1669.新しいモデルが必要



今までの社会は、国民を豊かにすることを国家指導者は考えていた
が、この達成する方法が困難になっている。このため、次のモデル
を探す必要が出ている。それを検討しよう。   Fより

先進国モデルとしては、グリーンスパンが生産性向上ができる限り
、国民は豊かになり経済は発展するという。しかし、中国の台頭で
、生産性を向上するには米国企業、日本企業ともに中国やインドで
生産するしかないことになる。このため企業利益は出るが米国も日
本も国民の失業率が高くなり、安さが必要な小売業・製造業ともに
アルバイトで運営するという矛盾がでてきている。企業の生産性向
上が雇用を生まず、かつ低賃金労働を増加させている。

企業の生産性を向上させるために、米国政府は中国政府と労働協定
も結んでいるし、米国政権内にチャオ労働省長官という中国系米国
人を使って、両国関係を強化している。米国と中国の両国の経済関
係法律、特に労働関係の免許制度を同一化するという快挙を成し遂
げている。

その結果、貧富の差が米国だけでなく、欧州、日本でも大きくなっ
ている。そして、米国、日本のほかにインド、中国でも富裕層が大
幅に増加している。100万ドル以上の金融資産を持っている人は
米国で220万人、日本が170万人だそうだ。日本も富裕層が増
加している。

この生産性向上が国民生活向上に結びつかない矛盾を埋めようと、
日本は新しい工業製品を日本で作り、価格上昇をさせて生産性を向
上させようとしている。しかし、この方法も限界があるようだ。
DVDレコーダー、デジタルカメラや液晶テレビでも5年内外で韓
国や台湾が追いつき、その後数年で中国が追いつくという構図にな
っている。

このため、開発費回収より早く追いつかれるようなってきた。中進
工業国家の能力がUPしてきている。そして、船井などの日本企業
が中国で製造するために低価格性で中進国を追い抜くことになり、
中進工業国家も限界になっている。

一方、米国支配層は、覇権国家として存続するため、「世界の需要
者」たる地位を保持して、米国の覇権をソフト面から世界に納得さ
せている。大衆の消費財を大量に輸入している。
ドルという基軸通貨があるために、大幅赤字でも日常的には「世界
の需要者」として他の国が生産する財を大量に輸入することができ
るのだ。

米国は、金融などのサービス産業にシフトしているが、日本、欧州
もこの分野を増強している。もう工業国家だけでは生き残れない。
ヨーロッパ諸国は集団で関税などを撤廃して経済の効率を上げて、
ユーロを基軸通貨にしようとしている。
それと経済発展を放棄して、持続的な社会構造に転換するプロジェ
クトで世界をリードしたいようである。しかし、まだ世界に売れる
状況ではない。

米国はサービス産業の限界を感じて、戦争産業やエネルギー産業を
再度、復活させようとしている。ヨーロッパや日本は脱石油という
ことで燃料電池や風力発電、太陽光発電などのエネルギーへの転換
と仏のように原子力発電に進路を見出している。米国は石油資源が
当分続くとして、この分野を増強する方向である。しかし石油産出
国でかつ輸出可能量の大きな国は、中東地域か南米のベネズエラで
あり、テロリストや麻薬マフィアが君臨する世界である。
米国はこのテロリストやマフィアとの戦争ができ、石油も確保でき
るという一石二鳥の効果を発揮する。問題は国民世論の動向である。
簡単に勝つ戦争しかできない。この面でも大丈夫とイラクに侵入し
たのです。

米国は戦争技術が飛びぬけて優秀であるため、どうしても石油の獲
得と戦争を組み合わせて米国の経済を上昇させて、米国民特に財閥
を豊かにすることを考える。

しかし、イラクの混乱で米国はゲリラ戦の重みを感じている。41
兆円もの経費が、今までの軍事費に上乗せして1年間に掛かること
が判明している。しかも、この金額以上に必要になっているが、現
時点ブッシュの再選のために言い出せないようだ。41兆円とは日
本の国家予算の半分である。

とうとうドルのばら撒きも限界に来ている。あまりにも世界的にド
ルが積み上がっている。このため、ドル暴落は簡単で中国や日本の
金融当局者が蓄積したドルを市場で出すだけですむのだ。

このため、グリーンスパンも見直しが必要と認識しているようであ
る。そして、最初に見直しがかかるのが、「世界の需要者」として
の米国を止めることである。急にやると恐慌になるために、徐々に
2年から4年を掛けてするとは思うが。そして、米国はイラクやベ
ネズエラの石油が手に入れば、ロシアのように石油とガスで生き残
れる可能性があると踏んでいる。イラクを属国化して、産業支配を
すればより大きな利益を得ると。

このため、米国の見直しが起こると日本は大きな影響を受けること
になる。中国への輸出の2/3は中国の生産に必要な部品であり、
この最終消費地は米国である。米国が需要者を止めると、中国の需
要も止まることになる。日本の輸出も米国、中国で止まる。

このため、日中のビジネスマンの意識が違うことになっている。中
国人ビジネスマンの目はどうしても米国になっている。日本は中国
に目を向け始めた。市場としての期待がある。

しかし、米国の市場が無くなると、今までのモデルではうまくいか
ないことが見える。貧富の差が大きいために、米国の中間層がいな
くなることも原因の1つであろう。このため、欧州、特にフランス
と同様に日本も高級品にシフトすることが重要になる。フランスと
違うのは日本しか作れない物であることだ。他国では贋物も作れな
いことである。

日本には文化的な積み上げができている。この文化を反映した物を
世界に売るしかない。工業製品をレクサスのような最先端の技術を
使った芸術品にしたようなものである。こうすれば、米国の大衆が
消費を止めても資産家、富裕層が買うために生き残れることになる。

米国がこの需要者としての位置を止める処置をとる前に中国の消費
に火がつけば、世界経済の機関車として中国が出てくることになり
、恐慌は回避できる。このときは巨大市場ができるために日本の高
級品は、中国の中級品と差別化できるために、売れることになる。
日本の農産物が、現地生産の価格の10倍以上であるが売れている
ようだ。これと同じ現象が起こることになる。

早く最先端技術を使った芸術品としての最高級品にシフトする必要
がある。日本の伝統文化を売る姿勢が必要になっているようだ。

参考資料
「産業主義近代」の終焉  あっしら
http://www.asyura2.com/0403/dispute18/msg/395.html
http://www.asyura2.com/0403/dispute18/msg/419.html
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日本の富裕層、5.8%増え131万人 世界の17% 
http://www.asahi.com/money/kaisetsu/TKY200406170123.html

 大金持ち増加中――。メリルリンチ日本証券が16日に発表した
世界の個人資産家に関する報告書によると、03年末時点の日本で
不動産をのぞく金融資産を100万ドル(1億1000万円)以上
持つ富裕層は前年末より7万2000人(5.8%)増えて131
万2000人。全世界の17%を占めた。 

 報告書によると、全世界の03年末の富裕層は、前年末比50万
人(7.5%)増の770万人で、保有資産は同7.7%増の28
兆8000億ドル(約3168兆円)。富裕層の投資対象は、低利
の債券商品から、変動幅が大きい株式やヘッジファンドなどに重点
を移しており、保有資産は08年までに40兆ドル(4400兆円
)を超えると予測している。 

 富裕層人口の伸び率ではインドが前年末比22%増、米国が同
14%増、中国が同12%増と高い数字を示した。 

 調査は米大手証券メリルリンチと仏コンサルティング会社キャッ
プジェミニが毎年行い、世界銀行や国際通貨基金(IMF)などの
所得統計をもとに推計している。 (06/17) 
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連携望む国、日中で温度差・日中ビジネスマン調査(nikkei)

日本経済新聞社が日本と中国のビジネスマン約200人を対象に実施し
たアンケート調査によると、2020年には中国の国内総生産(GDP
)が日本と並ぶか上回ると予想する回答が全体の7割強に達した。日
中自由貿易協定(FTA)の締結支持が多数を占めたが、今後関係
を強化すべき国としては日本側は「中国」、中国側は「米国」をあ
げるなど温度差も目立った。

 昨年度の日本の名目GDPは501兆円(約4兆6000億ドル)で世界
2位、中国のおよそ4倍の規模。中国政府は2002年の共産党大会で、
2020年のGDPを2000年水準の4倍の約36兆元(現行為替レートで約
4兆3000億ドル)に増やす目標を掲げた。この目標について聞いたと
ころ「目標はほぼ妥当で、GDPは日本と並ぶ」という回答が日中
ともに38%と最多だった。目標達成は難しいが、人民元相場の切り
上げでドル換算のGDPが日本を抜くとの予想は日本で31%、中国
で21%に達した。 (07:01)
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労働分野の協力強化=米中が4文書調印

 【北京21日時事】北京の米大使館によると、訪中しているチャ
オ米労働長官は21日、労働、雇用、職場安全の各分野について、
中国側との協力を強化する4つの文書に調印したと発表した。同大
使館は4文書について「米政府が労働問題でこれまでに中国と交わ
した合意の中で、最も包括的なものだ」と評価している。 
(時事通信)
[6月21日23時2分更新]


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