軍隊を逃れているのはお金持ちで、基本的に反ブッシ
ュである。

そのため、兵力として使うのは最下層の黒人、田舎の貧しい農家、
南米系の米国国民で、イラク侵略戦争でも一番犠牲になっている。
そして、イラク帰りの海兵隊員が、再度のイラク行きを拒否するよ
うになった。もう、イラク侵略戦争が限界に来たことを示している
。第2のベトナムになったことを示している。

そして、この人たちがブッシュを支持した人たちの層であるから、
この層をこれ以上に犠牲にするわけにもいかない。貧しい農民でも
ある福音派の人たちで、この層が反ブッシュになると米国内政治は
できない。

このためにも、米軍としてもイラクの泥沼さら脱出することが不可
欠になっている。この1つの方法が、選挙後、イラクのスンニ派の
「加熱」地域から脱出を図ることであろう。

このイラク撤退理由がないといけないが、その理由が中国との対決
であり、この観点を前面に出すことになる。しかし、その撤退の決
断はイラクから中東全域にゲリラ戦争が拡大する可能性がある。
この証に、ロシアがシリアにSA18を売却する。シリアはビスボ
ラを抱えている。このビスボラにこの兵器がわたる可能性は高い。
イスラエルとの紛争が拡大していくように感じる。

一方、中国との対決には日本と韓国という同盟国があるために、人
的犠牲が少なくて済む可能性が高い。陸上戦闘は日本の自衛隊と韓
国軍に任せて、空軍と海軍中心の戦闘を米国が行うボスニア紛争の
ようなことができる。このためボスニアと同様に米国国民の犠牲は
少ない。

米国から挑戦状を受け取る中国は、ロシアと反米同盟を組むしかな
い。ロシアも中国に大量の武器を売りたいために、反米同盟を組む
はず。そして、米国を二正面作戦に追いやるために、中東で大きな
紛争を起こすことになる。これがシリアのビスボラとイラクゲリラ
を使ったイスラエルへの攻撃だと思う。

米海軍、空軍は二手に割れる。中東と東アジアであるが、ロシアは
スイングが効く。シベリア鉄道で、兵員を中東でもアジアでも送る
ことが出来る。海軍輸送船の輸送力と比べると米国とは段ちに違い
優位になる。このロシアと中国を分離することが米国にできるので
あろうか。それなしに2020年頃に中国と対決をすると米国の方
が負ける危険性もある。もう1つ心配なのが中東での紛争拡大にな
れば、米陸軍がイラク・中東に張り付くことになるために、米国は
大きな出費が今後も必要になる。

もう1つの反米同盟のインドであるが、この国は民主化しているた
めに、経済的な結びつきが大きい米国と戦争するようなことはしな
いであろうが、基本的にはロシアと兵器体系を見ると同盟関係にあ
る。インドは戦争局外で国連などを通じて米国を苛め抜くように思
う。

日本は、米中熱戦になると、一番先に中国からの核ミサイルで全滅
させられる運命にある。このため、日本は基本的に親米で日米同盟
を遵守するが、米中熱戦にならないように米国と中国の仲介をする
必要がある国家である。米中冷戦で終わることを志向する必要があ
る。熱戦にならないように台湾独立を止めることも必要である。

このためにも、日本は中国とも友好関係を持ちながら、民主化を中
国が実現して、軍備増強ではなく地域の貢献を中心に考える国家に
なることを要求することだと思う。そうしないと、どう考えても米
中熱戦になってしまう。日本のバカな国粋主義者達は米中対決を喜
んでいるが、日本がもっとも地政学的に危険になるという視点を忘
れている。

2020年には中国は、日本以上の大国として、米国と実力を2分
している可能性が高いと米国CIAは見ている。

そして、米国との同盟を元に中国の脅威から自国生き残りをどう図
るかの検討をする必要がある。米国が最後まで日本を助けるかどう
かわからないということと、米国が将来覇権国家ではなくなるとい
う視点を持つことが、この検討には必要である。

日本の為政者と評論家が冷めた目でこの局面を見る必要がある。こ
の局面で、サンケイの古森さんを始めとした親米派もハシャギ過ぎ
のような気がする。どうして自国が危険になることを喜ぶのが不思
議な気がする。
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中印台頭、アジアの世紀に 日本は選択に直面と米報告

 【ワシントン14日共同】米中央情報局(CIA)などで組織す
る国家情報会議(NIC)は13日、2020年の世界情勢を予測
した報告書を発表。「世界の新たな主要プレーヤー」として中国と
インドが台頭することにより、21世紀は両国に率いられた「アジ
アの世紀」になり、「日本は中国に対抗するか、追随するかの選択
を迫られる」と指摘した。
 アジア地域の火種である朝鮮半島、台湾海峡のいずれの情勢も
15年以内に「重大な局面が訪れる」と予測。これをどう解決する
かによって、アジアにおける米国の将来の役割、日本の地位が規定
されると強調した。
 報告書は20年の時点でも「米国があらゆる次元の力を持つ最も
重要な国家であり続ける」として米国中心の構造は維持されるとし
ながら、中国とインドの台頭は19世紀のドイツ、20世紀の米国
に匹敵し、地政学上「劇的なインパクト」を与えると指摘。両国の
台頭に伴う摩擦をいかに抑えるかが世界安定化の鍵になるとの見解
を示した。
(共同通信) - 1月14日16時17分更新
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『パウエル、米軍が今年イラクから撤退を開始することを確信』
http://www.abc.es/abc/pg050114/prensa/noticias/Internacional/Oriente_Medio/200501/14/NAC-INT-040.asp

アルフォンソ・アルマダ  ニューヨーク特派員

イラクの新しい治安部隊の能力に対してと同じく選挙が平和裏に行
われる可能性に信頼を置きながら、米国国務長官コリン・パウエル
はナショナル・パブリック・ラジオの放送で、イラクの米国軍は遅
くとも今年中には撤退を開始するだろう、と語った。ただ「全員が
いつ家に帰ることができるか、の日程までは示すことはできないが
。」コンドリーサ・ライスに米国外交を引き継ぐ寸前のパウエルは
、このように付け加えた。このプロセスはゆっくりしたものである
ことを示唆しながらも、イラクの新たな政治形態と軍隊−これは大
部分米軍によって訓練されたものだが−がこの国の治安の任務にあ
たることへの期待を表した。
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[アラブの声]駐留米軍は選挙後に「加熱」地域から脱出 イラク人
政治学者

12日付のバスラ・ネットは学術研究機関「知恵の館」館長で、雑
誌「政治研究」の編集長、カイス・ムハンマド・ヌーリー博士の投
稿を掲載した。

 今回アメリカは大っぴらに撤退を語りだした。当初(米国の)研
究機関の研究者たちは、イラク駐留の米軍規模と高額な戦費の見直
しの必要性を確認すると共に、可能な選択肢を論じている。

 その後、メディアは大っぴらに、「イラクで米軍の引き離しが可
能か?(ニューズ・ウィーク1月10日)」と書くまでになった。
同紙によると、このような後退姿勢の原因は、議論の余地無く、米
軍の悲惨な人的損失である。

 一部のアラブや欧州各紙も「米国は何をすべきか困惑している」
と分析するが、果たして本当に困惑しているのか?先ず間違い無く
米国は次に打つ手を分かっている。しかし問題はその方法なのだ。
特に中東の主要勢力としてのイラクを破壊すると言う米国とシオニ
ストの本来の戦略目標に関しては、方法が問題だ。

兵力切り離し問題に向けて、米国は次のように行動すると思われる。
1)彼らの考えでは「兵力引き離し」は、イラクの特定「加熱」地
  域から脱出を図ることだ。
2)これは、結果や信憑性がどうであれ選挙の茶番劇が終われば、
  イラクの南部や北部地域を含む安全と彼らが見なす場所への撤
  退を意味する。
3)このシナリオは、人種的、宗派的なイラクの軍事力による事実
  上の分割を米国に実現させてくれる。キッシンジャーは最新の
  コメントで率直にこのことを述べている。
4)キルクークを含む、南部と北部地域の油田を支配し、より安全
  と考えられる環境で採掘する。
5)とりわけ新編成米軍には、南はクウェートに駐留する米軍が、
  北は(親米の)クルド人のペシュメルガ民兵組織が控えている
  という理由により、米軍はこの新配備で兵力規模の縮小を実現
  できる。
6)最近とみに耳にする「内戦勃発」防止のための措置と言う口実
  を米国は使える。
 
 だがイラク抵抗勢力はイラク全土の解放を目指しており、米軍に
安全な場所など無い。米国は真の泥沼に嵌っており、完全撤退以外
には道は残されていない。
http://www.albasrah.net/maqalat_mukhtara/arabic/0105/nori_110105.htm
****
米軍は基地に退いてイラク人同士を戦わせたいのであろうが、兵站
やパイプラインの安全確保や大都市防衛に苦しむだろう。

アラブの声ML 齊藤力二朗
http://groups.yahoo.co.jp/group/voiceofarab/
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成17年(2005年)1月14日(金曜日)
通巻 第1012号     

ロシア、密かにSA18ミサイルをシリアへ売却か
ヒズボラからヨルダン川西岸のテロリストへ渡ると航空機テロの懼れ

 石油、ガス以外の売り物と言えば武器しかないのがロシアだ。

 イスラエルの新聞「ハーレツ」(1月13日付け)に拠ると、ア
ッサド(シリア)大統領が近くモスクワを訪問するが、これにあわ
せて、総額10億ドルの「商談」がまとまるという。
その買い付け品目にはSA18ミサイルが含まれる、と伝えている。

 SA18(NATOのコードネーム)は、射程5・3キロ。およ
そ3500メートル上空までの航空機を撃墜できる、携帯ミサイル
(米国のスティンガーに酷似)だ。
シリアは「イスカンダル」と命名し、中東では、このミサイルを「
イグラ」と呼ぶ。

 もしこれがシリアへ輸出され、イランが胴元の過激派「ヒズボラ
」を経由してヨルダン河西岸にいまも蟠踞する、パレスチナの過激
テロリストに渡れば、目と鼻の先にあるベングリオン空港への離着
陸機へむけて、ミサイル攻撃が可能となる。
 
 パレスチナは独裁者アラファトが死に、ようやくアッバース前首
相が自治政府の代表となった。アッバースは穏健派にしてタフなネ
ゴシエーター。
じつはキャンプ・ディビッドのイスラエルとの和平交渉、オスロ合
意への実質的な立て役者なのだ。
 それを嫉妬したアラファトは手柄を独占し、アッバースと共有す
るはずのノーベル平和賞を独占した(イスラエルはラビンとペレス
が共有した)。そればかりか世界中から集金した数十億ドルのカネ
をスイス銀行などに隠匿し、ついには臨終にあたっても夫人にもア
ッバースにも遺言を残さなかった。

 米国はイスラエルとともにプーチン大統領に静かに輸出自粛を要
請し、噂の流れたモスクワではセルゲイ・イワノフ国防相が緊急記
者会見し、「そのようなシリアとの商談は存在しない」と真っ向か
ら否定した。

 シリアは嘗て旧ソ連のテロリスト植民地然として、カルロス、日
本赤軍、PFLPなど、凶暴テロリストの巣窟だった。
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米兵、2度目のイラク出動拒否 反戦を主張 
2005.01.14
Web posted at: 16:09 JST 
- AP
http://cnn.co.jp/usa/CNN200501140006.html
米ジョージア州サバンナ(AP) イラクへ派遣され、いったん帰
国した米陸軍の技術兵が、再び同国での任務を命じられたのに対し
て「良心的兵役拒否」を申請した。戦場を目の当たりにして、反戦
の意思を固めたという。良心的拒否の手続きには時間がかかるため
、その間に無許可離隊者として軍法会議にかけられる可能性もある。 

ケビン・ベンダーマン3等軍曹(40)は03年3月から6カ月間
、第4歩兵師団の一員としてイラクに駐留し、バグダッド侵攻など
に参加した。その後、ジョージア州フォート・スチュアート基地の
第3歩兵師団に配置換えとなったが、所属部隊が14日からイラク
へ派遣されることに。同軍曹は「戦場がどんなにひどいものか、見
た者でなければ分からない。私はもうあの場所には戻れない」とし
て、これを拒否した。 

同軍曹は、「戦争で無差別に人を攻撃するのは、暴力の極限だ」と
主張。良心的兵役拒否者としての扱いを求め、1週間前に手続きを
開始した。 

だが良心的兵役拒否者の認定を受けるためには、カウンセラーらと
面会を重ね、膨大な量の書類を書いて上官らの承認を得るなどして
、反戦の意思を立証する必要がある。フォート・スチュワート基地
の報道官によると、同軍曹は認定前に出動命令を拒否したため、無
許可離隊とみなされる。陸軍当局は、同軍曹を軍法会議にかけるか
どうかを検討中だという。 

フォート・スチュワート基地では昨年5月、イラクから一時帰国し
たまま任務に戻らなかったフロリダ州兵が軍法会議にかけられ、禁
固1年の判決を受けている。
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2005年01月14日(金) 
日米共通戦略、中国の軍事力抑制盛る 台湾有事念頭に
http://news.goo.ne.jp/news/asahi/seiji/20050114/K2005011303740.html
 日米両政府は、中国の近年の軍事力増強に対応するため、外交面
も含めて中国に働きかけることを両国共通の安全保障戦略に盛り込
む検討に入った。現時点では「軍事的脅威」とは位置づけないもの
の、将来的にはそうなる可能性もあるとみて、今後の軍事力の増強
や敵対的戦略に傾くことを思いとどまらせる考えだ。在日米軍の再
編・再配置に関する協議では、こうした考え方に基づいて調整が進
められており、最終的には、国際的なテロへの対応などと並んで、
再編の基本的理念の一つに据えられる見通しだ。

 今月20日に2期目のブッシュ米政権がスタートするのを待って
、両国の外交・防衛担当閣僚による「2プラス2」(日米安全保障
協議委員会)を開き、「共通戦略目標」として発表する。2月開催
を目指しているが、3月以降にずれ込む可能性もある。

 審議官級の戦略協議(DPRI)は、同時多発テロを受けて03
年から始まったが、米側は当初から中国の軍事力の問題を持ち出し
たという。

 昨年11月、論点を整理し(1)共通の安全保障戦略の目標設定
(2)米軍と自衛隊の役割・任務の分担(3)個別の再編案――に
絞り込んだ。戦略目標については、米側から「たたき台の文書」(
米政府高官)が示され、現在「2プラス2」の共同発表文にどこま
で書き込むかをめぐって調整している。

 これまでの協議を通じ、対中関係をどう構築するかが「21世紀
のアジア太平洋地域における外交・安全保障上の最大の課題」との
共通認識に達した。さらに、(1)中国が国際社会と協調的な形で
経済発展を持続させ、経済や政治、安全保障の分野で建設的な役割
を果たすよう促す(2)中国を不安定要因としてではなく、地域と
世界の共通利益を深く共有する存在に導く――ことでも一致したと
いう。

 その一方で米側は、中国の軍事力増強に強い懸念を抱いており、
協議でも具体的な兵器システムに言及して、米軍の作戦行動に与え
る影響を説明したという。

 米側は現時点では中国を「軍事的脅威」とはみなさないものの、
増強が続けばそうなる恐れもあるとみて、外交的手段も含めて政策
変更を求める考えだ。

 冷戦時代の基本戦略だった、軍事的脅しで紛争を防止する「抑止
」とは異なり、「思いとどまらせ(ディスエージョン)」と言われ
る新しい手法だ。

 具体的には、米中間の軍事紛争に発展する可能性もあると見られ
ている台湾海峡危機を念頭に、空海軍力の増強をやめるよう働きか
ける。

 11月の協議で米側は「中台紛争で他国の介入を阻止できるほど
の戦力を持つことを、中国に思いとどまらせることが重要」「西太
平洋で米軍の能力を高め、その手段として使う」などと説明した。

 日本政府は、中国を軍事的脅威とみなしているととられるような
政策や言動を極力避けてきた。かえって地域を不安定にすると考え
ているためだ。日米が軍事面で協力することができる「周辺事態」
に台湾海峡危機が含まれるかどうかについても、一貫して明言して
いない。

 しかし、中国の軍事力増強は一向に止まらないため、日本政府と
しても過度に刺激することは避けながらも、基本的立場をある程度
明確にする必要があると判断するに至った。昨年末に決めた新しい
防衛計画の大綱では初めて中国を名指しし、軍事力の近代化や海洋
での活動範囲の拡大に「今後も注目していく必要がある」と指摘し
た。今回の米国との共通戦略目標も、こうした流れの中にある。

 〈ディスエージョン戦略〉 潜在的敵国に対し、敵対的政策や軍
事力増強に走らないようしむける政策手法。米国が同時多発テロ直
後に発表した、4年ごとの防衛政策の見直し(QDR)で初めて打
ち出した。抑止戦略がすでに決定的な敵対関係にある国に軍事的手
段で対抗するのに対し、この戦略の対象は、将来敵になる可能性の
ある国。手段も軍事に限らず、外交も含む幅広いものが想定されて
いる。ただし、その具体的な中身の詳細はまだ明確に規定されてい
ない。
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在韓米軍、半島外に派遣も 台湾有事にらみ米国防総省

 【ワシントン14日共同】米国防総省は中国の軍事力増強などに
対処するため、台湾有事などで朝鮮半島外に派遣することを想定し
た緊急展開部隊を在韓米軍に配置したり、米本土部隊を短期駐留さ
せるなどして抑止力を強化する方針を固めた。国防総省筋が十四日
までに明らかにした。
 米側は米韓同盟関係の再構築に向け、二月三日から韓国側と本格
協議し、この方針を正式に提示する。米軍の東アジア戦略の一環で
、日米間の在日米軍再編や戦略協議とも連動しそうだ。
 米韓両政府は在韓米軍一万二千五百人削減で合意したが、アジア
で米軍のプレゼンス(存在)を低下させないとの方針が底流にある
。
 一方で米政府は中国との軍事・外交の戦略対話も積極的に推進、
対中政策では硬軟両面を使い分ける方針。二月上旬にローレス国防
副次官(東アジア・太平洋担当)が訪中し、防衛協力をめぐり意見
交換する。
 米韓協議はソウルで行われ、米側はローレス副次官、韓国側は安
光(アン・グァンチャン)・国防省政策室長らが出席する。米国防
総省当局者によると、協議では韓国防衛が在韓米軍の主目的である
ことを確認した上で、朝鮮半島外の米軍出動について話し合う。緊
急展開部隊は陸軍や海兵隊などで構成する案があり、米本土部隊は
演習目的で一カ月―半年間駐留させるという。
 また米側は日米安全保障条約や日米安保共同宣言(一九九六年)
をたたき台にした新たな同盟関係を模索、日米安保条約における在
日米軍の配置や装備で重要な変更があった場合の「事前協議」と同
様の制度を韓国側と確立したい意向だ。
20050114 1744
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アジアの米軍を再定義 中国を刺激、調整難航か

 【ワシントン14日共同】在韓米軍の朝鮮半島外の活動に向けた
米国防総省の新方針は、アジアでの中長期的な米軍駐留を確立、「
韓国での米軍の存在意義を新たに定義づける」(米韓関係筋)こと
で、米韓を「日米同盟」に匹敵する同盟関係に高める狙いがある。
 韓国政府は在韓米軍の長期駐留に異論はないものの、こうした「
新定義」が中国側を刺激することを強く恐れており、調整は難航し
そうだ。
 米側は以前から在韓米軍を韓国防衛に限定するだけでなく、東ア
ジア全体の有事に対処する「地域軍」に変革したいとの構想があり
、韓国側も基本合意していた。米国防総省筋も「米軍は地域に関係
なく、世界規模で展開するとの基本戦略に沿ったもの」と強調する
。
 しかし、東アジアに駐留する米軍が台湾有事を優先課題に置いて
いるのは明らかで、韓国側も北朝鮮の核問題のほか、中国と国境を
接している中国に近いというという地政学的観点から、神経を使わ
ざるを得ない事情もある。
 東アジアでの米軍戦略にどうかかわっていくのか、韓国のみなら
ず日本も含め「同盟国」には明確な戦略が求められる。
20050114 1919
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米06会計年度の国防予算 ミサイル防衛関連削減へ イラク戦な
ど戦費かさみ

 【ワシントン=近藤豊和】ブッシュ米政権が北朝鮮の弾道ミサイ
ルなどへの対処で優先的に推進してきたミサイル防衛(MD)の関
連予算が、来月七日に示される二〇〇六会計年度の国防予算の中で
減額される公算が大きくなっている。
 米政府の史上最高の財政赤字が続く中、イラクやアフガニスタン
での戦闘で、将来に向けたハイテク兵器の開発よりも直近の戦費調
達が必要となってきていることが主要因だが、一連の米軍のトラン
スフォーメーション(変革・再編)にも影響が及びそうだ。
 ブッシュ政権は二〇〇一年の政権発足時から、MDシステムの開
発を強力に進め、昨年末までの実戦配備を目指してきた。しかし、
昨年十二月に行った地上発射型迎撃ミサイルの実験は、敵弾道ミサ
イルに激突して破壊する迎撃体(キル・ビークル)とミサイルの推
進装置のブースター部分を一体化した形で行った初めてのケースだ
ったが、ミサイル自体が発射されず、実験は失敗。これらの影響で
、昨年末までの予定だった完全な実戦配備は事実上延期された状態
になっている。
 こうした厳しい環境の中、米国防総省関係筋によると、〇六会計
年度からの六年間で、MD関連予算は総額五十億ドルが減額される
見通しとなった。
 前年度の〇五会計年度では、MD関連予算は、ミサイル防衛庁取
り扱い分の予算が、約九十二億ドルに上り、前々年度より約十五億
ドルも増加。全体の国防予算が7%増となった中でも、MD関連予
算は最大規模の増加幅となっていた。
 MD関連予算が〇六会計年度から一転して減額される見通しとな
った背景には、イラクやアフガニスタンでの戦闘長期化によって戦
費が想定以上にかさんでいることがあり、米政府は、これまでの戦
費以外に〇六会計年度にはさらに八百億−千億ドルの追加戦費を国
防予算とは別に追加計上する必要があると指摘されている。
 同関係筋によると、今後六年間の国防予算全体の規模は、〇六会
計年度だけは前年度を上回るものの、その後は、海軍、空軍の先端
兵器などを中心に総額五百五十億ドルが減額される見通しだ。
 一方で陸軍や海兵隊など地上部隊の関連予算は、総額二百五十億
ドル増加する見込みになっている。
 こうした予算配分は、二〇〇一年の米中枢同時テロ以降、大幅な
増額の一途をたどった米国防予算の規模が今後は縮小傾向に向かう
とともに、ラムズフェルド国防長官が推進する先端兵器の優先利用
によるトランスフォーメーションにも予算的に一定の抑制がかかる
ことを示している。
     ◇
 ミサイル防衛(MD) 飛来してくる敵の弾道ミサイルをレーダ
ー網で探知し、地上や海上から発射した迎撃ミサイルで撃ち落とす
システム。ブッシュ米大統領は2002年12月、米本土を守るた
め04年からの初期配備を表明、同盟国にも参加を呼びかけた。
日本政府は平成15年12月にMD導入を閣議決定した。
(産経新聞) - 1月15日2時58分更新
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「東アジア共同体」の危険な夢追い   
   
 安保観が欠如、疑問だらけの構想/日米同盟と中共体制の共同不可能
外交評論家 井上 茂信
共産主義中国と価値観の相違

 「東アジア共同体」づくりが政策課題として活発に語られるようになった。その第一歩
 として、「東アジア首脳会議」を今年、クアラルンプールで開催することも決まった。
 だが、共同体が経済提携だけでなく政治や安全保障をも含む統合体を意味するものであ
 るなら、日本の参加には疑問が多い。

 伝えられるような米国を排除した共同体であるなら日米安保体制を柱としている日本の
 安全保障はどうなるのか、とくに核軍備を進める北朝鮮の脅威をどのようにして抑止す
 るというのか。さらに原子力潜水艦による領海侵犯や、わが国の領海近くで海底油田を
 開発するなどの挑発的行為を繰り返している中国と、日本は共存できるのか。やがてわ
 が国は軍事大国への道を進む中国の勢力下に呑み込まれるのではないか。自由と人権そ
 して民主主義を価値基準とするわが国が、価値観の相違を超えて経済利益だけで共同体
 に参加することの是非などの疑問だ。

 「東アジア共同体」は一昨年十二月の東京での日・ASEAN(東南アジア諸国連合)
 特別首脳会議での「東京宣言」で、その構築が提唱された。構想の中身は日本、中国、
 韓国と東南アジア諸国連合が中核となって経済、金融、政治、安全保障などで連携しよ
 うというものだ。

 確かに「東アジア共同体」には一定のメリットと必然性がある。欧州連合(EU)を中
 心とする欧州統合の拡大と深化や、南北米大陸での米州自由貿易圏(FTAA)による
 地域経済統合など地域協力が新しい歴史の流れとなっている。「東アジア共同体」形成
 による域内の経済連携は国と国との障壁を低くすることで、東アジア地域の経済発展に
 つながるだろう。また、経済統合は、日本の構造改革をも促し、日本の国際競争力を強
 めるのに役立とう。

日本の安全の根幹を揺るがす

 「東アジア共同体」構想の歴史的な意義として、域内諸国の歴史的背景の違いを超えて、
 共通のアイデンティティーを確立し、対話と社会経済的協力を通じて新しい安全保障体
 制に向かう、との期待も語られている。だが、夢のような話だ。情緒的なアジア志向と
 も考えられ、あまりにも楽観的すぎる。最大の問題は日本の安全保障の根幹を揺るがし
 かねないことだ。

 同構想の背景として、従来の「米国追随」という日本外交のイメージを払拭し、「自主
 外交」の名のもとに、いわゆる「日米中等距離外交論」を唱える「チャイナ・スクール」
 の影響が考えられる。加藤紘一元自民党幹事長をはじめとする一部の論者だ。また「戦
 略的保守主義」を唱える一部の論者は米国に偏重した外交姿勢を改めて中国に近づくこ
 とによって、日本は米国には「中国カード」を、中国には「米国カード」を切り得る体
 制になることで国益を推進できると考えている。甘すぎる発想だ。自由と民主主義とい
 う基本的な価値観を共有する米国と、共産主義の一党独裁を続ける中国との関係を等距
 離に置くという発想は、日本の「国のあり方」を考えない全くの「思想音痴」と言わざ
 るを得ない。

 また現実の日中関係と「東アジア共同体」構想との間にはあまりにもギャップがありす
 ぎる。昨年末政府が決定した新たな防衛計画の大綱は、軍事大国化への道を進む中国に
 ついて「核・ミサイル戦力や海・空軍力の近代化を推進するとともに、“海洋”におけ
 る活動範囲の拡大などを図っている」と指摘し、中国が脅威であることを初めて明記し
 た。

 日中関係については、尖閣諸島の領有権主張や、昨年十一月の中国原子力潜水艦の領海
 侵犯事件、日本の領海近くの東シナ海のガス田開発など中国の挑発的な対日姿勢が続い
 ている。だからこそ新防衛大綱は中国の脅威に対する警戒の必要性を明確に打ち出し、
 中国への抑止力として東シナ海や南西諸島に展開する自衛隊の機動力向上と装備の強化
 を図ることが決定された。

 中国は一九八九年の天安門事件以来「愛国主義教育」を行い、共産党政権に対する国民
 の不満収拾に反日ナショナリズムを利用してきた。また政治を銃口に依拠する毛沢東以
 来の伝統に基づいて、中国は海洋と宇宙の支配を目指し、覇権拡大を狙う軍事戦略を展
 開している。従来は対馬海峡から東シナ海、台湾海峡、南シナ海に至る地域を海上防衛
 の範囲としていたが、これをサイパン、グアムを含む東太平洋地域に広げようとしてい
 る。中国原潜がグアム周辺で活動を活発化させているのもこのためとみてよい。米国を
 将来の敵とみなし、グアム島への軍事集積を増やしている米軍に対応するための動きだ。

 中国が「東アジア共同体」構想に参加する狙いとして、東南アジアを舞台に資源外交を
 展開し、さらに政治的影響力を拡大して東アジアから米国を排除するのが狙いと見られ
 る。中国は二〇二〇年まで毎年7−8%程度の実質経済成長を目標に掲げており、その
 達成には資源確保が必要だ。石油・石炭にとどまらず穀物なども必要で、そのために東
 南アジア諸国を含めた第三地帯との友好関係を必要としている。

中国基軸を強め米の孤立狙う

 次に戦略的な狙いだ。中国はかねてから米国の“一極支配”と“覇権行為”を非難して
 いる。それに対抗するため東アジアで中国を基軸とした地域統合の形成を狙っている。
 その基軸が「東アジア共同体」構想とみてよい。その点で忘れてならないのは、中国の
 「三つの世界論」である。

 この理論は故”小平氏が一九七四年に明らかにしたもので、中国以外の世界を当面の敵
 である第一世界(米ソ)、将来の敵である第二世界(日本、西欧)と自らを仲間とする
 第三世界(発展途上国)に分ける。まず米ソ対立を利用して米国の力でソ連を倒し、次
 いで第二世界と米国とを対立させる。さらに第三世界を北京の世界革命の拠点として米
 国を孤立させるというものだ。この戦略が生きているとみてよい。

 軍事力を拡大し、人権侵害を続ける全体主義国家の中国を米国は自国の安全への脅威と
 みなしている。そして現在進められている米軍の再編は、国際テロ対策とともに将来の
 敵とみなされる中国の脅威に対応するものとみてよい。ポスト冷戦の新しい脅威に対応
 するため、日米安保体制の近代化を米国が求めている。そのような時に、かつて指導者
 が「日本という国は五十年後になくなっている」と言った中国との統合へと向かいかね
 ない「東アジア共同体」構想は国際政治の現実を無視した全くのちぐはぐな動きだ。親
 米派と「チャイナ・スクール」の対立による国内分裂を示すものかも知れない。世界日
 報 掲載許可
       Kenzo Yamaoka
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大津波災害救助活動の多重構造   
   
 国際連帯も思惑絡む偽善の幻影か/美談仕立て報道と複合視点の交錯
北欧文化協会理事長 武田 龍夫
各国の国益の絡んだ援助競争

 スマトラ沖津波大災害はその未曾有の規模と被災国多数の理由から国際救援もまた大規
 模なものとなり、五十カ国前後による国際社会の寄金、救援活動が実施され、国連、赤
 十字、NGOに加えて首脳会議によるパリ・クラブの債務減免も検討される。国際的連
 帯精神による人道的活動である―と言うのはその通りである。

 しかし同時にそれが有する多面性も指摘しておかねばなるまい。まず日本の対応が迅速
 であったことは評価される。「早い援助は二倍感謝される」と言われるように、かかる
 場合迅速な援助表明と活動開始は被災側から深い感謝を受けるものである。しかし今回
 のあたかも援助競争であるかの如き各国の救援にはもちろん政治的な思惑がある。

 米国が直ちにコア・グループ構想を提言(のち撤回)したのもイラク派兵国グループに
 よる主導権を意図したからであり、ドイツが最大の救援額を宣言したのも安保理入りの
 実績づくりの動機がちらつき、オーストラリアの巨額援助表明も近隣大国インドネシア
 への配慮が背景にあるし、タイの無償資金辞退も、インドの援助辞退と、同じ被災隣国
 スリランカに対する二国間援助にもそれなりの理由がある。

 日本の積極性にも米国との協力とともに自衛隊の実績への国際的認知、そして中国を意
 識した計算が共在する。他方、被災国の国民間でもその感情の程度と純粋度の差がある。
 また米国にはイスラム大国インドネシアを通したイラクをめぐる国際世論対策の企図も
 ある。

 さらに災害の一側面には富裕な西欧各国の観光客たちと、これに依存する現地周辺住民
 たちの貧困の構図もある。それに救援される側にも幾つもの問題がある。例えば救援物
 資の機能的な輸送、配給がすでにして困難―。またスマトラのアチェ分離独立の問題が
 あり、スリランカではタミールの反政府武力闘争問題があり、インドでは漁民カースト
 の難問がある。これに幼児売買の悪習が重なるのである。そしてソマリアは全く無視さ
 れている。

本物の美談は痛みを伴うもの

 他方、われわれは災害、犠牲のみには耐えられない。故に大小の「美談の出発」となる。
 例えば、ヨン様はじめ各界有名人の寄金が美談仕立てで報道されているが、しかし、そ
 れは彼らの所得、収入の何百分の一であろう。故にそれは豪華ホテルで十万円の食事を
 楽しむ人が、ホテル前の路上で空腹を抱えてボロ布にくるまりベンチで夜を過ごす老ホ
 ームレスに与える慈善金との対比ともなる。それを、それはそれこれはこれ―と言うわ
 けにはゆかぬ。ヨン様の自己宣伝効果を思えば本人の意思とは無関係に偽善とならざる
 を得ないのだ。

 だから、「右の手のなすところを左の手に知らすな」と聖書は説くのである。同じこと
 は、大富豪や大企業、大商社にも言える。従ってかかる大災害には彼らに一定率の義援
 金を義務づけたらどうであろうか? 同じ意味で石油価格の高含みで巨利を得ている湾
 岸産油国の専制王族たちの国際世論に突き上げられた「ザカート」援用の遅すぎた寄金
 の宣伝はより明白な偽善だ。

 その意味で関西地震で匿名の巨額寄金をした人は文字通りの人道家なのである。美談と
 善行は伴う痛みに比例するのである。そして私も貴方(女)も応分の寄金をした。それ
 はヨン様の善行と本質において同じものである。だがそれは貧者の一灯であり無名の善
 行であるが故に人間性の限界を許容されるとともに人道的隣人愛を証明されるのである。

分け隔てある国際協力の限界

 なお災害救援で日本政府は「アジアの中の日本として」と述べたが、かかる救援は南米
 でもアフリカでも世界のどこであっても地域差はあってならないものである。それが真
 の国際的連帯感というものである。

 同時に重大な関連問題だが、国際機関や他国の援助を受けながら自国民何百万人を餓死
 させ、あるいは弾圧して平然たる独裁国家の惨状を国際社会は自国に関係ないとしてわ
 れ関せずの態度のままでよいのか―という疑問がある。しかも遠隔地域諸国の中にはこ
 れに経済援助や兵器輸出まで実施している国々が存在する。そして国連はこれに全く無
 力である。これまでの北朝鮮、チベット、スーダン、イスラエル・パレスチナその他の
 現実を考えられたい。

 これが政治、経済、民族、宗教などを含む国家の原罪性というものである。とすれば今
 度の巨大津波災害で実現した国際的連帯感もまた大いなる偽善の幻影とも言えるのでは
 ないか? かくて以上から引き出される結論は「文明(社会)とは偽善である」という
 事実の再確認であろうか? いずれにせよわれわれは今度の大災害と国際協力から国際
 社会とは何か?を改めて考える機会ともすべきではないのか。世界日報 掲載許可
      Kenzo Yamaoka


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