1655.カール・ローブ上級政治顧問



カール・ローブ(Karl Rove)上級政治顧問の存在が大きい。内政の
ほとんどは、このローブが見ているため再選政策とて、どういう手
を打ってくるか想像しよう。  Fより

ローブは地質学者の子としてデンバーに生まれた。学業ではユタ大
学、テキサス大学、ジョージ・メイソン大学に在学したものの、共
和党の政治活動が忙しくてどれひとつ卒業していない。つまり大卒
の資格さえ持たない変わり種である。

学生時代から筋金入りの共和党員として鳴らし、一九七三年には、
共和党全国委員長の特別補佐官になり、委員長の大統領の座を射止
めるブッシュの父(ブッシュ・シニア)に認められる。そして、長
男であるブッシュとのつきあいはこの時から始まった。年はブッシ
ュの方が四つ上。偉大な父親や共和党エリート層に対する反発心を
持つブッシュと、根っからの保守派で一種の「落ちこぼれ感覚」を
持つローブは気が合ったらしい。

カール・ローブは、敏腕な選挙コンサルタントであるが、影の大統
領、政権の実力者、大統領の政治指南役、大統領の懐刀、大統領の
側近中の側近、筋金入りの保守派、裏方を担う策士と呼ばれる。

このように呼ばれるローブはホワイトハウスにおけるオールマイテ
ィと言っていい。ローブは単なる政治顧問ではなく、ホワイトハウ
ス内の新設調査機関ともいうべき「戦略イニシアティブ室」を任さ
れている。ゆえに必要とあれば、ホワイトハウス内や関係省庁の会
議はどこでも「木戸御免」で出席できる権限を有している。

ローブは大統領にはいつでも会うことができるし、毎日、二人きり
で大統領に会っている。大統領への近さがモノを言うワシントンに
おいては、これは決定的に有利な条件だ。大統領のスピーチの内容
はもちろん、どこをどういう順序で訪問し、誰と会ってどんな話を
するかといった細部に至るまで、ローブが関与して指図をしている
という。

そして、住民を無差別虐殺するファルージャ包囲戦を止めたのは、
このカール・ローブで、イラク全土に反米闘争が広がり、イラク侵
略戦争で米軍兵力が足りなくなり、6月末の政権完全移譲も不可能
になっている。このような事態は明らかにブッシュ大統領の再選を
難しくする。そのため中道派に加え、ブッシュの選挙参謀であるカ
ール・ローブも国防総省のやり方に反対するようになった結果、フ
ァルージャに対する米軍の戦略が劇的に変化することになったよう
だ。

カール・ローブは、イラクの再建を国連に任せる戦略にも関与した
と指摘されている。ブッシュ大統領は、11月の選挙までに「イラ
ク戦争を成功させた」と言える状態にする必要がある。このため、
欧州への譲歩を行っても、国連安保理で、米英決議案を通す必要が
あったようだ。

そして、ケリーに対して、ネガティーブ・キャンペーンを指示して
いるが、このローブであるが、現時点の世論調査ではケリー有利と
出ている。一層の再選のための努力が必要になっている。

再選にダメージを与えているのは、イラク人虐待問題も関係してい
る。ブッシュに対する最大のネガティーブ・キャンペーンとなって
いる。なんとか、一部の軍人の行為としたが、どうも組織的な指示
との線が濃厚になっている。

このように不利な状況で、今年の一般教書は大統領選を強く意識し
た内容となっており、道徳や信仰や家族を重視するものとなった。
この演説をキリスト教右派など保守系団体幹部にテレビで見るよう
に電話で働きかけたとされているが、ブッシュ大統領の再選戦略を
取り仕切るカール・ローブ大統領上級顧問(政策・戦略担当)の指
示であろう。

その他、ブッシュにスペイン語で演説させたり、ヒスパニックを味
方につける戦略のようである。黒人のパウエル、ライスで黒人票も
期待している。

さあ、どうなりますか??
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参考資料

最新アメリカの政治地図 園田義明 講談社現代新書

「草の根保守派」から読め
http://tameike.net/writing/sapio1.htm

ブッシュ再選のために食い止められたイラク総攻撃 
2004年5月8日  田中 宇
http://tanakanews.com/e0508iraq.htm

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米大統領選、ケリー氏が7ポイント優位…米紙世論調査

 【ワシントン支局】米紙ロサンゼルス・タイムズ(電子版)が
10日伝えた同紙の最新の世論調査結果によると、11月の大統領
選がブッシュ大統領と民主党のケリー上院議員の一騎打ちとなった
場合、ケリー氏支持は51%でブッシュ大統領の44%を上回った。

 回答者の5分の3近くが「米国が悪い方向に向かっている」とし
、ブッシュ大統領の就任後、同設問での最高値を記録した。ただ、
3分の1以上が「ケリー氏がブッシュ大統領より優れた大統領にな
るかを判断できるほど、ケリー氏をよく知らない」と答えており、
ケリー氏の存在感が薄いと感じる有権者も多い。

 ブッシュ大統領の支持率は51%。同紙は、過去50年で再選を
果たした歴代大統領のこの時期の支持率は概して55%以上を記録
、再選できなかった大統領は50%を下回っていたとし、ブッシュ
大統領はその境目にあると指摘している。(読売新聞)
[6月10日21時18分更新]
Bush's Brain

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