1860.戦争の時代が到来



2005年は日本外交が大変なことになる。東アジアで戦争の起き
る可能性がだんだん高くなっている。     Fより

北朝鮮との戦争になることが確定した。敵は核を持っているために
、米国と日本が中国に戦争しても干渉しないか、自勢力圏というな
ら、早くクーデターを起こして金正日委員長を失脚させろと要求す
るべきである。

もう日本の拉致被害者家族が我慢の限界に来ているために、北朝鮮
に経済制裁をするが、一度制裁をすると北朝鮮は反発するために、
どんどん強い制裁に移行する事になるはず。このため、核戦争を想
定する必要が出てきている。

この制裁で、世界的に日本の指導者の胆力も試されている。ここで
は悪に立ち向かわないと、今後の日本は米国にも愛想をつかされる
ために、どうしても制裁をする方向で引けない。米国ネオコン政権
担当者も北朝鮮・中国にいい加減、頭に来ているから、米国は日本
の要請である核弾頭を100本以上売ってくれると思う。というよ
り、ネオコンの思う壺である。イラク戦争から世界の目を東アジア
に移動できる。東アジアで戦争になれば、選挙後の時期を狙って、
イラクから米軍の撤退ができる。

しかし、韓国は反対でしょうね。このように2005年初めから、
きな臭くなってきた。

しかし、これだけでは終わらない。次は中国との核戦争を想定する
必要がある。台湾が独立宣言を出すと、中国が戦争に突入して、米
国の台湾関係法で自動的に台湾防衛をする可能性がある。米国と中
国にホットラインはあるが、米中戦争では核ミサイルが米軍司令部
がある日本に飛んでくる。ここでも、日本は防衛的に核攻撃ができ
るように準備する必要がある。しかし、中国との核戦争になれば、
日本人の滅亡でしょうね。このように考えるとまずいことが分かる
と思う。

このようなシュミレーションをしない国粋主義者が日本の政治に大
きな力を持っている。このことが、どんなに日本を危険に晒してい
るかが分かるはずである。

特に****のように自分は外国に居て、自分には危険がないため
に中国に対する過激な意見を言っているが、日本にとっては危険す
ぎる。このような在外日本人で亡国の評論家をのさばらしてはいけ
ないと思う。勿論、****の左翼非難や日本人よしっかりしろと
いう意見は当たっているし、同感である。

このように左翼非難は良かったが、現実外交などの国際関係では、
軍事的な側面を見ないで中国に戦争を仕掛けるような意見を言う評
論家が多すぎる。このような評論家の外交関係の評論は、日本を危
険にしている。また、米国の攻撃的なリアリストやネオコンの動向
を全然見ていないために、対米外交上も非常にまずい。

どちらにしても、中国と核戦争をしないような関係を構築して、台
湾が独立宣言しても、日本は関係がないという状態を作る必要があ
る。中国の核ミサイルで台湾人全員だけが死亡するような仕組みを
作る必要である。このためには消極的な意味でも日中の友好関係を
築くしかない。現状ではミサイル防御ができないために、近傍にあ
る多量の核保有国とケンカはできないという国際関係を理解しない
国粋主義者が多すぎる。

米国の威信が大幅に低下して、とうとう世界は覇権争奪の戦国の時
代になって、覇権が確立している平和の時代のようなケンカを簡単
に出来ない時代になった。このことを、日本人は肝に銘じることが
必要であろう。今後は直ぐに戦争に訴える米国と同様な行動を取る
権利をすべての国が持っていることになる。国連は形だけで、米国
が無視するために、その力はほとんどなくなった。国連はEU配下
の国際組織に成り下がった感がある。このため、世界正義などとい
う言葉も無くなったと思うしかない。自分の力・智恵しか頼れるも
のはなくなった時代である。正に戦国時代である。

経済の勝つより戦争でどう勝つかが重要になっている。このため、
戦争・戦略技術を早急に日本も磨く必要があるのです。

このような戦国時代第1幕目として、米英日豪シーパワー対中ロと
インドの反米同盟の構図ができている。しかし、日本は中国とは戦
争が出来ない。現時点で核戦争になることはしてはいけない。そし
て、米国の力はどんどん下がることも確か。このため、日本は当面
全方位に友好的な外交をする必要があるのです。日本の生き残りの
ためにです。

そして、攻撃的な軍備を早急に整備して、米国が力をなくなっても
、アジアのリーダとして中国と核ミサイルで戦える体制にすること
です。それができてから中国とケンカするべきだ。

世界的にはロシア対EUという戦いもあるし、通貨ではEU対米英
という戦いもある。というように世界の敵味方が輻輳している。
このため、全体状況が見えなくて、各種戦争が起き易い状態になっ
ている。

そして同時に自然現象も騒がしくなってきた。地震や津波などが、
どんどん起きる時代になった。ハルマゲドンの時代の真ん中に世界
は居るようだ。ノストラダムスの予言によると、米国ではない別者
の時代が到来する直前である。
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3つの外交課題に臨む小泉政権   
   
 日朝・日ロ・国連、いずれも難関/国益を踏まえた自主外交の推進を
経済評論家 鳴澤 宏英
外交に首相の花道求める公算

 一国の最高指導者たちの究極の願いは、歴史にその名を刻むことであろう。二期目を迎
 えるブッシュ米大統領もむろん例外であるまい。過去四年間の誤算と失敗に学んで、世
 界の平和と民主主義を守り抜くのに貢献した世界のリーダーとしてその名を残し、有終
 の美を飾ることを目指したいところだと思う。

 翻って、わが国でも小泉政権に残された任期は一年九カ月、この間に内外の懸案解決へ
 の道筋をつけた上で、退陣の花道とすることを願っているであろう。内政面では、郵政
 民営化と三位一体の改革という残された課題、中身はともかく、せめて形だけでも一件
 落着させるだろうが、そもそも小泉改革なるものは、ほぼ例外なく、当初の掛け声とは
 うらはらに実体を伴わないものに終わり、竜頭蛇尾となる公算が大である。となると外
 交面で目にみえる成果を上げ、任期を全うすべく、全力投球するほかない。

 具体的には、@日朝国交正常化A北方領土問題の解決と日ロ平和条約の締結B国連改革
 と安保理常任理事国入りの達成―以上三つの課題である。いずれも多くのハードルをか
 かえ、成否について確たる見通しは立っていない。

 まず北朝鮮との拉致問題をめぐる交渉は、対話と圧力を表看板として進めてきたが、今
 や厚い壁に阻まれ先行きは全く不透明と言わざるを得ない。圧力とくに経済制裁の発動
 については、その効果とは別に、中国や韓国の立場、六カ国協議への配慮から、小泉首
 相の姿勢は必ずしも明確でない。これでは国交正常化への扉は閉ざされたまま、いたず
 らに時間を浪費し、時間切れとなる危険も排除できない。

常任理事国入りの絶好の機会

 第二の北方領土問題についても、プーチン・ロシア大統領は、強硬な国内世論もあって
 か、一九五六年の両国覚書を根拠に、二島返還で、問題の幕引きとする意図を明らかに
 している。わが国は、周知のごとく九三年の東京宣言にのっとり、あくまで四島返還を
 求める立場を堅持している。来年三月にはプーチン大統領の訪日も取り沙汰されている
 が、みるべき成果は期待すべくもない。噂に過ぎないが、戦後米国は日本の単独占領を
 堅持するため、北海道の占領を求める旧ソ連との間で、千島列島の全面領有を黙認する
 との密約を交わしたとも伝えられる。最悪の事態は、領土問題を棚上げしたままロシア
 側の求める経済協力がひとり歩きすることだ。いずれにせよ対ロ交渉は一筋縄ではいか
 ない。これまた時間切れ、次の首相にバトン・タッチとなる可能性を排除し得ない。

 難航必至の以上ふたつの課題に比べると、第三の国連改革、わが国の安保理常任理事国
 入りの展望はかなり明るいとみられる。追い風になっているのは米国はじめ欧州各国
 (英、仏、独等)の後押し、ならびにわが国の外交努力の成果もあり、支持を表明する
 アジア、アフリカ等の途上国の数が着実に増え、国連加盟百九十一カ国の三分の二を獲
 得するのも不可能ではないとみられる情勢だ。それに常任理事国入りの四候補国(日本、
 ドイツ、インド、ブラジル)の連携と協力体制にも期待がかけられる。

 半面乗り越えるべきハードルも高い。常任理事国(P5)のうち中国とロシアの姿勢は
 今のところはっきりしない。むしろ反対ないし消極的とみられる。韓国の立場も微妙だ。
 とりわけ拒否権を持つ中国、ロシアはことの成否の鍵を握っている。しかし国際世論の
 大勢がわが国の支持に傾けば、両国ともそれに従わざるを得ないであろう。

 来年は、わが国は安保理非常任理事国として、向こう二年間、自らを主張し得る絶好の
 立場を与えられる。この機会をフルに活用して、国際世論を味方につけるべく、わが国
 の活動実績と今後果たし得る役割について各国を説得するため外交努力を強化すべきで
 ある。なお憲法(とくに第九条)の改正は、必須の条件ではない。大島国連大使の指摘
 のとおり、軍事的協力も現行憲法の枠内で十分可能と考えてよいと思う。常任理事国入
 りという長年の課題を解決する絶好のそして最後の機会と言えるだろう。

米国追従から外交に主体性を

 この際肝心なのは、わが国外交の主体性と自主性を行動によって示すこと。これまでの
 向米一辺倒、ブッシュ政権との蜜月状態自体をあげつらうつもりはないが、海外の一部
 には、わが国の常任理事国入りは、米国の持ち票を二票にするだけ、―とのさめた見方
 が根強く残っているだけに、米国追従でなく、国益を踏まえて、米国と一線を画す行動
 を取ることもあってよい。

 ついでながらドイツについても、別の意味で一部に拒否反応がある。欧州連合(EU)
 は今や二十五カ国を擁するが、安保理の常任理事国が英仏に加え三カ国となるのは均衡
 を失するとの主張である。これも最終的には克服可能と考えてよい。

 問題の拒否権の保有は、むろん望ましいが、当初からそれにこだわるのは作戦として好
 ましくない。いずれ議論の場にのぼることを期待し当面静観すればよいと考える。
  (世界日報)掲載許可
       Kenzo Yamaoka
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政府、05年は見送る方針   
   
 自衛隊派遣の恒久法化
イラク見極め判断
 政府は三十日までに、自衛隊海外派遣の恒久法化を当面、見送る方針を固めた。武器使
 用をどこまで認めるかなどの課題を詰め切れていないのに加え、テロの危険がつきまと
 うイラクに自衛隊を派遣した結果などを見極める必要があると判断した。イラク派遣は
 二○○五年十二月まで延長したことから、法案提出は○六年の通常国会以降となる方向
 が強まっている。

 同法案は、イラク復興支援特別措置法など必要な事態が発生した際に、時限立法として
 特別法を制定するこれまでのやり方を改め、自衛隊を随時、海外に派遣できる枠組みを
 整備するもの。既存の国連平和維持活動(PKO)協力法も取り込み、幅広い国際協力
 の在り方を規定したい考えだ。

 自衛隊派遣に当たっては、原則として国会の事前承認を求めることは固まっているが、
 正当防衛・緊急避難などに限定している武器使用基準の緩和などの論議は詰まっていな
 い。

 さらに、イラクからの自衛隊撤退を求める世論は収まっておらず、憲法論争も必至なこ
 とから、政府は「議論を本格化させる政治状況にはない」と判断。イラク派遣中は、法
 案提出に向けた動きを控えることにした。

 自衛隊派遣恒久法については、福田康夫官房長官(当時)の私的諮問機関「国際平和協
 力懇談会」が○二年十二月にまとめた提言に盛り込まれ、内閣官房に検討チームを設置
 して法案化作業を続けている。(世界日報)掲載許可
       Kenzo Yamaoka
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『中国の脅威と新防衛大綱』   
   
  世界日報編集委員 黒木 正博  掲載許可
 
顕著な潜水艦の近代化/領海侵犯に迅速な自衛措置を
 今年一年の世相を漢字一文字で表す「今年の漢字」に、「災」が選ばれた。評論家の高
 瀬広居氏によれば、もともと「災」の火の部分は一で、水があふれ出る水害からきたも
 のだという。スマトラ島沖大地震によるインド洋大津波で数万人の犠牲者が出た大惨事
 は、その「災」の最たるものであろう。 

 今年の論壇ではもちろん、さまざまなテーマで議論されたが、安全保障の分野で際立っ
 て注目されたのが、中国軍事力の動向だった。 

 特に十一月に、中国の原子力潜水艦がわが国の先島諸島を領海侵犯した事件などは、
 「水」にちなんだ、わが国安全保障にとって「災」の前触れといっていいかもしれない。
  

 その意味で来年は中国軍事力の動向に、より厳しい対応を迫られる局面が出てこよう。 

 「諸君!」一月号がそうした問題意識からか、「中国軍の脅威に目を塞ぐ『新防衛大綱』
 」と題して、江畑謙介、平松茂雄、森本敏の中国および軍事専門家三氏による座談会を
 組んでいる。 

 今回の中国原潜の侵犯について、三氏とも単なる事故や偶然とはみていない。平松氏は、
 侵犯の狙いの原点は一九九六年の「台湾海峡危機」にさかのぼるという。ここで中国は、
 米空母二隻の同海峡展開ですごすご引き下がった屈辱から、台湾近海から、西太平洋、
 南シナ海に潜水艦を展開して米空母を阻止する態勢づくりに入っているというものだ。 

 森本氏は、むしろ軍事的というより政治的な意味があり、中国が主張する東シナ海はお
 ろか沖縄トラフに至る管轄権での中国海軍の活動を、潜水艦でいつでも防護できるとい
 う態勢を、日本や台湾に誇示する狙いがあったとみている。 

 江畑氏は、八〇年代に将来の中国海軍の主力を空母で行くか潜水艦で行くかの論争があ
 り、結局九〇年代初めに空母派が敗れ、以来潜水艦の近代化は着実に進んでいるという。
 そのテコ入れは中央軍事委員会常任委員のメンバーに今年から海軍も入っていることか
 らもうかがえる。 

 その点で中国原潜の侵犯事件は「中国の軍事力の近代化、特に潜水艦の能力向上に対し
 て、日本が認識を改める『元年』」(江畑氏)という重要な節目とも言えよう。 

 にもかかわらず、政府の認識はまだお粗末だ。新防衛計画の大綱でも、中国軍事力の動
 向に懸念を示しながらも明確な「脅威」との表現は避けている。中国原潜に対する海上
 警備行動発令の遅さにもそうした姿勢がのぞいている。 

 シーレーン(海上交通路)が、まさに海洋貿易国家・日本の命綱ともいえる現実を、ど
 こまで直視しているのかということだ。今回の事件に関連すれば、江畑氏の指摘するよ
 うに、例えば東シナ海一帯に海底設置ソナー・システムを入れて、中国原潜をすぐに探
 知できるシステム構築なども検討されるべきだろう。 

 森本氏は「領海侵犯といった一般的に無害でない活動を禁止したり処罰したりする法整
 備が日本にはなく、同時に重大な主権侵害を強制的に排除するという国内法もない」と
 警告するが、こうした重大な主権侵害に対して自衛措置を迅速に行う体制が急務だ。 

 三氏の結論は、中国軍はここ数年の動向を見る限り、しっかりとした構想と戦略を持ち
 極めて現実的である。そうした国防戦略を持つ中国と、例えば防衛予算でも海空陸の一
 律削減という発想しかない日本とでは、現時点で勝負あり。 

 「眠れる張り子」状態に、この先どうなるか。この憂いを政治はどう受け止めるのかが
 問われている。 

     Kenzo Yamaoka
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日中両国はともに“王道”を歩め   
  
  ■求められるは徳に根差した行動 《意味深い孫文の神戸講演》

 日中間の不協和音は、日増しに高まりつつある。

 本年の中国社会科学院の調査によれば、中国の対日観は二年前と比べれば大幅に悪化し、
 「日本に親近感を覚えない」中国人はすでに半数以上にのぼるという。また、日本の多
 くの世論調査でも、対中感情は年々悪化傾向にある。靖国神社問題や尖閣諸島問題など、
 両国間に横たわる懸案事項の早期解決が難しいことから、今後も日中両国間には厳しい
 緊張状態が続くことが懸念されている。

 そのような中、私は本年四月に中国共産党の幹部養成学校である「中央党校」で講演を
 行う機会を得た。中央党校は、中国主要都市の副市長や副省長クラスの幹部を対象とし
 た教育機関で、中国ナンバー4の地位にある曽慶紅国家副主席が学長を務める。私は北
 京にある同校において、次代の中国を担う幹部約三百五十人を前にして、「伸びゆく中
 国のリーダーに向けて」と題し、講演を行った。

 それは、現在急速な経済発展を続け、すでに経済的にも、また軍事的にも強大な力を備
 えるに至った、中国の若きリーダーに対して、高い次元の倫理観と高邁(こうまい)な
 哲学の必要性を説くものであった。このリーダーの資質ということについて、いくつか
 の中国の古典を引きながら、未来の指導者たちに持論を述べた。

 さらには、中国革命の父、孫文が、戦前の一九二四年に神戸で行った講演の一節も引用
 した。それは、次のようなものであった。

 「西洋の物質文明は科学の文明であり、武力の文明となってアジアを圧迫している。こ
 れは中国で古来いわれている『覇道(はどう)』の文明であり、東洋にはそれより優れ
 た『王道』の文化がある。王道の文化の本質は道徳、仁義である」

 「あなたがた日本民族は、欧米の覇道の文明を取り入れていると同時に、アジアの王道
 文化の本質も持っている。日本がこれからのち、世界の文化の前途に対して、いったい
 西洋の覇道の番犬となるのか、東洋の王道の干城(かんじょう)(盾と城)となるのか、
 あなたがた日本国民がよく考え、慎重に選ぶことにかかっている」

 《中国は覇道とらずと言明》

 残念ながら、日本はこの孫文の忠告に耳を貸さず、一瀉千里(いっしゃせんり)に覇道
 を突き進み、そして、第二次世界大戦の敗戦という破局を迎えた。

 私は講演の結びにあたり、この孫文の言葉を借りて、今超大国への道を突き進む中国に、
 ぜひ自らが今まで否定してきた覇権主義に陥ることなく、古来中国の人々が大切にして
 きた「王道」、つまり「徳」に基づいた国家運営、経済活動を図るべきではないかと私
 見を述べた。この私の講演を、中国サイドには真正面から受け止めていただいた。

 曽慶紅副主席は、事前に私の講演原稿を入手され、その写しを党の最高幹部たちに回付
 されていたと聞く。また講演終了後、曽慶紅副主席は私に、「あなたは講演の最後に、
 『中国は覇道をとるのか、王道をとるのか』と問うておられた。中国は決して覇権主義
 の道、つまり覇道をとらない。王道を歩いていくつもりだ。それを日本の国民に伝えて
 ほしい」と述べられた。

 さらには、帰国後まもなく、そのような私の講演の趣旨が、中国共産党のオピニオンリ
 ーダー誌『中国経済週刊』(人民日報社刊)の巻頭言に取り上げられた。また別途、頁
 を割き、その概要も紹介され、さらに多くの中国のリーダーたちの目に触れることとな
 った。
 《信頼と尊敬に基づく関係》

 日中関係は現在、経済面の急速な交流拡大に逆行するかのように、日増しに緊張感が高
 まっている。そのような状況下で、あえて国家副主席が「中国は王道を歩む」と明言し
 た。また中国共産党の指導者向け機関誌も真正面から報道した。私はこのことを真摯
 (しんし)に受け止めたい。

 今こそ日中両国は、この「王道を歩む」という言葉に込められた意味を互いに理解し、
 大切にしていかなければならない。現在、日本と中国、双方に求められているのは、声
 高に自らの利を主張しあったり、相手の非をなじりあったりすることではない。相手の
 立場に立ち、互いに思いやる心をもって、ともに「徳」に根ざした行動をとるよう努め
 ることだ。

 そうすることで、日中両国は、世界のいずれの国家間にもありえなかった、信頼と尊敬
 をベースとした素晴らしい二国間関係を築くことができるに違いない。また、そのよう
 な日中両国の親和的な関係は、緊張が続く北東アジアのみならず、世界の平和と発展に
 も大きく寄与することができるはずである。
 
 (【正論】京セラ名誉会長・稲盛和夫[2004年12月27日 産経朝刊] ) 
       Kenzo Yamaoka
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東アジア共同体/構想から台湾を除外するな   
   
  東アジア共同体構想が現在、盛んに議論されている。
 ラオスでこのほど開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3の首脳会議で、
 東アジアサミット(EAS)の来年開催が決まり、東アジア諸国が今後、経済協力関係
 をさらに深める可能性が強くなった。

GDPは世界で17番目

 しかし、現在の東アジア共同体をめぐる議論では、台湾が完全に除外された形になって
 いる。台湾の経済的実力を無視し、台湾を除外した東アジア構想は欠陥構想である。こ
 こは台湾に対する正当な扱いが必要であろう。

 アジア共同体構想は、かつての欧州共同体構想をモデルにしているといわれている。そ
 れ故、経済的側面が非常に重要になってくる。

 だが、東アジアの経済協力構想はもともとASEANプラス日本、中国、韓国の会議を
 中心に話し合われてきたため、台湾は除外されてきた。同様に香港も国家ではないとし
 て除外されている。

 ここで重要なのは、台湾の経済的実力である。台湾の経済力は大変大きく、国内総生産
 (GDP)は二〇〇二年で二千八百十五億jである。

 この数字は、フィリピン(七百七十一億j)、インドネシア(千七百二十九億j)、ベ
 トナム(三百五十一億j)の三カ国を合計した数字にほぼ等しい。

 つまり、台湾だけの経済力でフィリピン、インドネシア、ベトナムに匹敵する経済力を
 持っているというわけだ。

 また、ASEAN十カ国の国内総生産は合計で約五千億jである。台湾だけで、ASE
 ANの半分以上の経済力を保持しているわけだ。この理由は台湾が二千三百万人と、ま
 とまった人口を持ち、すでに先進国になっているからだ。世界的に見ても、台湾のGD
 Pは世界で十七番目になる。

 このような経済的実力を持つ台湾を排除することは、東アジア全体の経済発展から見て
 も好ましくない。

 国際機関に関して言うと、台湾はアジア太平洋経済協力会議(APEC)には入ってい
 るが、アジア欧州会議(ASEM)やASEAN地域フォーラム(ARF)には入って
 いない。

 台湾を除外する理由は主に、中国の反対である。中国は台湾を国家として認めることに
 は絶対反対の姿勢である。しかし、中国はこれまでAPECや世界貿易機関(WTO)
 のような経済を主体とした組織には、台湾の参加を承認してきた。

 今後、東アジア全体の発展を考えるならば、台湾の経済力を無視することはナンセンス
 であるばかりか自らの力を弱めることになりかねない。

 経済面で見ると、東アジア共同体の中核をなすべき存在は日本、中国、韓国、台湾であ
 る。これらの経済力は、はるかに他を凌駕(りょうが)している。

 東アジアにおいては、政治的には中国、ベトナムなどで共産主義が残り、政治的統合を
 検討するという段階ではない。しかし、将来的には、脱共産主義の動きも出てくると見
 られる。そうなれば台湾問題の解決もあり得る話だ。

両岸関係の解決も視野に

 東アジア共同体構想は、そうした両岸関係の解決をも視野に入れて進めるべきだろう。
 台湾では先に行われた立法院選挙で与党が敗北し、独立傾向に「待った」が掛かってい
 る。 ここは台湾を孤立させることをせず、仲間に迎えることが重要である。
世界日報 掲載許可
       Kenzo Yamaoka
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日本の平和主義に変化   
   
  今年新たに発表される日本の新防衛大網について、小泉首相の私的諮問機関「安全保障
 と防衛力に関する懇談会」が10月初旬に報告書を提出した。日本のメディアでもその概
 要が報じられたが、これを受けて米『ビジネスウイーク』誌が「早足で平和主義と決別
 する日本」という強烈なタイトルの記事を掲載している。米大統領選がブッシュ大統領
 の圧勝に終わり、日米関係のさらなる緊密化が予想される中で、日本の変化を海外メデ
 ィアがどう報じているか紹介したい。

 アフガニスタン戦争ではインド洋に自衛隊の補給艦を派遣、イラク戦争でもサマワヘの
 自衛隊派遣を断行するなど、小泉政権はアメリカに対する軍事的貢献を積極的に推進。
 同誌は、これらの動きが疑い深い憐国の不信感を煽っているとして、こう懸念する。
 世界情勢が逼迫する中、日本政府は中国や韓国の不満や反対は懸念していないようであ
 る。

 日本政府は北朝鮮に対しても強硬的だ。昨年、日本初の情報収集衛星を打ち上げ北朝鮮
 への監視を強化したほか、今年は対北朝鮮を想定した経済制裁法案を成立させている。
 こうした強硬路線はさらに加速している。同誌は町村信孝外相が日本の新聞のインタビ
 ューで「北朝鮮に対してはタイムリミットを設けての経済制裁も考えなくてはいけない」
 と答えたことを引用して、日本の新しい外務大臣であるタカ派の町村信孝氏は、日本人
 拉致事件の解決に向けた北朝鮮の動きが遅いことについて、苛立ちと不満を表明した。
 と報じた。拉致事件の早急な解決は多くの日本国民が求めているが、その日本の外相が
 外国メディアからタカ派と紹介されていることは知っておきたい。

 冒頭の報告書は、弾道ミサイルの監視・対処のためにイージス艦などを利用したミサイ
 ル防衛システムの整備を求めている。同誌は、その迎撃ミサイル部品に関して、日米が
 共同研究から共同開発・生産へと路み切ろうとしていることに触れ、これは軍事技術を
 パートナーであるアメリカに輸出することであり、武器輸出を禁じた日本の由主規制か
 らの180度の転換である。と指摘している。戦後日本が固執していた「武器輸出3原則」
 の見直しが、海外メディアには平和主義からの逸脱と映るわけだ。

 その上で、同誌は記事をこう結んでいる。日本は今や無法な隣人のいる場所で暮らして
 いるのであり、強硬路線をとる必要性を理解している。のである。
 日本を取り巻く環境の変化に一定の理解を示しつつも、戦後日本が培った平和主義に大
 きな変化が現われていることを海外メディアは敏感に感じ取っている。
(週刊ポスト 世界の読み方より)
       Kenzo Yamaoka

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