1573.米国の動向について



米国の動向を検討しよう。心配していた状況になっている。Fより

本当の親米である私の心配が的中している。米国の孤立化が鮮明に
なってきて、米国支配圏からの離脱が相次いでいる。

イラク戦争で、スペインの選挙でアスナールが負けて、サパテロが
首相になることになったが、サバテロは国連がイラクに関与しない
なら、撤兵するといい始めている。米国圏からの離脱が選挙時の公
約でもある。これに引き続いてポーランドのクワシニエフスキ大統
領も英米を批判し始めて、これで欧州の米国の味方はなくなる可能
性が出てきた。

独仏陣営に英国が参加したのに続き、スペイン、ポーランドまで独
仏に行ってしまっている。このように米国は欧州で孤立する方向が
鮮明になっている。

このため、パウエル国務長官も国連の役割強化をする決議案を国連
に出すといい始めている。これにはウルフォウィッツも賛成してい
るほど米国としては、国際関係に大きな影響を受けている。米国の
言うことを世界が聞かなくなっている。米国の覇権力の減退である。

このため、この頃のブッシュの演説に日本が出てくることが多くな
ってきた。日本しか米国と一体的にイラク戦争を戦うと言う国家が
無いことになっているようだ。世界に米国の味方がほとんどいない。

そして、韓国がキルクークに3000名を派遣すると言っていたが
、この派遣を中止すると噂が出たがどうも170人が派遣拒否をし
たようだ。今でも米韓関係はおかしいのに、このような噂だ出るよ
うであると崩壊する可能性がある。ノムジュン大統領は反日、反米
、親北朝鮮で4月の総選挙を勝とうとしている。
しかし、そのような民衆迎合政治は大きな国際的なトラブルを起こ
しそうな気がする。このように韓国のリスクが高くなっている。
米国・日本から離れたら、経済上での見返りを覚悟する必要がある
でしょうね。

北朝鮮の実質的な支援を行う韓国に、これ以上米国は関与しなくな
るので、在韓米軍はいなくなるでしょうし、韓国経済を支えている
米国からの資金もなくなる。サムソンなどの海外展開にも悪い影響
が出るように思うが、それでも反日、反米のポジションを取るのか
韓国首脳は考えるべきである。北朝鮮の支援をする韓国首脳をサポ
ートする日本のマスコミも考えるべきである。大きな悪影響をこの
東アジアの国際政治に与えることになる。

北朝鮮が韓国と連携したら、核問題も拉致問題も解決しない。日本
は北朝鮮に経済制裁を加えるしかなくなるし、米国は北朝鮮に核施
設に対する攻撃を行う可能性も出てくる。韓国を米国は守る必要が
なければ、北朝鮮の核施設を攻撃できるのですよ。

また日本も韓国との友好関係を見直す必要が出てくる。勿論、経済
関係もおかしくなるでしょうね。これは韓国にとって大きな痛手に
なると思うが、それでも親北朝鮮で、反日反米になるのでしょうか
ね。

もう1つ、台湾の選挙では連戦有利で推移していた。銃撃で陳総統
が勝ったが僅差でしたから、陳氏が勝っても4年後は連戦氏になる
でしょうね。これも米国から離れることになる。そしてアジア地域
での米国離れは決定的になる。相対的に中国の地域覇権が確立する
ことになる。韓国も中国に着くので、大陸はすべて中国圏になり、
台湾も中国圏になる。

それでも米国が軍事能力を保持している間はいいが、これで軍事力
が維持できなくなると、中国は太平洋に乗り出してくる。米中の激
突が起こる可能性が出てくる。まあ、しかしそれは30年先のこと
でしょうが、その予兆が出てくることになる。

このように米国が欧州、アジアで孤立するようである。国内ではブ
ッシュとケリーの戦いになっているが、ケリーにはクリントンがつ
いて親欧的な政策なり、かつイスラエルも欧州のGPSに参加する
ことが決まり、ケリーが米国民主党のユダヤ人たちにも支援しても
らえる環境がそろってきた。裏にはソロスもいる。

日本は共和党の方がいいとブッシュ支持になっているが、世界的に
はブッシュに反対している。米国金融業界も次の展開が必要である
と考えているように思うが、米国福音派や保守派の力も強いために
そうならない可能性もある。このため、企業経営者には不本意であ
るが雇用保護法をケリーが労働者のために制定すると公約するが、
受け入れる可能性がある。グリーンスパンは非難しているが??

米国の経済を見ると、現時点の景気は7%成長と非常にいい。それ
はそうで、2兆ドルもの大判振舞いをして景気を引き上げている。
戦争経済で景気を引き上げているのですが、とうとう国家財政が持
つかどうかの点にきている。

グリーンスパンも積極的に発言しているが、戦争を止めて、どう軟
着陸するかを考える時期に来ているように感じる。このため、米国
の雇用を守るために、中国や日本の元・円介入も批判する段階に来
ている。このために円介入も止めるべきである。米国の反発が強く
て、反日的な論調になる可能性がある。日本の企業景気はよい。
ここで日銀が頑張ってはいけない。米国が財政赤字を無くさないと
どうしようもない。

アジアでは米国が孤立するのと交代で中国の影響が増している。
韓国や台湾だけではなく、タイなども中国の影響を感じる。中国の
軍事的な増強もあり、だんだん日本近海にも中国の圧力を感じるよ
うになっている。これが台湾と統合されたら、次は尖閣列島の石油
資源の利権争いが日中に大きな問題として浮かび上がることになる。

もう1つ、米国の兵器が中国に渡ることになる。F16などの戦闘
機やイージス艦の情報が中国渡れば、日本の現有兵器体系を中国は
ある程度知ることになる。これも恐ろしいことである。

世界の覇権体制の激震が近いのと、それに伴った米国の政治が変化
する可能性があり、その方向を見極める必要があるように感じる。
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米、イラク新決議を用意 (nikkei)

 【ワシントン=森安健】米政府がイラクでの国連の役割拡大を目
指して、新たな安保理決議案を提出する見通しとなった。スペイン
の総選挙で勝利したサパテロ次期首相(社会労働党書記長)がイラ
クからの撤退に言及しながら、国連主導の体制移行を求めたことが
背景にある。6月末の主権移譲をにらみ、新たな復興支援体制を整備
したい意向とみられる。

 パウエル国務長官は15日、インドに向かう機中で記者団に対し「
主権移譲で状況はガラリと変わる。これまでの国連決議を更新する
良い機会かもしれない」と指摘。強硬派のウルフォウィッツ国防副
長官も米テレビ番組で「(スペインは)国連統治を求めており、で
きる限り対応すべきだ」と柔軟姿勢を見せた。 (07:01)  
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スペイン社労党書記長、イラク撤兵を表明 米政権も批判 (ASAHI)

 スペイン総選挙で勝利し、次期首相への就任が確実視されている
社会労働党のサパテロ書記長は15日、同国の民放ラジオに出演し
、選挙の公約通り、イラクに派遣しているスペイン軍を撤退させる
方針を表明した。撤兵を新政権の重要課題として取り組む姿勢を強
調し、同時に、イラク戦争をめぐる米ブッシュ政権の対応も批判し
た。 

 イラク戦争で米英とともに「主戦論」を唱え、イラク派兵も続け
てきたスペインのアスナール政権が退場し、代わりに米国批判を公
言する政権が生まれることは、米国主導の「有志連合」によるイラ
ク復興体制に影響を与えそうだ。 

 イラクからのスペイン軍の撤退は社労党が公約として掲げていた
。15日、ラジオ番組で公約を実行するかを問われたサパテロ氏は
「もちろんだ」と回答。今後の連立政権作りの協議などを終えるま
では正式決定ではないとしながらも、「今後6月30日(イラクへ
の主権移譲の期限日)までに新しい展開がなければ、兵士たちは帰
宅するだろう」と述べた。 

 サパテロ氏は選挙前の2月、「イラクで国連が中心的な役割を果
たさない場合、軍を撤退させる」と表明している。15日の発言は
、イラクへの主権移譲までに新たな国連主導の枠組みができなけれ
ば、撤兵させる方針を示したものだ。 

 米英に対しては「市民を爆撃するようなことはしてはならない。
二度と繰り返さないために、ブッシュ米大統領もブレア英首相も自
己批判した方がいい」と言明。「イラク戦争は破滅的だった。占領
も破滅的だ。このような戦争は憎悪と暴力と恐怖を培うだけだ」と
も語った。 

 サパテロ氏は撤兵実現へ向けて政治勢力を結集し、合意を目指す
意欲を示した。今後、連立協議を進め、4月2日に新たな上下両院
が招集された後、国王から新首相に任命される見通しだ。 

 サパテロ氏が2月に撤兵を公約に掲げた当時は国民党に支持率で
10ポイント近くリードされ、実現性を疑う見方が少なくなかった
。しかし、11日に起きた列車同時爆破テロにより、改めてイラク
問題が争点になったほか、イスラム系テロ組織の関与を疑わせる証
拠を政府が隠しているとの憶測も浮上。与党・国民党が予想外の敗
北を喫し、社労党が96年以来8年ぶりに政権に就くことになった。 
(03/15 22:19) 
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米英に「だまされた」 ポーランドが初めて批判

【ベルリン18日共同】ポーランドのクワシニエフスキ大統領は
18日、イラクの大量破壊兵器問題で「わが国はだまされてきた」
と述べ、名指しを避けながらも、旧フセイン政権下の大量破壊兵器
の存在をイラク戦争の大義名分として各国に支持を呼び掛けた米英
両国を批判した。
 フランス公共ラジオなどのインタビューで語った。米国の求めに
応じて参戦し、積極的に軍事支援したポーランドの初めての対米英
批判となる。
 同じ親米派のスペインは総選挙で政権交代し、次期首相のサパテ
ロ社会労働党書記長がイラク駐留軍の撤退方針を示唆。中米ホンジ
ュラスも6月末で部隊を撤退させる意向を表明するなど、親米各国
のイラク政策が連鎖的に揺らぎ始めている。
 インタビューで大統領は「大量破壊兵器についてわれわれはだま
された。まんまと乗せられてしまった」と言明した。ただ同日夜に
なって、だましたのは情報機関だと釈明し、軌道修正を図った。
(共同通信)[3月19日13時14分更新]
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件名:ブッシュVSケリーの対決  

保守かリベラルかの選択/日本の国益は現政権の継続
価値問題で流動的なケリー氏

 十一月の米大統領選挙は民主党候補にケリー上院議員が選ばれ、
共和党のブッシュ大統領との対決となることが確実となった。日本
にとりどちらの候補の勝利が国益にかなうだろうか。同選挙で米国
民は何を選択しようとしているのだろうか。

 注目されるのはリベラル派とされるケリー候補の政策が極めて分
かりにくいことだ。選挙キャンペーンでの同氏の発言が場当たり的
で、何が本音か不明であるからだ。このため共和党側は「ケリー対
ケリーの争い」のタイトルのもと、以下のような同候補の発言の矛
盾を列挙している。
▽中東和平問題=イスラエルがヨルダン川西岸のパレスチナ地区で
建設を進めている分離壁について、米国内のユダヤ人指導者たちに
は「自衛のための合法的な措置」と発言、アラブ系米市民グループ
には「挑発的、非生産的で平和への障害」と述べた
▽湾岸戦争=反対から支持へ転向
▽テロの脅威=誇大化しているとブッシュ大統領を批判したあと、
大統領の対策は不十分と発言
▽イラク戦=支持しておきながら、八百七十億ドルの作戦と復興支
援費支出に反対した
▽同性間結婚問題=権利を認めるマサチューセッツ州最高裁の裁定
を「個人的には裁判所は間違っている」と述べ、その後、理由を聞
かれた時「そうは言っていない」と答えた。

 二枚舌≠ニもいえる同氏の態度について、支持者たちは同氏が
問題の複雑さをよく認識しているためで、「イェス・バット」の態
度をとっているのは、彼が型にはまらぬ自由な思考の持ち主である
証拠だとしている。また同氏の不決断ともいえる態度は米国社会の
分裂そのものを示すもので、彼は同性間結婚問題に象徴される米国
社会を二分する問題では中道を歩み、微妙な綱渡りをやっているた
め、との声もある。価値問題では流動的な態度であるわけだ。

共和党保守派の伝統的精神
 ここで問題は、米国社会での価値の基準である。「何が善か悪か
」の基準について、絶対的価値の根源として、人間を超えた存在、
神を認めるか否かが問題となる。米国は旧大陸での宗教的抑圧を逃
れた人々が、宗教的世界観を中心につくり上げた国だ。だからこそ
ジェファーソン大統領(第三代)が起草した独立宣言の前文は「人
権は創造主から与えられたもの」と述べ、その基礎を人間を超えた
存在に置いた。この思想はリンカーン大統領やレーガン大統領さら
にブッシュ大統領に受け継がれた。リンカーン大統領はゲティスバ
ーグ演説で「この国家をして神のもとに新しく自由の誕生をなさし
めるため…」と、レーガン大統領は「われわれは神の遺産を受け継
いでいる。われわれは神の子である…」と、ブッシュ大統領は「神
は自分が大統領になることを望んでいると思う」と語っている。
レーガン大統領が述べたように、民主主義は絶対価値の基準となる
神なくしては存続し得ない。価値基準が相対的でバラバラとなれば
社会秩序が保てないからだ。そうなれば、民主主義は衆愚政治とな
り、最悪の政治形態に陥る。

 これが共和党保守派の伝統的発想だ。党の主張は米国社会の古き
よき伝統、地域社会の復活、信仰と家庭第一主義に置かれている。
特に、キリスト教福音派や宗教右派の強い影響下にあるブッシュ大
統領と、ベトナム戦以後の価値の混乱に反対して民主党リベラル派
から転向した「ネオコン(新保守派)」に支えられた同政権は、
善悪をはっきりと区別し、勧善懲悪によって新しい世界秩序を構築
しようという使命感を抱いている。これが、「一国主義」と批判さ
れる「ブッシュ・ドクトリン」の背景だ。

 一方、ヒューマニズム(人間中心主義)を基準とする価値観もあ
る。第二次大戦後の民主党リベラル派の主流がそうである。同党の
リベラル派の重鎮ジョン・ケネディ大統領は富の再配分や自助が困
難な人々の保護といった社会の公正と福祉に努力した。フランクリ
ン・ルーズベルト大統領のニューディール政策を継承したのだ。
成果として特筆すべきは公民権の拡張であった。ケネディを継いだ
リンドン・ジョンソン大統領の「偉大な社会」政策のもとで、黒人
の地位の飛躍的向上と社会福祉の充実がはかられた。

 外交政策でも共和党のようなイデオロギーや信仰とのかかわりは
少ない。ケネディ大統領は「米国は全知全能ではなく、私たちは世
界人口の6%にすぎず、私たちの意思を他の94%に押し付けること
はできない。私たちはすべての悪を正し、すべての逆境を逆転する
ことはできず、従って、世界のすべての問題にアメリカ的解決策が
あるとはいえない」と述べ、脱イデオロギーの現実外交を訴えた。
ケリー候補は、同大統領の弟のケネディ上院議員のスピーチライタ
ーでリベラル派の継承者だ。

 価値基準が人間中心ともなれば、価値多元論ともなり、性の解放
、マリフアナ、人工妊娠中絶など社会風潮による価値の変化に寛容
となる。ケネディ大統領やクリントン大統領が女性問題で騒がれた
のもそのためだ。

「価値基準の根源」問う選挙に
 しかし、ソルジェニーツィン氏が警告したように、人間よりも上
位のものから、人間の自主性を宣言するヒューマニズムは、人間に
悪が内在していることを認めず、やがて人々をあくなき物質主義と
エゴイズムへと導く。

 同性同士の結婚問題が浮上しているのは、米社会でのヒューマニ
ズムの行き過ぎを象徴するものである。ブッシュ大統領がこれを争
点として取り上げ、リベラル派のケリー候補を攻めようとしている
のは、当然のことといえよう。大統領選挙で問われているのは、価
値の基準は何かである。

 旧ソ連を「悪の帝国」と名指し、共産主義を崩壊に導いたレーガ
ン大統領、イラク、イラン、北朝鮮を「悪の枢軸」と指名し、テロ
、大量破壊兵器の脅威のない新しい世界秩序の構築という使命感に
燃えるブッシュ大統領。これに対して、ケリー候補の世界戦略は明
確でなく、対外政策は場当たり的だ。どちらの勝利が日本の国益か
は明白であろう。
 評論家 井上 茂信 世界日報 ▽掲載許可済み
Kenzo Yamaoka
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件名:米「双子の赤字」 危険水域に突入  

経常収支は大幅改善見込めず
 米国の「双子の赤字」は危険水域に入ったと言ってもいい。
二○○三年の経常赤字は五千四百十八億ドルという空前の規模に達
し、○四年度(○三年十月−○四年九月)の財政赤字は過去最大の
五千二百十億ドルに上る見通しだ。前者はドル急落、後者は金利上
昇のリスクを抱え、いずれも米国経済の大きな不安要素と目されて
いる。

 特に一九八○年代後半の前回の「双子の赤字」と異なるのが、経
常赤字の重さだ。ピーク時の八七年でも対GDP(国内総生産)比
率は3・4%だったが、○三年は5%近くに跳ね上がった。景気回
復を反映して輸入の伸びは輸出を上回る傾向が続いており、経常収
支が直ちに大幅に改善することは見込み難い。

 スノー財務長官らブッシュ政権当局者は、ことあるごとに「米国
への資金流入に問題はない」と経常赤字への懸念を打ち消している。

 だが、グリーンスパン連邦準備制度理事会(FRB)議長らが警
告するように、この先もGDP比5%もの経常赤字を補完するだけ
の資金流入が続く保証はない。米証券市場に大量に積み上がったド
ル資産が何かのきっかけで反転・流出する事態になれば、影響は甚
大だ。巨額の経常赤字は危ういバランスで支えられている。
世界日報 ▽掲載許可済み
Kenzo Yamaoka
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グリーンスパンFRB議長、保護主義の高まりに警鐘
2004/03/15 13:28   Trackback (0) 
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000050156,20064853,00.htm

 米連邦準備制度理事会(FRB)のAlan Greenspan議長が米国時間
12日、海外への業務移転の拡大を食い止める取り組みは、米国の労
働者を助ける代わりに、米国経済にダメージを与えるものだ、と語
った。 

Greenspan議長は、ボストン大学主催のFinance Conference 2004に
出席し、政治的な盛り上がりを見せているこの話題に関して自らの
見解を詳細に述べ、米国労働者保護法案(The Workers Protection
 Act)のような対策は有害無益ではないかと語った。なお議長はこ
の日同校から名誉学位を授与された、 

「海外への業務移転が引き起こすこれらの緊張や混乱を受けて、新
たな保護措置の提案が行われている。これらの真偽の疑わしい解決
策は、百害あって一利なしだろう。こうした保護策は雇用の創出に
はほとんど役立たず、外国が報復に出れば確実に職がなくなる」
(Greenspan議長) 

Christopher Dodd上院議員(民主党、コネチカット州選出)が提出
した労働者保護法案は、政府業務の民営化、官公庁による商品やサ
ービスの購買、そして連邦政府資金を使った州政府の購買という、
官公庁の3つの分野の仕事について海外への業務移転禁止を目指して
いる。同上院議員は、米国は「憂慮すべき」速度で雇用を失いつつ
あると主張し、2001年以来、米国は製造業で270万人分の雇用を失い
、また今後15年間に最大330万人分の雇用が海外に流出することにな
るとしている。 

他の議員のなかには、海外への業務移転が明らかになった米国企業
に対して、罰金を科す法案の作成を公けに話し合っているものもい
る。 

Greenspan議長は、仕事の海外流出について、米国の消費者が比較シ
ョッピングや生産性の飛躍的改善を通じた価格低下を求めているこ
となど、多数の要因があると語った。 

同氏はさらに、企業が業務を海外に移転する最近の傾向を、日本や
メキシコなどの外国の経済力が米国の雇用確保にとって脅威だとさ
れていた1950年代、1960年代、1990年代の各状況と比較した。 

Greenspan議長は、このような背景から保護政策は失速し、長期的に
は雇用の成長につながらない可能性があると警告を発した。 

「我々は、外国貿易を阻止する障壁を築いたり、あるいは雇用をな
くすような技術革新に歯止めをかけることもできる。そうなれが、
競争のペースは確実に落ちるだろし、緊張も緩和されるように見え
るかもしれないが、しかしそれも長くは続かない。結果として、
生活水準はすぐに沈滞しはじめ、おそらくは低下さえすることにな
るだろう」(Greenspan議長) 

「新たなレベルの繁栄を求めようとせず、今のぬるま湯につかって
いようとする姿勢が停滞につながるのは、人類の歴史上繰り返し起
こってきたことだ」とGreenspan議長は語った。 


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