1818.北朝鮮のあせり



久々に北朝鮮問題が出ている。この考察。   Fより

米国の関心がイラク戦争になっているために、米国としては6ケ国
協議で平和的に北朝鮮問題を解決したのであるが、あまり北朝鮮に
興味がない。中国が北朝鮮の面倒を見ればいいと思っている。

米国としては、アルカイダなどに核兵器や大量破壊兵器がわたらな
ければ、北朝鮮のほとんどの人間が餓死しても、キリスト教の最後
の審判で死ぬ人たちであるから、死ぬのが早いか遅いかの違いしか
ないと見ている。特にブッシュ政権ではキリスト教右派の人たちで
国際協調など、あまり関心がない。国際派エリートを毛嫌いしてい
る人たちであるから、国際的な人道主義などもない。

このように、異教徒である北朝鮮国民が死ぬことに問題を感じてい
ない。そして、日本も拉致問題で誠意がない北朝鮮に対して、援助
をしようとはしないし、下手をすると制裁になる可能性もある。

韓国だけは親北朝鮮政権であり、北朝鮮の暴発を防ぐために北朝鮮
に観光旅行を奨励したり、工業団地を作るなど支援している。しか
し、この韓国の支援に北朝鮮は感謝していない。このため、この支
援の増強を北朝鮮は、歓迎していないような対応をする。

そして、だんだん北朝鮮を韓国以外の世界は忘れている。それだけ
、北朝鮮より大きな問題が起きている。イランの核兵器開発の方が
イラクに近いだけ、関心が大きいし、アラファトの死でパレスチナ
和平はどうなるのか、関心が北朝鮮に向かない。日本のように拉致
問題で関心がある国でも北朝鮮に援助をする気がないのであるから
、関心のない国は援助をしないでしょうね。韓国でさえ、これ以上
の支援を北朝鮮にできない。歓迎の表明がないことと、米国と日本
の目を気にしている。

しかし、それでは北朝鮮は成り立たない。援助がなくなると、北朝
鮮経済は、瀕死の状態であり、餓死者を出すことになる。また、麻
薬やニセドル札を管理していた担当者が米国に亡命するなどして、
不正なビジネスもできなくなっている。そして、とうとう国軍の兵
士に餓死者が出ている。このため、軍隊の間で食糧の奪い合いが起
こり、負けた軍が脱北をしていると聞く。反乱も起きているようで
あるが、外部からは見えない。

この軍隊の武装解除のため、中国も国境線に10万人の軍を派遣し
ている。ありえないことが北朝鮮で起こっている。都市の民間人で
生き残っているのは、少数なはずですね。農民も食糧を根のそぎ持
って行かれるので、来年の種がなくなる事態になっている。

このため、北朝鮮に関心を引き付けるために、金総書記肖像画撤去
というクーデターが起きたようなウソを演出してまで、北朝鮮に関
心を引こうとしたようだ。北朝鮮のあせりが出ている。しかし、こ
のようなことをすればするほど、呆れて世界は相手にしなくなって
いる。

とうとう、北朝鮮の最終解決に向けて、米国と中国は交渉を開始し
ているように思う。本格的に相手にしない策であろう。北朝鮮の海
域、中国国境からミサイルや麻薬、武器などを外に出さないという
封鎖でしょうね。米中ともに北朝鮮に関わりたくないようだ。

もういい加減にしてと私も思うし、日本の世論は北朝鮮への送金停
止、万景邦号の寄港停止、その他北朝鮮籍の船の寄港停止になる。
日本は一番、北朝鮮に厳しい処置をする可能性が高い。米国より日
本の世論に気をつけるべきである。

しかし、その後の異変も考えると、クーデターの可能性もまだある
ようだ。ケリーが負けて、北朝鮮は行き道をなくした。この決断を
した金正日委員長の権威がなくなったようにも思う。

AWSJの記事が面白い。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
AWSJ「北朝鮮に異変の兆し…、クーデターの可能性」
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2004/11/22/20041122000054.html

 香港で発行されているアジア・ウォール・ストリート・ジャーナ
ル(AWSJ)は22日、「現在、北朝鮮内部で起きていることを総合す
れば、一部の専門家によって北朝鮮内部で粛清や宮廷クーデターが
進められていると思われる」と、金正日(キム・ジョンイル)総書
記異変説を主張した。 

 同紙はこの日、「なぜ金総書記を信じるのか(Why Trust Kim?)
」と題した社説を通じて「金総書記がかなりの間、北の国営メディ
アに登場していない上、パレスチナ自治政府のアラファト議長が死
去した際、弔文を金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議議長の名
義で送るなど、異変の兆候が相次いでいる」としながら、このよう
に主張した。 

 同紙はなかでも、「敬愛なる指導者」という呼称の省略や金総書
記の肖像画撤去以外に、金総書記を非難するビラや落書きの発見(
独誌シュピーゲル最新号)、外国人専用電話使用中止、北朝鮮内の
携帯電話サービスの秘密警察組織による引き受け(英紙サンデー・
タイムズ、11月14日付け)などが権力内部の葛藤を示す信号だと指
摘した。 

 同紙はこれとともに、金総書記の権力衰弱化(demise)は今年初
めの妻・高英姫(コ・ヨンヒ)氏の死去と共に始まったという英紙
「ザ・タイムズ」の報道を引用し、最近、米大統領選挙で米朝2国間
協議を唱えたケリー候補の落選は、金総書記に追い討ちをかけるか
のような衝撃になったと主張した。 

 同紙は結論として「このすべてが北朝鮮に決定的に何らかの影響
を与えるかどうかは、北朝鮮の政権が崩壊しない限り判明されない
」とし、「しかし、いずれにせよ北朝鮮が自ら武装解除をするか、
崩壊する前には(北朝鮮を)孤立させるのが唯一な合理的アプロー
チ」と強調した。 

香港=宋義達(ソン・ウィダル)記者edsong@chosun.com 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「米ネオコン、金総書記追放をブッシュ大統領に圧力」
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2004/11/23/20041123000075.html

米国政権内のネオコン(Neocon/新保守主義者)らは北朝鮮の政権交代
に向け、ブッシュ大統領により強圧的な政策を駆使するよう圧力を
加えていると国際通信社であるIPSが23日報じた。 

IPSは「米国内のタカ派、北朝鮮の政権交代を推進」という見出しの
記事で、北朝鮮核問題の解決に進展がない場合、第2期ブッシュ政権
が直ちに強力な措置を取ることになるだろうと報じた。 

 ネオコンの代弁紙である「ウィークリースタンダード」の編集長
兼ネオコンシンクタンクである「アメリカ新世紀プロジェクト(PNAC)
」の所長、ウィリアム・クリストール氏はこれと関連し、今月22日
、ワシントン政界のリーダーらと報道関係者らに「北朝鮮の政権交
代に向けて」という声明をファックスで配布した。 

 同氏はこの声明で、アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)
のニコラス・エバーシュタット先任研究員が書いた「北朝鮮政権を
崩壊させるための戦略」、北朝鮮体制崩壊を仮想した外交戦略とシ
ミュレーションの必要性を申し立てた日本自民党の安倍晋三幹事長
代理の発言などを言及しながら、ブッシュ大統領第2期の最大先決課
題中一つは北朝鮮政権問題と強調した。 

 韓半島専門家であるAEIのエバーシュタット先任研究員は「ウィー
クリースタンダード」最新号(11月 29日付け)に掲載した「専制政権
を崩壊させよ」と題した論文を通じて、金正日(キム・ジョンイル
)総書記を追い出すための6つの戦略を提示した。 

 同研究員は北朝鮮に対し、核の放棄を説得する努力は徒労だとし
、第1期ブッシュ政権の対北朝鮮政策は「内部の軋轢によって麻痺」
していたと批判した。また、北朝鮮核問題はすなわち北朝鮮政権の
問題とし、北朝鮮で今よりまともな政権が発足しない限り、米国は
これからさらい深刻な危機に直面するだろうと警告した。 

 エバーシュタット先任研究員は韓国が「逃げる同盟(runaway ally)
」だという点と大学院課程の「平和学」図書リストによって統治さ
れる国だという点を認識しなければならないと強調した。 

 また、韓国政府内の柔和派を包容しようとするのではなく、彼ら
の頭の上で韓国国民と直接話し合いながら窮極的に同盟を回復して
くれることのできる韓国内の政治集団を建設、養成しなければなら
ないと力説した。 

 エバーシュタット先任研究員のこのおゆな構想と戦略は米国務省
副長官の起用が囁かれる不拡散問題担当のボルトン国務次官のそれ
と同じものであると伝えられている。 

ユン・ヒヨン記者 hyyoon@chosun.com 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
北朝鮮や台湾問題が焦点 米中首脳が会談

 【サンティアゴ20日共同】ブッシュ米大統領と中国の胡錦濤国
家主席が20日朝(日本時間同日夜)、アジア太平洋経済協力会議
(APEC)出席のため訪問しているチリのサンティアゴで会談す
る。両首脳の顔合わせは昨年10月のバンコクAPEC以来で、ブ
ッシュ大統領の再選後は初めて。
 会談では北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議や台湾問題で意見交
換。人民元の切り上げ問題や世界貿易機関(WTO)の新多角的貿
易交渉(ドーハ・ラウンド)促進なども焦点となる。
(共同通信) - 11月20日16時31分更新
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
対北朝鮮圧力へ見直し 米政権、拡散防止など強化

 【ワシントン12日共同】米大統領選での再選を果たしたブッシ
ュ政権が、2期目の対北朝鮮外交について、核開発を放棄させるた
めの6カ国協議の枠組み維持の基本原則を堅持する一方で、拡散防
止構想(PSI)や麻薬密輸取り締まりの強化など、一部政策の再
検討を進めていることが12日、分かった。
 米政府当局者や協議関係筋が明らかにした。
 また米国が北朝鮮に行ってきた食糧支援について、米政府は配給
状況を確認する現地モニタリングに改善がみられないと判断。10
月中旬にニューヨークで米朝当局者がこの問題を協議したが、進展
がなかったことから、今年の支援分は現時点で、7月に公表した5
万トンに制限する方針だ。
 ブッシュ政権は引き続き日本、韓国、中国などと協力しながら、
年内の6カ国協議開催を模索する考え。
(共同通信) - 11月12日16時55分更新
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
中国主席、再開を楽観視 北朝鮮6カ国協議

 【サンティアゴ20日共同】中国の胡錦濤国家主席は20日、
チリのサンティアゴでブッシュ米大統領と会談した際、最近の中国
・北朝鮮間の水面下での折衝から、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国
協議の再開に「楽観的」な姿勢を示した。米政府高官が会談後、記
者団に語った。
 同高官は年内の6カ国協議開催については「可能」との見方を表
明。具体的な日付や協議再開に向けたプロセスは依然不透明な状況
にあるとしながらも、中国の外交努力によって協議のこう着状態が
打開される可能性を示唆した。
 一方、パウエル国務長官は同日の記者会見で、台湾問題に関し
「ブッシュ大統領は中国の多くのミサイルが台湾に向けられている
事実に懸念を示した」と言明。首脳会談で中国側に「慎重」な対応
を促し、中国の軍事力増強を強くけん制したことを明らかにした。
(共同通信) - 11月21日6時30分更新
==============================
国際戦略コラム・北朝鮮拉致問題についての考えks_kiyo4
 
  今回も少しの進展を見ていますが「家族会」の納得はとうてい得
られる事は出来ないと確信します
へたな考えかも日本政府・北朝鮮政府・も心して取り組んで貰いた
い・要するに拉致被害者は何もかも当事国「北朝鮮・日本国」も充
分すぎるぐらい分かっているはず

まず北朝鮮国家元首がみずから全て指示したものか仮に指示があっ
たとしてもその後の処置を国にが「元首」が何もかも知りえていな
いと思われる日本に対して其の程度の考えであったと?しかるに急
に全てを開示するを望まれても恐らく今後とも出来ない「資料の欠
乏」当然無いだろうと思う・

 そこで日本政府も外務省も既に其の事は承知のはず全てを日本政
府が知らないはずが無いもし全てを知らない
と言うのであれば国民を愚弄している・しかし北朝鮮も日本の外務
省に申し出ていると思われる只このことを
はっきりすれば当事者の国「北朝鮮・日本」の今までのお互いの信
用問題になる北朝鮮も外務省担当官に言っている
事を此の際日本共々・国としてはっきり公言しお互いの国としての
あやまちを認めて何らかの謝罪をする事で解決を
図る事が良いのでは・北朝鮮の無謀な行動は厳しく悪と認め日本政
府も60年の長き渡り今回の事を多少とも知りながら
 国民に報告義務を果たさず敗戦国日本の北朝鮮に対する戦後問題
を放置した最悪の報いと・・・
此の際これ以上の北朝鮮の報告を望むのは恐らくむりとこれ以上の
回答はないであろう
日本の政治家もつい最近の事を政治の国会で
「忘れた・思い出せない・知らない」等々の答弁を平気で言ってい
る・ 知っていてもこれをいってしまえば過去の事は全て嘘になる
との思い・頑固に申し開きをしいるのであろう

失礼だが新聞紙面で見ている限り「暴力団」と言われる人達のほう
が人間として罪をはっきり認める力はりっぱ・

此の際拉致家族会の方々には気が狂いそうな結果でそれより両国か
らの謝罪で亡くなられたであろう方達の供養を一日も早くして上げ
る事を望まれてはと思います・

特に日本の過去の全ての総理の責任は重大である日本総理大臣から
先に今回の「罪」をはっきり認めるべきだ・両国の国際的「罪」の
認めがあればどうか「家族会」の溜飲を??
     
 11.16.pm11.00 s_kiyoc@ybb.ne.jp   阪本 潔
==============================
日朝実務者協議/徹底的な糾明を断固求める   
   
  平壌で行われた第三回日朝実務者協議は、北朝鮮が従来に見られなかった「協力的」な
 態度を示し、横田めぐみさんのものとする「遺骨」や、被害者六人の所持品や資料など
 を新たに提示した。また、めぐみさんの「夫」と名乗る人物とも面会できた。だが、い
 ずれも疑問符が付くものばかりだ。肝心の安否情報については「八人死亡・二人未入国」
 との従来の主張が繰り返されたにすぎない。
従来の説明はうそだった

 とりわけ横田めぐみさんについては、説明が二転三転している。「遺骨」はこれまで
 「不明」としていたのに、「夫」が死亡した二年半後に埋葬から掘り返し、焼いた上で
 骨つぼに保管していたとしている。にわかに信じがたい話だ。仮にこれが事実なら、
 「夫」が隠していたのか、あるいは上部からそう指示されていたのか。いずれにしても
 従来の説明がうそだったことは明白だ。DNA鑑定が待たれるが、「遺骨」が焼かれて
 いたので鑑定できるのか心配だ。

 これまで北朝鮮の提示した“証拠”には、百五十項目にわたる疑問点があった。これら
 を今回の資料と照合して、解明しなければならない。従来の八人の「死亡診断書」がこ
 とごとく偽造だったことを認めたように、どこまで本物なのか徹底調査が不可欠だ。

 今回の日朝交渉では、北朝鮮が今なお「対日テロ工作」を放棄していないのでないかと
 の疑念を改めて強めさせたといえる。

 第一には、横田めぐみさんの「夫」と名乗る人物が「特殊機関に勤務している」ことを
 理由に、顔写真や血液、毛髪の提供を拒否したことだ。なぜ、隠す必要があるのか。金
 正日総書記は〇二年の日朝首脳会談で、小泉首相に「(拉致事件を)これからは絶対に
 起こさない」とし「(特殊機関を)過去の遺物として整理していきたい」と言明したは
 ずだ。

 にもかかわらず「特殊機関」への勤務を理由に「秘密」を維持しようとする態度は、生
 存している拉致被害者もまた「秘密」にする必要から「死亡」とされているのではない
 か、との疑念を抱かせる。同時に今なお「特殊機関」が暗躍しているのではないかとの
 疑いも生じる。むろん、国家に特殊機関の存在は認められようが、拉致事件解決への真
 摯(しんし)な態度があるなら、なぜそこまで隠そうとするのか。その態度は、どう見
 ても尋常ではない。

 第二に、「よど号」犯の関与について北朝鮮は一貫してうそをつき続けていることだ。

 有本恵子さんと石岡亨さん、松木薫さんはいずれも、よど号犯グループと工作員によっ
 て欧州から連行された。八〇年四月にバルセロナで撮影された石岡さんとよど号犯の妻
 らとの写真も存在し、関与が自明なのに、北朝鮮は今回の日朝協議でもこれを否定した。

 なぜ、よど号犯グループをかばい、引き渡しを拒否するのか。それは隠し続けなければ
 ならない工作内容があるからではないのか。田口八重子さんの場合でも、大韓航空機爆
 破犯の金賢姫元死刑囚の日本人教育係「李恩恵」について、北朝鮮は沈黙を通している。
 拉致事件を清算し「対日テロ工作」を放棄しようとする態度ではない。

強い姿勢で交渉に当たれ

 米国では、十月に脱北者支援や拉致解決を迫り人権改善がない限り経済支援を行わない
 とする北朝鮮人権法が成立している。日本も北朝鮮に受け身ではなく、積極的に臨む施
 策が必要だ。このことも考慮して対北交渉に当たるべきである。世界日報 掲載許可
 
  Kenzo Yamaoka
==============================
韓国揺らぎ前途多難な六カ国協議   
   
 米韓合意裏切る盧武鉉大統領発言/20日首脳会談前に非外交的態度
外交評論家 村岡 邦男
米前政権譲歩と北朝鮮核問題

 ブッシュ米大統領の再選は、北朝鮮問題の解決を待ち望むわが国にとっては大きな朗報
 である。そもそも一九九四年の「米朝枠組み合意」によって解決したはずの北の核問題
 が再燃したのは、クリントン民主党政権が北との交渉で「してはならない譲歩」をした
 ためである。

 北が長い引き延ばしの末に国際原子力機関(IAEA)と保障措置協定を締結したのは
 九二年一月のことだった。同年五月、IAEAが査察を始めるとすぐ、北が原爆一〜二
 個分のプルトニウム(Pu)を密かに抽出していた疑いが生じた。IAEAが特別査察
 を要求すると北はこれを拒否し、核拡散防止条約(NPT)からも脱退した。

 六月にカーター元大統領が訪朝し、金日成と核施設を凍結する代わりに軽水炉を供与す
 ることを合意して、この危機は回避された。だが同年十月の「枠組み合意」で、疑惑を
 解明するためのIAEAの特別査察を、北の強い要求を容れて「軽水炉の重要部品搬入
 前」まで先延ばししてしまった。このため当時から「重要部品搬入前」にもう一騒動を
 免れないとの指摘があった。

 果たせるかな、〇五年と想定された「重要部品搬入」を前に、搬入時には特別査察の結
 果が出ていなければならないとする米側と、搬入直前に査察を始めるのが合意内容だと
 する北側との対立が表面化した。その交渉のために〇二年十月訪朝したケリー(Kel
 ly)米代表に北がウラン濃縮を認めたため、十一月に米国が重油提供を中断し、これ
 に対して北がIAEA査察要員を追放、昨年一月NPTを脱退、二月実験炉再稼働、と
 危機をエスカレートさせた。

 以上の経過から、クリントン政権の「してはならない譲歩」が今回の危機の原因となっ
 たことが明らかであろう。ケリー(Kerry)候補が当選すれば、対北宥和派の民主
 党系の官僚・学者らが再び対北政策を担当してさらなる宥和を続け、北朝鮮が核保有国
 としての地位を固める可能性が高まったであろうことは想像に難くない。

ブッシュ再選で強い態度示せ

 ケリー当選に賭けて六者会談を拒んでいた北朝鮮は戸惑いを隠せないでいる。今月初め、
 北朝鮮国連代表部の次席大使は米紙に対して、次回六カ国協議開催の前提条件として対
 北敵視政策の撤回、経済制裁の解除、対北人権法の廃止を要求した。北は今や核凍結で
 はなく、六カ国会議への出席に対価を要求し始めた。核放棄は遠のくばかりである。

 私は過去の経緯から見て、北朝鮮の核開発の狙いは、一部論者の指摘するような「外交
 取引の具」とするためではなく、あくまでも「核兵器獲得」にあると考える。だから、
 平和的な話し合いだけで金正日に核を放棄させることは不可能であろう。金正日が核放
 棄に応じるのは政権存亡の危機に追い詰められた時だけ、と考える。故に、北が六カ国
 協議への参加を渋るか、あるいは参加しても核放棄に応じない場合には、安保理への付
 託、援助の停止、大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)の実施、さらには軍事力の行使
 をも排除しない強力な圧力がかかることを明確に示すべきである。強い態度を示すこと
 によって初めて平和的解決が可能になる。第二期ブッシュ政権はその方向に向かうもの
 と思われる。

 このような政策の実施に当たっては近隣国の理解と支持を得ることが重要である。安保
 理付託には常任理事国である中国の反対を封じることが必要であるし、また経済制裁も
 中韓両国の協力がなければ実効は上がらない。

 その中で特に懸念されるのは韓国の動きである。盧武鉉大統領はチリで開かれるAPE
 C首脳会議の場でのブッシュ大統領との会談に先立って、十三日ロサンゼルスで講演を
 行い、「北が核とミサイルを外部の脅威から自国を守るための抑制手段と主張している
 のは一理ある」と、北の核開発に理解を示し、更に武力行使や北の内部崩壊も韓国に不
 測の損害を与えると述べつつ、「北は八七年以後テロをしたこともなく、テロ組織と連
 携している証拠もない」として、米国の制裁にも反対の意思を示した。

日米は韓中説得に努力が必要

 盧は昨年二月、大統領就任時には「北の核開発は容認できない」と明言し、五月のブッ
 シュとの会談では、北の核兵器除去へ向け対話と圧力が必要なことを確認している。盧
 の今回の発言は、この米韓首脳の合意に対する裏切りであり、これを首脳会談前に公に
 したことは極めて非外交的で、韓国内でも議論が沸騰している。二十日の両首脳会談は
 米韓関係のみならず、北東アジア平和のためにも極めて重要なものになろう。

 盧は十月のヴェトナム訪問の際には「日本も米国と異なる意見を持っている」と述べて
 いる。しかし、親北・迎合的な盧政権と、北の核全面放棄では米国と足並みを揃(そろ)
 える日本とでは、根本が全く異なる。小泉首相は年末の鹿児島会談で韓国側に誤解の余
 地を残さぬよう、日本の立場を明確に説明すべきだ。

 韓国が離反しては六カ国協議は成り立たない。米国も日本も今後中韓両国の説得には、
 北朝鮮に対する以上の忍耐と努力を必要とすることになりそうである。前途多難である。
(世界日報)掲載許可
Kenzo Yamaoka
==============================
金総書記肖像画撤去は北の体質反映   
   
 「外国向け」「後継関連」の2説
権力基盤弱体化の可能性薄
 北朝鮮の最高指導者、金正日労働党総書記(62)の肖像画が平壌の人民文化宮殿などの
 一部施設で取り外されたことが、関係国の間で注目を集めている。同国外務省当局者が
 「根拠のない捏造(ねつぞう)」と否定し、撤去の背景事情は明らかではないものの、
 金総書記の権力基盤が弱体化したわけではないとの見方が固まりつつある。(1)個人崇
 拝色を薄めて対外イメージ改善を狙った措置(2)後継者問題も絡んだ肖像画の「掛け替
 え」――の二説が浮上しているが、いずれにせよ、北朝鮮の「体質」を反映した動きと
 みてよさそうだ。

 ◇拉致問題と共通の手法か

 故金日成主席と並んでいた金総書記の肖像画が撤去されたとの話に、韓国の統一相経験
 者は「『独裁体制』という国際的な批判を払拭(ふっしょく)するのが目的ではないか」
 と指摘した。韓国政府当局者も「外部からの訪問者の目に付く施設で撤去されていたの
 がポイント」として、人民文化宮殿など外国人が訪れる施設で肖像画が外されたのは、
 撤去された状態を見せるためとの見解を示す。

 ただ、北朝鮮事情に詳しい消息筋は「外国にどう思われようが、それによって北朝鮮の
 本質が変わることはない」と語る。国際社会を意識して肖像画を外したとしても、「一
 時しのぎ」にすぎないということだ。その根拠として同筋が引き合いに出すのが、日本
 人拉致問題への対応だ。

 先に平壌で行われた日朝実務者協議で、北朝鮮は横田めぐみさんのものとされる遺骨や、
 彼女の写真を出した。しかし、人物と背景の樹木の影の向きが違うため、合成写真との
 見方が出るなど、疑問点も多い。同筋は「ごまかすことができればよい、というのが北
 朝鮮の本音」とした上で、「肖像画の話も同じことではないか」とみる。

 ◇掛け替えにも特別な意味?

 一方、金総書記の肖像画の掛け替えは、以前にもあったとの説がある。しかし、このタ
 イミングで新しいものに替わるなら、特別な意味を持つとも考えられる。

 労働党創建六十周年を迎える来年十月を機に、金総書記の後継者への権力継承が本格的
 に動きだすとの観測が、北朝鮮研究者の一部では根強い。今年五月ごろ死亡したとの説
 が濃厚な高英姫夫人と総書記の間に生まれた金正哲氏が後継者として固まったことを示
 唆すると解釈できる論説が、九月下旬に北朝鮮メディアで報じられたこともある。

 従来の肖像画は「描かれた金総書記は若く、現在の様子と懸け離れている」(韓国政府
 当局者)。もし、それが「温厚な『お父様』の印象を与える肖像画に替わるなら、後継
 問題について推測することが可能」(韓国・世宗研究所の鄭成長研究委員)と、後継者
 選出の進展を示す材料になるとの意見もある。

 肖像画は撤去されたままなのか、それとも別のものが登場するのか。国際社会は、重大
 な関心を持って見守っている。(世界日報)掲載許可
  Kenzo Yamaoka


コラム目次に戻る
トップページに戻る