1824.日中首脳会談について



胡主席は、原潜をちゃかした! 東京人  

 靖国参拝・原潜問題で応酬 日中首脳、チリで会談

 小泉首相は21日午後(日本時間22日午前)、サンティアゴ市
内のホテルで中国の胡錦涛(フー・チンタオ)国家主席と1時間余
り会談した。首脳会談では、小泉首相の靖国参拝問題が取り上げら
れ、中国側の説明によると胡主席は「中日政治関係の停滞と困難の
最大の原因は、日本の指導者が靖国神社に参拝していることだ」と
述べ、首相の参拝を直接批判した。胡主席が小泉首相との会談で靖
国神社に言及して参拝を批判したのは初めて。日本側の説明による
と、首相は「誠意をもって受け止める」としながらも、持論を展開
し、今後の参拝については言及を避けた。さらに中国原潜の領海侵
犯事件の再発防止も求めた。

 今回の会談は中国側が正面から首相の靖国神社の参拝問題を取り
上げる厳しい雰囲気のものになった。中国指導部のトップがあえて
「靖国問題が最大の政治関係の障害だ」と明言したことで、靖国問
題を解決しない限り、政治分野での日中関係の本格的な改善は見込
めないことが明らかになったと言える。

 会談は、予定の時間を約30分上回った。中国外務省の孔泉報道
局長の説明によると、胡主席は「歴史を鑑(かがみ)に、未来に向
かう精神でうまく処理して欲しい」と求めた。さらに「中日関係で
歴史問題は避けて通れない。今日は昨日の延長だ。正確に歴史に向
かい合ってこそ、平和に発展できる」と話したという。

 日本側は、胡主席の発言について「歴史を避けては通れない。
適切に対処してほしい。特に来年は反ファシスト勝利60年の敏感
な年だ」と説明。これに対し、小泉首相は「心ならずも戦場に行か
れ、なくなられた方に心から哀悼の誠をささげ、不戦の誓いをする
」などと自らの考えを時間をかけて説明した、という。

 中国原潜による日本領海侵犯事件について首相は、日中外相会談
で李肇星(リー・チャオシン)外相から遺憾の意が示されたことを
確認したうえで、「今後、再発防止がとくに重要だ」と中国側の対
応を求めた。

 これに関して、両首脳は「いくつかの懸案については、お互いの
友好関係を推進していくという大局的な見地にたって解決していき
たい」という認識で一致した。日本側は「懸案には原潜問題を含め
ている」(政府高官)との見方を示した。

 東シナ海で中国が進めるガス田開発について日中双方が対立して
いる問題を巡っては、日本側の説明によると首相は「適切な対応が
重要だ。東シナ海を対立の海にしないことが重要だ」と指摘。鉱区
に関するデータ提供などに応じるよう改めて求めた。孔局長は会談
後、記者団に「東シナ海の問題については、双方が対話を通じて解
決しようと言った」と語った。

 両首脳の相互訪問が3年余り途絶えていることについては、日中
双方とも触れなかった。

 両首脳の会談は昨年10月、バンコクで開かれたアジア太平洋経
済協力会議(APEC)の際の会談以来1年1カ月ぶり。今回は首
相の靖国参拝を懸念する中国側が慎重な姿勢を崩さなかったうえ、
中国原潜による領海侵犯事件の発生で開催を危ぶむ見方も出ていた。

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靖国参拝を問題化し、中国原潜問題を茶化したと
しかみえませんけども、皆さんは、どう思いますか? 
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11月22日の日中首脳会談の報道を見て

各報道機関の記事を読んで、各新聞社等の特長がはっきりでていた
。それは、記事の内容ではなく、順番である。読者に与える印象は
、内容もさることながら順番にも左右される。一般的に先に書かれ
た方が正しく、それの返答が悪い事をしたような印象を与える。

そこで、各紙の順番を見ると日本側から書き始めているのは「読売
新聞」「日経新聞」で、中国側から書き始めているのは「朝日新聞
」「毎日新聞」「共同通信社」だった。どこの利益を代弁してるの
かが鮮明判る。記事の内容はその次で、ある程度公平に書いてるの
はその策略が読者には見破れないと思っているのが不愉快だった。
佐藤俊二
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(Fより)
中国も困っている印象がする。靖国神社参拝を問題にしているため
に、日本との関係を正常化できない。この関係正常化をしないと、
世界的な競合に勝てないし、ASEAN諸国も中国警戒論が出て、
中国は地域覇権も取れない。日本とケンカしている間は、ASEA
N諸国は中国に靡かない。米国も日本との関係上、敵対関係を装う
。

日本との関係正常化は中国にとっても、米国に取って代わり世界覇
権を取るためにも必要なことである。
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○「国際金融資本」とは何者か。  十返舎玉九
   
 【無断転載厳禁】ですが、とりあえずご一読ください。
私は日本人がマトモにものを考えられなくなったことこそが深刻重
大なことだと思っています。
昨今の西武鉄道の有価証券報告書虚偽記載など、ほかにも相当類似
の虚偽記載があると思います。
どうしてそれが許されてきたか

それは日本国憲法と自衛隊の存在という矛盾したものに対して慣ら
されてきたからでは。矛盾に対して、何も考えない、何も言わない
という習慣ができあがってしまった。だから日本人は、ナイフでバ
ターを切るように、ユダヤの思うがままに料理されているのです

今年4月に東京の地下鉄がアルファベットと数字で表されるように
なってから、急に外国人が増えたと思いませんか。きっと、日本で
甘い汁を吸わせるために世界中からかき集めてきているのだと思い
ます

悲しいですね

太田龍の時事寸評
平成十六年(二〇〇四年)十一月十六日(火)
(第一千百三十回)

十返舎玉九
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From: 熊副
1818.北朝鮮のあせり
北朝鮮拉致問題についての考えks_kiyo4に対して、

あなたは、日本語が苦手のようですね。
とにかく日本が譲歩しろといいたいのでしょうが、
あなたの文章をみた日本人は、その殆どが絶対反対するでしょう。
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ご丁寧な問いかけ有難う一度でなく以前にもその様なコメントを貰
ったようだ
私はレッキとした日本人自分から言うのもおかしいとおもう問われ
たら返事をするのが常識と考えている

私の意見に反対なので「あなたは、日本語が苦手のようですね。」
のコメント其の方が可笑しいと思いますよ

私は「家族会」の人達に一日でも早い解決を願っている私のコメン
トに反対する人も居られるでしょう世の中は反対あり賛成ありで成
り立っていると考える

当然日本が立派な国であり世界に信用された国だ貧しい国に話し合
いの時は、日本が譲歩する勇気が必要と考える。 
   熊副殿
  
       04.11.24 阪本 潔  s_kiyoc@ybb.ne.jp
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対中貿易のハブ目指すドミニカ   
   
  米国市場を中国に奪われてしまうのではないかと懸念するカリブ海諸国の指導者は多い。
 だが、ドミニカの駐米大使は、経済に大きな被害を被るのを避ける方法を発見した。
 ヒューゴ・ジュリアーニ大使は最近、中国の四都市を訪ねたが、ドミニカに中国企業を
 誘致して、工場を建設させ、米国向けの製品を製造させることを考えている。

 大使の周りには、米国のカリブ海地域開発計画(CBI)によりカリブ海諸国は、貿易
 で有利な立場を得たが、それが徐々に失われ、積極的な貿易政策を持ち、労働コストが
 安価な中国との競争で不利になるのではないかと恐れている人たちがいる。

 しかし、大使は、ドミニカなどカリブ海諸国は、米国との自由貿易協定でいっそう有利
 な立場に立てるはずと語る。

 また、そうなれば、ドミニカの製品は、無関税で米国に送られるが、中国は依然として
 通常の貿易障壁に直面することになる、と指摘した。

 「中国はビジョンを持っている。ドミニカに関心を持っている」と大使は当コラムに語
 った。

 しかし、中国の投資は、条件付きの可能性がある。ドミニカは、台湾の民主政権を中国
 人民の唯一の代表として認める数少ない国の一つだ。中国は、台湾と断交し、北京の共
 産政権を承認するよう求めるだろうと大使は語った。ドミニカ政府はそれについて決定
 を下していない。

 大使が重視しているのは、政治ではなく、経済だ。中国人の下で働くようなことになっ
 ても、ドミニカの人々の仕事を守りたいのだ。

 「誰もが不安になり、『中国からどうしたら自分たちを守ればいいのか』と聞きに来る。
 そういう人に対して私は、『中国を呼ぼう。一緒にやっていこう』と言っている」と大
 使は語った。

 大使は、ドミニカは六つの国際空港とコンテナ船が入れる最先端の港を持っていると指
 摘、西半球での対中貿易のハブになると予言した。(コラム「大使館通り」から)
 世界日報  掲載許可済み
 
  Kenzo Yamaoka
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国民性の病理−国際政治と日本人   
   
 日本の美徳は世界に通用しない
国際社会では悪徳にさえ変質/北欧文化協会理事長 武田 龍夫
権力と権威に没主体的な服従

 私は本欄で随時原理的問題に関する意見を表明することにしている。今回も先日の某高
 名教授の発言(国際政治はタテ軸とヨコ軸から考えねばならない)を補完する私見を述
 べる。「タテ軸、ヨコ軸思考では不十分である。ナナメ思考を加える必要がある」と―。
 とは言うものの体系的詳論の余裕はないので、二、三の事例を解説して問題の所在を指
 摘ないし示唆するにとどめる。

 現代国際政治社会における日本国民の欠陥はその非国際的美徳にある―という皮肉な逆
 説のことである。まず日本人の欠陥は権威と権力に対する没主体的服従にある。例えば
 敗戦となると一転して占領軍総司令官(マッカーサー元帥)に対する敬意と賛美の声が
 殺到した例でも分かろう。ここには「こと勿れ主義」と受け身の心理も共存する。

 また「ガイアツ」現象と「自虐」の心理も用意される。しかもそれは「サドマゾヒズム」
 の病理へと進行する(流行という権威―学歴という権威―中央指令への盲従なども右か
 ら派生した病理的心理でもある)。そしてここから力―強者への迎合や甘えの卑屈な心
 理も出てくるわけである。かくて奴隷の平和も崇高な目標と錯覚することとなる。「あ
 らゆる悪徳の中で最も醜い悪徳は卑屈である」(マルクス)。中国でのサッカー反日事
 件で中国を弁護した言論人、メディアを思われよ。

 次に情緒的思い入れによる現実感覚の喪失がくる。

 典型的な例は憲法だ。外国の軍事占領下で自由な国民意思も不在の状況で強要された
 (日本側は「脅迫」と受け取った)憲法に対する思い入れがそれである。ここには変動
 する国際情勢の危機に対する理性的対応は全くない。

現実的理性的な積極主義欠落

 憲法は独立回復とともに、たとえ内容は同じでも改めて自主的に制定すべきだったので
 ある。それをあたかも主体的に制定したかのごとく思い込み、主張する政党、憲法学者
 ―あるがままの事実をあるがままに見ることができず、思い込みに逃避する態度―これ
 は無責任と無思考の裏返しである。そして現実から報復が予想される状況となると今度
 は「ゴケン」「ソウケン」「ロンケン」「カケン」と饒舌の混乱である。これと保守的
 性格と煽動が結びつき集団主義の世論ともなるのである。そしてその反面現象として消
 極主義と受動性が顔を出すのだ。

 いわば主張し行動し説得する積極主義は全くないのだ。反日中国運動家とインタビュー
 してもお説拝聴だけで、内心の反対意見を日本人の立場から主張する態度はないのだ
 (インタビュー自体の意味は別としても―「諸君」12月号)。例えば条約で合意した相
 互の内政不干渉に反する相手国の精神文化への不当な介入に反論する自己主張の姿勢は
 ない。まさに自国の魂を売り渡す亡国の民の姿だ。この心理はエゴイズムへと枝分かれ
 もする。イラクへの自衛隊派遣もそれだ。そこには自国の安全保障を委ねている同盟国
 との決定的な重要性の認識は存在しない。

 自国さえ良ければとする一国平和主義の幻想しかなく、ジレンマに立つ日本外交の困難
 への洞察もなく、非道無惨なテロリストへの怒りも、国際協力政策上の具体案への苦悩
 も希薄である。米国からすれば、あれもできない―これもイヤだ―と非協力だった同盟
 国をいざというときに助けてなどやるものか―だろう。私は反対政党、世論の主張通り
 政府は責任解除宣言で野党政策を採用したらよいと思う。結果、日米関係の悪化と同盟
 の空洞化であり、日本敵視国家による安全保障の危機であろう。「困っているときの友
 こそ真の友」は国際政治でも同じなのだ。

国際関係に弱い女性的国民性

 そして結論―日本人は島国農耕民族からくる女性的国民性を有していて、大陸の遊牧狩
 猟民族的性格とは違う女性的男性の美徳を持ってきた。謝罪すれば水に流して許してく
 れる精神風土であり、また「和を以て尊しとなす」社会である。敵の墓を暴いて遺骸を
 取り出し笞打つこと三百(伍子胥)という百年経っても恨みを忘れない民族とは違うの
 だ。また米国人は「アメリカは常に正しい」とする宣教師的使命感をもつ国民であり、
 すべてをこれによって免罪する国民である。

 そして中東アラブ民族の烈しい性格は今更言うまでもあるまい。右に関する分析的例証
 は幾らでも可能だが、結局日本人の女性的男性の美徳(例えば、「死ねば仏やー」と米
 兵と日本兵を共に弔った例が先の戦争でも各戦線で見られたように―)は宗教、文化、
 国益の激突する修羅場である国際社会では悪徳に変質する、ということである。

 その源流はすでに女性心理学者の述べたところにある。「女性の特質はマゾヒズムとナ
 ルシシズムと受動性にある」(ドイッチャー)。国際関係における日本人の病理的性格
 はここにその原罪性をもつわけである。世界日報 掲載許可済み
Kenzo Yamaoka
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オランダで宗教戦争の様相   
   
 政府、イスラム過激派取締り強化へ
極右の支持が増大
 オランダで映画監督が殺害されて以来、オランダ人とイスラム系移民との衝突がエスカ
 レートしている。寛容な多国籍文化を誇ったオランダが“文化戦争”に突入している。
 お互いに強硬な姿勢を示しており、解決の糸口は見えない。

(ベルリン・豊田 剛・世界日報)掲載許可

 ゴッホ監督の友人は「オランダにも“ジハード(聖戦)”が始まった」とコメントした。
 ザルム財務相(副首相)は「イスラム過激派に宣戦布告する」と述べた。前衛的な映画
 作りで知られるテオ・ファン・ゴッホ監督(47)が十一月二日、モロッコ出身のイスラ
 ム系移民に殺害されたからだ。この事件を機に、オランダ人とイスラム系移民による摩
 擦が浮き彫りになり、宗教・文化対立がエスカレートしている。

 今夏、国営テレビで放映された短編映画「服従(原題・サブミッション)」は、イスラ
 ム女性の体にコーランが刻まれるなど過激なシーンが含まれており、イスラム過激派の
 怒りを買ったとみられる。事件現場には、製作に携わったイスラム系移民のヒルシ・ア
 リ議員に対する脅迫の手紙も発見されている。

 米同時多発テロやマドリード列車爆破テロのような大規模な事件ではないが、テロが身
 近なところに迫っていることを示した。

 殺害事件以来、オランダ人のイスラム教に対する憎悪が強まり、全国的に多くのモスク
 (イスラム教礼拝所)やイスラム系学校への放火(未遂も含む)が相次いだ。これに怒
 ったイスラム系住民による教会への放火が複数あった。このほか、手紙によるお互いの
 嫌がらせが多発するなど、宗教および民族衝突はエスカレートしている。

 表面的にはオランダで伝統的なキリスト教とイスラム教の「宗教戦争」の様相を呈して
 いるが、実際は「イスラム過激派」対「白人至上主義者」の戦いといえる。モスクが放
 火された田舎町ヘルデンには、移民排斥を主張する極右の若者が多いことが知られてい
 る。民族的優越意識がイスラム教への攻撃につながっている。一部の過激派による蛮行
 のため、オランダの約6%を占めるイスラム系住民全体が不安に陥っている。

 事件の数日後、オランダ国営テレビが放送した「最も偉大なオランダ人」では、移民排
 斥を訴えて殺害されたポピュリスト新党党首、フォルトゥイン氏が第一に輝いた。ゴッ
 ホ監督殺害事件の影響で、オランダ人の反イスラム感情が噴出したことを如実に示して
 いる。事件から一週間後の世論調査によると、トルコの欧州連合(EU)加盟反対を唱
 えて最大与党の右派・国民党から離党したウィルダース議員が結党した極右新党が10%
 超の支持を得ている。二年前のフォルトゥイン現象の再来を予感させる。

 二〇〇二年、事件直後に行われた総選挙では、フォルトゥイン党が第二党に躍進、移民
 の大幅な削減を実行した。これによって多くの移民は帰国を余儀なくされ、移民申請者
 数も前年度の半分まで減った。世論調査によると、国民の八割が政府の移民政策に賛成
 している。

 その一方で、移民の将来的な不安は高まるばかりだ。イスラム教徒はイスラムと非イス
 ラムの二つの文化の狭間で苦しんでいる。オランダのイスラム教徒は、モロッコ出身者
 が多い。治安担当者が現地メディアに語ったところによると、「彼らはモロッコに行け
 ばオランダ人と見られるが、ここではオランダ国民と見なされない」という。

 大半の移民は、十分な教育を受けず、仕事に就いていない。ロッテルダムにある移民支
 援機関は、アイデンティティーを求めて行き着く先がイスラム根本主義だと分析する。

 この事件をきっかけに、オランダではイスラム過激派の取り締まり強化への動きが加速
 している。バルケネンデ首相率いる中道右派政権は、具体的な容疑なしに拘束を可能に
 するなど、過激派の一掃作戦を計画している。政治主要都市ハーグでは、イスラム過激
 派のアジトとみられる住居を捜索、二人が逮捕されたもよう。

 また、議会はこれまで、オランダでイスラムを学んだイマーム(導師)のみにモスク運
 営権を与えるとの方針を固めた。また、反西洋的価値を教えるモスク、イスラム系ラジ
 オ局および関連ウェブサイトを閉鎖するとした。

 社民党などの左派野党は、政府や議会の強硬な姿勢が過激派をより刺激するとして批判。
 二〇〇二年以来、過激派グループに対する取り組みを怠り、テロの脅威を軽視したとし
 て責任を追及する構えを見せている。

Kenzo Yamaoka
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 『米軍再編と日本の外交戦略』ほか−編集委員 黒木正博   
   
 米軍再編と日本の外交戦略
「軍のかたち」を根本から変革/対中戦略で増す日米同盟の重み
 米大統領選でブッシュ氏が再選された。9・11テロを大きな転機とする米国の安全保
 障戦略は、アフガニスタン攻略、イラク戦争と、大量破壊兵器の脅威を含むテロとの戦
 いに大きくシフトした。

 大接戦だったとはいえブッシュ氏が再選されたのは、対テロ戦争という“戦時”に最高
 司令官を更迭するのはむしろテロリストを利するという米国民の強い意思を示すものと
 いえよう。

 その意味で、あと一期四年間のブッシュ政権とどう付き合っていくか。いや、付き合い
 という、生やさしいものではなく、グローバルな対テロ戦という事態に、日本としてど
 う米国の戦略に本腰で対応していくかということが厳しく問われてくるのである。

 その大きな試金石が「米軍改編」の問題である。ブッシュ政権の一期目の終わりごろか
 ら「米軍再編」の動きが浮上してきたが、再選によってこの世界的な流れはさらに顕著
 になってこよう。その再編の意味するものを根本的歴史的視点で説いたのが、「Voi
 ce」十二月号の中西輝政氏「米軍改編は日本のチャンス」である。

 米軍再編というと、わが国では「部隊や基地の移動」といった視点の情報に終始してい
 るが、中西氏によれば、そんな次元ではなく「米軍再編は日本国内のみならず、東アジ
 アや太平洋から全世界にわたる一大再編」であり、「米軍のかたちを根本から変革しよ
 うという」ものだ。

 二十世紀の「総力戦の時代」から、今世紀は敵の心臓部だけを攻撃し、テロに対しては
 徹底した情報戦を展開、さらには米国にとって有利なグローバルバランスを保つ上で軍
 事技術の革新(RMA)で世界を緩やかにパトロールする機能が求められているという。
 イラク戦争もその流れの一つなのだ。

 一方で、欧州駐留米軍の配置換えと司令部統合が進み、アジアでは在韓米軍が〇五年末
 までに一万二千人余が撤退する。こうした一連の動きは「米国が孤立主義になる」こと
 を意味するのではない。むしろ「国家戦略としての本来の柔軟性を確保する必要という
 戦略思想の根本的要請」から生じたものという。

 特筆すべきは「米国が重視する二つの島」という視点だ。中西氏は、「冷戦」という言
 葉をつくった著名な米外交評論家のW・リップマン氏の言を引いている。つまり、米軍
 は、米国の両海岸と海外領土以外に「どんなことがあっても二つの島―グレートブリテ
 ン島と日本列島―だけは守らなければならない」というものだ。この二つさえ維持して
 いれば、米国の世界的影響力は間違いなく確保できるというのである。

 中西氏によれば「(冷戦後)独仏などの欧州の自己主張が強まり始めた今、多国間同盟
 では各国のさまざまな思惑が絡み合い、きちんと機能しない可能性がすでに高まってお
 り、アメリカが冷戦時代に築いた同盟網はやがて次々と崩れていく」。「有志同盟」構
 築はその一形態といえよう。

 その意味では、米国(日本)にとって深刻な脅威として浮上した「中国の覇権・超大国
 化を阻むのは日米同盟以外にありえない」ということになる。

 米国に対しては「従属外交」とか「巻き込まれ論」といった批判がわが国内では左右両
 派を問わず一部に根強いが、たしかに米国の戦略はその国益に沿ったものであり、日本
 の安全が第一義では当然あり得ないが、重要なのは「『より少ない悪』はいずれか、目
 を開いて現実を見るべきである」。

 こうした状況を見据えれば「少しでも長く米国のリーダーシップを支えることが日本の
 根本国益にかなう外交戦略」とする中西氏の論は至当だろう。

“世紀の悪者”の野球改革論
メディアのあり方に一石/イエロージャーナリズムの危険性 

 たった一言の言葉がこれほど一人の人物のイメージを決定的にさせたことも、まれでは
 なかったか。日本プロ野球史上初となったストライキをめぐって、巨人軍オーナー(当
 時)の“ナベツネ”こと渡邉恒雄氏が吐いた「たかが選手」発言である。

 その渡邉氏が「文藝春秋」十二月号での手記「“世紀の悪者”にも言わせてくれ」で、
 その顛末(てんまつ)やプロ野球改革について語っている。野球機構の改革論がその眼
 目だが、ある意味でメディア論ともいうべき内容だ。言論にかかわる者にとって傾聴に
 値する部分が少なくない。

 「たかが選手」発言にしても、その前後の表現や事実関係が意図的に省かれ、「野獣に
 食いつかれた獲物の如くむさぼられ」、肝心な部分は「ゴミの如く捨てられてしまった」
 という、渡邉氏の「はめ取材」に対する怒りは大きい。もっとも、どこかそうした取材
 を楽しんでいる面もあるなど、一筋縄ではいかない人ではある。

 同氏の一連の言動をすべて是とするものではないが、出先のぶら下がり記者が取材対象
 者の片言隻句をとらえ、それをデスクが針小棒大あるいはセンセーショナルに見出しで
 報ずるという、いわゆる“イエロージャーナリズム”が陥る危険性には共感するものが
 ある。
 そして今回のプロ野球スト騒動をみても、渡邉氏が指摘するように、大手新聞間とくに
 朝日新聞との販売競争という激しい確執が背景にあり、その構造的な問題も視野に入れ
 なければならないということだ。

 「はめ取材」に対するワキの甘さは否めないが、渡邉氏としては一種のサービス精神な
 のだろう。ただ、一千万部を超す大新聞のオーナーとなった以上、他のメディアからは、
 いわば権力の象徴とも映る存在となった。

 マスコミ、言論人の「反権力」姿勢は、長い言論の自由との闘いで確保されてきた崇高
 な価値である。だが、それがややもすると、事実に基づいた論理と「木鐸」たる自覚に
 裏打ちされた論陣ではなく、単に「権力」のある人物や組織を叩く、売らんかなの報道
 になりかねない。

 渡邉氏のプロ野球改革論の中身について論ずる紙幅はないが、オーナーとしての自覚や
 責任からだろうが、よく比較される米メジャーリーグの制度・慣習や法的側面にも精通
 していることが、本稿でもうかがえる。

 表層的なプロ野球機構の批判ではなく、こうした本質的な論点で改革論議が行われるべ
 きだろう。世界日報 掲載許可
Kenzo Yamaoka

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