1731.米国の衰退原因と日本



米国の衰退が明確化してきた。この原因と次の世界を展望して、
日本を考える。         Fより

米国の衰退は、その産業の衰退と機を一にしている。米国でBSE
が発覚して、日本の米国産牛肉禁輸で見せた対応が、米国の衰退と
大いに関係すると見ている。

日本という牛肉を購入するお客が、BSEに感染していないかの検
査を全頭実施してほしいという日本からすると当然の要求を、米国
は拒否した。また米国の日本向け牛肉を輸出している民間企業が、
独自に全頭BSE検査しようとしたら、それも米国政府は禁止した
のです。

BSE検査を全頭する事例を作ると、輸出する牛肉をその内全て検
査することになるからという理由である。日本の言い分には科学的
な根拠がないと米国政府は言い放っている。日本だけがお客ではな
いから、文句があるなら、米国牛を使うなという意味であろうと解
する。

健康問題、特にBSEは人間が掛かると、治療方法がないために死
が確定する。万全を期するのが1970年頃までの米国で、企業の
エゴを監視することが政府役目としていた。この感覚が今の米政府
に感じられない。業界の言い分を言っているだけである。

米国と見ていると、商品を売る方が買う方より高い立場にいつもい
る。米国企業と付き合うと、こちらの要望をほとんど聞かない。
日本のエンドの消費者からのクレームと米国企業の強気商売に日本
の輸入業者は、いつも両者の挟み撃ちになる。このため、該当商品
も日本の企業が同等商品を出すと売れなくなる。これは米国企業だ
けではなく、欧州・イスラエル・韓国企業でも良くあることである
。というより、日本以外の国の製品はすべて、そのような状態にな
っている。なにしろ、日本の消費者の意見やクレームを聞かない。

どうして、そのようなことが欧米諸国はできるのであろうと考える
と、欧米は軍事力や科学力で自分の商品を買わせることができた強
い立場を経験しているために、戦後日本が自国軍隊もなく、無から
世界に商品を売り出す苦労をしなくて済んでいたためでしょうね。

米国は1990年代、インターネットという画期的なコンセプトを
作り、大々的に売り出した。このように世界の他国がマネのできな
い商品を持っていることも強気な商売にしている。しかし、この商
品もすでに台湾や韓国、中国で十分に製品可能になっている。

マイクロソフトもPC用OSでダントツであったが、LINAXの
出現で、強気の商売に限界が来ている。マイクロソフトもユーザサ
ポートが必要になっているが、十分なレベルでできていないように
感じる。ここに中級レベル以上のサーバでマイクロソフトのOSが
使えない理由でもある。LINAXは中身がオープンであるために
、技術者を各SI企業が育成でき、サポートを完全にできることに
なる。また、SI企業がサポートを商売にできる。また不足してい
るサポートツールをSI企業が作れることになる。

欧州企業の例として、グッチの店にいけば分かるが、1時間以上客
を待たせても、店は対応方法を変えない。このように高級品店でも
同じ対応をしている。高級品を売る日本の店では考えらないことが
当たり前として行われている。このように欧州企業も強気の商売を
している。このような商売がまかり通っている。

日本はこの点、世界に商品を供給しているが、よく消費者の意見を
聞いている。このような現場力だけで、商売をしている企業が世界
にもあまりないことが分かる。この現場力が日本の強みであるよう
だ。そして、よく各国の現場の特殊事情に対応する。味の素も国別
に、製造方法が違う。このため、日本製品が市場を席巻することに
なる。価格が高いが、ユーザ満足度も高いという日本の製品が、中
産階級以上には使われるようだ。

米国製品のようにコンセプト性で日本製品がいい訳ではなく、その
ユーザ要望を巧みに取り入れる力が日本製品を強くしている。AM
Dを押しのけて、ダイキンのエアコンが中国・アジアで売れている
理由でしょうね。

中国や韓国製品は日本製に比べて安いために、大衆に受け入れられ
ている。勿論、こちらの方が、数は出るために薄利多売が可能であ
るが、韓国のように中国という人件費が安い国が出てくると価格競
争力がなくなり負けてしまう。中韓のように製品価格を安くすると
、ユーザ個々の事情に配慮することができない。大量生産でないと
安くできない。少量多品種生産を日本は得意としているが、こうす
ると、製品価格は高くなると日本以外の企業は思っている。このた
め、現場でのクレーム処理はあまりされていない。

このように日本企業の勝ちパターンはすでにできている。しかし、
韓国は中国に価格競争力で負けて、日本型にシフトするしかない。
できるであろうか??韓国の政治や世論を見ていると、自己主張や
自己利益を中心に物を考えているように感じる。主張の中に、自損
他利の感覚がない。日本はいつも、自損他利的である。ODA(中
国が反日と言っているのに、2兆円のODAを供与するのですよ)
しかり、北朝鮮の拉致問題(拉致問題が解決しないのに、北朝鮮に
食糧援助するのですよ)しかり、米国との問題(沖縄で米軍により
婦女暴行やヘリ事件があっても、年間7000億円の金を払ってい
る)しかり。

この原因は、日本が軍隊や技術的な優位性で商売をしていないため
で、どうしても、弱腰で世界に向き合っているからです。それと、
安物商売が、米国からダンピングとしてクレームがつくことを知っ
ているためにできない。強気で世界に向き合っていけない。日本人
も日本政府も同じである。反対に中国政府も韓国政府も強気である
。特に日本に対して強気である。しかし、その強気が商売をダメに
するのです。

このように日本の弱気が世界市場の現場で物を考え、そこのユーザ
に喜んでもらえる物を供給するという強さの秘密なのでしょうね。

このように考えると、日本政府の外交がダメなのは強気で物を言わ
ないことであるが、その弱気が日本を強くしているとも言えること
になるのでしょうね。

反対に米国のように軍隊が強くて、強気で外交ができると商売はダ
メになるということです。米国の衰退は強気で商売をするために商
品力がなくなって、経済力が亡くなったにもかかわらず、軍事力で
強気に出ていることであるのです。

いまやドルという基軸通貨が最後の砦になっている。赤字垂れ流し
にすると、ドル暴落にはなるが、デフォルトにはならない。他国で
米国と同様なことをすると、すでにデフォルトになっている。今頃
はIMFが出て行って内政干渉をして、軍事予算を5分の1程度に
しているはず。

米国は世界から商品を購入しているが、その内にそれもできなくな
ると思いますね。ユーロに世界の金はシフトしますから、ドルは大
暴落して、米国へ輸入した商品が米国の大衆には高価になっていく
と思います。こうなると、世界貿易の流れは変化する。米国への流
れから中国への流れに変わる可能性が高いことになる。そうすると
元は高騰して、中国製品の価格は高くなり、安価な製品は中国から
ベトナムに変化するように感じる。その次にインドですかね。

中国は、日本型に変化するでしょうね。日本の高級商品と同じよう
な物を作り始める。この時、どれだけ現場力を中国ができるかでし
ょうね。中国がどれだけ弱気になれるかで決まる。今の中国では考
えらないですね。しかし、華僑・台湾のような存在もあり、油断は
できないと思いますね。

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