1585.日本経済の復活



日本経済が復活している。しかし、心配な点もある。  Fより

日本が復活したのは公共事業ではなく、民間企業の活力で中国と商
品での差別化ができたために、日本は復活した。これに比べて韓国
の企業収益は下落している。中国の労務費の安さに負けて、製造業
が韓国から中国にシフトしているためである。

このように日本が陥った不況状況に韓国はなっているようである。
このため、カード破産者が多発して消費者金融会社の倒産も起こっ
ている。このような時期に総選挙になり、野党ハンナラ党が優位に
なると思われたが、与党ウリ党が大統領弾劾訴追を問題にして、
優位になっている。野党の選挙対策の失敗でしょうね。

それまでは、ノムジュン大統領の政策に批判的であった国民に対し
て、反日反米的な論調で国民に迎合していたノムジュン大統領が
あまり、反日反米的なことを言わなくなっている。反日も選挙対策
で必要なのだ。

これに比べて、日本はいち早く中国対応が必要になり、差別化で
デジタル家電を構築して、このような景気回復期になっている。
しかし、日本の成功を見て、韓国もデジタル家電に乗り出してくる
し、中国も直ぐに来るでしょうから、日本は次の製品を持っている
必要があるようだ。

このような高付加価値のもの以外に、鉄鋼や化学薬品、タンカーの
ような船など中国の消費者が、猛然と高級品を買い始めて、基礎資
材も足りなくなっている。電力や石油も不足している。日本の素材
産業が息を吹き返したような勢いである。

このように日本経済は、米国と中国の活況に助けられて、景気を回
復したようです。設備投資も増えてるようですので、本物のような
気がする。

しかし、日本の経済には暗雲もある。1つには高齢少子化で、人口
が減る。これはGDPが減るし、人口が減れば住宅産業などの需要
は少なくなるはず。このことで、年金問題が浮上する。若年労働者
がいないために、年金を払う人より、もらう人の方が多いことにな
る。また、将来の年金が不安なために消費を押さえる動きにもなる。

2つには若年労働者のフリータ化で現在400万人以上がフリータ
ーである。5人に1人がフリーターになるという試算もある。しか
し、企業も正社員を減らして非雇用社員を増やす方向で、これによ
り企業の固定費を削減でき、かつ優秀な非雇用社員を社員にして、
社員の質を上げようとしているようだ。非雇用社員と社員の給与を
同一にして、全体の賃金を減らしながら、優秀な社員を確保すると
いう動きも出てきて、雇用の米国化が一層浸透してきたようである。

このため、人件費という固定費が減って、企業収益は確実にUPす
るようですね。日本企業の収益力は確実に上がっている。これが今
回の景気回復の原動力にはなっている。

しかし、このような日本の状況では、米国と同様に貧富の差が激し
くなる可能性が出てくる。生活消費が経済の60%を占めている現
状からすると、フリータ層が消費に回せる費用は少なくなり、日本
経済の下落の材料になる。このため、企業収益が増して経営者と資
本家が得をして、労働者が損をする社会になる。中国の人件費に、
世界の労働者の賃金が同一化する方向になっている。
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2004年3月4日
http://www.ufji.co.jp/publication/report/2003/03116.html
フリーター人口の長期予測とその経済的影響の試算

○1990年代半ば以降、就職難と若者の意識の変化を背景にフリータ
ーが急増している。今や若者の5人に1人がフリーターとも言われ、
平均的には所得の低いフリーターの増加が社会全体に及ぼす影響は
無視できないものになってきている。

○そこで、フリーターの賃金、納める税金、消費額、年金を正社員
と比較して、フリーター自身が被っている不利益と、フリーターが
正社員になれないことにより生じている社会全体の経済的損失を試
算してみた。
【平均年収】正社員:387万円、フリーター:106万円
【生涯賃金】正社員:2億1500万円、フリーター:5200万円
【住民税】正社員:64,600円、フリーター:11,800円
【所得税】正社員:134,700円、フリーター:12,400円
【消費税】正社員:135,000円、フリーター:49,000円
【消費額】正社員:282.9万円、フリーター:103.9万円
【年金受取額】正社員:(月額)146,000円、
               フリーター:(月額)66,000円
【経済的損失】税収:1.2兆円減少、消費額:8.8兆円減少、
       貯蓄:3.5兆円減少

○このうちGDPに直接影響を及ぼすのは消費である。フリーター
が正社員として働けるなら可能であった消費を諦めることにより、
名目GDPが潜在的に1.7%pt下押しされている。

○フリーターは一度なるとその状態が長期化しやすいこと、高い離
職率と新規学卒就職率の低迷により新規発生が続くと予想されるこ
とを背景に、フリーターの数はしばらく増加が続きそうである。
2020年までのフリーター人口を予測してみると、需給ギャップが縮
小に向かうため失業者は徐々に減少してくるが、正社員以外の雇用
が一段と拡大してくるため、フリーター人口は2010年に476万人とピ
ークを付ける。その後は、経済成長の持続、若年人口の減少などに
より労働需給の逼迫が予想され、フリーター人口は2020年には444万
人に落ち着いてくる。しかし、正社員以外の雇用は拡大基調が続く
ため引き続き高水準で推移し、若年人口に占めるフリーター比率は
2020年には30.6%に上昇する見込みである。


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