1836.米国の進む道と日本



国務長官にコンドリーサ・ライス氏を任命した。この人の考え方を
見て、米国の進む方向を検討する。   Fより

フォーリン・アフェアーズ誌の記事でライス新国務長官はナショナ
ル・インタレスト(米国の国益)を重要視する姿勢を取っているこ
とが分かる。

そして、ソ連があった時は西洋諸国の利益と米国の利益が一致して
いたが、今はどうも一致していない。しかし、米国は自国の利益を
追求するという。

国益追求が石油確保であり、中東の民主化で米国の新植民地にして
中東の石油を手に入れようとしたことがブッシュがイラク侵攻を決
断した理由であろう。しかし、現時点ではイラク侵略戦争はうまく
いっていない。

このため、イラク・ゲリラに手を取られて現時点では米国の国益を
失っている。イラクでの選挙を急ぐのも、米軍を撤退させる口実が
欲しいためで、イラクからの出口を見つける必要があるためでしょ
うね。

現時点、米国の問題としては、EUが米国から離れて、東欧をEU
が手に入れてユーロ圏を拡大することと、発展が著しい東アジアも
同時に米国ドル圏から離れていく動きがあることでしょうね。これ
は米国の経済圏を狭めて、米国のドル経済圏が南北アメリカしかな
くなることを意味している。この阻止をする必要がある。

東アジアでも経済成長が著しい中国の市場が、当面米国としても必
要であり、東アジア共同体というクローズ市場的な動きで中国から
の米国排除を警戒している。この東アジア共同体にはEUも脅威を
感じている。

この動きを止めるには日本と中国を反目させることが有効である。
このため、米国とEUは中国との関係を強化して、かつ中国には反
日感情を高め、日本には反中感情を高める工作をしている。

この欧米とは違うが、台湾も中国と日本の反目が台湾独立に有効で
あることより、中国原潜の動向を日本に知らせたようだ。このよう
に日本と中国の反目は、中国市場の分捕り合戦から日本を排除する
ことで欧米が組めることになっている。そして、東アジア共同体を
潰すことも視野に入れている。

台湾は独立に向けて準備しているが、これは米国が中国との関係か
ら反対すると思うが、今は日本と台湾を組ませて、中国に敵対させ
る材料になるために放置している。そして、米国のネオコンをけし
かけて、反中の宣伝をしている。一方で、IBMは中国最大のIT
企業に資本参加している。

米国とEUはそれぞれの世界の支配地域を決めることにより、欧米
の同盟を復活する可能性がある。ドル圏とユーロ圏でしょうね。
その時、中国やアジアは米国で、東欧とロシアはEUとなるような
気がする。

欧米の見方では、日本の将来は暗いと見ているようだ。人口が減少
するのに移民を認めないことと、技術的な水準が落ちていると見て
いる。このためにアジアの盟主は中国と見ている。ASEAN諸国
はいずれ中国圏になると見ているようですよ。

日本の問題点は、中国に技術移転した工場が増えて、日本には工場
労働者がいなくなり、産業の競争力を失うことになる。このため、
日本の平均的な賃金も低くなるし、高齢者が増加して社会保障費が
増えるが、その負担者がいないことになる。日本の時代は終わりで
あろうと見ているようだ。

しかし、中国の民主化がないと、欧米の人たちが中国に安心して住
むことができない。それなら、中国近傍の日本という植民地にいて
中国を監視しながら、その市場を開拓しようということになる。

このため、米軍の司令部を日本に持ってくることになるし、中国と
の取引材料として、台湾の独立を手にしている。中国は北朝鮮を日
米の交渉材料にしてきたが、賞味期限が尽きてきている。

そろそろ処分をしないと、日本が怒り出して、米国の武器輸出の材
料にならなくなる。このため、米国も最終処分をしようとしている。
このため、米国が日本に武器を売る材料を北朝鮮からの脅威から中
国の脅威に変更している。このためにも反中的な感情を刺激するこ
とがいいのです。

日本は自国の将来を冷静に見た改革をしないと、大変なことになる
と思う。反米でも反中でもない道で国益追求を中心にして見ていく
必要を感じる。日米安保と日中友好をどちらも追求するような道が
必要である。日本の今後は難しい。
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ブッシュ大統領、2月に訪欧 パウエル国務長官明かす(ASAHI)

 パウエル米国務長官は9日、北大西洋条約機構(NATO)外相
理事会で、ブッシュ米大統領が第2期政権を発足させた直後の来年
2月22日に最初の外遊先として欧州を選び、ブリュッセルで欧州
各国首脳と会談することを明らかにした。イラク復興やイラン核問
題などで欧米関係を重視する姿勢を示す狙いがあると見られている。 

 同大統領はNATO本部や欧州連合(EU)本部を訪れる予定。
パウエル長官は講演で「イラク問題でどのような相違があろうと今
は未来を見つめる時だ。米国は欧州に目を向けている。欧州も米国
に手をさしのべて欲しい」と語り、欧米関係の修復を進める必要性
を強調した。 
(12/09 22:44) 
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2004年12月09日(木) 
東アジア共同体構想 米排除なら安保に有害 
            フランシス・フクヤマ氏 国際政治学者

http://news.goo.ne.jp/news/sankei/kokusai/20041209/m20041209011.html

 【ワシントン=古森義久】米国の著名な国際政治学者フランシス
・フクヤマ氏が六日、中国や日本の一部で提唱されている「東アジ
ア共同体」構想に対し米国を排除するのであれば、アジアの安全保
障には有害だという見解を語った。同氏はかわりに北朝鮮核問題へ
の対処を論じる六カ国協議から北朝鮮を除いての五カ国の協議を
アジアの地域安全保障の恒常的な制度にすることを提案した。

 ジョンズホプキンス大学院教授のフクヤマ氏は同日、「米韓同盟
と北東アジアの将来」という国際セミナーで基調演説し、米国、中
国、日本、ロシア、韓国、北朝鮮の六カ国による北朝鮮核問題協議
を北を除く五カ国による恒常的な多国間協議制度とし、アジアの安
全保障に寄与させることを提案した。フクヤマ教授によれば、この
制度は多国間の同盟ではなく、あくまで安全保障の協議機関とし、
在来の日米同盟や米韓同盟はそのまま存続させ、同協議機関で補強
するとしている。

 同教授はまたアジア各国間で最近、盛んな自由貿易協定や経済統
合への議論に対し「この種の多国間制度は現在のように経済の専門
家が経済や貿易の観点からのみ進めるべきでなく、政治や安保の側
面を考えるために非経済の専門家も加えねばならない」と述べ、ア
ジアでの「東アジア自由貿易協定」的な構想は政治や安保への影響
も大きいのにそれらの側面がほとんど考慮されていないようだ、と
指摘した。

 フクヤマ教授は「東アジア共同体」構想については「東アジア諸
国が東アジアだけで米国を排除し、安保面をも含む地域機構をつく
ろうとするのなら、アジアの安保には有害だといえる。とくに中国
はこの種の構想で経済だけを強調し、安保面をも含む拡張主義の刃
(やいば)を隠している」と述べ、反対を明確にした。
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米がホットラインを提案 中国との危機回避で

 【ワシントン8日共同】米政府が中国政府に対し、東西冷戦時代
の旧ソ連との間で存在していたような危機回避のための軍事ホット
ライン開設を提案していることが8日、米中関係筋の話で明らかに
なった。

米政府内では、中国の軍事力増強が進んでいるとの見方から、米中
両軍が偶発的に衝突する不測の事態に対する懸念が高まっており、
緊急の連絡ルート確立が不可欠と判断した。ただ、中国側は米提案
に慎重姿勢を示しており、実現するかどうかは微妙だ。

関係筋によると、今年2月に北京で行われた次官級の米中国防定期
協議で、ファイス国防次官が熊光楷・人民解放軍副総参謀長にホッ
トライン開設を提案。米側は米国防長官と中国国防相による閣僚レ
ベルのやりとりを想定している。

ホットラインの提案は、2001年4月に起きた米中軍用機接触事
故の際に、米国防総省が中国国防省にしばらく連絡が取れず、長期
間の関係冷却化につながったとの反省も背景にある。
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中国への武器禁輸の解除見送り EU・中国首脳会議(ASAHI)

 欧州連合(EU)と中国の首脳会議が8日、オランダのハーグで
開かれ、中国側が89年の天安門事件後に導入されたEUの対中武
器禁輸の解除を求めた。これに対しEU側は、武器輸出の管理体制
を強化する作業が終わっていないとして禁輸解除を見送る方針を表
明した。 

 会議で、中国側は禁輸解除後も大量の武器をEUから購入せず、
東アジアの安保状況を不安定化させないとの方針を表明した。温家
宝(ウェン・チアパオ)首相は記者会見で「武器禁輸は冷戦時代の
産物であり、中国への政治的差別をやめるべきだ」と語る一方、「
EUは前向きなシグナルを示した」と一定の評価を与え、来年中の
禁輸解除への期待を示した。 

 これに対してEU側は経済と政治の協力、文化交流など広範な分
野での対中関係の強化を目指す考えを強調した上で、中国の人権状
況の一層の改善を要求した。議長国オランダのバルケネンデ首相は
記者会見で、禁輸解除について「禁輸を解除するために行動規範の
改正を進めているところだ」と語り、武器輸出管理を定める行動規
範の見直し作業が完了する時点で禁輸解除の条件が整うとの見方を
示した。 (12/09 00:25) 
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広がるドル連動制の見直し観測−マレーシア・リンギ   
   
 中国・人民元の動向がカギに
 マレーシアで通貨リンギが変動相場制に移行するとの観測が強まっている。中国政府が
 人民元を切り上げれば、マレーシア当局も追随して切り上げるか、米ドル・ペッグ(連
 動)制を見直すとの見方が有力だ。マレーシアの経済成長や輸出を支えてきたのは、日
 本の家電産業を中心とした外資。世界のマネーの流れが中国にシフトしている中でリン
 ギが切り上げられれば、日系企業も投資戦略を練り直す必要が出てきそうだ。
■経常黒字定着

 アジア通貨危機のさなかにあった一九九八年九月、マレーシア政府・中央銀行は金利引
 き下げが可能な環境を作り、経営難に陥った企業を支援するのを狙いに為替レートを一
 ドル=三・八リンギに固定するペッグ制度を導入した。この結果、疲弊していた産業界
 が回復を果たし、国際収支の赤字体質から脱却。その後は経常黒字が定着している。

 ペッグ制は緊急避難的な政策として採用されており、恒久的に続くとみる向きは少ない。
 現在、ペッグ制を最も左右するとされるのが中国政府の動向。人民元が切り上げられれ
 ば、中国との輸出競争力を損なうことなくリンギ切り上げにつながるペッグ制の見直し
 が可能になるためだ。

 中国の通貨当局は九○年代半ばから、人民元相場を一ドル=約八・二八元に固定してい
 る。しかし、中国が輸出大国として台頭してきたため、米国政府は中国に人民元の切り
 上げ圧力を強めているほか、国際通貨基金(IMF)も柔軟な為替制度への移行が必要
 だと指摘している。

 こうした国際経済情勢を背景に、スイス銀行大手UBSは最新の調査リポートで「マレ
 ーシアが来年上期にペッグ制を放棄する可能性がある」との見方を示した。英スタンダ
 ード・チャータード銀行のエコノミストも、(1)マレーシアは経済成長率が高い(2)原
 油の純輸出国で原油高もプラスに働く――ことなどを理由に、一ドル=三・三−三・五
 リンギ程度が妥当だとした。

■株価が先取り

 リンギ切り上げ観測は市場に広がり、クアラルンプール証券取引所の株価指数は年初の
 七八八ポイントから九○○ポイント以上に跳ね上がった。

 ペッグ制を導入したマハティール前首相は「アジア他国通貨の動向がペッグ制の調整を
 検討する際の要素になる」とかねてから指摘。ここに来て急速なドル安が進行し、リン
 ギの為替相場も切り下がっているが、ノルモハマド第二財務相は「リンギは周辺諸国の
 通貨と比較して逸脱した為替レートではない」と述べ、ペッグ制を当面維持する考えを
 示している。

 ただ、見直し条件として周辺諸国の為替動向のほか、(1)輸出競争力(2)インフレ(3)
 企業の資金状況(3)為替安定に伴う経済の安定――などを挙げた上で、「(ペッグ制は)
 イデオロギーの問題ではなく、国益の問題だ」としており、将来的な見直し・廃止を否
 定していない。

 また、ゼティ中央銀行総裁は「主要な貿易相手国に対する為替レートが安定しているこ
 とが重要だ」と指摘する一方、「域内相手国の為替政策に重要な変化があり、構造的調
 整が行われた場合には(ペッグ制を)見直す」と言明している。
 (クアラルンプール世界日報)掲載許可
       Kenzo Yamaoka

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