1679.お雇いユダヤ人戦略



お雇いユダヤ人戦略         アルルの男・ヒロシ  

 アルルです。現在、『ユダヤ人と経済生活』(ウェルナー・ゾムバ
ルト著)を途中まで読み進めていたのですが、大前研一氏の新刊『
日本の真実』(小学館 刊)が出たので、こちらを買って一気に読
もうとしています。

大前氏の主張は10年前から一貫していて、「日本は小さな政府と
道州制を採用し、グローバルに市場を開け」ということです。私は
、この大前氏の主張が長期的にみて、日本の「国益」のためになる
のだ、と考えます。

てっきり、私はウォルフレンだと思っていたのだが、大前氏が「鉄
の三角形」という言葉を80年代の終わりに作ったのだそうだ。
大前氏は現在は、三角形どころか、8角形(オクタゴン)になって
いるのであると主張している。政財官だけではなく、加えて、マス
コミ、審議会の御用学者、さらに検察庁・国税庁、さらには弁護士
(司法)も加わって「鉄のオクタゴン」だというわけです。

私はさらに、アメリカを加えて、底面が8角形で頂点がアメリカの
「鉄の8角錐」という構造になっているというのが正しいと思う。
大前氏も書いているのだが、どうも、チャルマーズ・ジョンソンの
いう、「通産省と日本の奇蹟」というのは、少なくとも戦後、自動
車業界に当てはめてみるとあんまり当たって無かったということら
しい。たしか、そういう本も出ていたような気がする。『産業政策
論の誤解―高度成長の真実』(マーク・ラムザイヤー著)うまくも
いっても居ない、日本の産業政策を研究し、国家戦略として採用し
、ITバブルを生み出したアメリカはいったい何なのだろうという
ことになってしまうが。

自動車にしろ、半導体にしろ、日本の官僚はアメリカの官僚と交渉
すると譲歩してしまうので、民間企業は迷惑しているという話のよ
うなのだ。守るべき時に譲歩するというのは確かに飛んでもない話
だ。確かに、橋本龍太郎元通産相は、自動車では譲歩しないで、ビ
ッグバンで譲歩するという大失態を侵してしまっている。官僚・通
産省は、一生懸命頑張っている日本企業が、アメリカにいじめられ
ているときに、守ってやる事は必要だろうが、それ以上はする必要
はない、かえって邪魔だということになる。

竹中金融大臣(出馬中)にしろ、大前氏に言わせると、「実は不良
債権の処理実体経済には何の影響もない。不良債権はすでに起こっ
てしまったもの、すなわち過去の帳簿上の問題だから、不良債権を
処理することによって景気が回復して経済が再生する、ということ
はありえないのだ」(31頁)ということになるようだ。大前氏は
、いわゆる「日米クローニーキャピタリズム」という視点はあえて
持たないようにしているようだが、今の経済相場が、ヘッジファン
ドなどの外人買いという要因やデイトレーダーの金融博打という要
素で動かされているので、実体経済をあまり反映しないというのも
重要な視点だから補足しておく必要がある。

また、大前研一氏は円高論者でもある。円高・円安のどちらがよい
のかと言われれば、一般的には、円安で輸出企業が一息つくと言わ
れるので円安の方が良いと言われる。しかし、今の円高傾向を阻止
しようとすると、政府の為替介入につながる(しかも対して効果が
ない。)ので、無駄な米国債がNYに積み上がるだけで、死に金を
作っているようなものである。これも、アメリカの戦費の埋め合わ
せにつながるということだ。そういう意味では、米ソ冷戦を支えた
、プラザ合意以後の構造と同じことだと思う。日本はアメリカのイ
ラク戦争に「為替介入→米国債購入→戦費提供」という形で貢献し
ているわけである。そういう意味からすれば、円高を受け入れるべ
きという大前氏の主張には一理ある。

それから、前掲のユダヤ人本と大前氏の本を同時並行で読んでいて
強く感じたことだが、「日本人には金融は向かない。製造業には向
いているが」ということである。それならいっそ、ゴーン社長のよ
うに、優秀なユダヤ人を裏切らないほどの適正な高給を支払って「
お雇いユダヤ人」として雇って経営に参画させた方が良いのではな
いか。契約に忠実なユダヤ人のこと、日本がキチンとフィーを払え
ば、日本の企業のためにだって働いてくれるはずだ(と期待したい
)。米エスタブリッシュメント系に近いユダヤ人たちは、腹黒くて
油断できないが、もっと進取の精神あふれた、ユダヤ人たちをスカ
ウトするわけである。

今の日本の外資の受け入れについても問題があって、原則受け入れ
はしないくせに、クローニーな政治銘柄のファンドだけ幅を利かせ
ることを許したり、部品産業などの日本の死活を握る産業にハゲタ
カファンドを投資させたり、「公正な市場運営の監視役」として官
僚機構が機能していない。今の日本では外資の直接投資が、歴然と
して少ないのは数字から明らかであり、乗っ取り型のM&Aではな
い投資スタイルで、外資が(日本の重要産業以外で疲弊している部
分に)投資できるようにする必要があるのかもしれない。日本の官
僚は牛肉輸入などのどうでも良い部分でアメリカの投資を拒むくせ
(日本の農水省は自民党の票田である農家を守るだけの存在である
)に、金融、電力、通信など重要な部分では、戦略性に欠けて譲歩
してばかりである。せめて、「日本産業育成の5カ年計画」という
のでも立案して、戦略的に、液晶業界やバイオ業界を育成するとい
うのであれば、まだ理解できるのだが、役人というのは数年で部署
が変わるので責任がない。

官僚制について、大前氏が主張しているのでこれは面白いと想った
アイデアは官僚(課長以上)に行政の結果責任を負わせるというも
のだ。これは以前、官僚制研究の広瀬てつお氏が提言した、「含み
権力」と同じような考え方だろう。確かに、課長以上に絞れば、銀
行の頭取が責任を問われるご時世なのだから、賠償責任を追及して
も構わないといえる。

大前氏は、政治の現場とはあまり接点を持っていないためか、クロ
ーニーな学者、政治家、財界人がいうような、眉唾のきれい事を言
うことがない。大前氏の政策提言を生かすも殺すも実際の政権をに
なう側の知恵と勇気である。

まったく、我が国には、竹中平蔵のようなクローニーな「学者くず
れ」ではなく、大前研一氏のようなアイデアマンが10人ほど必要
だろう、と痛感させられた。
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イスラム社会 とら丸   2004/06/30 06:42 
   
 イスラム社会制度は、本来イスラム教を規範とする優れた社会だ。
キリスト教文化の西欧諸国のシステムより優れている。

イスラム社会は安定している。豊かとはいえないが、環境破壊はな
い。血族同士の強い絆が安定した社会を作っている。貧しいものへ
の施しがあり、働き手を失った母親など弱者を社会全体でささえる
伝統もある。

イスラム社会では民主化はすでに過去に通過している。イスラム社
会は一人一人の人間が大切にされる、もう十分に民主的な国家群な
のである。

一方西欧の近代は北の海賊ノルマン人の文化を色濃く受けつぎ、制
海権を得ることで、世界各地を侵略・征服した。そして白人の征服
欲とキリスト一神教は強く結びついている。

白人は白人キリスト教徒以外を普通の人間として見ていないのでは
ないか。       西欧文明の本質はこれだ!

何が民主化か! 
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件名:中東問題専門家アミール・ベアティ氏に聞く  

外部からの民主化強要不可能
暫定政権の課題は治安の安定
 イラクで二十八日、米英主導の連合国暫定当局(CPA)からイラク暫定政権に主権移
 譲され、新生イラクがスタートした。イラク暫定政権の最大課題は治安の安定だ。イラ
 ク出身の中東問題専門家アミール・ベアティ氏に新政権の課題と問題点などについて緊
 急質問した。

(聞き手=ウィーン・小川 敏・世界日報)掲載許可済み

 ――イラク国民が要求してきた主権移譲が行われた。主権移譲の意義と新政権の課題に
 ついて聞きたい。

 主権移譲は歴史的な出来事だ。フセイン独裁政権下で苦しんできたイラク国民の前に新
 しいスタートが開かれたわけだ。イラク政権は多くの課題と責任を背負い、イラク復興
 に当たるが、当分は米軍と連携して国内の治安維持に当たらなければならない。治安維
 持のために、警察官一人に三十発と制限されてきた銃弾規制を撤廃、必要に応じて武器
 を提供すべきだ。CPAは旧政権の省庁を解体するという大きな過ちを犯した。その結
 果、大量の失業者を路上に追いやった。イラクでは今、70%以上が失業状態にある。
 新政権の課題は治安確保と共に経済再生、雇用創造にある。また、新政権は各省の権限
 と責任を明確にしなければならない。これまで一人の政治家が外交から経済まで手を出
 す傾向が強かった。米軍が先日、約三万人の警察官を解雇したが、彼らの多くは無資格
 であり、読み書きすらできない者だった。彼らの多くは所属する政党指導者の推薦で職
 を得た者たちで、給料を手にするだけだった。新政権は腐敗阻止に真剣に取り組まなけ
 ればならない。新政権の政治家の多くはイラク国民から遊離している。新政権はまず、
 国民の信頼を勝ち得なければならない。

 ――イラク全土で二十四日、同時テロが行われた。テロの激化が予想されている。

 指導者がおり、組織が背後にある。主権移譲後もテロは多発するとみて間違いがない。
 二十四日の同時テロはその前触れであり、警告だ。テロリストは国内外のイスラム過激
 派だけではなく、一部のイラク人も関与している。考えてもみてほしい。多くの若者が
 何カ月も失業状態にいる。彼らの怒りと不満は暴発寸前だ。彼らがテロ活動に関与して
 いても不思議ではない。経済状況が改善されず、失業者が街にあふれ、電話・通信、電
 力などの基本的インフラが改善されない限り、テロは続くだろう。

 ――主権移譲後、反米を動機としたテロは減少するか。

 反米機運は拡大することがあっても減少することは当分考えられない。米軍は解放軍と
 自称してきたが、実際は占領軍であった。同じように、イラク国民は完全な主権移譲を
 願ってきたが、イラク新政権が米国の操り人形にすぎないとなれば、反米機運はさらに
 高まり、国内全土でさまざまな抵抗運動が展開するだろう。米国はイラク側に完全に主
 権を移譲するとともに、米軍の駐留期間を明確にすべきだ。

 ――国連決議に基づき、米軍を中心とした多国籍軍が創設されるなど、イラク復興で国
 連の役割が今後強化される。

 国連は脆弱(ぜいじゃく)だ。主権移譲後の駐留米軍の最優先課題は国連の保護という
 が、米軍兵士自身が十分に守られていない現状でどうして国連を守ることができるのか。

 ――国連決議によれば、来年一月にも国民議会選挙の実施が予定されていが、時期早尚
 ではないか。

 早過ぎるということはない。フセイン政権崩壊後、村では評議会が設置され、各市では
 代表が選出され、バグダッドに派遣されている。準備は進んでいる。フセイン政権下で
 自治権を有していたクルド人も中央政府へ統合しなければならない。その前に、タラバ
 ニ議長(クルド愛国同盟党首)とバルザーニ議長(クルド民主党党首)は対決をやめ一
 体化すべきだ。反米運動を展開してきたシーア派聖職者サドル師はここにきて信者に闘
 争停止を指示、新政権との連携を模索してきている。米国もサドル師の政界参加には反
 対していない。

 ――ブッシュ米政権の中東民主化計画の見通しは。

 ブッシュ政権の中東民主化計画は既に暗礁に乗り上げている。外部から民主化を強要す
 ることは不可能だ。米国内でもブッシュ政権の政策批判が高まってきているではないか。
 米国が中東の民主化を真剣に考えているならば、パレスチナ問題をまず解決すべきだ。
 それなくして米国は中東の民主化を叫ぶ資格がない。

 ――最後に、対イラク国際支援について聞きたい。

 イラクは豊かな国であり、石油輸出国だ。イラク国民は外部の支援がなくても国を運営
 できる民族だ。国際支援が占領政策である限り、成功しないだろう。イラク政府が石油
 産業の利潤を管理、国民経済の発展のために使用すべきだ。フセイン政権時代、国連が
 「石油・食糧交換計画」を実施したが、石油輸出による巨額の利益がどこに流れたか、
 今も不明だ。同計画に関与した国連職員関係者による汚職だ。国際社会に要請したいこ
 とは一つ、フセイン政権時代の対外債務の免除、ないしは一部免除だ。新生イラクにと
 って、対外債務の免除は死活問題だからだ。
Kenzo Yamaoka
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件名:スーダンの悲劇/内乱の惨劇回避へ緊急行動を  

 「世界で最悪の人道上の悲劇」(ベン英国際開発相)といわれるスーダン西部ダルフー
 ル地方での紛争解決に、米国と国連が本格的に取り組み始めた。
 米国際開発局(USAID)は放っておけば、年内に少なくとも三十五万人が飢餓や伝
 染病で死亡するとみており、早急な行動が国際社会に求められている。

難民化の住民が百万人

 紛争は昨年二月にアフリカ系イスラム教徒主体のダルフール住民らが、政治、経済など
 での公平な扱いを政府に求めて破壊活動を行ったことから始まった。これに対し、アラ
 ブ系イスラム教徒主体の政府が民兵を組織、大規模な反政府活動掃討作戦を展開してき
 た。

 ジャンジャウィードと呼ばれる民兵らは、馬に乗りダルフールの村々を襲撃、住民を殺
 害し、家畜などの財産を奪うとともに家屋を破壊している。これにより難民化した住民
 はすでに百万人に上っており、西の隣国チャドにも多数が流れ込んだ。人権活動団体に
 よれば、すでに一万五千人から三万人が死亡したという。

 食糧、医薬品などの支援活動は行われているものの、民兵らの妨害で十分に届いていな
 い。さらにスーダンは間もなく雨期に入り、救援物資の輸送が困難になる。政府が米国
 や国連の要求を受け入れて民兵支援を停止し、救援物資輸送への妨害を停止させなけれ
 ば、数十万人から最悪の場合、百万人もの死者が出るとみられている。

 パウエル米国務長官は先月六日、スーダンを訪問した。米閣僚としては二十五年ぶりだ。
 長官は「米国と国際社会が現状をどう見ているかをはっきりと伝える」と強調。バシル
 大統領との会談で「行動を起こさなければ、国連安保理などによる行動を起こすことに
 なるだろう」と、制裁をちらつかせるなど事態の改善を強く求めた。

 アナン国連事務総長もスーダン入りする。パウエル長官と会談し、ダルフールを視察す
 る予定だ。

 米国は数年前まで、スーダンをテロの温床とみてきた。一九九三年の米ニューヨークの
 世界貿易センター爆破で起訴された十五人のうち、五人がスーダン人だ。

 九〇年代半ばには国際テロ組織アルカイダが国内で拠点づくりを進めており、米国は九
 八年にビンラディンの化学兵器工場だとして、スーダンの化学薬品工場にミサイル攻撃
 を仕掛けている。

 スーダンはアフリカ最大の面積を持つとともに、大陸の東部に位置し中東・アフリカ地
 域では地政学上、重要な位置にある。米国は同国がテロ組織の活動拠点とならないよう、
 軍事、情報の両面で力を注いできた。さらに豊富な石油資源を持つ同国の混乱は、周辺
 地域ひいては世界へ影響を与える。

 一方でスーダンは同時多発テロ以降、米国の対テロ戦争に協力、過激組織の摘発などを
 行ってきた。米政府は五月、対テロ戦争に非協力的な国家のリストから同国を外したば
 かりだ。

 二十年にわたり、二百万人もの死者を出したとされる政府と南部黒人キリスト教徒間の
 内戦は、包括和平合意が交わされ、終結への光が見えてきている。

ルワンダ大虐殺の例も

 ダルフール危機は、十年前のルワンダ大虐殺をも超える大きな被害をもたらす可能性も
 ある。ルワンダ大虐殺では、介入を回避したい米仏など各国の思惑が、事態を一層悪化
 させた経緯がある。

 石油資源をめぐる利害から、国連の支援に消極的な国もあるというが、今、行動を起こ
 さなければ、取り返しのつかない悲劇と危機的状況を招くことになる。
  世界日報 掲載許可済み
Kenzo Yamaoka


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