1853.日本国の刷新・再生



◯ 「日本国の刷新・再生」(29)  (nss0412.txt)
             21世紀研究会 n21cq@yahoo.co.jp
★★『日本の再構築―将来ビジョン』★
★ 『本文項目の要旨』

 1、国際政治力・軍事力・情報諜報力を総合活用(強兵)すべき。
 2、経済力と財政力のバランスある充実(富国)が必要。

 3、アイデンティティ・精神力・技術力を高める教育が、将来の日本人と日
本を救う。
 4、豊富なエネルギー・良質の水・適度の日本民族の数が、21世紀における
躍進のカギを握る。

 5、日本の世界戦略は、上記1〜4を実行し、「戦わずして勝つ」ことを念
頭において進めば、国民生活も必ず向上する。



★ 『本文』

◇ 1、明治維新で先進国の仲間入りをしようとした日本は、「富国強兵」策
を採用し、躍進を遂げました。昭和に入り、「富国―経済財政力」を無視した
「強兵」に走ったため、世界戦争に巻き込まれ大敗北しました。

 1-1、1945年敗戦後の日本は、戦う意欲を完全に放棄し、専ら「平和」を唱
和し続け、「戦わずして負ける」「海外との摩擦を、貢ぎ物=ODA・借款・
経済援助で補填する」「経済専一の国家」を目指して来ました。その結果は、
米ソ冷戦の恩恵にあずかり、予想を大きく上回る経済大国となりました(富国
のみを勝ち取りました)。

 1-2、日本は、経済発展以外の「総合的な国力」を軽視(殆ど無視)し、目
先の福祉・社会保障の充実に走り、これに便乗した国民は「甘え・支援要望」
に傾斜しました。

 1-3、国際政治力・軍事力・情報諜報力(強兵)に関して、米国への全面的
な依存依頼を何時までも続けることは、既に極めて困難となっています。理由
は、米国の国際戦略が、「世界の警察官」から『自国防衛重視』へと方向転換
しつつあるからであります。

 1-4、国際政治(海外との政治交渉)の場で、日本の意思・意見を実現する
ためには、背後の軍事力・情報諜報力・外交手腕(強兵)が、非常に重要であ
ります。経済規模(富国)だけで、他の「実力=強兵」のない国家の主張は、
どの国も本気で相手にしません(軽視・無視されます)。

 1-5、現在の日本は、形式上独立していますが、国際的な観点では、米国の
「属国」(何でも言いなり)と見られています。今後とも米国との同盟関係が
極めて肝要としても、軍事面・情報諜報面における「日本独立」が欠かせませ
ん。つまり、世界大戦の如き大戦乱を除き、通常の問題(摩擦・トラブル)は
、日本自体で対応し解決する、という意欲・情報諜報力・軍事的実力(強兵)
を持つことであります。

 1-6、外敵の侵入後に応戦する陸上自衛隊(専守防衛)よりも、海上とシー
レーンに対応できる海上自衛隊と航空自衛隊の充実、更に沿岸警備の守備型海
兵隊、ミサイル防衛隊の新設が絶対に必要です。

 1-7、冠婚葬祭型・事なかれ主義の外務省は廃止(国防総省の一部局に縮小
改組)して、情報諜報力を充実させる『情報省』の新設と要員の育成(トップ
クラスの国立大学の一部を改組して移管充当)し、世界各地に日本独自の情報
諜報網を有することが緊急課題であります。


◇ 2、日本は高度成長期に経済が大きく発展拡張しましたが、バブル崩壊後
の財政金融政策を誤りました。経済が後退する時の「身分相応に振る舞う」手
法と決断を放棄しました。

 2-1、経済成長(成長率・前年対比)に固執し、規模(GNP等)の停滞を
防止しようと、実力以上のバラマキ(税収に波及しない非効率な支出歳出)を
10年以上にわたって継続し、財務体質の基盤を破壊しました。既に国家・地方
自治体等の官(公的債務)の借金は、内在する分(陰の債務)を加えると、10
00兆円の規模に達しています。

 2-2、どんなに見せかけの経済規模は大きくとも、体質(国家等公的な財務
内容)が、恒常的な赤字(解消不能)となれば、国家の大事(自然大災害・テ
ロゲリラ・騒乱・戦乱・戦争等)に対応できません。

 2-3、その時点がどんなに苦しくとも、経済と財政のバランスを真剣に考え
、一定水準(数年間で回復できる程度の赤字財政規模)を死守しなければなり
ません。全体の財政体質(歳出歳入)を、「身の程、担税(税金負担)能力の
50〜60兆円に合わせる」ことです。

 2-4、赤字財政の根幹は、支出先が収入(歳入・税収)増に貢献しない分野
に重点的に投入されているからです。国会議員は給与無し(日当と行動実費の
み)を率先して採用し、自らをお手本とすべきです。

 2-5、社会保障費、補助金・支援金、公共投資(不急の高速道路・利用度の
低い下水道・環境対策のための道路の並木・地方空港整備)、海外援助(OD
A等)、文化施設建設、特殊法人第3セクターへの損失補填、失業対策費等を
完全に凍結・廃止する位の断固たる処置が肝要です。

 2-6、財政と経済のバランス(本当の意味の富国)なくして、日本の将来ビ
ジョンは企画できません。税制の抜本的な大改訂(例、消費税率100%)は当然
です。日本人は、日本が貧乏であった時代の初心にかえって、財政に見合う経
済規模で「富国」の再構築を図ることが絶対に必要であります。

 (注) 『財政と税制の改革』につきまして、「日本国の刷新・再生」(28)
2004年11月号で、既に提言しておりまして、国際戦略コラム様のメールマガジ
ン(まぐまぐNo.18239)には、去る12月1日(水)に掲載されております。当
会のメールマガジン(まぐまぐNo.93935)に、ご登録の皆様のもとへは、読者
の広場を加えた充実版を、近日中に送信させて頂きます。
http://www.geocities.jp/nic6250/ にも掲載予定でございます。


◇ 3、日本の将来を支えるのは、若者・生まれて来る子供達です。子育てと
教育が杜撰(ズサン)で、学力・精神力・日本人としての意欲(アイデンティ
ティ)が、外国に劣るようでは、日本の未来は絶対に開けて来ません。

 3-1、福祉・社会保障をどんなに充実させても、「教育」を疎かにすれば、
いずれ「日本の瓦解」が現実のものとなります。「ゆとり教育」等は、直ちに
全面的に撤廃すべきです。教育者は「労働者」ではなく、「天職・聖職」の精
神に立ち帰ることが肝要です。

 3-2、国語力と共に、数学(算数)理科(物理・化学・生物・地学)の基礎
教育を充実させることが極めて重要です。歌舞音曲・芸能・娯楽・見るスポー
ツに若者が傾倒しているようでは、日本と日本人の未来が暗澹となります。

 (注) 『教育大改革は、待ったなし』につきましては、「日本国の刷新・再
生」(12)2003年7月号で、既に提言しております。
http://www.geocities.jp/nic6250/ の中程、第52号、教育大改革は待ったな
し、2003/8/1週にございます。ご一読をお願い致します。


◇ 4、世界的規模で森林が減少し砂漠化が進んでいます。発展途上国を中心
として、人口爆発(人口の急増)があります。環境汚染の影響が加わり、「良
質の水」がどんどん減少しています。河川は水量が減少し、枯渇化へ向かって
います。

 4-1、幸いにして、日本の水資源は豊富です。「良質の水」を大切にするこ
とです。海水を真水に変える技術は、既に実用化されていますが、更なるコス
トダウンのノウハウを確立して置けば、必ず日本に国富をもたらします。

 4-2、日本の泣き所は、石油・天然ガス等のエネルギー資源の絶対的な不足
です。この抜本的な対応策は、原材料が無尽蔵で、製造原理が明解な『水素核
融合=太陽のエネルギー、つまり、重水素をヘリウムに転換する際の質量欠損
(物質の絶対的滅失)に伴って発生する熱エネルギー』が、結局、一番重要で
す。

 4-3、因みに、原子力発電は、原料のウラン(ウラニウム)が有限であり、
日本での産出量が極めて少なく、しかも「使用済み核燃料」の処理に莫大な費
用を要します。

 4-4、豊富な水素核融合エネルギーと良質の水があれば、食糧の大部分は、
工場生産が可能となります。日本人のための基礎的な食糧・家畜飼料(穀類・
野菜類)の輸入は、大幅に減らすことが可能です。因みに、肉類の多食は、日
本人の体質を蝕み、成人病を誘発し、命(イノチ)を縮めます。

 4-5、日本民族の適度の人口維持が、21世紀における躍進のための絶対的条
件です。他の福祉を全廃しても、出産と子育てに支出(例、子供一人につき月
30万円の資金預託)を注入すべきです。資金不足なら、「クローン人間」の実
用的な導入を真剣に考慮することが重要です。「神の領域を侵す」等の議論を
続けて、日本民族が衰退・消滅して行っては、元も子もありません。

 (注) 『日本民族の人口維持(出産・子育て)』につきましては、「日本国
の刷新・再生」(3)2002年10月号で、既に提言しております。
http://www.geocities.jp/nic6250/ 比較的初めの方、第13号、日本民族の人
口維持(出産・子育て)が最重要課題、2002/10/4週にございます。ご一読を
お奨め致します。

 4-6、21世紀の世界は、カネと人(特に智慧・能力の高い人)が、集まった
国家が必ず繁栄します。Tax Eaterや社会保障(福祉)の恩恵を受ける人、結
果の平等を要求する弱者が蔓延した国家は、衰退没落して行きます。

 4-7、やればできるのにTax Eater(他人の支払う税金で暮らす人)となって
、国家社会や他人からの援助・補助・恩恵に頼ろうとする連中は、日本を捨て
て海外へ移住してもらうか、「施設」へ誘導します。諸般の事情(病気・ケガ
・災害等)で生活困難となった日本人(家族を含め日本国籍を有する人)のた
めに、何時でも無条件で飛び込める医食住完全無料の『施設』を完備すること
は欠かせません。


◇ 5、静かなる、つまり、日本から手出しをしない「富国強兵」(国際政治
力・軍事力・情報諜報力、及び経済力と財政力のバランス)が確立し、アイデ
ンティティ・精神力・技術力を高める教育が充実し、豊富なエネルギー(水素
核融合)・良質の水・適度の日本民族の数と、「揃い踏み」が完成すれば、国
際関係を心配する必要はありません。

 5-1、前項により、正に「戦わずして勝つ」ことができます。日本国力の充
実無くして、日本民族(日本国籍を有する人)で本当に困った人を「気持ちよ
く助ける」ことはできません。

 5-2、現在の福祉(社会保障)指向は、時期が早過ぎます。このままでは、
日本の財政と日本国家の破滅となります。抜本的に考え方を変革する決意と実
践を、早急に断行しなければなりません。
(nss0412.txt完)

(日本刷新再生29★21世研4n12)
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「良い国日本の再興」 日本戦略の研究会(日戦略研)
  2004年12月第3週             npslq9@yahoo.co.jp

★ 表題: 「台湾の選挙とその後の動向」
 041220     担当: キャサリン・クー cc3ln@yahoo.co.jp

◇ 去る12月11日に投票された台湾の立法委員(国会議員)選挙は、China と
の経済関係を重視する当面の現実志向グループの力が相当根強く、概ね現状維
持となり、台湾自主路線(独立志向・台湾憲法制定)の運動にブレーキがかか
りました。

◇ 総統(大統領)陳水扁氏が率いる民進党(与党で台湾自主路線)は、得票
率を33.4%から37.98%へ伸ばし、議席数も80から89としましたが、李登輝氏を
精神的なリーダー(後ろ盾)とする台湾団体連盟(台連、台湾独立志向)が12
議席と横這いで、その他を合わせた与党勢力の合計は、101議席に止まりまし
た。

◇ 大陸China 寄りの姿勢(共産China との協調路線)を選択する野党は、国
民党(連戦主席)が、議席数を66から79へ増やし、同じ野党の親民党が44から
34へと低落したものの、野党連合の合計では114議席となり、定数225の過半数
を獲得しました。(中立=無所属等の10があり、101+114+10=225)

◇ 台湾の政局は、総統・行政府と議会(立法院)がねじれ現象を起こしてい
ます。更に、陳水扁氏が選挙の敗北の(勝利できなかった)責任を取り、民進
党の主席を辞任することとなりました。当分の間(2007〜08年まで?)、運営
路線の差異(台湾独立かChina 寄りか)を原因とする混迷が予想されます。

◇ 自分達は、大陸Chinese とは異なるという「台湾人意識、アイデンティテ
ィ」が拡がっている一方、今回の投票率が59.16%と立法院選で最低で、国民の
危機意識が弱かったことは、大いに心配な材料であります。

◇ 台湾が不安定となることは、じりじりと日本への影響があります。台湾は
日本の石油シーレーンの非常に貴重な位置にあり、東シナ海の海底石油関連資
源と隣接し、共産China の身勝手な海洋進出と大きな関連を有するからであり
ます。

◇ 米国には、共産China を警戒するグループが中核をなしているとはいえ、
パウエル氏のように台湾に対して冷たい(中台統一?)発言をする人もおり、
日本としても決して油断はできません。


★ 表題: 「マラッカ海峡及び南シナ海の安全確保とシーレーン」
 041220         担当: 鈴木良吾 sqll5@yahoo.co.jp

◇ アジア海運の重要な位置を占めるマラッカ海峡(マレーシア・インドネシ
アのスマトラ島・シンガポールの900キロメーターに及ぶ海峡)の安全性確保
に関して、関係各国の関心が高まっています。

◇ マラッカ海峡は、中東原油をアジア各国(日本・China 等)へ海上輸送す
る主要ルート(石油シーレーン)であり、上記沿岸三国と当海峡利用国(日本
等)が費用を分担して、海賊・テロゲリラ対策を強力に実施しようというもの
であります。

◇ 去る10月中旬、クアラルンプール(マレーシアの首都)で国際会議が開か
れ、上記沿岸三国はもちろん、日本・China・米国等も参加しました。趣旨は
極めて高く評価し賛同すべきものですが、関係各国の本音はバラバラで、イン
ドネシア・マレーシアは、資金提供だけを希望しています。

◇ China の支援協力関与に対しては、沿岸周辺各国の反応は複雑(多少の期
待と大きな不安)です。米国やインドの協力という名の「海峡パトロール」を
心の底では嫌う空気もあり、問題は簡単ではありません。

◇ 台湾の立法委員(国会議員)選挙で、台湾自主路線独立派が、過半数を獲
得できなかったことで、China は、南シナ海を自国の庭の如く振る舞いたい意
欲を露わにし、更にマラッカ海峡にも触手を伸ばす勢いにあります。

◇ 関係各国の協力で、マラッカ海峡や南シナ海における、チンピラ(独立色
の)海賊・ゲリラは、掃討できるかも知れません。しかしながら、背後に関係
覇権国(例えばChina )を持つ「新型の海賊・ゲリラ」出現が、非常に懸念さ
れます。

◇ マラッカ海峡及び南シナ海は、表向きの安全確保待望と実体は逆で、石油
シーレーンをめぐる「冷戦・暗闘・触発の修羅場」と化す危険性があると言わ
ざるを得ません。

◇ 日本は『水素核融合』の実用化によるエネルギー確保を緊急課題として一
日も早く実現し、石油依存度を大きく減らすことが肝要です。それまでの間は
、マラッカ海峡及び南シナ海の騒乱・戦闘を覚悟の上で、海上・航空の対応策
を十二分に練って、何時でも出動できるようし、シーレーンを死守することが
断固として欠かせません。


★ 表題: 「貯蓄率低下と国債の消化」
 041220         担当: 丸野内三 m00573@yahoo.co.jp

◇ 日本人には伝統的に「貯蓄精神」がありました。二宮尊徳流の質素倹約貯
蓄志向は「貯金好き」となり、1945年敗戦後の急速な日本復興の基盤を形成し
ました。

◇ 30年位前の日本人の家計は、23%も貯蓄していました。これは、金融機
関(銀行・郵貯・生保)を経由して、企業の設備投資となり、日本の高度成長
の原動力となりました。

◇ ところが、最近の家計貯蓄率は、6%台に落ちています。高齢化によって
貯蓄を取り崩す世帯が増え、若い世帯は、非正規雇用(正社員でないパート・
派遣社員等)の増加で収入が低迷し、貯蓄に回す余裕が縮減しています。

◇ 不用意に抱えた(高値つかみの)住宅ローンが、大きな圧迫材料となり、
家計の赤字化が進み、貯蓄不能の世帯が非常に増加しています。間もなく団塊
の世代(昭和22〜27年生まれ)が定年退職となり、家計貯蓄率は一段と下がり
ます。少子少孫化の影響で若者(勤労者)が減り、貯蓄へ回る総額が大幅減と
なります。

◇ 日本国債の95%は、日本人(形式上は銀行等の預金・郵便貯金・生保の長
期契約経由で機関投資家)が保有し、買い続けて来ました。遅くとも2010年頃
には、家計貯蓄率がゼロとなります。大手企業はまだ資金に余裕があり、当面
は資金不足となりません。しかしながら、家計は新規(借り換えを含む)国債
を購入する余力が無くなります。日本国内における国債の買い手は激減して行
きます。

◇ 外国の投資家が買うには、もっと高い金利が必要です。高い金利は、更な
る多額の国債発行が必要となり、日本国家自体が、いわゆる「サラ金地獄」に
転落します。

◇ 大増税が絶対不可避です。消費税100%(物価サービスが2倍)も夢の話で
はありません。大部分を日銀引き受けで充当しようとすれば、「円」の価値が
暴落します。悪性インフレは、庶民(一般国民)を真っ先に犠牲とします。

◇ 福祉・社会保障・公共投資・景気対策・失業対策等の目先の「甘い飴」を
捨てて、行財政の抜本改革、歳出の大幅カット(官の経費を数分の一にするこ
と)を断行すべきです。財政を絶対に破綻させてはなりません。


★ 表題: 「資源インフレの芽」
 041220         担当: 福井龍生 f9lcl@yahoo.co.jp

◇ 経済学者は資金過剰(カネ余り)となると、インフレになると説明してい
ますが、日本銀行が、大幅な「資金余剰・カネ余り」を政策的に継続して断行
していますが、日本の現実はインフレとなっていません。

◇ いくら資金過剰(カネ余り)でも、安価な供給物品が世界各地から流入し
、投資(投機)する対象物が少ないか、その意欲を掻き立てる対象が乏しけれ
ば、資金は動きません。カネが移動しない不活発経済が続き、物価の高騰は発
生しません。現状の日本は、その渦中にあります。

◇ ところが、このところ、資源インフレの芽が出て、その足音が、次第に近
づいて来ています。その発端の主たる原因は、China のなりふり構わない過度
な急成長にあります。鉄鉱石・建設資材・石炭・石油・エネルギー等の逼迫が
目立って来ました。

◇ ニューヨーク原油先物相場は、投機筋の思惑で一時50数ドルまで暴騰しま
したが、42ドル台まで大幅反落しました。しかし、原油価格は、中進国・途上
国等の需要増で、中長期的には、必ず値上がりして行きます。

◇ 資源(エネルギー・鉱物等の基幹物資)不足に基づく物価騰貴が進行した
ところに、国債の日銀引き受け(融通手形の割引、自己金融類似)が巨額に達
して過剰流動性(巨大なカネ余り)が明白となり、「円」の信用失墜・暴落が
重なると、国民の不安がいっきょに増幅され、ハイパーインフレ(数十倍〜数
千倍の物価騰貴、通貨価値の暴落)が起こります。

◇ 前項の事態は、日本経済の破滅を招来します。これを避けるためには、た
とえ一時期どんなに苦しくとも、節度ある財政に立ち帰る(歳入に相当する歳
出に徹する)ことが肝要です。歳入(税収)に結び付かない歳出は、全面カッ
トの大原則を断固として採用することです。

(2004年12月第3週完)
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国際戦略コラム 御中      平成16年12月23日
           下田礼蔵 xd0z@teamgear.net

件名: 北朝鮮との協議は、時間の無駄
 
 日本人にとって、北朝鮮と協議を重ねる最大のメリットは、拉致されて未帰
還の人を取り返す事でしょう。ところが、拉致被害者の家族(会)は、「経済
制裁を先行すべき」との意向であります。

 北朝鮮との協議継続に固執しているのは、小泉純一郎氏と外務省ではありま
せんか。自分の手柄にしようとの魂胆(下心)が見え見えです。

 どんな犠牲を払っても、拉致被害者を奪還しようと思えば、極めて多額(一
人当たり10億円以上)の身代金を支払えば、相当数の人が戻って来るかも知れ
ません。しかしながら、かかる身代金方式は、今後も、難癖を付けてしぶとく
「たかられる」最低最悪の例を残す事となります。

 柳良真氏の説のように、死に体の金政権と交渉(対話・協議)を続けても、
時間の無駄です。この際、黙って北朝鮮との協議を打ち切る、結果としては、
制裁したのと類似の効果が発生しましょう。
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国際戦略コラム 様          平成16年12月23日
             大島由加利 oxmykl@mcn.ne.jp

件名: 北朝鮮の民衆は、金政権の横暴に対して反抗心が湧いて来ている


 金政権は、反政府運動に繋がる恐れがある情報(韓国ビデオ等)を規制し、
刑罰を強化して来ました。しかし、北朝鮮の民衆は、自分達が金政権によって
、過酷な処遇を受けている事を十二分に知っています。

 金政権幹部の脱北者が増えています。チャンスが到来すれば、民衆も金政権
の打倒に必ず協力します。北京(共産党)政権も、そろそろ政権の交代を考え
ているとの情報を、私でさえ得ています。

 日本は、「死に体の金政権」との交渉を、当分の間断絶し、交流を一切中断
する事が一番です。万一、北朝鮮からテポドンでも飛来し、日本国民に被害が
出れば、きっと「日本人の平和ボケ」が修正されます。米国だって黙っていま
せん。柳良真氏の骨子に賛同します。
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国際戦略コラム 御中            2004/12/23
            千原二二雄 vh22o@keyakiclub.net

件名: 日本の海域と石油シーレーンは、自国防衛の方向へ

 米国は「世界の警察官」役割から、「自国防衛」に重点を移しつつあり、日
本海域の海上の安全は、自国で防衛する方向へ行かざるを得なくなって来てい
る。

 日本国土の安全(専守防衛)だけではなく、石油シーレーンの治安も、主と
して日本自身が守る事となる。当然に、海上自衛隊の任務(イージス艦・潜水
艦・護衛艦等)が多くなる。航空機が活躍するには、海上基地(航空母艦)が
必要で、今後、議論の対象となろう。

 限られた予算では、「陸から海へ」の流れは当然で、鈴木良吾氏の論旨に賛
同したい。
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国際戦略コラム 御中           2004-12-24
              島田隆三 xdl3@fubako.com

件名: 自衛隊・警察機動隊・海上保安庁の統合・再編成

 陸上・海上・航空の三つの自衛隊に、警察の機動隊・海上保安庁を加えた日
本の防衛システムを、統合・再編成すべきとする、鈴木良吾氏の案を大いに支
持したい。

 次の如き組織が誕生する筈で、全体を纏める「統括戦略本部」が必要となろ
う。

1、陸上自衛隊: 現在の陸上自衛隊の主力+警察の機動隊
 国内の防衛・テロゲリラ・暴動に対応、災害時の出動も。

2、海上自衛隊: 現在の海上自衛隊+海上保安庁の一部
 日本の専管水域とシーレーンの安全確保。

3、航空自衛隊: ほぼ現状の通り。

4、海兵自衛隊: 陸上自衛隊の一部+海上保安庁の主力
 海岸線と島々の警備、密入国・密貿易・工作員侵入防止・武装難民対策、自
警団と連絡を密にした守備型の海兵隊。

5、ミサイル隊: 陸上海上航空の三つの自衛隊から選抜し、科学者を加味
 陸上(例、佐渡・隠岐・対馬・沖縄・西南諸島)と海上(例、イージス艦・
原子力潜水艦・戦略爆撃機)、相手国が発するミサイルを迎撃して撃破。
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国際戦略コラム 御中        平成16年12月24日
                 藤 隆教 flcl@csc.jp

件名: ウクライナは露国傘下から、西欧指向へ向かう?

 西欧指向のユシチェンコ氏(大統領候補)に対して、その顔が歪む程の猛毒
(ダイオキシン)を飲ませたとして、ウクライナの政局が揺れています。

 この事件を契機に、ウクライナの国民は、大統領選挙を通じて露国の傘下か
ら離脱し、西欧よりに向かうのではありませんか。アドルフ・ランニフ氏の指
摘のように「ウクライナの東西分裂」もあり得ます。

 東欧と中東は、米国と露国が支配力の拡大を狙って、暗躍をつづけており、
オセロゲームのように、何時ドンテン返しが起こるか、分かりませんね。

 米国が当面、アジア(北朝鮮問題等)に手を付けたくない気持ちが理解でき
ます。日本の防衛は、米軍に丸々依存という訳には、行かなくなって来ていま
す。
==============================
国際戦略コラム 様           2004.12.24
                     島津由紀 xzyq@itpmail.itp.ne.jp

件名: 企業買収は、地方の中企業にも及んでいる

 福岡県内で計11店の中華料理店(年売上37億円・経常利益1.7億円・従業員1
43人)を経営する「八仙閣」を、西部ガス(九州最大のガス供給企業)が買収
することとなりました。

 このようにM&A(merger and aquisition、企業の合併・買収)は、業績
の悪化とは余り関係なく、地方でも進んでいます。

 大きく儲けた後、経営者が元気な内に、高値で自分の企業を売却し、悠々自
適か、別の「やりたい事」に集中したいのでしょう。

 日本の経営者が、米国並みになって来た事でしょうか。最後までオーナー経
営の拡大路線に固執して、業績悪化を招いたダイエーの中内氏の人生と「八仙
閣」の行き方は、全く異なりますね。

 丸野内三氏の指摘のように、従業員(社員)は、自己研鑽が極めて大切な世
の中となって来ました。企業にしがみついているだけでは、どの時点で放り出
されるか分かりません。
==============================
国際戦略コラム 様          平成16年12月24日
              村井亜紀 muraiaq@drive.co.jp

件名: 郵政事業の売却(M&A)

 郵政事業に現状の体質(政府関与・議員の利権・総人員の維持等)を温存す
れば、このままの官営でも、民営化(表向きを取り繕う誤魔化しの民営風)で
も、いずれ困窮する(赤字累増による財政資金の補填を必要とする)時期が到
来します。

 郵政事業は、不良債権(事実上回収できない債権)が巨額に達し、経常の収
支面でも、早晩赤字に転落する可能性が極めて高くなっています。日本の財政
事情から見ると、郵政事業を今の内(手に負えなくなる前)に全部売却してし
まう事が、将来の日本を救い、日本の再生再興に大きく貢献します。

 郵貯(預貯金)・簡保(生命保険主体)は全部売却しても、過疎地にATM
等の機器を設置すれば、全く問題ありません。郵便部門で秘密性が高く、メー
ルやファックスで代用し難い分野(特別送達・書留等)が絶対に必要であれば
、この部分だけ、相当高い料金で別の「新組織」を形成すべきでしょう。

 現在流行のM&A(企業の買収)に便乗して、政府は、郵政の民営化でモタ
モタするのではなく、郵政事業自体を全部を売却し、収入(売却代金)は、国
債の償還に充当することが最高です。丸野内三氏の論を、もっともっと進める
べきです。
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国際戦略コラム 御中          平成16年12月24日
          湯川久吾 yugw95@peach.candy-cafe.com

件名: 郵政事業は、M&A(売却)すべき

 郵政事業をチマチマと民営化するより、全部売却して、国債の償還に充当す
る事が、日本の再生再興の転機となります。

 不良債権があっても、現在の郵政事業なら、何とか売却できます。官が関与
して実施する収益事業は、中長期では必ず失敗(赤字体質と化)します。

 丸野内三氏の説明にあるように、中央大手は勿論、地方の中堅・中小企業で
も、買収の対象となる時代です。この際、郵政事業は全部売却して、国債を減
らす事が肝要です。
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国際戦略コラム 御中          2004,12,24
            北 恭二 qtc22@teamgear.net

件名: 金政権を無視すべき

 死に体の金政権に、あれこれ関係する必要はありません。当分の間(金政権
崩壊まで)、放置し無視すれば済みます。制裁と大声で叫ばずに、静かに「ヒ
ト・モノ・カネ」の流れを全部停止します。北朝鮮からの輸入物資の中心は海
産物であり、これらが全部途絶えても影響は極めて軽微です。

 拉致被害者が戻って来られない事は、非常に残念ですが、通常の方法で奪還
できないと分かっていますので、拉致被害者ご家族の方々には、暫く我慢して
頂くほかはありません。

 万一、ミサイル(テポドン)が飛来すれば、日本人が平和ボケから目覚める
絶好のチャンスとなります。金政権自体の寿命は劇的に縮まります。柳良真氏
の説は当然と思います。
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国際戦略コラム 様          2004年12月24日
           森川 嶺 mlk0@itpmail.itp.ne.jp

件名: 金政権は、百害あって一利なしだ

 金政権を多少とも利用(悪用)しようと考えているのは、北京(共産党)政
権だけでしょう。世界の殆どの国家と民衆は、金政権の崩壊が一日も早い事を
望んでいます。

 小泉純一郎氏が、金政権と国交を結びたいのは、バックマージン(朝鮮総連
等から?)か、それとも名誉欲(客観的には中止すべき内容の欲望)、と推測
されます。

 日本は、将来「まともな北朝鮮」が成立した場合に、国交を樹立すれば良く
、現在の金政権とは、一切の交渉をすべきではありません。黙ってカネもヒト
もモノも、交流を停止すべきです。柳良真氏の論旨は当然です。
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国際戦略コラム 様             2004/12/24
                 庄崎六蔵 xz6z@104.net

件名: 東欧と中東の暗闘は終わらず、日本への影響あり

 ウクライナの事実上の東西分裂は、アドルフ・ランニフ氏の分析の通りと思
う。

 ウクライナ・グルジア・タゲスタン・アゼルバイジャン・イラン・イラクに
至る黒海・カスピ海・ペルシャ湾の沿岸諸国における、大国(米国・露国等)
の熾烈な暗闘とテロゲリラの暴発は、根底に石油エネルギー問題を抱えており
、当分終わらない。

 米国が前項の地域に執着すれば、大きな犠牲(人的・財政的)を払う事とな
り、アジアの問題(China と北朝鮮の横暴)に対処する余裕は出て来ない。

 日本が米国頼りではなく、自国による防衛が不可欠となる。憲法等の紙の上
の問題ではなく、事実上、防衛の回避をする事は出来ない。

 新防衛大綱は、以上の線を意識したものであり、方向は正しいと思うが、鈴
木良吾氏の指摘のように、「陸から海へ」の重点移動ペースを、もっと思い切
って加速する必要がある。
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国際戦略コラム 御中        平成16年12月24日
              本木 啓 motgq@mcn.ne.jp

件名: 日本の防衛を固める時代が到来した

 日本から攻めてはなりませんが、周辺国に対して、「戦わずして勝つ」万全
の準備が、絶対に必要な時代に入りました。

 同盟国たる米国は、東欧と中東に浸り切りのため、アジアの問題に、本格的
に関与する余力を失っているからであります。

 当分の間(日本が水素核融合によるエネルギー開発を成功させるまで)、福
祉や公共投資を相当犠牲にしても、日本の防衛に注力しておかないと、原油輸
入の革命的減少で、経済活動が壊滅的打撃を受けます。

 鈴木良吾氏の対応策は当然で、防衛総予算の縮減は、将来に必ず禍根を残し
ます。平和憲法云々の問題ではありません。国民が自分達で、日本を守る意識
改革が、非常に重要です。
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国際戦略コラム 様          平成16年12月25日
           帖佐洋子 vosyk@itpmail.itp.ne.jp

件名: 日本の自主防衛

 米軍の世界戦略の転換で、日本の自主防衛の必要性が、一段と高まって来ま
した。台湾の選挙では、台湾独立志向派と親・北京政権派が拮抗(相半ば)し
、日本の石油シーレーンの万全性が、確立出来ておりません。

 日本は、「陸から海へ」の防衛力重点移動、及びミサイル隊の充実が、緊急
の課題となっています。「新防衛大綱」、鈴木良吾氏の論を、更に進展させる
事が肝要です。

 国家の安全が失われると、福祉(社会保障)等やさしい政策は、一挙に無に
帰します。「戦わずして勝てる」防衛力の強化は、国家維持の前提条件です。
福祉予算(20.3兆円強)を抜本的に削ってでも、防衛(4.8兆円強)の拡大が
必要です。
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◯ 世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略 VOL31
 江田島孔明

 今回は、今までのコラムのまとめとして、現状の国際情勢を日露戦争当時の
状況と比較して考察したい。
 私は、以前から、現在は日露戦争前の状況に酷似していると考えていた。そ
して、その考えは確信に変わってきた。

 国家戦略とは、国家の「地理的条件」によって、根本的に規定されるという
のが地政学の大前提であり、その他の条件が同じなら、歴史を通じて取るべき
地政学戦略も、そこから得られる結果も大きくは違わない。よって、歴史を参
考にして地政学戦略を構築する必要がある。前例としての日露戦争を以下に見
てみる。

△ 日露戦争前の状況■
 当時の世界は、アメリカは完全なモンロー主義で、世界の表舞台には立って
おらず、イギリス帝国の覇権も相当に凋落の一途をたどり、しかも、ロシアも
国内の政情不安を抱え、中東方面への進出が失敗(クリミア戦争)したことか
ら、極東方面への進出が喫緊の課題であった。これは、イギリスをアメリカに
、ロシアを中国に置き換えると、全く現状と一致する。
 何故、日露戦争が起きたかといえば、その根本的理由は大英帝国の衰退とロ
シアの政情不安、日清戦争の結果、清朝が衰退したことにより、極東に「力の
空白」が生まれたためだ。  
 当時、日本はアジアの三流国とみなされていたため、パワーではなかった。
そこで、ロシアの南下を単独では阻止できないと考えられていたため、中国利
権の喪失を恐れ、対露封じ込めを図る大英帝国との利害の一致から、日英同盟
締結に至る。
 反対に、ロシアに債権をもっていた独仏は、ロシアの極東進出を支援した。
EUが中国に武器輸出を開始しようとしている現在と全く同じ状況だ。まさに、
ランドパワー枢軸VSシーパワー連合の構図が鮮明になったのが日露戦争だ。

<参考>
△ 日露戦争の背景
http://www.ne.jp/asahi/chronicles/map/modern/haikei_nichiro.htm

■親ユダヤ戦争■
 日露戦争にはもう一つの側面があり、帝政ロシアがユダヤ人を迫害していた
ため、ユダヤ系国際金融資本の反ロシア闘争という側面だ。当時、戦費調達に
困っていた日本政府は高橋是清蔵相が先頭に立って、海外の銀行に資金援助し
てくれるよう働きかけたが、アジアの小国、日本をどこの国も相手にはしてく
れなかった。
 そんな時、唯一当時のお金で2億ドルもの債券を引き受けてくれたのがアメ
リカにある投資商会クーン・ローブ社のヤコブ・H・シフであった。ドイツの
フランクフルト出身でユダヤ人のシフは、ロシアで迫害されるユダヤ人を救う
ため、ユダヤ人弾圧国家であった帝政ロシアと戦う日本に同調した。更に、金
融資本主導のイギリスが日英同盟締結から、情報の面及び、軍艦等の兵器供与
で全面的に日本を支援したことはいうまでもない。
 結果として、日本海海戦の完全勝利もあり、講和に持ち込めたのだが、もう
少し長引いていれば、陸戦では非常にやばかった。ロシアはナポレオン戦争以
来、退いて敵の兵站が伸びきったところを攻撃して、勝つという退却戦術をと
っており、日本との戦争でも、満州でそのような計画を立てた。
 そして、シベリア鉄道で増強した兵力でハルビンまで日本軍を吊り上げ補給
戦が延びきったところで、数倍の兵力で日本を叩き潰すつもりであったのだ。
アメリカによる講和の仲介はぎりぎりのタイミングでなされ、薄氷の辛勝とい
える。

△ 歴史の教訓■
 マルクスの言葉「歴史は繰り返す。一度目は悲劇として、二度目は喜劇とし
て。」
 同じ間違いを繰り返さないために、歴史に学び、教訓を得ることは重要だ。
日露戦争とその後の20世紀の歴史の教訓から言えることは、
(1) 英米は極東では、直接戦闘に参加せず、日本を代理人としてランドパ
ワーに対抗する。そのための海軍力(現代では空軍力やミサイル防衛も)の増
強には協力する。余談だが、明治維新は、「日本を極東の代理人」とするため
、英国国際金融資本によってなされた政権交代劇だ。
(2) その後の満州共同経営というハリマンの提案を日本がけったことが、
後の太平洋戦争に繋がったように、日本が大陸に単独で利権をもつことをアメ
リカは許さない。
(3) 米中の接近が、日本の孤立化から極東の不安定化、さらには戦争を生
む。
(4) 中国を同盟国としたアメリカ民主党の支援は全て裏切られた。その最
たる例は朝鮮戦争での軍事介入。クリントン時代に中国へ供与された核やミサ
イル技術の中東への流出。
 要するに、「シーパワー日本は支持するが、ランドパワー日本は徹底的に潰
す」という事が、アメリカの一貫した方針だ。これは、リムランドの複数国が
結びつくのを阻止するというリムランド理論にのっとった戦略であり、ローマ
帝国以来の分割支配(Divide and Rule)に基づいているともいえる。

△ 日本のとりうる戦略■
 日露戦争とその後の歴史に学ぶならば、日本は英米シーパワーと連携しラン
ドパワー中国を封じ込める戦略しかないと考える。
 日中友好や東アジア共同体構想は、何よりもアメリカがそれを許さないのは
、歴史をみれば明らかだ。田中角栄をアメリカが潰したことや太平洋戦争が、
中国問題が原因で起きたことを忘れるべきではない。
 さらに、日本の一部には中国事大主義があり、同じアジア人同士連携して欧
米にあたるべきだという意見がある。
 はっきりいうが、国際戦略を考える上でこのような人種や文化(日本と華北
は人種や文化も違うが、中国事大主義者は同文異種、一衣帯水などといったり
する。日本と文化的同質性があるのは、稲作の原産地揚子江以南の華南、華中
だ)を、基盤にすることほど危険なことはない。
 戦略は地政学を基盤に構築すべきだ。そうでなければ、何故日露戦争で英国
が日本を支援し、白人のロシアを敵としたか、あるいは何故、同じゲルマン系
の英独が、二度も死闘を演じたかがわからないだろう。これは、全て地政学で
しか説明できない。人種や文化は無関係なのだ。
 極東の平和と安定の為に日中は友好関係を築けという論者は、20世紀の歴史
と地政学が根本的に分っていない。極東の平和と安定の為に、「日米は覇権主
義ランドパワーの北京政府を軍事バランスの優勢を保つことにより封じ込める
しかない」というのが20世紀の教訓から言える結論だ。
 日本史を概観しても、隋の成立に対し、独立宣言した聖徳太子、蒙古からの
国書受け入れを拒否した鎌倉幕府執権北条時宗、清の成立に対し、鎖国で応え
た江戸幕府と、日本国の華北政権との接し方は、既に決まっている。
 これは、華北政権は「奪い殺す」ことを本質とする獰猛なランドパワーだか
らだ。チベットやモンゴルやウイグルの現状を見れば、彼らの支配の本質が分
かるだろう。

■日中熱戦の可能性■
 肝心な点として、日露戦争はホットウォーとなってしまったが、既に始まっ
てる「日中冷戦」はホットウォーとなるであろうか? 思うに、孫氏を例に取
るまでも無く、直接攻撃は戦略的下策であり、「戦わずして勝つ」ことを考え
るべきだ。
 これは、潜水艦領海侵犯事件ではっきりしたように、海空軍戦力で中国を圧
倒する日本には、十分可能な戦略だ。イラクやベトナムのような、泥沼のゲリ
ラ戦がありうる陸軍戦略と異なり、海空軍戦略においては、技術力やソフト力
の優劣によって、事前に戦争の結果がほぼ予測できてしまうためだ。
 そして、パワーバランスにより「戦わずして勝つ」ことこそが、海空軍の本
来の運用方法であり、シーパワー戦略の根幹なのだ。
 よほどの軍事独裁政権が樹立される場合を除いて、中国軍が日米台湾に対し
て、戦争を仕掛けることは考えられない。もしやれば、数時間で東海艦隊、南
海艦隊は全滅する。このことを中国政府、軍部とも、日本政府よりは分ってい
る。この点で、極東の小国としてしかロシアに認識されていなかった日露戦争
の頃と異なる。
 日中が戦争に至ることを心配している人もいる。その危険性も全く無いわけ
ではないが、サラミス海戦後のギリシャとペルシアや冷戦期の米ソがなぜ直接
戦火を交えなかったかを考えるべきだ。
 さらに、アメリカは中国に対してイラク戦争のようなアプローチをとること
は決してない。なぜなら、中国には戦争を正当化する資源がなく、かつ、イス
ラエルの安全保障のため、中国の直接支配が必要ではないからだ。
 要するに、日本が制海権を保持できれば、パワーバランスの観点から日中間
の戦争リスクは極小化できる。逆にいえば、日本がアメリカの情報提供の下、
制海権を確保できなければ戦争リスクは高まる。

■歴史の教訓■
 極東における、戦前と戦後の最も大きなパワーバランスの変化は、アメリカ
が同盟相手を中国から日本に変えたことだ。そして、日本、台湾、フィリピン
の防衛にアメリカがコミットすることで平和が維持された。逆に言えば、米国
民主党のような中国を同盟国とする戦略は、アジアの戦争リスクを高め、結果
としてアメリカも中共に裏切られるだけだということが20世紀の歴史からいえ
る最も重要な結論だ。民主党もいいかげん、歴史から学ぶべきだ。
 ランドパワーとの戦争は、それを避けようとしたときに発生していることは
英独ミュンヘン会談を見ても分かる。逆にキューバ危機のように、戦争を辞さ
ずという強い姿勢で臨めば、回避できる。
 必要なのは、パワーバランスと強固な意志だ。戦後の冷戦期、パックスアメ
リカーナ体制の下、アメリカとその同盟国間での自由貿易によって、発展した
日本ではあるが、世界はそのような自由貿易を許す状況ではなくなりつつあり
、あくまで、パワーバランスという視点で考える必要がある。
 つまり、「自国の軍事力でカバーできない、内陸部への投資はしない」こと
が必須となる。
 すなわち、軍事と経済は一つのコインの表裏であり、それぞれがバランスす
る範囲で活動すべきということ。ここが認識できない評論家が多すぎる。はっ
きり言えば、ドルが基軸通貨でいられたのはニクソンショック以来、最強の軍
事力が担保になっていたためだ。つまり、世界は自由貿易の時代からパワーバ
ランスの時代に入ったのだ。
 よって、既にバブル崩壊がはっきりしてきた中国に対しては「冷戦時の対ソ
連方式」を採用し、アメリカのサポートの下、
1、ODA即時廃止
2、資本の一斉引き上げ
3、各地方の独立運動支援
4、徹底的な軍事圧力をかけ続ける
5、これら全てを国際金融資本と意識をあわせて実施
 をセットで行うことにより、軍拡に引き釣り込み、内部崩壊させることが可
能と考える。その上で、早急に環太平洋連合を樹立し、上海や香港を独立させ
、北京を封じ込めていけばよい。
 そして、「奪い、殺すことを文明の本質とし、圧制支配、命令服従という人
間観、世界観」しかないランドパワー北京の支配に喘ぐ上海、香港、チベット
、ウイグル、内蒙古等の諸民族を解放し、「売り買いし助け合い、相互の独立
を重んじる」シーパワー日本が極東の希望の光、すなわち「明けの明星」とな
る。それは、日本の世界に対する責任だと考える。

<参考>
 下記は、近未来のASEANとの軍事同盟樹立の布石である。環太平洋連合実現
へ大きく前進した。
△ 武器輸出3原則緩和を正式決定 「全面禁止」政策を転換
 政府は10日午前、新しい「防衛計画の大綱」の閣議決定にあわせ、武器輸
出3原則を緩和することを正式に決め、細田官房長官が談話の形で発表する。
日米で共同技術研究をしているミサイル防衛(MD)に関する共同開発・生産
を3原則の例外とするほか、他の案件についても個別に判断する。
 これまで日本は、米国への技術供与を除き武器輸出を事実上、全面禁止して
きたが、この政策を転換するものだ。
 談話は、MDにかかわる輸出について「日米安全保障体制の効果的な運用に
寄与し、我が国の安全保障に資する」としたうえで、「厳格な管理を行う前提
で武器輸出3原則等によらないこととする」と明示した。
 日米は海上配備型MD用迎撃ミサイルの共同技術研究を進めており、日本は
ミサイルを保護する弾頭や弾道ミサイルを追尾する赤外線シーカーなど4分野
を担当。共同研究が開発・生産段階に移行した場合、日本製部品を米国に輸出
できるようにする。
 さらに(1)MD以外の米国との共同開発・生産(2)米国以外も含むテロ
・海賊対策などへの支援−−の二つのケースについても「今後、国際紛争等の
助長を回避するという平和国家としての基本理念に照らし、個別の案件ごとに
検討の上、結論を得る」との表現で輸出に道を開いた。
 政府関係者によると、テロ・海賊対策では主に東南アジア諸国へのヘルメッ
トや防弾チョッキ、中古艦船などの輸出を想定しているという。
(朝日12/10)  以上
(江田島孔明完)

(★日本再興4y123日戦略研★完)

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