1802.中国の今後について



中国の指導者は今、ある意味で安堵の気持ちでしょうね。ブッシュ
政権では元切り上げを強く言えない。しかし、中国の限界が見えて
きた。その考察。         Fより

中国は今後共に米国からの投資で、世界的な工場として経済を活性
化していこうとしている。インドのバンガロールはインフラ投資を
怠り、企業が逃げ出しているが、中国は国内インフラ投資を当初、
日本のODAで、今は中国自身の予算で積極的に行い、インドのよ
うな失敗をしていない。そして、米国の国際的な企業は、原価削減
策として、米国国内や海外の工場を中国に移している。

米国企業は管理部門だけが米国にある状態で、コールセンタもイン
ドに移している。しかし、ここでもインド人の英語が米国本土の英
語と違うことと、対応がまずいことでお客からクレームが来て、米
国本土に戻して始めている。デルもインドから米国にコールセンタ
を戻すと言っている。

このように中国経済はインド経済より発展を確かにしている。しか
し、その中国も限界が見えてきた。工場の品質向上は確かにいいが
、中国国内企業が作る製品の革新性、新規性がないことと、改善を
提案できない体質が、問題点を潰せないことになっている。組織に
おける技術者や事務系社員の民主化が課題として浮かぶ上がってき
ている。

中国の一党独裁体制は企業も同じで、社長や上司に逆らうことが出
来ない。逆らえば、即、首になる。それは国家のトップ層から下ま
で同じで、技術者のアイデアをくみ上げる機構がない。この根本は
、中国が民主化していないことによる。しかし、民主化すると、中
国からの独立すると地方が言い出すことになり、中国政府首脳は収
拾が着かなくなると感じている。

しかし、この民主化がないと、日本や韓国企業に追いつけない。日
本の技術者が韓国企業を指導しているが、日本人は独立心と組織を
うまくバランスさせている。特に技術者は事実に対する絶対心を持
っている。社長が反対しようと事実が上と感じている。これは神道
的な物の考え方である。全てに神が宿り、その神に従う、神の声を
聞くことが重要であると考えている。この感覚が中国人にない。
このため、トップの意見を無批判に聞くことになる。事実と違うこ
とでも、トップが言うことを否定できない。

しかし、民主化をすると台湾のように分離独立を言い始めることに
なるのも事実である。中国には多数の民族が住んでいる。元は北京
と上海も別の民族であったが、征服して漢字を共通語としただけで
ある。このため、現在も漢字は同じであるが、読み方は全然違う。
このような人たちが自由に意見が言える様になると、同じ国民とし
て文化・思想を共有できるとは考えられない。それは地域ごとに雰
囲気が違うことで分かる。

このため、民主化すると、地方政府が独立して、その上に今EUの
ような連邦制度に中国は変動していくしかないように感じる。その
連邦制度の中に台湾も参加するというような解決になっていくと考
えられる。

そうしないと、中国経済の次の発展が考えられない。とうとう中国
も次の発展を考えると民主化を視野に入れる必要が出てきたようだ
。そして、中国に投資していた米国の経済が益々減退して、中国へ
の投資もできなくなるような気がする。米国は安い労働力を中国に
期待してきたが、ドルが暴落し、かつ元は切り上げられると、この
労働力の安さという魅力も失くすことになる。この時、中国が次の
魅力を作り上げる必要があり、このためにも民主化が必要になって
いるようだ。

米国の覇権崩壊は中国の経済覇権(世界の工場)も揺るがすことに
なるようですね。どう出てくるか中国首脳の指導を見るしかない。
日本企業は、米国の動向と同様に、中国の経済・政治動向を睨みな
がら、ビジネスをする必要にある。米国が没落すると、世界が変わ
る。中国も変わらざると得ない。そして、日本も変わる。
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ブッシュ2期政権は一段のドル安放置か、赤字拡大も−リーマン
[ブルームバーグ]

  11月5日(ブルームバーグ):米証券大手のリーマン・ブラザ
ーズ・ホールディングスの通貨ストラテジー責任者、ジェームズ・
マコーミック氏は、2期目のブッシュ政権の為替政策について、
一段のドル安進行を放置する可能性があると指摘、顧客に対して、
ドルを売って円やオーストラリア・ドルの買い持ちポジションを増
やすよう勧めた。 

  マコーミック氏は、顧客向けリポートで、「ブッシュ政権は、
見て見ぬふりをする政策(ビナイン・ネグレクト)を続けそうだ」
と指摘、「米経常収支が、世界の政策立案当局者の間で大きな問題
になるなかで、ブッシュ第2期政権が公然とドル安政策に傾くリス
クがある」と指摘した。 

  同氏は、米大統領選挙でのブッシュ大統領の勝利は、長期的な
ドル見通しに「最悪の結果」と指摘、大統領には過去最大の財政赤
字を減らすことの動機がほとんどないどころか、赤字拡大をもたら
す可能性があるとした。米財政赤字に加え、米経常赤字も過去最高
の水準にある。 

  マコーミック氏は「ブッシュ大統領の税制改革と支出計画は財
政収支が向こう数年間に悪化することを意味する」と指摘した。
米財政赤字は9月30 日に終了した会計年度に過去最高の4126億ドル
(約43兆7377億円)に達した。 

  ブッシュ大統領が2001年1月に就任して以来、ドルは連邦準備
制度理事会(FRB)算出のドル・インデックス(貿易加重平均指
数)で21%下落した。ドルはニューヨーク時間午前9時51分現在、
ユーロに対して1ユーロ= 1.2885ドル(前日の遅い時間帯は1.2872
ドル)で取引されている。円に対しては1ドル=106円01銭
(同106円4銭)。 
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中国で広がる農民騒乱 半年で87件、数百人負傷(ASAHI)

 中国の農村部で、行政による土地開発をめぐり、農民と地元当局
との間で大規模な衝突事件が起きるケースが相次いでいる。警官隊
の発砲などで多数の死傷者も出ており、衝突は今年1月からの半年
間だけで全国で計87件にのぼるという。経済発展を続ける沿海部
の都市部との間に広がる経済格差に対する農民の不満が背景にあり
、中央政府も社会の不安定化につながるとみて警戒を強めている。 

 四川省漢源県で10月末、水力発電所建設のため農地や自宅を強
制的に立ち退かされた農民が数万人規模でデモをした。ただ同然だ
った補償額の上増しを地元政府に要求したものだったが、武装警察
と衝突し、農民の男性1人が死亡した。 

 群衆は衝突後、農民の遺体を掲げ、「汚職役人を打倒せよ」など
と叫んで地元政府庁舎付近をデモ行進。学校や商店は一時閉鎖され
、騒ぎは数日間続いた。香港紙によると、今月3日にも衝突が再発
。公安関係者2人が死亡し、農民を説得しようとした同省党幹部が
取り囲まれたという。 

 陜西省楡林市では10月初め、経済開発区建設のため農地を立ち
退かせようとする地元政府が警官隊を派遣し、座り込んでいた農民
と衝突した。関係者によると、数十人の農民が死傷。農民側は
約1万8000人を代表する緊急陳情書を胡錦涛(フー・チンタオ
)国家主席に送った。 

 福建省福安市でも今月4日、高速道路建設に伴う立ち退きをめぐ
り約1000人の農民が市庁舎付近でデモ行進。警官隊と衝突し、
17人が拘束された。 

 農業問題を扱う政府系研究機関は昨夏から約1年間、全国の農地
をめぐるトラブルを調べた。その調査結果によると、今年1月から
6月末まで、全国で130件の抗議行動などの事件が起きた。 

 うち87件は、農地立ち退きをめぐるトラブルが原因で衝突に発
展したケースだった。沿海部の周辺に集中し、多い順に浙江・遼寧
(各7件)、江蘇・河北(各6件)、山東・広東・甘粛(各5件)
の各省が並ぶ。 

 87件の衝突で農民3人が死亡、数百人が負傷し、160人余り
が拘束されたという。調査資料は「農地の強制立ち退き問題は、農
村の安定と発展のために最優先の解決が必要だ」としている。 

 中国では全人口13億人の7割を農民が占める。ここ数年、地方
政府が耕地を囲い込んで開発区計画を乱立。農民に安い補償金しか
払わず、法的手続きを経ずに開発業者に土地を売り渡すケースも増
えている。「失地農民」は全国で4000万人以上にのぼり、毎年
200万人以上のペースで増えるとみられる。 

 温家宝(ウェン・チアパオ)首相は10月末、国務院(内閣)の
全国会議で「農地を保護し、法に基づいて土地を管理し、農民の利
益を保障しなければならない」と強調した。しかし、中央政府の方
針が地方政府にまで浸透しにくいのが実情だ。 
(11/07 10:33) 

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