1753.北朝鮮爆発事件とイラク情勢



北朝鮮の爆発はなかったと韓国政府は発表。これと同期して米国の
イラク大量破壊兵器の発見困難の発表。2つを考察  Fより

韓国は、北朝鮮の大爆発はなかったとして、発表を撤回した。しか
し、なぜ米国の情報を確認せずに、北朝鮮の核実験と思わせること
を発表したのであろうか??

北朝鮮は10月に向けて、核実験を計画しているが、その実験をし
た時に世界の反応が大変になることを、韓国としては誤報を流すこ
とで北朝鮮に知らせるためではなかったかと思う。もしかしたら、
事前に米韓で作戦を練った可能性もある。

これで、北朝鮮は10月の核実験をこの事件でできなくなったでし
ょうね。そして、それに伴いブッシュ大統領が想定してたオクトー
バ・サプライズ計画(北朝鮮攻撃)も御破算になったように思う。
この裏にも米国・国際派の仕掛けを感じる。

この事件と同期して、イラクでの大量破壊兵器は発見できないと発
表、かつアナン事務総長が「イラクへの米英攻撃は、国際法上違法
である。」と発言。これに対し、日本や豪州は直ぐに反論したが、
米国は数日後、日豪からせっつかれてやっと反論している。これも
裏に共和党の国際派・リアリストが関わっている可能性がある。

米軍はイラクのゲリラ戦でどんどん泥沼化している。米軍は1日百
回以上の攻撃を全国で受けている。イラク人の米軍スパイはほとん
ど殺されたようであり、米軍の味方がイラク民衆の中に居ない状況
になっている。このため、ファルージャでの攻撃が民衆を巻き添え
にしている。このため、益々米軍とその傀儡政権への支持が無くな
るという悪循環になっている。そしてシーア派もスンニ派も反米闘
争に一致協力し始めている。これを旧イラク政府軍人が指揮してい
るようだ。攻撃が巧妙である。

それに輪を掛けて、NATO軍が暫定政権のイラク治安部隊の訓練
をする計画に仏などが反対して頓挫しそうである。このため、急遽
イスラエルで、ゲリラ戦の訓練をする方向で調整している。しかし
、状況は益々悪くなり、治安部隊への攻撃も多く、治安部隊から逃
げ出すイラク人が半分以上いるという。ほとんどはファルージャの
イラク守備隊と同じで、そのまま反米武装組織になっている。残っ
ている治安部隊も反米組織(民衆)への攻撃も拒否しているようだ。

このため、バクダッドの中心部であるグリーンベルトへも侵入でき
るようになっている。相当の反米組織のスパイがグリーンベルト内
にいる。そして、イラク暫定政権のアラウィでさえバグダッド自体
の陥落を危惧し始めている。このため、来年1月の選挙を実施でき
る状況ではない。スンニ派地域だけでなく、シーア派地域も暫定政
権の施政権が及ばなくなっている。

しかし、その事実を11月の大統領選挙までは米国政府としては認
めることができない。しかし、CIAは悲劇的な見通しを文書化し
ている。陥落まであと何日かという状態になっている。日本の自衛
隊をいつまで、そのような状態のイラクに駐留させていくのでしょ
うね。
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イラク、来年末までに内戦突入も=米機密文書が悲観的見通し
                       −NYタイムズ

 【ニューヨーク16日時事】16日付の米紙ニューヨーク・タイ
ムズ(電子版)は、複数の米政府高官の話として、7月にブッシュ
大統領のために情報機関が作成した国家情報評価の機密文書が、イ
ラクの前途に関する悲観的見通しを明記していると報じた。最悪の
ケースでは、来年末までに内戦につながる可能性のある事態に発展
すると予測しているという。 
(時事通信) - 9月16日15時0分更新
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NATO、イラク治安部隊の訓練計画“難航” 仏、ベルギー、
スペインが反対(産経新聞)
「テロ標的に」「応分の財政負担を」

 【パリ=山口昌子】イラクの治安悪化がさらに深刻となる中、北
大西洋条約機構(NATO)が実施を決めたイラク治安部隊の訓練
計画がフランスとベルギーなどの反対で遅れている。デホープスヘ
ッフェルNATO事務総長は二十日の会合で派遣の詳細などを決定
したいとしているが、合意の見通しは立っていない。

 NATOによるイラク治安部隊の養成・訓練は六月にトルコ・イ
スタンブールで開催された首脳会議で原則合意し、八月初めには約
四十人の「先遣隊」を派遣し、イラク人将校の訓練に着手。九月中
には本格的派遣に関する詳細を決めることになっていた。

 しかし、十七日にオランダのノルトウェイクで開かれた欧州連合
(EU)国防相非公式会議の合間に、NATO加盟二十六カ国の国
防相級が協議したが、フランス、ベルギー、スペインが財政問題な
どで米国と対立し、合意に至らなかった。

 フランスは六月の首脳会議でも米国主導のNATO軍と米軍はイ
ラクで同一視され、テロの対象になるなどと指摘。NATOの枠組
みによるイラク国内での訓練に反対し、独自に「イラク外」での養
成を計画中だ。フランスは、先遣隊はもとより本隊派遣にも基本的
には参加の意思がなく、「参加しても多くて十人程度」(仏筋)と
いう。

 財政問題に関しても、米英がNATOとしての「一括負担」を主
張しているのに対し、フランスやベルギー、スペインは派遣状況に
応じた「応分の負担」を主張して対立している。

 デホープスヘッフェル事務総長は「すべての同盟国はNATOが
この任務をできるだけ早急に開始すべきだと考えている」と述べ、
二十日に再度、開く会合での合意に期待感をにじませているが、「
妥協点が容易に見いだせるかは疑問だ」(仏筋)との見方が強い。
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北朝鮮爆発「なかった」と韓国 キノコ雲は「自然の雲」(ASAHI)

 北朝鮮北部両江道(リャンガンド)金亨稷(キムヒョンジク)郡
で、8日から9日にかけて大規模な爆発があったとされる問題で、
韓国の李鳳朝(イ・ボンジョ)統一省次官は17日、「爆発の兆候
があったと疑った地域で爆発はなかったようだ」と述べた。衛星写
真が撮影した煙と見られるキノコ雲も「自然の雲の可能性が高い」
と結論づけた。 

 李次官はまず、8日夜に同国北部で観測され、爆発説の根拠とさ
れた地震波について「衛星写真が雲をとらえた場所から100キロ
以上離れた(中朝国境の)白頭山地域での火山活動と見られ(雲と
は)無関係と確認した」と述べた。さらに衛星写真で捕らえた煙と
みられるものは、現地の地形と気象状況から分析して自然に発生す
る雲だと判断。「爆発があったことを裏付ける追加情報がない」と
語った。 

 李次官はさらに、爆発は金亨稷郡から数十キロ離れた両江道三水
(サムス)郡で行われた水力発電所建設に伴う発破だったとする北
朝鮮の主張について「韓国から500キロ離れており、小規模な発
破だった場合、感知するのは困難」と述べ、韓国政府としては地震
波を確認していないことを明らかにした。16日に、建設現場を視
察した西側外交団の情報を綿密に検討する考えも示した。 

 韓国政府内には当初、衛星写真で捕らえた「煙」と地震波の観測
を根拠にして、北朝鮮で大爆発が起きたとの見方が浮上した。鄭東
泳(チョン・ドンヨン)統一相が12日に公表すると、核実験やミ
サイル爆発、あるいは大規模列車事故が起きたなどの説が流れた。
だが、北朝鮮が13日に発破だったと反論したのを受けて、情報の
確認と分析が進められていた。16日に撮影された韓国の多目的実
用衛星アリラン1号による衛星写真でも、爆発を裏付ける痕跡は見
られなかったことから、爆発自体がなかったとの結論に達した模様
だ。 

 この問題では、偵察衛星などによる確度の高い情報を持つ米国の
パウエル国務長官が14日、「彼ら(北朝鮮)が提供した情報は、
私たちが見たものと一致している」と発言、韓国に先駆けて北朝鮮
の発破説を追認した。このため、韓国政府の情報収集・分析能力へ
の疑問に加え、米国から十分な情報提供を得られていないとの批判
が高まっていた。これに対し李次官は、「衛星写真によって得られ
る情報は、韓米でうまく共有している。北朝鮮に関してはどんな小
さな情報でも安保に与える影響を検討している」と反論した。
 (09/18 01:40) 
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(アラブの声)イラクの著名元外交官で研究家が明かすイラク抵抗
勢力の真実
http://groups.yahoo.co.jp/group/voiceofarab/
 イラクの抵抗勢力による米占領軍への襲撃は増加しているが、その活動のの
実態は霧に包まれている。エジプトの週刊紙アル・アハーリーは8月25日、
イラクの署名な元外交官で研究家サラーフ・アル・ムフタール氏が語る抵抗勢
力誕生の経緯と現状分析を掲載した。
 
 ムフタール氏は、四半世紀にわたりイラク内外で活動してきたイラク人の中
でも数少ない研究家である。1980年にイラクの国連使節団の報道顧問を初
めとして、諸外国で特命全権大使を務めた。
 
 抵抗勢力の現状を語るには、過去に遡る必要がある。人民戦争、別名都市ゲ
リラ戦戦略を採用し、それへの準備は1990、1991年のクウェイト危機
に遡る。圧倒的な技術的、軍事的優越だけでなく、兵因数の点でも物量におい
ても同盟軍が勝っていたから、正規軍による戦争では最終的に、米軍とその2
8の同盟国軍が勝利を収めることはイラクの司令部には分かっていた。
 
 そこで当時、数十年前から存在する、独立の志願兵組織に加えてバース党民
兵を含む準軍事組織に対する、都市ゲリラ戦の訓練が実施された。またそれら
の構成員に中小の火器が配備された。軍事部門が崩壊した時には、武装人民抵
抗組織が機能するように、その任務と責任は、党と国家の幹部に振り分けられ
た。
 
 この準備の一環として、正規軍の戦争中にもゲリラ戦を実行するあらゆる種
類の戦闘員を召集するイラク軍から成る重要な部門が準備された。しかし、
ジョージ・ブッシュ(父親)米大統領が1991年2月28日に一方的な停戦
を発表したため、イラク国内の都市でゲリラ戦を実行に移す機会は無かった。
 
 イラクが戦略的な都市ゲリラ戦を採用すると最初に指摘したものは父親ブッ
シュである。すなわち、彼はクリントンとの大統領選に敗れた折、民主党から
かなりの非難を受けたとき、CNNテレビとのインタビューで次のように語っ
た。「一方的停戦をした理由は、我々がイラクに侵攻すれば、サダム・フセイ
ン大統領は、イラクでわが軍に対して都市ゲリラ戦を仕掛ける準備をしている
ことを我々が知ったからだ。そこで米国青年たちをイラク諸都市での戦闘から
救うために、一方的停戦を決定したのだ」
 
 2001年小ブッシュが政権を握りネオコンに依存したことで、イラク当局
はイラク侵攻は避けられないと確信するに至った。そこでサダム・フセインは
有名な文句を吐いた。「アメリカはイラクを侵略するが、我々の戦いはそれか
らだ」
 
 米のイラク侵攻を確信するに至った理由は他にもある。イラク政権は、経済
封鎖を解除させるのに必要な環境を作り出すために重大な譲歩をしたことがあ
る。だが経済封鎖の結果、栄養状態の悪化と医薬品の欠乏、インフラ破壊、劣
化ウランなどの禁止兵器の使用によるによる汚染が原因で、イラク人810万
人の命が喪われたにも拘らず、アメリカ当局は、封鎖を解除しようとはしな
かった。米国の意図は明確だった。イラクの物的、軍事的、精神的能力を消耗
させ、イラクの基本的な抵抗力を殺(そ)いだ後に、最小のアメリカの被害で
イラクを破壊しようとしたのだ。
 
 2001年9月11日事件で、侵略は避けられないとするイラク政権の確信
は更に強固になった。米中央情報局(CIA)が作成した戦略的研究は、アメ
リカのエネルギーの必要性が倍加することを示していた。サウジアラビアの油
田は老化しつつあったが、イラク油田の噴出力は強く、生産コストも、サウジ
油田が2ドル/バレルであったのに対し、イラク油田のそれは50セントで
あった。他の諸国では10〜25ドル。
 
 サウジアラビアの原油埋蔵量2200億バレルに対し、90年代前半にイラ
ク石油省が実施した調査によると、イラクの埋蔵量は2500億〜3000億
バレルであった。更に、イラク西部は手付かずで残されていた。
 
【問い】イラクには巨大な軍隊があったが、それを使わないことを決めたのか
?

 いや、計画では、敵に消耗戦を強いて、人的、物的、精神的損失を増大さ
せ、圧倒的な米軍の優越性に見合う別の方法で軍隊を準備することであった。
恐らく、この甚大なコストがベトナム・コンプレックスが支配するアメリカの
反応を引き起こし、米当局は戦争終結を余儀なくされよう。
 
 正規軍同士の戦争戦略に則り、米軍と直接対峙するというより困難で危険な
正規の戦闘の任務を遂行する共和国防衛隊と、共和国特別防衛隊が準備され
た。米軍の圧倒的な軍事力(特に空軍力)行使を回避するために、軍隊を砂漠
地帯に配備せず、強固な防塁となり、米軍を消耗させ米兵の士気と戦闘能力を
低下させるために、都市周辺や入り口に兵力を集中させることが決められた。
 
 以上に加えて、イラク軍の一部を割き、5〜10人の小部隊に編成し、ゲリ
ラ戦争の再訓練が行われた。彼らは都市の入り口や内部、バグダードに向かう
侵略軍が必ず通過する重要な村落に配置された。サダム特攻隊などの準軍事組
織とイラク正規軍との統合、融合が行われた。これらの組織は、命を惜しまな
い敵軍への攻撃や敵軍集結地での自爆攻撃など殉教的攻撃、ゲリラ戦の高度な
訓練を受けた。入念な試験を受けた志願してきた選り抜きの青年から編成され
た。
 
 このような準軍事組織に、第二次パレスチナ・インティファーダ(民衆一斉
蜂起)後に男女600万人以上の志願者から成る「クドゥス軍」がある。ゲリ
ラ戦の十分な訓練を受け、大中小の火器を装備している。「バース防御隊」
は、バース党のメンバーや支持者から成る訓練を受けた武装組織である。「国
家治安機関」は、イラク治安組織、中でも情報機関や公安、軍情報部、特別治
安組織のエリートから成る軍事組織である。最後に都市戦争の訓練を受けたイ
ラク最高司令部がある。
 
 イラク民衆が侵略に備える一環として、サダム大統領はテレビを前にして次
のように語った。「アメリカがイラクを侵略するなら、我々は家から家へと戦
い、必要なら個人用の拳銃を使っても戦い抜くであろう」
 
 要するに、侵略進行中のイラクの軍事戦略は、正規軍の戦いとゲリラ戦との
併用であり、侵略が実現してしまえば、全ての正規軍と準軍事組織は、ゲリラ
戦に移行することであった。
 
 【問い】この戦略は成功したか? 裏切り行為が軍事的敗北と軍と共和国防
衛隊の任務遂行不能に繋がったとの説は本当か?
 
 戦略の侵略最中であった前半では、部分的に成功し、侵略後の後半では完全
に成功した。(海岸部の)オンム・カスルやファウ、バスラでイラク軍と共和
国防衛隊が見せた比類の無い戦闘力を覚えているだろう。圧倒的な優越を誇る
侵略軍はオンム・カスルのような小さな町が20日間も成功裏に抵抗し続けた
ことに衝撃を受けたのだ。バスラでは米英の軍司令部は、(イラクの)第51
師団を殲滅し司令官を捕虜にしたと発表したが、同司令官はアルジャジーラ・
テレビに姿を現し「我が師団ははバスラ防衛のために戦闘中である」と語っ
た。侵略軍は壮絶な戦闘の後、甚大な被害を被った後に初めて北進できたので
ある。アルアラビーヤ・テレビが報じたように、米英軍の司令官たちは、イラ
ク軍の士気の高さを賞賛した。
 
 サダム・フセイン(バグダード)国際空港の攻防戦では、敵は武器や技術で
は圧倒していたが、共和国防衛隊と共和国特別防衛隊、サダム特攻隊、アラブ
聖戦士団、バース戦士団は、敵に対する戦闘では勝っていたことは疑う余地が
ない。イラク軍は空港を解放(奪還)し、空港内に集結していた米軍の全将兵
2000を殲滅したのだ。サダム大統領が自ら指揮を執り、米軍の凄まじい砲
弾を潜り抜け、空港に最初に進攻したイラク最初の戦車に乗って空港に入った
のだ。
 
 サダム特攻隊とアラブ聖戦士団は、空港で殲滅した数十人の米将兵の首を掲
げ、アーメリーヤやヤルムーク、マアムーンなど空港近くの地区を、「神は偉
大なり」と叫び、車で走り回った。
 
 この戦闘はイラク人の比類の無い戦闘精神を示す好例であった。しかし技術
面で優越していたアメリカ軍は、強力な破壊力を有し、5平方キロを殲滅させ
る9, 5トン爆弾2発を、空港攻撃に使用したため、空港を解放したイラク軍
は絶滅した。またイラク軍の近くに居た数百人の米兵も巻き添えを食って斃れ
た。この爆弾は並外れた破壊力において、小型核爆弾に等しいものだ。殲滅地
点内に居た兵士は、蒸気となって消滅した。殲滅地点外の兵士は炭化するか、
肉が飛び散り骸骨と化した。
 
 またアメリカ人は、これまで未使用の新型クラスター爆弾を使用した。重量
は1キロ半で、殻が弾けると数十の(小)爆弾が降り注ぎ、それぞれの爆弾
が、戦車でも大砲でも人間でも目標物を探し出し、完全に破壊する。自動走行
するよう人工知能が組み込まれているため目標を誤まることは決して無い。大
規模衝突が実現する前に、この新型爆弾はイラク機甲部隊と兵士に決定的な打
撃を与えた。
 
 命中すれば戦車をも溶かすこれまでに未使用の他の爆弾もあった。別の種類
は戦車を鉄の塵に変えてしまうものだった。
 
 このような破壊兵器はイラク軍と防衛隊の主力を壊滅させた。一例を挙げる
と、兵1万〜1万2千のある師団は、これらの兵器によって、生き残ったのは
400〜600人になってしまった。
 
 このような人的にも軍備に対しても甚大な損害を被り、イラクは(正面衝突
を避け)地下に潜り、都市のゲリラ戦採用を決めた。
 
 以上によって、裏切り行為もがあったわけでも、軍が弱かったわけでもな
く、作戦上の誤りがあったわけでもないが、新型兵器に破れて、正規の戦争継
続が出来なくなってしまったのだ。そこでこの戦争の第二ページ、すなわち都
市ゲリラ戦が始まる。これにより米軍とその同盟軍は、主導権をイラクの抵抗
勢力に引き渡すことになる。
 
 【問い】すると戦争は4月9日のバグダード陥落で停止したのではないのか
?
 
 停止したのではなく、正規軍の戦争に代わって4月9日から都市ゲリラ戦に
移行したのだ。メディアは報道しなかったがこの日こそ、アーザミーヤやドー
ラ、シャーブ地区、カルフ、バグダード大学での各戦闘のように熾烈を極めた
戦闘が行われたのだ。よってバグダードが陥落したというのは誤りである。降
伏したのなら、陥落したと言うことも出来ようが。
 
 確かに、裏切り行為は起きたが、裏切り者は数十年前から国外に居住してい
たイラク人だ。彼らは、数百人を数え、アメリカの情報機関からスパイ活動や
破壊工作の訓練を受けた。彼らは、政府の国民動員と恩赦の呼びかけを利用し
て、一部のものは、戦争開始の数日乃至数週間前に正規のルートでに帰国し
た。他の者たちは、トルコやイランからイラク北方に潜り込み、そこからイラ
ク各地に散った。
 
 侵略が始まると彼らは、人工衛星を経由する電話を用い軍や治安組織の中枢
部、経済施設など重要な場所を知らせるという諜報作戦を実行し始めた。この
衛星電話は、使用者の正確な居場所を知らせることが出来るので、彼らは重要
施設の近くから米諜報調整センターに連絡するのである。すると直ちに話者の
居場所が特定され、10分程度でその場所を爆撃できるのだ。
 
 別の方法は、彼ら工作員が爆撃希望地点近くに電子ディスク(GPS)を配
置するのだ。このディスクは米軍機に目標地点を正確に発信する能力がある。
侵略期間中イラクの治安機関は、数百人のこのような工作員を逮捕した。彼ら
は犯罪を認め、処刑された。

 種々の統計を総合すると、アメリカは過去12年間に2百万人以上のイラク
人を殺害し、この巨大な国を破壊したが、民衆の意志を打ち砕くことは出来な
かった。米国のイラク占領約1年半後に、イラク抵抗勢力は敵にいくつかの教
訓を与え、損害を与え続けた。
 
 【問い】現状を教えて欲しい。誰が抵抗勢力の指揮を執っているのか?
 
 抵抗勢力は基本的にバース党員から成っており、その中には多くの独立派が
居るが、バース党員が指揮している。旧軍や共和国防衛隊、情報機関の将校連
が、指揮、戦略、訓練を執り行う。彼らは市街地の戦闘や爆破の専門家だ。
 【問い】何時の時点でレジスタンスの選択に踏み切ったのか?
 
 2003年3月20日に、戦争が開始され、侵略者たちが殺到してきたと
き、正規軍によるものとゲリラ戦の二つの反攻作戦が実施された。しかし侵略
が終わると、司令部に本質的な変革が生じた。サダム・フセイン大統領は、
バース党に替わる緊急司令部の編成を余儀なくされた。そこで武装抵抗組織が
党に直属するようになった。
 
 【問い】しかし耳慣れない名前が司令部に登場したが? 彼らは何処から来
たのか?
 
 侵略開始時からの抵抗組織のピラミッド構造はこうだ。トップ層に極少数の
新米で名前があまり知られていないバース党幹部から成る司令部が置かれ、拘
束される前の大統領から直接命令を受け、党と抵抗組織の指揮を執る。
 
 また武装抵抗組織に積極的に参加するよう部族や宗教学者を組織化し、彼ら
を指揮する司令部隊も編成された。従って侵略が起きた後に、左翼やナセル主
義者、キリスト教徒、イラク古代宗教の教徒に加えて、部族員や宗教学者、そ
のイスラム主義の弟子たちが、バース党の指揮、或いは協調の下に武装聖戦活
動に参加させるのは困難ではなかった。他にも部族長や、党組織ではないイス
ラムの諸潮流も参加した。イスラム同胞団は占領に協力していたから外した。
 
 【問い】レジスタンスにおける旧イラク軍の幕僚たちの役割は何か?
 
 抵抗戦士の大部分は、バース党幹部の指揮下にある。イラク各地に軍事行動
を率いる抵抗勢力の中央司令部があることを確認しなければならない。この司
令部は、作戦立案と実行の広範な裁量権を末端部隊に与え、指揮権が分散して
いる組織に基盤を置く。アーミテージ米国務副長官が、6月26日に両院軍事
委員会での次の証言を聞いただろう。「イラクのレジスタンスは、人体におけ
る神経組織に似た進化した複雑な組織である」
 
 【問い】レジスタンスは、ブッシュ大統領が最近認めたように、如何にし
て、アメリカの計画をひっくり返し拡散し続けることが出来たのか? つま
り、山岳や森林地帯の存在、外部からの金銭、武器支援といったベトナムのレ
ジスタンスを勝利に導いたような条件が、イラクのレジスタンスには十分でな
かったではないのか。
 
 イラクの抵抗運動は世界のそれとは異なる。まずアメリカの目を恐れて隣国
を含む外国からの、軍事的、物質的、精神的な支援が無い。また、戦闘地域に
はベトナムやキューバなどのような身を隠す山岳や森林は無い。イラクは北部
を覗いて平坦なので、抵抗戦士が作戦を実行しようとしても、すぐに敵の手に
掛かってしまう可能性がある。
 
 地理的な問題は、人々との関係を強化し、作戦の実行前後に、住民の住居を
戦士たちの安全な避難場所として確保することで克服した。「人民は、魚(抵
抗戦士)が泳ぐ大海の水である」と言うではないか。
 
 【問い】他の問題点は何か?
 
 クルド人の2政党に加えて、ダーワ党やイスラム革命最高評議会など、イラ
ンの指揮で、大部分がイラン起源の原則で作られた(シーア派の)組織があ
る。彼らは武装して多くの都市に展開している。また占領軍に支援されている
ため、抵抗戦士が作戦実行中に非常な危険に晒される。ゲリラ戦の戦士たちに
とってこれほど危険性のある状況は、かつては見られなかった。
 
 【抵抗運動はどのように問題を解決したのか? 資金や武器の調達や戦士の
安全を確保する方法は?】
 
 1990年から侵略までにバース党は5千の重中軽火器と弾薬を配備し、1
0年間の激戦遂行に間に合うこの相当部分をイラク各地の秘密倉庫に保管し
た。従って、武器弾薬はこれ以上必要が無い。
 
 侵略前に党はその予算から、抵抗組織に資金を準備した。事実、抵抗勢力が
地下に潜るや否や党の会計班が、収支の承認など抵抗組織への金銭問題を処理
した。しかし資金は底をついてきた。そこで抵抗組織と党は、イラクの住民か
ら寄付を受け入れるようになった。動かせる金が無いものは家屋や自動車、妻
の金製品を売り払って寄付した。イラク人の圧倒的多数は、抵抗勢力への金銭
の寄付は、神と祖国のための個人が負う義務と信じている。

抵抗戦士を売国奴から護るこには、民衆の力が欠かせない。民衆の支持なく
して、抵抗運動は成功しない。

【問い】抵抗勢力が複数の都市を支配していると聞くが、それらの都市で占
領軍協力者とはどのような関係か?

 去年の4月以来抵抗勢力は、イラク各都市で売国奴を逮捕し、公開裁判にか
け、占領軍を支援する組織の手先か協力者であるとの容疑が固まった者は処刑
することで、彼らを一掃する段階に移った。それにより、売国奴の危険性は現
在、目に見えて減少した。
 
 【問い】イラクの抵抗組織には戦略と政府プログラム、広報が欠如している
と非難されるが?
 
 最初の2点は誤まりだ。3点目は正しい。抵抗組織の戦略は最初から明確
だ。その主要な目的は、武力闘争を通じて米シオニストの侵略から解放するこ
とだ。この明確な目的には、これまた明確な次の原則がある。
 占領の2大戦略目的の一つが、イラクの油田支配とその搾取であるなら、抵
抗勢力の目的も、米国が目指す目的をひっくり返すことである。言い換えれ
ば、侵略の資金源となるイラク石油の搾取と米国経済回復、増大する米国のエ
ネルギー危機の解消を出来なくさせることである。例えば10〜12年後に、
米国のエネルギー危機は頂点に達する直面する。米国の目的をひっくり返すと
は具体的には、如何なる形、方法であれ、イラク石油の輸出を止めることであ
る。
 
 【問い】どの程度までこの目的が達成されたか?
 
 過去15ヶ月で完全に達成した。それにより、アメリカにとって深刻な二つ
の危機が生じた。一つは、イラクに対する戦争資金調達の危機だ。米大統領は
議会で、「イラク侵攻は、石油資金でまかなうから国庫に負担をかけない」と
約束したのだ。現実にはイラク侵攻は、金食い虫で負担要素となっている。米
国がイラクに留まればこの負担は倍増することは明らかだ。この点だけでも、
確かにイラク駐留を諦めさせる強力な圧力要因となっている。
 
 米国が直面する二つめの危機は、石油メジャーを通じてのイラク石油への投
資が出来なくなったことだ。基本的に抵抗勢力の武装行動と、外国人企業家と
その協力者が狙われることで治安が不安定になり、石油への投資どころではな
くなってしまった。その上、巨大な投資をするには、インフラと、経済封鎖と
戦争で破壊された石油産業の復興が必要だ。米国はこの資金をイラクの石油資
源から調達しようと考えていたのだが、抵抗勢力によって阻止された。イラク
で石油を得ようとしたアメリカの戦略は完全に費えた。
 
 抵抗勢力は米軍を相当程度まで疲弊させることに成功した。連日米兵を死に
至らしめ、破壊的な精神的、肉体的負担を与えた。米軍に軍事的敗北を与える
ことは、正規軍による戦争戦略では勝利は無理だという事実があるので、抵抗
勢力は、緩慢だが止むことの無い消耗を強いることで打ち負かす方法を採っ
た。丁度ボクシングで一発で仕留めるのではなく、少しづつポイントを稼ぐ方
法のように。それによりアメリカが耐え切れなくなり、イラクを放棄せざるを
得なくするのだ。米軍の人的損失だけを見ても、ベトナムの革命活動が3年間
掛かって実現したことを、抵抗勢力は最初の半年で成し遂げた。
 
 【問い】米国に出口は無いのか?つまりイラクの石油を入手する方法は無い
のか?

 占領軍は毎日百万バレル以上の石油を略奪している。米国経済の回復も、来
るべきエネルギー危機の解決などは、イラク抵抗勢力のお陰で実現しなかった
し、今後も実現しない。
 
 【問い】抵抗勢力は何故イラク新政府やその機関を狙うのか?
 
 これは重要な戦略の一つといえる。抵抗勢力の目的には、徐々に占領軍から
取って代わる傀儡国家機関を占領軍が完成させるのを防ぐことである。占領軍
の狙いは、これらの(軍事)機関がイラク人の人間の盾になることで、抵抗勢
力が占領軍を標的に出来なくすることだ。侵略後15ヶ月経過する現在まで、
占領軍は所謂、新軍や国家警備隊、警察を抵抗勢力を打ち負かせる組織になし
得ていない。逆にこれらの軍事組織は、抵抗勢力と衝突すれば、逃亡するか、
交戦そのものを拒否している。その為占領軍は現在までに、前述の組織に編入
されたイラク人6万人の半数である3万人を追放したのだ。
 
 抵抗勢力の戦略には、飲食糧品や武器弾薬、その他軍事・民生の必需物資を
占領軍から断つことがあるが、この分野でも成功している。空港や民間航空を
占領軍の手から奪った。現在、抵抗勢力は、占領軍の物資を運ぶ運転手を処刑
若しくは拉致することで、ヨルダンとトルコ、南部のバスラからの物資流入を
止めている。この方法は大成功を収め、占領軍は窮地に居ると感じている。こ
れが継続すれば、戦闘せずに窒息してしまう。
 
 【問い】抵抗勢力の政治プログラムは?
 
 解放後のプログラムは、去年9月の発表でイラク人には知られている。国家
の運営は、女性を含めて占領に抵抗した全てのグループの手に委ねられる。
 
 【問い】抵抗勢力の報道官が居ないのは何故か?
 
 抵抗勢力は、占領軍から、また米やイスラエル、イラン等の外国の情報機関
からの凄まじい暴力や殺害に直面しているのだ。外国に抵抗勢力の事務所を開
設することは、占領軍に利する最大の行為となり、抵抗勢力の自殺行為だ。し
かし、いくつかの重要な声明はインターネットを通じて発表されている。情報
・治安機関によって集中的に調べられないように、また混乱させ、発見の糸口
を与えないように、作戦の実行は常に異なった名称で発表される。
 
 【問い】解放に向けて抵抗勢力はどのような段階を乗り越えてきたのか? 
現在の段階とは?
 
 イラク抵抗勢力が載り超えた道には、第1段階の「叩いて逃げろ」がある。
侵略3ヶ月着に「叩いて数時間持ちこたえろ」第2段階が始まる。作戦実行に
は地下に潜った「イラク軍需製造機構」の優秀な学者による技術開発が貢献し
た。イラク武装革命の第3段階「都市を解放(制圧)し数日乃至数週間持ちこ
たえ撤退し、その後再解放せよ」の目的は、都市の密偵を掃討し、占領軍の都
市進攻を防ぎ、仮に進攻してきても抵抗勢力が叩きのめすことである。現在は
この原則に則り、活動が行われている。すでに主要な都市が、完全に或いは大
部分、解放され、占領軍は入ることが出来ない。
 現在は第4段階に踏み込んだが、別論文で詳述した。
 
 【問い】アラブから何を期待するか?
 
 アメリカは、イラク侵略はアラブ諸国の改革の一歩に過ぎないと認めてい
る。つまりアメリカがイラク問題で手が空いたら、シリア、レバノン、エジプ
ト、サウジアラビアなどの番が来るということだ。知られるようになった事実
を指摘しよう。イラクの抵抗行動が無かったならば、米国のの戦車が今頃、多
数のアラブ国家の首都の通りを動き回っていただろうということだ。
 
 【問い】イラク抵抗勢力は、アラブや世界からの物質的にも報道の面でも支
援無しに、あと1年持ちこたえられるか?
 
 抵抗勢力は侵略以前から準備を重ね、1グループから1名以上の名前が割れ
ないように非常に複雑な秘密組織を作り上げた。糸状組織と名づけられ、一人
の名前が割れても、直ちに組織との関連が切断され、他の者に及ばないように
なっているのだ。一本の糸のように真っ直ぐに流れている組織なのだ。一箇所
が切られると、前後の部分との関係は断絶される。加えて、抵抗勢力の各組織
は、企画立案でも作戦実行でもそれぞれが独立しており、抵抗戦略の総合構想
以外には縛られない。それにより如何に困難な状況になっても、限りなく柔軟
に対処できるのだ。
 
 【問い】占領軍によって米国などに輸出されたイラク原油の量は?
 
 イラク南部に侵攻後、侵略軍は真っ先に油田を制圧し、バグダードに進発す
る以前に輸出準備に取り掛かったのだ。輸出統計は無い。
 
 侵略終了後には、全ての油田は占領軍が直接に管理した。米国はそこでの実
態を何処にも極秘にした。そして直ちにアメリカ人の手で採油と米国への輸出
を始めた。確かなことは、侵略開始以来、米国への輸出は、日量200万バー
レルを下らないことだ。恐らく日量300万バレルに達するだろう。無論これ
はイラクの資源を略奪する行為に他ならない。理由は、イラクの承認も監査も
監督も受けずに実行されているからだ。従って、略奪されたこれらの資源相当
額を請求する権利をイラクは有す。
 
 【問い】最後の質問だが、あなたは抵抗勢力のスポークスマンの一人か
 
 否。そうであれば名誉なことだが、その資格は無い。私は専門家、分析家、
戦略家として発言している。多数の過去の自著で、パレスチナ革命を分析した
ように、現在は愛国者であると共に専門家としての目で、イラクで起きている
ことを分析している。

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件名:韓国の核問題、深刻さ理解しなかった政府  

背後に米国の思惑も
 韓国の核問題が今月に入って表面化した直後、ソウル側は「国際原子力機関(IAEA)
 にも報告済みであり、一部科学者の実験にすぎない」と説明、それで事態の沈静化が図
 れると高をくくってきたが、欧米メディアが連日大きく報道、ソウルの核拡散防止条約
 (NPT)の真意を疑う声が出てきて、ソウルもようやく事態の深刻さを理解、対応に
 追われてきた。
(ウィーン・小川 敏)

 韓国の問題は過去の未申告の核関連活動だ。IAEAとの間で調印した追加議定書の批
 准・発効によって、過去の核活動の検証がIAEA査察官によって履行され、未申告の
 核活動が明らかになったわけだ。その点、IAEAに完全なアクセスを認めないイラン、
 北朝鮮とは出発点で異なる。韓国の核関連施設は現在、追加議定書に基づき、IAEA
 側の査察監視の中にある。

 保障措置協定自体、時代の変遷とともにその解釈、履行範囲を発展させてきた。包括的、
 統合核査察から追加議定書まで、査察協定の歴史は発展・拡大・強化の方向にある。一
 九八〇年代の核活動を追加議定書の時代の解釈で速断はできない。二〇〇〇年のウラン
 濃縮実験と一九八二年のプルトニウム抽出実験を同じ尺度で判断できない理由だ。

 韓国にも傷がないわけではない。同国は七〇年代、核兵器製造を計画、米国の圧力で計
 画を断念した経緯がある。

 一部のメディア報道によれば、八〇年代にも計画があったといわれる。昔の傷跡を引き
 ずる韓国の核問題に欧米メディアが厳しい目を向けるのは当然だ。

 韓国では今日、「政府の核外交」に疑問を呈する声が高まっている。問題の深刻さを理
 解できなかった政府関係者に非難が集中してきたわけだ。国際社会との関係を重視、
 「未申告核実験を謝罪」して問題の早期決着を願う外交通商省と「未申告の核実験を一
 部の科学者の行為」で終始、謝罪することを渋る科学技術省との間で見解の相違があっ
 たことは事実だ。その意味で、韓国の核外交が問われている。

 興味を引く点は、韓国の未申告核活動に関連する情報が主にIAEA査察情報に通じる
 米高官筋からメディアに流れたことだ。ワシントン政府の意向か、個人のリークか、最
 終的には判断できないが、疑問が残る。

 ブッシュ米大統領は先週、米国の同盟国名を挙げた際、米、英に次いで、イラクに三千
 人以上の兵士を派遣している韓国の名を忘れてしまうというハプニングが生じた。

 韓国の抗議を受け、間違いに気付いた米国は謝罪、一件落着を図ったが、同件は米大統
 領の単純なミスであったのだろうか。韓国の未申告活動情報のリークと何らかの関連は
 ないのか……。さまざまな憶測が外交筋では流れている。

 欧州外交筋は「米国離れをする韓国の現政府に対し、韓半島の実権を掌握しているのは
 われわれだという意思表示だ」という。すなわち、核問題も国名見落とし事件も「米国
 が主人だ」という事実を誇示する狙いがあったとみている。

 韓国は米国の同盟国であり、ブッシュ政権が進めるテロ戦争のパートナーだ。それは誰
 でも知っているが、韓国が米国の友人であるということにはならない、という冷徹な現
 実を示しているのではないか。

 韓国は核問題を通じて国際外交のレッスンを受けたが、その代価が高くつくかどうかは、
 ここしばらくの動向を見なければ判断できない。世界日報 掲載許可済み
  Kenzo Yamaoka
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件名:6カ国協議/北朝鮮は米の政策を見誤るな  

 北朝鮮の核問題を話し合う六カ国協議の九月開催は、北朝鮮の不参加表明で困難になっ
 た。極めて遺憾である。北朝鮮はその理由について、韓国で発覚した核関連秘密実験の
 真相が解明されるまでは北朝鮮の核兵器計画について論議する場に出られないと述べた。
ケリー氏も核阻止の決意

 韓国の秘密実験とは、同国が八〇年代に国際原子力機関(IAEA)に未申告でウラン
 転換実験を行っていたことだ。政府が関与しない少数の研究者による個人的な実験のよ
 うだが、北朝鮮はこのニュースに飛びつき「軍事的性格を帯びたものだ」と非難し、六
 カ国協議開催反対の口実に利用した。

 しかし、本当の理由は北朝鮮が十一月二日の米大統領選挙の行方を見極めようとしてお
 り、それまでは米側から譲歩を引き出すことは困難とみているためのようだ。

 確かに、北朝鮮の核問題は米大統領選挙の争点の一つになっている。民主党のケリー候
 補は、ブッシュ政権がイラク問題に気を取られて北の核問題を放置したと批判。ブッシ
 ュ大統領は北の核開発は民主党のクリントン前政権の間違った米朝対話路線の産物で、
 ケリー氏は同路線に逆戻りしようとしていると反論している。

 北朝鮮は、自国を「悪の枢軸」の一員と名指しし、金正日総書記を「独裁者」と呼んで
 毛嫌いするブッシュ政権に強い反感を抱いており、対話路線を主張するケリー候補の大
 統領選出に期待を寄せているようだ。だが、米国を甘く見てはならない。

 確かに民主党は共和党に比べてイデオロギー色が薄く、独裁政権に対しても「対話」で
 問題の解決を図ろうとする傾向が強い。だが、北朝鮮が忘れてならないのは、世界で最
 も孤立した国である北朝鮮の核とミサイル保有を米国への重大な脅威と見る点では、ブ
 ッシュ政権もケリー候補も同じだということだ。

 現に北朝鮮が核不拡散条約(NPT)から脱退した後、九四年三月IAEAの査察を拒
 否した時、クリントン前政権のペリー国防長官は北朝鮮への先制攻撃を辞さないと発言
 した。クリントン氏自身も「たとえ戦争のリスクを冒してでも、断固として北朝鮮の核
 兵器開発を阻むつもりだった」と当時を振り返っている。

 今年の米大統領選挙の大きな争点はテロ対策だが、9・11同時多発テロを経験した米国
 民は、国民の食糧さえ不足している貧しい国の北朝鮮からプルトニウムや核がテロリス
 トグループに渡ることを恐れている。この点からも北朝鮮の核阻止の決意でブッシュ、
 ケリー両氏の間で大きな相違はない。

 六月の第三回六カ国協議で米国は北朝鮮の核放棄の約束を前提に、日韓などによる重油
 の提供、暫定的な安全の保証措置など初めて具体的提案を行った。協議はようやく実質
 討議に入ったわけで、ボールは北朝鮮に投げられている。 

 最近の北朝鮮情勢は、脱北者の増大に加えて、竜川駅事故に続く両江道での大規模爆発
 など、体制の動揺を示唆する不可解なことが続発している。エネルギー不足による国民
 生活の窮状も深刻化しているようだ。

日朝協議で米と共同歩調を

 北朝鮮が生き残る道は、リビアに倣うい核開発計画を放棄して国際社会から本格的援助
 を受けるしかない。このままでは孤立化と窮乏だけだ。速やかな発想の転換を望みたい。

 核ミサイル問題が停滞している以上、わが国も日朝協議や国交正常化交渉を急いで米国
 との足並みを乱してはならない。(世界日報)掲載許可済み
Kenzo Yamaoka
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件名:韓国から  

 九日昼、ソウルのプレスセンタービル玄関前は、「国家保安法廃止決死反対」の横断幕
 を掲げ、小さな国旗を持った背広姿の年配者が埋め尽くした。
 同ビル二十階の国際会議場で「自由と民主主義守護のための時局宣言」発表大会を行い、
 気勢を上げた保守派元老たちのデモだ。

 大会には姜英勲、李栄徳、玄勝鍾元首相をはじめ三百五十人の各界元老が参加し、「大
 韓民国の国家理念は代議政治と市場経済を土台にした自由民主主義だが、今、この国は
 いわゆる(学生)運動圏出身の386世代(一九八〇年代に大学生活を送った世代)を
 はじめとして親北、左傾、反米勢力の手に落ちた」と指摘。

 危機の祖国を救うため、盧武鉉政府に首都移転、国家保安法廃止、親日など歴史清算、
 言論改革など消耗的な懸案の一方的推進を中断し、すべての国力を経済と安保問題解決
 に集中せよと求めた。また、政府に対して経済・安保政策での左傾化政策の中断、核問
 題は民族協調でなく米韓協調で解決を、6・15南北共同宣言の廃棄などを要求したほか、
 米国に対して在韓米軍削減中止、国民に対しても各自が救国運動の先頭に立つよう訴え
 た。

 時局宣言に署名したのは七人の元首相、五人の元国会議長など、各界元老約千四百人。
 これだけ多くの著名人が名を連ねた宣言は史上初だとか。

 ただ、昼食時のデモに参加しなかった大会参加者も多く、具体的な行動指針がないなど、
 その影響力には疑問を持たざるを得ない。

 過激な全国民主労働組合総連盟(民主労総)のホームページには、「国家保安法を本当
 に憎悪する者だけが同法を撤廃させられる。『当然やるべき闘争』によって同法は撤廃
 できない」と行動を促す檄(げき)文が載っている…。(T)(世界日報)掲載許可済
 み
  Kenzo Yamaoka
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件名:米軍死者千人/自由イラクへの貴重な犠牲  

 イラクでの米軍の死者が千人を超えた。今年の米大統領選挙は、イラク戦争が最大の争
 点になっているが、この犠牲をどうみるかは、イラク戦争の評価と直結している。
民意支持高まる暫定政府

 民主党のケリー候補は、「出口の見えない」戦争で、ブッシュ大統領が勝利の見通しも
 なく始めたと批判している。しかも、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト両
 紙をはじめ米メディアの大半は民主党系であるため、政権移譲後のイラクの建設面を無
 視した混乱面を重点的に報じている。このため、イラク戦の公正な評価が妨げられてい
 る。

 ケリー候補らが無視しているのは、イラク戦の国際的な合法性である。同戦争は国連安
 保理の承認を得ず、一方的に米国が始めた戦争だと批判されている。

 しかし、九一年の湾岸戦争は技術的な停戦状態にあり、その後、フセイン政権が武装解
 除の証拠を国連に示さず、大量破壊兵器を保有していないことを明確に宣言しなかった。

 国際社会に対する脅威として、米国が作戦を再開するのは合法的であり、道義的にも正
 当化できる。また国連憲章も他の手段が失敗したときの武力による脅威の除去を認めて
 いる。 

 また、国連安保理は九四年の決議で「破壊的な非人道的状況は平和に対する脅威」と認
 めている。イラクは二〇〇二年の総会決議で国連から基本的人権違反を指摘された。フ
 セイン独裁が国際的に平和への脅威と認められており、その除去も正当である。

 主権回復後のイラクで戦闘が続いているが、その特色は暫定政権を崩壊させようという
 内外武装勢力の攻撃によるものだ。イラク国民一般の反米闘争ではない。

 例えば、ナジャフで暫定政府軍と戦ったシーア派のサドル師の民兵組織は、イラク国民
 の支持を受けたものではなく、米軍や暫定政府に対するイラク国民の抵抗を意味するも
 のではない。サドル師はイラン型の聖職者支配の政治をもくろんでおり、国民はフセイ
 ン型の弾圧政治の再来を恐れている。

 また暫定政府は、米国の傀儡(かいらい)であるかのように報じられているが、現地の
 報道によると、「イラクで初めての民意を代表した政府」として国民の支持を高めつつ
 ある。そして、ナジャフでの戦闘を米対イラクではなく、暫定政府対武装グループの対
 決とみなしている。

 過去一年、イラクは政治的、社会的、経済的に大きな変化を遂げつつある。治安の第一
 次的責任はイラク軍に移り、六万五千人のイラク兵が第一線で戦っている。イラク側の
 反テロ作戦部隊も形成された。電力のインフラも整備され、発電量は戦前を上回ってい
 る。旧フセイン時代には認められなかったシーア派地域にも配電されている。かんがい
 も整備され豊作が期待される。産業復興や民間プロジェクトによって失業問題も改善さ
 れつつある。医師、公務員の給与も改善されつつある。

世界の民主化図る米政権

 イラク戦は「自由のための戦い」の一環であることを忘れてはならない。フランスやロ
 シアの革命と異なり、ブッシュ政権が求めるのは、抑圧的な国々の自由化を通じて世界
 の民主化を図り、テロの脅威から世界を解放しようとするものだ。この発想は「フリー
 ダム・ドクトリン」とも呼ばれている。

 米国が軍事的、経済的に超大国である今こそ、同ドクトリンで二十一世紀の平和を確保
 しようとするものだ。米兵死者一千人はその貴重な犠牲なのである。
 (世界日報)掲載許可済み
Kenzo Yamaoka
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(Fのコメント)
米国はベトナムの二の舞をしている。自由の戦いになっていない。
民衆からの支持が無い軍隊がどうなるかの、もう一度経験するよう
である。ベトナムで懲りたはずなのにである。超大国の傲慢である。

世界日報は誤報を発信しつづけるようですね。治安が悪く、民衆内
にいた米軍支持者が暗殺されていて、絶滅しているために、民衆の
だれも米軍の味方になれない状態になっている。そこを知らな過ぎ
る。事実を見ろ!!!憶測と希望で記事を書いてはいけない。


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