1779.読者の声



原油高騰と「イラク情勢混乱計画」
        ― 中東の混乱の長期化を狙うアメリカ ー
                2004.10.4   DOMOTO
               
 イラクを中心とする武装勢力などのテロによる中東情勢の混乱に
より、この半年間の原油高騰で、欧米の国際的な石油企業、特にア
メリカのエクソンモービル、BP、シェブロンテキサコなど、巨大
石油会社は、大儲けを続けている。
http://www.usmarketatlas.com/cl/infoseek/company/fundamental.jsp?sid=_snqrxmeoie4n&ticker=XOM
http://www.usmarketatlas.com/cl/infoseek/company/fundamental.jsp?sid=_snqrxmeoie4n&ticker=CVX 

[石油・エネルギー業種・企業一覧]
http://www.usmarketatlas.com/cl/infoseek/research/sector.jsp?sid=_snqrxmeoie4n&seccode=ENERGY 


 さて2004年1月11日に、アメリカの「ロスアンジェルス・タイム
ズ」はブッシュ一族と中東諸国との深い石油人脈の繋がりを特集記
事として掲載したそうだ。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4198618496/ref%3Dsr%5Faps%5Fb%5F/249-1969379-1635539 

 この記事の中では、ビンラディン一族はもちろんのこと、サウジ
アラビア、クウェート、シリアなどの富豪や企業、アブダビを本拠
とする国際的な犯罪を裏業務とするBCCI銀行などとのビジネス
に、ブッシュ一族は密接な関係を持っており、これらの関係は、い
まの43第大統領の父親である41第のブッシュ元大統領が、CIA長
官時代などを通じて作ったものであるということなどが書かれてい
るそうだ。 

 先週某テレビ局で、9月15日に開かれたOPEC総会での各国代
表のやり取りなどを映し、OPEC諸国にとっても中長期的に見て
、高過ぎる原油価格は自国にマイナスであるなどとして、対応に苦
慮していることを伝えていた。しかし、「サウジアラビア、クウェ
ート、シリアなど」中東の富豪や石油企業にとっては、エクソンモ
ービル、BP、シェブロンテキサコなどアメリカの巨大石油会社と
同様、大儲けを続けられ、笑いが止まらないだろう。
  
 ここでアメリカのイラク政策をべトナム戦争(1964―73年)と比
較して、再検討してみたい。
 ベトナム戦争にアメリカが勝てなかった理由は幾つもあるが、戦
争が10年も長期化した1つの理由に軍産複合体の圧力がある。「ベ
トナム戦争はアメリカが勝たなかった戦争だ」という事を読んだこ
とがあるが、ベトナム戦争を長期化したことによって、業界全体が
経営危機に陥っていたアメリカの軍事産業は、一転して息を吹き返
し、好景気が続くことになった。 

 ブッシュ政権が登場して紛れもない事実がある。それは政権発足
以来、原油価格は着実に上昇しているという事だ。
 OPECの供給余力の限界、中国などでの原油の需要急増、ヘッ
ジファンド資金の大量流入なども背景にあるが、イラク情勢の混乱
や将来のテロ続発への懸念など中東情勢の混迷化は原油価格上昇の
大きな要因だ。
 「現在の高油価には、投機家、心理的不安要因等が大きく影響し
ており、本来あるべき水準にかなりのプレミアムを加えている。」
http://www.idcj.or.jp/1DS/11ee_josei040930.htm 

 私は、アメリカ軍のイラク占領後、テロ・ゲリラ戦が拡大し始め
た早い時期(開戦前のアメリカの石油企業が目論んでいた青写真の
計算違いが判明した時点で)、ホワイトハウスは、イラク情勢の混
乱やイランの核開発問題を利用して、中東の中心に位置するイラク
の混乱を長期化させるように、計画を切り替えたのではないかと見
ている。
 アメリカの軍産複合体の圧力が、ベトナム戦争の長期化を要求し
たように、アメリカの「石油大統領」は、イラク情勢混乱を長期化
する計画によって、原油価格を高騰させ、石油企業の要請に応えて
いるのではないかと見ている。

 なお、9月2日までをまとめた日本総合研究所の調査部のレポー
トによれば、原油価格とドル、アメリカ株価との関係の最近の傾向
については、8月入り以降、原油価格との相関がドル、米株価とも
薄れてきており、特に「これまで原油高と負の相関が明確であった
米国株価が、8月初以降、原油高にもかかわらず持ち直すなど、米
国株価の原油離れが生じている」そうだ。
http://www.jri.co.jp/thinktank/research/economic/ire/2004/09.pdf 

 90年代以降、『原油高=ドル安』、『原油安=ドル高』の関係が
成り立ち、原油高は、アメリカの貿易赤字拡大をもたらすことが知
られているが、90年代の経済環境と異なり、アメリカはドルが下が
り、貿易赤字が増え続けても困らないそうで、1ドル100円になった
あたりで、「単独的」で、政治力を使った為替政策の用意があるそ
うだ。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4198618496/ref%3Dsr%5Faps%5Fb%5F/249-1969379-1635539

 ブッシュ政権は、既成の経済理論・政策理論では動いていない。

DOMOTO
http://www.d5.dion.ne.jp/~y9260/hunsou.index.html 
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占いよりはずれるかな?      虚風老 

 もし、北朝鮮が急速に流動化した場合のタイムテーブルじゃ。

2004
11月、米・民主党。大統領選勝利。

12月、米・政権交代。
国際間の協力を高く打ち出す。欧州は評価。
2005
1月、日米・米中・日韓対話。
東アジア枠組み構想の仕切り直し。
軍産筋から、ウォール街の金融筋への権力・政策主眼の移行
中国、元問題が大きくクローズアップ。
2月、旧正月後、中国側から、北朝鮮・金政権への締め付け。
   (圧力逃しは、ロシア方面。圧力はどこか開けとかんと、暴
    発するしの)
3月、米・朝対話。6カ国協議引き続き行う。

4月、<イラク問題の転換>
5月、日中首脳会談。(この為、靖国へは、この時期まで参拝等で
           刺激せず)
6月、日・米・韓(国際社会等)による北朝鮮へ強めの圧力。中国
   の外交理解。(つまり北への柔らかな変革要求)ロシアは、
   北擁護(軍事緊張を高めさせない政策)
   外交での6月攻勢。金一族の排除を狙う。
7月、金一族のロシア方面への亡命(これを排除して、個人独裁国
   家主義を捨てないかぎり、あの国は、にっちもさっちもなら
   ん)
北朝鮮・計画経済体制のまま(基本材の配給制の復活じゃな)集団
指導体制への移行。
中国モデルをとる。計画経済、強制力のある国家運営でないと、破
綻・即周りの国を大被害に巻き込む恐れあり。
韓国、北朝鮮への経済・資本支援。
8月、米・中(国連)軍事・人権査察。拉致問題査察・解明。
核物質・長距離ミサイル等の引き上げ。大量破壊兵器(B・C兵器
)の廃棄。
日朝国交正常化交渉を始める。
日本、資金・食糧・エネルギー支援。10年分割での計画。
北朝鮮再建計画(国連・・韓国、中、米、ロと共に参加6ヶ国協議
のメンバー主体やね)
9月南北交流。5〜10年後の南北統一を計画のテーブルに載せる。
北朝鮮の一部で、不安定化。(ここは備えておいた方がええど)
10月、東南アジアを含めた東アジア対話機構(アセアン+3)と
いう奴やね。
アジア海洋権利・治安問題討議。中国との海洋問題も話す。(尖閣
・竹島の領有問題は、恐らく先送りになるじゃろう。日本も引く必
要は無いしの。しかし、日中中間線の問題は、客観性が高いので、
米・欧州等を仲立ちに入れれば確定できるじゃろう。)

11月、来年のことを言うと鬼が笑う。。。。
                           虚風老
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なんで地熱発電は無視されるのでしょう? Colorful 
   
 いつも楽しく拝見しております。
一つ疑問があるので書かせてください。

コラム1766.日本の改革はどうするか??での
エネルギー政策の話でもそうですが、
自然エネルギーの話では太陽光や風力の話ばかりで、
地熱はいつも忘れられているんですよね。
原理的には、地下に穴を掘れば温度が高くなっていくわけで、
地球上のどこでも地熱発電ができますよね。
なにか不都合でもあるんでしょうか?
忘れられてるだけでしょうか?

いくつか地熱発電の弱点を考えてみました。
・地震の断層で地下のパイプが切断される
・太陽電池みたいに民間の開発がない。
 国の予算が原子力ばかりに取られて開発費用がない?
・高温の排水を出すと、水中の二酸化炭素が大気中に放出されて、
 温暖化を促進する。
ちなみに、どれも実地検証したわけではないです。念のため。

私の知識としては、木村愛二さんのサイトの
地熱発電の特集を読んだくらいです。
http://www.jca.apc.org/~altmedka/ron-41-hot.html 
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Re:なんで地熱発電は無視されるのでしょう? とら丸 
   
 > コラム1766.日本の改革はどうするか??での
> エネルギー政策の話でもそうですが、
> 自然エネルギーの話では太陽光や風力の話ばかりで、
> 地熱はいつも忘れられているんですよね。
> 原理的には、地下に穴を掘れば温度が高くなっていくわけで、
> 地球上のどこでも地熱発電ができますよね。
> なにか不都合でもあるんでしょうか?
> 忘れられてるだけでしょうか?

第一にボーリング費用と確実性と地熱供給の安定性が問題ではないかと
思われます。
地熱といっても採算性からどこを振ってもいいわけでなく、温泉を掘る
要領である程度、賭博性があると思われます。

そして現代の科学ではまだ採算ベースには難しいとい、うことでしょう
か。

しかし将来は有望で、もし適切に地温資源の位置を推測する方法が見つ
かれば、かつボーリング技術が進展した場合はきわめて有用な資源であ
ることは違いありません。
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Re:なんで地熱発電は無視されるのでしょう? 無責任男 

> > コラム1766.日本の改革はどうするか??での
> > エネルギー政策の話でもそうですが、
> > 自然エネルギーの話では太陽光や風力の話ばかりで、
> > 地熱はいつも忘れられているんですよね。
> > 原理的には、地下に穴を掘れば温度が高くなっていくわけで、
> > 地球上のどこでも地熱発電ができますよね。
> > なにか不都合でもあるんでしょうか?
> > 忘れられてるだけでしょうか?
> 
> 第一にボーリング費用と確実性と地熱供給の安定性が問題ではないかと
> 思われます。
> 地熱といっても採算性からどこを振ってもいいわけでなく、温泉を掘る
> 要領である程度、賭博性があると思われます。
> 
> そして現代の科学ではまだ採算ベースには難しいとい、うことでしょう
> か。
> 
> しかし将来は有望で、もし適切に地温資源の位置を推測する方法が見つ
> かれば、かつボーリング技術が進展した場合はきわめて有用な資源であ
> ることは違いありません。
> 

日本国内に限ればそれは難しいと思われます。何故なら地熱を採る
という事は他の所に出てる物を取ってしまう訳だから,温泉地など
観光地はこぞって反対するでしょう。
現実として温泉の掘り過ぎで枯渇してる温泉地も在ります(表向き
は出ませんが、たまに偽装がばれてニュースになりますが)。
温泉地などに影響与えないとなるとマグマ溜り位まで掘らなくては
ならないかもしれません。
そこまでしたらとても採算に乗るとは思えません。 
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(Fのコメント)
自然エネルギーで発電すると少電力しか1ケ所では得られない。
このためには、どこにでもあることや投資や設置が簡単とかの条件
をつけると、地熱発電は温泉地でしかできないように思う。

今、東京でも温泉が沸くが、1000m以上掘る必要があり、1億
円程度の掘削費用がかかるようです。それとイオウ等で機器の寿命
が短いこともネックのようですね。
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件名:CO2の削減  

「地球益」考慮し指導力発揮を
 地球温暖化防止のための京都議定書について、ロシア政府は批准方針を閣議決定、同議
 定書が来春にも発効する見通しとなった。
 ただ、各国の削減目標達成の課題や、米国の不参加などの問題も依然として残っている。
地球環境問題の視点必要

 批准後は、わが国には〇八年―一二年の期間に二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガ
 ス排出量を九〇年比で6%削減する義務が生じる。これに対し、従来、温室効果ガス削
 減について政府は〇二年に決定した「地球温暖化対策推進大綱」をもとに、産業、運輸
 各部門などに数値目標を定め、自主的な努力を促してきた。

 その結果、二酸化炭素の削減量で大きな影響を持つ大手の自動車、製紙、電器メーカー
 では、そのための生産体制へのシフトを、すでにほぼ完了させており、今後、大きな削
 減は望めない。

このため温室効果ガス削減の目標を実現するには他国の排出権を売買で獲得する必要があ
る。国内的にも、同様の「排出量取引制度」の整備を早急に検討すべきで、環境省が来年
度から予定している、企業の自主的参加による排出量取引の試行が順調に進むことを期待
したい。とはいえ、この制度は当面の措置としては有効だが、削減という課題への抜本的
な解決策とはならない。

 企業の削減努力とともに、生産メーカーのほか、運輸部門における排ガス規制、オフィ
 スビルにおける冷暖房管理、また国民生活の日常的な省エネ促進など、細やかで粘り強
 い取り組みが大切だ。

 この点、わが国は過去、高度経済成長の過程で公害問題が発生し、それを解決してきた。
 当時の公害問題の原因にはエネルギー問題があり、その対策の一つに省エネ運動があっ
 た。特に、昭和五十年代の石油ショック時には省エネ法が公布され、先進国の中で石油
 ショックを巧みに乗り切り、海外から一目置かれたこともあった。

 さらに、京都議定書全体の目標を全うするには、温室効果ガス排出規制問題が、このと
 ころ急激に悪化している地球環境問題の一つであるとする視点が重要である。そのため、
 今後、米国を参加させ、途上国を同枠組みに取り入れ、文字通り地球的、世界的な規模
 の環境運動として展開していかなくてはならない。

 今日の地球環境問題は極めて政治的な問題となっている。米国が脱退した理由は、自国
 の石油関連企業に配慮したことのほかに、同議定書で、中国やインドなどが対象外とし
 て二酸化炭素削減義務を負っていないことへの不満がある。実際、大国間のエネルギー
 問題の思惑、南北問題などが絡んで削減量の按配(あんばい)が図られた面も否定でき
 ない。

 総じて地球環境問題の解決に当たって、各国の対立の根は文化的なものにまで及んでい
 る。例えば大量消費、大量廃棄は問題解決を遠のかせる要因の一つとなっているが、そ
 れを米国文化であるとした場合、どこまでその非に言及できるか。

 京都議定書は、温暖化防止に向けた初の国際的枠組みであり、わが国の熱意が実った取
 り決めだ。しかし、以上のような重い課題がある。日本は資金繰りや南北問題の絡む政
 治問題解決のためにいっそうのリーダーシップを発揮していかなければならない。

共存共栄の精神を世界へ

 国益を超えた地球益を考慮する立場、人類の共存共栄、また人間と自然の共存という精
 神を、国内から世界に広げていくための手腕を発揮すべきである。
 世界日報 掲載許可済み
 
  Kenzo Yamaoka
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件名:国際活動、自衛隊任務の柱に  

テロ対処含め安保・防衛懇が提言
「多機能弾力的防衛力」整備を
 小泉純一郎首相の私的諮問機関「安全保障と防衛力に関する懇談会」(座長・荒木浩東
 京電力顧問)は四日午後、日本の安保戦略の方向性を示した報告書をまとめ、首相に提
 出した。海外派遣のための恒久法整備の検討など自衛隊による国際活動を積極的に推進
 するよう求めるとともに、テロなどに対抗する能力も含めた「多機能弾力的防衛力」の
 整備を提言した。

 提出を受け、首相は「報告書を参考にして年内には新防衛計画(の大綱)を策定したい。
 さまざまな脅威に機動的に、柔軟に対応できる体制を整備しないといけない」と述べた。

 報告書は、安保戦略の二大目標として「日本防衛」と「国際的安全保障環境の改善によ
 る脅威の予防」を併記することで、自衛隊による国際活動の重要性を強調。国際活動を
 従来の付随的任務から本来任務に格上げする必要性を示し、迅速に海外へ派遣するため
 の恒久法整備を促した。武器使用権限の拡大を含めた「治安維持のための警察的活動」
 を自衛隊が海外で行えるかの検討も求めた。

 必要最小限の防衛力整備を基本原則としてきた「基盤的防衛力構想」について、「国家
 からの脅威のみを対象にしていた」と見直しを提起したのも特徴だ。基盤的防衛力に代
 わり、テロなど非国家による脅威への対抗や国際活動に積極参加するための「多機能弾
 力的防衛力」の構築を掲げた。戦車など重装備部隊の「思い切った縮減・効率化」も打
 ち出した。

 また、世界規模の米軍再編(トランスフォーメーション)を「幅広い包括的な戦略対話
 の契機」と位置付け、積極的な取り組みを促した。時代に適合した新たな「日米安保共
 同宣言」と「日米防衛協力のための指針」の策定も提唱した。

 一方、対米技術供与を除き、武器の輸出を事実上、禁止した武器輸出三原則については
 「少なくとも米国との間で、武器禁輸を緩和すべきだ」としたが、具体案は政府に委ね
 た。  世界日報 掲載許可済み
 
  Kenzo Yamaoka
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件名:大量破壊兵器/発見なくとも開戦には根拠  

 米政府の調査団が開戦当時のイラクに大量破壊兵器はなかったとの最終報告を出したこ
 とで、ブッシュ米政権の同戦争に対する大義名分が崩れたと一部のマスコミが報じてい
 るが、本当にそうなのか。
イラクの非協力が原因

 最大の疑問は、なぜフセイン大統領が最後通告ともいうべき一昨年十一月採択の国連安
 保理決議一四四一に従って、査察を全面的に受け入れ、大量破壊兵器を保持していない
 ことを自ら進んで証明しなかったかの点だ。同決議は満場一致で採択され、湾岸戦争以
 来十七回、大量破壊兵器破棄と査察受け入れを拒否し、人権抑圧などを非難した国連決
 議を無視してきたイラクの現状を違法としたものだ。その上で同決議は現状継続は受け
 入れ難いとして、フセイン政権に軍縮と査察受け入れの最後のチャンスを与えた。

 査察は一時、進展したかに見えたが、イラクの非協力によって大量破壊兵器保有の疑惑
 は解明できず、イラク開戦となった。もしフセイン政権が同決議を受け入れて査察に全
 面的に協力すれば、米英軍のイラク進攻はなかっただろうし、同政権は今も安泰であっ
 たかもしれない。開戦の責任は何よりも身の潔白を証明しなかったフセイン政権にある
 といえる。

 現に、ブッシュ政権のイラク開戦を重大な判断ミスと批判している民主党の大統領候補
 ケリー上院議員も議会で“フセイン政権を危険な存在”として開戦決議を支持した。大
 量破壊兵器の存在を疑う者は少なかった。

 次に、決議一四四一だけでは、開戦の法的根拠としては不十分との主張についてだ。

 同決議はフセイン政権に国連の要請を拒否することを認めない強硬な内容で「これ以上
 の違反は受け入れ難い」としている。国連の専門家の間で、同決議は自動的に開戦を正
 当化するものかどうかについて当時激しい議論が行われた。

 このため、米英両国は武力行使を正当化する明確な新しい決議案を用意したが、提出を
 見送った。このように一四四一は開戦を認めるものかどうかについては今も“灰色”の
 決議とされており、同決議を根拠とした米英のイラク開戦を一概に“違法”と片付ける
 ことはできない。

 フセイン大統領が一四四一に従わなかった理由として、大量破壊兵器を保持しているか
 のように振る舞うことが米英の開戦を阻止する“抑止力”になると誤算していたともい
 われている。

 米国に亡命したイラク核研究計画の元所長マハディ・オベイディ氏によれば、同大統領
 は原子力エネルギー委員会をつくり、同大統領の指令があれば直ちに核開発計画は再開
 されるようになっていたという。

 米調査団報告も、フセイン政権が制裁解除後に大量破壊兵器計画再開を目指す「開発意
 図」を持っていたとしている。危険な意図と能力を持った同政権を打倒し未然に脅威を
 阻止したイラク開戦は、この点でも正しかったといえる。

 大量破壊兵器の有無よりもイラク戦の大義が「価値の戦い」であることを忘れてはなら
 ない。

広い視点で意義の理解を

 ケリー候補と異なり、ブッシュ大統領はイラク戦を「自由と人権への戦いの試金石」と
 見なしている。イラクでの成功は中東民主化の大計画の第一歩であり、究極的にはテロ
 リストに優る価値観を同地域に提示することでテロ撲滅に役立つだろう。

 イラク問題をより広い視点から見ない限り、開戦の意義は理解できない。
(世界日報)掲載許可済み
Kenzo Yamaoka
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(Fのコメント)
この報道は全然、違う。米国とイラク・フセインは大量破壊兵器査
察で秘密裏に合意していたが、米国はブッシュがその合意を無視し
て攻撃に出たことは、ボブ・ウッドワードの「攻撃計画」でブッシ
ュ自身が認めている。イラク攻撃の理由を無理やり付けただけです
よ。

明確に米国はイラク侵略戦争を意図していたことを、ブッシュ自身
が語っている。なぜ、世界日報はそれを無視するのか分からない。

逆に、フセインは米国侵略戦争を予測して、ゲリラ戦の準備を万全
にしていたことも明らかになってきている。全国の秘密倉庫・おそ
らくモスクに重火器、火薬などを分散配置したようですね。それと
ゲリラ戦の訓練をイラク正規軍兵士や民兵に行っている。

米国の大儀なき戦いであることが明確であるゆえに、米国はイラク
で苦戦しているのです。イラク国民は米国とその傀儡政権を拒否し
たのです。
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件名:台湾への武器売却阻む親中派  

 国防総省は最近、台湾に高速対レーダーミサイル(HARM)を売却する用意のあるこ
 とを台湾政府に通告した。
 これは、台湾政府からの要請に応えたもので、その中で台湾は精密誘導爆弾キット、J
 DAMの売却も求めている。このキットにより、台湾の保有する重力爆弾を衛星誘導の
 精密誘導爆弾にすることができるようになるが、JDAMの売却に関する決定は先送り
 された。

 国防当局者によれば、HARMは地対空ミサイルなどの防空レーダーを標的とするもの
 で、台湾海峡の両岸の軍事バランスを維持するために必要なものだ。同当局者はHAR
 M売却を台湾メディアが報じたことを受けて、売却承認を認めた。

 JDAMの売却が認められれば、台湾が強く求めてきた精密誘導爆弾による攻撃能力を
 備えることになる。

 台湾政府は、最大百八十億jの特別予算を米国製武器の購入に充てる用意があるが、議
 会での承認は来月まで延期されるもようだ。

 しかし米国防当局者は、HARM売却の決定がブッシュ政権内の親中派に妨害されるの
 ではないかと恐れている。親中派としては、ホワイトハウス国家安全保障会議のアジア
 専門家、デニス・ワイルダー氏が有名だ。同氏は、HARMは防衛ではなく攻撃のため
 の兵器だと主張する可能性がある。

 中央情報局(CIA)のアナリストで、ホワイトハウス出向中のワイルダー氏は過去に、
 台湾への武器売却計画の受注情報をつかみ、これを妨害したという経歴を持つ。

 CIAは、米国と台湾の軍部は、確立されたチャンネルを通じて情報交換すべきでない
 とする意味不明の報告を作成したことがある。

 台湾軍には中国のスパイがいると考えられるから、という理由からだが、国防当局者は、
 「推論にすぎない」とこの報告を退けた。

 ワイルダー氏は最近、台湾が必要としているパトリオット迎撃ミサイル(PAC3)の
 売却阻止を謀ったとみられている。

 ホワイトハウス当局者は、ワイルダー氏を、中台問題の誠実な仲介者と擁護した。

 ブッシュ政権は、二百億jとみられる台湾への武器売却を承認した。しかし、親中派の
 妨害により、七億jの装備売却以外は実施されていない。

(ビル・ガーツ&ロワン・スカーボロー)世界日報 掲載許可済み

Kenzo Yamaoka
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(Fのコメント)
米国ブッシュ政権内部にも親中派が多いことを知るべきである。
それだけ、中国は米国に入り込んでいる。米中間の経済的な結びつ
きが大きくなっている。このため、中米戦争前夜であるわけがない
。そして、中国への侵略戦争で米国に得る物がないどころか、失い
物が多すぎる。それと同じ理由で北朝鮮への攻撃もないでしょうね
。北朝鮮の自壊を待つという姿勢でしょうね。

しかし、スーダンには干渉する可能性がある。石油があるからです
よ。そのような観点がマスコミになさ過ぎである。
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件名:プーチン政権、ロシア軍改革を加速  

改革に抵抗の高官更迭も 来年度は国防費3割増 装備近代化、待遇改善へ

 プーチン政権によるロシア軍改革が加速しつつある。軍改革に抵抗してきたクワシニン
 元参謀総長一派を更迭するとの観測が流れるほか、戦闘能力に直接関係しない部隊を中
 心に、年末までに将校・兵士十万人を除隊させる計画だ。その一方で、来年度国防費を
 28%増額し、戦闘遂行能力の強化を図ると同時に兵士らの待遇改善を進め、深刻化する
 兵役逃れに対処する方針だ。(モスクワ・大川佳宏)

 十月一日から、ロシアでは秋季の徴兵が始まった(春、秋の年二回)。ロシア連邦軍は
 今季、十八歳から二十七歳の徴兵対象年齢層(兵役期間は一年半から二年)から、十七
 万六千人を招集する計画だ。しかし、兵役逃れの空気が社会にはびこる状態で、この数
 字が達成できるのか、疑問を投げ掛ける声は強い。

 上級兵によるいじめや、食事や衣服も満足に支給されないという新兵を取り巻く劣悪な
 状況をマスコミが繰り返し報じている。兵士脱走や、その武装した脱走兵による上官や
 同僚の殺害、部隊を動員しての脱走兵追跡などの事件も後を絶たない。それでなくても、
 武装勢力との戦闘が続くチェチェンに送られることを恐れる新兵は極めて多い。

 また、イスラム武装勢力による北オセチアの学校占拠事件後は、北カフカス系兵士への
 いじめも増加した。同事件の直後、エリート部隊とされるモスクワの内務省軍から北オ
 セチア系兵士五人が脱走する事件が発生した。ロシア紙によると、部隊に連れ戻された
 兵士の一人は、その両親が懇願した別部隊への異動が軍当局に拒否された後、除隊する
 ために自ら斧(おの)で、くるぶしから下を切断した。非公式な数字では毎年、脱走兵
 は数千人に上る。

 このような状態で、兵役逃れの動きが広がるのは当然だろう。公式データでは、入隊を
 免除されるために自らの身体を傷つけるケースは極めて少ないが、情報筋によると、入
 隊検査で「不適合」の診断を受けるため砂糖を吸い込み、レントゲン写真で肺を黒くし
 肺病を装うケースや、胃かいようと診断されるためにくぎを飲み込むケース。さらに、
 昇圧剤を服用し高血圧症を装うケースなどが続出しているという。

 これ以外にも、さまざまな“病気”にかかっている診断書を提出するなどして「入隊免
 除」と判断されるのは、入隊対象者十人につき六人に達するという。

 軍の危機的状況に直面しているプーチン政権は、軍の抜本的改革を加速することで、立
 て直しを図る構えだ。国家財政が原油価格の高騰で潤う中、二〇〇五年度予算案で国防
 費の28%増額を示したほか、国防予算の枠外で三十億ルーブル(約百二十億円)の追加
 支出を決定。軍装備の近代化を進めると同時に、兵士らの待遇改善を進める方針。

 その一方で、軍改革に抵抗してきたクワシニン元参謀総長の一派に属するコルミリツェ
 フ陸軍総司令官ら軍高官の更迭観測が広がっているほか、軍の戦闘能力に直接関係しな
 い体育学校教官や音楽隊、軍の医療関係の将校・兵士ら約十万人を除隊させる計画だ。
 軍内部の“うみ”を一気に出し、規律の回復を図る狙いが指摘されている。

 もっとも、新兵に入隊を躊躇(ちゅうちょ)させる最大の要因とされるチェチェン紛争
 については、状況が改善される兆しは見えていない。兵役を逃れようと逃げ回る若者を
 警官を動員して捕まえ、移動中に新兵が逃げ出さないよう護衛隊を組んで軍施設に送り
 届ける光景は、これからも毎年春秋、繰り返されるとの見方が多い。
   (世界日報)掲載許可済み
   
    Kenzo Yamaoka
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件名:米大統領選挙と「ユダヤ・マネー」  

ブッシュ氏への鞍替えが増加/伝統的な集金ネットワーク稼働
獨協大学教授 佐藤 唯行
選挙資金6割はテレビCMに

 政治資金は政治家にとり必要不可欠なものであり、しばしば「政治の血液」に例えられ
 てきた。今回のアメリカ大統領選挙でも、ブッシュ・ケリー両陣営が集めた政治資金は
 実に四億ドルを超え、史上最高の金額として注目を集めている。このうち、共和党のブ
 ッシュ候補は八月四日段階で、すでに二億二千八百万ドルを集め、民主党のケリー候補
 の一億八千六百万ドルを二割強上回っている。

 その実に六割までがテレビCM枠を買い取るために使われているのだ。インターネット
 時代の今日でも、候補者の印象を有権者に訴える威力において、テレビが大統領選挙の
 主戦場であることに変わりはないからである。

 こうした費用の大半は民間からの献金でまかなわれるのだが、そのうち、一般庶民から
 寄せられる小口献金の割合はそれほど重要ではない。今回の選挙ではインターネットを
 利用した個人によるネット献金の急増が注目されているが、その額はケリー陣営が集め
 た献金の三割に留まる。またブッシュ陣営にいたっては僅か3%にすぎない。献金の大
 半は、企業、団体そして大富豪からの、昔ながらの大口献金によって集められたものな
 のである。

 そして、献金に励む大富豪たちは、自分が応援する候補が、はれて当選したあかつきに
 大使などの名誉職へ任命されることを期待して札束を差し出すのである。

 この献金をめぐっては、ユダヤ人社会の動向が選挙のたびごとに注目を集めてきた。い
 わゆる「ユダヤ・マネー」の存在である。過去半世紀以上にわたり、ユダヤ人社会は民
 主党の政治献金全体のおよそ半分を提供してきた。ハリウッドのメディア産業、ウォー
 ル街の投資銀行、不動産業といったユダヤ人の存在感が大きな産業には同胞の大口献金
 者を探し求めるユダヤ系の募金活動家たちの人的ネットワークが網の目のごとく張りめ
 ぐらされ、民主党にとり最も重要な集金場が形成されていった。

“イスラエル寄り”外交に感銘

 一方、重厚長大型の伝統的大企業からの献金に依存してきた共和党の場合、ユダヤ人社
 会との結びつきは弱く、「ユダヤ・マネー」は政治資金全体の約二割に留まっている。
 とはいえ、ブッシュ大統領が行ってきた予想外とも言うべきイスラエル寄りの政策に感
 銘を受けたユダヤ人大富豪は少なくない。彼らの中には、前回は民主党のゴアへ献金し
 ながら、今回はブッシュへ鞍替えした者が増えている。従って、共和党への献金全体に
 占める「ユダヤ・マネー」の比率も、従来の「二割」をかなり上まわるものと予想され
 よう。

 こうした多額の献金をユダヤ人社会は、何故、またどのようにして集めることができる
 のであろうか。まず言えることは、全米屈指の大富豪が多いからである。総人口の2%
 弱にすぎぬアメリカ・ユダヤ人は個人資産十億ドル以上の大富豪(ビリオネアーズ)の
 実に24・8%(二〇〇三年三月三日)を占めているのである。

 さらに、ユダヤ人の集金術が古来からの宗教的伝統により磨きをかけられてきた事実も
 忘れてはならない。ユダヤ人社会の中では宗教的な慈善金を同胞から組織的に集めるこ
 とは祈り、学習と同様に、ユダヤ教で定められた重要な掟であったからである。すでに
 中世の昔から、各地のユダヤ人社会では慈善金の集金・配分のシステムが確立・運営さ
 れていたのである。そして、この宗教上の慈善金集めのネットワークが同時に政治献金
 集めのネットワークとしても利用されているのだ。

 これこそ、ユダヤ人の金集めの強みといえよう。

富豪たちの募金晩餐会で集金

 大口献金を集める中心舞台となるのが、各業界ごと、地域ごとに開催されるユダヤ人富
 豪層たちの募金晩餐会である。そこでは出席者から効果的に金を集める技法が昔から開
 発されてきた。そうしたひとつ、一九三〇年代初めに考案された「姓名読みあげ方式」
 は、演壇の主宰者が、ひとりひとりの姓名と前回の献金額を大声で読みあげ、今回はい
 くら献金するのか、衆人環視のもと、本人に誓約を求めてゆく手法である。その際、最
 高の献金額を提示することが予想される人物の名を一番最初に読みあげることで後に続
 く者たちにプレッシャーをかけることも忘れてはいない。

 また、「玉転がし」と呼ばれる別の方法では、出席者のひとりひとりの懐具合を熟知し
 ている地元ユダヤ人社会や業界の消息通が司会者に選ばれる。そして司会者自ら率先し
 て、自分の献金額を公表し、その後、各出席者にいくら献金できるのかを尋ねてゆくの
 である。
 金銭的には充分な成功を収めたが故に、献金を通じて同胞社会の中で名声を得ることを
 望むユダヤ人富豪層の心理を巧みにとらえた見事な技法といえよう。金儲けの達人、ユ
 ダヤ人は同時に金集めの達人でもあるのだ。世界日報 掲載許可済み
Kenzo Yamaoka
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件名:パレスチナ民族評議会のファイサル・フェラニ議員に聞く  

パレスチナ問題の解決は当分ない
さらなる流血と悲劇発生も
イスラエルは占領地の返還を

 パレスチナ情勢はエスカレート、イスラエル軍はパレスチナのガザ地区でパレスチナの
 過激派グループの壊滅に乗り出す一方、イスラム根本主義組織「ハマス」はロケット弾
 で反撃、多数の死傷者を出している。そこでパレスチナ民族評議会のファイサル・フェ
 ラニ議員(作家)と会見、インティファーダ(反イスラエル闘争)が開始され先月末で
 四年目を迎えたパレスチナ情勢について聞いた。(聞き手=ウィーン・小川 敏)

 ──国連安保理は五日、アラブ諸国が提出したイスラエル非難決議を否決した。米国が
 拒否権を行使したからだが。

 米国が拒否権を行使すれば当然の結果だ。ただし、安保理の多数はイスラエルの軍事攻
 勢の停止を要求している事実には変わらない。反イスラエル決議案は常に米国の拒否権
 行使で葬られてきた。なにも新しいことではない。米国が中東に和平をもたらす国では
 ない、ということを改めて証明しただけだ。米国は完全にイスラエル寄りであり、イス
 ラエルを背後で支援している。

 ──ダンフォース米国連代表は「決議案はパレスチナのロケット攻撃については言及し
 ていない。内容にバランスに欠ける」と指摘、拒否権行使を弁明した。

 米国の主張は滑稽(こっけい)なだけだ。一方はカッサムと呼ばれる原始的なミサイル
 を使用、他方は最新の近代的武器で攻撃する。どこに米国が主張するバランスがあるの
 か。問題の核心はどちら側が占領国かだ。パレスチナ人が占領しているのか、イスラエ
 ルか。米国はこのシンプルな事実ですら正しく理解できないのだ。パレスチナは数百人
 の戦闘家を抱えている一方、イスラエルは世界最大の軍事国の支援を受けている。その
 ような中で、どうして「バランスが欠けている」などと言えるのか。

 ──パレスチナ自治政府はイスラエルの軍事攻勢をストップさせるためハマスにロケッ
 ト砲の攻撃中止を指令できないのか。

 どこにパレスチナ自治政府が存在するのか。イスラエル軍はパレスチナのすべての機関
 を破壊してきた。警察官もいない。彼らは銃すら保持していない。手を縛ってから泳げ
 と命令しているようだ。滑稽以外の何物でもない。何も持っていないパレスチナ自治政
 府にハマスの軍事攻勢をスットプせよと言っても無理がある。パレスチナには権限を有
 した本当の機関が存在しないのだ。

 ──インティファーダが始まって先月二十八日で四年目となったが、インティファーダ
 の過去四年間はパレスチナに何をもたらしたか。

 インティファーダについてはいろいろなロマンを語ることもできるが、私にはパレスチ
 ナ民族の占領軍への抵抗活動を意味する。イスラエルの占領が続く限り、抵抗活動は至
 る所で継続されるだろう。その活動が成果をもたらすか、敗北を喫するかは別問題だ。
 残念なことだが、パレスチナ問題の解決はここ当分考えられない。米国、イスラエルの
 政策に変化がないからだ。一方、パレスチナ人の状況はすでにどん底にあり、パレスチ
 ナ情勢は将来、さらなる流血と悲劇が予想される。

 ──来月に実施される米国の大統領選後、パレスチナ問題の和平交渉に新しいインパク
 トが与えられると期待しないのか。

 アラブでは面白いジョークがある。アリ・ドンキーという名前の男がいた。多くの人が
 名前が良くないから変えた方がいいと助言した。そこでその男はモハメット・ドンキー
 に改名した。米大統領の変化はそのようなものだ。なぜなら、米国は中東政策を変更し
 ないからだ。パレスチナ問題で米国の立場はどのような大統領が選出されようが変わら
 ない。

 ──パレスチナで年内に地方選、来年に議長選、議会選が予定されている。

 それはパレスチナ人の希望にすぎず、選挙が実際実施されるかは不明だ。イスラエルが
 パレスチナ人に真の選挙実施を許すとは信じられない。イスラエルが承認しなければ選
 挙など実施できない。イスラエル政府がパレスチナ民族指導者により大きな権限を付与
 する選挙の実施を認めるだろうか。

 ──ハマスは民族評議会選に参加を希望、パレスチナの政治プロセスに参画の意思表明
 をしている。

 パレスチナ人は選挙など実施されないと思っている。しかし、選挙が実施されるとした
 場合、ハマスはそれに積極的に関与してくるだろう。ハマスは軍事組織から政治組織に
 次第に変身してきている。アラファト議長がイスラエルから攻撃されている限り、パレ
 スチナ社会で人気があるように、ハマスもイスラエルを攻撃している限り、パレスチナ
 人の間で人気を維持できる。しかし、その社会政策や政治信条を支持するパレスチナ人
 は多くはない。

 ──あなたの見解ではパレスチナでの和平の見通しは暗いということになる。

 和平実現はイスラエルが占領領土をパレスチナ人に返還するかどうかに懸かっている。
 イスラエルの政治勢力で領土返還に「イエス」と返答した政治グループはいない。レバ
 ノンでイスラエルが99・99%の土地を返還したとしても、残りの0・01%の領土
 奪回のためにレバノン人は抵抗運動を続けている。パレスチナ人のレジスタンスはそれ
 よりもさらに深刻だ。世界日報 掲載許可済み
 
  Kenzo Yamaoka

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