1752.今後の世界体制構築について



米国の衰退は、イラク・ゲリラ戦争で早まる可能性が出てきている
。今後の世界体制を検討する必要がありそうである。  Fより

世界は二重競争の時代になっている。1つが地域間経済競争で、米
国は中南米と北米を一体にしたNAFTAであり、欧州はEUであ
る。そして、東アジアはASEAN+3で東アジア共同体を志向し
ている。

もう1つが、その地域共同体内の覇権競争である。米国が主催する
NAFTAは米国が強力であるために米国独裁であるが、欧州はド
イツのゲルマン系やイタリア・スペインのラテン系と東欧のスラブ
系、フランスのフランク族など、かつプロテスタントとカトリック
、ロシア正教の宗教対立などが勢力争うを繰り広げる危険性がある。
これにトルコなどのイスラム教国が組み入れられると、どうなるか
予断を許さない。

これと同じ現象を東アジア共同体でも起こすことが予想できる。こ
の地域には仏教、儒道教、イスラム教国家で構成されることと、民
族は多くかつ言語も多数ということで、いろいろな見解の相違を引
き起こす可能性が高い。また、このグループには中国と日本のよう
な経済大国とミャンマー・ライスのような発展途上国が同居するた
めに、まとまりも心配である。

この東アジア共同体内での権力闘争として日中が張り合うような気
がする。日本はインドネシアやベトナム、フィリピンなどと連合を
組んで中国に当たる必要を感じる。また、中国はミャンマーやラオ
ス、カンボジアと組んで日本に対応するでしょうね。中間派として
シンガポール、マレーシアやタイが居るような構図を想定すること
でしょうね。

どうも似非右翼・親米派は地域共同体内の権力闘争と共同体間競争
をゴッジャにして議論するために、全体像が見えなくなっているよ
うに感じる。また、共同体間競争を突き崩す武器がFTAであり、
日本がメキシコとFTAを結ぶのは理にかなっている。
この見方を基礎にして、今日のテーマである今後の世界体制構築を
考察したい。

米国は現時点で世界の覇権を維持している。この米国に対抗する欧
州には米国は覇権を移譲しないはず。地経学で述べたように「基軸
通貨を制する者が世界を制する」であるために、米国としてはドル
の基軸通貨と真っ向から敵対する欧州のユーロには米国としても覇
権を移譲できない。もし、ユーロに負けると米国経済はハードラン
ディングするために、欧州に覇権を渡せないことになっている。

東アジアに目を向けると、中国はペック制でドルにリンクしている。
NAFTA諸国の通貨は米国ドルとリンクしている。させられてい
る。これと同じ状態に東アジア諸国はなっている。日本は中央銀行
総裁も日本国首相も米国の言うことに100%従う経済属国化して
いる。韓国は米国資本の従属国である。このため、韓国国民は反米
的な言動をしている。

このため、米国は東アジア共同体構築に警戒感を持っている。しか
し、米国としてはNAFTAでは経済的な共同関係ができない。中
南米諸国は、ブラジル、カナダ、メキシコを除いて米国の保護国化
している。このため、米国としては経済的な重荷になっているため
である。

米国として経済的な関係を構築したいのは東アジア諸国のはず。
日本の部品を組み立てる中国やアジア諸国は、今や世界の工場とな
っている。ここに現在、米国機関投資家の資金は米国を離れてシフ
トしている。

この時、ドルとは違う通貨を基軸通貨すると米国と利害が相違して
しまう。このため、米国との利害調整をしておく方が世界覇権をス
ムーズに東アジア共同体に持ってこれる。東アジア共同体は通貨バ
スケット制に移行を検討しているようですので、その通貨の中に
ドルも入れていくことが重要であろうと感じる。

ドルに完全リンクは止めるべきである。ドル暴落に引きずられて、
経済的な混乱を招くために、ドルリンクの中国・香港のペック制は
良くない。アジア・ドル通貨のバスケット制の方がいい。米国から
スムーズに覇権をシフトさせるためには、経済力と軍事力を米国と
同程度にする必要がある。このためには中国の民主化を早めて、台
湾と統一して、かつ日本と協力して米国との2大共同体になるしか
ない。もし、中国が共産党一党独裁主義を堅持すると国内的な問題
と台湾との紛争で米国・日本の同盟軍との戦いになり、中国が覇権
を取れるチャンスが無くなる。

ロシアはカフカス地域の取り合いを米国と今後行うために、米露関
係は非常におかしくなる。中国と米国の関係がおかしくなるのは、
台湾問題だけで、資源の分捕り合戦には中国は関係ないので、米国
と問題が起き難い。ロシアは大軍事力を持つための経済力を持って
いない。

このため、日本と組んでかつ早期に民主化して世界覇権を中国が取
る意向を表明すれば、米国は覇権の共同運用を認める可能性が高い。
今でも東アジアの調整に中国を使おうとしている米国の動きを見る
と、米国国際派・リアリストたちの考えは十分、中国に伝わってい
るように感じる。今年の欧米ビルダーバーグ秘密会談に中国は代表
を送っている。日本は過去一度も代表と送れないでいる。しかし、
緒方貞子さんが秘密裏に参加したようであるが。戦争抑止は、2大
国家が世界をコントロールする体制を引くしかない。その一方の国
を米国は中国と感じているはずである。

1522.地政学から地経学へ
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/k6/160201.htm
1529.地経学の構築
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/k6/160208.htm
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非公式情報
From: "MailuX" 
戦争の自由競争

By StrangeLove

アメリカがイラク攻撃を始める時、イラクにWMD(大量破壊兵器)が
存在しないことをコリン・パウエル米国務長官が認めたそうだが、
そんなこと、最初からわかっていただろうに。CIAもホワイトハウス
に伝えていたはずだ。CIAよりも、ネオコンが設置したプロパガンダ
機関OSPをパウエルは信じたというのだろうか?

ワシントン・ポストは8月12日付けの紙面でイラク戦争に至までに行
った自分たちの報道を反省する特集を組み、WMDの存在に疑問を投げ
かけるウォルター・ピンカス記者の記事を小さく扱ったことを反省
している。

ピンカス!この記者がCIAと緊密な関係にあることは有名な話で、ピ
ンカスがWMDについて否定的な記事を書いたということは、CIAもイラ
クにWMDが存在しているとは思っていないと推測できる。ワシントン
・ポストの編集部もピンカスとCIAとの関係は十分、承知していたは
ずだ。

国務長官にしろ、マスメディアの編集者にしろ、イラクにWMDがある
かどうかなどに関心はなかったのだろう。これは日本にも適用でき
る話だ。WMDが見つからなくても日本では首相の責任を問う声は圧倒
的に小さい。マスメディアにも反省の色はない。読者、視聴者の反
応も鈍い。最初から、イラク攻撃は資源の略奪、ビジネスチャンス
の拡大、ようするに日本のメディアが大好きな『経済効果』のため
、彼らはイラク攻撃に賛成したのである。そうとしか思えない。

CIAだけでなく、アメリカ軍の少なからぬ幹部がイラク攻撃に反対し
ていたとも言われている。そのため、大統領が攻撃を決断してから
半年ほど開戦が遅れたともいう。軍は泥沼化することを予想してい
たのだ。

9月15日には国連事務総長がイラク戦争は違法だと発言したそうだ。
アメリカが行ってきた秘密工作、破壊工作、『死の部隊』支援、さ
らにアル・カイダの訓練をテロ行為だとどこかの国が考えたとしよ
う。日本政府が支持しているブッシュ政権の言い草に従うならば、
その国にはアメリカに対して先制攻撃する権利があることになる。
先制攻撃を認めるということは、『戦争の自由競争』を始めるとい
うことだ。アメリカは自分が生き残ると思っているかもしれないが
、世の中それほど単純ではない。
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件名:米国を訪問したグルジアのゴミアシュビリ外相代理は、テロ
に遭い動揺し怒ったロシア  

 米国を訪問したグルジアのゴミアシュビリ外相代理は、テロに遭い動揺し怒ったロシア
 が、グルジアに対し危害を及ぼす危険があると警告を発している。
 同外相代理は九日、本コラムに対して、国務省のバウチャー報道官、ワシントンのシン
 クタンクと、グルジアの抱える懸念について話し合ったことを明らかにした。ロシアが、
 南部ベスランでの学校占拠事件を理由に、グルジアに介入するのではないかというのだ。

 ロシアは、チェチェンのテロリストをかくまっていると非難してきたが、グルジアはこ
 れを否定している。

 ワシントンでの会合で外相代理は、米国と西欧諸国があらゆる外交手段を講じて、ロシ
 アのグルジアへの介入を阻止するよう求めた。

 また、ある教授にロシアがアブハジアに侵攻してきたらどうするのか、と聞かれた時の
 ことを語った。

 「グルジアの新しい政権は、安定した民主主義を築き、腐敗を排除するため、平和を維
 持することを望んでいる。しかし、ロシアが旧ソ連のようにグルジアへの支配を再び主
 張するようになるのではないかと恐れている」

 「グルジアでいいことが起きるとロシアの人々は面白くないのだ。ロシアを知っている
 つもりだったが、今のロシアについて一つ言えることがあるとすれば、残念ながら、何
 をするか分からない、ということになる」と外相代理は強い懸念を表明した。
世界日報 掲載許可済み
Kenzo Yamaoka
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件名:FTA戦略/メリット踏まえ加速させよ  

 自由貿易協定(FTA)締結を目指し、東京で開かれている日本とタイの政府間交渉は、
 農産物の関税引き下げをめぐって冒頭から激突している。
 十日には、藤崎外務審議官がマレーシア入りし、非公式事務レベル協議を行っているが、
 難航が伝えられている。他方、政府は、小泉首相の中南米訪問にあわせて検討してきた
 ブラジルなど南部共同市場(メルコスル)とのFTA協議入りを見送る方針という。

関係省庁の思惑が絡む

 背後には、農産物輸入急増を懸念する関係省庁の思惑が絡んでいる。だが、FTA戦略
 の推進は今日的意義にとどまらず、中長期的視点から国益にかなったものだ。関係省庁
 は具体的なメリットを踏まえ、積極的に対応すべきである。

 わが国と世界各国、とりわけアジア諸国とのFTA交渉は、欧米諸国と比べて大幅に遅
 れた。その理由は、日本が一九九〇年代まで世界貿易機関(WTO)による多国間協議
 の枠組みが重要との立場を貫いたことと、国内農業分野において自由化が困難との判断
 があったからだ。

 ところが、近年、日本は、二国間や特定の地域で関税撤廃などを目指すFTA重視に転
 換した。その背景には@中国がアジアを中心に積極的なFTA戦略を展開し、東南アジ
 ア諸国連合(ASEAN)域内の経済統合の強化を志向しているAASEANと米中の
 連携強化の動きが出てきたBWTO交渉が停滞している――ことがある。

 〇二年、日本はシンガポールとのFTAを発効させた。メキシコとは〇五年四月に発効
 の予定だ。また、マレーシア、フィリピン、タイとは年内、韓国とは来年内の合意を目
 標にしている。さらに、ASEANと来年四月から交渉を開始する見通しだ。そのほか、
 インドネシアとは事前協議中で、インドとは事前協議入りで合意している。日韓中FT
 Aも中期的課題として検討されている。

 一方、WTO理事会は八月、新ラウンド進展の「枠組み合意」を交渉期限の二日遅れで
 採択し、崩壊すら予測された新ラウンドは交渉の土台作りの段階にこぎつけた。

 だが、米大統領選挙後、退任が確実視されるゼーリック米通商代表、十月末任期切れと
 なる新ラウンドの立役者、フランスのラミー委員という欧米二人の通商担当閣僚の交代
 で、WTOの論議は来年に持ち越される可能性が強まった。新ラウンドの空白期間が生
 じるため、世界的なFTA締結の動きがさらに強まるだろう。

 「BRICs」(ブラジル、ロシア、インド、中国)といわれる新興市場として、日本
 の有力な貿易相手となる可能性を秘めたブラジルと同様、アジア諸国との交渉では多く
 の農産物につき関税撤廃や大幅引き下げを求められる。

 ただ、タイとの交渉でコメが最大のネックとなっているのはまだしも、フィリピンとの
 交渉でバナナ、パイナップル関税撤廃がリンゴなどの消費を鈍らせるとの理由で拒否す
 るのは理解できない。

旧来の意識を改める必要

 主要食糧についても、食糧安保の観点からスイスのように緊急時の食糧確保から自給自
 足体制移行に至る詳細な国家計画策定で対処できる。海外産との競合農産物・食料品に
 関しても、農協直売店などの生産者名および生産過程の情報が表示され、消費者の安全
 思考やさまざまなニーズに応える生産者の動きが急速に見られる。

 このような趨勢(すうせい)からしても、関係省庁は国内農業の壊滅からの救済という
 旧来の意識を改めねばなるまい。(世界日報)掲載許可済み
Kenzo Yamaoka


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