1698.砂漠の戦争



砂漠の戦争       アルルの男・ヒロシ  

 さっき『砂漠の戦争』(岡本行夫 著 文芸春秋刊)を読み終え
ました。この本は結論からいうと非常に面白い本でした。
まず、私の第1の関心は、「奥克彦・参事官の殺害事件の真相はい
かなるものであったのか」と言う点である。これについては、満足
のいく回答は得られなかった。歳川隆雄氏など数人のジャーナリス
トが提示した疑問についての説明が無かったからだ。

ただし、『噂の真相』などの一部左翼雑誌で喧伝された、岡本行夫
元補佐官の「利権」疑惑の真贋判定について言えば、これはそうネ
ガティブなものではないといえるだろうと判断した。この件につい
ては、『砂漠の戦争』に書かれている。
左翼雑誌のいけない点は、軍需利権も民需利権も一緒くたに利権と
称して切り捨ててしまうと言う点である。彼らにとっては、イラク
で活躍するNGOのみが正義だということらしい。日本の「町人国
家戦略」というべきやり方は、さほど否定されるものだろうか?

典型的な左翼とは以下を参照
http://www.jca.apc.org/stopUSwar/notice/honto_no_riyuu.htm

よしんば、岡本氏がリベートを取っていたとしても、その行動は日
本の国益のために行われたものだといえるとも思う。イラクが復興
すれば、日本企業の参入の余地も深まり、民生的な支援を通じて、
日本のイラクに対する足場を固めることが出来る。これは、対米自
立の中東政策にも繋がる。だから、いいことなのである。

いけないのは小泉首相の対米スタンスである。イラク戦争を支持せ
ず、復興に関わるという姿勢を示せば日本はヨーロッパ、アラブか
ら賞賛されただろう。実益のところで、資金援助なりアメリカに恩
を売ればよかったのである。それくらいの智恵が欲しかった。イラ
ク戦争がおきるなり、いきなり支持表明というのは芸が無かった。
せめて「理解」にとどめておくべきだった。

岡本アソシエイツが、レイセオンとアドバイザリー契約を結んでい
たという話の出所は、岡本氏がレイセオンの元重役であった知日派
ジャパンハンドラーのトーケル・パターソンと親交があるというと
ころから出てきた話のようだ。これについての真相は分からない。
ちょっと黒い話はあるかもしれない。

三菱マテリアルの技術支援は、経済産業省が間に入っての交渉をま
とめている。「三菱マテリアル」の仕事はイラクのセメント工場の
再建を行うための技術支援だったようだ。セメント工場の復興をイ
ラク人は25万ドルでやったのに、日本の三菱マテは100万ドル
かかると言ったのが「疑惑」の根拠になっている。さらにアメリカ
が出したプランによると、2300万ドルということである。三菱
マテは確かに吹っ掛けたのかもしれないが、イラク人による修理(
25万ドル)は応急処置のようなものだったというから、日本の
100万ドルとイラクの言う25万ドルの間の50万〜75万ドル
くらいが正当な相場ではないだろうか。10万ドル程度の吹っ掛け
を三菱マテ側がやっていることはあるだろう。しかし、ビジネスな
のだから仕方ない。これを否定したら資本主義は成り立たなくなっ
てしまう。
http://www.washingtonpost.com/ac2/wp-dyn/A20273-2003Nov9?language=printer

私はハリバートンについての批判的な報道にややバランスを欠いて
いると思う。ハリバートンは確かに利権獲得において、チェイニー
のコネクションで有利になった。ただ、ハリバートンの子会社の
KBRが油井消化の技術を持っていたというのもまた事実のようで
ある。

私はハリバートンに適切な技術力があるのであれば、この会社が復
興支援にあたるのは問題になるとは思っていない。実際には、ハリ
バートンは仕事をいい加減にやったり、水増し請求を行ったりした
。この点がタックスペイヤーマネーの観点から問題なのである。
そもそもイラク戦争自体に問題があったと言うことの前にはこうい
う問題は些細な問題だと思う。

それから、もともとイラクに対して、日本はかなりの投資をしてい
る(債権を持っている)。フランス・ドイツ・ロシアもかなりの債
権を持っているのだが、日本もアメリカ以上にイラクのフセイン政
権のもとで投資活動をしている。

こういう点を踏まえて、岡本氏が人脈の三菱人脈を利用したという
点はあると思うし、それは岡本氏がこの本で認めている。

それから、イラクへのパトカー支援の話も詳しく出ている。これは
、日本のODA戦略の一環。このパトカー支援のアイデアは奥克彦
参事官が考案したものだった。

奥氏らの殺害事件に話を戻すと、岡本氏は米軍誤射説を簡単に否定
している以上は踏み込んでおらず、犯人像についても殆ど自分の考
えすら書き残していない。この点は疑問が残るところではある。

私は以前、奥氏らのPCや、携帯PDA、フロッピーがイラク大使館から
紛失した点(前出の歳川レポート)、襲撃されたランクルの返還が
必要以上に遅かった点(確か3月くらいになった。なんで3ヶ月も掛
かるのか)を考えた上で、米軍による二人の謀殺の可能性を指摘し
た。

歳川氏が、『文芸春秋』に2ヶ月連続で書いた記事のうち、最初が奥
氏らの殺害に関する疑問点を扱ったものであり、2本目が、岡本補佐
官に対する疑惑に関するものである。このことから、歳川氏は二つ
の出来事が連動していると匂わせていることが窺える。

この殺害事件が、バース党であれ、アルカイダであれ、なんらかの
イスラム勢力によるものであれば、政治的な意図を表明するために
、犯行声明があってしかるべきである。これが、殺害犯人が、米軍
ではないかと推定する根拠の一つである。事実、今年に入ってから
の人質殺害はすべてビデオによる犯行声明が送られてきている。
「自衛隊を派遣してはならない。この二人と同じような目にあいた
くなければ、自衛隊は来るな」という声明が一切無かったというの
が極めて奇妙である。

そして極めつけは、事件当初に出た「共同通信」の記事である。
この記事は、米軍誤射説を生む強力なきっかけになったものである
。これに加えて、アメリカ側としては、有為の外交官を失ったとい
うことから、自衛隊派遣賛成に世論を誘導できる、という思惑もあ
っただろう。

しかし、結局はどっちが真実なのかはわからない。どちらの側も同
じくらい説得力があると思われるからだ。

そういう疑惑云々の話を抜きしても、結構この本は示唆するところ
がたくさんある。岡本−奥のコンビがどのようにして、イラクの復
興支援の「箇所付け」をやっていったかが判る。奥克彦氏が、優れ
た外交官であり、情報将校であり、イラク全土を隅々まで視察し、
現地のニーズを把握し、日本企業の復興支援の水先案内人として役
割を果たそうとしたことが伝わってくるのである。正直、この岡本
−奥の連携プレーの巧みさに私は感心した。置かれた状況で、最大
限の成果(日本の国益)をもたらそうという努力をした人だったの
だと言ってもいいかもしれない。
http://www.idcj.or.jp/1DS/11DS_ee_f.htm
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(Fのコメント)
日本にとっての国益かどうかは、この戦争が勝つ戦いかどうか、こ
の戦争を世界がどう思うか、の2点であろうと思う。

もう1つ、米国の意図を読む必要がある。どうも、米国は石油資源
の確保を狙っているように感じる。

このような戦争に日本は米国をどこまで支持するかを検討する必要
があると思う。イラク戦争の正義は、ほとんどない。ゲリラ活動が
頻発している。そして、戦争の拡大を意図してイランまで侵略する
という。

そして、世界はイラク戦争でもいい加減にしてと言っているのに、
イランまで侵略するというのです。これは、もう日本としても付合
い切れないように感じるが。どうでしょうかね。
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「憲法改正の論点整理 −集団的自衛権と国家像−」

参院選が終わった。
民主が伸び、自民の凋落が明らかになったが、公明に支えられて表
面上の議席数ではそれ程負け込まず当面政局になる事は避けられた。
参院選では年金問題が主な争点だったが、次期衆院選では憲法改正
が俎上に上がると見られている。
特に今後年金問題等で民主の責め方が甘く、小泉政権が死に体なが
らこのまま延命を続け、衆院解散が任期切れの3年後に近付けば近
付く程この傾向は強まるだろう。

いずれにしても、国際情勢等が風雲急を告げ、憲法改正容認の国民
世論が過半を占める今、政局如何に関わらずその論点を整理して置
く事が必要であるのは言うまでもない。

◆結論が見えてきた諸論点
少し前までは、国際貢献として国連の集団安全保障活動に参加する
に当って武力行使を含めるか否かが最大の争点であったが、6月に
出た民主党の憲法改正素案で武力行使については「最大限抑制的」
という条件付きながらこの肯定が明示された以上、自民党も同じ土
俵に立つ事を迫られる。
また、前の参院選での共産党、社民党の大敗を見ても、国民世論も
やがてこれらの容認へと収斂して行くだろう。

その他「環境権」等の諸人権、地方分権等を強化する方向性は、程
度は別として概ね各党も一致して賛成する事項である。
また、国民の権利と義務の問題もこれらを条文上精緻に書き込み組
み上げる作業は重要な事であり国民、マスコミが監視して行くべき
事であるが、要はバランスの問題であり、筆者は言われている程実
質的な争点にはならないと観る。

それでは残された大きな争点は何かと言うと、筆者は集団的自衛権
の問題と国家観、国家像を前文でどう描くかであると考える。

◆残された論点(1) 集団的自衛権
集団的自衛権とは、国際法上、自国と密接な関係にある外国に対す
る武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力を
もって阻止する権利を言う。

現憲法第9条に「・・・国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又
は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを
放棄する。2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は
、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」とある。
内閣法制局及び歴代自民党内閣は、この条文を基に日本は集団的自
衛権を有しているが、その行使は出来ないとして来た。

しかし、元々国連憲章で、「この憲章のいかなる規定も、国際連合
加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国
際の平和及び安全の維持に必要な措置を取るまでの間、個別的又は
集団的自衛の固有の権利を害するものではない」(国連憲章第51
条)と明確に規定されている通り、集団的自衛権は国連の錦の御旗
の下、国連軍、多国籍軍が編成される等の間の緊急避難的なもので
あり、現憲法下でも法的にも行使は認められており、国益の面でも
認められて然るべきと筆者は考える。

さて、この集団的自衛権の行使を憲法改正の際にどう扱うかが争点
になる。当然の権利であり敢えて明記すべき事もないというものか
ら、行使出来ない旨を書き込むべきというものまで、立場により幅
広い意見がある。

筆者は、前述の様に行使が認められて然るべきと言う立場から、現
憲法下で解釈が分かれる以上、行使できる旨を明記すべきと考える。

だがその上で、現状を見るに、現小泉政権が極端なアメリカ追従で
あるのは論外としても、筆者は、この集団的自衛権の行使の明記が
、現にイラクで起きている事に上乗せして今後も「アメリカの(侵
略)戦争」に無制限に付き合わされる「自動参戦装置」となりかね
無い事を懸念する。

本来、我が国が集団的自衛権の行使が緊急性と国際正義及び国益に
適うと判断する事態が生じたら、主体的に行使すればよいし、その
逆なら行使しなければよいだけなのだが、国防をアメリカに大きく
依存している現状を考えれば、今後の政権もアメリカからの圧力に
耐えられるか心許ない。

そこで、筆者は「国際社会の同意が得られる場合に限り」その行使
を妨げない旨を書き加えた上、当面のテクニカルな対応として、第
1段階の憲法改正としては、日本が自主防衛の充実等により相応の
国際的発言力を得るまでは集団自衛権の行使について敢えて「我が
国の安全に対し喫緊の影響を与える場合に限り」等の制限を付け、
第2段階として、その制限を削除する「2段階改憲論」を提唱した
い。

なお、国連の錦の御旗の下に行われる「集団安全保障活動」とそれ
が発動されるまでの繋ぎである「集団的自衛権行使」は、国際社会
においてもより明確に区別されるべきである。

◆残された論点(2) 国家観
もう一つの論点となるのは、順序が前後したが国家観を憲法前文に
どう書き込むかになる。
所謂「国がら」については、中曽根元首相等主に自民党側からは、
憲法の前文には、「どこの国にも当てはまるものでない日本の国が
ら、伝統を織り込む必要がある」となるが、一方の先述の民主党の
素案では、「地球市民的」的要素を大きく謳うべしとされている。
筆者はこれらについても、両方の要素が必要であり、落とし所を探
るべき課題であると思う。

佐藤
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件名:「小泉レイプ事件」の判決  

その11日前に、明後日、略称「小泉レイプ事件」の判決が、7月15日
(木曜日)午後1時10分、同じく東京地方裁判所の6階、609号法廷で
下される。終了後には懇親会を開く。是非、参加されたい。一番大
事にしなくてはならないのは、こういう個人的な信頼関係の付き合
いである。
 
以上。
木村愛二:国際電網空間総合雑誌『憎まれ愚痴』編集長

 上記の「小泉レイプ事件」の判決は如何なったのでしょうか?
新聞紙上には記事を探せなかったのでこのコラムでお教え願います。
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 一コラム愛読者より 
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buccie@lime
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(Fのコメント)
敗訴ですね。事実を証明できなかった。状況証拠しかなかった。
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 小泉レイプ事件7/15判決は、形式上の敗訴なれど、主目的の小泉
鈍一郎の蹴落としは、ほぼ達成し、訴訟費用(後述の1万円の印紙代
)の数十倍の資金カンパを得て、控訴審、上告審、別途の国会発言
の提訴と、まだまだ戦いが続く。
 
 原告の私、木村愛二は、一昨日の7月15日以来、本件、略称「小泉
レイプ事件」裁判の判決に関して、各方面から報告を求められてい
る。支援者だけが相手なら難しい仕事ではないが、このところ、し
きりと、揚げ足取り専門の下品な閑人の茶々も入るので、中途半端
な発表はできない。

木村愛二:国際電網空間総合雑誌『憎まれ愚痴』編集長
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「根拠なき提訴」と批判=小泉首相への賠償請求棄却−東京地裁
 「婦女暴行の逮捕歴があるのに首相の地位に居座り、精神的苦痛
を被った」として、東京都武蔵野市に住む著述業の男性が小泉純一
郎首相を相手に慰謝料100万円を求めた訴訟の判決で、東京地裁
は15日、訴えを棄却した。
 原敏雄裁判官は「逮捕歴を認める証拠はない。確たる根拠なく提
訴し、相手に無用の負担を掛けるのは、それ自体が不法行為として
責任が生じることを指摘しておく」と述べた。 (時事通信)



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