1635.新しい地政学概念



The Pentagon's New Map: War and Peace in...
海軍戦争大学のバーネット教授の新地政学概念は、話題になりそう
である。詳細にこの戦略を見ていこう。  Fより

「1633.ネオコンの終焉」で述べたように、バーネット教授が
国防総省(ペンタゴン)の合意の元で冷戦後の地政学を構築したよ
うです。その基準はグローバリズムがキーワードで、自由経済圏に
入るかどうかで世界を2分している。ここで特徴的なのが、この自
由経済圏にロシアや中国やインドは入るが、シンガポールやタイは
除外されていることです。日本人の感覚と違うように感じる。

この判断基準は、世界的なグローバル法体系に沿った国内法が整備
されているかどうかによるようです。グローバルな国際的な結びつ
きは世界を平和にして、戦争が起こらないという理論である。
情報や人の動きが活発になると、経済が発展して、それに伴い民主
主義もその自由な行動で自然に広がるという。

このグローバリズムを止めようとする伝統的な勢力が強い地域が、
テロなどの問題を世界に振りまいている。しかし、中国にはこのよ
うなグローバリズムを止める伝統的な勢力がいない。このため自由
経済圏に入るのだそうです。

それより中国を米国の重要な戦略パートナーになると予測している
ことです。それはそうですよね。中国の経済系の国内法は米国の法
律を中国語にしただけですし、両国の資格は相互流通可能としてい
るし、教育体系も一緒にした。これは両国の連邦制が簡単にできる
ことになる。そして、中国を含めたアジア地域でNATOのような
組織ができると予測している。

イスラム圏のインドネシア・フィリピン・シンガポールは宗教的な
色彩が多い法体系なので除外され、小乗仏教圏であるタイ・カンボ
ジア・ベトナム・スリランカも法律体系が違うために除外されてい
る。それと南アフリカを除く経済的な倒産状態にあるアフリカとメ
キシコ・ブラジル・チリ・アルゼンチン以外の中南米・カリブ海諸
国も除外されている。

北朝鮮が自由経済圏であることに意外な感じを受けるが、中国と文
化的な違いがないので、韓国や中国の影響を受けてすぐに自由経済
圏の国家になるということらしいですね。

日本で地政学・戦略家と自称している人たちはまだ、冷戦時代の地
政学から抜け出ていないようですね。米国はさすがに覇権国家であ
り、そのような冷戦構造の地政学から抜け出ている。地経学の要素
も取り入れて構築しているのです。このコラムでは地経学から見て
、ユーラシアと友好関係を構築する必要があると述べていた。
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/k6/160201.htm
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/k6/160208.htm
要するにユーラシア大陸を敵対関係にしていない地政学が覇権国家
米国から出てきたので、当分この地政学が世界の主流になることで
しょうね。

この地政学からは中国や北朝鮮への敵対が解消されているために、
在韓米軍も在日米軍も必要がないということになる。このような思
考でラムズフェルド国防長官は日本の沖縄を返還すると言ってきた
のでしょうね。そして、イスラム圏やインドシナ・バルカン半島・
中南米に軍を振り向けるようですね。

しかし、バーネット教授の新地政学では、左翼のウォーラーステイ
ン教授のような世界を従属関係で見ない。発展途上国とか先進国と
かも問題にしていない。国際的な経済の結びつきだけで自由経済圏
を見ている。

国際関係的には、欧州と世界の見方を揃えたことが大きな特徴でし
ょうね。そしてネオコンのケーガンとも意見が一致させているよう
です。これで欧米での見方が違わないことになる。ソラナ・ドクト
リンとも一致したことになるようですね。
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参考資料
The Pentagon's New Map
BY Dr. Thomas P.M. Barnett
http://fuku41.hp.infoseek.co.jp/160522.htm
http://bbs8.otd.co.jp/881368/bbs_plain?base=2701&range=1
http://bbs8.otd.co.jp/881368/bbs_plain?base=2702&range=1
ウォーラーステインの世界システム論
http://fuku41.hp.infoseek.co.jp/151219.htm
http://fuku41.hp.infoseek.co.jp/150719.htm


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